(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113766
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/26 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B65D1/26 110
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018928
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000239138
【氏名又は名称】株式会社エフピコ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】広末 康弘
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA22
3E033CA01
3E033CA04
3E033CA07
3E033CA18
3E033DA08
3E033DD01
3E033FA04
3E033GA03
(57)【要約】
【課題】コーナー部における内容物の視認性に優れ、厚みを薄くしても強度を確保することができる包装用容器を提供する。
【解決手段】平面視矩形状の容器本体1と、容器本体1の開口部を覆う蓋とを備えた、透明の包装用容器であって、容器本体1は、底面部10と、底面部10から立ち上がる本体側面部11と、本体側面部11の外側に設けられる本体フランジ部12とを有し、本体側面部11のコーナー部には、上側に向けて外側に傾斜したコーナー面取り部31が設けられ、コーナー面取り部31は、コーナー面取り部31の主要部を構成する主面取り部40と、主面取り部40の上側に設けられ、主面取り部40よりも水平面に対する傾斜角度が大きい上部面取り部41と、主面取り部40の下側に設けられ、主面取り部40よりも水平面に対する傾斜角度が大きい下部面取り部42とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の容器本体と、容器本体の開口部を覆う蓋とを備えた、透明の包装用容器であって、
容器本体は、底面部と、底面部から立ち上がる本体側面部と、本体側面部の外側に設けられる本体フランジ部とを有し、
本体側面部のコーナー部には、上側に向けて外側に傾斜したコーナー面取り部が設けられ、
コーナー面取り部は、コーナー面取り部の主要部を構成する主面取り部と、主面取り部の上側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい上部面取り部と、主面取り部の下側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい下部面取り部とを有する、包装用容器。
【請求項2】
上部面取り部の水平面に対する傾斜角度は、下部面取り部の水平面に対する傾斜角度よりも大きい、請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
主面取り部の幅は、下側に向けて広がっている、請求項1又は2記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の収容に適した包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品などの容器包装の分野などに使用されているプラスチック製品は、丈夫、軽い、安価、加工しやすい、大量生産が可能である、といった優れた特徴を有しており、生活に欠かせないものとなっている。これらの製品に必要な強度を持たせる場合、厚みのある熱可塑性プラスチックシートを使用すればよいということになる。しかしながら、近年この石油由来のプラスチックの使用をできるだけ減らし、環境にやさしい取り組みが求められており、プラスチックの使用量を削減することが1つのテーマとなっている。
【0003】
下記特許文献1には、側面部のコーナー部の下部に屈曲部を設け、コーナー部の開口部近傍から屈曲部まで延びるV溝状の縦長リブを設けることが記載されている。そして、このようにコーナー部に屈曲部と縦長リブの両方を設けることにより、容器に上から力が作用した場合において、容器の変形を防ぐことができるとされている。
【0004】
