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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113808
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電源制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019013
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦昌
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA13
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FF01
5H730FG05
5H730XC04
5H730XX04
5H730XX15
5H730XX24
5H730XX35
5H730XX43
(57)【要約】
【課題】端子の短絡に対して適正に対応する。
【解決手段】入力電圧を降圧することで出力電圧を生成するスイッチング電源装置において、出力段(MM)は、入力電圧の印加端(IN)とスイッチ端子(SW)との間に設けられた出力素子(M1)と、スイッチ端子と基準電位端(GND)との間に設けられた整流素子(M2)を有する。出力段のスイッチング駆動を通じて入力電圧から出力電圧が生成される。電圧制御装置は、出力電圧に応じた帰還電圧に基づき出力段をスイッチング駆動するスイッチング制御回路と、出力段のスイッチング駆動の開始前にテスト動作を行うテスト回路(30)と、を備える。テスト回路は、テスト動作においてテスト素子(M3)を介しスイッチ端子に電流を供給し、スイッチング制御回路は、テスト動作におけるスイッチ端子の電圧に基づき出力段のスイッチング駆動の実行可否を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を降圧することで出力電圧を生成するスイッチング電源装置の出力段を制御するよう構成された電源制御装置であって、前記出力段は、前記入力電圧の印加端とスイッチ端子との間に設けられた出力素子と、前記スイッチ端子と基準電位端との間に設けられた整流素子を有し、前記出力段のスイッチング駆動を通じて前記入力電圧から前記出力電圧が生成され、
当該電源制御装置は、前記出力電圧に応じた帰還電圧に基づき前記出力段をスイッチング駆動するよう構成されたスイッチング制御回路と、
前記出力段のスイッチング駆動の開始前にテスト動作を行うよう構成されたテスト回路と、を備え、
前記テスト回路は、前記テスト動作においてテスト素子を介し前記スイッチ端子に電流を供給し、前記スイッチング制御回路は、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧に基づき前記出力段のスイッチング駆動の実行可否を制御する
、電源制御装置。
【請求項2】
前記スイッチング制御回路は、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧と閾電圧との比較結果に基づき、前記出力段のスイッチング駆動の実行可否を制御する
、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記スイッチング制御回路は、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧が前記閾電圧以上であるとき、前記出力段のスイッチング駆動の実行を許可し、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧が前記閾電圧を下回るとき、前記出力段のスイッチング駆動の実行を禁止する
、請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記テスト回路は、前記テスト動作において、前記テスト素子を介し前記入力電圧の印加端を前記スイッチ端子に導通させることで前記スイッチ端子に電流を供給する
、請求項1~3の何れかに記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記出力素子は出力トランジスタであり、前記テスト素子は前記出力トランジスタに並列接続されたテストトランジスタであり、
前記テスト回路は、前記テスト動作において前記テストトランジスタを所定時間だけオン状態に制御することで、前記テストトランジスタを介し前記入力電圧の印加端を前記所定時間だけ前記スイッチ端子に導通させる
、請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記出力素子は出力トランジスタであり、前記テスト素子は前記出力トランジスタに並列接続されたテストトランジスタであり、前記テストトランジスタのサイズは前記出力トランジスタのサイズよりも小さい
、請求項1~3の何れかに記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記出力素子は出力トランジスタであり、前記テスト素子は前記出力トランジスタに並列接続されたテストトランジスタであり、前記テストトランジスタのオン抵抗は前記出力トランジスタのオン抵抗よりも大きい
、請求項1~3の何れかに記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記スイッチ端子と前記出力電圧の印加端との間にコイルが設けられ、且つ、前記出力電圧の印加端と前記基準電位端との間に出力コンデンサが設けられる
、請求項1~3の何れかに記載の電源制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
降圧型のスイッチング電源装置では、出力素子と整流素子が直列接続され、少なくとも出力素子がスイッチングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/054027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品の実装時において、稀に、出力素子及び整流素子間の接続端子が基準電位端に短絡される場合がある。このような短絡が生じている場合にも、装置の保護に向けた適正な対応が必要とされる。
【0005】
