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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113736
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240816BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20240816BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240816BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
B65H5/38
H04N1/12 Z
H04N1/00 L
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018876
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】並木 政樹
(72)【発明者】
【氏名】濱田 裕平
【テーマコード(参考)】
2H012
3F101
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CC02
2H012CC04
2H012CC12
3F101FA01
3F101FB17
3F101FC05
3F101FD04
3F101FE06
3F101FE11
3F101LA05
3F101LB02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB24
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC09
5C062AC15
5C062AC22
5C062AC65
5C072AA01
5C072BA13
5C072DA25
5C072EA07
5C072NA01
5C072NA04
5C072UA13
5C072WA02
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】従来は、媒体3の厚みの違いに応じて搬送経路2を安定的に搬送できるようにすることにおいて改善の余地が残されている。
【解決手段】本媒体搬送装置9は、駆動源15と、媒体3が、第1経路面11と、第1経路面と離れて位置する第2経路面13との間を搬送方向Fに搬送される搬送経路2と、第1経路面11から突出し、搬送方向Fと交差する幅方向に並ぶ複数の突出部17と、第1経路面11と第2経路面13との間において、第1経路面11に対する突出部17の突出量を駆動源15の動力により増減させる移動部19とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
媒体が、第1経路面と、前記第1経路面と離れて位置する第2経路面との間を搬送方向に搬送される搬送経路と、
前記第1経路面から突出し、前記搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の突出部と、
前記第1経路面と前記第2経路面との間において、前記第1経路面に対する前記突出部の突出量を前記駆動源の動力が伝達されて増減させる移動部と、
を備える媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置であって、
前記突出部は、突出方向において少なくとも2つの位置で固定される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体搬送装置であって、
前記移動部は、前記突出部に当接可能な当接部を備え、
前記突出部は、前記搬送方向と交差する幅方向に複数設けられた突起部と、前記突起部を支持する支持部と、前記当接部に当接される被当接部と、を備え、
前記移動部の少なくとも一部は、前記搬送方向からみると、前記駆動源と重なっている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体搬送装置であって、
前記媒体を搬送する搬送ローラーを備え、
前記搬送ローラーの両端部より内側の領域には、少なくとも5つの突起部が配置される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項3に記載の媒体搬送装置であって、
前記媒体を搬送する搬送ローラーを備え、
前記突起部は、
前記搬送方向において、第1長さの第1突起部と、
前記第1長さよりも長い第2長さの第2突起部と、を備え、
前記第2突起部の一部は、前記搬送ローラーの回転軸方向からみると、前記搬送ローラーと重なっている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項3に記載の媒体搬送装置であって、
前記突起部は、前記第2経路面と対向する先端面の搬送方向において上流位置に前記媒体の先端を案内する傾斜面を備え、
前記突起部は、前記突出量を増やす方向に移動するほど前記傾斜面が多く露呈する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項3に記載の媒体搬送装置であって、
前記当接部は、第1当接部と第2当接部とを備え、
前記被当接部は、第1被当接部と第2被当接部とを備え、
前記第1当接部及び前記第1被当接部は、前記幅方向の基準位置を基準にして前記第2当接部及び前記第2被当接部の反対に設けられる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項2に記載の媒体搬送装置であって、
前記媒体を湾曲反転せずに搬送方向に搬送する第1経路と、
前記媒体を湾曲反転して搬送方向に搬送する第2経路と、
前記第1経路と前記第2経路とを切り替える切替部と、を備え、
前記突出部が、
第1媒体を搬送する位置にある場合は、前記切替部は前記第1媒体を前記第2経路に搬送可能とする位置を取り、
前記第1媒体よりも厚い第2媒体を搬送する位置にある場合は、前記切替部は前記第2媒体を前記第1経路に搬送可能とする位置を取る、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の媒体搬送装置であって、
