特開 2024-113779 木質材料製の壁構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024113779

(43)【公開日】2024-08-23

(54)【発明の名称】木質材料製の壁構造

(51)【国際特許分類】

   E04B 2/56 20060101AFI20240816BHJP

【ＦＩ】

E04B2/56 604F

E04B2/56 605M

E04B2/56 621L

E04B2/56 632L

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023018961

(22)【出願日】2023-02-10

(71)【出願人】

【識別番号】000140292

【氏名又は名称】株式会社奥村組

(74)【代理人】

【識別番号】100128509

【弁理士】

【氏名又は名称】絹谷 晴久

(74)【代理人】

【識別番号】100119356

【弁理士】

【氏名又は名称】柱山 啓之

(74)【代理人】

【氏名又は名称】鈴木 知

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 淳

(72)【発明者】

【氏名】岸本 剛

(72)【発明者】

【氏名】秋竹 壮哉

(72)【発明者】

【氏名】平松 一夫

【テーマコード（参考）】

2E002

【Ｆターム（参考）】

2E002FB07

2E002FB25

2E002HB04

2E002JB04

(57)【要約】

【課題】壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化が可能な木質材料を用い、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることが可能な木質材料製の壁構造を提供する。
【解決手段】同一寸法の木質材料製の八角形ブロック５を複数個用い、八角形ブロックの横辺ｘは、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成され、縦辺ｙは、木質材料の繊維の向きと交差させて形成され、複数個の八角形ブロックは、開口部４分の内方で、木質材料の繊維の向きがすべて同じ向きであって、等長の縦辺同士が向かい合いかつ等長の横辺同士が向かい合う配列で、かつ、柱２に面する八角形ブロックの縦辺が当該柱と向かい合い、梁３に面する八角形ブロックの横辺が当該梁と向かい合うように、柱・梁方向に配設されて、壁１が構築される。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

柱と梁とで区画される開口部分の内方に構築される壁構造であって、
互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺と、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺と、互いに平行関係でかつ等長で該縦辺と該横辺とを結ぶ、一対２組の４つの斜辺とを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロックを複数個用い、
該八角形ブロックの上記縦辺及び上記横辺のいずれか一方は、木質材料の繊維の向きと平行に形成され、いずれか他方は、木質材料の該繊維の向きと交差させて形成され、
複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、木質材料の上記繊維の向きがすべて同じ向きであって、等長の上記縦辺同士が向かい合いかつ等長の上記横辺同士が向かい合う配列で、かつ、上記柱に面する該八角形ブロックの該縦辺が当該柱と向かい合い、上記梁に面する該八角形ブロックの該横辺が当該梁と向かい合うように、柱・梁方向に配設されて、壁が構築されることを特徴とする木質材料製の壁構造。

【請求項2】

前記開口部分の内方には、前記柱及び前記梁の幅方向に、前記壁が少なくとも２つ並立して構築され、これら壁のうちのいずれかは、前記八角形ブロックの前記縦辺が木質材料の前記繊維の向きと平行であり、これら壁のうちの他のいずれかは、上記八角形ブロックの前記横辺が木質材料の上記繊維の向きと平行であることを特徴とする請求項１に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項3】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記縦辺同士及び前記横辺同士が互いに接着されると共に、前記柱と向かい合う上記八角形ブロックの上記縦辺が当該柱に接着され、前記梁と向かい合う上記八角形ブロックの上記横辺が当該梁に接着されることを特徴とする請求項１または２に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項4】

前記開口部分の内方で、前記八角形ブロックの前記斜辺と前記柱や前記梁との間の隙間には、該斜辺と該柱や該梁とに接着して、隙間封止材が配設されることを特徴とする請求項３に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項5】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記縦辺同士及び前記横辺同士が互いに接着されると共に、前記柱や前記梁とこれらに向かい合う上記八角形ブロックとの間に、間隙封止材が配設され、該間隙封止材に上記八角形ブロックが接着され、上記間隙封止材が上記柱や上記梁に接着されることを特徴とする請求項１または２に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項6】

前記八角形ブロックは、複数枚の八角形板片を前記柱及び前記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した積層材であり、これら八角形板片は、木質材料の前記繊維の向きがすべて同じ向きに揃えられていることを特徴とする請求項１または２に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項7】

前記八角形ブロックは、複数枚の八角形板片を前記柱及び前記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した積層材であり、これら八角形板片は、木質材料の前記繊維の向きが互い違いに交差されていることを特徴とする請求項１または２に記載の木質材料製の壁構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化が可能な木質材料を用い、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることが可能な木質材料製の壁構造に関する。

