(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113711
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ロータリコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 39/00 20060101AFI20240816BHJP
H01R 39/28 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01R39/00 G
H01R39/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018818
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511040388
【氏名又は名称】株式会社ヒサワ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】古川 泰成
(72)【発明者】
【氏名】江藤 隼太
(72)【発明者】
【氏名】早田 葵
(72)【発明者】
【氏名】沢田 博史
(57)【要約】
【課題】回転スペーサと外周電極または内周電極との相対移動が良好なロータリコネクタを提供する。
【解決手段】環状の外周電極30と、外周電極30に挿通され外周電極30と相対回動可能に配置された内周電極2と、外周電極30と内周電極2の間において周方向に複数配置され外周電極30と内周電極2に接触するローラ集電子4と、各ローラ集電子4間に配置される回転スペーサ5と、回転スペーサ5を軸方向両側で支持する一対のガイドプレート31,32と、を備えたロータリコネクタ1であって、回転スペーサ5の公転軌道と、ローラ集電子4の公転軌道とが異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の外周電極と、前記外周電極に挿通され該外周電極と相対回動可能に配置された内周電極と、前記外周電極と前記内周電極の間において周方向に複数配置され前記外周電極と前記内周電極に接触するローラ集電子と、各前記ローラ集電子間に配置される回転スペーサと、前記回転スペーサを軸方向両側で支持する一対のガイドプレートと、を備えたロータリコネクタであって、
前記回転スペーサの公転軌道と、前記ローラ集電子の公転軌道とが異なるロータリコネクタ。
【請求項2】
一対の前記ガイドプレートのうち少なくとも一方には、径方向の規制壁が設けられ、
前記規制壁は、径方向で前記内周電極より外径側、又は径方向で前記外周電極より内径側に配置されており、
前記回転スペーサは、前記規制壁と当接する第1当接部と、前記第1当接部とは軸方向で異なる位置にあり前記ローラ集電子に当接する第2当接部と、を有している請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項3】
前記回転スペーサは、周方向で隣の前記ローラ集電子のうち一方と当接し、周方向で逆側の前記ローラ集電子との間には隙間がある請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項4】
前記回転スペーサは、前記ローラ集電子より軸方向で長い請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項5】
前記回転スペーサと前記ローラ集電子は、軸方向に延びる周面を有する形状であり、互いの周面が軸方向に接触している請求項1ないし4のいずれかに記載のロータリコネクタ。
【請求項6】
前記回転スペーサの端部は縁部が面取りされている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項7】
前記ローラ集電子の端部は縁部が面取りされている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項8】
一対の前記ガイドプレートのうち少なくとも一方には、径方向の規制壁が設けられ、
前記回転スペーサにおける前記規制壁と当接する当接部は、前記ローラ集電子に当接する当接部よりも大径である請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項9】
一対の前記ガイドプレートのうち少なくとも一方には、径方向の規制壁が設けられ、