前記駆動源の動力を前記切替部にも伝達する動力伝達部を備え、
前記駆動源が一方向に回転する場合、
前記突出部は前記第1媒体を搬送する位置に移動し、
前記切替部は前記第2経路に搬送可能に切り替わり、
前記駆動源が他方向に回転する場合、
前記突出部は前記第2媒体を搬送する位置に移動し、
前記切替部は前記第1経路に搬送可能に切り替わる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項10】
請求項9に記載の媒体搬送装置であって、
前記動力伝達部の前記切替部に動力を伝える位置に配置された切替用歯車と、
前記切替用歯車に設けられた押圧部と、
前記切替部に設けられた被押圧部と、を備え、
前記切替部は、
常時は、前記第1媒体を前記第2経路に搬送可能とする位置を取り、
前記第2媒体を搬送する場合に、前記動力が伝達されて前記切替用歯車が回転され、前記被押圧部が前記押圧部に押されて回転し、前記第2媒体を前記第1経路に搬送可能とする位置に切り替わる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項11】
請求項8に記載の媒体搬送装置であって、
重送される媒体から1枚の媒体を分離する分離部と、
前記搬送方向において、前記分離部と前記切替部の間に位置する媒体厚検知部と、を備え、
前記分離部で分離された媒体の厚みに関する情報を前記媒体厚検知部で検知し、
前記媒体厚検知部の検知結果が閾値以上なら、前記切替部を前記第1経路に搬送可能に切り替え、
前記媒体厚検知部の検知結果が閾値より小さいなら、前記切替部を前記第2経路に搬送可能に切り替える、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項12】
請求項11に記載の媒体搬送装置であって、
前記駆動源を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記媒体の種類として「自動」が選択された場合、前記媒体厚検知部の検知結果と搬送経路が対応しない場合は、前記媒体の搬送を停止し、前記搬送経路を切り替えてから搬送を再開する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の媒体排出装置と、
前記搬送方向において、前記突出部より下流に位置して搬送される媒体を読み取る読取部と、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像読取装であって、
重送される媒体から1枚の媒体を分離する分離部を備え、
前記媒体厚検知部は、前記搬送方向において、前記分離部と前記読取部との間に配置される、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
請求項13に記載の画像読取装置であって、
前記画像読取装置は、外部端末と接続可能であり、
前記媒体の種類に対応した複数の読取モードを制御可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の読取モードの中で前記突出部が前記媒体の種類に応じて位置した状態に対応した特定の読取モードを前記外部端末に通知し、前記特定の読み取りモードが前記外部端末の表示画面に表示される、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、図4から図6と、その対応する明細書の記載部分には、複数のリブが設けられた搬送経路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-195475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている装置は、媒体の厚みの違いに応じて搬送経路を安定的に搬送できるようにすることにおいて改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る媒体搬送装置は、駆動源と、媒体が、第1経路面と、前記第1経路面と離れて位置する第2経路面との間を搬送方向に搬送される搬送経路と、前記第1経路面から突出し、前記搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の突出部と、前記第1経路面と前記第2経路面との間において、前記第1経路面に対する前記突出部の突出量を前記駆動源の動力により増減させる移動部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る画像読取装置は、後述する第1の態様から第12の態様のいずれか一つの態様に記載の媒体搬送装置と、前記搬送方向において、前記突出部より下流に位置して搬送される媒体を読み取る読取部とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る画像読取装置の内部を側視した要部概略構成図。
図2】実施形態1の媒体搬送装置の要部を上下逆にした状態の斜視図。
図3】実施形態1の要部斜視図。
図4】実施形態1の要部を側視した構成図(上の図と下の図)。
図5】実施形態1の要部を側視した構成図(上の図と中の図と下の図)。
図6】実施形態2の要部斜視図。
図7】実施形態2の要部拡大斜視図(上の図と下の図)。
図8】実施形態2の要部を側視した構成図。
図9】実施形態2のフローチャート。
図10】実施形態2の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る媒体搬送装置は、駆動源と、媒体が、第1経路面と、前記第1経路面と離れて位置する第2経路面との間を搬送方向に搬送される搬送経路と、前記第1経路面から突出し、前記搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の突出部と、前記第1経路面と前記第2経路面との間において、前記第1経路面に対する前記突出部の突出量を前記駆動源の動力により増減させる移動部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記第1経路面から突出し、前記搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の突出部を備え、前記突出部は、前記第1経路面に対する突出量を増減させることが可能である。これにより、厚みの異なる媒体に対しても、その厚みに対応して前記突出量を調整することで、安定した搬送を実現することができる。