【背景技術】

【0002】

地球温暖化の防止や森林資源の活用、林業再生の必要が注目され、ＥＳＧ投資やＳＤＧｓの観点からも、木質材料の積極的な活用が求められている。

【0003】

木質材料は、繰り返し再利用できる素材であり、持続可能な資源活用としても、優れている。

【0004】

木質材料を利用した建設技術として、特許文献１や特許文献２が知られている。

【0005】

特許文献１の「木質構造部材、木質構造部材の接合構造及びその施工方法」は、燃え代設計による木造準耐火構造のロングスパン建築が可能で、ローコストかつ短納期で、現地での組み立て容易性も高い木質構造部材、木質構造部材の接合方法及び木質構造部材の接合構造の施工方法を提供することを課題とし、木質構造部材の木質部材は、中央に配置された内側木質板材と、この内側木質板材を両面から挟む一対の外側木質板材と、を積層して形成される。木質部材の外周には、所定の燃え代層を設けて、この燃え代層よりも内側を荷重支持部とし、木質構造部材全体を準耐火構造にしている。

【0006】

特許文献２の「耐震壁」は、木質系の材料を用いて耐震性能の優れた耐震壁を提供することを課題とし、耐震壁は、柱梁架構の構面内に設けられる。耐震壁は、長さ方向を繊維方向とする木質板が複数並んで配置されて形成された木質壁部と、木質壁部の周囲と柱梁架構との隙間をモルタル材で閉塞して形成された閉塞部と、を備える。木質板の角度は、柱梁架構の対角線の角度である。地震などにより柱梁架構に水平方向の外荷重が加わると、柱梁架構の構面内には、対角線方向に引張力あるいは圧縮力が作用する。木質板は繊維方向のヤング率および強度が高いため、この引張力あるいは圧縮力に対して十分に抵抗するから、優れた耐震性能を発揮できる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【特許文献1】特開２０１５－１４１５４号公報

【特許文献2】特開２０２１－１４７８１６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

特許文献２の壁では、構面内に配列される複数の木質板について、個々の柱梁架構固有の対角線方向に向けて、柱寸法や梁寸法に合わせて、各木質板を異なる寸法で成形する必要があり、木質板の製作に手間を要するという課題があった。

【0009】

また、柱梁架構の対角の隅角同士の間に亘る木質板になると、相当に大型化し、木質板が軽量であるという利点を十分に活かせず、施工性が良くないという課題もあった。

【0010】

本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化が可能な木質材料を用い、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることが可能な木質材料製の壁構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0011】

本発明にかかる木質材料製の壁構造は、柱と梁とで区画される開口部分の内方に構築される壁構造であって、互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺と、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺と、互いに平行関係でかつ等長で該縦辺と該横辺とを結ぶ、一対２組の４つの斜辺とを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロックを複数個用い、該八角形ブロックの上記縦辺及び上記横辺のいずれか一方は、木質材料の繊維の向きと平行に形成され、いずれか他方は、木質材料の該繊維の向きと交差させて形成され、複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、木質材料の上記繊維の向きがすべて同じ向きであって、等長の上記縦辺同士が向かい合いかつ等長の上記横辺同士が向かい合う配列で、かつ、上記柱に面する該八角形ブロックの該縦辺が当該柱と向かい合い、上記梁に面する該八角形ブロックの該横辺が当該梁と向かい合うように、柱・梁方向に配設されて、壁が構築されることを特徴とする。

【0012】

前記開口部分の内方には、前記柱及び前記梁の幅方向に、前記壁が少なくとも２つ並立して構築され、これら壁のうちのいずれかは、前記八角形ブロックの前記縦辺が木質材料の前記繊維の向きと平行であり、これら壁のうちの他のいずれかは、上記八角形ブロックの前記横辺が木質材料の上記繊維の向きと平行であることを特徴とする。

【0013】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記縦辺同士及び前記横辺同士が互いに接着されると共に、前記柱と向かい合う上記八角形ブロックの上記縦辺が当該柱に接着され、前記梁と向かい合う上記八角形ブロックの上記横辺が当該梁に接着されることを特徴とする。

【0014】

前記開口部分の内方で、前記八角形ブロックの前記斜辺と前記柱や前記梁との間の隙間には、該斜辺と該柱や該梁とに接着して、隙間封止材が配設されることを特徴とする。

【0015】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記縦辺同士及び前記横辺同士が互いに接着されると共に、前記柱や前記梁とこれらに向かい合う上記八角形ブロックとの間に、間隙封止材が配設され、該間隙封止材に上記八角形ブロックが接着され、上記間隙封止材が上記柱や上記梁に接着されることを特徴とする。

【0016】

前記八角形ブロックは、複数枚の八角形板片を前記柱及び前記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した積層材であり、これら八角形板片は、木質材料の前記繊維の向きがすべて同じ向きに揃えられていることを特徴とする。

【0017】

前記八角形ブロックは、複数枚の八角形板片を前記柱及び前記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した積層材であり、これら八角形板片は、木質材料の前記繊維の向きが互い違いに交差されていることを特徴とする。

【発明の効果】

【0018】

本発明にかかる木質材料製の壁構造にあっては、壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量な木質材料を用いて構築することができ、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【0019】

