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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113776
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】自己位置推定装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240816BHJP
【FI】
G05D1/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018955
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】坂元 優太
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA03
5H301BB07
5H301CC10
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】移動体の自己位置の推定精度を向上させることができる自己位置推定装置を提供する。
【解決手段】自己位置推定装置1は、移動体2の周囲にレーザLを照射し、レーザLの反射光を受光することにより、移動体2の周囲に存在する物体6を検出し、検出データとしての点群データを出力するレーザセンサ3と、レーザセンサ3の点群データDを複数のボクセルVに分割して、ボクセル単位の点群データDvを生成するボクセル分割部12と、ボクセル単位の点群データDvに基づいて、移動体2の自己位置を推定する自己位置推定部13と、移動体2の周囲の環境状況に応じてボクセルVのグリッドサイズを決定するボクセルサイズ決定部16とを備え、ボクセル分割部12は、レーザセンサ3の点群データDをボクセルサイズ決定部16により決定されたグリッドサイズのボクセルVに分割する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の自己位置の推定を行う自己位置推定装置において、
前記移動体の周囲にレーザを照射し、レーザの反射光を受光することにより、前記移動体の周囲に存在する物体を検出し、検出データとしての点群データを出力するレーザ物体検出部と、
前記レーザ物体検出部の点群データを複数のボクセルに分割して、ボクセル単位の点群データを生成するボクセル分割部と、
前記ボクセル分割部により生成された前記ボクセル単位の点群データに基づいて、前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定部と、
前記移動体の周囲の環境状況に応じて前記ボクセルのグリッドサイズを決定するボクセルサイズ決定部とを備え、
前記ボクセル分割部は、前記レーザ物体検出部の点群データを前記ボクセルサイズ決定部により決定されたグリッドサイズのボクセルに分割する自己位置推定装置。
【請求項2】
前記移動体が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかを判定する屋内外判定部を更に備え、
前記ボクセルサイズ決定部は、前記屋内外判定部により前記移動体が屋外に存在すると判定されたときは、前記屋内外判定部により前記移動体が屋内に存在すると判定されたときに比べて、前記ボクセルのグリッドサイズを大きくする請求項1記載の自己位置推定装置。
【請求項3】
前記屋内外判定部は、前記レーザ物体検出部の点群データにおける特定照射角範囲の点群の有無に基づいて、前記移動体が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかを判定する請求項2記載の自己位置推定装置。
【請求項4】
前記レーザ物体検出部は、前記移動体の周囲に存在する物体までの距離を検出し、
前記ボクセルサイズ決定部は、前記レーザ物体検出部から前記物体までの距離が長くなるほど、前記ボクセルのグリッドサイズを大きくする請求項1~3の何れか一項記載の自己位置推定装置。
【請求項5】
前記レーザ物体検出部から前記物体までの距離の平均値を算出する平均距離算出部を更に備え、
前記ボクセルサイズ決定部は、前記平均距離算出部により算出された前記距離の平均値が長くなるほど、前記ボクセルのグリッドサイズを大きくする請求項4記載の自己位置推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己位置推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自己位置推定装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、記憶部に記憶されたリファレンス点群(地図点群)データとLiDAR等により取得されたクエリ点群(センサ点群)データとを比較し、地図点群とセンサ点群とのボクセルに基づくスキャンマッチングを行うことで、移動体の自己位置を推定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-40445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LiDAR等により取得されたセンサ点群データを複数のボクセルに分割して、移動体の自己位置を推定する際には、移動体の周囲環境に適したボクセルサイズ(ボクセルのグリッドサイズ)を設定しないと、自己位置推定の精度の低下を招いてしまう。