【0010】
本発明に係る媒体搬送装置の第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記突出部は、突出方向において少なくとも2つの位置で固定されることを特徴とする。言い換えると、前記突出部は、突出方向において第1位置と第2位置の2つの位置で弾性力の釣り合いではなく剛的に固定されるように構成されている。
【0011】
本態様によれば、前記突出方向において少なくとも2つの位置で固定される。言い換えると、前記突出部は、突出方向において第1位置と、第1の位置と異なる第2の位置の2つの位置をとり、弾性力の釣り合い状態ではなく、剛的に固定される。これにより、厚みの異なる媒体を安定的に搬送することができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様に従属する態様であって、前記移動部は、前記突出部に当接可能な当接部を備え、前記突出部は、前記搬送方向と交差する幅方向に複数設けられた突起部と、前記突起部を支持する支持部と、前記当接部に当接される被当接部とを備え、前記移動部の少なくとも一部は、搬送方向からみると、前記駆動源と重なっていることを特徴とする。尚、本態様は第2の態様にも従属させることもできる。
【0013】
本態様によれば、前記移動部は前記当接部を備え、前記突出部は、前記複数の突起部と、前記突起部を支持する前記支持部と、前記当接部に当接される前記被当接部とを備えている。これにより、構造簡単にして前記第1位置と第2位置とを取ることができる。また、前記移動部の少なくとも一部は、前記搬送方向からみると、前記駆動源と重なっているので、装置の高さ方向の大型化を抑制することができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る媒体搬送装置は、第3の態様に従属する態様であって、前記媒体を搬送する搬送ローラーを備え、前記搬送ローラーの両端部より内側の領域には、少なくとも5つの突起部が配置されることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記搬送ローラーの両端部より内側の前記領域には、少なくとも5つの突起部25が配置されている。これにより、帳票、プラスチックカード、名刺等と言った搬送可能な最小幅サイズの媒体も安定して搬送することができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る媒体搬送装置は、第3の態様に従属する態様であって、前記媒体を搬送する搬送ローラーを備え、前記突起部は、前記搬送方向において、第1長さの第1突起部と、前記第1長さよりも長い第2長さの第2突起部と、を備え、前記第2突起部の一部は、前記搬送ローラーの回転軸方向からみると、前記搬送ローラーと重なっていることを特徴とする。尚、本態様は第4の態様にも従属させることもできる。
【0017】
本態様によれば、前記突起部は、前記搬送方向において、第1長さの第1突起部と、前記第1長さよりも長い第2長さの第2突起部とを備え、前記第2突起部の一部は、前記搬送ローラーの回転軸方向からみると、前記搬送ローラーと重なっている。これにより、装置全体の搬送方向における大型化を抑制することができる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る媒体搬送装置は、第3の態様に従属する態様であって、前記突起部は、前記第2経路面と対向する先端面の搬送方向において上流位置に前記媒体の先端を案内する傾斜面を備え、前記突起部は、前記突出量を増やす方向に移動するほど前記傾斜面が多く露呈することを特徴とする。尚、本態様は第4の態様又は第5の態様にも従属させることもできる。
【0019】
本態様によれば、前記突起部は、前記第2経路面と対向する前記先端面の前記搬送方向において上流位置に媒体の先端を案内する前記傾斜面を備え、前記突起部は、前記突出量を増やす方向に移動するほど前記傾斜面が多く露呈する。これにより、厚さの異なる媒体に対してもその先端が前記傾斜面で同じように案内できるようになるので、媒体の搬送性を安定させることができる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る媒体搬送装置は、第3の態様に従属する態様であって、前記当接部は、第1当接部と第2当接部とを備え、前記被当接部は、第1被当接部と第2被当接部とを備え、前記第1当接部及び前記第1被当接部は、前記幅方向の基準位置を基準にして前記第2当接部及び前記第2被当接部の反対に設けられることを特徴とする。尚、本態様は第4の態様から第6の態様のいずれか一つの態様にも従属させることもできる。
【0021】
本態様によれば、前記第1当接部及び前記第1被当接部は、前記幅方向の基準位置を基準にして前記第2当接部及び前記第2被当接部の反対に配置されている。これにより、前記突出部の全体を安定的に移動させることができる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る媒体搬送装置は、第2の態様に従属する態様であって、前記媒体を湾曲反転せずに搬送方向に搬送する第1経路と、前記媒体を湾曲反転して搬送方向に搬送する第2経路と、前記第1経路と前記第2経路とを切り替える切替部と、を備え、前記突出部が、前記第1媒体を搬送する位置にある場合、前記切替部は前記第2経路に搬送可能に切り替わり、前記第1媒体よりも厚い第2媒体を搬送する位置にある場合、前記切替部は前記第1経路に搬送可能に切り替わることを特徴とする。尚、本態様は第3の態様から第7の態様のいずれか一つの態様にも従属させることもできる。
【0023】
本態様によれば、前記突出部が、前記第1媒体を搬送する位置にある場合、前記切替部は前記第2経路に搬送可能に切り替わり、前記第1媒体よりも厚い第2媒体を搬送する位置にある場合、前記切替部は前記第1経路に搬送可能に切り替わる。これにより、前記媒体の厚みの違いに応じて搬送経路を切り替えることができるので、前記媒体の搬送ダメージを抑制することができる。