本開示は、端子の短絡に対して適正に対応し得る電源制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電源制御装置は、入力電圧を降圧することで出力電圧を生成するスイッチング電源装置の出力段を制御するよう構成された電源制御装置であって、前記出力段は、前記入力電圧の印加端とスイッチ端子との間に設けられた出力素子と、前記スイッチ端子と基準電位端との間に設けられた整流素子を有し、前記出力段のスイッチング駆動を通じて前記入力電圧から前記出力電圧が生成され、当該電源制御装置は、前記出力電圧に応じた帰還電圧に基づき前記出力段をスイッチング駆動するよう構成されたスイッチング制御回路と、前記出力段のスイッチング駆動の開始前にテスト動作を行うよう構成されたテスト回路と、を備え、前記テスト回路は、前記テスト動作においてテスト素子を介し前記スイッチ端子に電流を供給し、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧に基づき前記出力段のスイッチング駆動の実行可否を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子の短絡に対して適正に対応し得る電源制御装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係るスイッチング電源装置の全体構成図である。
図2図2は、仮想スイッチング電源装置の全体構成図である。
図3図3は、仮想スイッチング電源装置における第1仮想動作のタイミングチャートである。
図4図4は、仮想スイッチング電源装置における第2仮想動作のタイミングチャートである。
図5図5は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、スイッチング電源装置の一部構成図である。
図6図6は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、電源制御装置の動作フローチャートである。
図7図7は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、正常ケースにおける起動時タイミングチャートである。
図8図8は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、異常ケースにおける起動時タイミングチャートである。
図9図9は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、スイッチング電源装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体を用いて形成されて良い。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。
【0011】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。
【0012】
以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。任意のトランジスタについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。また、任意のトランジスタについて、トランジスタがオン状態となっている期間をオン期間と称し、トランジスタがオフ状態となっている期間をオフ期間と称する。
【0013】
任意の回路素子、配線、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0014】
対比されるべき任意の2つの電圧V1及びV2について、“V1>V2”は電圧V1が電圧V2よりも高いことを表し、“V1<V2”は電圧V1が電圧V2よりも低いことを表す。電圧以外の物理量を含む他の式についても同様である。
【0015】
図1は本開示の実施形態に係るスイッチング電源装置1の全体構成図である。図1のスイッチング電源装置1は、電源制御装置10と、電源制御装置10に対して外付け接続される複数のディスクリート部品と、を備える。当該複数のディスクリート部品には、出力コイルとしてのコイルL1と、出力コンデンサとしてのコンデンサC1と、帰還抵抗としての抵抗R1及びR2と、ブートストラップ回路用のコンデンサCbtと、が含まれる。スイッチング電源装置1は、電圧源VSの出力に基づく入力電圧Vinより所望の出力電圧Voutを生成する降圧型のスイッチング電源装置(DC/DCコンバータ)として構成される。出力端子OUTに出力電圧Voutが生じる。即ち、出力端子OUTは出力電圧Voutの印加端(出力電圧Voutが加わる端子)である。出力電圧Voutは出力端子OUTに接続された負荷LDに供給される。尚、コンデンサCbtは電源制御装置10に内蔵されても良い。抵抗R1及びR2は電源制御装置10に内蔵されても良い。
【0016】
電源制御装置10は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体から電源制御装置10の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた電子部品である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで電源制御装置10が形成される。図1では、電源制御装置10に設けられる複数の外部端子の一部として、入力端子IN、スイッチ端子SW、帰還端子FB、グランド端子GND及びブート端子BTのみが示されているが、他の外部端子(例えばイネーブル端子及びパワーグッド端子)も電源制御装置10に設けられ得る。図1に示される出力段MM、スイッチング制御回路20及びテスト回路30を半導体集積回路にて構成することができる。但し、出力段MMにおける素子は、スイッチング制御回路20及びテスト回路30が形成される半導体チップとは別に設けられるディスクリード半導体であり得る。
【0017】
電圧源VSと入力端子INとの間にスイッチSWinが挿入される。電圧源VSの出力端子から電圧Vsupが出力される。電圧Vsupは正の直流電圧である。スイッチSWinがオフであるとき、電圧源VSの出力端子と入力端子INとの間は遮断され、電圧源VSの出力電圧Vsupは入力端子INに印加されない。スイッチSWinがオフであるとき、過渡応答時を除けば入力端子INの電圧は0Vとなる。スイッチSWinがオンであるとき、電圧源VSの出力電圧Vsupが入力電圧Vinとして入力端子INに加わる。以下では、特に記述無き限り、スイッSWinがオンに維持されることを想定する。
【0018】
入力電圧Vin及び出力電圧Voutは正の直流電圧であって、出力電圧Voutは入力電圧Vinよりも低い。例えば入力電圧Vinが12Vであるとき、抵抗R1及びR2の抵抗値を調整することで12V未満の所望の正の電圧値(例えば3.3Vや5V)にて出力電圧Voutを安定化させることができる。
【0019】
電源制御装置10の外部構成について説明する。電源制御装置10の外部に設けられた電圧源VSより電圧源VSの出力電圧Vsupが入力電圧Vinとして入力端子INに供給される。スイッチ端子SWと出力端子OUTとの間にコイルL1が直列に介在する。即ち、コイルL1の一端はスイッチ端子SWに接続され、コイルL1の他端は出力端子OUTに接続される。また、出力端子OUTはコンデンサC1を介してグランドに接続される。更に、出力端子OUTは抵抗R1の一端に接続され、抵抗R1の他端は抵抗R2を介してグランドに接続される。抵抗R1及びR2間の接続ノードに帰還電圧Vfbが生じる。抵抗R1及びR2間の接続ノードが帰還端子FBに接続され、これによって帰還電圧Vfbが帰還端子FBに入力される。グランド端子GNDはグランドに接続される。尚、グランド端子GND又はグランド電位を有する任意のノード又は端子を、基準電位端と称することができる。コンデンサCbtの一端はスイッチ端子SWに接続され、コンデンサCbtの他端はブート端子BTに接続される。
