(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113771
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】充電コネクタ及び充電コネクタ製品群
(51)【国際特許分類】
H01R 24/20 20110101AFI20240816BHJP
【FI】
H01R24/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018945
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】覚田 聖
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AB30
5E223AB62
5E223AB64
5E223AC35
5E223BA01
5E223BA06
5E223BB04
5E223CB21
5E223CB26
5E223EA03
5E223EA17
5E223EA33
(57)【要約】
【課題】電力線と電力端子とを直接接続しつつ、電力線の引き出し方向の違いに対応できるようにすることを目的とする。
【解決手段】充電コネクタ10は、外部充電コネクタの給電端子と接続される筒状の接続筒部32と、厚み方向に曲がりつつ前記接続筒部32の後方に延びる板状の接続板部33とを含む電力端子31と、前記接続筒部32を保持するハウジング20と、前記接続板部33に接合された電力線39と、を備える。前記接続板部33は、第1板部34と、前記第1板部34の前端に設けられた前側壁部36とを有する。前記第1板部34は、前記厚み方向において互いに逆を向く第1面35A及び第2面35Bを有する。前記接続筒部32の中心軸CA及び前記前側壁部36が、共に前記第1板部34に対して前記第1面35A側に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されると共に外部充電コネクタと接続される充電コネクタであって、
前記外部充電コネクタの給電端子と接続される筒状の接続筒部と、厚み方向に曲がりつつ前記接続筒部の後方に延びる板状の接続板部とを含む電力端子と、
前記接続筒部を保持するハウジングと、
前記接続板部に接合された電力線と、
を備え、
前記接続板部は、第1板部と、前記第1板部の前端に設けられた前側壁部とを有し、
前記第1板部は、前記厚み方向において互いに逆を向く第1面及び第2面を有し、
前記接続筒部の中心軸及び前記前側壁部が、共に前記第1板部に対して前記第1面側に設けられている、充電コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の充電コネクタであって、
前記電力端子及び前記電力線の組は、前記電力線が前記前側壁部に接触して位置決めされつつ前記第1板部の前記第1面に接合されている組を含む、充電コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の充電コネクタであって、
前記給電端子と前記接続筒部との接続方向を第1方向とすると、
前記電力線は、前記第1板部に接合されて前記第1方向と交差する方向に延び、
前記電力端子及び前記電力線の組は、前記電力線が前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記電力線の側部が前記前側壁部に接触して位置決めされている組を含む、充電コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載の充電コネクタであって、
前記電力端子は、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1電力端子と第2電力端子とを含み、
前記電力線は、前記第1電力端子に接続される第1電力線と、前記第2電力端子に接続される第2電力線とを含み、
前記第1電力線及び前記第2電力線は、前記第2方向に延びる、充電コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の充電コネクタであって、
前記第1電力端子及び前記第1電力線の組において、前記第1電力線が前記第1電力端子の前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記第1電力線の側部が前記第1電力端子の前記前側壁部に接触して位置決めされており、
前記第2電力端子及び前記第2電力線の組において、前記第2電力線が前記第2電力端子の前記第1板部の前記第2面に接続されており、
前記第1電力端子と前記第2電力端子とが前記厚み方向に沿って互いに逆向きに配置されている、充電コネクタ。
【請求項6】
請求項3に記載の充電コネクタであって、
前記電力端子は、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1電力端子と第2電力端子とを含み、
前記電力線は、前記第1電力端子に接続される第1電力線と、前記第2電力端子に接続される第2電力線とを含み、
前記第1電力線及び前記第2電力線は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに交差する第3方向に延びる、充電コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載の充電コネクタであって、
前記第1電力端子及び前記第1電力線の組において、前記第1電力線が前記第1電力端子の前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記第1電力線の側部が前記第1電力端子の前記前側壁部に接触して位置決めされており、
前記第2電力端子及び前記第2電力線の組において、前記第2電力線が前記第2電力端子の前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記第2電力線の側部が前記第2電力端子の前記前側壁部に接触して位置決めされており、
前記第1電力端子と前記第2電力端子とが、前記第1面同士が対向するように互いに逆向きに配置されている、充電コネクタ。
【請求項8】
請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の充電コネクタであって、
前記ハウジングに保持される信号端子と、
前記信号端子に接続される信号線と、
を備え、
前記第1方向に沿って見たときに、前記第1板部又は前記電力線が前記信号端子と重なる位置にあり、
前記接続板部は、前記前側壁部のうち前記第1板部と連なる端部とは反対側の端部から前記接続筒部に向けて延びる第2板部を有する、充電コネクタ。
【請求項9】
請求項1に記載の充電コネクタであって、