【図1】本発明にかかる木質材料製の壁構造の好適な一実施形態を示す正面図である。

【図2】図１に示した壁構造に適用される八角形ブロック及び間隙封止ブロックの説明図である。

【図3】図２（ａ）に示した八角形ブロックの厚さ方向（柱・梁の幅方向）の構成の説明図である。

【図4】図１に示した壁構造の水平外力に対する抵抗作用の説明図である。

【図5】図１に示した壁構造を、単一の開口部分に２つ並立して構築した様子の説明図である。

【図6】図２（ａ）に示した八角形ブロックの変形例の説明図である。

【図7】図６に示した変形例に係る八角形ブロックの厚さ方向（柱・梁の幅方向）の構成の説明図である。

【図8】本発明にかかる木質材料製の壁構造に適用可能な、他の八角形ブロックの形態を例示した説明図である。

【図9】本発明にかかる木質材料製の壁構造の変形例を示す要部正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0020】

以下に、本発明にかかる木質材料製の壁構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。

【0021】

図１に示すように、柱２と梁３で構成される柱・梁架構には、左右一対の柱２と上下一対の梁３で区画して、長方形状の開口部分４が形成される。

【0022】

この開口部分４に、木質材料製の壁１が構築され、当該壁１が、柱２及び梁３と接着されることで、壁構造とされる。

【0023】

本実施形態では、壁１は、図１及び図２に示すように、開口部分４に並べられ、積み上げられる複数個の同一寸法の木質材料製の八角形ブロック５と、これら八角形ブロック５と柱２や梁３との間に生ずる間隙を封止する木質材料製の間隙封止ブロック６，７とから構成される。

【0024】

図２（ａ）は、八角形ブロック５の正面図、図２（ｂ）は、下記の一方の間隙封止ブロック６の正面図、図２（ｃ）は、下記の他方の間隙封止ブロック７の正面図である。

【0025】

間隙封止ブロック６，７は、柱２や梁３とこれらに向かい合う八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘ、斜辺ｗとの間に、間隙を埋めて封止する納まり代で形成される。

【0026】

八角形ブロック５は、縦辺ｙや横辺ｘ，斜辺ｗがこれら間隙封止ブロック６，７に接合され、そして間隙封止ブロック６，７が柱２や梁３に接合されて、壁１が構築される。

【0027】

八角形ブロック５は、厚さが一定であって、その外形輪郭は、互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺ｘと、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺ｙと、互いに平行関係でかつ等長で縦辺ｙと横辺ｘとを結ぶ、一対２組の４つの斜辺ｗとを有する。

【0028】

図示例では、八角形ブロック５は、８つの辺ｘ，ｙ，ｗの長さがすべて等しい正八角形の場合が示されている。

【0029】

八角形ブロック５は、正八角形以外であっても良く、例えば、縦辺ｙと横辺ｘの長さを異ならせても良い。

【0030】

以下の説明では、正八角形の八角形ブロック５について説明するが、正八角形でない八角形ブロック５の場合であっても、同様に理解することができる。

【0031】

間隙封止ブロック６，７は、八角形ブロック５の厚さと同じ厚さであって、２種類のものが用いられる。

【0032】

一方の間隙封止ブロック６は、開口部分４の隅角部４ａを除いて、柱２の上下方向と梁３の左右方向とに並べて設けられる。

【0033】

一方の間隙封止ブロック６は、上下にまたは左右に隣接する一対の八角形ブロック５と接合される第１の面６ａと、柱２または梁３と接合される第２の面６ｂと、隣接する他の一方の間隙封止ブロック６もしくは他方の間隙封止ブロック７と接合される一対の端面６ｃとを有する。

【0034】

第１の面６ａは、隣接する一対の八角形ブロック５の各斜辺ｗに当接される山形部分と、当該山形部分の両側で、これら八角形ブロック５の縦辺ｙもしくは横辺ｘに、それらの半分の長さにわたって当接される平坦部分とを有するように形成される。第２の面６ｂは、柱２または梁３に当接されるように、平坦に形成される。

【0035】

他方の間隙封止ブロック７は、開口部分４の隅角部４ａに設けられる。他方の間隙封止ブロック７は、隅角部４ａに面する１つの八角形ブロック５と接合される第１の面７ａと、隅角部４ａで柱２及び梁３と接合される第２の面７ｂと、隣接する一方の間隙封止ブロック６の端面６ｃと接合される一対の端面７ｃとを有する。

【0036】

第１の面７ａは、八角形ブロック５の斜辺ｗに当接される傾斜部分と、当該傾斜部分の両側で、八角形ブロック５の縦辺ｙ及び横辺ｘに、それらの半分の長さに亘って当接される平坦部分とを有するように形成される。

【0037】

第２の面７ｂは、柱２及び梁３双方に隅角部４ａで当接されるように、Ｌ字状に形成される。

【0038】

これら間隙封止ブロック６，７の各面６ａ～６ｃ，７ａ～７ｃは、八角形ブロック５や柱２、梁３対して、そしてブロック６，７同士で互いに、接着剤で接着される接合部とされる。

【0039】

開口部分４の内方への八角形ブロック５及び間隙封止ブロック６，７の配列について説明すると、八角形ブロック５については、開口部分４の柱方向（柱の軸方向に沿う上下方向）及び梁方向（梁の軸方向に沿う左右方向）に縦横に配設される。

