(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113725
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】回路基板の固定構造およびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/30 20160101AFI20240816BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20240816BHJP
H02K 5/08 20060101ALI20240816BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H02K11/30
F04D29/00 B
H02K5/08 A
H02K7/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018852
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】矢沢 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 一彦
【テーマコード(参考)】
3H130
5H605
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA73H
3H130DF00Z
3H130DF07Z
3H130EA01H
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC06
5H605CC08
5H605DD01
5H605DD37
5H605EC20
5H605GG06
5H605GG18
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC07
5H607DD08
5H607FF06
5H607JJ05
5H611BB01
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】平板状のリジッド基板である回路基板と、回路基板が固定される基板固定部材と、回路基板を基板固定部材に固定するための固定用ネジとを備える回路基板の固定構造において、基板固定部材に対して回路基板を適切に位置決めすることが可能であるとともに、基板固定部材等の寸法がばらついても、基板固定部材に固定用ネジを適切に締め込むことが可能な回路基板の固定構造を提供する。
【解決手段】この回路基板の固定構造では、回路基板4にU形状の切欠き4cが形成され、基板固定部材7に突起部7dが形成されている。突起部7dには、回路基板4の一方の面が接触する基板接触面と、固定用ネジの軸部が係合するネジ穴7fと、切欠き4cに係合して回路基板4を位置決めするための位置決め用凸部7gとが形成されている。位置決め用凸部7gは、ネジ穴7fよりも切欠き4cの開口側に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のリジッド基板である回路基板と、前記回路基板が固定される基板固定部材と、前記回路基板を前記基板固定部材に固定するための固定用ネジとを備え、
前記回路基板には、前記回路基板の外周面から前記回路基板の内側に向かって窪むU形状の切欠きが形成され、
前記基板固定部材には、前記回路基板の厚さ方向に突出する突起部が形成され、
前記突起部には、前記回路基板の一方の面が接触する平面状の基板接触面と、前記固定用ネジの軸部が係合するネジ穴と、前記切欠きに係合して前記基板固定部材に対して前記回路基板を位置決めするための位置決め用凸部とが形成され、
前記ネジ穴は、前記基板接触面から窪み、
前記位置決め用凸部は、前記基板接触面から突出し、
前記固定用ネジの前記軸部の一部分は、前記切欠きの中に配置され、
前記固定用ネジの頭部は、前記回路基板の他方の面に接触し、
前記位置決め用凸部は、前記ネジ穴よりも前記切欠きの開口側に配置されていることを特徴とする回路基板の固定構造。
【請求項2】
前記回路基板には、端子の被挿通部が挿通される端子穴が形成され、
U形状に形成される前記切欠きの幅方向における前記位置決め用凸部の側面と前記切欠きの側面とによって、前記回路基板の中心を中心とする円周方向において前記基板固定部材に対して前記回路基板が位置決めされ、
前記切欠きの幅方向における前記位置決め用凸部の幅と前記切欠きの幅との差が前記円周方向における前記被挿通部の幅と前記端子穴の幅との差よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1記載の回路基板の固定構造。
【請求項3】
前記位置決め用凸部の、前記ネジ穴側の側面は、前記回路基板の厚さ方向から見たときの形状が前記ネジ穴の中心を曲率中心とする円弧状となる曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の回路基板の固定構造。
【請求項4】
請求項1または2記載の回路基板の固定構造と、羽根車と、前記羽根車が取り付けられるとともに駆動用磁石を有するロータと、筒状に形成され前記ロータの外周側に配置されるとともに駆動用コイルを有するステータと、前記羽根車および前記ロータが配置され流体が通過するポンプ室とを備え、
前記ステータは、前記駆動用コイルの端部が電気的に接続される端子を備え、
前記基板固定部材は、樹脂で形成されるとともに前記ステータの一部分を覆うように前記ステータと一体で形成され、
