(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113739
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240816BHJP
G08B 13/196 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
G08B13/196
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018881
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 勝利
(72)【発明者】
【氏名】金元 浩一
(72)【発明者】
【氏名】内木 一義
【テーマコード(参考)】
5C084
5L096
【Fターム(参考)】
5C084AA02
5C084AA13
5C084BB33
5C084CC14
5C084DD11
5C084EE09
5C084GG78
5C084HH12
5C084HH13
5L096DA03
5L096EA06
5L096FA02
5L096FA59
5L096GA51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】防犯効果を向上させる自動取引装置を提供する。
【解決手段】カメラ11が、操作者を撮影可能なように設置される自動取引装置10において、制御部12は、カメラ11が撮影した撮影画像2から明るさが所定値以下の画素が連続した領域2aを抽出し、領域2aが撮影画像2の端の画素を含んでいるか否かおよび領域2aが閾値より大きいか否かに基づいて、カメラ11が塞がれているか否かを判定してカメラ11が塞がれていることを端末1に通知する。これにより、自動取引装置10は、カメラ11が正常に操作者を撮影できていないことを端末1の操作者に通知することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者を撮影可能なように設置されたカメラと、
前記カメラが撮影した撮影画像から明るさが所定値以下の画素が連続した領域を抽出し、前記領域が前記撮影画像の端の画素を含んでいるか否かおよび前記領域が閾値より大きいか否かに基づいて、前記カメラが塞がれているか否かを判定する制御部と、
を有する自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記領域が前記撮影画像の四辺のうちのいずれかの辺上の画素を全て含んでいるか否かに基づいて、前記カメラが塞がれているか否かを判定する、
請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮影画像を平滑化し、前記撮影画像から明るさが所定値以下の画素が連続した領域を抽出する、
請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記カメラが塞がれていると判定した場合、前記カメラが塞がれていることを端末に通知する、
請求項1記載の自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行口座の利用者は、現金自動預払機(ATM:Automated Teller Machine)を用いて自身の銀行口座についての取引をすることがある。ATMは、不正な取引をする利用者の画像を保存する等、防犯のためにATMの操作者を撮影するカメラを設置することがある。
【0003】
ATMの操作者の撮影に関する技術としては、例えば、不正取引の証拠として常に顧客の画像を正しく撮影する自動取引装置が提案されている。また、例えば、両手による操作を誘導し取引処理を中断しないでカメラの窓の遮蔽状態を解除する機能を有する自動取引装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-139447号公報
【特許文献2】特開2010-86386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ATMのカメラが塞がれてしまうと、操作者を撮影できず防犯効果が低下するため、カメラが塞がれたことを検知し、管理者等に通知することが考えられる。カメラが塞がれたことを検知する方法としては、例えば、撮影した画像全体が黒くなっていた場合、カメラが塞がれたことを検知することが考えられる。しかし、画像全体が黒くなっていた場合にカメラが塞がれたと検知すると、カメラの一部を塞がれた場合等にカメラが塞がれたことを検知できないことがある。
【0006】