【0040】

この際、隣接する八角形ブロック５同士は必ず、縦辺ｙ同士が向かい合いかつ横辺ｘ同士が向かい合って互いに当接するように配列される。

【0041】

すなわち、図１に示したように、八角形ブロック５は、上下方向に行をなし、左右方向に列をなすように、「行列」配置で配列される。

【0042】

隣接する八角形ブロック５同士は、互いに当接される縦辺ｙ同士及び横辺ｘ同士が接着剤で接着される。

【0043】

このように八角形ブロック５は、縦辺ｙ及び横辺ｘが他の八角形ブロック５との接合部とされる。

【0044】

互いに接合された上下左右に隣接する４つの八角形ブロック５は、それらの斜辺ｗで取り囲んで菱形状（正方形状）の開口Ｓを区画形成する。

【0045】

一般的に、開口部分４と八角形ブロック５の寸法関係により、柱２や梁３とこれらに向かい合う八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘとの間に間隙が生じて、この間隙のために、八角形ブロック５を直接柱面２ａや梁面３ａに当接させることができない場合が多い。

【0046】

すなわち、八角形ブロック５のうち、柱２や梁３に面する八角形ブロック５は、それらの縦辺ｙや横辺ｘが柱面２ａや梁面３ａに対し、間隙を隔てて向かい合わされる。

【0047】

開口部分４の隅角部４ａでは、八角形ブロック５の斜辺ｗが間隙を隔てて当該隅角部４ａに面する。

【0048】

間隙封止ブロック６，７は、これら間隙を封止する、すなわち八角形ブロック５の納まり代を調整するために配設される。

【0049】

八角形ブロック５は、これら間隙封止ブロック６，７を介して、柱面２ａや梁面３ａに対し接合される。

【0050】

このような納まり代を備えた間隙封止ブロック６，７を用いることで、八角形ブロック５を直接柱面２ａや梁面３ａに当てることができない場合であっても、開口部分４の内方に八角形ブロック５による壁１を構築することができる。

【0051】

以上のようにして開口部分４の内方に八角形ブロック５及び間隙封止ブロック６，７を配列し接着することで、壁構造が構築される。

【0052】

接着剤としては、木質材料に浸潤するエポキシ樹脂などを用いることが好ましい。木質材料は、接着した面から浸潤した接着剤によって強度が増強される。

【0053】

八角形ブロック５は、接着剤が塗布される縦辺ｙや横辺ｘの強度が増強されることから、正八角形状であるよりも、斜辺ｗの長さが縦辺ｙ及び／または横辺ｘよりも短い八角形状であることが好ましい。

【0054】

次に、八角形ブロック５自体の構成について詳述する。木質材料製の八角形ブロック５は、木質材料が備える繊維ｆを活かすようにして形成される。

【0055】

具体的には、八角形ブロック５は例えば、図１及び図２（ａ）に示すように、横辺ｘが、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成され、縦辺ｙが、木質材料の繊維ｆの向きと直角に交差させて形成される。

【0056】

あるいは、八角形ブロック５は、縦辺ｙが、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成され、横辺ｘが、木質材料の繊維ｆの向きと直角に交差させて形成される。

【0057】

要するに、木質材料の繊維ｆの向きと平行に沿う横辺ｘもしくは縦辺ｙが得られるように八角形ブロック５を形成し、そのように形成した八角形ブロック５を、そのままの向きで用いる、もしくは、９０°回した向きで用いると言うことである。

【0058】

横辺ｘもしくは縦辺ｙが繊維ｆの向きと平行であるとは、木質材料が備える一方向に向けて揃っている繊維ｆの向きと横辺ｘもしくは縦辺ｙとが実質的に、おおよそ平行であればよいという意味である。

【0059】

従ってまた、縦辺ｙもしくは横辺ｘが繊維ｆの向きと交差するとは、木質材料が備える一方向に向けて揃っている繊維ｆの向きと縦辺ｙもしくは横辺ｘとが実質的に、おおよそ交差する方向に向いていればよいという意味である。

【0060】

間隙封止ブロック６，７についても、それらが当接される各八角形ブロック５個々における木質材料の繊維ｆの向きに合わせて、それらの繊維の向きを揃えることが好ましい。

【0061】

このように構成される各八角形ブロック５自体は、図２（ａ）に示すように、木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向が、引張力、そして殊に圧縮力Ｃに対し、強軸方向ＳＡとなる。

【0062】

また、各八角形ブロック５自体は、木質材料の繊維ｆの向きと交差する方向が、圧縮力、そして殊に引張力Ｔに対し、弱軸方向ＷＡとなる。

【0063】

八角形ブロック５は、図３に示すように、各種の態様で形成される。図３（ａ）は、原材料である円柱状等の丸太を、繊維方向に切断したひき板で形成した場合の側面図である。

【0064】

図３（ｂ）は、ひき板を八角形板片５ａとして用い、この八角形板片５ａを重ね合わせて一体化した積層材の場合の側面図である。

【0065】

この場合、すべての八角形板片５ａが、木質材料の繊維ｆの向きが実質的に、おおよそ同じになるように揃えられて、柱２及び梁３の幅方向に重ね合わされる。

【0066】

図３（ｃ）は、原材料である円柱状等の丸太から、かつら剥きの要領で薄板を作成し、この薄板から切り出した八角形板片５ａを複数枚重ね合わせて一体化した積層材の場合の側面図である。