前記電力線が、前記給電端子と前記接続筒部との接続方向に延びる、充電コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載の充電コネクタであって、
前記接続板部は、前記前側壁部のうち前記第1板部と連なる端部とは反対側の端部から前記接続筒部に向けて延びると共に前記電力線と接合されている第2板部を有し、
前記電力線のうち長手方向に沿った中間部は円形状を有し、前記電力線のうち前記第2板部との接合部分は前記円形状が潰れた形状を有している、充電コネクタ。
【請求項11】
請求項4に記載の充電コネクタと、請求項6に記載の充電コネクタと、請求項9に記載の充電コネクタとからなる群のうち2種以上の充電コネクタを備え、
前記2種以上の充電コネクタに対応可能で、前記電力端子の形状が互いに同じである、充電コネクタ製品群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電コネクタ及び充電コネクタ製品群に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両のバッテリを充電するために車両に搭載されて、外部の給電プラグと接続される充電コネクタを開示している。当該充電コネクタにおいて、パワー電線は、固定端子を介して接続端子と接続されている。また当該充電コネクタにおいて、パワー電線の取付方向の違いに、当該固定端子の向きを変えることによって対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電コネクタにおいて、固定端子を用いずとも、パワー電線の取付方向(引き出し方向)の違いに対応できることが望まれている。
【0005】
そこで、電力線と電力端子とを直接接続しつつ、電力線の引き出し方向の違いに対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の充電コネクタは、車両に搭載されると共に外部充電コネクタと接続される充電コネクタであって、前記外部充電コネクタの給電端子と接続される筒状の接続筒部と、厚み方向に曲がりつつ前記接続筒部の後方に延びる板状の接続板部とを含む電力端子と、前記接続筒部を保持するハウジングと、前記接続板部に接合された電力線と、を備え、前記接続板部は、第1板部と、前記第1板部の前端に設けられた前側壁部とを有し、前記第1板部は、前記厚み方向において互いに逆を向く第1面及び第2面を有し、前記接続筒部の中心軸及び前記前側壁部が、共に前記第1板部に対して前記第1面側に設けられている、充電コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電力線と電力端子とを直接接続しつつ、電力線の引出方向の違いに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる充電コネクタを示す背面図である。
【
図2】
図2は
図1のII-II線に沿って切断された断面図である。
【
図3】
図3は充電コネクタを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は電力端子にかかる端子付き電線を示す斜視図である。
【
図6】
図6は実施形態2にかかる充電コネクタを示す背面図である。
【
図8】
図8は電力端子にかかる端子付き電線を示す斜視図である。
【
図9】
図9は実施形態3にかかる充電コネクタを示す背面図である。
【
図11】
図11は電力端子にかかる端子付き電線を示す斜視図である。
【
図12】
図12は変形例にかかる端子付き電線を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の充電コネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)車両に搭載されると共に外部充電コネクタと接続される充電コネクタであって、前記外部充電コネクタの給電端子と接続される筒状の接続筒部と、厚み方向に曲がりつつ前記接続筒部の後方に延びる板状の接続板部とを含む電力端子と、前記接続筒部を保持するハウジングと、前記接続板部に接合された電力線と、を備え、前記接続板部は、第1板部と、前記第1板部の前端に設けられた前側壁部とを有し、前記第1板部は、前記厚み方向において互いに逆を向く第1面及び第2面を有し、前記接続筒部の中心軸及び前記前側壁部が、共に前記第1板部に対して前記第1面側に設けられている、充電コネクタである。
【0012】
(1)の充電コネクタによると、電力線と電力端子とが接合によって直接接続される。また、接続板部が前側壁部及び第1板部を有するため、電力線が電力端子から側方に延びる場合にも電力線を接続板部に直接接続できる。これらより、電力線と電力端子とを直接接続しつつ、電力端子に接続される電力線の向きの違いに対応できる。
【0013】
(2)(1)の充電コネクタにおいて、前記電力端子及び前記電力線の組は、前記電力線が前記前側壁部に接触して位置決めされつつ前記第1板部の前記第1面に接合されている組を含んでもよい。これにより、電力端子と電力線との接合時に、第1板部及び前側壁部によって生じる段差を用いて、電力線の位置決めをすることができる。
【0014】
(3)(1)又は(2)の充電コネクタにおいて、前記給電端子と前記接続筒部との接続方向を第1方向とすると、前記電力線は、前記第1板部に接合されて前記第1方向と交差する方向に延び、前記電力端子及び前記電力線の組は、前記電力線が前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記電力線の側部が前記前側壁部に接触して位置決めされている組を含んでもよい。これにより、第1電力線及び第2電力線が、充電コネクタの接続方向と交差する方向に引き出される場合に対応できる。
【0015】
(4)(3)の充電コネクタにおいて、前記電力端子は、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1電力端子と第2電力端子とを含み、前記電力線は、前記第1電力端子に接続される第1電力線と、前記第2電力端子に接続される第2電力線とを含み、前記第1電力線及び前記第2電力線は、前記第2方向に延びてもよい。これにより、第1電力線及び第2電力線が、電力端子の並列方向に引き出される場合に対応できる。
【0016】
(5)(4)の充電コネクタにおいて、前記第1電力端子及び前記第1電力線の組において、前記第1電力線が前記第1電力端子の前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記第1電力線の側部が前記第1電力端子の前記前側壁部に接触して位置決めされており、前記第2電力端子及び前記第2電力線の組において、前記第2電力線が前記第2電力端子の前記第1板部の前記第2面に接続されており、前記第1電力端子と前記第2電力端子とが前記厚み方向に沿って互いに逆向きに配置されていてもよい。これにより、電力線が太い場合にも、第1電力線及び第2電力線を、電力端子の並列方向に引き出すことができる。