1つの側面では、本件は、防犯効果を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、カメラと制御部とを有する自動取引装置が提供される。カメラは、操作者を撮影可能なように設置される。制御部は、カメラが撮影した撮影画像から明るさが所定値以下の画素が連続した領域を抽出し、領域が撮影画像の端の画素を含んでいるか否かおよび領域が閾値より大きいか否かに基づいて、カメラが塞がれているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、防犯効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図3】ATMのハードウェアの一構成例を示す図である。
【
図6】第2の実施の形態の画像処理の一例を示す図である。
【
図7】カメラ塞ぎ判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず第1の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。第1の実施の形態は、自動取引装置10の操作者を撮影するカメラ11が塞がれていることを自動取引装置10が検知するものである。第1の実施の形態の情報処理システムは、端末1および自動取引装置10を有する。
【0012】
端末1は、自動取引装置に接続されたコンピュータである。例えば、端末1は、ネットワークを介して自動取引装置10に接続され、自動取引装置10の管理者によって操作されるコンピュータである。自動取引装置10は、操作者の操作に従って金融取引を実行する装置である。自動取引装置10は、例えば、金融機関等に設置されたATMである。自動取引装置10は、カメラ11および制御部12を有する。
【0013】
カメラ11は、自動取引装置10の操作者を撮影可能なように設置されたカメラである。例えば、カメラ11は、自動取引装置10を操作する操作者が立つ位置にレンズが向くよう自動取引装置10に設置される。制御部12は、自動取引装置10を制御し、所要の処理を実行可能である。制御部12は、例えば、自動取引装置10が有するプロセッサまたは演算回路である。
【0014】
まず、制御部12は、カメラ11が撮影した撮影画像2を取得する。例えば、制御部12は、自動取引装置10を操作する操作者を人感センサ等が検知すると、カメラ11を起動させ、操作者が自動取引装置10から離れるまでの操作中の映像を撮影させる。制御部12は、操作中の映像として撮影された撮影画像2を取得する。
【0015】
制御部12は、撮影画像2から明るさが所定値以下の画素が連続した領域2aを抽出する。制御部12は、撮影画像2の各画素について、明るさの度合いを示す数値が所定値以下であるか否かを判定し、明るさの度合いを示す数値が所定値以下であると判定された画素が連続した領域2aを抽出する。明るさの度合いを示す数値は、例えば、画素値、階調値、輝度値等である。例えば、制御部12は、撮影画像2をグレースケール化し、平滑化する。制御部12は、平滑化した撮影画像2に対して、明るさの度合いを示す数値が所定値以下の画素を黒、明るさの度合いを示す数値が所定値より大きい画素を白とする二値化処理をする。そして、制御部12は、二値化した撮影画像2の黒の画素が連続した領域2aを抽出する。
【0016】
そして、制御部12は、領域2aが撮影画像2の端の画素を含んでいるか否かおよび領域2aが閾値より大きいか否かに基づいて、カメラ11が塞がれているか否かを判定する。ここで、制御部12は、領域2aが撮影画像2の四辺のうちのいずれかの辺上の画素を全て含んでいるか否かに基づいて、カメラ11が塞がれているか否かを判定する。例えば、制御部12は、領域2aが撮影画像2の四辺のうちのいずれかの辺上の画素を全て含んでいる場合、領域2aが撮影画像2の端の画素を含んでいると判定する。そして、制御部12は、領域2aが撮影画像2の四辺のうちのいずれかの辺上の画素を全て含んでいるかつ、領域2aが閾値より大きい場合、カメラ11が塞がれていると判定する。
【0017】
制御部12は、カメラ11が塞がれていると判定した場合、カメラ11が塞がれていることを端末1に通知する。例えば、制御部12は、カメラ11が塞がれていることを示すメッセージを端末1に送信する。
【0018】
第1の実施の形態によれば、自動取引装置10のカメラ11は、操作者を撮影可能なように設置される。自動取引装置10の制御部12は、カメラ11が撮影した撮影画像2から明るさが所定値以下の画素が連続した領域2aを抽出する。そして、制御部12は、領域2aが撮影画像2の端の画素を含んでいるか否かおよび領域2aが閾値より大きいか否かに基づいて、カメラ11が塞がれているか否かを判定する。
