(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113790
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】キャリブレーション方法、キャリブレーション装置およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20240816BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240816BHJP
B25J 19/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B25J9/10 A
B25J13/08 A
B25J19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018979
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707BS15
3C707BS26
3C707DS01
3C707HS27
3C707JS03
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS06
3C707KS29
3C707KT02
3C707KT05
3C707KT06
3C707KT09
3C707KV01
3C707LV04
3C707LV05
(57)【要約】
【課題】キャリブレーション精度の低下やばらつきを効果的に抑制することができるキャリブレーション方法、キャリブレーション装置およびロボットシステムを提供すること。
【解決手段】キャリブレーション方法は、固定カメラで複数の基準マーカーを撮像して得られる固定カメラ撮像データから、各基準マーカーの固定カメラ座標系での位置を検出する固定カメラ座標取得ステップと、ロボットに取り付けられロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラで複数の基準マーカーを撮像して得られるロボットカメラ撮像データから各基準マーカーのロボット座標系での位置を検出するロボット座標取得ステップと、固定カメラ座標系での基準マーカーの位置と、ロボット座標系での基準マーカーの位置と、に基づいて固定カメラ座標系とロボット座標系とを対応させるキャリブレーションステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定カメラで複数の基準マーカーを撮像して得られる固定カメラ撮像データから、各前記基準マーカーの前記固定カメラに設定されている固定カメラ座標系での位置を検出する固定カメラ座標取得ステップと、
ロボットに取り付けられ前記ロボットに設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラで前記複数の基準マーカーを撮像して得られるロボットカメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記ロボット座標系での位置を検出するロボット座標取得ステップと、
前記固定カメラ座標系での前記基準マーカーの位置と、前記ロボット座標系での前記基準マーカーの位置と、に基づいて前記固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させるキャリブレーションステップと、を含むことを特徴とするキャリブレーション方法。
【請求項2】
前記固定カメラ座標取得ステップでは、前記複数の基準マーカーを1視野で撮像する請求項1に記載のキャリブレーション方法。
【請求項3】
前記ロボット座標取得ステップでは、前記複数の基準マーカーを別々の視野で撮像する請求項1に記載のキャリブレーション方法。
【請求項4】
各前記基準マーカーを視野の中央部で撮像する請求項3に記載のキャリブレーション方法。
【請求項5】
ロボットと、前記ロボットに取り付けられ前記ロボットに設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラと、固定カメラと、を有するロボットシステムにおいて、前記固定カメラに設定されている固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させるキャリブレーション装置であって、
前記固定カメラで複数の基準マーカーを撮像して得られる固定カメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記固定カメラ座標系での位置を検出し、
前記ロボットカメラで前記複数の基準マーカーを撮像して得られるロボットカメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記ロボット座標系での位置を検出し、
前記固定カメラ座標系での前記基準マーカーの位置と、前記ロボット座標系での前記基準マーカーの位置と、に基づいて前記固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させることを特徴とするキャリブレーション装置。
【請求項6】
ロボットと、
前記ロボットに取り付けられ前記ロボットに設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラと、
固定カメラと、
前記固定カメラに設定されている固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させるキャリブレーション装置と、を有し、