【0017】
(6)(3)の充電コネクタにおいて、前記電力端子は、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1電力端子と第2電力端子とを含み、前記電力線は、前記第1電力端子に接続される第1電力線と、前記第2電力端子に接続される第2電力線とを含み、前記第1電力線及び前記第2電力線は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに交差する第3方向に延びてもよい。これにより、第1電力線及び第2電力線が、充電コネクタの接続方向及び電力端子の並列方向に交差する方向に引き出される場合に対応できる。
【0018】
(7)(6)の充電コネクタにおいて、前記第1電力端子及び前記第1電力線の組において、前記第1電力線が前記第1電力端子の前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記第1電力線の側部が前記第1電力端子の前記前側壁部に接触して位置決めされており、前記第2電力端子及び前記第2電力線の組において、前記第2電力線が前記第2電力端子の前記第1板部の前記第1面に接合され、かつ、前記第2電力線の側部が前記第2電力端子の前記前側壁部に接触して位置決めされており、前記第1電力端子と前記第2電力端子とが、前記第1面同士が対向するように互いに逆向きに配置されていてもよい。これにより、第1電力端子と第2電力端子とが互いに第2面を対向させる場合と比べて、第1電力端子の第1板部と第2電力端子の第1板部との距離を大きくすることができる。
【0019】
(8)(3)から(7)のいずれか1つの充電コネクタにおいて、前記ハウジングに保持される信号端子と、前記信号端子に接続される信号線と、を備え、前記第1方向に沿って見たときに、前記第1板部又は前記電力線が前記信号端子と重なる位置にあり、前記接続板部は、前記前側壁部のうち前記第1板部と連なる端部とは反対側の端部から前記接続筒部に向けて延びる第2板部を有してもよい。これにより、第2板部があることによって、前側壁部と接続筒部とが連結される場合と比べて第1板部が後方に位置することができ、信号線を引出やすくなる。
【0020】
(9)(1)の充電コネクタにおいて、前記電力線が、前記給電端子と前記接続筒部との接続方向に延びてもよい。これにより、電力線が、充電コネクタの接続方向に引き出される場合に対応できる。
【0021】
(10)(9)の充電コネクタにおいて、前記接続板部は、前記前側壁部のうち前記第1板部と連なる端部とは反対側の端部から前記接続筒部に向けて延びると共に前記電力線と接合されている第2板部を有し、前記電力線のうち長手方向に沿った中間部は円形状を有し、前記電力線のうち前記第2板部との接合部分は前記円形状が潰れた形状を有していてもよい。電力線は、接合部分における潰れた形状から円形状に戻るまでに距離を有し、当該距離は、通常、電力線が太くなるほど大きくなる。この場合でも、電力線が第2板部に接合されていることによって、第1板部と接合される場合と比べて、円形状に戻る部分を接続筒部に近くすることができる。
【0022】
(11)また、本開示の充電コネクタ製品群は、(4)の充電コネクタと、(6)の充電コネクタと、(9)の充電コネクタとからなる群のうち2種以上の充電コネクタを備え、前記2種以上の充電コネクタに対応可能で、前記電力端子の形状が互いに同じである、充電コネクタ製品群である。これにより、1種類の電力端子を用いて、電力線の引出方向の違いに対応できる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の充電コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる充電コネクタについて説明する。
図1は実施形態1にかかる充電コネクタ10を示す背面図である。
図1には互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向が記載されている。
図1以降の図に記載のX方向、Y方向及びZ方向は、
図1に記載のX方向、Y方向及びZ方向に対応する。
図2は
図1のII-II線に沿って切断された断面図である。なお、
図2において、端子付き電線30は断面図として示していない。
図3は充電コネクタ10を示す分解斜視図である。
図4は充電コネクタ10を示す側面図である。
図5は電力端子31にかかる端子付き電線30を示す斜視図である。
【0025】
充電コネクタ10は、車両に搭載される。
図2に示すように、車両のバッテリの充電時などに、充電コネクタ10は外部充電コネクタ80と接続される。外部充電コネクタ80は外部ハウジング81と給電端子82とを備える。本開示において、充電コネクタ10の前後に関し、外部充電コネクタ80と接続される側(
図2の紙面上側)を前とし、その反対側(
図2の紙面下側)を後ろとする。また、本開示において、係る充電コネクタ10の前後方向を第1方向とする。ここでは第1方向は、図面におけるX方向である。
【0026】
充電コネクタ10は、ハウジング20と端子と電線と第1リテーナ50と第2リテーナ60とを備える。端子及び電線の種類及び数は、通常、充電コネクタ10の規格などによって定められる。ここでは、充電コネクタ10は、2組の電力端子31及び電力線39と、4組の信号端子44及び信号線45と、1組のアース端子47及びアース線48とを備える。なお、
図2から
図4では、アース線48と、一部または全部の信号線45とが省略されている。ハウジング20における端子の配列も、通常、充電コネクタ10の規格などによって定められる。ここでは、2つの電力端子31と、4つの信号端子44と、1つのアース端子47とが以下のように配置されている。
【0027】
2つの電力端子31は、第1方向(X方向)と交差する方向に並んでいる。本開示において、2つの電力端子31の並列方向を第2方向とし、第1方向及び第2方向のそれぞれに交差する方向を第3方向とする。ここでは第2方向は図面におけるY方向であり、第3方向は図面におけるZ方向である。4つの信号端子44及び1つのアース端子47が、第2方向に沿って一列に並ぶと共に、第3方向に沿って2つの電力端子31の一方側に離れて配置される。アース端子47は、第2方向に沿って2つの電力端子31の間に位置し、アース端子47の両側それぞれに2つの信号端子44が位置する。
【0028】