【0005】
本発明の目的は、移動体の自己位置の推定精度を向上させることができる自己位置推定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、移動体の自己位置の推定を行う自己位置推定装置において、移動体の周囲にレーザを照射し、レーザの反射光を受光することにより、移動体の周囲に存在する物体を検出し、検出データとしての点群データを出力するレーザ物体検出部と、レーザ物体検出部の点群データを複数のボクセルに分割して、ボクセル単位の点群データを生成するボクセル分割部と、ボクセル分割部により生成されたボクセル単位の点群データに基づいて、移動体の自己位置を推定する自己位置推定部と、移動体の周囲の環境状況に応じてボクセルのグリッドサイズを決定するボクセルサイズ決定部とを備え、ボクセル分割部は、レーザ物体検出部の点群データをボクセルサイズ決定部により決定されたグリッドサイズのボクセルに分割する。
【0007】
このような自己位置推定装置においては、レーザ物体検出部によって、移動体の周囲にレーザを照射し、そのレーザの反射光を受光することにより、移動体の周囲に存在する物体が検出され、点群データが出力される。そして、レーザ物体検出部の点群データが複数のボクセルに分割されて、ボクセル単位の点群データが生成され、そのボクセル単位の点群データに基づいて移動体の自己位置が推定される。このとき、移動体の周囲の環境状況に応じてボクセルのグリッドサイズが決定され、レーザ物体検出部の点群データが当該グリッドサイズのボクセルに分割される。このため、移動体の周囲の環境状況に応じた適切なボクセルサイズが設定されることとなる。これにより、移動体の自己位置の推定精度が向上する。
【0008】
自己位置推定装置は、移動体が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかを判定する屋内外判定部を更に備え、ボクセルサイズ決定部は、屋内外判定部により移動体が屋外に存在すると判定されたときは、屋内外判定部により移動体が屋内に存在すると判定されたときに比べて、ボクセルのグリッドサイズを大きくしてもよい。
【0009】
屋内に存在する物体のサイズは、屋外に存在する物体のサイズに比べて小さいことが多い。そこで、移動体が屋外に存在するときは、移動体が屋内に存在するときに比べて、ボクセルのグリッドサイズを大きくすることにより、移動体が存在する環境が屋内及び屋外の何れであっても、適切なボクセルサイズが設定される。
【0010】
屋内外判定部は、レーザ物体検出部の点群データにおける特定照射角範囲の点群の有無に基づいて、移動体が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかを判定してもよい。
【0011】
このような構成では、レーザ物体検出部の点群データを用いて、移動体が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかが判定される。従って、レーザ物体検出部以外の専用のセンサを使用しなくて済む。
【0012】
レーザ物体検出部は、移動体の周囲に存在する物体までの距離を検出し、ボクセルサイズ決定部は、レーザ物体検出部から物体までの距離が長くなるほど、ボクセルのグリッドサイズを大きくしてもよい。
【0013】
物体がレーザ物体検出部に近いときは、レーザ物体検出部により物体が細かい粒度で検出されるが、物体がレーザ物体検出部から遠くなると、レーザ物体検出部による物体の検出粒度が粗くなる。そこで、レーザ物体検出部から物体までの距離が長くなるほど、ボクセルのグリッドサイズを大きくすることにより、レーザ物体検出部から物体までの距離に関わらず、適切なボクセルサイズが設定される。
【0014】
自己位置推定装置は、レーザ物体検出部から物体までの距離の平均値を算出する平均距離算出部を更に備え、ボクセルサイズ決定部は、平均距離算出部により算出された距離の平均値が長くなるほど、ボクセルのグリッドサイズを大きくしてもよい。
【0015】
このような構成では、レーザ物体検出部から物体までの距離の平均値が算出されるため、更に適切なボクセルサイズが設定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動体の自己位置の推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る自己位置推定装置の構成を示すブロック図である。
図2】レーザセンサの点群データ及びボクセル単位の点群データの一例を示す図である。
図3】屋内及び屋外において、レーザセンサから移動体の周囲にレーザが照射されたときの様子を示す概略正面図である。
図4】レーザセンサから物体までの距離が異なる屋内環境において、レーザセンサから移動体の周囲にレーザが照射されたときの様子を示す概略正面図である。
図5】レーザセンサから物体までの距離に応じた適切なボクセルのグリッドサイズを示す概念図である。
図6図1に示されたコントローラにより実行されるボクセルサイズ設定処理の手順を示すフローチャートである。