前記回路基板は、前記ポンプ室の外側に配置され、
前記回路基板には、前記端子が電気的に接続されていることを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状のリジッド基板である回路基板と、回路基板が固定される基板固定部材とを備える回路基板の固定構造に関する。また、本発明は、かかる回路基板の固定構造を備えるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ室の中に配置される羽根車(インペラ)およびロータと、ポンプ室の外側に配置されるステータおよび回路基板(基板)と、ステータを覆う樹脂製のハウジングとを備えるポンプ装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のポンプ装置では、回路基板は、平板状に形成されたリジッド基板であり、ロータの周方向において位置決めされた状態で2本のネジによってハウジングに固定されている。ハウジングには、回路基板を固定するための2個の柱状部と、回路基板を位置決めするための4個の突部とが形成されている。2個の柱状部と4個の突部とは、ロータの周方向において所定の間隔をあけた状態で配列されている。柱状部には、ネジが係合するネジ穴が形成されている。
【0003】
特許文献1に記載のポンプ装置では、回路基板に、回路基板を固定するための2個の固定用の切欠きと、回路基板を位置決めするための4個の位置決め用の切欠きとが形成されている。固定用の切欠きおよび位置決め用の切欠きは、回路基板の外周面から回路基板の内側に向かって窪んでいる。固定用の切欠きは、U形状に形成されている。回路基板の一方の面は、柱状部の先端面に接触している。固定用の切欠きには、ネジの軸部の一部分が配置されている。ネジの頭部は、回路基板の他方の面に接触している。位置決め用の切欠きには、ハウジングの突部が係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のポンプ装置では、回路基板に形成される位置決め用の切欠きとハウジングに形成される突部との間の設計上の隙間を広くすると、位置決め用の切欠きと突部とによってハウジングに対して回路基板を適切に位置決めすることが困難になり、その結果、ハウジングへの回路基板の固定作業が煩雑になるおそれがある。したがって、このポンプ装置では、ハウジングへの回路基板の固定作業を考慮すると、位置決め用の切欠きと突部との間の設計上の隙間は狭くなっていることが好ましい。
【0006】
一方で、特許文献1に記載のポンプ装置では、ハウジングに形成される2個の柱状部と4個の突部とがロータの周方向において所定の間隔をあけた状態で配列されており、回路基板の位置決めに利用される突部と回路基板の固定に利用される柱状部とがロータの周方向において離れている。また、このポンプ装置では、回路基板に形成される位置決め用の切欠きと固定用の切欠きとがロータの周方向において離れている。
【0007】
そのため、特許文献1に記載のポンプ装置では、位置決め用の切欠きと突部との間の設計上の隙間を狭くすると、柱状部のネジ穴と突部との相対位置がばらついたり、固定用の切欠きと位置決め用の切欠きとの相対位置がばらついたりしたときに(すなわち、ハウジングや回路基板の寸法がばらついたときに)、位置決め用の切欠きと突部とによって位置決めされた回路基板の固定用の切欠きの位置とハウジングの柱状部のネジ穴の位置とのずれ量が大きくなって、柱状部のネジ穴にネジを締め込むことができなくなるおそれが生じる。
【0008】
そこで、本発明の課題は、平板状のリジッド基板である回路基板と、回路基板が固定される基板固定部材と、回路基板を基板固定部材に固定するための固定用ネジとを備える回路基板の固定構造において、基板固定部材に対して回路基板を適切に位置決めすることが可能であるとともに、基板固定部材等の寸法がばらついても、基板固定部材に固定用ネジを適切に締め込むことが可能な回路基板の固定構造を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる回路基板の固定構造を備えるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の回路基板の固定構造は、平板状のリジッド基板である回路基板と、回路基板が固定される基板固定部材と、回路基板を基板固定部材に固定するための固定用ネジとを備え、回路基板には、回路基板の外周面から回路基板の内側に向かって窪むU形状の切欠きが形成され、基板固定部材には、回路基板の厚さ方向に突出する突起部が形成され、突起部には、回路基板の一方の面が接触する平面状の基板接触面と、固定用ネジの軸部が係合するネジ穴と、切欠きに係合して基板固定部材に対して回路基板を位置決めするための位置決め用凸部とが形成され、ネジ穴は、基板接触面から窪み、位置決め用凸部は、基板接触面から突出し、固定用ネジの軸部の一部分は、切欠きの中に配置され、固定用ネジの頭部は、回路基板の他方の面に接触し、位置決め用凸部は、ネジ穴よりも切欠きの開口側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の回路基板の固定構造では、基板固定部材の突起部に、固定用ネジの軸部が係合するネジ穴と、回路基板の切欠きに係合する位置決め用凸部とが形成されている。そのため、本発明では、位置決め用凸部の近くにネジ穴を配置することが可能になり、その結果、位置決め用凸部とネジ穴との相対位置がばらついても、位置決め用凸部の位置とネジ穴の位置とのずれ量を小さくすることが可能になる。したがって、本発明では、位置決め用凸部と切欠きとによって位置決めされた回路基板の切欠きの位置とネジ穴の位置とのずれ量を小さくすることが可能になる。