ハウジング20はハウジング本体21とフランジ23とを含む。ハウジング本体21にキャビティ22が形成されている。キャビティ22の数及び配列は、端子の数及び配列に応じて適宜設定される。ここではハウジング本体21には端子の数に応じた7つのキャビティ22が、端子の配列に応じた位置に形成される。電力端子31等の端子は、第1方向に沿って、ハウジング本体21の後ろからキャビティ22へ挿入される。キャビティ22に電力端子31等の端子が収容されることによって、ハウジング本体21は端子を保持する。ハウジング本体21は外部ハウジング81と嵌合する形状に形成される。充電コネクタ10と外部充電コネクタ80との接続時に、ハウジング本体21と外部ハウジング81とが嵌合することによって、電力端子31等の端子と、給電端子82等の外部端子との接続をガイドする。
【0029】
フランジ23はハウジング本体21の前側においてハウジング本体21の外周から外側に突出する。フランジ23に車両への固定部24が設けられる。ここでは、固定部24として締結孔が形成され、車体のパネルなどにボルト締結される。もっとも固定部24としては特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。なお、フランジ23は、ハウジング本体21と一体に成形されてもよい。つまり、ハウジング20は、ハウジング本体21及びフランジ23を有する1つの樹脂成形品であってもよい。フランジ23は、ハウジング本体21と別体に成形されてもよい。つまり、互いに別体の樹脂成形品であるハウジング本体21及びフランジ23が、ボルト締結等によって合体してハウジング20を形成していてもよい。
【0030】
各電力端子31は、筒状の接続筒部32と板状の接続板部33とスタビライザ38とを含む。電力端子31の長手方向一端に接続筒部32が設けられ、他端に接続板部33が設けられる。スタビライザ38は、接続筒部32と接続板部33との間に設けられる。ここでは電力端子31は導体板が折曲げられて形成されたプレス端子である。
【0031】
接続筒部32は、外部充電コネクタ80の給電端子82と接続される部分である。ハウジング20は接続筒部32を保持する。接続筒部32がハウジング20に収められた状態で、電力端子31の長手方向が第1方向となる。ここでは接続筒部32はメス端子構造を有している。接続筒部32の先端には給電端子82のオス端子構造が挿入される開口が形成されている。ここでは接続筒部32の基端部はC字板状に形成されている。接続筒部32の先端部は、長手方向に延びるスリットによって周方向に互いに分割されている。従って、接続筒部32の先端部は、基端部から複数(ここでは8つ)の突出片が前側に突出する形状に形成されている。
【0032】
接続板部33は、厚み方向に曲がりつつ接続筒部32の後方に延びる。接続板部33は電力線39と接続される部分である。ここでは接続板部33は、第1板部34と前側壁部36と第2板部37とを有する。ここでは第1板部34が電力端子31の後端に位置する。前側壁部36は、第1板部34の前端に設けられている。ここでは前側壁部36は、第1板部34と直交している。第2板部37は前側壁部36のうち第1板部34と連なる端部とは反対側の端部から接続筒部32に向けて延びる。
【0033】
第1板部34は、厚み方向において互いに逆を向く第1面35A及び第2面35Bを有する。
図3及び
図5に示すように、接続筒部32の中心軸CA及び前側壁部36が、共に第1板部34に対して第1面35A側に設けられている。前側壁部36は、第1板部34を第2板部37よりも接続筒部32の中心軸CAから遠ざけている。前側壁部36において第1板部34の第1面35Aと連続する面は第1方向に沿って後方を向き、前側壁部36において第1板部34の第2面35Bと連続する面は第1方向に沿って前方を向く。第2板部37において前側壁部36を介して第1板部34の第1面35A及び第2面35Bにそれぞれ連続する2つの面は、第1面35A及び第2面35Bと同じ方向を向く。接続板部33は、平板が長手方向に沿った2箇所において厚み方向に互いに逆向きに曲げ変形された形状に形成されている。第1板部34はハウジング20の後端よりも後方に突出している。ここでは前側壁部36及び第2板部37の後端もハウジング20の後端よりも後方に突出している。
【0034】
スタビライザ38は、先端が接続筒部32よりも外周側に突出するように形成されている。ここではスタビライザ38は、U字板状に形成されている。スタビライザ38のU字の中間部が、接続筒部32と接続板部33とを連結している。スタビライザ38の先端が、ハウジング20と第1リテーナ50とによって第1方向に挟まれることによって、電力端子31が第1方向に沿ってハウジング20に位置決め保持される。
【0035】
2つの電力端子31それぞれに電力線39が接合される。電力端子31と電力線39とが接合されて端子付き電線30をなしている。電力端子31は端子付き電線30となった状態で、キャビティ22に挿入される。かかる端子付き電線30、及び、電力端子31と電力線39との接合構造について、詳しくは後述する。
【0036】
2つの電力線39は、第2方向に延びる。各電力線39は導体芯線40及び絶縁被覆層41を有する絶縁電線である。電力線39の端部において絶縁被覆層41の端部よりも先端側に導体芯線40が露出している。当該露出芯線部が接続板部33に接合されて接合部分42を形成している。電力端子31と電力線39との接合態様は、電力端子31と電力線39とが別の端子を介在させずに直接的に接合可能なものであればよい。ここでは、超音波溶接又は抵抗溶接等の溶接によって電力端子31と電力線39とが接合されている。
【0037】
各信号端子44は、筒状の接続筒部とスタビライザと圧着部とを含む。信号線45の接続筒部は、電力端子31の接続筒部32と同様にメス端子構造を有している。信号線45のスタビライザの先端部は、電力端子31のスタビライザの先端部と同様に、接続筒部よりも外周側に突出する。圧着部は、信号線45に圧着されて接続される一対の圧着片を有する。信号線45のスタビライザは、信号線45の接続筒部32と圧着部との間に設けられる。
【0038】
4つの信号端子44それぞれに、信号線45が接続される。信号端子44と信号線45とが接続されて端子付き電線をなしている。信号端子44は端子付き電線となった状態で、キャビティ22に挿入される。各信号線45は、導体芯線及び絶縁被覆層を有する被覆電線である。信号線45の端部の露出芯線部が圧着部に圧着される。
【0039】
アース端子47は、信号端子44と同様に、筒状の接続筒部とスタビライザと圧着部とを含み、信号端子44よりも大きい。アース端子47に、アース線48が接続される。アース端子47とアース線48とが接続されて端子付き電線をなしている。アース端子47は端子付き電線となった状態で、キャビティ22に挿入される。各アース線48は、導体芯線及び絶縁被覆層を有する被覆電線である。アース線48の端部の露出芯線部が圧着部に圧着される。
【0040】