しかしながら、V溝状の縦長リブによってコーナー部における視認性が低下する。仮に縦長リブをなくすと、上から力が作用したときに容器が変形するおそれがあるため、強度を確保するためには厚みのあるシートを使用しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに本発明は、コーナー部における内容物の視認性に優れ、厚みを薄くしても強度を確保することができる包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装用容器は、平面視矩形状の容器本体と、容器本体の開口部を覆う蓋とを備えた、透明の包装用容器であって、容器本体は、底面部と、底面部から立ち上がる本体側面部と、本体側面部の外側に設けられる本体フランジ部とを有し、本体側面部のコーナー部には、上側に向けて外側に傾斜したコーナー面取り部が設けられ、コーナー面取り部は、コーナー面取り部の主要部を構成する主面取り部と、主面取り部の上側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい上部面取り部と、主面取り部の下側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい下部面取り部とを有する。
【0008】
この構成によれば、コーナー面取り部の主要部である主面取り部の上側と下側に、それぞれ主面取り部よりも急傾斜である上部面取り部と下部面取り部が設けられている。そのため、容器本体に上から力が作用した際に、コーナー面取り部において、上部面取り部と下部面取り部によって上からの力に対して強く突っ張ることができる。従って、コーナー面取り部の主面取り部に縦リブを設けなくても、コーナー面取り部における強度を容易に確保することができる。そして、主面取り部に縦リブを設けなくて済むので、主面取り部における視認性の低下を抑制することができる。一方、主面取り部が上部面取り部及び下部面取り部よりも緩傾斜であるので、容器本体を下側から掴みやすい。例えば容器本体を下側から持ってカットフルーツ等の食品を容器本体に収容する作業を行う際に、主面取り部に親指等を当てやすく、容器本体を安定して掴むことができる。
【0009】
特に、上部面取り部の水平面に対する傾斜角度は、下部面取り部の水平面に対する傾斜角度よりも大きいことが好ましい。この構成によれば、下部面取り部よりも急傾斜である上部面取り部によって、上からの力をまずしっかりと受け止めることができる。そのため、上からの力に対する強度をより一層向上させることができる。
【0010】
更に、主面取り部の幅は、下側に向けて広がっていることが好ましい。この構成によれば、主面取り部に親指等をより一層容易に当てて容器本体を下側から掴むことができる。また、上部面取り部よりも下部面取り部の方が幅広となるので、下部面取り部から主面取り部にかけて親指等をより一層当てやすくなって、容器本体を掴みやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、主面取り部の上下に急傾斜の上部面取り部と下部面取り部が設けられているので、主面取り部に縦リブを設けなくても十分な強度を確保することができ、容器本体の厚みを抑制することができる。また、主面取り部に縦リブを設けなくて済むので、コーナー面取り部において良好な視認性を確保することができる。しかも、主面取り部が相対的に緩傾斜となっているので、容器本体を下側からしっかりと安定して掴むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の容器本体を底面側から見た斜視図。
【
図4】(a)は
図3のC-C断面図、(b)は
図3のD-D断面図。
【
図5】同包装用容器の開蓋状態を示す、
図2のA-Aに対応した断面図。
【
図7】同包装用容器の閉蓋状態を示す
図6に対応した断面図。
【
図8】同包装用容器の開蓋状態を示す、
図2のB-Bに対応した要部拡大断面図。
【
図9】同包装用容器の閉蓋状態を示す
図8に対応した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器について
図1~
図10を参酌しつつ説明する。容器は、各種の内容物を収容可能な蓋付きの透明容器であって、内容物としては特に各種の食品が好適である。容器の平面視における形状は矩形状であり、容器は、四つの辺部と四つのコーナー部を有している。
図5~
図7は、辺中央部における縦断面図であり、
図8及び
図9は、コーナー部における縦断面図である。
【0014】
図5等に示すように、容器は、上面開口の容器本体1と、容器本体1の開口部を覆って閉塞するように容器本体1に上側から着脱可能に装着される蓋2とを備えている。
【0015】