【0067】

この場合も、すべての八角形板片５ａが、木質材料の繊維ｆの向きが実質的に、おおよそ同じになるように揃えられて、柱２及び梁３の幅方向に重ね合わされる。

【0068】

開口部分４の内方に上述のように配列される複数個の八角形ブロック５は、すべての八角形ブロック５における木質材料の繊維ｆの向きがすべて実質的に、おおよそ同方向となるように、等長の縦辺ｙ同士及び横辺ｘ同士が向かい合う配列で縦横方向（柱方向及び梁方向）に配設され、接着される。

【0069】

図１は、木質材料の繊維ｆの向きが横辺ｘと平行である場合であって、従って、壁１には、左右方向に向きが揃えられた繊維ｆが現れる。

【0070】

図示しないけれども、木質材料の繊維ｆの向きが縦辺ｙと平行である場合には、壁１には、上下方向に向きが揃えられた繊維ｆが現れる。

【0071】

木質材料の繊維ｆを左右方向もしくは上下方向の一方向に揃える配列で八角形ブロック５等を設けることにより、壁１の表裏面にデザイン的効果を創出することができる。

【0072】

図１、そして図４にも示すように、八角形ブロック５が上下の梁３，３間に積み上げられかつ左右の柱２，２間に並べられた開口部分４の内方では、地震などの左右水平方向の外力は、柱２・梁３から開口部分４内方の壁１に作用する。

【0073】

その際の応力伝達状態については、例えば右方向へ作用する当該外力ＲＦは、柱２や梁３から、間隙封止ブロック６，７を介して、各八角形ブロック５の斜辺ｗに対し直角をなす、右斜め下向きのせん断力ｑとして作用する。

【0074】

各八角形ブロック５それぞれの斜辺ｗに入力されたせん断力ｑは、開口Ｓを迂回し、各八角形ブロック５を通じて、縦辺ｙ同士の接合による右方向へ向かう水平分力ｈｆの累積及び横辺ｘ同士の接合による下方へ向かう垂直分力ｖｆの累積として伝達される。

【0075】

これら水平分力ｈｆ及び垂直分力ｖｆにより、壁１全体で見ると、せん断力ｑの作用方向に沿う圧縮ストラットＣＦが生じる（図中、右下がりの圧縮ストラット；正八角形の場合４５°）。

【0076】

図４に示すように、左方向へ作用する外力ＬＦの場合も、同様の圧縮ストラットＣＦが逆向きに生じる（左下がりの圧縮ストラット；正八角形の場合４５°）。

【0077】

八角形ブロック５の横辺ｘが木質材料の繊維ｆの向きと平行である場合（図２（ａ）参照）には、水平分力ｈｆが伝達される横辺ｘに沿う方向が強軸方向ＳＡであり、垂直分力ｖｆが伝達される縦辺ｙに沿う方向が弱軸方向ＷＡとなる壁１が構築される。

【0078】

従って、このような壁１を備えた柱・梁架構は、垂直分力ｖｆに対してよりも、水平分力ｈｆに対して、余裕のある構造が得られる。

【0079】

八角形ブロック５の縦辺ｙが木質材料の繊維ｆの向きと平行である場合には、図示しないけれども、垂直分力ｖｆが伝達される縦辺ｙに沿う方向が強軸方向であり、水平分力ｈｆが伝達される横辺ｘに沿う方向が弱軸方向となる壁１が構築される。

【0080】

このような壁１を備えた柱・梁架構は、水平分力ｈｆに対してよりも、垂直分力ｖｆに対して、余裕のある構造が得られる。

【0081】

壁１の構造強度として、上述したように、水平分力ｈｆもしくは垂直分力ｖｆのいずれかに対して余裕のある構造で満足できる場合には、開口部分４には、木質材料の繊維ｆの向きが横辺ｘに平行もしくは縦辺ｙに平行な単一の壁１を備えればよい。

【0082】

他方、壁１の強度が不足する場合には、壁１は、図５に示すように、開口部分４の内方に、柱２及び梁３の幅方向へ少なくとも２つ重ねて、並立させて構築される。

【0083】

図５（ａ）は、壁構造の側断面図、図５（ｂ）は、図５（ａ）の壁構造を左方から見た一方の壁１の要部拡大正面図、図５（ｃ）は、図５（ａ）の壁構造を右方から見た他方の壁１の要部拡大正面図である。