図7】ボクセルのグリッドサイズと屋内用判定値及び屋外用判定値と距離平均値との関係を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る自己位置推定装置の構成を示すブロック図である。図1において、本実施形態の自己位置推定装置1は、例えばフォークリフトやトーイングトラクタ等の産業車両といった移動体2(図3及び図4参照)に搭載されている。自己位置推定装置1は、移動体2の自動運転時に、移動体2の自己位置の推定を行う装置である。
【0020】
自己位置推定装置1は、レーザセンサ3と、地図データメモリ4と、コントローラ5とを備えている。
【0021】
レーザセンサ3は、移動体2の周囲にレーザLを照射し、レーザLの反射光を受光することにより、移動体2の周囲に存在する物体6を検出し(図3及び図4参照)、検出データとしての点群データを出力するレーザ物体検出部である。レーザセンサ3は、移動体2の周囲に存在する物体6までの距離を検出する測距センサである。物体6は、例えば建物、壁または柱等の構造物である。
【0022】
レーザセンサ3としては、例えば3DのLiDAR(Light Detection and Ranging)やレーザレンジファインダ等が使用される。レーザセンサ3は、レーザLを水平方向に対して垂直方向に所定の角度をもって照射する(図3及び図4参照)。
【0023】
地図データメモリ4は、移動体2が走行するエリアの地図データを記憶する。地図データは、点群で表されている。地図データは、レーザセンサ3を用いて予め生成されている。
【0024】
コントローラ5は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ5は、点群データ取得部11と、ボクセル分割部12と、自己位置推定部13と、屋内外判定部14と、平均距離算出部15と、ボクセルサイズ決定部16とを有している。
【0025】
点群データ取得部11は、レーザセンサ3の点群データDを取得する。点群は、レーザセンサ3から照射されるレーザLの反射点の集まりである。点群データDは、3次元のデータである。レーザセンサ3により検出された物体6は、図2(a)に示されるように、点群で表される。なお、図2(a)では、レーザセンサ3の点群データDに含まれる物体6の一例として樹木が示されている。
【0026】
ボクセル分割部12は、点群データ取得部11により取得されたレーザセンサ3の点群データDを複数のボクセルVに分割して、ボクセル単位の点群データDvを生成する。このため、点群データDに含まれる物体6は、ボクセル単位で抽出される。ボクセルVは、図2(b)に示されるように、立体的な画素空間であり、グリッド状に配置されている。ボクセルVは、立方体構造を呈している。各ボクセルVは、点群データDvに含まれる物体6に関する属性データを有している。
【0027】
図2(a)に示された点群データDは、複数のボクセルVに分割されて、図2(b)に示されるようなボクセル単位の点群データDvが生成される。このとき、点群データDvの各ボクセルVは、属性データとして、ボクセルVの中心座標、検出点数、地面からの高さ、樹木における葉、枝及び幹の割合等といったデータを有している。
【0028】
ボクセル分割部12は、レーザセンサ3の点群データDをボクセルサイズ決定部16により決定されたグリッドサイズのボクセルVに分割する。ボクセルサイズ決定部16については、後で詳述する。
【0029】
自己位置推定部13は、ボクセル分割部12により生成されたボクセル単位の点群データDvに基づいて、移動体2の自己位置を推定する。自己位置推定部13は、SLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、レーザセンサ3の点群データDと地図データメモリ4に記憶された地図データとをマッチングさせて、移動体2の自己位置を推定する。SLAMは、センサデータ及び地図データを用いて自己位置推定を行う自己位置推定技術である。
【0030】
屋内外判定部14は、点群データ取得部11により取得されたレーザセンサ3の点群データDに基づいて、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかを判定する。屋内外判定部14は、レーザセンサ3の点群データDにおける特定照射角範囲θの点群の有無に基づいて、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかを判定する。
【0031】
移動体2が屋内に存在する場合には、レーザセンサ3から移動体2の上方及び側方に向けて照射されたレーザLは壁等の物体6で反射されるため、レーザLの反射光がレーザセンサ3で受光される。このため、例えば図3に示されるように、レーザセンサ3の点群データDにおける移動体2の上方及び一側方に対応する特定照射角範囲θの点群の有無によって、移動体2が屋内に存在するか屋外に存在するかが判定される。
【0032】
具体的に、図3(a)に示されるように、レーザセンサ3の点群データDにおける移動体2の上方及び一側方に対応する特定照射角範囲θに点群があるときは、移動体2が屋内に存在すると判定される。図3(b)に示されるように、レーザセンサ3の点群データDにおける移動体2の上方及び一側方に対応する特定照射角範囲θに点群がないときは、移動体2が屋外に存在すると判定される。
【0033】
