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特開2024-113823搬送システム、制御装置及び制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113823
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】搬送システム、制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240816BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240816BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20240816BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20240816BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
G06Q10/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019035
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】谷島 耶麻斗
(72)【発明者】
【氏名】中山 正樹
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F522AA02
3F522BB22
3F522BB28
3F522BB29
3F522BB35
3F522CC01
3F522CC07
3F522DD03
3F522DD04
3F522DD05
3F522DD22
3F522DD37
3F522EE15
3F522FF12
3F522GG05
3F522HH40
3F522JJ02
3F522KK02
3F522KK05
3F522LL03
3F522LL17
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】異なるエリア間での搬送物の搬送の効率を向上する。
【解決手段】複数のエリア間搬送機の各々は、三つ以上のエリアのうちの一のエリアにおいて搬送された搬送物のエリア間搬送を行う装置である。制御装置は、管理情報を参照し、複数の時間帯の各々について搬送モードとエリア間搬送機との一つ以上の組を決定し、決定された組に従い、各エリア間搬送機に、搬送モードと時間帯との組を指定する。搬送モードは、一つ又は複数のエリアペアで定義されている。エリアペアは、搬送元エリアと搬送先エリアとのペアである。搬送元エリアが異なる複数のエリアペアは、それぞれ異なる搬送モードに属する。各エリア間搬送機は、複数の時間帯の各々について、当該時間帯では、当該時間帯と組になっている搬送モードに従うエリア間搬送を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリア間搬送機と通信するインターフェース装置と、
搬送物の搬送に関する管理情報を記憶した記憶装置と、
前記インターフェース装置及び前記記憶装置に接続されているプロセッサと
を備え、
前記複数のエリア間搬送機の各々は、三つ以上のエリアのうちの一のエリアにおいて搬送タスクに従い搬送物の搬送のために走行する搬送装置により搬送された搬送物のエリア間搬送を行う装置であり、
前記プロセッサは、前記管理情報を参照し、異なる複数の時間帯の各々について搬送モードとエリア間搬送機との一つ以上の組を決定し、決定された組に従い、各エリア間搬送機に、搬送モードと時間帯との組を指定し、
搬送モードは、一つ又は複数のエリアペアで定義されており、
エリアペアは、搬送元エリアと搬送先エリアとのペアであり、
搬送元エリアが異なる複数のエリアペアは、それぞれ異なる搬送モードに属し、
前記各エリア間搬送機は、前記複数の時間帯の各々について、当該時間帯では、当該時間帯と組になっている搬送モードに従うエリア間搬送を行う、
制御装置。
【請求項2】
エリア間搬送の搬送方向と搬送元エリアが同じであるが搬送先エリアが異なる二つ以上のエリアペアで定義された搬送モードがある、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
搬送元エリアが同じでも搬送先エリアが異なっている二つ以上のエリアペアがそれぞれ属する異なる二つ以上の搬送モードがある、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、各時間帯での利用状況又はタスク状況に基づき、少なくとも一つの時間帯における搬送モードの割合を決定し、
前記各時間帯について、前記利用状況は、前記複数のエリア間搬送機の各々の当該時間帯での履歴に基づく状況であり、
前記各時間帯について、前記タスク状況は、各エリアペアについて当該エリアペアに従うエリア間搬送を必要とする搬送タスクの数に基づく状況である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、連続する二つ以上の時間帯の各々に同じ搬送モードが適用される場合、当該搬送モードを同一のエリア間搬送機に適用する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記各時間帯について、前記各エリア間搬送機の位置と、エリア間搬送対象の各搬送物の位置及びエリアペアとに基づいて、前記各エリア間搬送機について当該エリア間搬送機に適用する搬送モードを決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記各エリア間搬送機についての時間帯と搬送モードとの組と、エリア間搬送対象の搬送物のエリアペアとを基に、当該搬送物のエリア間搬送を含む搬送タスクの日時を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記複数のエリアのうちの或るエリアで保管される搬送物の数が第一の閾値以上となる時間帯について、当該或るエリアが搬送先エリアである搬送モードの割合を減らす、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記各エリア間搬送機についての時間帯と搬送モードとの組を基に、前記複数のエリアの各々について、搬送装置の数を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、エリア間搬送を含む複数の搬送タスクを基に、前記複数のエリアの各々について、搬送装置の数を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記各エリア間搬送機についてのエリア間搬送の過去の履歴を基に、搬送モード毎に、当該搬送モードに該当のエリア間搬送を含む搬送タスクの前記各時間帯での頻度を特定し、
各搬送モードについて特定された前記各時間帯での頻度に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記各エリア間搬送機についてのエリア間搬送の過去の履歴を基に、当該エリア間搬送機が行うエリア間搬送の待機時間の統計である待機時間統計を前記各時間帯について特定し、
前記各エリア間搬送機について特定された前記各時間帯での待機時間統計に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記各エリア間搬送機についてのエリア間搬送の過去の履歴を基に、当該エリア間搬送機によるエリア間搬送を待つ搬送物である待機搬送物の数を前記各時間帯について特定し、
前記各エリア間搬送機について特定された前記各時間帯での待機搬送物の数に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記各エリア間搬送機についてのエリア間搬送の過去の履歴を基に、当該エリア間搬送機の空き時間の統計である空き時間統計を前記各時間帯について特定し、