【0024】
本発明の第9の態様に係る媒体搬送装置は、第8の態様に従属する態様であって、前記駆動源の動力を前記切替部にも伝達する動力伝達部を備え、前記駆動源が一方向に回転する場合、前記突出部は前記第1媒体を搬送する位置に移動し、前記切替部は前記第2経路に搬送可能に切り替わり、前記駆動源が他方向に回転する場合、前記突出部は前記第2媒体を搬送する位置に移動し、前記切替部は前記第1経路に搬送可能に切り替わることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、前記駆動源から前記動力伝達部を介して動力が伝達され、前記駆動源が一方向に回転する場合、前記突出部は前記第1媒体を搬送する位置に移動し、前記切替部は前記第2経路に搬送可能に切り替わる。また、前記駆動源が他方向に回転する場合、前記突出部は前記第2媒体を搬送する位置に移動し、前記切替部は前記第1経路に搬送可能に切り替わる。これにより、駆動源としてモーターを増やさずに前記突出部の動作と前記切替部の動作を実行させることができるので、小型化につながる。
【0026】
本発明の第10の態様に係る媒体搬送装置は、第9の態様に従属する態様であって、前記動力伝達部の前記切替部に動力を伝える位置に配置された切替用歯車と、前記切替用歯車に設けられた押圧部と、前記切替部に設けられた被押圧部と、を備え、前記切替部は、常時は、前記第1媒体を前記第2経路に搬送可能とする位置を取り、前記第2媒体を搬送する場合に、前記動力が伝達されて前記切替用歯車が回転され、前記被押圧部が前記押圧部に押されて回転し、前記第2媒体を前記第1経路に搬送可能とする位置に切り替わることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、前記切替部は、常時は、前記第1媒体を前記第2経路に搬送可能とする位置を取る。また、前記切替部は、前記第2媒体を搬送する場合に、前記動力が伝達されて前記切替用歯車が回転され、前記被押圧部が前記押圧部に押されて回転し、前記第2媒体を前記第1経路に搬送可能とする位置に切り替わる。これにより、構造簡単にして前記突出部の動作と前記切替部の動作を実行させることができる。
【0028】
本発明の第11の態様に係る媒体搬送装置は、第8の態様に従属する態様であって、重送される媒体から1枚の媒体を分離する分離部と、前記搬送方向において、前記分離部と前記切替部の間に位置する媒体厚検知部と、を備え、前記分離部で分離された媒体の厚みに関する情報を前記媒体厚検知部で検知し、前記媒体厚検知部の検知結果が閾値以上なら、前記切替部を前記第1経路に搬送可能に切り替え、前記媒体厚検知部の検知結果が閾値より小さいなら、前記切替部を前記第2経路に搬送可能に切り替えることを特徴とする。尚、本態様は第9の態様又は第10の態様にも従属させることもできる。
【0029】
本態様によれば、前記媒体厚検知部の検知結果が閾値以上なら、前記切替部を前記第1経路に搬送可能に切り替え、前記媒体厚検知部の検知結果が閾値より小さいなら、前記切替部を前記第2経路に搬送可能に切り替える。これにより、前記媒体の厚みに応じて、自動で搬送経路を切り替えることができる。
【0030】
本発明の第12の態様に係る媒体搬送装置は、第11の態様に従属する態様であって、前記駆動源を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記媒体の種類として「自動」が選択された場合、前記媒体厚検知部の検知結果と搬送経路が対応しない場合は、前記媒体の搬送を停止し、前記搬送経路を切り替えてから搬送を再開することを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、前記制御部は、前記媒体の種類として「自動」が選択された場合、前記媒体厚検知部の検知結果と搬送経路が対応しない場合は、前記媒体の搬送を停止し、前記搬送経路を切り替えてから搬送を再開する。これにより、自動で搬送経路を変更できるので、ユーザーの利便性が増す。
【0032】
本発明の第13の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第12の態様のいずれか1つの態様に記載の媒体排出装置と、前記搬送方向において、前記突出部より下流に位置して搬送される媒体を読み取る読取部と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、画像読取装置において、前記媒体搬送装置における各態様の効果と同様の効果を得ることができる。
【0033】
本発明の第14の態様に係る画像読取装置は、第13の態様に従属する態様であって、重送される媒体から1枚の媒体を分離する分離部を備え、前記媒体厚検知部は、前記搬送方向において、前記分離部と前記読取部との間に配置されることを特徴とする。
本態様によれば、前記分離部による分離後の媒体を前記媒体厚検知部で読み取るので、読取精度が向上し、前記突出部を効果的に動作させることができる。
【0034】
本発明の第15の態様に係る画像読取装置は、第13の態様に従属する態様であって、前記画像読取装置は、外部端末と接続可能であり、前記媒体の種類に対応した複数の読取モードを制御可能な制御部を備え、前記制御部は、前記複数の読取モードの中で前記突出部が前記媒体の種類に応じて位置した状態に対応した特定の読取モードを前記外部端末に通知し、前記特定の読み取りモードが前記外部端末の表示画面に表示されることを特徴とする。尚、本態様は第14の態様にも従属させることもできる。
【0035】
本態様によれば、前記制御部は、前記複数の読取モードの中で前記突出部が前記媒体の種類に応じて位置した状態に対応した特定の読取モードを前記外部端末に通知し、前記特定の読み取りモードが前記外部端末の表示画面に表示される。これにより、ユーザーの使い勝手を向上させることができる。
【0036】
[実施形態]
以下、本発明に係る媒体搬送装置の実施形態と、この媒体搬送装置を備える画像読取装置について、図面に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0037】
[実施形態1]
<画像読取装置>