【0084】

隣り合うこれら壁１同士は、一方の壁１の木質材料の繊維ｆの向きが横辺ｘと平行とされ、他方の壁１の木質材料の繊維ｆの向きが縦辺ｙと平行とされる。

【0085】

すなわち、一方の壁１（の八角形ブロック５）の強軸方向ＳＡが他方の壁１（の八角形ブロック５）の弱軸方向ＷＡとされ、一方の壁１（の八角形ブロック５）の弱軸方向ＷＡが他方の壁１（の八角形ブロック５）の強軸方向ＳＡとなるように、これら壁１が並立される。

【0086】

これら壁１同士は、柱２及び梁３の幅方向で互いに接着されることなく、縁切りされて、互いに自由に挙動するように構築される。

【0087】

このような壁構造にすれば、単一の開口部分４において、右向きの外力ＲＦに対しても、左向きの外力ＬＦに対しても、等しい抵抗作用を奏する柱・梁架構が得られる。壁１の並立数は、偶数枚であれば、その数は問われない。

【0088】

以上説明した本実施形態にかかる木質材料製の壁構造にあっては、互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺ｘと、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺ｙと、互いに平行関係でかつ等長で縦辺ｙと横辺ｘとを結ぶ、一対２組の４つの斜辺ｗとを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロック５を複数個用い、八角形ブロック５の縦辺ｙ及び横辺ｘのいずれか一方は、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成され、いずれか他方は、木質材料の繊維ｆの向きと交差させて形成され、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、木質材料の繊維ｆの向きがすべて同じ向きであって、等長の縦辺ｙ同士が向かい合いかつ等長の横辺ｘ同士が向かい合う配列で、かつ、柱２に面する八角形ブロック５の縦辺ｙが当該柱２と向かい合い、梁３に面する八角形ブロック５の横辺ｘが当該梁３と向かい合うように、柱・梁方向に配設され、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、向かい合う縦辺ｙ同士及び横辺ｘ同士が互いに接着されると共に、柱２や梁３とこれらに向かい合う八角形ブロック５との間に、間隙封止ブロック６，７が配設され、間隙封止ブロック６，７に八角形ブロック５が接着され、間隙封止ブロック６，７が柱２や梁３に接着されて、壁１が構築されるようにしていて、互いに接合される縦辺ｙ同士もしくは横辺ｘ同士と木質材料の繊維ｆの向きとを合わせることにより、木質材料製でありながら、耐震性を奏する高い強度を壁１に付与することができる。

【0089】

また、壁１の構成部材である木質材料製の八角形ブロック５は、柱・梁架構の開口部分４に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化できるものであり、施工性に優れると共に、壁１自体の軽量化も図ることができる。

【0090】

単体として形作られた八角形ブロック５同士の組み合わせによって、八角形ブロック５の強度は高く確保しつつ、採光や通風を確保する開口Ｓを合理的に壁１に形成することができる。

【0091】

八角形ブロック５自体、高い強度を発揮すると共に、八角形ブロック５同士、そしてまた、間隙封止ブロック６，７を介して八角形ブロック５と柱２や梁３との接着で壁１が構築されるため、騒音や振動、粉塵の発生がなく、居ながらで壁１を構築することができる。従って、既存建物に対する改修工事として施工することができる。

【0092】

壁１を、木質材料のブロック５～７で構築することにより、仕上げは不要であり、木材の質感を活かした壁１を得ることができる。

【0093】

ブロック５～７は、原材料である木材が小割にされたもの、すなわち端材でもよいので、木材資源の有効活用に資することができる。

【0094】

木質材料であるブロック５～７に燃え代を確保したり、耐火被覆を設けてもよいことはもちろんである。

【0095】

ブロック５～７を接着剤で接着するようにしていて、接着剤が浸潤される接着面の強度が増強されるので、ブロック５～７は各接着面が補強されていると言え、壁１として、面外方向への座屈や圧壊などの変形を抑制することができる。

【0096】

開口部分４の内方には、柱２及び梁３の幅方向に、壁１が少なくとも２つ並立して構築され、これら壁１の一方は、八角形ブロック５の縦辺ｙが木質材料の繊維ｆの向きと平行であり、これら壁１の他方は、八角形ブロック５の横辺ｘが木質材料の繊維ｆの向きと平行であって、隣り合うこれら壁１同士は、木質材料の繊維ｆの向きが異なるので、木質材料の繊維ｆの向きによって強軸や弱軸があっても、必要強度の壁１を、単一の開口部分４に構築することができる。

【0097】

八角形ブロック５は、木質材料の繊維ｆの向きがすべて同じ八角形板片５ａを柱２及び梁３の幅方向に重ね合わせて一体化した積層材であるので、この積層材によって、壁１の必要強度に合わせた八角形ブロック５を形成して壁１を構築することができる。

【0098】

八角形ブロック５と柱２や梁３との間の間隙を封止するために、八角形ブロック５及び柱２や梁３に接着して、間隙封止ブロック６，７を配設するようにしたので、柱２及び梁３に対して、堅固な壁１を構築することができる。