容器本体1及び蓋2はいわゆるシート成形により形成されている。シート成形としては例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、熱板成形等があり、何れにしても合成樹脂製シートを熱成形することにより形成される。合成樹脂製シートは、例えばポリエチレンテレフタレートやポリスチレンなどのスチレン系樹脂や、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系樹脂などからなり、透明なものが使用される。また、これらのシートを適宜延伸処理した延伸シートは、透明性を担保したまま、耐熱性の向上や強度向上を図れることからより好ましいシートの素材である。
【0016】
<容器本体1>
容器本体1は、平面視矩形状であって、本実施形態では平面視略正方形であるが、平面視略長方形等であってもよい。容器本体1は、底面部10と、底面部10の周縁部から上方に拡開しつつ立ち上がる本体側面部11と、本体側面部11の外側に周設された本体フランジ部12とを備えている。
【0017】
底面部10は、平面視略正方形である。底面部10にはリブ等の凹凸を設けてよい。底面部10の周縁部には下方に向けて脚部13を突設してよい。脚部13は、本実施形態では底面部10の周縁部に周設されているが、例えば四つのコーナー部にのみ設けられてもよい。底面部10から本体側面部11の下部にかけて連続するリブを設けてもよい。
【0018】
図6のように、本体側面部11と本体フランジ部12との間には、本体水平部14と、本体下テーパ部15と、本体嵌合部16と、本体上テーパ部17が設けられている。
図2のように、本体水平部14、本体下テーパ部15、本体嵌合部16、及び、本体上テーパ部17は、全周に亘って設けられ、平面視において角丸正方形状である。本体水平部14は、本体側面部11の上端部から外側に向けて略水平に延びている。本体下テーパ部15は、本体水平部14の外縁部から上側に向けて延びている。本体下テーパ部15は、上側ほど外側に向かう傾斜面であり、順テーパ形状である。本体嵌合部16は、本体下テーパ部15の上端部から上側に向けて延びている。本体嵌合部16は、内嵌合部である。本体嵌合部16の形状は種々であってよいが、本実施形態では、上側ほど内側に向かう傾斜面であって、逆テーパ形状である。本体上テーパ部17は、本体嵌合部16の上端部から上側に向けて延びている。本体上テーパ部17は、本体下テーパ部15と同様に、上側ほど外側に向かう傾斜面であり、順テーパ形状である。
【0019】
本体フランジ部12は、本体上テーパ部17の上端部(外縁部)から外側に向けて延びている。本体フランジ部12は、本体フランジ上面部20と、本体スカート部21と、本体縁取り部22とを有している。
図2のように、本体フランジ上面部20と本体スカート部21は、平面視において角丸正方形状である。本体フランジ上面部20は、本体上テーパ部17の上端部から外側に向けて略水平に延びている。本体スカート部21は、本体フランジ上面部20の外縁部から下側に向けて延びている。本体スカート部21は、下側ほど外側に向かう傾斜面である。
【0020】
本体縁取り部22は、本体スカート部21の下端部から外側に向けて略水平に延びている。本体縁取り部22の少なくとも外周縁側には、極細の多数の凹凸を形成し、補強するとともに、指などがあたっても、指などを切ることがないようにされてよい。この凹凸は、正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が、各辺においては幅方向に短く形成され、角部においては平面視放射方向に沿って形成される。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0021】
本体縁取り部22のコーナー部には、本体摘み部23が設けられている。本体摘み部23は、各コーナー部にそれぞれ設けられるてよい。コーナー部に本体摘み部23が設けられると、本体縁取り部22の外縁部の平面視における角丸形状は、本体フランジ上面部20及び本体スカート部21の角丸形状よりも曲率半径が小さくなって尖った形状となる。
【0022】
<本体側面部11>
本体側面部11は、底面部10の周縁部から外側に拡開しつつ延びている。即ち、本体側面部11は、全体として上側ほど外側に傾斜した順テーパ形状である。本体側面部11は、底面部10と本体水平部14の間に設けられ、底面部10と本体水平部14を上下に連結している。本体側面部11は、正方形(四角形)の四つの辺に対応して設けられた四つの主側面部30と、正方形の四つの頂点に対応する各コーナー部に設けられた四つのコーナー面取り部31とを有する。本実施形態では、四つの主側面部30は全て同一形状であるが異なっていてもよい。同様に、四つのコーナー面取り部31は、全て同一形状であるが異なっていてもよい。コーナー面取り部31は、左右に隣り合う一対の主側面部30同士の間に設けられる。主側面部30は、全体として、上側ほど幅広となる形状であり、コーナー面取り部31は、全体として、下側ほど幅広となる形状であってよい。