【0020】
コイルL1に流れる電流をコイル電流ILと称する。スイッチ端子SWから出力端子OUTに向かう向きのコイル電流ILは正の極性を有し、それと逆向きのコイル電流ILは負の極性を有する。
【0021】
電源制御装置10の内部構成について説明する。電源制御装置10には、出力段MMと、出力段MMを制御するためのスイッチング制御回路20と、テスト回路30と、ブートスラップ回路用のダイオードDbtが設けられる。
【0022】
出力段MMは、Nチャネル型のMOSFETとして構成されたトランジスタM1及びM2を備える。トランジスタM1及びM2は、入力端子INとグランド端子GND(換言すればグランド)との間に直列接続された一対のスイッチング素子であり、それらがスイッチング駆動されることで入力電圧Vinがスイッチングされてスイッチ端子SWに矩形波状のスイッチ電圧Vswが現れる。トランジスタM1はトランジスタM2よりも高電位側に設けられる。具体的には、トランジスタM1のドレインは入力電圧Vinの印加端である入力端子INに接続されて、入力電圧Vinの供給を受ける。トランジスタM1のソース及びトランジスタM2のドレインはスイッチ端子SWに共通接続される。トランジスタM2のソースはグランド端子GNDに接続される(従ってグランドに接続される)。但し、トランジスタM2のソースとグランド端子GNDとの間に電流検出用の抵抗が挿入される場合もある。
【0023】
トランジスタM1は出力素子(出力トランジスタ)として機能し、トランジスタM2は整流素子(同期整流トランジスタ)として機能する。出力段MMのスイッチング駆動では、出力素子(M1)及び整流素子(M2)が交互にオン、オフとされる。コイルL1及びコンデンサC1は、スイッチ端子SWに現れる矩形波状のスイッチ電圧Vswを整流及び平滑化して出力電圧Voutを生成する整流平滑回路を構成する。抵抗R1及びR2は出力電圧Voutを分圧することで出力電圧Voutに応じた帰還電圧Vfbを生成する帰還電圧生成回路を構成する。帰還電圧Vfbは出力電圧Voutに比例し、出力電圧Voutの上昇、低下に伴って帰還電圧Vfbも上昇、低下する。尚、出力電圧Voutそのものを帰還電圧Vfbとして用いる変形を行っても良い。何れにせよ、帰還電圧Vfbは出力電圧Voutに応じた電圧である。
【0024】
トランジスタM1、M2のゲートには、駆動信号として夫々ゲート信号G1、G2が供給され、トランジスタM1及びM2はゲート信号G1及びG2に応じてオン、オフされる。ゲート信号G1がハイレベルであるとき、トランジスタM1はオン状態となり、ゲート信号G1がローレベルであるとき、トランジスタM1はオフ状態となる。同様に、ゲート信号G2がハイレベルであるとき、トランジスタM2はオン状態となり、ゲート信号G2がローレベルであるとき、トランジスタM2はオフ状態となる。基本的には、トランジスタM1及びM2が交互にオン、オフされるが、トランジスタM1及びM2が共にオフ状態に維持されることもある。トランジスタM1及びM2が同時にオン状態とされることは無い。尚、出力素子(M1)及び整流素子(M2)の内、少なくとも一方は電源制御装置10の外部に設けられていても良い。出力段MMの全体が電源制御装置10の外部に設けられることもある。
【0025】
トランジスタM1のオン期間においてはコイル電流ILがトランジスタM1のチャネル(ドレイン及びソース間)を通じて流れる。トランジスタM1のオフ期間においてはコイル電流ILがトランジスタM2のチャネル又はトランジスタM2の寄生ダイオードを通じて流れる。
【0026】
スイッチング制御回路20は、帰還電圧Vfbに基づきゲート信号G1及びG2のレベル制御を通じてトランジスタM1及びM2の夫々のオン/オフ状態を制御し、これによって出力端子OUTに所望の出力電圧Voutを発生させる。
【0027】
尚、特に図示しないが、電源制御装置10には入力電圧Vinに基づき内部電源電圧を生成する内部電源回路が設けられる。電源制御装置10内の各回路は入力電圧Vin又は内部電源電圧を元に駆動できる。特に図示されないことがあるが、電源制御装置10の各回路はグランドに接続される。また、ゲート信号G2はグランド電位を基準とする信号であるのに対し、ゲート信号G1はスイッチ端子SWの電位を基準とする信号である。ローレベルのゲート信号G1はスイッチ端子SWの電位を有し、ハイレベルのゲート信号G1はスイッチ端子SWの電位から見て所定電圧だけ高い。ここにおける所定電圧はトランジスタM1のゲート閾電圧よりも大きい。
【0028】
スイッチング電源装置1ではブートストラップ回路を用いてゲート信号G1が生成される。ブートストラップ回路はコンデンサCbt及びダイオードDbtを備えて構成される。ダイオードDbtのアノードは入力端子INに接続され、ダイオードDbtのカソードはブート端子BTに接続される。ブート端子BTにおける電圧をブート電圧Vbtと称する。トランジスタM1がオフ且つトランジスタM2がオンとされる期間においてコンデンサCbtが入力電圧Vinに基づきダイオードDbtを通じて充電される。その後、トランジスタM1がオン且つトランジスタM2がオフとされる期間においてブート電圧Vbtが入力電圧Vinよりも高い電圧にまで引き上げられる。ハイレベルのゲート信号G1はブート電圧Vbtの電位を有する。尚、ダイオードDbtは、トランジスタM2のオン期間においてオン状態に制御されるスイッチング素子に置換され得る。
【0029】
トランジスタM1をPチャネル型のMOSFETにて構成しても良く、その場合にはブートストラップ回路は不要である。
【0030】
また変形として、スイッチング電源装置1にてダイオード整流方式が採用されても良い。この場合、整流素子として、トランジスタM2の代わりに、グランド端子GNDに接続されたアノード及びスイッチ端子SWに接続されたカソードを有する同期整流ダイオードがスイッチング電源装置1に設けられる。この場合には、出力段MMのスイッチング駆動において出力素子(M1)のみがオン、オフとされる。何れにせよ、出力段MMのスイッチング駆動において出力素子(M1)がオン及びオフ間で切り替えられることでコイルL1に流れる電流(IL)に基づき出力電圧Voutが生成される。
【0031】
スイッチング制御回路20は、エラーアンプ21、コントローラ22及びドライバ23を備える。エラーアンプ21は帰還端子FBに接続されて帰還電圧Vfbを受ける。また、所定の正の直流電圧値を有する基準電圧Vrefがエラーアンプ21に供給される。基準電圧Vrefは、電源制御装置10内に設けられた基準電圧生成回路(不図示)により入力電圧Vinに基づいて生成される。エラーアンプ21は帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差に応じた誤差信号Serrを生成し、コントローラ22に対して出力する。