前記キャリブレーション装置は、前記固定カメラで複数の基準マーカーを撮像して得られる固定カメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記固定カメラ座標系での位置を検出し、
前記ロボットカメラで前記複数の基準マーカーを撮像して得られるロボットカメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記ロボット座標系での位置を検出し、
前記固定カメラ座標系での前記基準マーカーの位置と、前記ロボット座標系での前記基準マーカーの位置と、に基づいて前記固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させることを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリブレーション方法、キャリブレーション装置およびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたキャリブレーション方法は、まず、タッチアップ用ハンドでキャリブレーション治具上の基準点を目視でタッチアップしてロボット座標系上におけるキャリブレーション治具の位置を獲得し、ロボット座標系とキャリブレーション治具座標系との間の座標変換行列を求める。次に、ロボットに装着されたカメラでキャリブレーション治具を撮像し、撮像した画像データからキャリブレーション治具座標系とカメラ座標系との間の座標変換行列を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたキャリブレーション方法では、タッチアップ用ハンドを目視でキャリブレーション治具上の基準点にタッチアップするため、作業者によるばらつきが発生するおそれがある。そのため、キャリブレーション精度が低下したり、ばらついたりする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のキャリブレーション方法は、固定カメラで複数の基準マーカーを撮像して得られる固定カメラ撮像データから、各前記基準マーカーの前記固定カメラに設定されている固定カメラ座標系での位置を検出する固定カメラ座標取得ステップと、
ロボットに取り付けられ前記ロボットに設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラで前記複数の基準マーカーを撮像して得られるロボットカメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記ロボット座標系での位置を検出するロボット座標取得ステップと、
前記固定カメラ座標系での前記基準マーカーの位置と、前記ロボット座標系での前記基準マーカーの位置と、に基づいて前記固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させるキャリブレーションステップと、を含むことを特徴とするキャリブレーション方法。
【0006】
本発明のキャリブレーション装置は、ロボットと、前記ロボットに取り付けられ前記ロボットに設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラと、固定カメラと、を有するロボットシステムにおいて、前記固定カメラに設定されている固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させるキャリブレーション装置であって、
前記固定カメラで複数の基準マーカーを撮像して得られる固定カメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記固定カメラ座標系での位置を検出し、
前記ロボットカメラで前記複数の基準マーカーを撮像して得られるロボットカメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記ロボット座標系での位置を検出し、
前記固定カメラ座標系での前記基準マーカーの位置と、前記ロボット座標系での前記基準マーカーの位置と、に基づいて前記固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させる。
【0007】
本発明のロボットシステムは、ロボットと、
前記ロボットに取り付けられ前記ロボットに設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラと、
固定カメラと、
前記固定カメラに設定されている固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させるキャリブレーション装置と、を有し、
前記キャリブレーション装置は、前記固定カメラで複数の基準マーカーを撮像して得られる固定カメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記固定カメラ座標系での位置を検出し、
前記ロボットカメラで前記複数の基準マーカーを撮像して得られるロボットカメラ撮像データから各前記基準マーカーの前記ロボット座標系での位置を検出し、
前記固定カメラ座標系での前記基準マーカーの位置と、前記ロボット座標系での前記基準マーカーの位置と、に基づいて前記固定カメラ座標系と前記ロボット座標系とを対応させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】好適な実施形態に係るロボットシステムの全体構成図である。