前記回転スペーサの周面は、前記規制壁とは径方向で反対側における前記ローラ集電子との2つの接触部間の周方向長さが、前記回転スペーサの周方向長さの1/2未満となっている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリコネクタ、例えば回動機構における回動側要素と静止側要素とを電気的に接続するためのロータリコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業分野で、回動機構における回動側要素と静止側要素とを電気的に接続するために利用されているロータリコネクタは、回動側要素に連結される導電性を有する内周電極と、静止側要素に電気的に接続される導電性を有する外周電極との間に配置されている集電要素を通じて、これら内周電極および外周電極を電気的に接続することが可能となっている。
【0003】
このようなロータリコネクタは、集電要素として、水銀、ガリウム合金等の液体金属が充填されているものと、通電性を有する複数のローラ集電子が配置されているものと、が知られている。近年では、液漏れによる環境負荷、漏電リスク等の観点から、ローラ集電子が適用されているロータリコネクタが注目されている。
【0004】
例えば、特許文献1に示されるロータリコネクタは、円筒状の外周電極に内周電極が回転可能に挿通されている。外周電極と内周電極との間には、半径方向に弾性変形可能な円筒状の導電性リングが等配されており、各導電性リング間には、円柱状のリテーナスペーサが配置されている。内周電極と外周電極とが相対回転すると、これに伴い、各導電性リングは、自転しながら内周電極を軸に公転する遊星運動を行いつつ、内周電極と外周電極とを電気的に接続することができる。また、各リテーナスペーサは、各導電性リングの遊星運動に追従して遊星運動を行い、各導電性リングの周方向の間隔を保つように機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/12875号公報(第6頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のロータリコネクタにあっては、導電性リングとリテーナスペーサは同径を成しかつ同じ公転軌道上に配置されており、外周電極と内周電極との相対回転時に、導電性リングの自転運動によりリテーナスペーサが外周電極側または内周電極側に押し出されるようになる。そのため、リテーナスペーサと外周電極または内周電極との摩擦が過剰に大きくなるといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、回転スペーサと外周電極または内周電極との相対移動が良好なロータリコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のロータリコネクタは、
環状の外周電極と、前記外周電極に挿通され該外周電極と相対回動可能に配置された内周電極と、前記外周電極と前記内周電極の間において周方向に複数配置され前記外周電極と前記内周電極に接触するローラ集電子と、各前記ローラ集電子間に配置される回転スペーサと、前記回転スペーサを軸方向両側で支持する一対のガイドプレートと、を備えたロータリコネクタであって、
前記回転スペーサの公転軌道と、前記ローラ集電子の公転軌道とが異なる。
これによれば、ローラ集電子の弾性に抗して回転スペーサの径方向他方側への移動が許容されているので、回転スペーサと外周電極または内周電極との相対移動を円滑にできる。
【0009】
一対の前記ガイドプレートのうち少なくとも一方には、径方向の規制壁が設けられ、
前記規制壁は、径方向で前記内周電極より外径側、又は径方向で前記外周電極より内径側に配置されており、
前記回転スペーサは、前記規制壁と当接する第1当接部と、前記第1当接部とは軸方向で異なる位置にあり前記ローラ集電子に当接する第2当接部と、を有していてもよい。
これによれば、ローラ集電子に当接する当接部を外周電極または内周電極に当てないように回転スペーサを配置できる。
【0010】
前記回転スペーサは、周方向で隣の前記ローラ集電子のうち一方と当接し、周方向で逆側の前記ローラ集電子との間には隙間があってもよい。
これによれば、回転スペーサとローラ集電子との過剰な摩耗を抑えることができる。
【0011】
前記回転スペーサは、前記ローラ集電子より軸方向で長くてもよい。
これによれば、ローラ集電子の配置を安定させることができる。
【0012】
前記回転スペーサと前記ローラ集電子は、軸方向に延びる周面を有する形状であり、互いの周面が軸方向に接触していてもよい。
これによれば、回転スペーサとローラ集電子は互いの周面が軸方向で接触することから、ローラ集電子の配置をより安定させることができる。
【0013】
前記回転スペーサの端部は縁部が面取りされていてもよい。
これによれば、回転スペーサの遊星運動中に、回転スペーサの縁部が破損することを抑制できる。
【0014】
前記ローラ集電子の端部は縁部が面取りされていてもよい。
これによれば、ローラ集電子と回転スペーサとの相対的な傾きが生じてもローラ集電子の縁部が回転スペーサに接触して破損することが抑制される。
【0015】
