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特開2024-113732電動アシスト車のためのモータ制御装置及び電動アシスト車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113732
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電動アシスト車のためのモータ制御装置及び電動アシスト車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20240816BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018869
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103528
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 一男
(72)【発明者】
【氏名】村上 修
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼岡 太一
(72)【発明者】
【氏名】白川 弘和
(72)【発明者】
【氏名】保坂 康夫
(57)【要約】
【課題】電動アシスト車において、安全にユーザの運動を促進するモードに移行できるようにする。
【解決手段】本モータ制御装置は、(A)モータに力行駆動と回生制動とのいずれかを実行させる駆動部と、(B)モータが搭載される電動アシスト車が停車中であり且つブレーキがオンとなっている状態において、表示機に設けられた所定のボタンへの所定の操作を検出すると、ペダル回転による入力トルク検出中にモータに回生制動を強制的に実行させる第1のモードで駆動部を制御する制御部とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに力行駆動と回生制動とのいずれかを実行させる駆動部と、
前記モータが搭載される電動アシスト車が停車中であり且つブレーキがオンとなっている状態において、表示機に設けられた所定のボタンへの所定の操作を検出すると、ペダル回転による入力トルク検出中に前記モータに回生制動を強制的に実行させる第1のモードで前記駆動部を制御する制御部と、
を有するモータ制御装置。
【請求項2】
前記表示機は、ライトの点灯と消灯とを指示するための第1のボタンを備えており、
前記所定のボタンへの所定操作が、前記第1のボタンの、所定時間以上の押下である
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記モータに力行駆動を実行させる第2のモードにおける前記力行駆動による複数の補助度合いの各々に対して、前記第1のモードにおける前記回生制動による負荷度合いが予め対応付けられており、
前記制御部は、
前記第1のモードにおいて、直前の前記第2のモードにおける補助度合いを特定し、当該補助度合いに対応付けられている負荷度合いで、前記駆動部を制御する
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記表示機は、ライトの点灯と消灯とを指示するための第1のボタンを備えており、
前記制御部は、前記第1のモードにおいて、
前記第1のボタンの、所定時間以上の押下を検出した場合には、前記ライトの点灯又は消灯を行い、
前記第1のボタンの、前記所定時間未満の押下を検出した場合には、前記第1のモードにおける前記回生制動による負荷度合いを変更する
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記表示機は、前記第1のモードで動作させることを指示するための第2のボタンを備えており、
前記所定のボタンへの所定操作が、前記第2のボタンの押下である
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記表示機は、前記モータに力行駆動を実行させる第2のモードにおける前記力行駆動による補助度合いを上げるための第3のボタンと、前記補助度合いを下げるための第4のボタンとを備えており、
前記制御部は、前記第1のモードにおいて、
前記第3のボタンの押下を検出した場合には、前記第1のモードにおける前記回生制動による負荷度合いを上げ、
前記第4のボタンの押下を検出した場合には、前記負荷度合いを上げる
ように制御する
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1のモードにおける熱量又は前記熱量に関連する量を計算し、
計算された前記熱量又は前記熱量に関連する量が、予め定められた閾値以上となった場合には、前記第1のモードを終了する
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1のモードに移行した後に、前記状態において前記所定のボタンへの所定の操作を検出すると、前記第1のモードを終了させる
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項9】
請求項1記載のモータ制御装置を備える電動アシスト車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト車を用いてユーザの運動を促進するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車には、回生制動によって発生する回生電力をバッテリに充電可能なものがある。この回生制動を利用して、ユーザの運動効果を高めるアイデアが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、モータ付き自転車の例えば操作パネルなどのボタンで、トルク入力中でも意図的に回生を行うようなモードであるシェイプアップモードを指示可能であることが開示されている。但し、シェイプアップモード移行時の条件については詳細には開示されていない。なお、本特許文献1は、シェイプアップモードでは、無条件に回生を有効にするということを示している。