前記各エリア間搬送機について特定された前記各時間帯での空き時間統計に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項15】
複数のエリア間搬送機と
搬送物の搬送に関する管理情報を記憶した制御装置と
を備え、
前記複数のエリア間搬送機の各々は、複数のエリアのうちの一のエリアにおいて搬送タスクに従い搬送物の搬送のために走行する搬送装置により搬送された搬送物のエリア間搬送を行う装置であり、
前記制御装置は、前記管理情報を参照し、複数の時間帯の各々について搬送モードとエリア間搬送機との一つ以上の組を決定し、決定された組に従い、各エリア間搬送機に、搬送モードと時間帯との組を指定し、
搬送モードは、一つ又は複数のエリアペアで定義されており、
エリアペアは、搬送元エリアと搬送先エリアとのペアであり、
搬送元エリアが異なる複数のエリアペアは、それぞれ異なる搬送モードに属し、
前記各エリア間搬送機は、前記複数の時間帯の各々について、当該時間帯では、当該時間帯と組になっている搬送モードに従うエリア間搬送を行う、
搬送システム。
【請求項16】
コンピュータが、搬送物の搬送に関する管理情報を参照し、
コンピュータが、複数の時間帯の各々について搬送モードとエリア間搬送機との一つ以上の組を決定し、
コンピュータが、決定された組に従い、各エリア間搬送機に、搬送モードと時間帯との組を指定し、
複数のエリア間搬送機の各々は、複数のエリアのうちの一のエリアにおいて搬送タスクに従い搬送物の搬送のために走行する搬送装置により搬送された搬送物のエリア間搬送を行う装置であり、
搬送モードは、一つ又は複数のエリアペアで定義されており、
エリアペアは、搬送元エリアと搬送先エリアとのペアであり、
搬送元エリアが異なる複数のエリアペアは、それぞれ異なる搬送モードに属し、
前記各エリア間搬送機は、前記複数の時間帯の各々について、当該時間帯では、当該時間帯と組になっている搬送モードに従うエリア間搬送を行い、当該搬送モード以外の搬送モードに従うエリア間搬送を行わない、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、搬送装置の走行により搬送物を搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、棚を目的地まで搬送するAGV(Automatic Guided Vehicle)に関する技術、例えば特許文献1に開示の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2015/097736
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送物(例えば棚)の保管効率を向上させるために(又は他の目的のために)、複数のエリアが設けられ、其々のエリアに搬送物が配置されることが考えられる。具体的には、例えば、複数階を有する建物の各階(各エリア)に搬送物を配置することが考えられる。
【0005】
各エリアでは、搬送物を搬送する搬送装置(例えばAGV)が走行する。エリア間で搬送物を搬送可能にするためにエリア間搬送機が備えられる。
【0006】
エリア間搬送機に搬送物を搭載するまでの待機時間や、エリア間搬送機から搬送物が出るまでの待機時間が長い時間となると、搬送効率が低下する。例えば、エリア間搬送機から搬送物が出るのを待機してから、同じエリア間搬送機に次の搬送物を入れる必要がある場合、当該次の搬送物の搬送タスクについては待機時間が生じる。また、例えば、搬送元エリアが其々異なるエリアである複数の搬送タスクが同じエリア間搬送機を使用する場合、順番が後になった方の搬送タスクについては待機時間が生じる。異なるエリア間での搬送物の搬送において、上述のような待機時間が、搬送効率を低下させる要因となる。
【0007】
そこで、異なるエリア間での搬送物の搬送の効率を向上する制御装置、搬送システム及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数のエリア間搬送機の各々は、三つ以上のエリアのうちの一のエリアにおいて搬送タスクに従い搬送物の搬送のために走行する搬送装置により搬送された搬送物のエリア間搬送を行う装置である。制御装置は、管理情報を参照し、異なる複数の時間帯の各々について搬送モードとエリア間搬送機との一つ以上の組を決定し、決定された組に従い、各エリア間搬送機に、搬送モードと時間帯との組を指定する。搬送モードは、一つ又は複数のエリアペアで定義されている。エリアペアは、搬送元エリアと搬送先エリアとのペアである。搬送元エリアが異なる複数のエリアペアは、それぞれ異なる搬送モードに属する。各エリア間搬送機は、複数の時間帯の各々について、当該時間帯では、当該時間帯と組になっている搬送モードに従うエリア間搬送を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異なるエリア間での搬送物の搬送の効率を向上させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る搬送システムの概略構成を示す図である。
図2】1段目エリアの構成の説明図である。
図3A】搬送装置の外観構成を示す斜視図である。
図3B】搬送装置の底面構成を示す平面図である。
図4】棚の搬送の説明に供する図である。
図5】2段目エリアから1段目エリアへの棚の搬送の説明に供する図である。
図6】搬送システムにおける要素の具体的な構成例の一部を示す図である。
図7】搬送システムにおける要素の具体的な構成例の残りを示す図である。
図8】オーダテーブルの構成例を示す図である。
図9】在庫テーブルの構成例を示す図である。
図10】棚テーブルの構成例を示す図である。
図11】装置搬送テーブルの構成例を示す図である。
図12】床テーブルの構成例を示す図である。
図13】垂直搬送テーブルの構成例を示す図である。
図14】ピッキングテーブルの構成例を示す図である。
図15A】搬送モード管理テーブルの構成例を示す図である。
図15B】搬送モード管理テーブルの構成例を示す図である。
図16】作業日時決定処理の流れを示すフローチャートである。
図17】搬送制御処理の流れを示すフローチャートである。
図18】モード割合更新処理の流れを示すフローチャートである。
図19】モード割合更新処理の変形例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0012】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0013】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0014】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0015】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のデータでもよいし(例えば、構造化データでもよいし非構造化データでもよいし)、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置を用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有する装置又はシステム)とされてもよい。プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、以下の説明において、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0018】
また、要素を識別するための情報(識別情報、識別子)として、任意の情報(例えば、「ID」、「名前」、及び「番号」のうちの少なくとも一つ)が採用されてよい。