【0011】
そのため、本発明では、回路基板の切欠きと位置決め用凸部との間の隙間を狭くしても、また、位置決め用凸部とネジ穴との相対位置がばらついても、切欠きの中に軸部の一部分が配置される固定用ネジをネジ穴に適切に締め込むことが可能になる。すなわち、本発明では、回路基板の切欠きと位置決め用凸部との間の隙間を狭くして、基板固定部材に対して回路基板を適切に位置決めすることが可能になるとともに、基板固定部材等の寸法がばらついても、切欠きの中に軸部の一部分が配置される固定用ネジを基板固定部材のネジ穴に適切に締め込むことが可能になる。
【0012】
また、本発明では、位置決め用凸部がネジ穴よりも切欠きの開口側に配置されているため、ネジ穴が位置決め用凸部よりも切欠きの開口側に配置されている場合と比較して、回路基板の他方の面に接触する固定用ネジの頭部と回路基板との接触面積を広くすることが可能になる。したがって、本発明では、固定用ネジによって基板固定部材に回路基板を適切に固定することが可能になる。また、本発明では、固定用ネジの頭部と回路基板との接触面積を広くすることが可能になるため、固定用ネジによって基板固定部材に回路基板を適切に固定することが可能であっても、固定用ネジの頭部と回路基板との接触圧が必要以上に高くなるのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、固定用ネジを締め込んだときの回路基板の割れを防止することが可能になる。
【0013】
なお、リジッド基板である回路基板の外形は、一般に、金型を用いたプレス加工またはルータ加工によって形成される。ルータ加工で形成された回路基板の端面は、プレス加工で形成された回路基板の端面よりも滑らかになるため、ルータ加工によって回路基板の外形を形成した方が回路基板の品質を高めることが可能になる。また、ルータ加工によって回路基板の外形を形成した方が回路基板の外形を精度良く形成することが可能になる。本発明では、回路基板の外周面から回路基板の内側に向かって窪む切欠きがU形状に形成されているため、ルータ加工によって回路基板の外形を形成する場合であっても、回路基板に切欠きを容易に形成することが可能になる。
【0014】
本発明において、回路基板には、端子の被挿通部が挿通される端子穴が形成され、U形状に形成される切欠きの幅方向における位置決め用凸部の側面と切欠きの側面とによって、回路基板の中心を中心とする円周方向において基板固定部材に対して回路基板が位置決めされ、切欠きの幅方向における位置決め用凸部の幅と切欠きの幅との差が円周方向における被挿通部の幅と端子穴の幅との差よりも小さくなっていることが好ましい。このように構成すると、端子の被挿通部が端子穴の側面に接触するのを防止することが可能になる。したがって、端子穴に半田付けされて固定される端子の被挿通部の半田付け部分の品質を確保することが可能になる。
【0015】
本発明において、位置決め用凸部の、ネジ穴側の側面は、回路基板の厚さ方向から見たときの形状がネジ穴の中心を曲率中心とする円弧状となる曲面状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、位置決め用凸部のネジ穴側の側面を利用して、ネジ穴に締め込まれる固定用ネジの軸部をネジ穴に案内しやすくなる。したがって、固定用ネジの締め込み作業を容易に行うことが可能になる。
【0016】
本発明の回路基板の固定構造は、羽根車と、羽根車が取り付けられるとともに駆動用磁石を有するロータと、筒状に形成されロータの外周側に配置されるとともに駆動用コイルを有するステータと、羽根車およびロータが配置され流体が通過するポンプ室とを備えるポンプ装置に用いることができる。このポンプ装置では、ステータは、駆動用コイルの端部が電気的に接続される端子を備え、基板固定部材は、樹脂で形成されるとともにステータの一部分を覆うようにステータと一体で形成され、回路基板は、ポンプ室の外側に配置され、回路基板には、端子が電気的に接続されている。このポンプ装置では、基板固定部材に対して回路基板を適切に位置決めすることが可能になるとともに、基板固定部材等の寸法がばらついても、回路基板の切欠きの中に軸部の一部分が配置される固定用ネジを基板固定部材のネジ穴に適切に締め込むことが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、平板状のリジッド基板である回路基板と、回路基板が固定される基板固定部材と、回路基板を基板固定部材に固定するための固定用ネジとを備える回路基板の固定構造において、基板固定部材に対して回路基板を適切に位置決めすることが可能になるとともに、基板固定部材等の寸法がばらついても、基板固定部材に固定用ネジを適切に締め込むことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるポンプ装置の断面図である。
【
図2】
図1に示すポンプ装置からケースおよびカバーを取り外した状態を底面側から示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す固定用ネジを取り外した状態の回路基板およびハウジング等の底面図である。
【
図5】
図2に示す回路基板および固定用ネジを取り外した状態のハウジング等の斜視図である。
【
図6】(A)は、
図3のE部の拡大図であり、(B)は、
図3のF部の拡大図であり、(C)は、