【0004】
また、例えば特許文献2には、様々な負荷状態に自在に制御してフィットネスマシンとして利用することができる電動アシスト自転車を開示している。具体的には、表示コントローラは、ユーザによって選択された負荷レベルの情報をビークルコントローラに通信で伝え、ビークルコントローラは表示コントローラから受け取った負荷レベルの情報に応じて、自動変速ユニットによってギアポジションを切り替え、モータユニットへの目標回生電流量に負荷レベルに応じた比をかけて通信で送る。モータユニットは、ビークルコントローラから受け取った目標回生量を目標値に電流フィードバック制御で、バッテリへの回生電流量を制御する。このようにして、変速ギア比と回生ブレーキを制御することにより、踏力トルクに負荷を与え、ユーザの選択に応じたフィットネス走行を行うものである。なお、所望の負荷レベルを所望の距離又は時間に対応付けてコースを定義しておき、そのとおりの負荷条件でフィットネス体験を行わせることも開示されている。しかしながら、フィットネス機能を有効化させる際の条件については詳細には開示されていない。
【0005】
このように従来技術では、操作パネルや表示コントローラのボタン操作で、シェイプアップモードに移行したり、フィットネス機能を有効化させるだけであり、誤ってボタン操作を行ってしまうと、ペダルを漕いで走行していても急に回生制動が開始してしまい、意図しない速度低下が発生するといった安全性の問題が発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-166125号公報
【特許文献2】特開2004-331004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、一側面によれば、電動アシスト車において、ユーザの運動を促進するモードに安全に移行できるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るモータ制御装置は、(A)モータに力行駆動と回生制動とのいずれかを実行させる駆動部と、(B)モータが搭載される電動アシスト車が停車中であり且つブレーキがオンとなっている状態において、表示機に設けられた所定のボタンへの所定の操作を検出すると、ペダル回転による入力トルク検出中にモータに回生制動を強制的に実行させる第1のモードで駆動部を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、電動アシスト車において、ユーザの運動を促進するモードに安全に移行できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態における電動アシスト自転車の外観を示す図である。
図2図2は、モータ制御装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施の形態における制御部に関連する機能構成を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態に係る表示機の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態における電動アシスト自転車の状態遷移の概要を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
図7図7は、第2の実施の形態に係る表示機の一例を示す図である。
図8図8は、第3の実施の形態における負荷レベルについて説明するための図である。
図9図9は、第3の実施の形態に係る表示機の一例を示す図である。
図10図10は、第3の実施の形態の変形例2における負荷について説明するための図である。
図11図11は、第3の実施の形態の変形例2における処理フローを示す図である。
図12図12は、第3の実施の形態の変形例3における設定の一例を示す図である。
図13図13は、第4の実施の形態における処理フローを示す図である。
図14図14は、第5の実施の形態に係る表示機の一例を示す図である。
図15図15は、第5の実施の形態に係る表示機の他の例を示す図である。
図16図16は、第5の実施の形態の変形例における処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の一例を示す外観図である。この電動アシスト自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、バッテリパック101と、モータ制御装置102と、トルクセンサ103と、クランク回転センサ104と、モータ105と、表示機106と、ブレーキセンサ107とを有する。
【0012】
また、電動アシスト自転車1は、前輪、後輪、前照灯、フリーホイール、変速機等も有している。
【0013】
バッテリパック101は、例えばリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであってもよい。そして、バッテリパック101は、モータ制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。
【0014】
トルクセンサ103は、クランク軸周辺に設けられており、ユーザによるペダルの踏力(即ち入力トルク)を検出し、この検出結果をモータ制御装置102に出力する。また、クランク回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸周辺に設けられており、クランクの回転に応じた信号をモータ制御装置102に出力する。