本実施形態の画像読取装置1は、媒体の画像を読み取り可能なスキャナーである。ここで、前記画像は、前記媒体に視覚的に記録されているものを意味し、例えば文字、図形、表、絵、写真等である。前記媒体は、シートに限らず、カード、冊子等も含まれる。
図1に示したように、画像読取装置1は、媒体3の画像を読み取る読取部51,52と、媒体3を搬送経路2に沿って搬送方向Fに搬送し、搬送方向Fにおいて、読取部51の上流に設けられた第1搬送ローラー4と、読取部51より下流に位置する他の読取部52の上流に設けられた第2搬送ローラー6と、読取部52の下流に設けられた第3搬送ローラー8とを備えている。
第1搬送ローラー4の搬送方向Fにおける上流には、給送ローラー10と分離ローラー7のローラー対が配置されている。分離ローラー7は重送される媒体から1枚を分離して搬送する分離部として機能する。具体的には、分離ローラー7は、不図示のトルクリミッターによって回転トルクが付与されており、媒体3の重送を抑制する。尚、分離ローラー7に代えて分離パッドを採用しても良い。
給送ローラー13と分離ローラー17は、媒体3の幅方向における中心位置に設けられている。
分離ローラー7の上流にはピックローラー12が配置されている。
本実施形態では、第3搬送ローラー8の下流に湾曲反転経路18が設けられている。湾曲反転経路18には第4搬送ローラー20、第5搬送ローラー22、排出ローラー24が、搬送方向Fに沿ってこの順番で配置されている。前記各ローラーの駆動は、駆動源からの動力によって駆動される。
【0038】
図1において、符号14は読取対象となる媒体3をセットする媒体載置部であり、符号16は読取が済んだ媒体3が排出される排出受け部である。
媒体載置部14は、上下に移動するように構成されている。媒体載置部14にセットされている媒体3を搬送方向Fに送る場合は、先ず媒体載置部14が上方(+Z方向)に移動し、セットされている媒体3の最上位に位置するものがピックローラー12と接した状態で停止する。その状態でピックローラー14が回転することで媒体3が搬送方向Fに送られ、媒体3の先端が給送ローラー10と分離ローラー7のローラー対のニップ位置26に達する。
【0039】
媒体3が複数枚で送られる重送状態の場合は、分離ローラー7によって1枚に分離され、その1枚が第1搬送ローラー4により搬送方向Fに搬送され、読取部51で媒体3の第1面の画像の読み取りが実行される。更に、読取部51で読み取りが実行された媒体3は、第2搬送ローラー6により搬送され、読取部52で媒体3の第1面と反対側の第2面の画像の読み取りが実行される。
読取部52で読み取りが実行された媒体3は、第3搬送ローラー8によって湾曲反転経路18に送られ、第4搬送ローラー20、第5搬送ローラー22により搬送され、排出ローラー24によって排出受け部16には排出される。
媒体載置部14を上方に移動させ、ピックローラー12により媒体3の搬送を開始し、給送ローラー10及び分離ローラー7により一枚の媒体に分離され、更に搬送方向Fに搬送されて読取部51,52による画像の読み取り、更に搬送方向Fへ搬送の一連の動作は制御部71により制御されて実行される。
【0040】
<媒体搬送装置>
本実施形態では、画像読取装置1は媒体搬送装置9を備えている。媒体搬送装置9の構造について、図1から図8に基いて以下説明する。
媒体搬送装置9は、図2から図4に示したように、駆動源15と、媒体3が、第1経路面11(図4)と、第1経路面11と離れて位置する第2経路面13(図4)との間を搬送方向Fに搬送される搬送経路2と、第1経路面11から突出し、搬送方向Fと交差する幅方向(X軸方向)に並ぶ複数の突出部17と、第1経路面11と第2経路面13との間において、第1経路面11に対する突出部17の突出量を駆動源15の動力が伝達されて増減させる移動部19と、を備えている。突出部17は、搬送方向Fにおいて、分離ローラー7と読取部51との間に配置されている。分離ローラー7は重送される媒体3から一枚の媒体3に分離する分離部として機能する
ここでは、第1経路面11に複数の孔部21(図2)が形成され、各突出部17は各孔部21から第2経路面13に向かって突出する。突出部17は、第2経路面13と対向する先端面29は、媒体3の搬送をガイドするガイド面として機能する。駆動源15はモーターである。
【0041】
本実施形態では、移動部19は、突出部17に当接可能な当接部23を備えている。ここでは、当接部23は回転軸33に固定されたカムで構成されているが、カムに限定されない。
また、図3に示したように、突出部17は、搬送方向Fと交差する幅方向(X軸方向)に複数設けられた突起部25と、突起部25を支持する支持部27と、当接部23に当接される被当接部28とを備えている。そして、移動部19の少なくとも一部は、図3に示したように、搬送方向Fから見ると、駆動源15と重なるように配置されている。
また、図2に示したように、本実施形態では、媒体3を搬送する搬送ローラー4を備え、搬送ローラー4の両端部より内側の領域30には、少なくとも5つの突起部25が配置されている。ここでは、5つの突起部25が配置されている。6つ以上の突起部25が配置されているようにしてもよい。また、搬送ローラー4は、前記幅方向に離れて位置する2つで構成されている。
【0042】
また、図2に示したように、本実施形態では、突起部25は、搬送方向Fにおいて、第1長さL1の第1突起部251と、第1長さL1よりも長い第2長さL2の第2突起部252とを備えている。そして、第2突起部252の一部は、搬送ローラー4の回転軸31の方向から見ると、搬送ローラー4と重なるように配置されている。
また、図4図5に示したように、本実施形態では、突起部25は、媒体3の先端を搬送方向Fに沿う方向に案内する傾斜面32を備えている。そして、突起部25は、前記突出量を増やす方向に移動するほど傾斜面32が多く露呈するように構成されている。
【0043】
図5の上の図は、前記突出量が最小の状態を示しており、媒体3の厚みが大きいものの場合に対応している。この場合は、突起部25の先端面29と第2経路面13との間隔が最大の間隔D1になり、厚紙モードの搬送状態になる。
図5の下の図は、前記突出量が最大の状態を示しており、媒体3の厚みが小さいものの場合に対応している。この場合は、突起部25の先端面29と第2経路面13との間隔が最小の間隔D3になり、薄紙モードの搬送状態になる。