信号端子44及びアース端子47は、電力端子31よりも細く、短い。信号端子44及びアース端子47は、後端までハウジング20内に収まる。従って、ハウジング20の後端からは信号線45及びアース線48が延び出る。信号線45及びアース線48は、電力線39よりも細い。信号線45及びアース線48は、電力線39よりも小さい曲げ半径で曲がることができる。例えば、信号線45及びアース線48は、ハウジング20の後端と電力端子31の後端との間で、90度曲がることができる。
【0041】
第1リテーナ50は、電力端子31を押える。第1リテーナ50は、複数の端子押え片51と1つの連結片52とを有する。複数の端子押え片51は、2つの電力端子31のスタビライザ38を後方から押える。連結片52は、複数の端子押え片51の基端部を連結する。
図3に示すように、ハウジング本体21の側面には、複数の端子押え片51を通すための孔が形成されている。複数の端子押え片51が当該孔を貫通した状態で、連結片52が当該孔の周縁部に当たる。第1リテーナ50は、例えば、係止構造又は締結構造などによってハウジング本体21に固定される。
【0042】
第2リテーナ60は、信号端子44及びアース端子47を押える。信号端子44のスタビライザ及びアース端子47のスタビライザが第1方向に沿ってハウジング本体21と第2リテーナ60とに挟まれることによって、信号端子44及びアース端子47が第1方向に沿ってハウジング本体21に位置決めされる。第2リテーナ60は、4つの第1筒部61と1つの第2筒部63と1つの連結部65とを有する。各第1筒部61は、信号端子44のスタビライザを後方から押える。各第1筒部61には信号端子44のうちスタビライザよりも後方部分が収まる。信号線45が第1筒部61から後方に延び出る。第2筒部63は、アース端子47のスタビライザを後方から押える。第2筒部63にはアース端子47のうちスタビライザよりも後方部分が収まる。アース線48が第1筒部61から後方に延び出る。連結部65は、4つの第1筒部61と1つの第2筒部63とを連結する。第2リテーナ60は、係止構造又は締結構造などによってハウジング本体21に固定される。
【0043】
第1筒部61には、長手方向全体にわたってスリット62(
図1参照)が形成されている。信号端子44及び信号線45が端子付き電線となった状態で、信号線45がスリット62を通じて第1筒部61に挿入される。同様に、第2筒部63には、長手方向全体にわたってスリット64が形成されている。アース端子47及びアース線48が端子付き電線となった状態で、アース線48がスリット64を通じて第2筒部63に挿入される。このため、信号線45及びアース線48を第2リテーナ60に通した後に、信号端子44及びアース端子47と接続せずに済む。4つの信号線45と1つのアース線48とが第2リテーナ60に通された状態で、第2リテーナ60が、第1方向に沿ってハウジング本体21に向けて移動し、ハウジング本体21の後部に取付けられる。
【0044】
<端子付き電線30及び電力端子31と電力線39との接合構造について>
2つの電力端子31は互いに同じ形状に形成されている。同様に、2つの電力線39は互いに同じ形状に形成されている。2つの端子付き電線30において、電力線39は、第1板部34に接合されて第1方向と交差する方向(ここでは第2方向)に延びる。また、充電コネクタ10において、2つの電力線39はハウジング20に対して互いに同じ向き(
図1の右向き)に延びる。
【0045】
2つの端子付き電線30において、電力端子31のうち電力線39と接合される部分及び電力線39の接合向きが互いに異なっている。このため、2つの端子付き電線30は互いに異なる形状となっている。ここで、2つの端子付き電線30について互いに区別が必要な場合、2つの端子付き電線30のうち
図1(充電コネクタ10の背面視)の右側のキャビティ22に収まる方を端子付き電線30Rとし、
図1の左側のキャビティ22に収まる方を端子付き電線30Lとする。端子付き電線30Lにおいて第1板部34の第1面35Aが電力線39と接合され、端子付き電線30Rにおいて第1板部34の第2面35Bが電力線39と接合されている(
図3参照)。
【0046】
ここで、2つの端子付き電線30において、キャビティ22への電力端子31の挿入姿勢が互いに逆向きの姿勢となっている。ここでは端子付き電線30Lにおいて第1面35Aが信号端子44のある側を向き、端子付き電線30Rにおいて第2面35Bが信号端子44のある側を向いている。このため、2つの電力端子31の向きが互いに同じになるように2つの端子付き電線30を配置したとき、2つの電力線39は互いに逆向きに延びる。なお、
図3又は
図5において、いずれかの端子付き電線30を接続筒部32の中心軸CA回りに180度回転させると、2つの電力端子31の向きが互いに同じになるように2つの端子付き電線30を配置できる。
【0047】
端子に接続される前の電力線39において、導体芯線40及び絶縁被覆層41の横断面(電力線39の長手方向に直交する断面)の外形は円形状である。端子付き電線30となった後の電力線39において、長手方向に沿った中間部の形状は当該円形状を保っている。なお、導体芯線40が複数の素線を有する場合には、導体芯線40の横断面の外形がなるべく円形状に近くなるように複数の素線が配置されている場合に、導体芯線40の横断面の外形が円形状であるとみなすものとする。
【0048】
端子付き電線30となった後の電力線39において、接合部分42を含む端部の形状は接合前の電力線39の円形状から変形している。電力線39のうち接合部分42は、円形状が潰れた形状を有している。接合部分42の形状は、例えば、接合態様などに応じて設定される。ここでは接合部分42は、直方体形状を有している。かかる直方体形状は、溶接時に、円形状の導体芯線40の周囲が治具等によって押さえられることによって形成される。
【0049】
接合部分42を電力線39の長手方向と直交する面に沿って切断した横断面の形状は、長方形状である。
図4に示される接合部分42の形状が、かかる長方形状とみなせる。ここでは、かかる長方形状の長辺に沿う方向を接合部分42の幅方向とし、短辺に沿う方向を接合部分42の高さ方向とする。また、かかる長方形状の長辺の長さを接合部分42の幅寸法とし、短辺の長さを接合部分42の高さ寸法とする。また、電力線39の長手方向に沿う方向を接合部分42の奥行方向とし、接合部分42の奥行方向の長さを奥行寸法とする。本実施形態に係る充電コネクタ10では、第1方向が接合部分42の幅方向であり、第2方向が接合部分42の奥行方向であり、第3方向が接合部分42の高さ方向である。
【0050】
図4に示すように、接合部分42の幅方向は接続板部33の主面に沿う方向であり、長方形の短辺は接続板部33の主面からの高さ方向に沿う方向である。
図4に示すように、接合部分42の幅寸法は導体芯線40の直径よりも大きくてもよく、接合部分42の高さ寸法は導体芯線40の直径よりも小さくてもよい。