一対の前記ガイドプレートのうち少なくとも一方には、径方向の規制壁が設けられ、
前記回転スペーサにおける前記規制壁と当接する当接部は、前記ローラ集電子に当接する当接部よりも大径であってもよい。
これによれば、回転スペーサにおけるローラ集電子に当接する当接部を外周電極または内周電極から簡便に離すことができる。
【0016】
一対の前記ガイドプレートのうち少なくとも一方には、径方向の規制壁が設けられ、
前記回転スペーサの周面は、前記規制壁とは径方向で反対側における前記ローラ集電子との2つの接触部間の周方向長さが、前記回転スペーサの周方向長さの1/2未満となっていてもよい。
これによれば、回転スペーサが規制壁とは反対側に飛び出しにくくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1におけるロータリコネクタを示す断面図である。
【
図3】
図2の状態から内周電極と外周電極が相対回転した状態を示す径方向断面図である。
【
図4】本発明の実施例2における回転スペーサを示す軸方向断面拡大図である。
【
図5】本発明の実施例3におけるロータリコネクタを示す径方向断面図である。
【
図6】本発明の実施例4におけるロータリコネクタを示す径方向断面図である。
【
図7】本発明の実施例5におけるロータリコネクタを示す径方向断面図である。
【
図8】(a)は本発明の実施例6における回転スペーサを示す概略図、(b)~(f)はその変形例を示す概略図である。
【
図9】(a)は本発明の実施例7におけるローラ集電子を示す概略図、(b)~(d)はその変形例を示す概略図である。
【
図10】(a)は本発明の実施例8におけるローラ集電子を示す概略図、(b)はその変形例を示す概略図である。
【
図11】(a)は本発明の実施例9における回転スペーサを示す軸方向断面拡大図、(b)は同じく径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るロータリコネクタを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0019】
実施例1に係るロータリコネクタにつき、
図1から
図3を参照して説明する。以下、
図1の正面から見て上下をロータリコネクタの上下として説明する。
【0020】
本実施例のロータリコネクタ1は縦置きであり、例えば回動機構における回動箇所に用いられる。ロータリコネクタ1は、外部電源から供給される電気を、回動機構における回動軸に通電するものである。
【0021】
図1に示されるように、ロータリコネクタ1は、回動側要素としての内周電極2と、静止側要素3と、ローラ集電子4と、回転スペーサ5と、から主に構成されている。
【0022】
内周電極2は、回動機構における図示しない回動軸に連結されている。内周電極2は、回動軸に従動することで静止側要素3に対して相対回動可能に設けられている。なお、内周電極2は中空であっても良い。
【0023】
ローラ集電子4は、内周電極2の回動に伴って、内周電極2および静止側要素3の外周電極30と電気的に接触しながら、内周電極2の周りを遊星運動可能に設けられている。
【0024】
また、静止側要素3は、図示しない外部電源に連結可能となっている。
【0025】
内周電極2は、金属等から形成されており導電性を有している。内周電極2の外周面における上下中央部には、内径側に凹む環状凹部2aが形成されている。なお、この環状凹部2aの軸方向の壁面と底面とのなす傾斜角度は0度を越え90度未満であることが好ましい。この角度は一般的には加工コストの面から設定すればよく、例えば旋盤での加工を想定すればバイトの刃先角度に合わせて30度から60度程度の範囲で自由に設定すればよい。通常では、ローラ集電子4が受ける重力は弾性変形時のバネ力に比べて十分小さいため30度程度の傾斜があれば問題ない。なお、実施例での環状凹部2aは、内周電極の外周面に形成されているが、外周電極の内周面に形成されてもよく、両方に形成されていてもよい。また、環状凹部に代えて内周電極と外周電極とに環状段部を軸方向に対向するようにそれぞれ設け、これら環状段部の間にローラ集電子を介在するように配置することで、ローラ集電子を軸方向に保持してもよい。
【0026】
また、内周電極2の外周面には、導電性の高い例えば銀等によるメッキが施されている。なお、メッキは薄く図面が煩雑となるため、図示は省略している。以下の説明のメッキについても同様である。
【0027】
次に、静止側要素3について説明する。静止側要素3は、外周電極30と、下方側ガイドプレート31と、上方側ガイドプレート32と、下方側軸受33と、上方側軸受34と、ハウジング35と、カバー36と、から主に構成されている。
【0028】
外周電極30は、導電性の高い材料により円筒状に形成されている。外周電極30の内周面には、導電性の高い例えば銀等によるメッキが施されている。