【0015】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ制御装置102に出力する。
【0016】
モータ制御装置102は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びクランク回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
【0017】
ブレーキセンサ107は、ユーザのブレーキ操作を検出して、ブレーキ操作に関するブレーキ信号(例えば、ブレーキの有無を表す信号)をモータ制御装置102に出力する。具体的には、磁石とリードスイッチを用いたセンサである。
【0018】
本実施の形態に係るモータ制御装置102に関連する構成を図2に示す。モータ制御装置102は、制御器1020と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジ1030とを有する。FETブリッジ1030は、モータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Suh)及びローサイドFET(Sul)と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Svh)及びローサイドFET(Svl)と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Swh)及びローサイドFET(Swl)とを含む。このFETブリッジ1030は、モータ105に対するインバータであり、コンプリメンタリ型スイッチングアンプの一部を構成している。
【0019】
また、制御器1020は、演算部1021と、クランク回転入力部1022と、モータ回転入力部1024と、可変遅延回路1025と、モータ駆動タイミング生成部1026と、トルク入力部1027と、ブレーキ入力部1028と、AD(Analog-Digital)入力部1029とを有する。
【0020】
演算部1021は、表示機106からの入力(例えば電源のオン/オフなど)、クランク回転入力部1022からの入力、モータ回転入力部1024からの入力、トルク入力部1027からの入力、ブレーキ入力部1028からの入力、AD入力部1029からの入力を用いて所定の演算を行って、モータ駆動タイミング生成部1026及び可変遅延回路1025に対して出力を行う。なお、演算部1021は、メモリ10211を有しており、メモリ10211は、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する。さらに、演算部1021は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリ10211に記録されている場合もある。また、メモリ10211は、演算部1021とは別に設けられる場合もある。
【0021】
クランク回転入力部1022は、クランク回転センサ104からの、クランク回転位相角(回転方向を表す信号を含む場合もある)を、ディジタル化して演算部1021に出力する。モータ回転入力部1024は、モータ105が出力するホール信号からモータ105の回転(本実施の形態においては前輪の回転)に関する信号(例えば回転位相角、回転方向など)を、ディジタル化して演算部1021に出力する。トルク入力部1027は、トルクセンサ103からの踏力に相当する信号をディジタル化して演算部1021に出力する。ブレーキ入力部1028は、ブレーキセンサ107からのブレーキ有り又は無しを表す信号をディジタル化して演算部1021に出力する。AD入力部1029は、二次電池からの出力電圧をディジタル化して演算部1021に出力する。
【0022】
演算部1021は、演算結果として進角値を可変遅延回路1025に出力する。可変遅延回路1025は、演算部1021から受け取った進角値に基づきホール信号の位相を調整してモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。演算部1021は、演算結果として例えばPWM(Pulse Width Modulation)のデューティー比に相当するPWMコードをモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。モータ駆動タイミング生成部1026は、可変遅延回路1025からの調整後のホール信号と演算部1021からのPWMコードとに基づいて、FETブリッジ1030に含まれる各FETに対するスイッチング信号を生成して出力する。演算部1021の演算結果によって、モータ105は、力行駆動を行う場合もあれば、回生制動を行う場合もある。なお、モータ駆動の基本動作については、国際公開第2012/086459号パンフレット等に記載されており、本実施の形態の主要部ではないので、ここでは説明を省略する。
【0023】
次に、図3に、演算部1021において本実施の形態に関係する制御を行う制御部3000に関連する機能ブロック構成例を示す。制御部3000は、ユーザの運動を促進するモード(以下、フィットネスモードと呼ぶ。)の開始及び終了を判定するモード判定部3100と、回生制動の制御を行う回生制御部3200と、力行駆動の制御を行うアシスト制御部3300とを含む。フィットネスモードでは、トルクセンサ103がユーザのペダル操作に応じて入力トルクを検出している間であっても、回生制動を強制的に行うようにする。すなわち、一般的には回生制動を停止するような状態であっても、回生制動を行うようにする。ここでは、フィットネスモードになると、常に回生制動を行うようにするが、例えば、ペダル回転中に回生制動を強制的に行わせるように限定しても良い。また、入力トルクを検出している間は回生制動を強制的に行わせるように限定しても良い。
【0024】