図4に示すように、接合部分42の横断面における長方形の長辺は、絶縁被覆層41の直径よりも大きくてもよい。この場合、絶縁被覆層41の端部の位置でも、導体芯線40の形状が円形に戻らず、絶縁被覆層41の端部の形状が楕円形になり得る。
【0051】
ここで、充電コネクタ10の防水性向上のため絶縁被覆層41をゴム栓又はカバーなどの孔に通すこともあり得る。この場合、絶縁被覆層41のうち楕円形の部分よりも円形の部分を孔に通すことが好ましい。この際、円形に戻る部分が接続筒部32に近いと、充電コネクタ10の大型化を抑制できる。
【0052】
充電コネクタ10では、第1電力端子及び第1電力線の組において、第1電力線が第1電力端子の第1板部の第1面に接合され、かつ、第1電力線の側部が第1電力端子の前側壁部に接触して位置決めされている。また、第2電力端子及び第2電力線の組において、第2電力線が第2電力端子の第1板部の第2面に接続されている。端子付き電線30Lでは、電力線39が第1板部34の第1面35Aに接合され、かつ、電力線39の側部が前側壁部36に接触して位置決めされている。端子付き電線30Rでは、電力線39が電力端子31の第1板部34の第2面35Bに接続されている。端子付き電線30Lの電力端子31と端子付き電線30Rの電力端子31とが厚み方向に沿って互いに逆向きに配置されている。従って、端子付き電線30Lにおける電力端子31及び電力線39が第1電力端子及び第1電力線の一例であり、端子付き電線30Rにおける電力端子31及び電力線39が第2電力端子及び第2電力線の一例である。
【0053】
電力線39と接続板部33との溶接時に、露出芯線部は、溶接治具によって接続板部33における溶接面に向けて押さえられる。これにより、露出芯線部は、溶接面からの高さ方向につぶれつつ、溶接面に沿って側方に広がろうとする。この際、露出芯線部の両側方であって溶接面の縁に位置決め治具を配置することによって、露出芯線部の側部が溶接面の縁よりも外側に飛び出ることを抑制できる。
【0054】
ここで、端子付き電線30Lのように第1板部34の第1面35Aに、電力端子31と異なる向きに延びる電力線39を接合する場合、電力線39の一方側方であって接続筒部32とは反対側(電力端子31の後ろ側)には位置決め治具を容易に配置できる。これに対して、電力線39の他方側方であって接続筒部32の側(電力端子31の前側)に位置決め治具を配置すると、接続筒部32が第1面35A側に突出しているため、位置決め治具と干渉する恐れがある。このため、電力線39の側方であって接続筒部32の側に位置決め治具を配置しにくい。しかしこの場合でも、本開示では位置決め治具に代わって前側壁部36が露出芯線部の側方を押えることができる。そして、露出芯線部が前側壁部36に当たった状態で第1板部34の第1面35Aに溶接されることによって、端子付き電線30Lのように、電力線39の側部が前側壁部36に接触して位置決めされた状態となる。
【0055】
このように、前側壁部36が電力線39の側方の位置決めに用いられる場合、第1板部34からの前側壁部36の高さ寸法は、
図4に示すように、接合部分42の高さ寸法と同じかそれより大きいとよい。これにより、電力線39が前側壁部36を越えて電力端子31の前側に飛び出すことを抑制できる。なお、端子付き電線30Rのように第1板部34の第2面35Bに電力線39を接合する場合には、第2面35B側には接続筒部32が突出していないため、電力線39の両側方に位置決め治具を容易に配置できる。
【0056】
本実施形態1では第1板部34において電力端子31の長手方向の寸法と幅方向の寸法とが互いに同じであり、第1面35Aが正方形状である。第1板部34において、電力端子31の長手方向の寸法と幅方向の寸法とが互いに異なっており、第1面35Aが長方形状などであってもよい。本実施形態1では前側壁部36及び第2板部37において、電力端子31の幅方向の寸法が、第1板部34における幅方向の寸法と同じである。接合部分42の幅寸法は、電力端子31の長手方向に沿った第1板部34の寸法と同じである。接合部分42の奥行寸法は、電力端子31の幅方向に沿った第1板部34の寸法よりも小さい。
【0057】
第1方向に沿って見たときに、第1板部34又は電力線39が信号端子44と重なる位置にある。
図1に示すように、ここでは、端子付き電線30Rにおける電力線39の接合部分42がアース端子47よりも右側の2つの信号端子44と重なる。当該2つの信号端子44に接続される信号線45は、端子付き電線30Rにおける接合部分42を避けるように延び出る。具体的には、
図4に示すように、信号線45は、ハウジング20の後端と、電力線39の接合部分42との間で曲がって、電力線39の接合部分42を避けるように延びる。
【0058】
[実施形態2]
実施形態2にかかる充電コネクタについて説明する。
図6は実施形態2にかかる充電コネクタ110を示す背面図である。
図7は充電コネクタ110を示す平面図である。なお、
図6及び
図7において、フランジ23と、アース線48と、一部又は全部の信号線45とが省略されている。
図8は電力端子31にかかる端子付き電線130を示す斜視図である。以下の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
充電コネクタ110では、電力線39の延びる方向が、上記充電コネクタ10における電力線39の延びる方向とは異なる。ここでは、2つの電力線39が、第3方向に延びる。充電コネクタ110は、2つの電力線39が第1方向と交差する方向に延びる点では、充電コネクタ10と同様である。
【0060】
また充電コネクタ110では、2つの端子付き電線130の形状又は向きが、上記充電コネクタ10における2つの端子付き電線30の形状又は向きとは異なる。充電コネクタ110における電力端子31及び電力線39の形状は、上記充電コネクタ10における電力端子31及び電力線39の形状と同じである。充電コネクタ110では、2つの端子付き電線130の形状が互いに異なる。
【0061】
具体的には、2つの端子付き電線130のうち
図6の右側の端子付き電線130Rは、上記端子付き電線30Lと同じ形状に形成されている。端子付き電線130Rの電力端子31は、端子付き電線30Lの電力端子31と異なるキャビティ22に異なる向きに配置されている。2つの端子付き電線130のうち
図6の左側の端子付き電線130Lは、上記端子付き電線30L、30Rのいずれとも異なる形状に形成されている。端子付き電線130Lでは、上記端子付き電線30Lと同様に、第1板部34の第1面35Aに電力線39が接合されている。