平均距離算出部15は、点群データ取得部11により取得されたレーザセンサ3の点群データDに基づいて、レーザセンサ3から移動体2の周囲に存在する物体6までの距離の平均値を算出する。
【0034】
ボクセルサイズ決定部16は、屋内外判定部14の判定結果と平均距離算出部15の算出結果とに基づいて、ボクセルVのグリッドサイズを決定する。つまり、ボクセルサイズ決定部16は、移動体2の周囲の環境状況に応じてボクセルVのグリッドサイズを決定する。
【0035】
屋内には、棚等の構造物が配置されている。屋外には、建物等の構造物が配置されている。このため、屋内に配置される構造物のサイズは、屋外に配置される構造物のサイズよりも小さいことが多い。従って、移動体2が屋内に存在する場合には、ボクセルVのグリッドサイズが小さいほうが望ましい。移動体2が屋外に存在する場合には、ボクセルVのグリッドサイズが大きいほうが望ましい。
【0036】
そこで、ボクセルサイズ決定部16は、屋内外判定部14により移動体2が屋外に存在すると判定されたときは、屋内外判定部14により移動体2が屋内に存在すると判定されたときに比べて、ボクセルVのグリッドサイズを大きくする。
【0037】
また、図4(a)に示されるように、レーザセンサ3から物体6までの距離が短い場合には、レーザセンサ3により物体6が細かい粒度で検出される。一方、図4(b)に示されるように、レーザセンサ3から物体6までの距離が長い場合には、レーザセンサ3により物体6が粗い粒度で検出される。
【0038】
このため、レーザセンサ3から物体6までの距離が短い場合には、ボクセルVのグリッドサイズが小さいほうが望ましい。レーザセンサ3から物体6までの距離が長い場合には、ボクセルVのグリッドサイズが大きいほうが望ましい。
【0039】
そこで、ボクセルサイズ決定部16は、図5に示されるように、レーザセンサ3から物体6までの距離が長くなるほど、ボクセルVのグリッドサイズを大きくする。
【0040】
図6は、コントローラ5により実行されるボクセルサイズ設定処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、点群データ取得部11、屋内外判定部14、平均距離算出部15及びボクセルサイズ決定部16により実行される。本処理は、移動体2の自動走行の開始が指示されると、実行される。
【0041】
図6において、コントローラ5は、まずレーザセンサ3の点群データDを取得する(手順S101)。そして、コントローラ5は、レーザセンサ3の点群データDに基づいて、移動体2の周囲に存在する物体6の検知状況を認識する(手順S102)。物体6の検知状況は、物体6の分布状況及び物体6までの距離状況を含んでいる。
【0042】
続いて、コントローラ5は、物体6の分布状況に基づいて、移動体2が屋内に存在するかどうかを判断する(手順S103)。コントローラ5は、移動体2が屋内に存在すると判断したときは、屋内外判定値として屋内用判定値を選択する(手順S104)。屋内用判定値は、図7に示されるように、ボクセルVのグリッドサイズが規定値Rよりも小さいときの固定値である。
【0043】
コントローラ5は、移動体2が屋内ではなく屋外に存在すると判断したときは、屋内外判定値として屋外用判定値を選択する(手順S105)。屋外用判定値は、図7に示されるように、ボクセルVのグリッドサイズが規定値Rよりも大きいときの固定値である。屋外用判定値は、屋内用判定値よりも大きな値である。なお、ボクセルVのグリッドサイズが規定値Rと等しいときは、屋内外判定値として屋内用判定値及び屋外用判定値の何れを選択してもよい。
【0044】
コントローラ5は、手順S104または手順S105を実行した後、物体6までの距離状況に基づいて、レーザセンサ3から物体6までの距離の平均値(以下、単に距離平均値)を算出する(手順S106)。
【0045】
続いて、コントローラ5は、屋内外判定値及び距離平均値を用いて、ボクセルVのグリッドサイズを算出・決定する(手順S107)。図7に示されるように、距離平均値に対応したボクセルVのグリッドサイズが予め規定されている。そして、ボクセルVのグリッドサイズは、下記式のように、距離平均値に屋内外判定値を加算して得られる。なお、αは定数である。
グリッドサイズ=(距離平均値×α)+屋内外判定値
【0046】
また、ボクセルVのグリッドサイズは、下記式のように、距離平均値と屋内外判定値とを乗算してもよい。なお、αは定数である。
グリッドサイズ=距離平均値×屋内外判定値×α
【0047】
コントローラ5は、手順S107を実行した後、上記の手順S101を再度実行する。これにより、ボクセルVのグリッドサイズは、移動体2の周囲の環境状況に応じて順次設定されることとなる。
【0048】
ここで、点群データ取得部11は、手順S101,S102を実行する。屋内外判定部14は、手順S103~S105を実行する。平均距離算出部15は、手順S106を実行する。ボクセルサイズ決定部16は、手順S107を実行する。
【0049】
ボクセル分割部12は、レーザセンサ3の点群データDを複数のボクセルVに分割する際に、点群データDを手順S107で得られたグリッドサイズのボクセルVに分割して、ボクセル単位の点群データDvを生成する。
【0050】