図3のG部の拡大図であり、(D)は、
図3のH部の拡大図であり、(E)は、
図3のJ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(ポンプ装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるポンプ装置1の断面図である。
図2は、
図1に示すポンプ装置1からケース8およびカバー9を取り外した状態を底面側から示す斜視図である。以下の説明では、
図1等のZ1方向側を「上」側とし、上側の反対側となる
図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0021】
本形態のポンプ装置1は、キャンドポンプ(キャンドモータポンプ)と呼ばれるタイプのポンプであり、たとえば、冷却用の液体を循環させるために使用される。ポンプ装置1は、羽根車2と、羽根車2を回転させるモータ3と、モータ3を制御するための回路基板4とを備えている。モータ3は、ロータ5とステータ6とによって構成されている。羽根車2、モータ3および回路基板4は、ハウジング7と、ハウジング7の上側を覆うケース8と、ハウジング7の下側を覆うカバー9によって構成されるケース体10の内部に配置されている。
【0022】
ハウジング7、ケース8およびカバー9は、樹脂で形成されている。ケース8は、超音波溶着によってハウジング7の上端に接合され、カバー9は、超音波溶着によってハウジング7の下端に接合されている。ケース8には、流体の吸入部8aと、流体の吐出部8bとが形成されている。ケース体10の内部には、吸入部8aから吸入された流体が吐出部8bに向かって通過するポンプ室11が形成されている。ポンプ室11は、ハウジング7とケース8とによって画定されている。
【0023】
ロータ5は、円筒状の駆動用磁石14と、円筒状のスリーブ15と、駆動用磁石14およびスリーブ15を保持する保持部材16とを備えている。保持部材16は、樹脂で形成されている。また、保持部材16は、鍔付きの略円筒状に形成されている。駆動用磁石14は、保持部材16の外周側に固定され、スリーブ15は、保持部材16の内周側に固定されている。羽根車2は、樹脂で形成されている。羽根車2は、保持部材16の上端部を構成する鍔部16aの上面に、超音波溶着によって接合されている。すなわち、羽根車2は、ロータ5に取り付けられている。羽根車2およびロータ5は、ポンプ室11に配置されている。
【0024】
ロータ5は、固定軸17に回転可能に支持されている。固定軸17は、固定軸17の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、上下方向は、ロータ5の軸方向となっている。固定軸17の上端は、ケース8に保持され、固定軸17の下端は、ハウジング7に保持されている。固定軸17は、スリーブ15の内周側に挿通されている。固定軸17には、スリーブ15の上端面に接触するスラスト軸受部材18が取り付けられている。本形態では、スリーブ15がロータ5のラジアル軸受として機能し、スリーブ15およびスラスト軸受部材18がロータ5のスラスト軸受として機能している。
【0025】
ステータ6は、筒状に形成されている。具体的には、ステータ6は、全体として略円筒状に形成されている。ステータ6は、ロータ5の外周側に配置されている。また、ステータ6は、ステータ6の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、上下方向は、ステータ6の軸方向となっている。ステータ6は、駆動用コイル21と、ステータコア22と、インシュレータ23とを備えている。また、ステータ6は、駆動用コイル21の端部が絡げられて電気的に接続される複数の端子24と、接地用の端子25とを備えている。本形態では、ステータ6は、4個の端子24と1個の端子25とを備えている。
【0026】
ステータコア22は、たとえば、磁性材料からなる薄い磁性板が積層されて形成された積層コアである。ステータコア22は、環状に形成される外周環部と、外周環部から径方向の内側に向かって突出する複数の突極部とを備えている。突極部の先端面(径方向の内側面)は、ハウジング7の一部分を構成する後述の円筒部7aを介して駆動用磁石14の外周面と対向している。インシュレータ23は、樹脂等の絶縁性材料で形成されている。駆動用コイル21は、アルミニウム合金または銅合金からなる導線によって構成されている。駆動用コイル21は、インシュレータ23を介してステータコア22の突極部に巻回されている。
【0027】
端子24、25は、インシュレータ23に固定されている。端子24、25は、インシュレータ23から下側に向かって突出している。端子24は、回路基板4に形成される後述の端子穴4dに挿通される被挿通部24aを備えている。被挿通部24aは、端子24の下側部分を構成している。端子25は、回路基板4に形成される後述の端子穴4eに挿通される被挿通部25aを備えている。被挿通部25aは、端子25の下側部分を構成している。被挿通部24a、25aは、下側に向かって伸びる直線状に形成されている。
【0028】
上述のように、ハウジング7は樹脂で形成されている。ハウジング7は、ステータ6の一部分を覆うようにステータ6と一体で形成されている。本形態では、インサート成形によって、ハウジング7がステータ6と一体で成形されている。ハウジング7は、駆動用コイル21、ステータコア22およびインシュレータ23を完全に覆っている。また、ハウジング7は、端子24、25の上端部を覆っている。ハウジング7は、ステータコア22の突極部の先端面と駆動用磁石14の外周面の間に配置される円筒状の円筒部7aと、円筒部7aの下端を塞ぐ底部7bとを備えている。