【0023】
<主側面部30>
主側面部30は、本体側面部11の大部分を占めている。主側面部30は、底面部10の周縁部の辺部から上側に向けて外側に傾斜しつつ立ち上がっている。主側面部30は、平面状であって、その周縁部を除く主要部分には凹凸が形成されていない。尚、主側面部30の上端部には、容器本体1同士を上下に重ね合わせた際に容器本体1同士がきつく嵌り合って離れなくなる現象(ブロッキング現象)を防止するためのブロッキング防止用凸部32が形成されることが好ましい。また、主側面部30の下端部には、底面部10から連続するリブが設けられてもよい。尚、主側面部30は、本実施形態では湾曲していない平面であるが、上下方向や左右方向に沿って内側あるいは外側に向けて湾曲した湾曲面であってもよい。主側面部30は、上側ほど外側に傾斜した傾斜面である。主側面部30の水平面に対する傾斜角度θ1は、90度よりも小さい。尚、水平面に対する傾斜角度を単に傾斜角度という。
【0024】
<コーナー面取り部31>
コーナー面取り部31は、本体側面部11の上下方向の全長(全高)に亘って設けられている。即ち、コーナー面取り部31は、底面部10と本体水平部14との間の上下方向の全長に亘って設けられている。コーナー面取り部31は、主面取り部40と上部面取り部41と下部面取り部42を有する。コーナー面取り部31は、主面取り部40と上部面取り部41と下部面取り部42によって上下三つの領域に区画される。上から、上部面取り部41、主面取り部40、下部面取り部42という順で配置されている。
【0025】
<主面取り部40>
主面取り部40は、コーナー面取り部31の主要部を構成している。主面取り部40は、コーナー面取り部31の上下方向の中央部に位置している。主面取り部40の上下方向の長さは、上部面取り部41の上下方向の長さよりも長く、下部面取り部42の上下方向の長さよりも長い。主面取り部40は、コーナー面取り部31のうちで最も上下方向の長さが長い部分である。主面取り部40の上下方向の長さは、コーナー面取り部31の上下方向の全長の1/3を越える。主面取り部40の幅(左右方向の寸法)は、下側ほど広くなっていることが好ましい。詳細には、主面取り部40の幅は、下側に向けて徐々に広くなっていて、より詳細には、一定の比率で下側に向けて増加している。主面取り部40を正面から見たとき、主面取り部40の形状は、略台形である。主面取り部40は、上下方向及び左右方向に湾曲していない平面であることが好ましい。主面取り部40は、上側ほど外側に向けて傾斜した傾斜面である。即ち、主面取り部40は、順テーパ形状である。主面取り部40の傾斜角度θ2は、主側面部30の傾斜角度θ1よりも小さい。主面取り部40は、主側面部30よりも緩傾斜である。主面取り部40の傾斜角度θ2は、主側面部30の傾斜角度θ1に対して、5度~30度小さいことが好ましく、10度~20度小さいことがより好ましい。
【0026】
<上部面取り部41>
上部面取り部41は、主面取り部40の上側に位置し、主面取り部40から上側に延びている。上部面取り部41は、主面取り部40と本体水平部14の間に位置し、主面取り部40と本体水平部14を上下に連結している。上部面取り部41の幅は、種々であってよいが、上下方向に沿って略一定であるか、あるいは、下側に向けて若干狭くなっていてよい。上部面取り部41を正面から見たとき、上部面取り部41の形状は、略正方形、あるいは、略逆台形である。上部面取り部41は、上下方向及び左右方向に湾曲していない平面であることが好ましい。上部面取り部41は、上側ほど外側に向けて傾斜した傾斜面である。即ち、上部面取り部41は、順テーパ形状である。
【0027】
上部面取り部41の傾斜角度θ3は、主面取り部40の傾斜角度θ2よりも大きい。上部面取り部41は、主面取り部40よりも急傾斜である。上部面取り部41の傾斜角度θ3は、主面取り部40の傾斜角度θ2に対して、0.5度~30度大きいことが好ましく、5度~25度大きいことがより好ましく、10度~20度大きいことがより一層好ましい。上部面取り部41の傾斜角度θ3と主面取り部40の傾斜角度θ2との差が10度以上となることで、上部面取り部41による上からの力に対する突っ張り力の効果が顕著に得られる一方、上部面取り部41の傾斜角度θ3と主面取り部40の傾斜角度θ2との差が20度以下となることで、主面取り部40の傾斜が緩くなり過ぎない。上部面取り部41の傾斜角度θ3は、主側面部30の傾斜角度θ1と同じか、あるいは、それよりも小さいことが好ましく、上部面取り部41は、主側面部30と同じ勾配の傾斜かあるいはそれよりも緩傾斜であることが好ましい。上部面取り部41の傾斜角度θ3は、主側面部30の傾斜角度θ1に対して、0度~10度小さいことが好ましく、0度~5度小さいことがより好ましい。