【0019】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別して説明する場合には、参照符号を使用することがある。
【0020】
また、以下の説明では、「日時」の単位は、年月日時分よりも粗い単位でも細かい単位でもよい。
【0021】
図1は、実施の形態に係る搬送システムの概略構成を示す図である。なお、便宜上、二次元方向を、x方向とx方向と直交するy方向とする。
【0022】
搬送システムは、倉庫2内(保管スペースの一例)を走行する複数の搬送装置3と、各搬送装置3の移動をリモート制御する制御装置4(例えば、WCS(Warehouse Control System))とを備える。なお、本実施の形態において、搬送装置3の「移動」とは、搬送物の有無に関わらず搬送装置3の移動全般を表す。搬送装置3の「移動」は、搬送装置3の「走行」と言い換えられてもよい。搬送装置3が搬送物を有している状態での「移動」を特に「搬送」と言う。
【0023】
棚5は、搬送装置3により搬送され得る搬送物の一例である。棚5に代えて又は加えて、トレー、パレット又はコンテナといった物が、搬送物の一例であってもよい。搬送物が1又は複数の物品を搭載可能なもの(例えば棚5やパレット)である場合、搬送物を収納部(収納装置)や荷役台と呼んでもよい。本実施の形態においては、搬送装置3の搬送物の一例として、棚5の場合を説明する。
【0024】
倉庫2は、例えば、ネット通販会社等の企業が、物品を保管するために利用する保管庫である。倉庫2に保管されている物品は、商品であってもよいし、部品であってもよい。本実施の形態においては、倉庫2に保管されている物品の一例として、商品の例を説明する。倉庫2には、多段エリア122及び複数の垂直搬送機202(図1が示す例では、第一垂直搬送機202A及び第二垂直搬送機202B)が設けられている。
【0025】
多段エリア122は、異なる高さにそれぞれ位置する複数段のエリアの一例である。倉庫2が複数階を有する建物の場合に、当該複数階のエリア(フロア)が多段エリア122であってもよい。また、倉庫2にメザニンが設けられる場合、メザニンを設置したエリアと、メザニン上のエリアが、多段エリア122であってもよい。なお、各エリア200を囲む壁又は柵191が設けられてもよい。
【0026】
多段エリア122は、1段目エリア200Aと、2段目エリア200Bと、3段目エリア200Cとを有する。なお、多段エリア122は、4段以上のエリアがあってもよい。多段エリア122を構成する複数のエリア200A~200Cの各々に、複数の棚5が、移動可能な状態に設置されている。なお、全てのエリア200に同じ種類の搬送物が配置されなくてもよい。例えば、1段目エリア200Aに棚5が配置されて2段目エリア200Bにパレットが配置されてもよい。各棚5には、1又は複数の物品(例えばそれぞれ販売対象の商品)がそれぞれ所定位置に収納される。棚5を移動棚と呼ぶことがある。
【0027】
各エリア200は、例えば、搬送装置3が走行するエリアである。搬送装置3がエリア200を走行することで棚5をピッキングステーション6(ワーキングステーションの一例)へ搬送できる。各エリア200は、倉庫2の床面全域又は一部としてのエリアである。ピッキングステーション6ではピッキングが行われるが、ピッキングは、搬送物に関しての所定の作業の一例である。例えば、ピッキングステーション6で、棚5への商品補充などの入庫作業や棚卸などの付帯作業が行われてもよく、単にステーション又はワーキングステーションとよばれてもよい。
【0028】
なお、搬送装置3がピッキングステーション6へ搬送する場合、その搬送先(目的位置)は、ピッキングステーション6で作業者又はピッキング装置がピッキング可能な所定の位置(例えばピッキングステーション6前の区画、ピッキングステーション6に隣接する区画)であってもよいし、ピッキングステーション6に関する他の所定位置であってもよい。他の所定位置の例としては、例えばピッキングステーション6前の区画に他の棚5がある場合にはピッキングステーション6前又は周辺の待機位置であってもよいし、ピッキングステーション6前の区画に棚5の搬送設備(コンベア等)がある場合には当該搬送設備への棚5の受け渡し場所であってもよい。
【0029】
同様に、搬送装置3がピッキングステーション6から搬送する場合、その搬送元(出発位置)は、ピッキングステーション6で作業者又はピッキング装置がピッキング可能な所定の位置(例えばピッキングステーション6前の区画、ピッキングステーション6に隣接する区画)であってもよいし、ピッキングステーション6に関する他の所定位置であってもよい。他の所定位置の例としては、例えばピッキングステーション6前の区画に棚5の搬送設備(コンベア等)がある場合には当該搬送設備からの棚5の受け取り場所であってもよい。
【0030】
少なくとも一つのエリア200には、当該エリアに配置されている棚5を搬送する搬送機の一例としてのコンベアが設けられてもよい。
【0031】
垂直搬送機202は、エリア間搬送機の一例である。垂直搬送機202は、垂直方向に昇降する搬送機である。具体的には、垂直搬送機202は、下降することで上のエリア200から下のエリア200に棚5を搬送し、及び/又は、上昇することで下のエリア200から上のエリア200に棚5を搬送する。垂直搬送機202は、例えば、昇降機又は昇降機におけるかごでよい。また、垂直搬送機202は、垂直方向に棚5を搬送可能なフォークリフト等の、他のエリア間搬送機によって代替可能である。また、各垂直搬送機202が、棚5を上のエリア200へ搬送することも、棚5を下のエリア200へ搬送することも行えるようになっていてもよい。
【0032】
各搬送装置3は、当該搬送装置3に割り当てられた搬送タスクが関連付けられている移動指示を受けた場合、当該移動指示に従い、棚5を搬送する。図1が示す例によれば、下記の通りである。
・棚5Aをピッキングステーション6まで搬送し終えた搬送装置3Aは、棚5Aにおける商品のピッキングの終了待ちである。ピッキングステーション6で作業者又はピッキング装置によるピッキングが終了した後、搬送装置3Aは、棚5Aをピッキングステーション6から、棚5Aの保管位置まで搬送する。
・棚5Bを第一垂直搬送機202Aまで搬送装置3Bが搬送する。搬送装置3Bは、棚5Bを第一垂直搬送機202Aに搬送した後、空きとなる。
・棚5Cが、3段目エリア200Cにおいて、第二垂直搬送機202Bへの搬送待ちの状態である。
・配置位置が1段目エリア200Aである棚5Dを搬送するために搬送装置3Dが移動中である。
・いずれのエリア200にも、一つ又は複数の搬送装置3が存在してよい。
【0033】
本実施の形態では、例えば下記のうちの少なくとも一つが採用されてもよい。
・搬送物(棚5を含む)は、脚がある搬送物(脚付きの搬送物)であってもよいし、脚がない搬送物(脚無しの搬送物)であってもよい。脚無しの搬送物は、架台192上で保管される。脚付きの搬送物は、架台192のない保管位置で保管されてもよい。
・いずれの搬送装置3の高さも、脚付きの搬送物の脚の高さより低く、いずれの搬送装置3も、脚付きの搬送物の下をくぐることができる。同様に、いずれの搬送装置3の高さも、架台192の高さより低く、いずれの搬送装置3も、架台192上の搬送物の下をくぐることができる。搬送物が脚付きの搬送物である場合も、搬送物が架台192上で保管される脚無しの搬送物である場合も、搬送装置3は搬送物の下に入り、搬送物を持ち上げて搬送可能である。全ての搬送物が脚付きで、搬送装置3が搬送物の下に入り搬送物を持ち上げて搬送可能な場合には、架台192は設けなくてもよい。
・また、架台192は、搬送装置3が搬送物の下に入り搬送物を持ち上げて搬送可能とするため、搬送物の下に搬送装置3が入れるスペースができるように、搬送物を支持する構造物であればよく、図1に例示された構造に限定されない。架台192は、支持部や、搬送物保管設備、搬送物支持設備と呼ばれてもよい。