以上のように本実施形態にあっては、レーザセンサ3によって、移動体2の周囲にレーザLを照射し、そのレーザLの反射光を受光することにより、移動体2の周囲に存在する物体6が検出され、点群データDが出力される。そして、レーザセンサ3の点群データDが複数のボクセルVに分割されて、ボクセル単位の点群データDvが生成され、そのボクセル単位の点群データDvに基づいて移動体2の自己位置が推定される。このとき、移動体2の周囲の環境状況に応じてボクセルVのグリッドサイズが決定され、レーザセンサ3の点群データDが当該グリッドサイズのボクセルVに分割される。このため、移動体2の周囲の環境状況に応じた適切なボクセルサイズが設定されることとなる。これにより、移動体2の自己位置の推定精度が向上する。その結果、移動体2の自己位置推定のロバスト性及び信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかが判定され、移動体2が屋外に存在すると判定されたときは、移動体2が屋内に存在すると判定されたときに比べて、ボクセルVのグリッドサイズが大きい。屋内に存在する物体6のサイズは、屋外に存在する物体6のサイズに比べて小さいことが多い。そこで、移動体2が屋外に存在するときは、移動体2が屋内に存在するときに比べて、ボクセルVのグリッドサイズを大きくすることにより、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであっても、適切なボクセルサイズが設定される。
【0052】
また、本実施形態では、レーザセンサ3の点群データDにおける特定照射角範囲θの点群の有無に基づいて、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかが判定される。このようにレーザセンサ3の点群データDを用いて、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかが判定される。従って、レーザセンサ3以外の専用のセンサを使用しなくて済む。
【0053】
また、本実施形態では、レーザセンサ3から物体6までの距離が長くなるほど、ボクセルVのグリッドサイズが大きい。物体6がレーザセンサ3に近いときは、レーザセンサ3により物体6が細かい粒度で検出されるが、物体6がレーザセンサ3から遠くなると、レーザセンサ3による物体6の検出粒度が粗くなる。そこで、レーザセンサ3から物体6までの距離が長くなるほど、ボクセルVのグリッドサイズを大きくすることにより、レーザセンサ3から物体6までの距離に関わらず、適切なボクセルサイズが設定される。
【0054】
また、本実施形態では、レーザセンサ3から物体6までの距離の平均値が長くなるほど、ボクセルVのグリッドサイズが大きい。このようにレーザセンサ3から物体6までの距離の平均値が算出されるため、更に適切なボクセルサイズが設定される。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、レーザセンサ3の点群データDにおける特定照射角範囲θの点群の有無に基づいて、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかが判定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、カメラにより移動体2の周囲を撮像し、カメラの画像データに基づいて、移動体2が存在する環境が屋内及び屋外の何れであるかを判定してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、レーザセンサ3から物体6までの距離の平均値が算出され、その距離平均値に応じてボクセルVのグリッドサイズが決定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、レーザセンサ3から物体6までの距離の分散値(ばらつき)や最小値等を算出し、その算出値に応じてボクセルVのグリッドサイズを決定してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、移動体2が存在する環境(屋内または屋外)とレーザセンサ3から物体6までの距離とに基づいて、ボクセルVのグリッドサイズが決定されているが、特にそのような形態には限られない。移動体2が存在する環境及びレーザセンサ3から物体6までの距離の何れか一方に基づいて、ボクセルVのグリッドサイズを決定してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、移動体2の周囲に存在する物体6までの距離を検出するレーザセンサ3が使用されているが、移動体2が存在する環境のみに基づいてボクセルVのグリッドサイズを決定する場合には、単に移動体2の周囲に存在する物体6の有無を検出するレーザセンサを使用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…自己位置推定装置、2…移動体、3…レーザセンサ(レーザ物体検出部)、6…物体、12…ボクセル分割部、13…自己位置推定部、14…屋内外判定部、15…平均距離算出部、16…ボクセルサイズ決定部、D…点群データ、Dv…点群データ、V…ボクセル、L…レーザ、θ…特定照射角範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7