【0032】
コントローラ22は、誤差信号Serrに基づきゲート信号G1のレベルを指定する制御信号S1及びゲート信号G2のレベルを指定する制御信号S2を生成し、制御信号S1及びS2をドライバ23に出力する。ドライバ23はトランジスタM1及びM2の各ゲート、スイッチ端子SW並びにグランドに接続される。ドライバ23は、制御信号S1に従ってトランジスタM1にゲート信号G1を供給し且つ制御信号S2に従ってトランジスタM2にゲート信号G2を供給することで、誤差信号Serrに応じて出力段MMをスイッチング駆動する。この際、制御駆動回路22及びドライバ23により、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差を減ずるように(帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差がゼロに収束するように)、出力段MMがスイッチング駆動される。
【0033】
スイッチング制御回路20ではパルス幅変調制御を用いて出力段MMのスイッチング駆動を行う。出力段MMのスイッチング駆動において、トランジスタM1及びM2が所定のPWM周波数にてスイッチングされ、結果、スイッチ電圧VswはPWM周波数を有する。エラーアンプ21からの誤差信号Serrに基づき出力段MMのオンデューティが調整されることで、出力電圧Voutが目標電圧Vtgにて安定化する。出力段MMのオンデューティは、トランジスタM1のオン期間の長さとトランジスタM1のオフ期間の長さとの和に対する、トランジスタM1のオン期間の長さの比を表す。目標電圧Vtgは、帰還電圧生成回路(R1、R2)による出力電圧Voutの分圧比と基準電圧Vrefとで定まり、“Vtg=((R1+R2)/R2)×Vref”で表される。
【0034】
スイッチング制御回路20には、出力電圧Voutを0Vから緩やかに目標電圧Vtgに向けて上昇させるソフトスタート機能が設けられる。ソフトスタート機能について説明する。ソフトスタート機能はソフトスタート電圧Vss(不図示)を用いて実現される。出力段MMのスイッチング駆動の開始にあたり、0Vから基準電圧Vrefを超える電圧に向けて緩やかに上昇するソフトスタート電圧Vss(不図示)が電源制御装置10内で生成される。ソフトスタート電圧Vssは、出力段MMのスイッチング駆動の開始時点又はその近辺において、0Vから上昇を開始する。エラーアンプ21は、基準電圧Vrefとソフトスタート電圧Vssの内、低い方の電圧を帰還電圧Vfbと比較して比較結果に基づき誤差信号Serrを生成する。“Vss<Vref”の成立下におけるソフトスタート電圧Vssの上昇過程では、帰還電圧Vfbとソフトスタート電圧Vssとの差を減ずるように出力段MMのオンデューティが調整されるため、出力電圧Voutが0Vから緩やかに目標電圧Vtgに向けて上昇してゆく。以下では、特に必要なき限り、ソフトスタート電圧Vssの存在を無視する。
【0035】
尚、スイッチング制御回路20における制御はパルス幅変調制御に限定されない。例えば、スイッチング制御回路20はパルス周波数変調制御又はコンスタントオンタイム制御により出力段MMのスイッチング駆動を行っても良い。また、スイッチング制御回路20は、誤差信号Serrだけでなくコイル電流ILの情報も参照して、出力段MMのスイッチング駆動を行っても良い(即ち、いわゆる電流モード制御を行っても良い)。
【0036】
[仮想スイッチング電源装置]
テスト回路30の機能については後述することとし、先に、図2に示す仮想スイッチング電源装置901の起動時の動作について説明する。仮想スイッチング電源装置901は、本実施形態に係るスイッチング電源装置1からテスト回路30を削除した構成を持つ。故に、仮想スイッチング電源装置901における電源制御装置910はテスト回路30を有さない。図2に示されるLpは入力端子INと電圧源VSの出力端子とを接続する配線に存在する寄生インダクタンスを表している。またトランジスタM1のドレイン電流を記号“IM1”にて表す。
【0037】
図3に仮想スイッチング電源装置901における第1仮想動作のタイミングチャートを示す。時間の進行につれて、時刻tA1、tA2、tA3が、この順番で訪れるものとする。
【0038】
第1仮想動作では、時刻tA1にてスイッチSWinがオフからオンに切り替えられ、これによって入力電圧Vinが0Vから上昇し、時刻tA2にて入力電圧Vinが電圧源VSの出力電圧Vsupに達する。時刻tA2以降、入力電圧Vinは電圧源VSの出力電圧Vsupにて維持される。時刻tA1及びtA2間において入力電圧Vinが電圧源VSの出力電圧Vsupより低い所定の起動下限電圧に達すると、スイッチング制御回路20内で所定の初期シーケンス動作が開始され、初期シーケンス動作の完了後の時刻tA3から出力段MMのスイッチング駆動が開始される。
【0039】
トランジスタM1のオン期間では、コイルL1のインダクタンス値Lに依存する傾きでコイル電流ILが増加する。出力段MMのスイッチング駆動の開始直後では出力電圧Voutが0V又は実質的に0Vであるので、トランジスタM1のオン期間において“Vin/L”の傾きでコイル電流ILが増加する。尚、上述のソフトスタート機能により、出力段MMのスイッチング駆動の開始直後では出力段MMのオンデューティが低く抑えられ、結果、コイル電流ILは急激に増加しない。
【0040】
図3の第1仮想動作は、スイッチ端子SWの短絡異常が生じていないことが想定されている。スイッチ端子SWの短絡異常とは、スイッチ端子SWとグランド端子GNDとが十分に小さな抵抗にて接続されている状態を指す。例えば、電源制御装置10をプリント基板に実装したときに、半田によりスイッチ端子SW及びグランド端子GND間が短絡することがあり得る。半田によるスイッチ端子SW及びグランド端子GND間の短絡は、スイッチ端子SWの短絡異常に属する。スイッチ端子SWの短絡異常が生じているときに、トランジスタM1がオンとされるとトランジスタM1に非常に大きな電流が流れる。
【0041】
図4に仮想スイッチング電源装置901における第2仮想動作のタイミングチャートを示す。第2仮想動作ではスイッチ端子SWの短絡異常が生じているものとする。時刻tA1から時刻tA3の直前までの動作は、第1仮想動作と第2仮想動作とで同じである。第2仮想動作においても、時刻tA3から出力段MMのスイッチング駆動が開始される。第2仮想動作に係る出力段MMのスイッチング駆動においてトランジスタM1がオンとされるとトランジスタM1に大きな電流が流れる。スイッチ端子SWの短絡異常によりコイルL1には電流が流れないので、トランジスタM1に流れる電流IM1の傾きはコイルL1のインダクタンス値Lに依存せず、非常に大きくなる。また第2仮想動作では、トランジスタM1がオンであってもスイッチ電圧Vswが0V又は略0Vに保たれる。
【0042】