図8に示すように、端子付き電線130Lでは、上記端子付き電線30L、つまり、本実施形態2の端子付き電線130Rと逆向きに電力線39が延びる。端子付き電線130Lと端子付き電線130Rとは、電力端子31の第1面35A同士が対向するように互いに逆向きに配置されている。従って、本実施形態2に係る充電コネクタ110では、第1方向が接合部分42の幅方向であり、第2方向が接合部分42の高さ方向であり、第3方向が接合部分42の奥行方向である。
【0062】
充電コネクタでは、第1電力端子及び第1電力線の組において、第1電力線が第1電力端子の第1板部の第1面に接合され、かつ、第1電力線の側部が第1電力端子の前側壁部に接触して位置決めされている。また、第2電力端子及び第2電力線の組において、第2電力線が第2電力端子の第1板部の第1面に接合され、かつ、第2電力線の側部が第2電力端子の前記前側壁部に接触して位置決めされている。また、第1電力端子と第2電力端子とが、第1面同士が対向するように互いに逆向きに配置されている。端子付き電線130L、130Rのいずれにおいても、電力線39が電力端子31の第1板部34の第1面35Aに接合され、かつ、電力線39の側部が電力端子31の前側壁部36に接触して位置決めされている。そして、2つの電力端子31の第1面35A同士が対向するように互いに逆向きに配置されている。従って、端子付き電線130L、130Rのいずれか一方の電力端子31及び電力線39が第1電力端子及び第1電力線の一例であり、いずれか他方の電力端子31及び電力線39が第2電力端子及び第2電力線の一例である。
【0063】
なお、2つの端子付き電線130は、2つの電力端子31の第2面35B同士が対向するように配置されていてもよい。2つの端子付き電線130は、一方の電力端子31の第1板部34の第1面35Aと、他方の電力端子31の第2面35Bとが互いに対向するように配置されてもよい。この場合、2つの端子付き電線130は、互いに同じ形状に形成されてもよい。また、端子付き電線130において、第1板部34の第2面35Bに電力線39が接合されていてもよい。
【0064】
図6に示すように、背面視において、端子付き電線130Lのうち接合部分42よりも絶縁被覆層41側の露出芯線部が4つの信号端子44のうち最も左側の信号端子44と重なっている。端子付き電線130Rのうち接合部分42よりも絶縁被覆層41側の露出芯線部が4つの信号端子44のうち最も右側の信号端子44と重なっている。これら2つの信号端子44に接続される信号線45は、端子付き電線130L、130Rにおける電力線39を避けるように延び出る。具体的には、
図7に示すように、信号線45は、ハウジング20の後端と、電力線39の露出芯線部との間で、曲がって、電力線39の露出芯線部を避けるように延びる。
【0065】
[実施形態3]
実施形態3にかかる充電コネクタについて説明する。
図9は実施形態3にかかる充電コネクタ210を示す背面図である。
図10は充電コネクタ210を示す側面図である。なお、
図9及び
図10において、フランジ23と、アース線48と、一部又は全部の信号線45とが省略されている。
図11は電力端子31にかかる端子付き電線230を示す斜視図である。
【0066】
充電コネクタ210では、電力線39の延びる方向が、上記充電コネクタ10、110における電力線39の延びる方向とは異なる。ここでは、充電コネクタ210における2つの電力線39が、第1方向に延びる。
【0067】
また、充電コネクタ210では、2つの端子付き電線230の形状が、上記充電コネクタ10、110における2つの端子付き電線30、130の形状とは異なる。ここでは電力線39の長手方向が、電力端子31の長手方向に沿うように電力端子31及び電力線39が接続されている。充電コネクタ210における電力端子31及び電力線39の形状は、上記充電コネクタ10、110における電力端子31及び電力線39の形状と同じである。
【0068】
図11に示すように、2つの端子付き電線230における形状は、互いに同じである。端子付き電線230において、電力線39は第1板部34の第1面35Aに接合される。この場合、電力端子31と電力線39との溶接時に、電力線39の両側方には電力端子31のうち溶接面とは別の部分が存在しないため、位置決め治具を容易に配置できる。ここでは、電力線39の先端は前側壁部36に当たっていない。電力線39の先端は前側壁部36に当たっていてもよい。
【0069】
図9に示すように、2つの端子付き電線230における向きは、互いに同じである。端子付き電線230の電力端子31は、
図10に示すように第1板部34の第1面35Aが信号端子44のある側を向くように配置される。これにより、第1板部34と信号端子44とを離すことができる。前記以外にも端子付き電線230の電力端子31は、第1板部34の第2面35Bが信号端子44のある側を向くように配置されてもよい。また端子付き電線230の電力端子31は、第1板部34の第1面35A同士又は第2面35B同士が互いに対向するように配置されてもよい。また端子付き電線230の電力端子31は、一方の電力端子31の第1板部34の第1面35Aと他方の電力端子31の第2面35Bとが互いに対向するように配置されてもよい。
【0070】
図12は変形例にかかる端子付き電線230Aを示す斜視図である。端子付き電線230のように、電力線39の長手方向が、電力端子31の長手方向に沿うように電力端子31及び電力線39が接続される場合、電力線39は、電力端子31の第1板部34の第1面35A以外に接続されてもよい。例えば、
図12に示す端子付き電線230Aのように、電力線39は第2板部37に接合されていてもよい。この場合、絶縁被覆層41の端部が第1板部34に重なってもよい。上記したように、電力線39と第2板部37との接合部分42において、円形状の電力線39が潰れた形状となっている。接合部分42のつぶれによって生じる絶縁被覆層41の楕円形の部分が、絶縁被覆層41のうち第1板部34に重なる部分に設けられてもよい。絶縁被覆層41のうち第1板部34の後端よりも後方部分が円形であってもよい。
【0071】
<効果等>
以上のように構成された充電コネクタ10、110、210によると、電力線39と電力端子31とが接合によって直接接続される。また、接続板部33が前側壁部36及び第1板部34を有するため、電力線39が電力端子31から側方に延びる場合にも電力線39を接続板部33に直接接続できる。これらより、電力線39と電力端子31とを直接接続しつつ、電力端子31に接続される電力線39の向きの違いに対応できる。ここで、電力線と電力端子とが中継端子を介して接続されるように充電コネクタが構成される場合、中継端子分のコストがかかる。この場合と比べて、充電コネクタ10、110、210では、中継端子を省略できることによって、コスト上昇を抑制できる。
【0072】