【0029】
ハウジング7の下端部には、上側に向かって窪む凹部7cが形成されている。凹部7cは、底部7bの下側に配置されている。また、凹部7cは、駆動用コイル21、ステータコア22およびインシュレータ23の下側に配置されている。回路基板4は、凹部7cの下端部に配置されている。ハウジング7は、ステータ6および回路基板4の配置箇所にポンプ室11の中の流体が流入するのを防止する機能を果たしている。カバー9は、凹部7cに配置される回路基板4を下側から覆うようにハウジング7の下端に固定されている。
【0030】
回路基板4は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。回路基板4は、回路基板4の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、回路基板4は、ポンプ室11の外側に配置されている。回路基板4は、固定用ネジ27によってハウジング7に固定されている。本形態では、2個の固定用ネジ27によって回路基板4がハウジング7に固定されている。回路基板4には、端子24、25が電気的に接続されている。
【0031】
また、回路基板4には、インターフェース用の複数の端子28が電気的に接続されている。本形態では、4個の端子28が回路基板4に接続されている。端子28は、ハウジング7に固定されている。端子28の一端部は、下側に向かって突出し、端子28の他端部は、ハウジング7の外周側に向かって突出している。下側に向かって突出する端子28の一端部は、回路基板4に形成される後述の端子穴4fに挿通される被挿通部28aとなっている。被挿通部28aは、下側に向かって伸びる直線状に形成されている。ハウジング7の外周側に向かって突出する端子28の他端部は、ハウジング7に形成されるコネクタ部7jの中に配置されている。
【0032】
本形態のハウジング7は、回路基板4が固定される基板固定部材となっている。また、本形態では、回路基板4、ハウジング7および2個の固定用ネジ27等によって、回路基板の固定構造30が構成されており、回路基板の固定構造30は、回路基板4と、回路基板4が固定されるハウジング7と、回路基板4をハウジング7に固定するための固定用ネジ27とを備えている。以下、回路基板の固定構造30の具体的な構成について説明する。
【0033】
(回路基板の固定構造の構成)
図3は、
図2に示す固定用ネジ27を取り外した状態の回路基板4およびハウジング7等の底面図である。
図4は、
図2に示す回路基板4の底面図である。
図5は、
図2に示す回路基板4および固定用ネジ27を取り外した状態のハウジング7等の斜視図である。
図6(A)は、
図3のE部の拡大図であり、
図6(B)は、
図3のF部の拡大図であり、
図6(C)は、
図3のG部の拡大図であり、
図6(D)は、
図3のH部の拡大図であり、
図6(E)は、
図3のJ部の拡大図である。
【0034】
上述のように、回路基板4の厚さ方向は、上下方向と一致している。回路基板4は、略円板状に形成されている。上下方向から見たときに、回路基板4の中心C1は、固定軸17の軸心上に配置されている。本形態では、固定軸17の軸心上に中心が配置される円板の外周側の一部を直線状に切り欠くことで回路基板4の外形が形成されており、回路基板4の外周面は、中心C1を中心とする円弧状に形成される円弧部4aと、直線状に形成される直線部4bとによって構成されている。円弧部4aの中心角は、たとえば、300°程度となっている。
【0035】
中心C1を中心とする回路基板4の径方向は、固定軸17の軸心を中心とするロータ5の径方向と一致しており、中心C1を中心とする回路基板4の円周方向は、固定軸17の軸心を中心とするロータ5の円周方向と一致している。以下の説明では、回路基板4の径方向を「径方向」とし、回路基板4の円周方向を「円周方向」とする。また、以下の説明では、上下方向に直交する所定の方向を「前後方向」とし、前後方向の一方側である
図3等のX1方向側を「前」側とし、前側の反対側となる
図3等のX2方向側を「後ろ」側とする。また、上下方向と前後方向とに直交する
図3等のY方向を「左右方向」とする。直線部4bは、左右方向と平行になっている。
【0036】
回路基板4には、回路基板4の外周面から回路基板4の内側に向かって窪むU形状の切欠き4cが形成されている。本形態では、2個の切欠き4cが回路基板4に形成されている。切欠き4cは、回路基板4の外周端で開口している。また、回路基板4には、端子24の被挿通部24aが挿通される4個の端子穴4dと、端子25の被挿通部25aが挿通される1個の端子穴4eと、端子28の被挿通部28aが挿通される4個の端子穴4fとが形成されている。端子穴4d~4fは、回路基板4の厚さ方向(上下方向)で回路基板4を貫通する丸穴である。本形態では、回路基板4の外形は、エンドミルを用いたルータ加工によって形成され、端子穴4d~4fは、ドリルを用いた穴あけ加工によって形成されている。
【0037】
切欠き4cは、円弧部4aから径方向の内側に向かって切り欠かれている。切欠き4cは、上下方向で回路基板4を貫通している。切欠き4cの側面の、径方向の内側部分は、半円弧状の曲面4gとなっている。U形状に形成される切欠き4cの幅方向は、径方向に直交している。本形態では、2個の切欠き4cのうちの一方の切欠き4cの幅W1は、他方の切欠き4cの幅W2よりも狭くなっている(
図4参照)。