本実施の形態では、安全性に着目して、モード判定部3100は、モータ回転入力部1024からのモータ回転入力に基づき電動アシスト自転車1が停止していることと、ブレーキ入力部1028からの入力がブレーキオンを表していることが確認されて、さらに表示機106における所定のボタンへの所定の操作(単に所定のボタン操作とも呼ぶ)を検出した場合に、フィットネスモードの開始指示と判定し、回生制御部3200に回生制動を強制的に行わせる。本実施の形態では、例えば電源オフとなるまで、フィットネスモードは継続される。回生制御部3200は、本実施の形態では、例えば、予め設定された負荷(例えば入力トルク。場合によっては制動力、回生電流、回生電力など)を生じさせるように制御するものとする。電動アシスト自転車1の停止は、例えば速度がゼロ(一般的には一定速度以下)であるという状態である。なお、モード判定部3100は、クランク回転入力部1022からのクランク回転入力で特定されるクランクの回転角度、トルク入力部1027からのトルク入力で特定される入力トルクを用いて処理を行う場合もある。
【0025】
本実施の形態に係る表示機106の一例を、図4に示す。表示機106は、操作パネルとも呼ばれ、通常ではライトの点灯と消灯とを切り替えるためのボタン1061と、電源をオン又はオフにするためのボタン1062と、液晶表示部1063と、アシストモードの状態を表示するためのLED(Light Emitting Diode)1064とを有する。通常では、ボタン1062は、電源オフの状態で押すと電源オンを指示することになり、電源オンの状態で押すとアシストモード(M)の切り替えの指示となり、電源オンの状態で一定時間以上押し続けると電源オフの指示となるボタンである。液晶表示部1063は、例えばバッテリパック101の充電レベルを表示したり、エラーが生じた場合にはエラー表示を行うものである。LED1064については、例えば、左から1つのLEDが点灯していれば、アシスト度合いが低いエコモード、左から2つLEDが点灯していれば、自動的にアシスト度合いが変化するオートモード、左から3つLEDが点灯していれば、アシスト度合いが強いパワーモードを表す。このように、表示機106は、ユーザの指示をモータ制御装置102に出力すると共に、モータ制御装置102から出力された情報を液晶表示部1063に出力するものである。
【0026】
本実施の形態においてフィットネスモードを開始する場合には、通常ではライトの点灯と消灯とを切り替えるためのボタン1061を所定時間以上押下げるものとする。所定時間以上の押し下げを、長押しとも呼ぶものとする。すなわち、所定のボタン操作は、ボタン1061の所定時間以上の押下である。但し、所定のボタン操作は、これに限定されるものでは無く、例えば、ボタン1061とボタン1062の同時押下であってもよい。
【0027】
アシスト制御部3300は、本実施の形態では特に特別な制御を行うものでは無いので、詳細な説明については省略するが、所定の条件を満たしている場合に、モータ105に力行駆動させる制御を行う。また、ボタン1062によりアシストモードの切り替え指示があれば、アシスト制御部3300は、指示に応じてアシストモードを切り替えて、設定されたアシストモードに応じたアシストを行うように制御を行う。なお、アシスト制御部3300は、設定したアシストモードについては保持しておき、次に電源がオンになった場合には、直前のアシストモードでアシストを開始する。アシスト制御部3300は、モード判定部3100に対して直前のアシストモードの情報を出力する場合もある。
【0028】
本実施の形態におけるフィットネスモードの開始条件を明確化するために、本実施の形態における電動アシスト自転車1の状態遷移の概要を図5に示す。初期状態は、電源がオフであるOFF状態st1であり、表示機106の電源ボタン1062が押されて走行を開始すると走行状態st5に遷移し、電源ボタン1062が押されて走行を開始しないと停止状態st2に遷移する。走行状態st5及び停止状態st2において、表示機106の電源ボタン1062が一定時間以上押されるとOFF状態st1に戻る。
【0029】
走行状態st5において、回生制動を実行する条件が満たされた場合には回生中状態st8に遷移し、アシストを実行する条件が満たされた場合にはアシスト中状態st6に遷移する。また、それぞれの条件が満たされると、アシスト中状態st6から走行状態st5に遷移したり、回生中状態st8から走行状態st5に遷移したり、アシスト中状態st6から回生中状態st8に遷移したり、回生中状態st8からアシスト中状態st6に遷移することもある。
【0030】
なお、走行状態st5において、表示機106における電源ボタン1062を押すことで、アシスト切替え状態st7に遷移して、アシストモードの切り替えを行い、その後元の状態に戻る。同様に、アシスト中状態st6でも、表示機106における電源ボタン1062を押すことで、アシスト切替え状態st7に遷移して、アシストモードの切り替えを行い、その後元の状態に戻る。なお、停止状態st2においても、表示機106における電源ボタン1062を押すことで、アシスト切替え状態st7に遷移して、アシストモードの切り替えを行い、その後元の状態に戻る。
【0031】
本実施の形態では、フィットネスモード状態st4が新たに導入されて、当該フィットネスモード状態st4へは、停止状態st2において、ブレーキ信号がオンになってブレーキON状態st3に遷移した後でなければ遷移できないようになっている。これによって、単に表示機106に設けられた何らかのボタンを押すといった単純な操作でフィットネスモードに移行する場合に比して、誤操作による移行を回避できる可能性が高まる。特に、停止しており且つブレーキをオンにしているということは、走行中よりも安全な状態であり、その中で所定のボタンの操作(例えばボタン1061の長押し)を行うというのは、ユーザの明確な意思によって、フィットネスモードに移行する指示がなされているので、回生制動が強制的に行われても、ユーザはそれに対処できる。よって、明確な指示に基づき、安全にフィットネスモードに移行できるようになる。