【0019】
ここで、カメラ11が操作者の手や所持品等の遮蔽物で塞がれる場合、遮蔽物をカメラ11に近づけた方向から遮蔽物が撮影画像2に写りこむ。これにより、撮影画像2の端は遮蔽物が写ることによって暗くなる。そこで、自動取引装置10は、端から始まる暗い画素の領域が閾値より大きいか否かに基づいて、カメラ11が塞がれているか否かを判定することで、カメラ11が塞がれているか否かを適切に判定できる。よって、自動取引装置10は、防犯効果を向上させることができる。
【0020】
また、制御部12は、領域2aが撮影画像2の四辺のうちのいずれかの辺上の画素を全て含んでいるか否かに基づいて、カメラ11が塞がれているか否かを判定する。ここで、カメラ11を塞ぐ遮蔽物は、カメラ11に近い位置に配置されることが多いため、遮蔽物が撮影画像2に写りこんだ方向の端の全体が暗くなることが多い。よって、自動取引装置10は、領域2aが辺上の画素を全て含んでいるか否かに基づいて、カメラ11が塞がれているか否かを判定することで、カメラ11が塞がれたか否かの判定精度を向上させることができる。
【0021】
また、制御部12は、撮影画像2を平滑化し、撮影画像2から明るさが所定値以下の画素が連続した領域2aを抽出する。これにより、自動取引装置10は、撮影画像2からノイズを除去し、カメラ11が塞がれたか否かの判定精度を向上させることができる。
【0022】
また、制御部12は、カメラ11が塞がれていると判定した場合、カメラ11が塞がれていることを端末1に通知する。これにより、自動取引装置10は、カメラ11が正常に操作者を撮影できていないことを端末1の操作者に通知することができる。
【0023】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、ATMに設置されたカメラが塞がれたことを検知するものである。
【0024】
図2は、第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。第2の実施の形態の情報処理システムは、ATM100および端末31を有する。ATM100は、顧客による入力操作を受け付け、受け付けた入力に基づいて金融取引を実行する装置である。ATM100は、ネットワーク20を介して端末31に接続されている。ネットワーク20は、例えば、ATM100が設置された銀行のLAN(Local Area Network)である。端末31は、ATM100の管理者が操作するコンピュータである。
【0025】
ATM100は、ATM100が操作者によって操作されているとき、ATM100が有するカメラによって操作者を撮影する。ここで、ATM100は、ATM100のカメラが操作者を撮影した撮影画像に基づいて、カメラが塞がれているか否かを判定する。そして、ATM100は、カメラが塞がれていると検知した場合、端末31にカメラが塞がれていることを通知する。
【0026】
図3は、ATMのハードウェアの一構成例を示す図である。ATM100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス108を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0027】
メモリ102は、ATM100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0028】
バス108に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、ネットワークインタフェース104、表示処理ユニット105、タッチパネル処理ユニット106およびI/O(Input/Output)インタフェース107がある。
【0029】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、ATM100の補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および取引履歴情報等を含む各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0030】
ネットワークインタフェース104は、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース104は、ネットワーク20を介して、端末31との間でデータの送受信を行う。
【0031】