【0038】
切欠き4cの幅W1は、固定用ネジ27の軸部の外径よりも若干広くなっている。また、切欠き4cの幅W2は、固定用ネジ27の頭部27aの外径よりも狭くなっている。上下方向から見たときに、切欠き4cの幅方向において切欠き4cの中心を通る仮想線VL上に中心C1が配置されている(
図4参照)。2本の仮想線VLがなす角度θ(
図4参照)は、たとえば、160°程度となっている。2個の切欠き4cは、中心C1よりも後ろ側に配置されている。また、2個の切欠き4cは、左右対称に配置されている。
【0039】
4個の端子穴4dは、回路基板4の前端側に形成されている。また、4個の端子穴4dは、回路基板4の外周側部分に形成されている。4個の端子穴4dは、円周方向において所定の間隔をあけた状態で円周方向に配列されている。端子穴4eおよび4個の端子穴4fは、回路基板4の後端側に形成されている。端子穴4eおよび4個の端子穴4fは、左右方向において所定の間隔をあけた状態で左右方向に配列されている。端子穴4dに挿通される被挿通部24aは、半田付けされて端子穴4dに固定されている。端子穴4eに挿通される被挿通部25aは、半田付けされて端子穴4eに固定され、端子穴4fに挿通される被挿通部28aは、半田付けされて端子穴4fに固定されている。
【0040】
ハウジング7には、凹部7cの上面から下側に向かって突出する2個の突起部7dが形成されている。すなわち、ハウジング7には、回路基板4の厚さ方向(上下方向)に突出する突起部7dが形成されている。突起部7dは、円筒状に形成されている。突起部7dの外径は、切欠き4cの幅W1、W2よりも大きくなっている。2個の突起部7dは、円周方向において切欠き4cと同じ位置に配置されている。円筒状に形成される突起部7dの軸心は、設計上、切欠き4cの曲面4gの曲率中心と径方向において同じ位置に配置されている。
【0041】
突起部7dの下面は、回路基板4の上面が接触する基板接触面7eとなっている。すなわち、突起部7dには、回路基板4の一方の面が接触する基板接触面7eが形成されている。基板接触面7eは、上下方向に直交する円環状の平面となっている。突起部7dの内周側は、固定用ネジ27の軸部が係合するネジ穴7fとなっている。すなわち、突起部7dには、ネジ穴7fが形成されている。ネジ穴7fは、基板接触面7eから上側に向かって窪んでいる。ネジ穴7fの中心は、突起部7dの軸心と一致している。ネジ穴7fの中心は、設計上、円周方向および径方向において切欠き4cの曲面4gの曲率中心と同じ位置に配置されている。
【0042】
また、突起部7dには、回路基板4の切欠き4cに係合してハウジング7に対して回路基板4を位置決めするための位置決め用凸部7gが形成されている。位置決め用凸部7gは、基板接触面7eから下側に向かって突出している。位置決め用凸部7gは、略直方体状に形成されている。位置決め用凸部7gの高さは、回路基板4の厚さよりも若干低くなっている。位置決め用凸部7gは、径方向における基板接触面7eの外側部分に形成されており、ネジ穴7fよりも径方向の外側(外周側)に配置されている。すなわち、位置決め用凸部7gは、ネジ穴7fよりも切欠き4の開口側に配置されている。
【0043】
位置決め用凸部7gは、径方向においてネジ穴7fに隣接している。位置決め用凸部7gの、径方向の内側の側面(すなわち、ネジ穴7f側の側面)7hは、上下方向から見たときの形状がネジ穴7fの中心を曲率中心とする円弧状となる曲面状に形成されている(
図6(A)、(B)参照)。切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの両側面は、切欠き4cの幅方向に直交する平面となっている。位置決め用凸部7gは、切欠き4cの中に配置されている。切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの幅W3(
図6(A)、(B)参照)は、切欠き4cの幅W1よりも若干狭くなっている。
【0044】
本形態では、切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの側面と切欠き4cの側面とによって、円周方向においてハウジング7に対して回路基板4が位置決めされている。また、本形態では、
図4に示すように、2個の切欠き4cが左右対称に配置されるとともに、2本の仮想線VLがなす角度θが160°程度となっているため、切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの側面と切欠き4cの側面とによって、前後方向においてハウジング7に対して回路基板4が位置決めされている。
【0045】
切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの幅W3と切欠き4cの幅W2との差は、円周方向における被挿通部24aの幅W4(
図6(C)参照)と端子穴4dの幅W5(
図6(C)参照)との差よりも小さくなっている。すなわち、切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの幅W3と切欠き4cの幅W1との差は、円周方向における被挿通部24aの幅W4と端子穴4dの幅W5との差よりも小さくなっている。
【0046】
また、切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの幅W3と切欠き4cの幅W2との差は、円周方向における被挿通部25aの幅W6(
図6(D)参照)と端子穴4eの幅W7(