【
図2】キャリブレーション方法を示すフローチャートである。
【
図4】固定カメラで取得する固定カメラ撮像データの一例を示す図である。
【
図5】ロボットカメラで取得するロボットカメラ撮像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のキャリブレーション方法、キャリブレーション装置およびロボットシステムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、好適な実施形態に係るロボットシステムの全体構成図である。
図2は、キャリブレーション方法を示すフローチャートである。
図3は、基準マーカーの一例を示す図である。
図4は、固定カメラで取得する固定カメラ撮像データの一例を示す図である。
図5は、ロボットカメラで取得するロボットカメラ撮像データの一例を示す図である。
【0011】
図1に示すロボットシステム1は、ロボット2と、ロボット2に配置されたロボットカメラ3と、空間に固定された固定カメラ4と、固定カメラ4が撮像した画像に基づいてロボット2の駆動を制御する制御装置5と、固定カメラ4とロボット2のキャリブレーションを行うキャリブレーション装置6と、を有する。なお、これら各部は、有線または無線により通信可能とされている。通信は、インターネットのようなネットワークを介してなされてもよい。このようなロボットシステム1では、まず、キャリブレーション装置6を用いて固定カメラ4とロボット2とのキャリブレーションを行う。そして、載置台10上に無造作に載置されたワークWを固定カメラ4で撮像し、その撮像データに基づいて載置台10上のワークWの位置および姿勢(以下「位置姿勢」と言う。)を認識し、認識したワークWをロボット2でピックアップする。ただし、ロボットシステム1が行う作業としては、特に限定されない。
【0012】
[ロボット2]
ロボット2は、6つの回動軸を有する6軸ロボットであり、床、天井等に固定されたベース21と、ベース21に連結されたロボットアーム22と、を有する。また、ロボットアーム22は、ベース21に対して第1回動軸O1まわりに回動自在に連結された第1アーム221と、第1アーム221に対して第2回動軸O2まわりに回動自在に連結された第2アーム222と、第2アーム222に対して第3回動軸O3まわりに回動自在に連結された第3アーム223と、第3アーム223に対して第4回動軸O4まわりに回動自在に連結された第4アーム224と、第4アーム224に対して第5回動軸O5まわりに回動自在に連結された第5アーム225と、第5アーム225に対して第6回動軸O6まわりに回動自在に連結された第6アーム226と、を有する。
【0013】
また、第6アーム226の先端部にはツール24が装着されている。ツール24は、ロボット2に実行させる作業に応じて適宜選択することができ、本実施形態では開閉する一対の爪部を有するハンドである。また、ロボット2では、ロボットアーム22の先端に制御点としてのツールセンターポイント(以下、「TCP」とも言う)が設定されている。TCPの位置と姿勢は、ツール24の位置と姿勢の基準となる。ただし、TCPの位置は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0014】
また、ロボット2は、ベース21に対して第1アーム221を回動させる第1駆動装置251と、第1アーム221に対して第2アーム222を回動させる第2駆動装置252と、第2アーム222に対して第3アーム223を回動させる第3駆動装置253と、第3アーム223に対して第4アーム224を回動させる第4駆動装置254と、第4アーム224に対して第5アーム225を回動させる第5駆動装置255と、第5アーム225に対して第6アーム226を回動させる第6駆動装置256と、を有する。第1~第6駆動装置251~256は、それぞれ、例えば、モーターと、モーターの駆動を制御するコントローラーと、モーターの回転量を検出するエンコーダーと、を有する。そして、第1~第6駆動装置251~256の駆動は、制御装置5によって独立して制御される。
【0015】
このようなロボット2には、ロボット2の駆動を制御するのに用いられるロボット座標系が設定されている。ロボット座標系は、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸によって定まる3次元の直交座標系である。本実施形態では、Z軸が鉛直方向に沿うように直交座標系が設定されている。
【0016】
以上、ロボット2について説明したが、ロボット2としては、特に限定されず、例えば、ロボットアーム22が有するアームの数が1本~5本あるいは7本以上であってもよい。また、ロボット2は、例えば、スカラロボット(水平多関節ロボット)、2つのロボットアーム22を有する双腕ロボット等であってもよい。
【0017】
[ロボットカメラ3]
ロボットカメラ3は、ロボット2のツール24に装着されており、ツール24の先端側を撮像する。また、ロボットカメラ3は、第6回動軸O6に対してオフセットして配置され、かつ、その光軸が第6回動軸O6に沿っている。このようなロボットカメラ3は、レンズやエリアイメージセンサーを備えるデジタルカメラである。また、ロボットカメラ3には、ロボットカメラ座標系が設定されている。また、ロボットカメラ座標系とロボット座標系とのキャリブレーションは、実施済みである。そのため、ロボットカメラ3で撮像した撮像データ内での対象物の位置をロボット座標系で特定することができる。