図5の中の図は、前記突出量が最小と最大の間の状態を示している。この場合は、突起部25の先端面29と第2経路面13との間隔が最大と最小の間の間隔D2になり、中間厚モードの搬送状態になる。
【0044】
また、図3に示したように、本実施形態では、当接部23は、第1当接部231と第2当接部232とを備えている。被当接部28は、第1被当接部281と第2被当接部282とを備えている。そして、第1当接部231及び第1被当接部281は、前記幅方向の基準位置を基準にして第2当接部232及び第2被当接部282の反対に設けられている。
ここで基準位置は、突出部17の前記幅方向における中央位置が使われている。尚、第1当接部231及び第1被当接部281は、前記中央位置に対して等距離で対称的に配置されることまでは要求されず、一方の側に偏って配置されていなければよい。
【0045】
また、図2に示したように、本実施形態では、突出部17は、突出方向において少なくとも2つの位置で固定されるように構成されている。
具体的には、図4に示したように、移動部19のカムで構成される当接部23が、カムフォロアとしての被当接部28に接して押している状態で、突出部17の先端面29は、突出方向に突出した第1の位置を取る(図4の上の図)。
一方、当接部23が被当接部28から離れると、突出部17は、ばね34の弾性力によって押し戻され、突出部17の先端面29は、前記第1の位置よりも第2経路面13から離れた第2の位置を取る(図4の下の図)。この第2の位置は、突出部17の上面36(図3)が、固定されている構造のストッパ35に接して止まることで実現されている(図4)。
尚、図5に示したように、突出部17の先端面29の第2経路面13との間隔として、D1,D2,D3の3つの位置を取るようにしてもよい。この場合は、カムとしての当接部23とカムフォロアとしての被当接部28の構造を、間隔D1,間隔D2,間隔D3の3つの位置を取ることができる構造にすることで実現できる。更に4つ以上の間隔の位置を取るようにしてもよい。
【0046】
本実施形態では、図2図4に示したように、搬送方向において、読取部51のホルダー42の上流側の部位に、上流に向かって凸となる複数の凸部43が設けられている。
そして、各凸部43の第2経路面13と対向する部位は、図4に示したように、傾斜面44に形成されている。この傾斜面44により、搬送されてくる媒体3の先端が搬送方向Fに沿って移動するように誘導される。
【0047】
<移動部の駆動>
移動部19は、駆動源15から動力が伝達されて駆動する。即ち、カムとしての当接部23が図4の上の図と下の図に示したように回転駆動され、その回転駆動によって突出部17の前記突出量が増減するように構成されている。
具体的には、図3に示したように、駆動源15のモーターピニオン37から、歯車輪列38を介して動力が伝達されて第1歯車39が回転する。第1歯車39の回転は、伝達ベルト40によって第2歯車41に伝達される。第2歯車41が回転することで、回転軸33が軸線回りに一体に回転し、当接部23を回転させる。
【0048】
<実施形態1の動作の説明>
≪媒体の厚みが薄い薄紙等が搬送される場合≫
媒体3の厚みが薄い薄紙等が搬送される場合は、制御部71がその情報を受けることで、移動部19を回転させて図4の上の図に示した位置に移動させて止める。これにより、薄紙モードでの搬送が行われる。
≪媒体の厚みが厚い厚紙等が搬送される場合≫
媒体3の厚みが厚い厚紙等が搬送される場合は、制御部71がその情報を受けることで、移動部19を回転させて図4の下の図に示した位置に移動させて止める。これにより、厚紙モードでの搬送が行われる。
【0049】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態では、突出部17が第1経路面11から突出し、前記搬送方向Fと交差する幅方向(X軸方向)に並んで複数配置されている。複数の各突出部17は、移動部19によって第1経路面11に対する突出量を増減させることが可能である。これにより、厚みの異なる媒体3に対しても、その厚みに対応して薄紙モードや厚紙モードになるように前記突出量を調整することで、安定した搬送を実現することができる。
(2)また、本実施形態では、前記突出方向において少なくとも2つの位置で固定される。言い換えると、突出部17は、突出方向において第1位置(図4の上の図の状態)と第2位置(図4の下の図の状態)の2つの位置をとり、弾性力の釣り合い状態ではなく、剛的に固定されるように構成されている。これにより、厚みの異なる媒体3を安定的に搬送することができる。
【0050】
(3)また、本実施形態では、移動部19は、カム構造の当接部23を備え、突出部17は、複数の突起部25と、突起部25を支持する支持部27と、当接部23に当接される被当接部28とを備えている。これにより、構造簡単にして前記第1位置と第2位置とを取ることができる。また、移動部19の少なくとも一部は、搬送方向Fからみると、駆動源15と重なっているので、装置の高さ方向(Z軸方向)の大型化を抑制することができる。
(4)また、本実施形態では、媒体3を搬送する搬送ローラー4の両端部より内側の領域30には、少なくとも5つの突起部25が配置されている。これにより、帳票、プラスチックカード、名刺等と言った搬送可能な最小幅サイズの媒体3も安定して搬送することができる。
そのため、本実施形態では、媒体3の搬送を前記幅方向における中央の領域に、媒体3のセンターを合わせて搬送する、所謂センター給紙構造に構成されている。
【0051】
(5)また、本実施形態では、突起部25は、搬送方向Fにおいて、第1長さL1の第1突起部251と、第1長さL1よりも長い第2長さL2の第2突起部252とを備え、第2突起部252の一部は、搬送ローラー4の回転軸方向からみると、搬送ローラー4と重なっている。これにより、装置全体の搬送方向Fにおける大型化を抑制することができる。
(6)また、本実施形態では、突起部25は、第2経路面13と対向する先端面29の搬送方向Fにおいて上流位置に媒体3の先端を案内する傾斜面32を備え、突起部25は、前記突出量を増やす方向に移動するほど傾斜面32が多く露呈する。これにより、厚さの異なる媒体3に対してもその先端が傾斜面32で同じように案内できるようになるので、媒体3の搬送性を安定させることができる。