【0099】

図６及び図７には、上記実施形態で説明した八角形板片５ａで形成される八角形ブロック５の変形例が示されている。

【0100】

本変形例に係る八角形ブロック５は、図３（ｂ），（ｃ）と同様に、複数枚の八角形板片５ａを柱２及び梁３の幅方向に重ね合わせて一体化した積層材で形成される。

【0101】

八角形板片５ａとしては、縦辺ｙが木質材料の繊維ｆの向きと平行なものと、横辺ｘが木質材料の繊維ｆの向きと平行なものが用いられる。

【0102】

八角形ブロック５は、木質材料の繊維ｆの向きが縦辺ｙに沿うものと、横辺ｘに沿うものとを順次交互に重ね合わせることにより、図６に示すように、厚さ方向に繊維ｆの向きが交差された積層材として形成される。

【0103】

八角形ブロック５は具体的には、図７の各側面図で示すように、各種の態様で形成される。

【0104】

図７（ａ）は、原材料である円柱状等の丸太を、繊維方向に切断したひき板を八角形板片５ａとして用い、この八角形板片５ａを、木質材料の繊維ｆの向きが交差するようにして、柱２及び梁３の幅方向に２枚重ねして一体化した場合の側面図である。

【0105】

図７（ｂ）は、図７（ａ）に比して厚さの薄い多数枚の八角形板片５ａを、繊維ｆの向きが交差するように、重ね合わせて一体化した場合の側面図である。

【0106】

図７（ｃ）は、原材料である円柱状等の丸太から、かつら剥きの要領で薄板を作成し、この薄板から切り出した八角形板片５ａを複数枚重ね合わせて一体化した積層材の場合の側面図である。

【0107】

この場合も、木質材料の繊維ｆの向きが交差するようにして、柱２及び梁３の幅方向に重ね合わされる。

【0108】

従って、この変形例の八角形ブロック５では、強軸方向ＳＡと弱軸方向ＷＡが交差するので、当該八角形ブロック５により構築される壁１は、右向きの外力ＲＦに対しても、左向きの外力ＬＦに対しても、等しく抵抗作用を奏することができる。

【0109】

すなわち、本変形例によれば、木質材料の繊維ｆの向きが交差する積層材で形成した八角形ブロック５であるので、単一の壁１を構築するという簡便な施工で、左右双方向に抵抗する柱・梁架構を構築することができる。

【0110】

この場合、接合する２つの八角形ブロック５の各八角形板片５ａは、同一平面に並ぶもの同士の繊維ｆが全て平行になるように配置されることが望ましい。

【0111】

八角形ブロック５は、正八角形状の形態に代えて、縦辺ｙと横辺ｘの長さを異ならせた形態としたり、その他の形態としてもよい。図８には、八角形ブロック５の他の変形例が示されている。

【0112】

図８（ａ）及び（ｂ）に示すように、すべての角の内角が１３５°である八角形ブロック５であれば、縦辺ｙを繊維ｆと平行にすると、横辺ｘは、繊維ｆの向きと直角に交差する関係となる。

【0113】

図８（ａ）は、辺の長さが横辺ｘ＞縦辺ｙである場合、図８（ｂ）は、縦辺ｙ＞横辺ｘである場合である。

【0114】

正八角形ブロック５の斜辺ｗは、縦辺ｙ及び横辺ｘに対し、４５°の角度（内角が１３５°）をなす（図２参照）が、図８（ｃ）は、縦辺ｙに対し６０°、横辺ｘに対し３０°をなし、かつ縦辺ｙ＜横辺ｘの場合を示している。

【0115】

図８（ｄ）は、向かい合う一方の組の斜辺ｗが、一方の縦辺ｙに対して６０°、横辺ｘに対し３０°をなし、向かい合う他方の組の斜辺ｗが、縦辺ｙに対して３０°、横辺ｘに対し６０°をなすように形成した場合を示している。

【0116】

このように縦辺ｙ及び横辺ｘに対してなす角度の和が９０°である斜辺ｗを有する八角形ブロック５であれば、上記の４５°や３０°，６０°という角度に限定されることなく、当該八角形ブロック５を適用して上記壁１を構築できることはもちろんである。

【0117】

図８（ａ）～（ｄ）に例示した形態は、接着箇所となる縦辺ｙ及び横辺ｘの長さが、斜辺ｗよりも相当に長いので、接着剤による接着で得られる壁１の高強度化を図ることができる。

【0118】

図９には、さらに他の変形例が示されている。この変形例は、八角形ブロック５と開口部分４の内法寸法の関係が、縦辺ｙ及び横辺ｘを直接、柱２や梁３に当接させることが可能で、八角形ブロック５と柱２及び梁３とを直接接着できる場合である。

【0119】

すなわち、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、向かい合う縦辺ｙ同士及び横辺ｘ同士が互いに接着されると共に、柱２と向かい合う八角形ブロック５の縦辺ｙが当該柱２に接着され、梁３と向かい合う八角形ブロック５の横辺ｘが当該梁３に接着される。八角形ブロック５同士の行列配置は、上記実施形態と同様である。

【0120】

本変形例では、壁１は、上述した木質材料製の八角形ブロック５と、これら八角形ブロック５と柱２や梁３との間に生ずる隙間を封止する木質材料製の隙間封止ブロック８，９とから構成される。