【0018】
以上、ロボットカメラ3について説明したが、ロボットカメラ3の構成や配置は、特に限定されない。
【0019】
[固定カメラ4]
図1に示すように、固定カメラ4は、載置台10の上方の空間に固定されており、載置台10上のワークWを撮像する。固定カメラ4は、レンズやエリアイメージセンサーを備えるデジタルカメラである。また、固定カメラ4には、固定カメラ座標系が設定されている。前述したように、固定カメラ4で撮像した撮像データに基づいて載置台10上のワークWの位置を認識し、その認識結果に基づいてロボット2の駆動を制御するためには、固定カメラ座標系とロボット座標系とのキャリブレーションが必要になる。このキャリブレーション方法の詳細については、後述する。
【0020】
以上、固定カメラ4について説明したが、固定カメラ4の構成や配置は、特に限定されない。
【0021】
[制御装置5]
制御装置5は、ロボット2、ロボットカメラ3および固定カメラ4の駆動をそれぞれ制御する。制御装置5は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有している。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行する。
【0022】
なお、図示の構成では、制御装置5がロボット2外に配置されているが、制御装置5の配置は、特に限定されず、例えば、一部または全部がロボット2内に収容されていてもよい。
【0023】
[キャリブレーション装置6]
キャリブレーション装置6は、固定カメラ4に設定された固定カメラ座標系とロボット2に設定されたロボット座標系とのキャリブレーションを行う。キャリブレーション装置6は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有している。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行する。
【0024】
なお、本実施形態では、キャリブレーション装置6と制御装置5とが別々に配置されているが、これに限定されず、例えば、制御装置5がキャリブレーション装置6を兼ねていてもよい。
【0025】
次に、キャリブレーション装置6による固定カメラ座標系とロボット座標系とのキャリブレーション方法について説明する。
図2に示すように、キャリブレーション方法は、固定カメラ座標取得ステップS1と、ロボット座標取得ステップS2と、キャリブレーションステップS3と、を有する。
【0026】
-固定カメラ座標取得ステップS1-
まず、
図3に示すように、載置台10上に複数の基準マーカーMを配置する。なお、図示の例では、9つの基準マーカーM1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9が3×3の行列状に配置されているが、基準マーカーMの数や配置は、特に限定されない。また、基準マーカーMを載置台10に印刷、貼着等してもよいし、基準マーカーMが印刷、貼着等されたシートを載置台10上に載置してもよい。また、基準マーカーMの配置は、特に限定されず、例えば、床に配置してもよい。
【0027】
次に、
図4に示すように、固定カメラ4で載置台10上の基準マーカーM1~M9を撮像する。これにより、全ての基準マーカーM1~M9が写った固定カメラ撮像データD1が得られる。このように、全ての基準マーカーM1~M9を1視野で撮像し、これら全ての基準マーカーM1~M9が写った固定カメラ撮像データD1を取得することにより、固定カメラ座標取得ステップS1にかかる時間を短縮することができる。
【0028】
次に、固定カメラ撮像データD1に基づいて、全ての基準マーカーM1~M9について固定カメラ座標系での位置を検出する。
【0029】
以上、固定カメラ座標取得ステップS1について説明したが、固定カメラ座標取得ステップS1としては、特に限定されない。例えば、基準マーカーM1~M9を複数枚の固定カメラ撮像データD1に分けて撮像してもよい。
【0030】
-ロボット座標取得ステップS2-
ロボット座標取得ステップS2では、まず、ロボット2を動かしながら、ロボットカメラ3で基準マーカーM1~M9を1つずつ順番に撮像する。つまり、基準マーカーM1~M9を別々の視野で撮像する。これにより、
図5に示すように、計9枚のロボットカメラ撮像データD2、具体的には、基準マーカーM1が写ったロボットカメラ撮像データD21、基準マーカーM2が写ったロボットカメラ撮像データD22、基準マーカーM3が写ったロボットカメラ撮像データD23、基準マーカーM4が写ったロボットカメラ撮像データD24、基準マーカーM5が写ったロボットカメラ撮像データD25、基準マーカーM6が写ったロボットカメラ撮像データD26、基準マーカーM7が写ったロボットカメラ撮像データD27、基準マーカーM8が写ったロボットカメラ撮像データD28、基準マーカーM9が写ったロボットカメラ撮像データD29が得られる。
【0031】