【0032】
なお、フィットネスモード状態st4において、ボタン1061を所定時間以上押下げると、OFF状態st1に遷移する。さらに、場合によっては、所定の条件を満たすことで、通常の走行状態st5に遷移することもあれば、停止状態st2に遷移することもある。また、フィットネスモード状態st4において、所定の操作が行われると例えば負荷レベルを変更して、フィットネスモード状態st4に戻る場合もある。なお、ブレーキON状態st3では、フィットネスモード状態st4に遷移しない場合には、OFF状態st1や停止状態st2に戻る場合もある。
【0033】
次に、図6を用いて、制御部3000の処理内容について説明する。
【0034】
モード判定部3100は、モータ回転入力に基づきモータが回転しておらず電動アシスト自転車1が停止中(すなわち速度がゼロ又は一定速度以下である)であるか否かを判断する(ステップS1)。電動アシスト自転車1が停止中でなければ、処理はステップS11に移行する。
【0035】
一方、電動アシスト自転車1が停止中であれば、モード判定部3100は、ブレーキ入力に基づき、ブレーキレバーが引かれてブレーキ信号がオン(ブレーキONとも呼ぶ)になっているか否かを判断する(ステップS3)。ブレーキ信号がオフであれば、処理はステップS11に移行する。
【0036】
一方、ブレーキ信号がオンであれば、モード判定部3100は、表示機106に対して所定のボタン操作が行われたか否かを判断する(ステップS5)。所定のボタン操作は、例えばボタン1061の所定時間以上の押し下げや、ボタン1061及び1062の同時押し下げである。所定のボタン操作が検出されない場合には、処理はステップS11に移行する。
【0037】
一方、所定のボタン操作が行われた場合には、モード判定部3100は、現在既にフィットネスモードに移行済みであるか否かを判断する(ステップS7)。現在既にフィットネスモードに移行済みである場合には、処理はステップS11に移行する。
【0038】
一方、現在フィットネスモードではない場合には、モード判定部3100は、フィットネスモードへの移行が指示されたと認識して、フィットネスモードを開始させ、回生制御部3200に対してフィットネスモードにおける回生制御を行うように指示する(ステップS9)。本実施の形態では、例えば一定の負荷レベルで回生制御を行うように指示する。そして、処理はステップS11に移行する。
【0039】
そして、モード判定部3100は、例えばボタン1062が長押しされるといった電源オフが指示されて処理を終了するか否かを判断し(ステップS11)、処理が終了しない場合には、処理はステップS1に戻る。一方、処理終了である場合には、モード判定部3100は、フィットネスモードを解除する(ステップS13)。そして処理は終了する。これによって、電源オフでフィットネスモードが解除され、次に電源がオンになると、通常の走行が可能となる。
【0040】
以上述べたように、本実施の形態によれば、安全な状態でのフィットネスモードへの移行が確保されるようになる。
【0041】
なお、上で述べたボタン1061やボタン1061及び1062ではなく、他の既存のボタンを活用するようにしても良い。
【0042】
[実施の形態2]
第1の実施の形態では、表示機106に備えられている既存のボタンを転用することで、フィットネスモードへの移行を指示できるようにする例を示した。但し、図6のステップS5における所定のボタン操作は、それだけに限定されるものでは無い。
【0043】
例えば、図7に示すように、本実施の形態に係る表示機106bには、フィットネスモードへの移行を指示するためのボタン1067をさらに設けるようにする。但し、このようなボタン1067を設けたとしても、単にこのボタン1067を押し下げるだけでは、フィットネスモードへ移行できず、第1の実施の形態と同様に、ステップS5においてボタン1067の押下がなされることで、フィットネスモードへ移行するものとする。
【0044】
このようにすることで、第1の実施の形態と同様に、安全な状態でのフィットネスモードへの移行が可能となる。
【0045】
なお、フィットネスモードへの移行を指示するためのボタン1067の配置は、図7に示したような配置だけではなく、より運転中に触れにくいような位置にしても良い。例えば、表示機106bが左ハンドルに装着される場合には、表示機106bの左側にボタン1067を配置せず、表示機106bの右側にボタン1067を配置するようにしても良い。
【0046】
[実施の形態3]
第1及び第2の実施の形態では、フィットネスモードへの移行に着目したが、フィットネスモードにおいてユーザに与えられる負荷については、予め設定された負荷を生じさせるようになっていた。しかしながら、ユーザによっては、予め設定されている負荷では、軽すぎる、又は重すぎると感じる場合があり、ユーザの意思によって調整できる方が好ましい。
【0047】
本実施の形態では、例えば、図8に示すように、負荷として予め複数のレベル(図8では5段階)を定義しておき、ユーザの指示に応じて、負荷レベルを変更するものとする。負荷の単位は、例えば入力トルク[Nm](=[J])であってもよいし、動力[W](=[J/s])であっても良い。
【0048】