・脚無しの搬送物がある場合、各エリア200では、脚無しの搬送物が置かれる位置に、架台192が設けられている。脚無しの搬送物が置かれる位置としては、例えば、垂直搬送機202における搬送物の出入口の前、及び、脚無しの搬送物の保管位置等であってもよい。いずれの搬送装置3も、架台192上に、脚無しの搬送物を載せることができる。
【0034】
図2は、1段目エリア200Aの構成の説明図である。図1及び図2が示す例によれば、エリア200A~200Cは、平面視において重複しているが、必ずしも重複していなくてもよい。また、図2は、1段目エリア200Aを模式的に例示しており、図2に例示される1段目エリア200Aは、図1に例示の1段目エリア200Aと完全には一致していない。
【0035】
各エリア200は、所定大きさの方形状の複数の区画201に区分されて管理される。以下、区画201を、区画(α、β、γ)と言うことがある。αは、x座標(x方向に沿った区画位置)、βは、y座標(y方向に沿った区画位置)は、γは、z座標(高さ方向におけるエリア位置)である。本実施の形態では、γの値は、“1”(1段目エリア)、“2”(2段目エリア)又は“3”(3段目エリア)である。
【0036】
各区画201内に、当該区画201の位置を表すマーカ(図示せず)が表記されていてよい。マーカは、その区画の位置を特定するための情報を含んでいればよく、例えばその区画の位置情報でもよいし、その区画の位置情報と対応づけられている情報(例えば区画201の識別情報など)であってもよい。マーカは、搬送装置3のセンサ14により読み取り可能な情報であり、例えば一次元コード、QRコード(登録商標)等の二次元コード、RFID(radio frequency Identifier)タグ等の情報であってもよい。本実施の形態においては、マーカの一例として、QRコード(登録商標)の例を説明する。例えば、搬送装置3は、各区画201を通過する時に、その区画201にあるマーカを読み取る。各搬送装置3は、搬送装置3の識別情報と共に、読み取ったマーカの情報を、制御装置4に送信する。制御装置4は、各搬送装置3から受信した、搬送装置3の識別情報とマーカの情報を基に、各搬送装置3の位置を特定する。区画201の全域に板状部材があり、当該区画201から隣接する別の区画201への移動が可能であり、また、当該区画201において搬送装置3の旋回が可能でよい。
【0037】
図1が示す例では、一つの第一垂直搬送機202Aと一つの第二垂直搬送機202Bが示されているが、図2が示す例によれば、四つの垂直搬送機202が存在する。
【0038】
1段目エリア200Aは、平面視において、例えば下記区画がある。
・第一垂直搬送機202Aが存在する区画(1,13,1)。
・第二垂直搬送機202Bが存在する区画(1,11,1)。
・第三垂直搬送機が存在する区画(17,13,1)。
・第四垂直搬送機が存在する区画(17,11,1)。
・垂直搬送機202により搬送された棚5が一時的に配置される区画(2,13,1)、(2,11,1)、(16,13,1)、及び(16,11,1)。
・棚5が保管(配置)される区画である棚保管区画(3,3,1)、(3,4,1)等(図2において同一模様の区画)。
・バッテリステーションが存在する区画(1,1,1)。
・ピッキングステーション6が存在する区画(6,15,1)、(12,15,1)。
【0039】
以下、棚5が一時的に配置される区画を、「バッファ区画」と言うことがある。本実施の形態では、垂直搬送機202毎に、バッファ区画は1個であるが、少なくとも一つの垂直搬送機202について、バッファ区画が2個以上存在してもよい。言い換えれば、各垂直搬送機202について、バッファ区画の数(1段目エリア200Aにバッファリング(一時配置)可能な棚5の数)は、所定数M(Mは自然数)でよい。
【0040】
棚5は、例えば1つの区画201とほぼ同じ大きさであってもよいし、1つの区画201より小さいサイズであってもよい。なお、区画の設定の仕方は様々な変形例があってもよい。また、搬送装置3が進入してはならない区画(例えば区画(3,1,1))が設けられてもよい。
【0041】
各エリア200の各区画201について、図2に例示する矢印の通り、当該区画201において搬送装置3が移動可能な方向は、制限されないでよい(例えば、+x方向、-x方向、+y方向及び-y方向のいずれも搬送装置3が移動可能な方向でよい)。棚保管区画間については、棚5を積載していない状態の搬送装置3は、矢印の方向に移動可能である。なお、棚保管区画に保管されている棚5との衝突を防ぐため、棚5を積載した状態の搬送装置3は、棚保管区画間の走行が制御装置4により不可とされてもよい。
【0042】
また、区画201間は、双方向に移動可能に設定されてもよいし、一方向のみに移動可能に設定されてもよい。例えば、一部の区画201間を一方向のみに移動可能な設定とすることで、搬送装置3の渋滞の発生を抑制又は低減し、全体の搬送効率を向上することが期待できる。また、一方向のみにしか移動できない区画201間が多い場合には、搬送装置3の移動経路が長くなる可能性があるので、各エリア200における搬送装置3の数、又は、各区画201の位置や種類等により、搬送装置3の移動可能な方向が予め設定されてもよいし、そのような方向が動的に制御装置4により設定又は変更されてもよい。
【0043】
2段目エリア200B及び3段目エリア200Cは、図示しないが、所定大きさの方形状の複数の区画201に区分されて管理される(各区画201はマーカを有してよい)。2段目エリア200B及び3段目エリア200Cは、1段目エリア200Aと同様、平面視において垂直搬送機202が存在する区画、バッファ区画、及び、棚保管区画等を有する。
【0044】
再び図1を参照する。搬送装置3は、制御装置4からの移動指示に従い移動する装置であり、典型的には、AGV(Automatic Guided Vehicle)でよい。例えば、搬送装置3は、制御装置4からの移動指示に従い、当該移動指示において指定されている棚5を持ち上げ、当該移動指示において指定されているピッキングステーション6までその棚5を搬送する。ピッキングステーション6に搬送された棚5は、当該ピッキングステーション6において作業者により必要な商品が取り出された後に(つまりピッキングの後に)、搬送装置3により元の棚保管区画(又は別の棚保管区画)に戻される。
【0045】
ピッキングステーション6への搬送経路と、ピッキングステーション6から棚5の元の棚保管区画(又は別の棚保管区画)への移動経路は、一つの移動指示において指定されてもよいし、別々の移動指示において指定されてもよい。この別の棚保管区画の例として、ピッキング回数(例えば頻度)が高い商品を収納しており、ピッキングステーション6へ搬送される回数(例えば頻度)が高い棚5は、ピッキングステーション6に近い位置にある棚保管区画、又は、ピッキングステーション6があるエリア200に設置してもよい。ピッキングステーション6へ搬送される回数が低い棚5は、ピッキングステーション6から遠い位置にある棚保管区画、又は、ピッキングステーション6がないエリア200に設置してもよい。このように、ピッキングステーション6へ搬送される回数に応じて、棚5の設置場所を変えることにより、搬送効率を向上できる。
【0046】
搬送装置3は、図3Aに示すように、全体として直方体状に形成されている。そして搬送装置3の下面(底面)には、図3Bに示すように、それぞれ搬送装置3が旋回及び前進するための駆動輪20が配設されると共に、搬送装置3の下面の四隅には補助輪21が配設されている。また搬送装置3の上面中央部には昇降及び回転自在に円柱状の昇降体22が設けられている。駆動輪20及び補助輪21の少なくとも一方が搬送装置3の「車輪」である。
【0047】