次に、ロボットカメラ撮像データD21に基づいて基準マーカーM1のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD22に基づいて基準マーカーM2のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD23に基づいて基準マーカーM3のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD24に基づいて基準マーカーM4のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD25に基づいて基準マーカーM5のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD26に基づいて基準マーカーM6のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD27に基づいて基準マーカーM7のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD28に基づいて基準マーカーM8のロボット座標系での位置を検出し、ロボットカメラ撮像データD29に基づいて基準マーカーM9のロボット座標系での位置を検出する。
【0032】
なお、本実施形態では、各基準マーカーM1~M9をロボットカメラ3の視野の中央部に位置させたロボットカメラ撮像データD21~D29を得ている。前述したように、ロボットカメラ座標系とロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるものの、その精度は、ロボットカメラ3の視野の中央が最も高くなる。そのため、各基準マーカーM1~M9をロボットカメラ3の視野の中央部に位置させることにより、各基準マーカーM1~M9のロボット座標系での位置をより精度よく検出することができる。また、各基準マーカーM1~M9をそれぞれ別々に撮像することにより、各基準マーカーM1~M9をロボットカメラ3の視野の中央部に位置させることができる。
【0033】
以上、ロボット座標取得ステップS2について説明したが、ロボット座標取得ステップS2としては、特に限定されない。例えば、複数の基準マーカーMを1視野で撮像してもよい。また、基準マーカーM1~M9をロボットカメラ3の視野の中央部に位置させなくてもよい。
【0034】
-キャリブレーションステップS3-
キャリブレーションステップS3では、固定カメラ座標取得ステップS1で得られた各基準マーカーM1~M9の固定カメラ座標系での位置と、ロボット座標取得ステップS2で得られた各基準マーカーM1~M9のロボットカメラ座標系での位置と、に基づいて固定カメラ座標系とロボット座標系とを対応させるキャリブレーションを行う。具体的には、固定カメラ座標取得ステップS1とロボット座標取得ステップS2とで基準マーカーMの位置は同じである。そのため、各基準マーカーM1~M9の固定カメラ座標とロボット座標とを対応させることで、固定カメラ座標系とロボット座標系とのキャリブレーションを行う。
【0035】
以上、固定カメラ座標系とロボット座標系とのキャリブレーション方法について説明した。このようなキャリブレーション方法によれば、従来技術のようなタッチアップ作業が不要であるため、作業者によるばらつきが発生しない。そのため、キャリブレーション精度の低下やばらつきを効果的に抑制することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、固定カメラ座標取得ステップS1の後にロボット座標取得ステップS2を行っているが、これに限定されず、ロボット座標取得ステップS2の後に固定カメラ座標取得ステップS1を行ってもよい。
【0037】
次に、ロボットシステム1が行う作業の一例として、
図1に示したように、載置台10上に無造作に置かれたワークWをピックアップして目的地まで搬送する作業について説明する。制御装置5は、まず、載置台10上に載置されたワークWを固定カメラ4で撮像し、固定カメラ撮像データを取得する。次に、制御装置5は、取得した固定カメラ撮像データから少なくとも1つのワークWを抽出すると共に、例えば、テンプレートマッチング等によって抽出したワークの位置姿勢を認識する。次に、制御装置5は、抽出したワークWをツール24で把持するために取るべきTCPの位置姿勢を導出し、TCPが導出した位置姿勢となるようにロボット2を動かす。次に、制御装置5は、ロボット2とツール24を動かしてワークWを把持する。次に、制御装置5は、ロボット2を動かしてワークWを目的地まで搬送する。以上により、ワークWの搬送が完了する。
【0038】
ここで、既にキャリブレーションが済んでいるロボットカメラ3を用いずに、わざわざ固定カメラ4を用いて載置台10上のワークWの位置姿勢を検出するのかについて、簡単に説明する。ロボットカメラ3で載置台10上のワークWを撮像し、その撮像データに基づいてロボット座標系でのワークの位置姿勢を検出することも可能である。しかしながら、ロボットカメラ3で載置台10上のワークWを撮像するには、ロボットカメラ3が載置台10上のワークWを向くようにロボット2を動かす必要がある。これに対して、固定カメラ4を用いて載置台10上のワークWの位置姿勢を検出する方法によれば、ロボット2を動かす必要がないため、タクトタイムを短縮することができる。
【0039】