ユーザの指示は、例えば、図9に示すような表示機106cにおけるアシストモードの切り替えボタン1065及び1066を用いるようにしても良い。図9の例では、電源をオン又はオフにするためのボタン1062cは、アシストモードの切り替えには用いられず、別途設けられた補助度合いを上げるためのボタン1065と、同様に別途設けられた補助度合いを下げるためのボタン1066とを、転用する。すなわち、ボタン1065を1回押すと、1レベル分負荷レベルを上げ、ボタン1066を1回押すと、1レベル分負荷レベルを下げるようにする。なお、既に上限レベルに達している場合にボタン1065を押しても負荷レベルは上がらないものとする。また、既に下限レベルに達している場合にボタン1066を押しても負荷レベルは下がらないものとする。なお、急な上り坂でフィットネスモードを継続困難という場合に、ボタン1066を押して一時的に負荷レベルをゼロ又は極小にするようなレベル定義を行っても良い。
【0049】
なお、図9に示すような表示機106cの場合、アシストモードの状態は、LED1064cによって表示するようになっており、表示機106cの液晶表示部1063cは、バッテリの充電率[%]、電動アシスト自転車1の走行距離[%]、現在速度[km/s]を表示できるようになっているが、表示内容についてはこれに限定されるものでは無い。負荷レベルなどを表示させるようにしても良い。
【0050】
[実施の形態3の変形例1]
上では、段階的に負荷レベルを変更する例を示したが、負荷レベルを定義しておかなくてもよい。例えば、図10に模式的に示すように、無段階で負荷を変更できるようにしても良い。例えば、表示機106cにおける、ボタン1065を押し続けると、その時間分だけ負荷が上昇し、ボタン1066を押し続けると、その時間分だけ負荷が減少するようにする。例えば、負荷が上限に達した場合には、それ以上ボタン1065を押し続けても、負荷は増加せず、負荷が下限に達した場合には、それ以上ボタン1066を押し続けても、負荷は減少しないものとする。
【0051】
[実施の形態3の変形例2]
上では、表示機106cを用いる例を示したが、図4の表示機106を用いるようにしても良い。例えば、フィットネスモードへ移行した後であれば、ライトの点灯と消灯を指示するためのボタン1061を押した場合には負荷レベルを上げ、電源のオンオフやアシストモード変更のためのボタン1062を押した場合には負荷レベルを下げるようにしても良い。
【0052】
但し、フィットネスモードであっても、ライトの点灯又は消灯を指示すべき場合がある。従って、ライトの点灯と消灯を指示するためのボタン1061を転用する場合には、負荷レベルの変更とライトの点灯又は消灯の切り分けを定義しておくことが好ましい。
【0053】
フィットネスモードでは、例えば、図11に示すような形で上記の切り分けを行うものとする。モード判定部3100は、まず、現在フィットネスモード中であるか否かを判断する(ステップS21)。現在フィットネスモードではない場合には、従来と同様の処理を行うので、ここでは説明を省略する。
【0054】
一方、現在フィットネスモード中である場合には、モード判定部3100は、ライトの点灯と消灯を指示するためのライトボタン(例えばボタン1061)の押下がなされたか否かを判断する(ステップS23)。ライトボタンの押下がなされていない場合には、処理はステップS31に移行して、モード判定部3100は、負荷レベルを下げるために割り当てられた所定ボタン(例えばボタン1062)の押下がなされたか否かを判断する(ステップS31)。所定ボタンの押下がなされていない場合には、別の処理が指示された場合であり、ここでは説明を省略する。一方、所定ボタンの押下がなされた場合には、モード判定部3100は、例えば負荷レベルを1段階下げる設定を行って、回生制御部3200に対して負荷レベルを1段階下げるように指示する(ステップS33)。そして今回の処理を終了する。
【0055】
一方、ライトボタンの押下がなされた場合には、モード判定部3100は、当該ライトボタンの所定時間以上の押下(すなわち長押し)がなされたか否かを判断する(ステップS25)。ここで、所定時間以上の押下であれば、本実施の形態では、モード判定部3100は、ライトの点灯又は消灯の指示と認識して、ライトの点灯又は消灯を指示する(ステップS29)。そして今回の処理を終了する。
【0056】
一方、ライトボタンの所定時間未満の押下であれば、本実施の形態では、モード判定部3100は、例えば負荷レベルを1段階上げる設定を行って、回生制御部3200に対して負荷レベルを1段階上げるように指示する(ステップS27)。そして、今回の処理を終了する。
【0057】
以上のような処理を行うことで、適切にユーザの指示を反映させて、ライトの点灯又は消灯と、負荷レベルの変更とを切り分けることができるようになる。
【0058】
なお、負荷レベルを下げるための所定ボタンについては、ボタン1062を用いる例を示したが、他のボタンを割り当てても良い。例えばアシストモードの変更を指示するための他のボタンがあればそれを用いても良い。
【0059】
[実施の形態3の変形例3]
上では、フィットネスモードの負荷をどのように変更するのかについて説明したが、フィットネスモードへ移行した直後にどのような負荷でフィットネスモードを開始するのかという問題がある。例えば、初期負荷については、予め定められた負荷に固定しておいても良いが、本変形例のように、アシストモードの設定に応じた負荷レベルを初期値として設定しても良い。
【0060】
例えば、図12に示すような定義をモード判定部3100は保持しておく。図12では、アシストモードが、「無し」「低」「中」「高」の4段階に分かれている例を示しており、アシストモード「無し」に「負荷無し」が対応付けられており、アシストモード「低」に「負荷小」が対応付けられており、アシストモード「中」に「負荷中」が対応付けられており、アシストモード「高」に「負荷大」が対応付けられている。
【0061】
すなわち、例えば図6の処理フローにおいて、ステップS9で、モード判定部3100は、フィットネスモードを開始させるが、この際に、アシスト制御部3300から、直前のアシストモードの設定を取得する。そして、モード判定部3100は、例えば図12に示すような定義に基づき、直前のアシストモードの設定に対応付けられている負荷レベルを特定し、当該負荷レベルを実現するように、回生制御部3200に指示する。