図1には特に図示されないが本実施形態に係る電源制御装置10には過電流保護回路が設けられており、同様の過電流保護回路を図2の電源制御装置910にも設けておくことができる。過電流保護回路は電流IM1の値と所定の過電流閾値との大小関係を検出する機能を持ち、トランジスタM1のオン期間において電流IM1の値が過電流閾値以上であることを検出するとコントローラ22に対して過電流保護信号を出力する。コントローラ22は過電流保護信号を受けると、ドライバ23と協働して即時にトランジスタM1をターンオフさせる。このように過電流保護信号に基づき即時にトランジスタM1をターンオフさせる機能を過電流保護機能と称する。
【0043】
第2仮想動作では、時刻tA3にてトランジスタM1がターンオンした後、過電流保護機能によりトランジスタM1がターンオフされる。過電流保護機能は、電流IM1の値を過電流閾値以下に制限することを目指して動作するが、回路遅延により、電流IM1の値が過電流閾値を超える場合もある。スイッチ端子SWの短絡異常が生じている第2仮想動作では、過電流保護信号に基づきトランジスタM1がターンオフされるまでに電流IM1の値が過電流閾値を大きく上回る。その後、第2仮想動作では、トランジスタM1のターンオフにより電流IM1の値が過電流閾値を大きく上回る電流値から急激に低下する。第2仮想動作において、電流IM1が急激に低下したとき、寄生インダクタンスLpによって入力電圧Vinが電圧Vsupを超えて一時的に大きく上昇し、入力端子INの耐圧を超える可能性がある。また、過電流閾値を大きく上回る電流IM1がトランジスタM1に流れること自体、好ましくない。
【0044】
本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、テスト回路30の機能によりスイッチ端子SWの短絡異常に対して適正に対処できる。
【0045】
以下、複数の実施例の中で、主にテスト回路30に関わる動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0046】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。図5は第1実施例に係るスイッチング電源装置1の一部回路図である。テスト回路30の内部構成が図5に示される。テスト回路30は、テスト素子として機能するテストトランジスタM3と、シュミットトリガ型のインバータ31と、テスト処理回路32と、を備える。インバータ31及びテスト処理回路32はグランド電位を基準に入力電圧Vinに基づいて駆動する。以下、テストトランジスタM3との区別を明確にすべく、トランジスタM1は、適宜、出力トランジスタM1と称される。
【0047】
テストトランジスタM3はPチャネル型のMOSFETである。テストトランジスタM3のソースは入力端子INに接続され、テストトランジスタM3のドレインはスイッチ端子SWに接続される。即ち、テストトランジスタM3は出力トランジスタM1に並列接続される。テストトランジスタM3のゲートはテスト処理回路32に接続される。テストトランジスタM3に流れる電流を記号“IM3”にて表す。また上述したように出力トランジスタM1に流れる電流は記号“IM1”にて表される。
【0048】
インバータ31の入力端子はスイッチ端子SWに接続される。インバータ31の出力端子はコントローラ22に接続される。インバータ31はスイッチ電圧Vswに応じた信号Sdをコントローラ22に出力する。信号Sdはハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値信号である。インバータ31はスイッチ電圧Vswが下方閾電圧VthL以下であるとき、ハイレベルの信号Sdを出力する。信号Sdがハイレベルを有する状態を起点に、スイッチ電圧Vswが上方閾電圧VthH以上となると、インバータ31は信号Sdのレベルをハイレベルからローレベルに切り替える。その後は、スイッチ電圧Vswが下方閾電圧VthLより高い限り、インバータ31は信号Sdのレベルをローレベルに維持し、スイッチ電圧Vswが下方閾電圧VthL以下に低下すると信号Sdのレベルをローレベルからハイレベルに切り替える。ここで、“0<VthL<VthH<Vin”である。閾電圧VthL及びVthHは入力電圧Vinに応じて定まる。例えば、下方閾電圧VthLは入力電圧Vinの0.3倍であり、上方閾電圧VthHは入力電圧Vinの0.7倍である。但し、閾電圧VthL及びVthHは、予め設定された2つの固定電圧であっても良い。
【0049】
テスト処理回路32は、コントローラ22の制御の下、テストトランジスタM3のゲートにローレベル又はハイレベルのゲート信号を供給することでテストトランジスタM3をオン又はオフに設定する機能を持つ。テスト処理回路32からテストトランジスタM3のゲートに供給されるローレベルのゲート信号はグランド電位を有し、ローレベルのゲート信号を受けたとき、テストトランジスタM3はオン状態となる。テスト処理回路32からテストトランジスタM3のゲートに供給されるハイレベルのゲート信号は入力電圧Vinの電位を有し、ハイレベルのゲート信号を受けたとき、テストトランジスタM3はオフ状態となる。
【0050】
テスト処理回路32はテストトランジスタM3を用いてテスト動作を実行し、コントローラ22はテスト動作時における信号Sdに基づき出力段MMのスイッチング駆動の実行可否を判断する。コントローラ22は、テスト動作時の信号Sdに基づきテスト結果信号Stを生成するテスト結果判定回路22aを有する。テスト結果信号Stは“0”又は“1”の値を有する。“1”のテスト結果信号Stは出力段MMのスイッチング駆動を許可する信号であり、“1”のテスト結果信号Stが生成されたとき、コントローラ22はドライバ23と協働して出力段MMのスイッチング駆動を開始する。“0”のテスト結果信号Stは出力段MMのスイッチング駆動を禁止する信号であり、“0”のテスト結果信号Stが生成されたとき、コントローラ22は出力段MMのスイッチング駆動を開始しない。
【0051】
テスト動作では、スイッチ端子SWの短絡異常の有無を判断するために、テストトランジスタM3が短時間だけオンとされる。スイッチ端子SWの短絡異常がある場合において、テストトランジスタM3がオンされると、入力端子INからテストトランジスタM3及びスイッチ端子SWを通じてグランドに向かう電流が発生する。但し、テストトランジスタM3の電流能力が出力トランジスタM1の電流能力よりも低くなるようテストトランジスタM3が構成されているため、第2仮想動作(図4参照)にて示したような入力電圧Vinの過度の上昇は抑制される。
【0052】