【0029】
下方側ガイドプレート31は上方に開口する凹部31aを中央に有し、外周電極30の下部に配置されている。下方側ガイドプレート31の凹部31aは、外周電極30の貫通孔30aと上下に連通している。また、下方側ガイドプレート31の凹部31aには、下方側軸受33が内嵌されている。
【0030】
下方側ガイドプレート31の凹部31aの上方側縁部には、上方に開口する凹み部31dが形成されている。この凹み部31dの規制壁としての周面31eは、外周電極30の貫通孔30aよりも内径側に配置されている。
【0031】
上方側ガイドプレート32は、筒状をなしている。上方側ガイドプレート32の貫通孔32aには、上方側軸受34が内嵌されている。
【0032】
貫通孔32aは、外周電極30の貫通孔30aよりも小径となっている。貫通孔32aの周囲には、下方に開口する凹み部32dが形成されている。この凹み部32dの規制壁としての周面32eは、外周電極30の貫通孔30aよりも内径側に配置されている。
【0033】
ハウジング35は、断面下向きU字状に形成されている。また、カバー36は、薄板状に形成されている。
【0034】
ハウジング35には、上方側ガイドプレート32と下方側ガイドプレート31と上方側ガイドプレート32とが内嵌され、ハウジング35おける筒状部の下端には、カバー36がボルトにより固定されている。
【0035】
次に、ローラ集電子4について説明する。
図1,
図2に示されるように、ローラ集電子4は、金属等により形成され、導電性が高く、弾性変形可能であり、円筒状に形成されている。また、その外周面には、導電性の高い例えば銀等によるメッキが施されている。
【0036】
ローラ集電子4は、内周電極2と外周電極30との間に径方向に圧縮された状態で配置されている。これにより、ローラ集電子4は、内周電極2と外周電極30とに接触した状態が維持される。
【0037】
また、ローラ集電子4の内周電極2側の部位は、内周電極2の環状凹部2aに嵌合されている。これにより、ローラ集電子4の上下方向の移動が規制されている。
【0038】
尚、本実施例では、ローラ集電子4は、周方向に7つ等配されている。尚、ローラ集電子4の数量は2つ以上であれば自由に変更できる。
【0039】
次に、回転スペーサ5について説明する。回転スペーサ5は、絶縁性の樹脂により構成されている。回転スペーサ5は、上下方向に長い円柱状を成している。回転スペーサ5は、ローラ集電子4よりも軸方向に長い。回転スペーサ5は、ローラ集電子4よりも小径を成している。
【0040】
この回転スペーサ5は、その中心軸A1がローラ集電子4の中心軸A2よりも外径側に配置されている。
【0041】
回転スペーサ5の下端部5aおよび上端部5bは、その中心軸A1よりも外径側の位置で下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eに接触している。すなわち、回転スペーサ5は、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eに接触配置されることにより外周電極30の内周面30bから内径側に離間して配置される。
【0042】
言い換えれば、回転スペーサ5の下端部5aおよび上端部5bは、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eに当接する第1当接部として機能している。
【0043】
また、回転スペーサ5の下端面5cおよび上端面5dは、凹み部31dの底面31fおよび凹み部32dの底面32fに接触している。尚、回転スペーサ5の上端面5dは、凹み部32dの底面32fに接触していなくても構わない。
【0044】
また、回転スペーサ5の軸方向中央部5eは、その中心軸A1よりも内径側の位置で隣り合うローラ集電子4,4のうち一方のローラ集電子4に接触し、他方のローラ集電子4から離間している。
【0045】
尚、
図2では、説明の便宜上、全ての回転スペーサ5が一方のローラ集電子4に接触し、他方のローラ集電子4から離間する形態を例示したが、実際には回転スペーサ5とローラ集電子4との隙間により、隣り合うローラ集電子4同士が周方向に近接または離間できるようになっているため、一部の回転スペーサ5は一方のローラ集電子4にのみ接触し、他方のローラ集電子4から離間するとともに、その他一部の回転スペーサ5は両側のローラ集電子4に接触するということもある。
【0046】
これら回転スペーサ5とローラ集電子4とは、軸方向に接触している。言い換えれば、回転スペーサ5の軸方向中央部5eは、ローラ集電子4に当接する第2当接部として機能している。
【0047】
このように回転スペーサ5は、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eと、隣り合うローラ集電子4,4のうち少なくとも一方のローラ集電子4と、に接触している。