そして、搬送装置3は、図4に示すように、駆動輪20を回転駆動させて搬送対象の棚5の下側にまで移動した後に昇降体22を上昇させることでその棚5を持ち上げ、その状態で倉庫2内を走行することでその棚5を搬送する。この際、搬送装置3は、昇降体22を回転させることで持ち上げた棚5の向きを変えることもできる。搬送装置3は、昇降体22に対し、昇降体22以外の本体が回転(旋回)することで、持上げた棚5を回転させずに搬送装置3を回転(旋回)することも可能である。
【0048】
また、例えば、上のエリア200から下のエリア200への棚5の搬送は、図5に示す通りである。ここでは、上のエリア200を2段目エリア200Bとし、下のエリア200を1段目エリア200Aとして、2段目エリア200Bの出発位置から1段目エリア200Aの目的位置へ棚5を搬送する例について説明する。2段目エリア200Bの搬送装置3は、2段目エリア200Bの出発位置(例えば棚保管区画)から、垂直搬送機202の直前区画(2段目エリア200Bのバッファ区画)に、棚5を搬送する。2段目エリア200Bの搬送設備(コンベア等)は、バッファ区画から垂直搬送機202内に、棚5を搬送する(図5の左上図)。棚5が入っている垂直搬送機202が2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへと下降し、棚5を1段目エリアに搬送する(図5の右上図)。1段目エリア200Aの搬送設備(コンベア等)は、1段目エリア200Aに到着した垂直搬送機202から1段目エリア200Aのバッファ区画へ、棚5を移動する(図5の左下図)。バッファ区画へ搬送された棚5が、1段目エリア200Aにおける搬送装置3に受け渡される(図5の右下図)。この搬送装置3により、棚5が目的位置(例えばピッキングステーション6や、1段目エリア200Aの棚保管区画等)に搬送される。なお、上のエリア200から下のエリア200への他の搬送(例えば3段目エリア200Cから1段目エリア200A)も、同様に行われてもよい。
【0049】
同様に、下のエリア200から上のエリア200への棚5の搬送について説明する。ここでは、下のエリア200を1段目エリア200Aとし、上のエリア200を2段目エリア200Bとして、1段目エリア200Aの出発位置から2段目エリア200Bの目的位置への棚5を搬送する例について説明する。1段目エリア200Aの搬送装置3は、1段目エリア200Aの出発位置(例えば棚保管区画や、ピッキングステーション6等)から、垂直搬送機202の直前区画(1段目エリア200Aのバッファ区画)に、棚5を搬送する。1段目エリア200Aの搬送設備(コンベア等)は、バッファ区画から垂直搬送機202内に、棚5を搬送する。棚5が入っている垂直搬送機202が1段目エリア200Aから2段目エリア200Bへと上昇し、棚5を2段目エリアに搬送する。2段目エリア200Bの搬送設備(コンベア等)は、2段目エリア200Bに到着した垂直搬送機202から2段目エリア200Bのバッファ区画へ、棚5を移動する。バッファ区画に一時配置されている棚5が、搬送装置3により、目的位置(例えば2段目エリア200Bの棚保管区画等)に搬送される。なお、下のエリア200から上のエリア200への他の搬送(例えば1段目エリア200Aから3段目エリア200C)も、同様に行われてもよい。
【0050】
なお、垂直搬送機202とバッファ区画との間で棚5を搬送する搬送設備(搬入出装置)と、垂直搬送機202とは、一体の搬送設備(垂直搬送システム、垂直搬送機、又はエリア間搬送機と呼ばれてもよい)であってもよいし、別々の装置であってもよい。また、垂直搬送機202は、上り搬送(下のエリア200から上のエリア200への搬送)の専用機でもよいし(上のエリア200から下のエリア200への搬送をしない)、下り搬送(上のエリア200から下のエリア200への搬送)の専用機でもよいし(下のエリア200から上のエリア200への搬送をしない)、上り搬送と下り搬送の両方を行ってもよい。
【0051】
搬送装置3には、搭載されたバッテリ(図示しない)の残量が所定値を下回った場合、搬送装置3は、バッテリステーションに移動して自動的に充電を行うようになっている。例えば、搬送装置3のバッテリの残量が所定値を下回った場合、搬送装置3が制御装置4に充電要求を行い、制御装置4が充電要求に応答して搬送装置3にバッテリステーションに移動し充電するように指示してもよい。
【0052】
制御装置4は、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信回線を介して、倉庫2内の各搬送装置3と、垂直搬送機202などのエリア間搬送機と、各搬送設備(エリア200A~202Cの搬送設備等)と無線通信接続される。制御装置4から、移動(搬送を含む)を行う設備(搬送装置3、垂直搬送機202、搬送設備等)に移動指示が送信され、その移動指示を受信した設備が移動指示に従って移動が行われる。
【0053】
例えば、制御装置4は、顧客からのオーダに応じて、オーダされた商品が収納されている棚5を特定し、搬送装置3に対して、当該棚5をピッキングステーション6まで搬送する移動指示(以下、このような搬送に関する指示を移動指示と呼ぶ)を送信する。2段目エリア200Bに配置されている棚5を1段目エリア200Aのピッキングステーション6まで搬送する場合、制御装置4は、2段目エリア200Bの搬送装置3に、当該棚5を、棚5の配置位置(棚の保管位置)から垂直搬送機202(又はバッファ区画)へと搬送させる移動指示を送信する。バッファ区画に搬送した場合には、制御装置4は、2段目エリア200Bの搬送設備に、バッファ区画から垂直搬送機202内に、棚5を搬送する移動指示を送信する。制御装置4は、垂直搬送機202に当該棚5を2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへと搬送させる。バッファ区画に搬送する場合には、制御装置4は、1段目エリア200Aの搬送設備に、垂直搬送機202内からバッファ区画に、当該棚5を搬送する移動指示を送信する。制御装置4は、当該棚5を、棚5の配置位置(垂直搬送機202又はバッファ区画)からピッキングステーション6まで搬送する移動指示を、1段目エリア200Aの搬送装置3に送信する。
【0054】
また、棚5を垂直搬送機202を用いて搬送する場合、搬送装置3に棚5を垂直搬送機202へ搬送させるとき、又は搬送装置3が棚5を垂直搬送機202へ搬送しているとき(例えば、垂直搬送機202まで所定の距離内になる等、垂直搬送機202に近づいたとき)に、制御装置4は、垂直搬送機202に搬送指示をだしてもよい。事前に搬送指示をだすことで、垂直搬送機202の搬送準備を行うことができ、搬送効率が向上する。ここで、垂直搬送機202の搬送準備の一例としては、搬送元となるエリア200に垂直搬送機202の棚5を搭載する部分(昇降機のかご)を移動しておくことでもよい。なお、搬送装置3がバッファ区画に棚5を搬送完了したタイミング、又は、搬送完了後に搬送装置3がバッファ区画から移動したタイミングで、制御装置4は、垂直搬送機202に搬送指示を送信してもよい。
【0055】
なお、同じタイミングで、同一垂直搬送機202を用いる搬送タスクが複数あった場合には、棚5の搬送タスク又は搬送指示の早い順、当該垂直搬送機202への搬送が早い順、搬送タスクの優先度が高い順等、所定の基準により、制御装置4は、当該垂直搬送機202の搬送タスクの処理順番を決める調整をして、当該垂直搬送機202や搬送装置3に移動指示を送信してもよい。
【0056】
また、制御装置4は、複数の搬送タスクのそれぞれについて、各搬送装置3や垂直搬送機202等に移動指示をだしており、搬送システム全体として複数の搬送タスクを並列で処理可能である。垂直搬送機202で移動し搬出された棚5については、搬送可能かつ近い位置にある搬送装置3に移動指示を送信する。また、ピッキングステーション6では、ピッキングステーション6に棚が搬送された順(到着順)にピッキング作業を行ってもよい。
【0057】