上述の電流能力の高低関係を実現するために、テストトランジスタM3のサイズは出力トランジスタM1のサイズよりも小さくされる。例えば、テストトランジスタM3のサイズは出力トランジスタM1のサイズの数分の1~数10分の1で良い。テストトランジスタM3のサイズを出力トランジスタM1のサイズよりも小さくすることで、テストトランジスタM3のオン抵抗は出力トランジスタM1のオン抵抗よりも大きくなる。例えば、テストトランジスタM3のオン抵抗は出力トランジスタM1のオン抵抗の数倍~数10倍で良い。テストトランジスタM3が小さすぎると、スイッチ端子SWの短絡異常が無かったとしてもテスト動作にてスイッチ電圧Vswが十分に高まらない。スイッチ端子SWの短絡異常が無い場合において、テスト動作にてテストトランジスタM3をオンとしたときにスイッチ電圧Vswがインバータ31の上方閾電圧VthH以上となるよう、テストトランジスタM3のサイズ及びオン抵抗が設定される。
【0053】
図6に電源制御装置10の動作フローチャートを示す。ステップS11においてスイッチSWinがオフからオンに切り替えられることにより、電圧VSの出力電圧Vsupに相当する入力電圧Vinの入力端子INへの供給が開始される。続くステップS12において電源制御装置10内で所定の初期シーケンス動作が実行される。初期シーケンス動作にて電源制御装置10内の各回路の初期化が行われる。その後、ステップS13に進む。ステップS13にてテスト動作が実行される。初期シーケンス動作の後、コントローラ22がテスト動作の実行を指示する信号をテスト処理回路32に出力することで、ステップS13のテスト動作が実行される。出力トランジスタM1及びM2は後述のステップS18に至るまではコントローラ22及びドライバ23によりオフ状態に固定される。故に、テスト動作の実行期間において出力トランジスタM1及びM2はオフ状態に維持される。また、テスト動作の開始直前においてスイッチ電圧Vswは0Vであり、故に信号Sdはハイレベルを有する。
【0054】
ステップS13におけるテスト動作において、テスト処理回路32は、トランジスタM3のゲート電位を制御することでトランジスタM3を所定時間Taだけオン状態に制御する。ここにおける所定時間Taは微小時間で良い。フローチャートの図示の便宜上、ステップS13の次にステップS14が示されているが、ステップS14の処理はトランジスタM3のオン期間中に実行される。ステップS14において、コントローラ22は、トランジスタM3のオン期間中における信号Sdのレベルを確認する。
【0055】
続くステップS15において、コントローラ22は、トランジスタM3のオン期間中における信号Sdのレベルがローレベルであれば(ステップS15のY)ステップS16への移行を発生させ、トランジスタM3のオン期間中における信号Sdのレベルがハイレベルであれば(ステップS15のN)ステップS17への移行を発生させる。トランジスタM3のオン期間において信号Sdのレベルがローレベルであることは、トランジスタM3のオン期間において“Vsw≧VthH”が成立することを意味する。トランジスタM3のオン期間において信号Sdのレベルがハイレベルであることは、トランジスタM3のオン期間において“Vsw≧VthH”が成立しないことを意味する。
【0056】
ステップS16において、コントローラ22は、テスト結果信号Stに“1”の値を設定する。ステップS16の後はステップS18に進む。上述したように、“1”のテスト結果信号Stは出力段MMのスイッチング駆動を許可する信号である。
【0057】
故に、ステップS18において、コントローラ22はドライバ23と協働して出力段MMのスイッチング駆動を開始する。出力段MMのスイッチング駆動の内容は上述した通りである。出力段MMのスイッチング駆動において帰還電圧Vfbに応じトランジスタM1及びM2が交互にオン、オフされることで、出力電圧Voutが目標電圧Vtgに向かって上昇した後、目標電圧Vtgにて安定化される。ステップS18の後は、入力端子INへの入力電圧Vinの供給が途絶えるなどの特段の事情が無き限り、出力段MMのスイッチング駆動が継続実行される(ステップS20)。
【0058】
ステップS17において、コントローラ22は、テスト結果信号Stに“0”の値を設定する。ステップS17の後はステップS19に進む。上述したように、“0”のテスト結果信号Stは出力段MMのスイッチング駆動を禁止する信号である。故に、ステップS17に進んだ場合には、電源制御装置10が再起動されない限り出力段MMのスイッチング駆動が行われることは無い(従って出力トランジスタM1がオン状態とされることは無い)。但し、ステップS17へ進んだ後、ステップS19を経て一定時間が経過するとステップS13に戻るようにしても良い。
【0059】
ステップS19において、コントローラ22は所定の異常対応処理を行う。例えば、異常対応処理において、コントローラ22はエラー端子(不図示)から所定のエラー信号を出力する。エラー端子は、電源制御装置10に設けておくことのできる外部端子の1つである。また例えば、異常対応処理において、スイッチ端子SWの短絡異常が検出された旨を示すデータを電源制御装置10内のレジスタに格納しても良い。
【0060】
図7に正常ケースにおける起動時タイミングチャートを示す。正常ケースでは、スイッチ端子SWの短絡異常が発生していない。時間の進行につれて、時刻tB1、tB2、tB3、tB4、tB5が、この順番で訪れるものとする。
【0061】
時刻tB1にてスイッチSWinがオフからオンに切り替えられ、これによって入力電圧Vinが0Vから上昇し、時刻tB2にて入力電圧Vinが電圧源VSの出力電圧Vsupに達する。時刻tB2以降、入力電圧Vinは電圧源VSの出力電圧Vsupにて維持される。時刻tB1及びtB2間において入力電圧Vinが電圧源VSの出力電圧Vsupより低い所定の起動下限電圧に達すると、ステップS12における初期シーケンス動作が開始される。
【0062】
その後、時刻tB3にてテスト動作が開始される。時刻tB3の直前においてスイッチ電圧Vswは0Vであり、故に信号Sdはハイレベルを有する。時刻tB3ではテスト処理回路32によりテストトランジスタM3がターンオンされる。時刻tB3より所定時間Taだけ後の時刻tB4にてテスト処理回路32によりテストトランジスタM3がターンオフされ、以後、テストトランジスタM3はオフ状態にて固定される。正常ケースでは、時刻tB3及びtB4においてテストトランジスタM3を通じて入力電圧Vinと同程度の電圧がスイッチ端子SWに加わるので、“Vsw≧VthH”となり、故に信号Sdはローレベルとなる。結果、正常ケースではテスト結果結果Stに“1”が設定され(ステップS16)、時刻tB5から出力段MMのスイッチング駆動が開始される(ステップS18)。尚、上述のソフトスタート機能により、出力段MMのスイッチング駆動の開始直後では出力段MMのオンデューティが低く抑えられ、結果、コイル電流ILは急激に増加しない。
【0063】
図8に異常ケースにおける起動時タイミングチャートを示す。異常ケースでは、スイッチ端子SWの短絡異常が発生している。時刻tB3までの動作は、異常ケース及び正常ケース間で同じである。時刻tB3にてテスト動作が開始される。時刻tB3ではテスト処理回路32によりテストトランジスタM3がターンオンされる。時刻tB3より所定時間Taだけ後の時刻tB4にてテスト処理回路32によりテストトランジスタM3がターンオフされ、以後、テストトランジスタM3はオフ状態にて固定される。