【0062】
このような態様は、例えば直前のアシストモードでアシストしてもらった分を、フィットネスモードに移行した後に運動するというような意識のユーザであれば、図12に示すような定義に従って負荷レベルを設定すれば、特段の負荷レベルの調整が不要となるので、利便性が向上することになる。
【0063】
なお、図12における定義は一例であって、負荷レベルの数や定義、対応付けは任意である。
【0064】
[実施の形態4]
上で述べた実施の形態では、フィットネスモードの終了については、電源オフなどで行われていたが、他の終了条件を採用するようにしても良い。
【0065】
例えば、フィットネスモードへの移行がなされてからの経過時間、走行距離、熱量を計測して、その値が閾値以上となった場合に、フィットネスモードを終了させるようにしても良い。
【0066】
例えば図6の処理フローは、例えば図13に示すような処理フローに変更される。図13については、変更点のみを説明する。
【0067】
図13においては、ステップS41乃至S45が、ステップS1乃至5でNoと判断された場合に実行されるようになっている。また、ステップS13が削除されている。
【0068】
具体的には、停止中ではなく、停止中でもブレーキがオンになっておらず、又は、停止中且つブレーキがオンであっても所定のボタン操作がなされていない場合には、モード判定部3100は、現在フィットネスモードであるか否かを判断する(ステップS41)。現在フィットネスモードでなければ、処理はステップS11に移行する。
【0069】
一方、現在フィットネスモードであれば、モード判定部3100は、所定の終了条件を満たしたか否かを判断する(ステップS43)。所定の終了条件を満たしていない場合には、処理はステップS11に移行する。一方、所定の終了条件を満たしている場合には、モード判定部3100は、フィットネスモードを終了させるように回生制御部3200に指示する(ステップS45)。これによって、回生制御部3200は、通常の条件にて回生制動を行うようになる。そして処理はステップS11に戻る。
【0070】
所定の終了条件が経過時間に基づくものであれば、フィットネスモードを開始してからの経過時間を計測しておき、当該経過時間が閾値以上となった場合には、フィットネスモードを終了させる。
【0071】
所定の終了条件が走行距離に基づくものであれば、例えばモータ回転入力によってモータの回転回数[回]を計数することで、回転回数×車輪の直径×2πにより走行距離が計算できるので、当該走行距離が閾値以上となった場合には、フィットネスモードを終了させる。
【0072】
所定の終了条件が発生させた熱量に基づくものであれば、例えば、バッテリに対して流れた電流及びその時の電圧を計測することでバッテリに充電された電力量[Wh]([J]又は[Cal]など)を算出し、当該電力量が閾値以上となった場合には、フィットネスモードを終了させるようにしても良い。
【0073】
所定の終了条件がユーザが行った仕事量という熱量に基づくものであれば、例えばトルクセンサ103から入力トルク[Nm]とクランク回転センサ104からクランク回転角度[rad]とを得て、入力トルク[Nm]×クランク回転角度[rad]を累積することにより累積の仕事量[J]又は仕事量を換算した消費カロリー[Cal]を算出し、当該仕事量[J]又は消費カロリー[Cal]が閾値以上となった場合には、フィットネスモードを終了させるようにしてもよい。なお、仕事量や消費カロリーの計算は、別の方法を用いても良い。
【0074】
このようにすれば、ユーザは例えば目標を任意に設定して、当該目標を達成するために運動を行うといった用い方をすることができるようになる。
【0075】
すなわち、目標単位及びその閾値を設定して、運動を行うようにしても良い。
【0076】
[実施の形態5]
フィットネスモードへ移行したことをユーザに通知することが好ましい。このため、例えば、図14に示すような表示機106dを用いるような場合には、ドットマトリクス式の液晶表示部1063dに、例えばフィットネスモード中であることを表す文字「S」(例えばSportsの頭文字)10639を表示させるようにしても良い。その他の文字「H」(Healthの頭文字)などであっても良い。また、図4に示すようなセブンセグメント式の液晶表示部1063であっても、Sに類似した数字5を表示させたり、5を点灯させることで、フィットネスモードであることを表示するようにしても良い。
【0077】
さらに、液晶表示部1063dを用いるのでは無く、図15に模式的に示すように、アシストモードの表示を行うためのLED1064dを点滅表示させることで、フィットネスモード中であることを表示するようにしても良い。例えば、負荷レベルが負荷大であれば3つのLEDを点滅させ、負荷レベルが負荷中であれば2つのLEDを点滅させ、負荷レベルが負荷小であれば1つのLEDを点滅させるといったような表示態様を採用しても良い。
【0078】
[実施の形態5の変形例]
第5の実施の形態における終了条件以外の終了条件を採用しても良い。例えば、フィットネスモードへ移行する際に行った操作と同じ操作を行った場合に、フィットネスモードを終了させるようにしても良い。
【0079】
この場合、例えば図6の処理フローは、図16に示すような処理フローに変形される。図16については、変更点のみを説明する。
【0080】
図16では、現在フィットネスモードであるか否かをステップS7で判定して、現在フィットネスモードでなければ、モード判定部3100は、フィットネスモードを開始させる(ステップS9)。そして、処理はステップS11に移行する。一方、図6では、現在のフィットネスモードであれば、処理はステップS11に移行していたが、図16では、現在フィットネスモードであれば、モード判定部3100は、フィットネスモードを終了するように、回生制御部3200に指示する(ステップS51)。そして、処理はステップS11に移行する。なお、ステップS13については削除されている。