表示処理ユニット105には、ディスプレイ111が接続される。表示処理ユニット105は、プロセッサ101からの命令に従って、操作案内等の各種情報をディスプレイ111の画面に表示させる。ディスプレイ111としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0032】
タッチパネル処理ユニット106には、タッチパネル112が接続される。タッチパネル112は、例えば、ディスプレイ111の前面に配置される。タッチパネル処理ユニット106は、利用者の指がタッチパネル112に接触あるいは接近した画面上の位置を検出し、プロセッサ101に通知する。
【0033】
I/Oインタフェース107には、カード処理ユニット113、通帳処理ユニット114、硬貨処理ユニット115、紙幣処理ユニット116、人感センサ117およびカメラ118が接続される。I/Oインタフェース107は、プロセッサ101の命令に従って、接続する各部にプロセッサ101からの指示を通知する。また、I/Oインタフェース107は、各部から取得した情報をバス108経由でプロセッサ101に通知する。
【0034】
カード処理ユニット113は、カードの取り込みおよび放出を制御する。カード処理ユニット113は、取り込んだカードに付された磁気で記録された情報(口座番号等)を読み込む。
【0035】
通帳処理ユニット114は、通帳の取り込みと放出を制御する。また、通帳処理ユニット114は、取り込んだ通帳に付された磁気で記録された情報(口座番号等)を読み込む。また、通帳処理ユニット114は、通帳に印字を行う機能も備えており、通帳の記帳が可能である。
【0036】
硬貨処理ユニット115は、プロセッサ101の指示に従って硬貨の放出および取込みと、硬貨の出入口の扉の開閉とを制御する。紙幣処理ユニット116は、プロセッサ101の指示に従って紙幣の放出および取込みと、紙幣の出入口の扉の開閉とを制御する。紙幣処理ユニット116は、紙幣の種別および記番号を読み取る機能を備える。紙幣処理ユニット116は、入出金の際に出し入れした紙幣の記番号を読み取り、プロセッサ101に出力する。
【0037】
人感センサ117は、人物を検出し、検出結果をプロセッサ101に出力する。人感センサ117は、例えば、所定の範囲にある人体から発せられる赤外線を受光部から受光すると、人体を検出したことをプロセッサ101に通知する。人感センサ117は、例えば、赤外線センサである。
【0038】
カメラ118は、プロセッサ101からの命令に従って、カメラ118のレンズを向けた先の光景の静止画または動画のデータを生成し、メモリ102に格納する。カメラ118は、ATM100の操作者を撮影できるよう設置される。
【0039】
また、I/Oインタフェース107は、可搬型記録媒体25からデータを読み込みまたは、可搬型記録媒体25にデータを書き込むことができる。可搬型記録媒体25は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)等の記録媒体である。可搬型記録媒体25は、取引履歴情報等を格納できる。
【0040】
なお、第1の実施の形態に示した自動取引装置10も、
図3に示したATM100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、プロセッサ101は、第1の実施の形態に示した制御部12の一例である。
【0041】
ATM100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。ATM100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、ATM100に実行させるプログラムを、ストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。またATM100に実行させるプログラムを、可搬型記録媒体25に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体25に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体25から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0042】
次に、ATM100の外観について説明する。
図4は、ATMの外観の一例を示す図である。ATM100は、水平な第1面と操作者の正面に配置される第2面とを有する。第1面には、ディスプレイ111およびタッチパネル112が配置される。ディスプレイ111は、ATM100の操作画面を表示する。タッチパネル112は、ディスプレイ111の前面に配置される。タッチパネル112は、ディスプレイ111が表示した画面に対する操作者のタッチ操作を検知する。これにより、ディスプレイ111およびタッチパネル112は、ATM100による取引操作の案内と操作者からの指示の受付とを行う。