(7)また、本実施形態では、第1当接部231及び第1被当接部281は、前記幅方向の基準位置を基準にして第2当接部232及び第2被当接部281の反対に配置されている。これにより、突出部17の全体を安定的に移動させることができる。
【0052】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る媒体搬送装置9について説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
本実施形態では、図1に示したように、読取部51,52で読み取った媒体3を湾曲反転せずに搬送方向に搬送するストレート形状の第1経路45と、読み取った媒体を湾曲反転して搬送方向に搬送する湾曲形状又はUターン形状の第2経路46と、第1経路45と第2経路46とを切り替える切替部47とを備えている。
突出部17が、図4の上の図に示したように、普通紙等の第1媒体301を搬送する位置にある場合は、切替部47は第1媒体301を第2経路46に搬送可能とする位置を取る。一方、図4の下の図に示したように、第1媒体301よりも厚い厚紙や冊子等の第2媒体302を搬送する位置にある場合は、切替部47は第2媒体302を第1経路45に搬送可能とする位置を取る。
【0053】
また、図6に示したように、本実施形態では、駆動源15の動力を切替部47に伝達する動力伝達部48を備えている。動力伝達経路48は、駆動源15が一方向に回転する場合、例えば正回転する場合は、突出部17は第1媒体301を搬送する位置に移動し、同時に切替部47は第2経路46に搬送可能に切り替わるように動力を伝達する。一方、駆動源15が他方向に回転する場合、即ち逆回転する場合には、突出部17は第2媒体302を搬送する位置に移動し、同時に切替部47は第1経路45に搬送可能に切り替わるように動力を伝達する。
ここでは、動力伝達経路48は、駆動源15が一方向に「一定量」回転すると、突出部17は第1媒体301を搬送する位置に移動して停止し、切替部47は第2経路46に搬送可能に切り替わった状態で停止するように構成されている。同様に、動力伝達経路48は、駆動源15が他方向に「一定量」回転すると、突出部17は第2媒体302を搬送する位置に移動して停止し、切替部47は第1経路45に搬送可能に切り替わった状態で停止するように構成されている。
動力伝達部48は、第1歯車39から動力が伝達されるギア輪列54と、ギア輪列54から動力が伝達される第3歯車55と、第3歯車55から伝達ベルト56によって動力が伝達される切替用歯車57と、を備えている。
【0054】
また、本実施形態では、動力伝達部48の切替部47に動力を伝える位置に配置された切替用歯車57と、切替用歯車57に設けられた突起である押圧部50と、切替部47に設けられた突起である被押圧部53とを備えている。
そして、切替部47は、常時は、第1媒体301を第2経路46に搬送可能とする位置を取っている。そして、切替部47は、第2媒体302を搬送する場合に、前記動力が伝達されて切替用歯車49が回転されることで、被押圧部53が押圧部50に押されて回転し、第2媒体302を記第1経路45に搬送可能とする位置に切り替わるように構成されている。
【0055】
また、本実施形態では、搬送方向Fにおいて、重送される媒体3から1枚の媒体3を分離する分離部としての分離ローラー7と切替部47の間に位置する媒体厚検知部49を備えている。媒体厚検知部49は、分離ローラー7で分離された媒体3の厚みに関する情報を検知する。ここでは、媒体厚検知部49として超音波センサーが使われている。また、本実施形態では、図1に示したように、媒体厚検知部49は、搬送方向Fにおいて、分離ローラー7と読取部51との間に配置されているが、他の位置であってもよい。
そして、媒体厚検知部49の検知結果が閾値以上なら、切替部47を第1経路45に搬送可能に切り替え、媒体厚検知部49の検知結果が閾値より小さいなら、切替部47を第2経路46に搬送可能に切り替えるように構成されている。
前記閾値は、媒体3の厚さが厚紙等に属する媒体であるか、又は普通紙等に属する媒体であるかを判定できるように設定される。
切替部47の前記切り替え動作は、本実施形態では、制御部71が、媒体厚検知部49の検知結果を受け付けて、その検知結果である媒体3の厚さが閾値以上であるか閾値より小さいかを判定する。即ち、制御部71は、搬送されている媒体3が厚紙等に属する媒体であるか、又は普通紙等に属する媒体であるかを判定し、その判定に基いて切替部47を駆動させて切り替えるように構成されている。
【0056】
図10に示したように、外部端末としてのパーソナルコンピューター58と画像読取装置1が接続されており、「媒体厚検知部により媒体の種類を自動検知にする」や「媒体の種類を自動ではなくユーザーが設定する」やその他の条件についての情報を、パーソナルコンピューター58の表示画面59を見ながら入力或いは選択して画像読取装置1の読取動作を設定して行うタイプの画像読取装置1がある。
本実施形態では、このタイプの画像読取装置1において、制御部71は、表示画面59から入力された情報に基づいて読取動作を実行する。表示画面59には、「媒体厚検知部により媒体の種類を自動検知にする」又は「媒体の種類を自動検知ではなくユーザーが設定する」に関する表示として「自動検知」「ユーザー設定」等が表示されるように構成されている。
【0057】
ユーザーが「自動検知」を選択した場合において、媒体厚検知部49の検知結果が「厚紙」である場合、その情報が制御部71に送られ、制御部71は適用する搬送経路は「厚紙用の第1経路45」であると判定する。そして、制御部71は、搬送経路が厚紙用の第1経路45になるように切替部47を切り替えると共に、パーソナルコンピューター58に前記判定の結果、即ち「厚紙用の第1経路45」であるとの「読取モード」の情報を送る。これにより、パーソナルコンピューター58の表示画面59に、厚紙用の第1経路45に対応する読取モードである「厚紙モードです」または「ストレート経路モードです」等が表示され、ユーザーの使い勝手が良くなっている。