【0081】
このようにすることで、同じ操作を行うことで、安全にフィットネスモードの開始及び終了を指示できるようになる。
【0082】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた各実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良いし、他の実施の形態で述べた任意の技術的特徴を追加するようにしても良い。さらに、いずれかの実施の形態における任意の技術的特徴を組み合わせるようにしても良い。
【0083】
さらに、上で述べた機能ブロック図は一例であって、1の機能ブロックを複数の機能ブロックに分けても良いし、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックに統合しても良い。処理フローについても、処理内容が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えたり、複数のステップを並列に実行するようにしても良い。
【0084】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0085】
本実施の形態に係るモータ制御装置は、(A)モータに力行駆動と回生制動とのいずれかを実行させる駆動部と、(B)モータが搭載される電動アシスト車(例えば電動アシスト自転車であり、人力を補助するモータを搭載した自転車)が停車中であり且つブレーキがオンとなっている状態において、表示機に設けられた所定のボタンへの所定の操作を検出すると、ペダル回転による入力トルク検出中にモータに回生制動を強制的に実行させる第1のモード(例えばフィットネスモード)で駆動部を制御する制御部とを有する。
【0086】
このような手順を踏むことにより、安全が確保された上でユーザの運動を促進するモードである第1のモードに移行できるようになる。なお、ペダル回転による入力トルク検出中だけではなく、ペダル回転がなされている間、又はペダル回転の有無に関係なく常時、第1のモードに移行するようにしても良い。
【0087】
なお、上で述べた表示機は、ライトの点灯と消灯とを指示するための第1のボタンを備えている場合もある。この場合、所定のボタンへの所定の操作が、第1のボタンの、所定時間以上の押下である場合もある。表示機のハードウエア的な変更を行わずに、ライトの点灯と消灯とを指示するための第1のボタンを転用するものである。
【0088】
また、モータに力行駆動を実行させる第2のモードにおける力行駆動による複数の補助度合い(例えば複数のアシストモード)の各々に対して、第1のモードにおける回生制動による負荷度合い(例えば負荷レベル)が予め対応付けられている場合もある。この場合、上で述べた制御部は、第1のモードにおいて、直前の第2のモードにおける補助度合いを特定し、当該補助度合いに対応付けられている負荷度合いで、駆動部を制御するようにしても良い。このようにすれば、ユーザは直前の補助度合いに対応する負荷度合いで運動をするようになる。
【0089】
さらに、上で述べた表示機は、ライトの点灯と消灯とを指示するための第1のボタンを備えている場合がある。この場合、上で述べた制御部は、第1のモードにおいて、第1のボタンの、所定時間以上の押下を検出した場合には、ライトの点灯又は消灯を行い、第1のボタンの、所定時間未満の押下を検出した場合には、第1のモードにおける回生制動による負荷度合いを変更するようにしても良い。ライトの点灯と消灯とを指示するためのボタンを転用する場合には、第1のモード中でもライト点灯などが求められるので、負荷度合いの変更と区別できるようにする。
【0090】
さらに、上で述べた表示機は、第1のモードで動作させることを指示するための第2のボタンを備えている場合もある。この場合、上記所定のボタンへの所定の操作は、第2のボタンの押下であっても良い。
【0091】
さらに、上で述べた表示機は、モータに力行駆動を実行させる第2のモードにおける力行駆動による補助度合いを上げるための第3のボタンと、補助度合いを下げるための第4のボタンとを備えている場合もある。この場合、上で述べた制御部は、第1のモードにおいて、第3のボタンの押下を検出した場合には、第1のモードにおける回生制動による負荷度合いを上げ、第4のボタンの押下を検出した場合には、負荷度合いを上げるように制御する場合もある。このようにすれば、補助度合いを変更するのと同様の操作にて、負荷度合いを任意に設定できるようになる。
【0092】
また、上で述べた制御部は、第1のモードにおける熱量又は熱量に関連する量を計算し、計算された熱量又は熱量に関連する量(例えば[J]、[Wh]、[Ws]、[Cal]など)が、予め定められた閾値以上となった場合には、第1のモードを終了するようにしても良い。例えば十分な充電がなされた場合や十分なカロリーが消費されたことをもって、運動を終了させるものである。
【0093】
さらに、上で述べた制御部は、第1のモードに移行した後に、上記状態において所定のボタンへの所定の操作を検出すると、第1のモードを終了させるようにしても良い。安全な状態で第1のモードを終了させることができる。
【0094】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。
【符号の説明】
【0095】
3000 制御部
3100 モード判定部
3200 回生制御部
3300 アシスト制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16