【0028】
上部面取り部41と主面取り部40の間の境界部には、折り曲げ部43が設けられている。折り曲げ部43は、横方向に延びている。折り曲げ部43において、上部面取り部41は、主面取り部40に対して、容器内側に向けて折れ曲がっている。
【0029】
<下部面取り部42>
下部面取り部42は、主面取り部40の下側に位置し、主面取り部40から下側に延びている。下部面取り部42は、主面取り部40と底面部10の間に位置し、主面取り部40と底面部10を上下に連結している。下部面取り部42の上下方向の長さは、上部面取り部41の上下方向の長さよりも長い。下部面取り部42の上端の幅は、上部面取り部41の下端の幅よりも広い。下部面取り部42は、上部面取り部41よりも面積が大きい。下部面取り部42の幅は、種々であってよいが、本実施形態では、下側に向けて狭くなっている。下部面取り部42を正面から見たとき、下部面取り部42の形状は、略逆台形である。下部面取り部42は、上下方向及び左右方向に湾曲していない平面であることが好ましい。下部面取り部42は、上側ほど外側に向けて傾斜した傾斜面である。即ち、下部面取り部42は、順テーパ形状である。
【0030】
下部面取り部42の傾斜角度θ4は、主面取り部40の傾斜角度θ2よりも大きい。下部面取り部42は、主面取り部40に対して容器外側に向けて折れ曲がっている。下部面取り部42は、主面取り部40よりも急傾斜である。下部面取り部42の傾斜角度θ4は、主面取り部40の傾斜角度θ2に対して、1度~45度大きいことが好ましく、1度~10度大きいことがより好ましく、1度~5度大きいことがより一層好ましい。下部面取り部42の傾斜角度θ4と主面取り部40の傾斜角度θ2との差が1度以上となることで、下部面取り部42による上からの力に対する突っ張り力の効果が得られる一方、下部面取り部42の傾斜角度θ4と主面取り部40の傾斜角度θ2との差が5度以下となることで、主面取り部40の傾斜が緩くなり過ぎない。
【0031】
但し、上部面取り部41の傾斜角度θ3は、下部面取り部42の傾斜角度θ4よりも大きいことが好ましい。即ち、上部面取り部41は、下部面取り部42よりも急傾斜であることが好ましい。コーナー面取り部31において上部面取り部41が最も急傾斜であってよい。上部面取り部41の傾斜角度θ3は、下部面取り部42の傾斜角度θ4に対して、1度~20度大きいことが好ましく、1度~15度大きいことがより好ましい。下部面取り部42の傾斜角度θ4は、主側面部30の傾斜角度θ1よりも小さいことが好ましく、下部面取り部42は、主側面部30よりも緩傾斜であることが好ましい。下部面取り部42の傾斜角度θ4は、主面取り部40の傾斜角度θ2に対して、1度~30度大きいことが好ましく、5度~15度大きいことがより好ましい。
【0032】
下部面取り部42と主面取り部40の境界部には、段差部44が設けられてよい。段差部44の容器内外方向の寸法は1mm程度と小さい。尚、下部面取り部42と主面取り部40の境界部に、上部面取り部41と主面取り部40の境界部と同様に折り曲げ部が設けられてよい。また、上部面取り部41と主面取り部40の境界部に段差部が設けられてもよい。段差部44は、横方向に延びている。段差部44が設けられることにより、下部面取り部42の上端部は、主面取り部40の下端部に対して容器内側に位置する。
【0033】
<補助面取り部45>
下部面取り部42の左右両側にはそれぞれ補助面取り部45が設けられてよい。補助面取り部45は、下部面取り部42と主側面部30との間に設けられる。左右一対の補助面取り部45は互いに左右対称形状であって且つ左右対称に配置されてよい。補助面取り部45の正面視における形状は任意であるが、例えば本実施形態のように上側ほど幅狭となる形状であって詳細には三角形であってよい。補助面取り部45は、下部面取り部42に対して容器内側に折れ曲がっている。
【0034】
<境界リブ46>