媒体厚検知部49の検知結果が「普通紙」である場合は、制御部71は、搬送経路が普通紙用の第2経路46になるように切替部47を切り替えると共に、パーソナルコンピューター58に前記判定の結果を送り、表示画面59には「普通紙モードです」或いは「反転経路モードです」等の読取モードが表示される。
尚、図1において、符号60は画像読取装置1の表示パネルである。前記読取モードを表示パネル60に表示するようにしてもよい。
【0058】
≪媒体厚検知部による搬送経路の切り替えの自動化≫
図9のフローチャートにより、制御部71が媒体厚検知部49により搬送経路の切り替えを自動化する構成とその制御手順の一例を説明する。
先ず、ステップS1で、ユーザーがパーソナルコンピューター58の表示画面59を見ながら媒体3の種類、即ち普通紙、厚紙等の種類についての指定において、「自動」を選択したかを判定する。Yesの場合は、ステップS2に進み、分離ローラー7等の駆動をONとして媒体3の搬送を開始する。搬送される媒体3の先端が媒体厚検知部49の検知位置に達すると媒体3の厚みの検知が行われ、ステップS3で、その検知結果が現在の搬送経路と一致しているかについて判定が行われる。
Noの場合はステップS4に進む。ステップS4で分離ローラー7等の駆動が停止され、搬送が止まる。続いて、ステップS5で、搬送経路の切り替えが切替部47により行われ、前記検知結果と一致させる。続いてステップS6に進み、分離ローラー7等の駆動をONして搬送を再開し、ステップS7で、読取部51,52による画像の読み取りが行われる。続いてステップS8で、読取対象の媒体3が未だ残っているかが判定され、残っている場合、即ちYesの場合はステップS2に戻る。一方、Noの場合は終了となる。
ステップS1で、Noの場合は,ステップS9に進む。ステップS9で搬送経路の設定が行われ、分離ローラー等の駆動がONにして媒体3を搬送し、ステップS7に進む。ステップS3でYesの場合はステップS7に進む。
【0059】
<実施形態2の効果の説明>
(1)本実施形態では、突出部17が、第1媒体301を搬送する位置にある場合、切替部47は第2経路46に搬送可能に切り替わり、第1媒体301よりも厚い第2媒体302を搬送する位置にある場合、切替部47は第1経路45に搬送可能に切り替わる。これにより、媒体3の厚みの違いに応じて搬送経路を切り替えることができるので、媒体3の搬送ダメージを抑制することができる。
(2)また、本実施形態では、駆動源15から動力伝達部48を介して動力が伝達され、駆動源15が一方向に回転する場合、突出部17は第1媒体301を搬送する位置に移動し、切替部47は第2経路46に搬送可能に切り替わる。また、駆動源15が他方向に回転する場合、突出部17は第2媒体302を搬送する位置に移動し、切替部47は第1経路45に搬送可能に切り替わる。これにより、駆動源15としてモーターを増やさずに突出部17の動作と切替部47の動作を実行させることができるので、小型化につながる。
【0060】
(3)また、本実施形態では、切替部47は、常時は、第1媒体301を第2経路46に搬送可能とする位置を取る。また、切替部47は、第2媒体302を搬送する場合に、前記動力が伝達されて切替用歯車57が回転され、被押圧部53が押圧部50に押されて回転し、第2媒体302を第1経路45に搬送可能とする位置に切り替わる。これにより、構造簡単にして突出部17の動作と切替部47の動作を実行させることができる。
(4)また、本実施形態では、媒体厚検知部49の検知結果が閾値以上なら、切替部47を第1経路45に搬送可能に切り替え、媒体厚検知部49の検知結果が閾値より小さいなら、切替部47を第2経路46に搬送可能に切り替える。これにより、媒体3の厚みに応じて、自動で搬送経路を切り替えることができる。
【0061】
(5)また、本実施形態では、制御部71は、媒体3の種類として「自動」が選択された場合、媒体厚検知部49の検知結果と搬送経路が対応しない場合は、媒体3の搬送を停止し、前記搬送経路を切り替えてから搬送を再開する。これにより、自動で搬送経路を変更できるので、ユーザーの利便性が増す。
(6)また、本実施形態では、表示画面59には、前記複数の読取モードの中で突出部17が媒体3の種類に応じて位置した状態に対応した読取モードが表示される。これにより、ユーザーの使い勝手を向上させることができる。
【0062】
〔他の実施形態〕
本発明に係る媒体搬送装置9及び媒体搬送装置9を備える画像読取装置1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
上記実施形態では、第1経路面11が上側の経路面、第2階路面13が下側の経路面である場合を説明したが、これに限定されず、逆の配置でもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…画像読取装置、2…搬送経路、3…媒体、4…第1搬送ローラー、
6…第2搬送ローラー、7…分離ローラー、8…第3搬送ローラー、
9…媒体搬送装置、10…給送ローラー、11…第1経路面、12…ピックローラー、
13…第2経路面、14…媒体載置部、15…駆動源、16…排出受け部、
17…突出部、18…湾曲反転経路、19…移動部、20…第4搬送ローラー、
21…孔部、22…第5搬送ローラー、23…当接部、24…排出ローラー、
25…突起部、26…ニップ位置、27…支持部、28…被当接部、
29…先端面、30…領域、32…傾斜面、33…回転軸、34…ばね、
35…ストッパ、36…上面、37…モーターピニオン、38…歯車輪列、
39…第1歯車、40…伝達ベルト、41…第2歯車、42…ホルダー、
43…凸部、44…傾斜面、45…第1経路、46…第2経路、47…切替部、
48…動力伝達経、49…媒体厚検知部、50…押圧部、51…読取部、
52…読取部、53…被押圧部、54…ギア輪列、55…第3歯車、
56…伝達ベルト、57…切替用歯車、58…パーソナルコンピューター、
59…表示画面、60…表示パメル、71…制御部、231…第1当接部、
232…第2当接部、251…第1突起部、252…第2突起部、
281…第1被当接部、282…第2被当接部、301…第1媒体、
302…第2媒体、
D1,D2,D3…間隔、F…搬送方向、L1…第1長さ、L2…第2長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10