なお、搬送装置3に送信される「移動指示」には、当該搬送装置3に割り当てられた搬送タスクを表す情報が関連付けられる。搬送タスクは、いずれの棚5をいずれの区画へと搬送するかに従うタスクであり、搬送タスクを表す情報は、例えば、搬送すべき棚5の棚IDと、搬送装置3が移動する経路である移動経路と、搬送装置3の移動方向とを含んでよい。移動経路は、搬送装置3の現在区画(現在位置が属する区画)から棚保管区画(搬送対象の棚5が存在する区画)までの経路と、棚保管区画から目的区画(例えばピッキングステーション6)までの経路とを含んでもよいし、その経路の一部(例えば直近で移動予定の経路)であってもよい。また、ピッキングステーション6において作業者により棚5から商品がピッキングされた後には、棚5を指定位置に戻すために、制御装置4は、搬送装置3に指定位置への「移動指示」を与える。この移動経路は、更に、ピッキングステーション6から指定位置までの経路を含んでよい。
【0058】
図6及び図7は、本実施の形態における搬送システムの要素の具体的な構成例を示す図である。搬送システムは、制御装置4と、搬送装置3と、垂直搬送機202と、ピッキング端末710と、ネットワーク551と、を備える。また、搬送システムは、その他の搬送設備(例えば、垂直搬送機202とバッファ区画との間で棚5を搬送する搬入出装置)や、多段エリア122(例えばメザニン)や、架台192や、棚5や、ピッキングステーション6の全部又は一部を、更に備えていてもよい。搬送システムの各構成要素は、一つ又は複数あってもよい。例えば、倉庫2に、搬送システムを導入することで、図1に例示する構成が実現されてもよい。
【0059】
搬送装置3、制御装置4、垂直搬送機202、ピッキング端末710、及びその他の搬送設備の各々が、ネットワーク551を介して通信可能である。搬送装置3、垂直搬送機202、ピッキング端末710、及びその他の搬送設備の各々は、複数存在してよい。
【0060】
搬送装置3は、駆動装置11、記憶装置12、インターフェース装置13、複数種類のセンサ14、バッテリ、及び、それらに接続されたコントローラ10を備える。
【0061】
コントローラ10は、制御装置4からの移動指示や内蔵するバッテリの充電状態などに応じて搬送装置3の動作の制御を司るコントローラである。駆動装置11は、駆動輪20、補助輪21及び昇降体22のほか、駆動輪20を回転駆動するためのモータ等のアクチュエータ(図示せず)と、昇降体22を昇降及び回転させるためのモータ等のアクチュエータ(図示せず)とを備える。
【0062】
インターフェース装置13は、所定の無線通信方式により制御装置4と通信を行うための装置であり、例えば無線LANカードなどから構成されてよい。
【0063】
センサ14は、搬送装置3が走行する床面の情報や搬送装置3に関する各種情報を収集等するためのデバイスである。例えば、センサ14は、例えば、床面の区画上のマーカの情報を読み込むことが可能である。搬送装置3は、複数種類のセンサ14として、区画201の状態を撮像したりするためのカメラ、移動中の搬送装置3が受ける振動を検出するための振動センサ、搬送装置3の速度を計測する速度センサ、搬送装置3の加速度を計測する加速度センサ、積載物(搬送物)の重量を計測する重量センサ、及び、搬送装置3の向きを計測するジャイロセンサなどのセンサを備えていてもよい。
【0064】
記憶装置12には、例えば、経路テーブル23、装置テーブル24、地図テーブル25、計測テーブル27及び実績テーブル28が格納される。コントローラ10には、通信プログラム29、移動制御プログラム30、計測プログラム31及び位置推定プログラム32が格納されている。通信プログラム29、移動制御プログラム30、計測プログラム31及び位置推定プログラム32がコントローラ10により実行されることで、通信部、走行制御部、計測部及び位置推定部が実現される。
【0065】
経路テーブル23は、制御装置4から受信した上述の移動指示や、移動指示で指定された移動経路を表す情報が格納されるテーブルである(移動経路を表す情報は、移動経路の区画の情報等を含んでよい)。装置テーブル24は、搬送装置3のID、現在の位置(区画)、及び、状態(例えば、「待機」、「移動中」又は「搬送中」)が格納されたテーブルである。地図テーブル25は、区画毎の位置及び属性(例えば、いずれの領域に属するか)を表す情報が格納されたテーブルである。なお、地図テーブル25は、図2に例示されるような情報を含んでよい。計測テーブル27は、複数種類のセンサ14により計測された値(例えば、速度、加速度、旋回、重量、位置(二次元バーコードから読み取られた値)、区画の撮影画像等)が格納されるテーブルである。実績テーブル28は、搬送装置3が移動した経路及び日時を含む移動実績を表す情報が格納されるテーブルである。
【0066】
通信プログラム29は、インターフェース装置13を介して制御装置4との間でコマンドや情報をやり取りする機能を有するプログラムである。例えば、通信プログラム29は、制御装置4からの要求に応じて(又は要求無しに)、テーブル23~25、27及び28のうちの少なくとも一部の情報を制御装置4に送信する。なお、各搬送装置3の通信プログラム29は、これらの情報のそれぞれについて、定期的又は不定期のタイミングで制御装置4に送信してもよい。
【0067】
移動制御プログラム30は、制御装置4から通信プログラム29を通じて受信した移動指示に応じて搬送装置3の移動を制御するプログラムである。例えば、移動制御プログラム30は、制御装置4からの移動指示に従い、指定された棚5を持ち上げて指定された移動経路を通ってピッキングステーション6まで移動するよう駆動装置11を制御したり、指定された移動経路を通ってその棚5を元の位置(又は別の位置)に戻すよう駆動装置11を制御したりする。
【0068】
計測プログラム31は、各センサ14の出力(計測結果)を計測テーブル27に登録する。位置推定プログラム32は、搬送装置3のセンサ14を通じて検出されたマーカ(各エリア200の区画201におけるマーカ)を基に搬送装置3の位置を推定する。
【0069】
制御装置4は、プロセッサ40、メモリ41、記憶装置42、入力装置43、出力装置44及びインターフェース装置45といったハードウェアを有する一つ以上の物理計算機でもよいし、一つ以上の物理計算機(例えば、クラウド基盤)に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。また、制御装置4が有する各装置については、1つの物理計算機に配置されてもよいし、分散するように複数の物理計算機に配置されてもよい。記憶装置42が有する各プログラムや各情報については、1つの記憶装置に格納されてもよいし、分散するように複数の記憶装置に分けて記憶されてもよい。入力装置43及び出力装置44に代えて、インターフェース装置45を通じて通信可能なクライアントシステムを介して情報の入出力が可能でよい。
【0070】
プロセッサ40は、制御装置4全体の動作制御を司るデバイスである。メモリ41は、プロセッサ40のワークメモリとして利用される。記憶装置42には、プログラムやテーブルが格納される。入力装置43は、例えばマウスやキーボードなどから構成され、オペレータが必要な情報や指示を制御装置4に入力するために利用される。出力装置44は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置でよい。インターフェース装置45は、所定の無線通信方式により搬送装置3、垂直搬送機202、及びピッキング端末710と通信を行うための装置であり、例えば無線LANカードなどから構成されてよい。
【0071】