【0121】

隙間封止ブロック８，９は、八角形ブロック５の厚さと同じ厚さであって、２種類のものが用いられる。

【0122】

一方の隙間封止ブロック８は、開口部分４の隅角部４ａを除いて、柱２の上下方向と梁３の左右方向とに並べて設けられる。

【0123】

一方の隙間封止ブロック８は、上下にまたは左右に隣接する一対の八角形ブロック５と接合される山形形状の面８ａと、柱２または梁３と接合される平坦面８ｂとを有する三角形状の形態で形成される。

【0124】

一方の隙間封止ブロック８は、八角形ブロック５が正八角形状であれば、直角二等辺三角形状の形態で形成される。

【0125】

他方の隙間封止ブロック９は、開口部分４の隅角部４ａに設けられる。他方の隙間封止ブロック９は、隅角部４ａに面する１つの八角形ブロック５と接合される傾斜状の平坦面９ａと、隅角部４ａで柱２及び梁３と接合されるＬ字状の面９ｂとを有する。

【0126】

他方の隙間封止ブロック９は、八角形ブロック５が正八角形状であれば、一方の隙間封止ブロック８の半分の大きさの直角二等辺三角形状の形態で形成される。

【0127】

これら隙間封止ブロック８，９の各面８ａ，８ｂ，９ａ，９ｂは、八角形ブロック５や柱２、梁３対して、接着剤で接着される接合部とされる。

【0128】

以上のようにして開口部分４の内方に八角形ブロック５及び隙間封止ブロック８、９を配列し接着することで、壁１が構築される。

【0129】

この変形例であっても、互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺ｘと、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺ｙと、互いに平行関係でかつ等長で縦辺ｙと横辺ｘとを結ぶ、一対２組の４つの斜辺ｗとを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロック５を複数個用い、八角形ブロック５の縦辺ｙ及び横辺ｘのいずれか一方は、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成され、いずれか他方は、木質材料の繊維ｆの向きと交差させて形成され、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、木質材料の繊維ｆの向きがすべて同じ向きであって、等長の縦辺ｙ同士が向かい合いかつ等長の横辺ｘ同士が向かい合う配列で、かつ、柱２に面する八角形ブロック５の縦辺ｙが当該柱２と向かい合い、梁３に面する八角形ブロック５の横辺ｘが当該梁３と向かい合うように、柱・梁方向に配設され、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、向かい合う縦辺ｙ同士及び横辺ｘ同士が互いに接着されると共に、柱２と向かい合う八角形ブロック５の縦辺ｙが当該柱２に接着され、梁３と向かい合う八角形ブロック５の横辺ｘが当該梁３に接着されると共に、開口部分４の内方で、八角形ブロック５の斜辺ｗと柱２や梁３との間の隙間には、斜辺ｗと柱２や梁３とに接着して、隙間封止ブロック８，９が配設され、隙間封止ブロック８，９に八角形ブロック５が接着され、隙間封止ブロック８，９が柱２や梁３に接着されて、壁１が構築されるようにしていて、互いに接合される縦辺ｙ同士もしくは横辺ｘ同士と木質材料の繊維ｆの向きとを合わせることにより、上記実施形態と同様に、木質材料製でありながら、耐震性を奏する高い強度を壁１に付与することができる。

【0130】

隙間封止ブロック８，９についても、それらが当接される各八角形ブロック５個々における木質材料の繊維ｆの向きに合わせて形成されることが好ましい。

【0131】

八角形ブロック５と柱２や梁３との間の隙間を封止するために、八角形ブロック５及び柱２や梁３に接着して、隙間封止ブロック８，９を配設するようにしたので、柱２及び梁３に対して、堅固な壁１を構築することができる。

【0132】

以上の各種の変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。

【0133】

間隙封止ブロック６，７と隙間封止ブロック８，９は、上記の実施形態では、木質材料としたが、これらブロック６～９は、八角形ブロック５の木質材料よりも固い材料で形成されていれば良く、例えば、コンクリートやモルタルで形成してもよい。

【0134】

本発明に係る木質材料製の壁構造は、既存の柱・梁架構の耐震補強のために適用してもよく、また、新設の柱・梁架構内の耐震構造としてもよい。

【0135】

上記の変形例に係る八角形ブロック５では、繊維ｆが横辺ｘと平行な八角形板片５ａと繊維ｆが縦辺ｙと平行な八角形板片５ａの枚数が必ずしも同数である必要はなく、横辺ｘと縦辺ｙのいずれか一方が他方よりも強軸となる構成であってもよい。

【符号の説明】

【0136】

１ 壁
２ 柱
３ 梁
４ 開口部分
５ 八角形ブロック
５ａ 八角形板片
６，７ 間隙封止ブロック
８，９ 隙間封止ブロック
ｆ 木質材料の繊維
ｗ 八角形ブロックの斜辺
ｘ 八角形ブロックの横辺
ｙ 八角形ブロックの縦辺

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】