主側面部30と上部面取り部41との境界部や、主側面部30と主面取り部40との境界部、主側面部30と下部面取り部42との境界部あるいは補助面取り部45との境界部には、上下方向に延びる幅1mm程度の境界リブ46を設けてよい。境界リブ46は、外側に向けて突出する突条であってよい。境界リブ46の断面形状は例えば断面視略円弧状であってよい。境界リブ46は、細い筋状のもので、視認性への影響を実質的に及ぼさない程度のものとされる。このように境界部に細幅の境界リブ46を設けると、コーナー部における視認性を確保しつつ強度を向上させることができる。
【0035】
<蓋2>
蓋2は、容器本体1に対応した平面視形状に形成されており、本実施形態では平面視正方形状である。蓋2は、天面部50と、天面部50の周縁部から下側に向けて拡開しつつ降下する蓋側面部51と、蓋側面部51の外側に周設された蓋フランジ部52とを備えている。
図6のように、蓋側面部51と蓋フランジ部52との間には、蓋水平部53と、蓋下テーパ部54と、蓋嵌合部55と、蓋上テーパ部56が周設されている。蓋水平部53は、蓋側面部51の下端部から外側に向けて略水平に延びている。蓋水平部53は、本体水平部14に対応する。蓋下テーパ部54は、蓋水平部53の外縁部から上側に向けて延びている。蓋下テーパ部54は、上側ほど外側に向かう傾斜面であり、順テーパ形状である。蓋下テーパ部54は、本体下テーパ部15に対応する。蓋嵌合部55は、蓋下テーパ部54の上端部から上側に向けて延びている。蓋嵌合部55は、内嵌合部であり、本体嵌合部16の内側に嵌合する。蓋嵌合部55の形状は種々であってよいが、本実施形態では、上側ほど内側に向かう傾斜面であって、逆テーパ形状である。蓋上テーパ部56は、蓋嵌合部55の上端部から上側に向けて延びている。蓋上テーパ部56は、蓋下テーパ部54と同様に、上側ほど外側に向かう傾斜面であり、順テーパ形状である。蓋上テーパ部56は、本体上テーパ部17に対応する。
【0036】
蓋フランジ部52は、蓋上テーパ部56の上端部(外縁部)から外側に向けて延びている。蓋フランジ部52は、本体フランジ部12に対応する。蓋フランジ部52は、蓋フランジ上面部60と、蓋スカート部61と、蓋縁取り部62とを有している。蓋フランジ上面部60は、蓋上テーパ部56の上端部から外側に向けて略水平に延びている。蓋フランジ上面部60は、本体フランジ上面部20に対応する。蓋スカート部61は、蓋フランジ上面部60の外縁部から下側に向けて延びている。蓋スカート部61は、下側ほど外側に向かう傾斜面である。蓋スカート部61は、本体スカート部21に対応する。蓋縁取り部62は、蓋スカート部61の下端部から外側に向けて略水平に延びている。蓋縁取り部62の少なくとも外周縁側には、本体縁取り部22と同様に、極細の多数の凹凸が形成されてよい。
図8及び
図9のように、蓋縁取り部62のコーナー部には、蓋摘み部63が設けられてよい。蓋縁取り部62は、本体縁取り部22に対応し、蓋摘み部63は本体摘み部23に対応する。尚、開蓋作業を容易にすべく、本体摘み部23には上向き突起24を設けてよく、蓋摘み部63には下向き突起64を設けてよい。上向き突起24と下向き突起64は、例えば半球状としてよい。
【0037】
図7は、辺中央部における断面図を示している。
図7のように、閉蓋状態において、本体水平部14に蓋水平部53が上側から当接して重なり合う。本体下テーパ部15の上側に蓋下テーパ部54が対峙し、本体上テーパ部17の上側に蓋下テーパ部54が対峙する。そして、本体嵌合部16の内側に蓋嵌合部55が嵌合する。また、本体フランジ上面部20の上側に蓋フランジ上面部60が当接、あるいは、若干の隙間を介して重なり合う。
【0038】
開蓋状態から閉蓋状態にする際には、内嵌合容器であるため、蓋2を容器本体1に上側から強く押し付ける必要がある。特に、平面視矩形状の容器においては、各コーナー部が嵌合しにくい箇所であるため、各コーナー部においては辺中央部よりも蓋2を容器本体1に強く押し付けることが必要となる。
【0039】
図8及び
図9は、コーナー部における断面図を示している。コーナー部には、主面取り部40よりも急傾斜の上部面取り部41と下部面取り部42が設けられているので、蓋2を容器本体1に押し付けて内嵌合させる際に、急傾斜の上部面取り部41及び下部面取り部42が上側からの押圧力に対してしっかりと突っ張って上側からの押圧力に対向することになる。そのため、シート厚を薄くしても、容器本体1の強度を確保することができ、閉蓋作業の際における容器本体1の変形を抑制することができる。
【0040】