記憶装置42には、例えば、装置搬送テーブル53、在庫テーブル54、オーダテーブル55、地図テーブル56、棚テーブル57、ピッキングテーブル58、搬送モード管理テーブル59、床テーブル60及び垂直搬送テーブル61が格納される。地図テーブル56は、エリア200A~200Cの各々の地図を表す情報(例えば、エリア200A~200Cの各々について、区画毎の位置(座標)及び属性(例えば、棚保管区画、ピッキングステーション6、バッテリステーション、垂直搬送機202、バッファ区画のいずれに該当するか)を表す情報)が格納されたテーブルである(このテーブル56が各搬送装置3に配信され各搬送装置3において地図テーブル25として保存されてよい)。なお、地図テーブル56は、図2に例示されるような情報を含んでよい。
【0072】
記憶装置42には、格納プログラム50及び処理プログラム51が格納されている。格納プログラム50及び処理プログラム51がプロセッサ40により実行されることで、格納部及び処理部が実現される。格納プログラム50が、これらのテーブル53~61を、記憶装置42に格納する。
【0073】
垂直搬送機202は、インターフェース装置711、記憶装置713、駆動装置714、センサ715及びそれらに接続されたプロセッサ712を有する。
【0074】
インターフェース装置711は、所定の無線通信方式により制御装置4と通信を行うための装置であり、例えば無線LANカードなどから構成されてよい。駆動装置714は、垂直搬送機202の昇降や待機のために駆動する装置である。センサ715は、垂直搬送機202の位置等を検出するセンサでよい。
【0075】
記憶装置713には、垂直搬送テーブル760が格納される。垂直搬送テーブル760は、制御装置4が有する垂直搬送テーブル61の少なくとも一部と同じ情報を含んだテーブルでよい。プロセッサ712は、記憶装置713内のプログラムを実行することで、例えば垂直搬送テーブル760を基に、垂直搬送機202全体の動作制御を司る。
【0076】
ピッキング端末710は、ピッキングステーション6におけるピッキング作業を管理するための情報処理端末である。ピッキング端末710が、インターフェース装置731、記憶装置732及びそれらに接続されたプロセッサ733を有する。
【0077】
インターフェース装置731は、所定の無線通信方式により制御装置4と通信を行うための装置であり、例えば無線LANカードなどから構成されてよい。記憶装置732には、ピッキングテーブル770が格納される。ピッキングテーブル770は、制御装置4が有するピッキングテーブル58の少なくとも一部と同じ情報を含んだテーブル(例えば、処理対象のオーダを特定するための情報や、作業予定時間や、実際の進捗状況を表すテーブル)でよい。プロセッサ733は、記憶装置732内のプログラムを実行することで、例えばピッキングテーブル770を基に、ピッキング端末710全体の動作制御を司る。
【0078】
ピッキング端末710は、入力装置及び出力装置を備えていてもよい。入力装置は、ピッキング作業の完了等、作業者によるピッキング作業に関する情報の入力を受け付けてよい。出力装置は、作業者へのピッキング作業に関する指示等を出力してよい。
【0079】
図8は、オーダテーブル55の構成例を示す図である。
【0080】
オーダテーブル55は、顧客からのオーダに関する各種情報が格納されるテーブルである。オーダテーブル55は、オーダ毎にレコードを有する。各レコードが、処理ID601、伝票番号602、店名603、店コード604、商品名605、商品ID606、個数607、納期608、受信日時609及び作業日時610といった情報を保持する。一つのオーダを例に取る(図8の説明において「注目オーダ」)。図8が示す例によれば、伝票番号602が同じでも、商品の種類(例えば、商品名605及び商品ID606)が違う場合は、別のオーダとして扱われる。一つのオーダが二つ以上のオーダに分けて管理されてもよいし、二つ以上のオーダが一つのオーダとして管理されてもよい。
【0081】
処理ID601は、注目オーダのIDを表す。伝票番号602は、いわゆる伝票の番号を表す。
【0082】
店名603は、注目オーダで指定された商品の出荷先の店の名前を表し、店コード604は、当該店のコードを表す。
【0083】
商品名605は、注目オーダで指定されている商品の名前を表し、商品ID606は、当該商品のIDを表し、個数607は、当該商品の数を表す。
【0084】
納期608は、注目オーダで指定されている商品が注文先(典型的には顧客)へ届けられる期限を表す。なお、処理プログラム51が、納期608から逆算して実際にピッキングステーションでピッキングがされる期限を算出してよい。処理プログラム51は、当該算出された期限を基に、搬送装置3に移動指示を送信するタイミングを決定してもよいし、ピッキングステーションに搬送装置3が到達すべき日時を移動指示に指定してもよい。
【0085】
受信日時609は、注目オーダを受信した日時を表す。作業日時610は、注目オーダで指定されている商品が置かれている棚5をピッキングステーション6へ搬送する作業が行われる日時を表す。
【0086】
図9は、在庫テーブル54の構成例を示す図である。
【0087】
在庫テーブル54は、商品に関する情報が格納されるテーブルである。在庫テーブル54は、商品毎にレコードを有する。各レコードが、商品名701、商品ID702、在庫数703、棚ID704、商品位置705及びピッキング回数706といった情報を保持する。一つの商品を例に取る(図9の説明において「注目商品」)。なお、同一の商品が異なる棚に格納されている場合、同一の商品について複数のレコードが存在する。同様に、同一の商品が同一の棚における異なる商品位置に格納されている場合も、同一の商品について複数のレコードが存在する。
【0088】
商品名701は、注目商品の名前を表す。商品ID702は、注目商品のIDを表す。在庫数703は、注目商品の在庫数を表す。棚ID704は、注目商品が配置されている棚5のIDを表す。商品位置705は、当該棚5における注目商品の位置を表す。例えば“U3R2”は、「上(U)から3番目、右(R)から2番目」を意味する。
【0089】
ピッキング回数706は、注目商品がピッキングされた回数を表す。ピッキング回数706は、棚単位でカウントされてもよいし、ピッキングされた商品数であってもよい。ピッキング回数706は、棚5の配置入れ替えや、棚5内の商品入れ替え等に利用されてよい。また、ピッキング回数706は、一定時間毎にリセット又は更新されてもよく、例えば所定期間におけるピッキング回数としてもよく、故に、「ピッキング頻度」と呼ばれてもよい。
【0090】
図10は、棚テーブル57の構成例を示す図である。
【0091】
棚テーブル57は、棚5に関する情報が格納されるテーブルである。棚テーブル57は、棚5毎にレコードを有する。各レコードが、棚ID801、保管位置802、棚重量803(単位は例えば[Kg])、商品重量804(単位は例えば[Kg])及び搬送回数805を保持する。一つの棚5を例に取る(図10の説明において「注目棚5」)。
【0092】
棚ID801は、注目棚5のIDを表す。保管位置802は、注目棚5が配置されている区画及びエリア高さを表す。具体的には、保管位置802は、“(列番号,行番号,段番号)”で表現される。例えば、(3,3,1)は、1段目エリア200Aにおける区画(3,3)を意味する。注目棚5が、バッファ区画に存在する場合、保管位置802は、当該バッファ区画の位置を表す。注目棚5が搬送されている最中であれば、保管位置802は、注目棚5の状態“搬送中”を表してよい。注目棚5がピッキングされている最中であれば、保管位置802は、注目棚5の状態“ピッキング中”を表してよい。
【0093】
棚重量803は、注目棚5の重量を表す。商品重量804は、注目棚5に配置されている全商品の総重量を表す。商品重量804は、例えば、注目棚5の棚ID704に対応した商品の在庫数703と商品単体の重量とを基に処理プログラム51により算出されてよい。
【0094】