【0064】
異常ケースでは、スイッチ端子SWの短絡異常が生じているが故に、テストトランジスタM3のオン期間(時刻tB3及びtB4間の期間)においてスイッチ電圧Vswは非常に低く、実質的に0Vである。従って、テストトランジスタM3のオン期間(時刻tB3及びtB4間の期間)において“Vsw≧VthH”が成立せず、故に信号Sdはハイレベルである。結果、異常ケースではテスト結果結果Stに“0”が設定され(ステップS17)、出力段MMのスイッチング駆動が開始されることなく異常対応処理が実行される(ステップS19)。
【0065】
異常ケースにおいて、テストトランジスタM3のオン期間中に大きな傾きを持って電流IM3が増加する。但し、上述したようにテストトランジスタM3の電流能力は出力トランジスタM1のそれよりも低いため、電流IM3の絶対値は問題となる程度に高まらない。つまり、異常ケースにおいて、テストトランジスタM3のターンオフにて生じる電流IM3な急激な低下は、寄生インダクタンスLp(図2参照)の作用により入力電圧Vinの一時的な上昇をもたらすが、その上昇量は小さいので問題が生じない(その上昇量を見込んで入力端子INの耐圧を設計すれば良い)。
【0066】
このように、第1実施例に係る電源制御装置10では、出力段MMのスイッチング駆動の開始前にテスト動作を行う。テスト回路30は、テスト動作においてテストトランジスタM3をオン状態に制御することによりテストトランジスタM3を介してスイッチ端子SWに電流IM3を供給する。そして、コントローラ22は、テスト動作におけるスイッチ電圧Vswに基づき出力段MMのスイッチング駆動の実行可否を制御する。
【0067】
本方法により、出力段MMのスイッチング駆動が開始される前に、テスト動作にてスイッチ端子SWの短絡異常の有無を判断することができる。そして、スイッチ端子SWの短絡異常の発生時には出力段MMのスイッチング駆動を非実行とするといったことが可能となる。これは、電源制御装置10自体の保護に繋がると共に、入力電圧の供給源(VS)からスイッチ端子SWまでの経路上の任意の素子及び回路の保護に繋がる。
【0068】
具体的には、コントローラ22は、テスト動作におけるスイッチ電圧Vswと閾電圧(ここでは上方閾電圧VthH)との比較結果に基づき、出力段MMのスイッチング駆動の実行可否を制御する(ステップS15~S17)。テスト動作において、“Vsw≧VthH”であれば出力段MMのスイッチング駆動の実行を許可し、“Vsw<VthH”であれば出力段MMのスイッチング駆動の実行を禁止する(ステップS15~S19)。
【0069】
図5の回路構成から理解されるよう、テストトランジスタM3は出力トランジスタM1に並列接続されており、テスト回路30は、テスト動作においてテストトランジスタM3を介し入力端子INをスイッチ端子SWに導通させることでスイッチ端子SWに電流IM3を供給する。この際、テスト回路30は、テスト動作においてテストトランジスタM3を所定時間Taだけオン状態に制御し、これによってテストトランジスタM3を介し入力端子INを所定時間Taだけスイッチ端子SWに導通させる。
【0070】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例及び後述される他の任意の実施例は第1実施例を基礎とする実施例である。第2実施例にて特に記述無き事項は、矛盾なき限り、第1実施例の記載が第2実施例にも適用される(後述される他の任意の実施例でも同様)。
【0071】
第1実施例では、電源制御装置10に対して入力電圧Vinが供給開始されることを契機にテスト動作が実行され、テスト動作にてスイッチ端子SWの短絡異常が検出されないことを条件に出力段MMのスイッチング駆動が開始される。
【0072】
図9に示す如く、電源制御装置10に外部端子の1つとしてイネーブル端子ENが設けられていても良く、この場合には、イネーブル端子ENへ供給されるイネーブル信号Senに応じてテスト動作が実行されることがある。イネーブル信号Senは、電源制御装置10とは異なる外部装置(マイクロコンピュータ等)からイネーブル端子ENに入力される。
【0073】
電圧源VSの出力電圧Vsupが入力電圧Vinとして入力端子INに供給されていることを前提に、第2実施例に係る電源制御装置10の動作を説明する。電源制御装置10に設けられたイネーブル回路40はイネーブル端子ENにおけるイネーブル信号Senを二値化することで、イネーブル信号Senが第1レベル及び第2レベルの何れのレベルを有するかを検出する。第1レベル及び第2レベルの内、一方のレベルは他方のレベルよりも高い。イネーブル回路40はイネーブル信号Senのレベルが第1レベルから第2レベルに変化したとき、テスト回路30に対して所定の起動信号を出力する。テスト回路30は起動信号の受信を契機にテスト動作を実行する。
【0074】
第2実施例では、イネーブル信号Senが第1レベルを有している期間で上述の初期シーケンス動作が完了している。図7又は図8のタイミングチャートに当てはめると、起動信号が時刻tB2から時刻tB3までの間に出力されると考えることができる。第2実施例では、図6のステップS12の後、イネーブル回路40より起動信号が出力されてからステップS13に進む。ステップS13に進んだ後の動作は第1実施例と同様である。ステップS18に進んで出力段MMのスイッチング動作が開始された後、イネーブル信号Senのレベルが第2レベルから第1レベルに戻ると、出力段MMのスイッチング駆動が停止される。
【0075】
尚、イネーブル回路40より起動信号が出力される前においてテスト動作を実行しておいても良い。この際、起動信号の出力前のテスト動作においてステップS16に進んだのであれば、起動信号の出力を契機に即時にステップS18に進んで出力段MMのスイッチング駆動を開始できる。起動信号の出力前のテスト動作においてステップS17に進んだのであれば、起動信号の出力有無に依らずステップS19の異常対応処理を行って良い。
【0076】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。第3実施例では上述の各事項に対する補足事項又は変形技術等を説明する。
【0077】
上述の各実施例では、コントローラ22とは別にテスト処理回路32が設けられると考えているが、テスト処理回路32はコントローラ22に内蔵される回路であっても良い。この場合、コントローラ22の制御の下でテスト動作が実行されると解することができる。
【0078】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。
【0079】
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示である。上述の主旨を損なわない形で、任意のFETのチャネルの種類はPチャネル型及びNチャネル型間で変更され得る。