特に、上部面取り部41が下部面取り部42よりも急傾斜であるため、本体水平部14に大きな力が作用しても、上部面取り部41が本体水平部14をしっかりと支えることができる。そして、主面取り部40の下側に急傾斜の下部面取り部42が設けられているので、上部面取り部41と主面取り部40が外側に傾斜しようとしても、下部面取り部42が突っ張り機能を発揮してそれを抑制する。従って、本体嵌合部16に蓋嵌合部55をしっかりと、しかも、確実に嵌合させることができる。
【0041】
一方、コーナー面取り部31の主要部を構成する主面取り部40が緩傾斜であるので、例えば
図10のように容器本体1を下側から把持する際に、親指等を主面取り部40に当てて容器本体1をしっかりと安定して持つことができる。特に、主面取り部40が下側に向けて幅広に形成されているので、上を向く親指等を主面取り部40に容易に当てて容器本体1を下側から掴むことができる。しかも、下部面取り部42も幅広となるので、下部面取り部42から主面取り部40にかけて親指等を容易に当てることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 容器本体
2 蓋
10 底面部
11 本体側面部
12 本体フランジ部
13 脚部
14 本体水平部
15 本体下テーパ部
16 本体嵌合部
17 本体上テーパ部
20 本体フランジ上面部
21 本体スカート部
22 本体縁取り部
23 本体摘み部
24 上向き突起
30 主側面部
31 コーナー面取り部
32 ブロッキング防止用凸部
40 主面取り部
41 上部面取り部
42 下部面取り部
43 折り曲げ部
44 段差部
45 補助面取り部
46 境界リブ
50 天面部
51 蓋側面部
52 蓋フランジ部
53 蓋水平部
54 蓋下テーパ部
55 蓋嵌合部
56 蓋上テーパ部
60 蓋フランジ上面部
61 蓋スカート部
62 蓋縁取り部
63 蓋摘み部
64 下向き突起
θ1 主側面部の傾斜角度
θ2 主面取り部の傾斜角度
θ3 上部面取り部の傾斜角度
θ4 下部面取り部の傾斜角度
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の容器本体と、容器本体の開口部を覆う蓋とを備えた、透明の包装用容器であって、
容器本体は、底面部と、底面部から立ち上がる本体側面部と、本体側面部の外側に設けられる本体フランジ部とを有し、
本体側面部のコーナー部には、上側に向けて外側に傾斜したコーナー面取り部が設けられ、
コーナー面取り部は、コーナー面取り部の主要部を構成する主面取り部と、主面取り部の上側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい上部面取り部と、主面取り部の下側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい下部面取り部とを有し、
主面取り部と上部面取り部と下部面取り部は、それぞれ上下方向及び左右方向にて平面状に形成され、
上部面取り部の水平面に対する傾斜角度は、下部面取り部の水平面に対する傾斜角度よりも大きい、包装用容器。
【請求項2】
主面取り部の上下方向の長さは、上部面取り部の上下方向の長さよりも長く、下部面取り部の上下方向の長さよりも長い、請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
主面取り部の幅は、下側に向けて広がっている、請求項1又は2記載の包装用容器。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の容器本体と、容器本体の開口部を覆う蓋とを備えた、透明の包装用容器であって、
容器本体は、底面部と、底面部から立ち上がる本体側面部と、本体側面部の外側に設けられる本体フランジ部とを有し、
本体側面部のコーナー部には、上側に向けて外側に傾斜したコーナー面取り部が設けられ、
コーナー面取り部は、コーナー面取り部の主要部を構成する主面取り部と、主面取り部の上側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい上部面取り部と、主面取り部の下側に設けられ、主面取り部よりも水平面に対する傾斜角度が大きい下部面取り部とを有し、
主面取り部と上部面取り部と下部面取り部は、それぞれ上下方向及び左右方向にて湾曲しておらず凹凸が形成されていない平面に形成され、
上部面取り部の水平面に対する傾斜角度は、下部面取り部の水平面に対する傾斜角度よりも大きく、
主面取り部の上下方向の長さは、上部面取り部の上下方向の長さ及び下部面取り部の上下方向の長さよりも長く、
下部面取り部の上下方向の長さは、上部面取り部の上下方向の長さよりも長く、
主面取り部の幅は、下側に向けて広がっており、下部面取り部の上端の幅は、上部面取り部の下端の幅よりも広い、包装用容器。