図6(D)参照)との差、および、円周方向における被挿通部28aの幅W8(
図6(E)参照)と端子穴4fの幅W9(
図6(E)参照)との差よりも小さくなっている。すなわち、切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの幅W3と切欠き4cの幅W1との差は、円周方向における被挿通部25aの幅W6と端子穴4eの幅W7との差、および、円周方向における被挿通部28aの幅W8と端子穴4fの幅W9との差よりも小さくなっている。
【0047】
回路基板4は、回路基板4の上面が基板接触面7eに接触した状態で、かつ、切欠き4cと位置決め用凸部7gによって位置決めされた状態で、ネジ穴7fに締め込まれる固定用ネジ27によって固定されている。固定用ネジ27の軸部の一部分は、切欠き4cの中に配置されている。固定用ネジ27の頭部27aは、回路基板4の下面に接触している。本形態の固定用ネジ27は、セルフタッピングネジであり、固定用ネジ27の軸部がネジ穴7fに締め込まれるときに、ネジ穴7fの内周面にメネジが形成される。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ハウジング7の突起部7dに、固定用ネジ27の軸部が係合するネジ穴7fと、回路基板4の切欠き4cに係合する位置決め用凸部7gとが形成されており、ネジ穴7fと位置決め用凸部7gとが径方向において隣接している。そのため、本形態では、ネジ穴7fと位置決め用凸部7gとの相対位置がばらついても、ネジ穴7fの位置と位置決め用凸部7gの位置とのずれ量を小さくすることが可能になる。したがって、本形態では、位置決め用凸部7gと切欠き4cとによって位置決めされた回路基板4の切欠き4cの位置とネジ穴7fの位置とのずれ量を小さくすることが可能になる。
【0049】
その結果、本形態では、切欠き4cと位置決め用凸部7gとの間の隙間を狭くしても、また、ネジ穴7fと位置決め用凸部7gとの相対位置がばらついても、切欠き4cの中に軸部の一部分が配置される固定用ネジ27をネジ穴7fに適切に締め込むことが可能になる。すなわち、本形態では、切欠き4cと位置決め用凸部7gとの間の隙間を狭くして、ハウジング7に対して回路基板4を適切に位置決めすることが可能になるとともに、ハウジング7の寸法がばらついても、切欠き4cの中に軸部の一部分が配置される固定用ネジ27をネジ穴7fに適切に締め込むことが可能になる。
【0050】
本形態では、位置決め用凸部7gがネジ穴7fよりも切欠き4cの開口側に配置されている。そのため、本形態では、ネジ穴7fが位置決め用凸部7gよりも切欠き4cの開口側に配置されている場合と比較して、回路基板4の下面に接触する固定用ネジ27の頭部27aと回路基板4との接触面積を広くすることが可能になる。特に本形態では、ネジ穴7fの中心が、設計上、円周方向および径方向において切欠き4cの曲面4gの曲率中心と同じ位置に配置されているため、固定用ネジ27の頭部27aと回路基板4との接触面積をより広くすることが可能になる。
【0051】
したがって、本形態では、固定用ネジ27によってハウジング7に回路基板4を適切に固定することが可能になる。また、本形態では、固定用ネジ27の頭部27aと回路基板4との接触面積を広くすることが可能になるため、固定用ネジ27によってハウジング7に回路基板4を適切に固定することが可能であっても、固定用ネジ27の頭部27aと回路基板4との接触圧が必要以上に高くなるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、固定用ネジ27を締め込んだときの回路基板4の割れを防止することが可能になる。
【0052】
本形態では、回路基板4の外形は、ルータ加工によって形成されている。そのため、本形態では、回路基板4の外形がプレス加工によって形成される場合と比較して、回路基板4の端面を滑らかに形成することが可能になり、その結果、回路基板4の品質を高めることが可能になる。また、本形態では、回路基板4の外形がプレス加工によって形成される場合と比較して、回路基板4の外形を精度良く形成することが可能になる。なお、本形態では、回路基板4の外周面から回路基板4の内側に向かって窪む切欠き4cがU形状に形成されているため、ルータ加工によって回路基板4の外形を形成する場合であっても、回路基板4に切欠き4cを容易に形成することが可能になる。
【0053】
本形態では、切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの幅W3と切欠き4cの幅W1、W2との差は、円周方向における被挿通部24aの幅W4と端子穴4dの幅W5との差よりも小さくなっている。そのため、本形態では、被挿通部24aが端子穴4dの側面に接触するのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、端子穴4dに半田付けされて固定される被挿通部24aの半田付け部分の品質を確保することが可能になる。
【0054】
また、本形態では、切欠き4cの幅方向における位置決め用凸部7gの幅W3と切欠き4cの幅W1、W2との差が、円周方向における被挿通部25aの幅W6と端子穴4eの幅W7との差、および、円周方向における被挿通部28aの幅W8と端子穴4fの幅W9との差よりも小さくなっているため、被挿通部25aが端子穴4eの側面に接触するのを防止することが可能になるとともに、被挿通部28aが端子穴4fの側面に接触するのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、端子穴4eに半田付けされて固定される被挿通部25aの半田付け部分の品質、端子穴4fに半田付けされて固定される被挿通部28aの半田付け部分の品質を確保することが可能になる。