【0043】
第2面には、カード出入口21、通帳出入口22、紙幣出入口23、硬貨出入口24、人感センサ117およびカメラ118が配置される。カード出入口21は、操作者によるキャッシュカードの挿入とカード処理ユニット113によるキャッシュカードの放出とに用いられる出入口である。カード処理ユニット113は、カード出入口21に挿入されたキャッシュカードから口座番号等の情報を読み取る。また、カード処理ユニット113は、取引終了後にキャッシュカードをカード出入口21から放出する。
【0044】
通帳出入口22は、操作者による通帳の挿入と通帳処理ユニット114による通帳の放出とに用いられる出入口である。通帳処理ユニット114は、通帳出入口22に挿入された通帳から口座番号等の情報を読み取る。また、通帳処理ユニット114は、通帳出入口22から挿入された通帳に印字を行う。また、通帳処理ユニット114は、取引終了後に通帳を通帳出入口22から放出する。
【0045】
紙幣出入口23は、操作者による紙幣の投入と紙幣処理ユニット116による紙幣の放出とに用いられる出入口である。紙幣処理ユニット116は、紙幣出入口23に投入された紙幣の読み取りを行う。また、紙幣処理ユニット116は、出金される紙幣を紙幣出入口23から放出する。硬貨出入口24は、操作者による硬貨の投入と硬貨処理ユニット115による硬貨の放出とに用いられる出入口である。硬貨処理ユニット115は、硬貨出入口24に投入された硬貨の読み取りを行う。また、硬貨処理ユニット115は、出金される硬貨を硬貨出入口24から放出する。
【0046】
人感センサ117は、受光部が第2面の正面に向くように設置される。人感センサ117は、タッチパネル112を操作可能な操作位置に操作者が来ると、操作者が発する赤外線を受光し、操作者を検知できる。
【0047】
カメラ118は、レンズが第2面の正面に向くように設置される。カメラ118は、人感センサ117が操作者を検知している間、操作位置の操作者を撮影する。そして、ATM100は、カメラ118が撮影した映像をストレージ装置103に格納する。
【0048】
このようにして、ATM100は、カメラ118によってATM100を操作中の操作者を撮影することができる。例えば、ATM100は、撮影した映像を保存しておき、不正な取引が行われた場合に当該取引時の映像を提供することで、不正な取引をした操作者を特定できるようにする。しかし、カメラ118が塞がれてしまうと、ATM100は、操作者を適切に撮影することができない。そこで、ATM100は、カメラ118が撮影した画像に基づいて、カメラ118が塞がれたことを検知し、管理者が操作する端末31に通知する。次に、ATM100の機能について詳細に説明する。
【0049】
図5は、ATMの機能例を示すブロック図である。ATM100は、撮影処理部120、判定部130および通知部140を有する。撮影処理部120、判定部130および通知部140は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。
【0050】
撮影処理部120は、カメラ118を制御して、ATM100の操作者を撮影した画像を取得する。撮影処理部120は、人感センサ117がATM100の操作者を検知した場合、カメラ118に撮影を開始させる。そして、撮影処理部120は、人感センサ117がATM100の操作者を検知しなくなるまで、撮影を継続するようカメラ118を制御する。撮影処理部120は、カメラ118が撮影した撮影画像を取得する。
【0051】
判定部130は、撮影処理部120が取得した撮影画像を画像処理し、カメラ118が塞がれているか否かを判定する。判定部130は、カメラ118から取得した撮影画像をグレースケールに変換する。判定部130は、グレースケールに変換した撮影画像を平滑化する。判定部130は、平滑化した画像を二値化する。例えば、判定部130は、平滑化した画像の階調値が所定値以下の画素を黒、階調値が所定値より大きい画素を白とした画像を生成する。判定部130は、二値化した画像の黒の画素が連続した領域を抽出する。
【0052】
そして、判定部130は、抽出した領域が画像のいずれかの辺上の画素を全て含むか否かおよび抽出した領域の面積が閾値より大きいか否かに基づいて、カメラ118が塞がれているか否かを判定する。判定部130は、抽出した領域が画像のいずれかの辺上の画素を全て含むかつ、抽出した領域の面積が閾値より大きい場合、カメラ118が塞がれていると判定する。