以上、ロボットシステム1について説明した。このようなロボットシステム1で行われるキャリブレーション方法は、固定カメラ4で複数の基準マーカーMを撮像して得られる固定カメラ撮像データD1から、各基準マーカーMの固定カメラ4に設定されている固定カメラ座標系での位置を検出する固定カメラ座標取得ステップS1と、ロボット2に取り付けられロボット2に設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラ3で複数の基準マーカーMを撮像して得られるロボットカメラ撮像データD2から各基準マーカーMのロボット座標系での位置を検出するロボット座標取得ステップS2と、固定カメラ座標系での基準マーカーMの位置と、ロボット座標系での基準マーカーMの位置と、に基づいて固定カメラ座標系とロボット座標系とを対応させるキャリブレーションステップS3と、を含む。このような方法によれば、従来技術のようなタッチアップ作業が不要であるため、作業者によるばらつきが発生しない。そのため、キャリブレーション精度の低下やばらつきを効果的に抑制することができる。
【0040】
また、前述したように、固定カメラ座標取得ステップS1では、複数の基準マーカーMを1視野で撮像する。これにより、固定カメラ座標取得ステップS1にかかる時間を短縮することができる。
【0041】
また、前述したように、ロボット座標取得ステップS2では、複数の基準マーカーMを別々の視野で撮像する。これにより、各基準マーカーM1~M9をロボットカメラ3の視野の中央部に位置させることができ、各基準マーカーM1~M9のロボット座標系での位置をより精度よく検出することができる。
【0042】
また、前述したように、各基準マーカーM1~M9を視野の中央部で撮像する。これにより、各基準マーカーM1~M9のロボット座標系での位置をより精度よく検出することができる。
【0043】
また、前述したように、キャリブレーション装置6は、ロボット2と、ロボット2に取り付けられロボット2に設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラ3と、固定カメラ4と、を有するロボットシステム1において、固定カメラ4に設定されている固定カメラ座標系とロボット座標系とを対応させるキャリブレーション装置であって、固定カメラ4で複数の基準マーカーMを撮像して得られる固定カメラ撮像データD1から各基準マーカーMの固定カメラ座標系での位置を検出し、ロボットカメラ3で複数の基準マーカーMを撮像して得られるロボットカメラ撮像データD2から各基準マーカーMのロボット座標系での位置を検出し、固定カメラ座標系での基準マーカーMの位置と、ロボット座標系での基準マーカーMの位置と、に基づいて固定カメラ座標系とロボット座標系とを対応させる。このようなキャリブレーション装置6によれば、従来技術のようなタッチアップ作業が不要であるため、作業者によるばらつきが発生しない。そのため、キャリブレーション精度の低下やばらつきを効果的に抑制することができる。
【0044】
また、前述したように、ロボットシステム1は、ロボット2と、ロボット2に取り付けられロボット2に設定されているロボット座標系とのキャリブレーションが済んでいるロボットカメラ3と、固定カメラ4と、固定カメラ4に設定されている固定カメラ座標系とロボット座標系とを対応させるキャリブレーション装置6と、を有する。そして、キャリブレーション装置6は、固定カメラ4で複数の基準マーカーMを撮像して得られる固定カメラ撮像データD1から各基準マーカーMの固定カメラ座標系での位置を検出し、ロボットカメラ3で複数の基準マーカーMを撮像して得られるロボットカメラ撮像データD2から各基準マーカーMのロボット座標系での位置を検出し、固定カメラ座標系での基準マーカーMの位置と、ロボット座標系での基準マーカーMの位置と、に基づいて固定カメラ座標系とロボット座標系とを対応させる。このようなロボットシステム1によれば、従来技術のようなタッチアップ作業が不要であるため、作業者によるばらつきが発生しない。そのため、キャリブレーション精度の低下やばらつきを効果的に抑制することができる。
【0045】
以上、本発明のキャリブレーション方法、キャリブレーション装置およびロボットシステムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成または任意の工程に置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成または任意の工程が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…ロボットシステム、2…ロボット、3…ロボットカメラ、4…固定カメラ、5…制御装置、6…キャリブレーション装置、10…載置台、21…ベース、22…ロボットアーム、24…ツール、221…第1アーム、222…第2アーム、223…第3アーム、224…第4アーム、225…第5アーム、226…第6アーム、251…第1駆動装置、252…第2駆動装置、253…第3駆動装置、254…第4駆動装置、255…第5駆動装置、256…第6駆動装置、D1…固定カメラ撮像データ、D2…ロボットカメラ撮像データ、D21…ロボットカメラ撮像データ、D22…ロボットカメラ撮像データ、D23…ロボットカメラ撮像データ、D24…ロボットカメラ撮像データ、D25…ロボットカメラ撮像データ、D26…ロボットカメラ撮像データ、D27…ロボットカメラ撮像データ、D28…ロボットカメラ撮像データ、D29…ロボットカメラ撮像データ、M…基準マーカー、M1…基準マーカー、M2…基準マーカー、M3…基準マーカー、M4…基準マーカー、M5…基準マーカー、M6…基準マーカー、M7…基準マーカー、M8…基準マーカー、M9…基準マーカー、O1…第1回動軸、O2…第2回動軸、O3…第3回動軸、O4…第4回動軸、O5…第5回動軸、O6…第6回動軸、S1…固定カメラ座標取得ステップ、S2…ロボット座標取得ステップ、S3…キャリブレーションステップ、W…ワーク、TCP…ツールセンターポイント