【0048】
両側のローラ集電子4,4に接触する回転スペーサ5の周面において、該回転スペーサ5とローラ集電子4,4との2つの接触部間の内径側の長さは、半周未満となっている。これにより、回転スペーサ5が内周電極2側に飛び出しにくくなっている。また、回転スペーサ5は、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eにより外周電極30側への飛び出しが規制されている。
【0049】
次に、内周電極2の回転時におけるローラ集電子4と回転スペーサ5との遊星運動について説明する。
図3に示されるように、回動機構における回動軸が回転すると、それに伴って内周電極2も回転する。各ローラ集電子4は、内周電極2の回転を受けて該内周電極2の回転方向とは逆方向に自転しながら内周電極2の回転方向に公転する(黒太矢印参照)。
【0050】
また、各回転スペーサ5は、各ローラ集電子4の自転を受けて該ローラ集電子4の自転方向とは逆方向に自転しながらローラ集電子4の公転方向と同一方向に公転する(白太矢印参照)。
【0051】
内周電極2の回転時において、各ローラ集電子4に微小な回転差が生じることで、隣り合うローラ集電子4同士が周方向に離間、または近接する方向に力が作用することがあるが、回転スペーサ5により隣り合うローラ集電子4同士の周方向の間隔が維持されるようになっている。これにより、各ローラ集電子4を介した内周電極2と外周電極30との間の通電が安定する。
【0052】
また、回転スペーサ5には、各ローラ集電子4に回転差が生じた際に、外径側または内径側に押し出されるように力が作用することがある。本実施例の回転スペーサ5は、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eと周方向で隣り合うローラ集電子4,4との間に位置している。すなわち、回転スペーサ5とローラ集電子4との公転軌道が異なっており、回転スペーサ5はローラ集電子4の弾性力に抗して内径方向への移動が許容されているため、回転スペーサ5と、外径側の下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eとの過剰な摩耗が回避され、回転スペーサ5の遊星運動が円滑となる。
【0053】
また、回転スペーサ5は、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eに当接する下端部5aおよび上端部5bと、ローラ集電子4に当接する回転スペーサ5の軸方向中央部5eと、を備えているため、回転スペーサ5の軸方向中央部5eを外周電極30に当てずに配置することができる。これにより、外周電極30が損傷しにくくなっている。また、回転スペーサ5と下方側ガイドプレート31、上方側ガイドプレート32とを摩耗損傷しにくい組み合わせの材質で構成できる。
【0054】
また、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eは、外周電極30よりも内径側に配置されているため、円柱状の簡素な構造の回転スペーサ5を用いて外周電極30に当てずに配置できる。
【0055】
また、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eは、回転スペーサ5の外径側に配置されている。これによれば、回転スペーサ5の径を大きく確保できるので、回転スペーサ5とローラ集電子4との回転差を出来るだけ小さくできる。
【0056】
また、回転スペーサ5と一方のローラ集電子4は、互いの周面が軸方向に接触しているため、ローラ集電子4の傾きを抑えることができ、ローラ集電子4の配置を安定させることができる。すなわち、ローラ集電子4を介した内周電極2と外周電極30との良好な通電性を維持できる。
【0057】
また、回転スペーサ5と他方のローラ集電子4との間に周方向の隙間があるため、隣り合うローラ集電子4間の回転速度差や回転方向の負荷が回転スペーサ5に伝わることを軽減でき、回転スペーサ5とローラ集電子4との過剰な摩耗を抑えることができる。
【0058】
また、回転スペーサ5の中心軸A1とローラ集電子4の中心軸A2が径方向にずれて配置されているため、ローラ集電子4の公転方向に力が作用しにくく、ローラ集電子4の過度な変形を抑えてローラ集電子4の間隔を保つことができる。
【0059】
また、回転スペーサ5とローラ集電子4とが周方向に交互に配置されているため、ローラ集電子4の遊星運動を回転スペーサ5に効率よく伝達できる。
【0060】
尚、本実施例では、下方側ガイドプレート31の周面31eおよび上方側ガイドプレート32の周面32eにより回転スペーサ5の遊星運動がガイドされる形態を例示したが、少なくとも下方だけに規制壁が形成されていればよい。