【0055】
本形態では、位置決め用凸部7gのネジ穴7f側の側面7hは、上下方向から見たときの形状がネジ穴7fの中心を曲率中心とする円弧状となる曲面状に形成されている。そのため、本形態では、位置決め用凸部7gの側面7hを利用して、ネジ穴7fに締め込まれる固定用ネジ27の軸部をネジ穴7fに案内しやすくなる。したがって、本形態では、固定用ネジ27の締め込み作業を容易に行うことが可能になる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、回路基板4に形成される切欠き4cの数、および、ハウジング7に形成される突起部7dの数は、3個以上であっても良い。すなわち、回路基板4は、切欠き4cと位置決め用凸部7gとによって3箇所以上でハウジング7に対して位置決めされた状態で、3個以上の固定用ネジ27によってハウジング7に固定されていても良い。また、ハウジング7に対して回路基板4を適切に位置決めして固定することが可能であれば、回路基板4の切欠き4cの数およびハウジング7の突起部7dの数は1個であっても良い。
【0058】
上述した形態において、切欠き4cの幅方向は、径方向に直交していなくても良い。この場合には、上下方向から見たときに、中心C1は、仮想線VL上に配置されていない。また、上述した形態において、ネジ穴7fの中心は、設計上、径方向において切欠き4cの曲面4gの曲率中心からずれた位置に配置されていても良い。また、上述した形態において、突起部7dは、円筒状以外の形状に形成されていても良い。たとえば、突起部7dは、四角筒状に形成されていても良い。
【0059】
上述した形態において、位置決め用凸部7gの側面7hは、曲面状に形成されていなくても良い。たとえば、側面7hは、平面状に形成されていても良い。また、本発明が適用される回路基板の固定構造30は、ポンプ装置1以外の装置で使用されても良い。この場合には、回路基板4が固定される基板固定部材は、樹脂以外の材料で形成されていても良い。たとえば、基板固定部材は、金属で形成されていても良い。
【0060】
(本技術の構成)
なお、本技術は以下のような構成を取ることが可能である。
(1)平板状のリジッド基板である回路基板と、前記回路基板が固定される基板固定部材と、前記回路基板を前記基板固定部材に固定するための固定用ネジとを備え、
前記回路基板には、前記回路基板の外周面から前記回路基板の内側に向かって窪むU形状の切欠きが形成され、
前記基板固定部材には、前記回路基板の厚さ方向に突出する突起部が形成され、
前記突起部には、前記回路基板の一方の面が接触する平面状の基板接触面と、前記固定用ネジの軸部が係合するネジ穴と、前記切欠きに係合して前記基板固定部材に対して前記回路基板を位置決めするための位置決め用凸部とが形成され、
前記ネジ穴は、前記基板接触面から窪み、
前記位置決め用凸部は、前記基板接触面から突出し、
前記固定用ネジの前記軸部の一部分は、前記切欠きの中に配置され、
前記固定用ネジの頭部は、前記回路基板の他方の面に接触し、
前記位置決め用凸部は、前記ネジ穴よりも前記切欠きの開口側に配置されていることを特徴とする回路基板の固定構造。
(2)前記回路基板には、端子の被挿通部が挿通される端子穴が形成され、
U形状に形成される前記切欠きの幅方向における前記位置決め用凸部の側面と前記切欠きの側面とによって、前記回路基板の中心を中心とする円周方向において前記基板固定部材に対して前記回路基板が位置決めされ、
前記切欠きの幅方向における前記位置決め用凸部の幅と前記切欠きの幅との差が前記円周方向における前記被挿通部の幅と前記端子穴の幅との差よりも小さくなっていることを特徴とする(1)記載の回路基板の固定構造。
(3)前記位置決め用凸部の、前記ネジ穴側の側面は、前記回路基板の厚さ方向から見たときの形状が前記ネジ穴の中心を曲率中心とする円弧状となる曲面状に形成されていることを特徴とする(1)または(2)記載の回路基板の固定構造。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の回路基板の固定構造と、羽根車と、前記羽根車が取り付けられるとともに駆動用磁石を有するロータと、筒状に形成され前記ロータの外周側に配置されるとともに駆動用コイルを有するステータと、前記羽根車および前記ロータが配置され流体が通過するポンプ室とを備え、
前記ステータは、前記駆動用コイルの端部が電気的に接続される端子を備え、
前記基板固定部材は、樹脂で形成されるとともに前記ステータの一部分を覆うように前記ステータと一体で形成され、
前記回路基板は、前記ポンプ室の外側に配置され、
前記回路基板には、前記端子が電気的に接続されていることを特徴とするポンプ装置。
【符号の説明】
【0061】
1 ポンプ装置
2 羽根車
4 回路基板
4c 切欠き
4d~4f 端子穴
5 ロータ
6 ステータ
7 ハウジング(基板固定部材)
7d 突起部
7e 基板接触面
7f ネジ穴
7g 位置決め用凸部
7h 位置決め用凸部のネジ穴側の側面
11 ポンプ室
14 駆動用磁石
21 駆動用コイル
24、25、28 端子
24a、25a、28a 被挿通部
27 固定用ネジ
27a 頭部
30 回路基板の固定構造
W1、W2 切欠きの幅
W3 切欠きの幅方向における位置決め用凸部の幅
W4、W6、W8 円周方向における被挿通部の幅
W5、W7、W9 円周方向における端子穴の幅