【0053】
通知部140は、判定部130がカメラ118が塞がれていると判定した場合、カメラ118が塞がれていることを端末31に通知する。例えば、通知部140は、カメラ118が塞がれていることを示すメッセージを端末31に送信する。
【0054】
なお、
図5に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。次に、カメラ118が塞がれているか否かを判定するための画像処理について詳細に説明する。
【0055】
図6は、第2の実施の形態の画像処理の一例を示す図である。判定部130は、カメラ118がATM100の操作者を撮影した撮影画像に対する画像処理をし、カメラ118が塞がれているか否かを判定する。
【0056】
まず、判定部130は、カメラ118から取得した撮影画像をグレースケール化して画像41を生成する。画像41は、撮影画像の各画素のRGB値が、階調値に変換された画像である。なお、階調値は、高いほど画素が明るいことを示す。次に、判定部130は、画像41を平滑化し、二値化して画像42を生成する。平滑化では、判定部130は、所定数の画素を1画素に集約し、階調値の範囲である階調数の低減をして、濃淡のばらつきを低減する。例えば、判定部130は、画像41の8×8画素を1画素に集約し、階調数を256から8へ低減する。二値化では、判定部130は、平滑化した画像41の階調値が所定値以下の画素を黒、階調値が所定値より大きい画素を白とする。
【0057】
画像42は、判定部130によって撮影画像を変換した、各画素が黒または白である画像である。判定部130は、画像42における黒の画素の分布からカメラ118が塞がれているか否かを判定する。判定部130は、画像42から黒の画素が連続した領域を抽出する。判定部130は、抽出した領域に画像42のいずれかの辺上の画素が全て含まれるか否かおよび抽出した領域が閾値より大きいか否かを判定する。なお、いずれかの辺上の画素は、左右上下いずれかの最も端の画素である。
【0058】
判定部130は、抽出した領域に画像42のいずれかの辺上の画素が全て含まれるかつ、抽出した領域が閾値より大きい場合、カメラ118が塞がれていると判定する。また、判定部130は、抽出した領域が画像42のいずれの辺上についても、含んでいない画素があるまたは、抽出した領域が閾値以下である場合、カメラ118が塞がれていないと判定する。なお、判定部130は、黒の画素が連続した領域が複数ある場合、例えば、複数の領域全てに対して上記の判定をし、いずれかの領域に対する判定においてカメラ118が塞がれていると判定された場合、カメラ118が塞がれていると判定する。
【0059】
このようにして、判定部130は、カメラ118が塞がれているか否かを判定する。ここで、カメラ118が操作者の手や所持品等の遮蔽物で塞がれる場合、遮蔽物をカメラ118に近づけた方向から遮蔽物が撮影画像に写りこむ。また、カメラ118を塞ぐ遮蔽物は、カメラ118に近い位置に配置されることが多いため、遮蔽物が撮影画像に写りこんだ方向の端の全体が暗くなることが多い。そこで、判定部130は、暗い画素が連続した領域を抽出し、抽出した領域に撮影画像のいずれかの辺上の画素が全て含まれるかつ、抽出した領域が閾値より大きい場合にカメラ118が塞がれていると判定する。これにより、判定部130は、カメラ118が塞がれているか否かを適切に判定できる。
【0060】
ここで、カメラ118が塞がれているか否かを判定する方法として、撮影画像全体が暗くなっている場合にカメラ118が塞がれていると判定する方法も考えられる。しかし、カメラ118の一部が塞がれた場合、撮影画像全体が暗くなっている場合にカメラ118が塞がれていると判定する方法では、カメラ118が塞がれていると判定できない。一方、第2の実施の形態では、判定部130は、端から始まる暗い画素の領域が閾値より大きいか否かに基づいて、カメラ118が塞がれているか否かを判定しているため、カメラ118の一部が塞がれた場合でも適切に判定できる。よって、判定部130は、防犯効果を向上させることができる。
【0061】
また、判定部130は、グレースケール化した撮影画像を平滑化してから、二値化して黒の画素が連続した領域を抽出する。判定部130は、平滑化することによって、撮影画像の濃淡のばらつきを低減し、ノイズを除去できる。これにより、判定部130は、遮蔽物が写りこんだ端の辺上の画素がノイズによって明るくなってしまっていても、ノイズを除去してから領域を抽出でき、抽出した領域に当該辺上の画素が全て含まれると判定できる。よって、判定部130は、平滑化により、カメラ118が塞がれたか否かの判定精度を向上させることができる。