また充電コネクタ10、110では、端子付き電線30L、130の電力端子31及び電力線39の組において、電力線39が前側壁部36に接触して位置決めされつつ第1板部34の第1面35Aに接合されている。これにより、電力端子31と電力線39との接合時に、第1板部34及び前側壁部36によって生じる段差を用いて、電力線39の位置決めをすることができる。
【0073】
また充電コネクタ10、110では、端子付き電線30、130の電力線39は、第1板部34に接合されて第1方向と交差する方向に延びている。また充電コネクタ10、110では、端子付き電線30L、130の電力端子31及び電力線39の組において、電力線39が第1板部34の第1面35Aに接合され、かつ、電力線39の側部が前側壁部36に接触して位置決めされている。これにより、2つの電力線39が、充電コネクタ10の接続方向である第1方向と交差する方向に引き出される場合に対応できる。
【0074】
また充電コネクタ10では、2つの電力線39は、第2方向に延びる。これにより、2つの電力線39が、2つの電力端子31の並列方向に引き出される場合に対応できる。
【0075】
また充電コネクタ10では、端子付き電線30Lにおける電力線39が電力端子31の第1板部34の第1面35Aに接合され、端子付き電線30Rにおける電力線39が電力端子31の第1板部34の第2面35Bに接続され、2つの電力端子31が厚み方向に沿って互いに逆向きに配置されている。これにより、電力線39が太い場合にも、2つの電力線39を、電力端子31の並列方向に引き出すことができる。より詳細には、端子付き電線30Rにおいて、電力線39が第1面35Aに接続されていると、第3方向において2つの端子付き電線30の電力線39同士が重なるため、2つの電力線39を第1方向にずらす必要が生じうる。これに対して、ここでは第3方向において2つの端子付き電線30の電力線39同士が重ならないため、2つの電力線39を第1方向にずらさずに済む。
【0076】
また充電コネクタ10、110では、第1方向に沿って見たときに、第1板部34又は電力線39が信号端子44と重なる位置にあり、接続板部33は、前側壁部36のうち第1板部34と連なる端部とは反対側の端部から接続筒部32に向けて延びる第2板部37を有する。これにより、第2板部37があることによって、前側壁部36と接続筒部32とが連結される場合と比べて第1板部34が後方に位置することができ、信号線45を引出やすくなる。
【0077】
また充電コネクタ110では、2つの電力線39が、第1方向及び第2方向のそれぞれに交差する第3方向に延びる。これにより、2つの電力線39が、充電コネクタ10の接続方向及び電力端子31の並列方向に交差する方向に引き出される場合に対応できる。
【0078】
また充電コネクタ110では、端子付き電線130L、130Rの電力線39が電力端子31の第1板部34の第1面35Aに接合され、2つの電力端子31が、第1面35A同士が対向するように互いに逆向きに配置されている。これにより、2つの電力端子31が互いに第2面35Bを対向させる場合と比べて、2つの電力端子31の第1板部34同士の距離を大きくすることができる。
【0079】
また充電コネクタ210では、電力線39が、給電端子82と接続筒部32との接続方向に延びる。これにより、電力線39が、充電コネクタ10の接続方向に引き出される場合に対応できる。
【0080】
また端子付き電線230Aでは、電力線39が第2板部37と接合されており、電力線39のうち第2板部37との接合部分42は、円形状が潰れた形状を有している。電力線39は、接合部分42における潰れた形状から円形状に戻るまでに距離を有し、当該距離は、通常、電力線39が太くなるほど大きくなる。この場合でも、電力線39が第2板部37に接合されていることによって、第1板部34と接合される場合と比べて、円形状に戻る部分を接続筒部32に近くすることができる。
【0081】
[付記]
充電コネクタ10と、充電コネクタ110と、充電コネクタ210とからなる群のうち2種以上の充電コネクタを備えるものを、充電コネクタ製品群ととらえることができる。上記したように、充電コネクタ10と、充電コネクタ110と、充電コネクタ210とにおいて、電力端子31の形状が互いに同じである。従って、当該充電コネクタ製品群の2種以上の充電コネクタにおいて、電力端子31の形状が互いに同じである。これにより、1種類の電力端子31を用いて、電力線39の引出方向の違いに対応できる。つまり、電力線39の引出方向が互いに異なる複数種類の充電コネクタ10、110、210において、電力端子31を共通の部品とすることができる。例えば、充電コネクタにおいて、電力端子31にかかるコストが他の部品にかかるコストと比べて大きくなりやすい。電力線39の引出方向が互いに異なる複数種類の充電コネクタ10、110、210において、電力端子31を共通の部品とすることができることによって、充電コネクタ10、110、210のコスト上昇を抑えやすくなる。なお、電力線39の引出方向の違いは、車種の違いなどによって生じうる。
【0082】
充電コネクタ10は、ハウジング20の後端よりも後方に突出する接続板部33を覆うカバーを備えていてもよい。かかるカバーは、ハウジング20の後端に、係止構造等によって取付けられてもよい。かかるカバーは、電力線39、信号線45及びアース線48の引出方向を規制するように、電力線39、信号線45及びアース線48を保持していてもよい。この場合、充電コネクタ10用のカバーと、充電コネクタ110用のカバーと、充電コネクタ210用のカバーとが互いに異なる形状に形成されていてもよい。
【0083】
充電コネクタ110、210において、ハウジング20及び第1リテーナ50の形状は、上記充電コネクタ10におけるハウジング20及び第1リテーナ50の形状と同じである。充電コネクタ110、210において、ハウジング20又は第1リテーナ50の形状は、電力端子31の向き又は電力線39の延びる方向に応じて、上記ハウジング20又は第1リテーナ50の形状から変更されていてもよい。
【0084】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0085】
10、110、210 充電コネクタ
20 ハウジング
21 ハウジング本体
22 キャビティ
23 フランジ
24 固定部
30、30L、30R、130L、130R、230、230A 端子付き電線
31 電力端子
32 接続筒部
33 接続板部
34 第1板部
35A 第1面
35B 第2面
36 前側壁部
37 第2板部
38 スタビライザ
39 電力線
40 導体芯線
41 絶縁被覆
42 接合部分
44 信号端子
45 信号線
47 アース端子
48 アース線
50 第1リテーナ
51 端子押え片
52 連結片
60 第2リテーナ
61 第1筒部
62、64 スリット
63 第2筒部
65 連結部
80 外部充電コネクタ
81 外部ハウジング
82 給電端子
CA 中心軸