【0080】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0081】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0082】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0083】
本開示の一側面に係る電源制御装置は、入力電圧(Vin)を降圧することで出力電圧(Vout)を生成するスイッチング電源装置(1)の出力段(MM)を制御するよう構成された電源制御装置(10)であって、前記出力段は、前記入力電圧の印加端(IN)とスイッチ端子(SW)との間に設けられた出力素子(M1)と、前記スイッチ端子と基準電位端(GND)との間に設けられた整流素子(M2)を有し、前記出力段のスイッチング駆動を通じて前記入力電圧から前記出力電圧が生成され、当該電源制御装置は、前記出力電圧に応じた帰還電圧(Vfb)に基づき前記出力段をスイッチング駆動するよう構成されたスイッチング制御回路(20)と、前記出力段のスイッチング駆動の開始前にテスト動作を行うよう構成されたテスト回路(30)と、を備え、前記テスト回路は、前記テスト動作においてテスト素子(M3)を介し前記スイッチ端子に電流を供給し、前記スイッチング制御回路は、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧(Vsw)に基づき前記出力段のスイッチング駆動の実行可否を制御する構成(第1の構成)である。
【0084】
これにより、出力段のスイッチング駆動が開始される前に、テスト動作にてスイッチ端子及び基準電位端間の短絡異常の有無を判断することができる。そして、短絡異常の発生時には出力段のスイッチング駆動を非実行とするといったことが可能となる。これは、電源制御装置自体の保護に繋がると共に、入力電圧の供給源からスイッチ端子までの経路上の任意の素子及び回路の保護に繋がる。
【0085】
上記第1の構成に係る電源制御装置において、前記スイッチング制御回路は、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧と閾電圧(VthH)との比較結果に基づき、前記出力段のスイッチング駆動の実行可否を制御する構成(第2の構成)であっても良い。
【0086】
上記第2の構成に係る電源制御装置において、前記スイッチング制御回路は、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧が前記閾電圧以上であるとき、前記出力段のスイッチング駆動の実行を許可し、前記テスト動作における前記スイッチ端子の電圧が前記閾電圧を下回るとき、前記出力段のスイッチング駆動の実行を禁止する構成(第3の構成)であっても良い。
【0087】
テスト動作におけるスイッチ端子の電圧が閾電圧を下回るとき、スイッチ端子及び基準電位端間の短絡異常が疑われる。そこで、テスト動作におけるスイッチ端子の電圧が閾電圧を下回るとき、出力段のスイッチング駆動の実行を禁止する。これにより、電源制御装置を保護することができると共に、入力電圧の供給源からスイッチ端子までの経路上の任意の素子及び回路を保護することができる。
【0088】
上記第1~第3の構成の何れかに係る電源制御装置において、前記テスト回路は、前記テスト動作において、前記テスト素子を介し前記入力電圧の印加端を前記スイッチ端子に導通させることで前記スイッチ端子に電流を供給する構成(第4の構成)であっても良い。
【0089】
上記第4の構成に係る電源制御装置において、前記出力素子は出力トランジスタであり、前記テスト素子は前記出力トランジスタに並列接続されたテストトランジスタであり、前記テスト回路は、前記テスト動作において前記テストトランジスタを所定時間だけオン状態に制御することで、前記テストトランジスタを介し前記入力電圧の印加端を前記所定時間だけ前記スイッチ端子に導通させる構成(第5の構成)であっても良い。
【0090】
上記第1~第4の構成の何れかに係る電源制御装置において、前記出力素子は出力トランジスタであり、前記テスト素子は前記出力トランジスタに並列接続されたテストトランジスタであり、前記テストトランジスタのサイズは前記出力トランジスタのサイズよりも小さい構成(第6の構成)であっても良い。
【0091】
スイッチ端子及び基準電位端間の短絡異常が生じているときに出力トランジスタをオンとすると、過大な電流が発生し得る。過大な電流の発生は望ましくない。上記第6の構成により、スイッチ端子及び基準電位端間の短絡異常が生じているときにおいて、出力トランジスタをオンとする場合よりもテストトランジスタをオンとする場合の方が発生電流は小さくなる。このため、過大な電流の発生が抑制され、過大な電流に起因する現象を抑制できる。
【0092】
上記第1~第4の構成の何れかに係る電源制御装置において、前記出力素子は出力トランジスタであり、前記テスト素子は前記出力トランジスタに並列接続されたテストトランジスタであり、前記テストトランジスタのオン抵抗は前記出力トランジスタのオン抵抗よりも大きい構成(第7の構成)であっても良い。
【0093】
スイッチ端子及び基準電位端間の短絡異常が生じているときに出力トランジスタをオンとすると、過大な電流が発生し得る。過大な電流の発生は望ましくない。上記第7の構成により、スイッチ端子及び基準電位端間の短絡異常が生じているときにおいて、出力トランジスタをオンとする場合よりもテストトランジスタをオンとする場合の方が発生電流は小さくなる。このため、過大な電流の発生が抑制され、過大な電流に起因する現象を抑制できる。
【0094】
上記第1~第7の構成の何れかに係る電源制御装置において、前記スイッチ端子と前記出力電圧の印加端との間にコイル(L1)が設けられ、且つ、前記出力電圧の印加端と前記基準電位端との間に出力コンデンサ(C1)が設けられる構成(第8の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0095】
1、901 スイッチング電源装置
MM 出力段
M1、M2 トランジスタ
10、910 電源制御装置
20 スイッチング制御回路
21 エラーアンプ
22 コントローラ
22a テスト結果判定回路
23 ドライバ
30 テスト回路
M3 テストトランジスタ
31 インバータ
32 テスト処理回路
L1 コイル
C1、Cbt コンデンサ
Dbt ダイオード
R1、R2 抵抗
VS 電圧源
SWin スイッチ
LD 負荷
Vin 入力電圧
Vout 出力電圧
IL コイル電流
Vsw スイッチ電圧
Vfb 帰還電圧
Vbt ブート電圧
IN 入力端子
SW スイッチ端子
GND グランド端子
OUT 出力端子
FB 帰還端子
BT ブート端子
G1、G2 ゲート信号
S1、S2 制御信号
Serr 誤差信号
Lp 寄生インダクタンス
Sd 信号
St テスト結果信号
EN イネーブル端子
Sen イネーブル信号
40 イネーブル回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9