【0062】
次に、ATM100が実行するカメラ塞ぎ判定処理について詳細に説明する。
図7は、カメラ塞ぎ判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0063】
[ステップS11]撮影処理部120は、人感センサ117がATM100の操作者を検知したか否かを判定する。撮影処理部120は、人感センサ117がATM100の操作者を検知したと判定した場合、処理をステップS12に進める。また、撮影処理部120は、人感センサ117がATM100の操作者を検知していないと判定した場合、処理をステップS11に進める。
【0064】
[ステップS12]撮影処理部120は、カメラ118に撮影を開始させ、人感センサ117がATM100の操作者を検知しなくなるまで、撮影を継続するようカメラ118を制御する。撮影処理部120は、カメラ118が撮影した撮影画像を取得する。
【0065】
[ステップS13]判定部130は、カメラ118から取得した撮影画像をグレースケールに変換する。例えば、判定部130は、ステップS12で取得した撮影画像の各画素のRGB値を、階調値に変換した画像41を生成する。
【0066】
[ステップS14]判定部130は、ステップS13でグレースケールに変換した撮影画像を平滑化する。例えば、判定部130は、画像41の所定数の画素を1画素に集約し、階調値の範囲である階調数を低減させる。
【0067】
[ステップS15]判定部130は、ステップS14で平滑化した画像を二値化する。例えば、判定部130は、平滑化した画像41の階調値が所定値以下の画素を黒、階調値が所定値より大きい画素を白とした画像42を生成する。
【0068】
[ステップS16]判定部130は、ステップS15で二値化した画像の黒の画素が連続した領域を抽出する。
[ステップS17]判定部130は、ステップS16で抽出した領域が画像のいずれかの辺上の画素を全て含むか否かを判定する。判定部130は、抽出した領域が画像のいずれかの辺上の画素を全て含むと判定した場合、処理をステップS18に進める。また、判定部130は、抽出した領域が画像のいずれの辺上についても、含んでいない画素があると判定した場合、処理をステップS11に進める。
【0069】
[ステップS18]判定部130は、ステップS16で抽出した領域の面積が閾値より大きいか否かを判定する。判定部130は、抽出した領域の面積が閾値より大きいと判定した場合、処理をステップS19に進める。また、判定部130は、抽出した領域の面積が閾値以下と判定した場合、処理をステップS11に進める。
【0070】
[ステップS19]通知部140は、カメラ118が塞がれていることを端末31に通知する。例えば、通知部140は、カメラ118が塞がれていることを示すメッセージを端末31に送信する。そして、処理がステップS11に進む。
【0071】
このように、ATM100は、カメラ118が撮影した撮影画像から明るさが所定値以下の画素が連続した領域を抽出し、抽出した領域が撮影画像の端の画素を含んでいるか否かおよび閾値より大きいか否かに基づいて、カメラ118が塞がれているか否かを判定する。これにより、ATM100は、カメラ118が塞がれているか否かを適切に判定できる。よって、ATM100は、防犯効果を向上させることができる。
【0072】
また、ATM100は、抽出した領域が撮影画像の四辺のうちのいずれかの辺上の画素を全て含んでいるか否かに基づいて、カメラ118が塞がれているか否かを判定する。ここで、カメラ118を塞ぐ遮蔽物は、カメラ118に近い位置に配置されることが多いため、遮蔽物が撮影画像に写りこんだ方向の端の全体が暗くなることが多い。よって、ATM100は、抽出した領域が辺上の画素を全て含んでいるか否かに基づいて、カメラ118が塞がれているか否かを判定することで、判定精度を向上させることができる。また、ATM100は、撮影画像を平滑化し、平滑化した画像を二値化した画像から黒の画素が連続した領域を抽出する。これにより、ATM100は、撮影画像からノイズを除去することで、判定精度を向上させることができる。
【0073】
そして、ATM100は、カメラ118が塞がれていると判定した場合、カメラ118が塞がれていることを端末31に通知する。これにより、ATM100は、カメラ118が正常に操作者を撮影できていないことをATM100の管理者に通知することができる。
【0074】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 端末
2 撮影画像
2a 領域
10 自動取引装置
11 カメラ
12 制御部