搬送回数805は、注目棚5の搬送タスクの実行回数を表す情報である。注目棚5の搬送タスクが実行される都度に、例えば格納プログラム50により、注目棚5に対応した搬送回数805が更新される。例えば、棚ID“S634”の棚5は、搬送回数805が少ないため、搬送コストの高い区画に保管される。目的区画に関わらず注目棚5が搬送される都度に搬送回数805がインクリメントされてもよいし、目的区画によっては注目棚5の搬送がされても搬送回数805がインクリメントされないでもよい。例えば、目的区画としてピッキングステーション6への搬送タスクが実行される都度に、注目棚5に対応した搬送回数805が更新されてもよい。なお、「搬送回数」は、一定時間毎にリセット又は更新されてもよく、例えば所定期間における搬送回数としてもよく、故に、「搬送頻度」と呼ばれてもよい。
【0095】
図11は、装置搬送テーブル53の構成例を示す図である。
【0096】
装置搬送テーブル53は、各搬送装置3から取得した情報が格納されたテーブルである。装置搬送テーブル53は、搬送装置3毎にレコードを有する。各レコードが、装置ID1101、棚フラグ1102、位置1103、バッテリ残量1104、装置状態1105、棚ID1106、目的位置1107及び到着予定日時1108といった情報を保持する。一つの搬送装置3を例に取る(図11の説明において「注目搬送装置3」)。
【0097】
装置ID1101は、注目搬送装置3のIDを表す。棚フラグ1102は、注目搬送装置3が棚を積載しているか否かを表す。位置1103は、注目搬送装置3が位置する区画(つまり現在区画)の座標を表す。バッテリ残量1104は、注目搬送装置3のバッテリの残量を表す。
【0098】
装置状態1105は、注目搬送装置3の状態を表す。“移動中”は、注目搬送装置3が移動していることを意味する。“空き”は、注目搬送装置3に棚ID(具体的には、棚IDを含んだ搬送タスク)が割り当てられていないことを意味する。棚ID1106は、注目搬送装置3に割り当てられている搬送タスクに含まれる棚ID(つまり、搬送タスクで指定された搬送対象の棚5のID)を表す。目的位置1107は、注目搬送装置3が搬送する棚5の搬送先の位置を表し、搬送先の番地(座標)等の位置情報、又は搬送先の位置を特定可能な搬送先のID等、搬送先の区画を識別する情報(ID)であってもよい。例えば、搬送装置3の搬送先として、ピッキングステーション6のID(ピッキングステーション6に対応した位置(座標)でもよい)、棚5の保管位置、垂直搬送機202(又はバッファ区画)のID(又は座標)であってもよい。
【0099】
到着予定日時1108は、注目搬送装置3が搬送先(例えばピッキングステーション6)に到着する予定日時である。到着予定日時1108は、例えば、注目搬送装置3の搬送先への移動経路を基に処理プログラム51により算出された日時でよい。
【0100】
制御装置4の処理プログラム51は、装置搬送テーブル53を参照して、装置状態1105が「空き」の搬送装置3に、搬送タスクを割り当てる。ただし、例えば現時点で装置状態1105が「移動中」の搬送装置3であっても、到着予定日時1108が近く、その目的位置1107が次の搬送タスクの移動先となる位置に近い場合、当該次の搬送タスクの搬送を他の搬送装置3より早く実行できるときがある。その場合、処理プログラム51は、装置搬送テーブル53を参照して、当該「移動中」の搬送装置3に、次の搬送タスクとして割り当ててもよい(予約又は管理してもよい)。
【0101】
図11が例示するテーブル53によれば、例えば、下記のことがわかる。
・棚フラグ1102“有り”及び装置状態1105“移動中”の搬送装置3は、棚ID1106が表す棚5を、目的位置1107(例えばピッキングステーション6)に搬送中である。
・棚フラグ1102“無し”及び装置状態1105“移動中”の搬送装置3は、棚ID1106が表す棚5を取得する(例えば積載する)ために移動中である。当該棚5を取った後、棚フラグ1102が“有り”に更新され、当該搬送装置3は、目的位置1107(例えばピッキングステーション6)に当該棚5を搬送する。
【0102】
図12は、床テーブル60の構成例を示す図である。
【0103】
床テーブル60は、各エリア200における区画毎の情報を保持する。床テーブル60は、区画毎にレコードを有する。各レコードが、番地1201、区画設定1202、搬送モード1203、使用不可フラグ1204、旋回可否フラグ1205、方向(棚なし)1206及び方向(棚あり)1207といった情報を保持する。一つの区画を例に取る(図12の説明において「注目区画」)。
【0104】
番地1201は、注目区画の番地(位置情報)を表す。区画設定1202は、注目区画がどのような区画として設定されているかを表す。例えば、“棚保管区画”は、棚5が保管(配置)される区画である。“移動用区画”とは、棚5の搬送のために搬送装置3が走行する区画である。搬送経路を構成する区画は、主に移動用区画でよい。“垂直搬送機A”は、第一垂直搬送機202Aが属する区画である。“垂直搬送機B”は、第二垂直搬送機202Bが属する区画である。“垂直搬送機C”は、第三垂直搬送機が属する区画である。“垂直搬送機D”は、第四垂直搬送機が属する区画である。
【0105】
搬送モード1203は、垂直搬送機に適用されている搬送モードを表す。「搬送モード」は、一つ又は複数のエリアペアで定義される。エリアペアは、搬送元エリアと搬送先エリアとのペアである。ここでは、エリアペアは、エリア番号のペアで表現される。n段目エリアの番号は“n”である。このため、“1→2”は、1段目エリア200Aから2段目エリア200Bへの搬送を意味する。搬送モード1203は、搬送モード管理テーブル59を基に、現在の時間帯とその時間帯に垂直搬送機に適用されている搬送モードに応じて更新される。
【0106】
使用不可フラグ1204は、注目区画が使用不可(搬送経路の構成要素になり得ない)か否かを表すフラグである。
【0107】
旋回可否フラグ1205は、注目区画が搬送装置3の旋回が可能であるか否かを表す。方向(棚なし)1206は、注目区画に存在し棚5を有しない状態の搬送装置3が移動可能な方向を表す。方向(棚あり)1207は、注目区画に存在し棚5を有する状態の搬送装置3が移動可能な方向を表す。
【0108】
図13は、垂直搬送テーブル61の構成例を示す図である。
【0109】
垂直搬送テーブル61は、垂直搬送機202による搬送に関する情報が格納されたテーブルである。垂直搬送テーブル61は、垂直搬送毎にレコードを有する。各レコードが、垂直ID1301、搬送モード1302、棚ID1303、垂直搬送状況1304、待機開始日時1305、搬送開始日時1306及びバッファリング開始日時1307といった情報を保持する。一回の垂直搬送を例に取る(図13の説明において「注目垂直搬送」)。なお、「垂直搬送」とは、エリア間搬送の一例であり、例えば2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへの搬送や、1段目エリア200Aから2段目エリア200Bへの搬送等である。複数のエリア200が三つ以上のエリアの場合、搬送元のエリアから搬送先のエリアへの搬送がエリア間搬送の一例でよい。搬送元のエリアと搬送先のエリアの間には0以上のエリアが存在する。
【0110】
垂直ID1301は、注目垂直搬送を行う垂直搬送機202のIDを表す。なお、垂直ID1301が無くてもよく、垂直搬送テーブル61は、垂直搬送機202毎に存在してもよい。
【0111】
搬送モード1302は、注目垂直搬送の搬送モードを表す。棚5を有しない状態で垂直搬送機202がエリア間を移動することに対応したレコードは、本テーブル61に存在しないでよい。
【0112】
棚ID1303は、注目垂直搬送により搬送される棚5のIDを表す。垂直搬送状況1304は、注目垂直搬送の状況を表す。“完了”は、注目垂直搬送が完了しており、垂直搬送機202による棚5の搬送が完了していることを意味する。“昇降中”は、注目垂直搬送が実行中であり、垂直搬送機202によって棚5が搬送されていることを意味する。“待機中”は、注目垂直搬送が行われる前であり、垂直搬送機202の前の待機位置(バッファ区画)にて棚5が垂直搬送されることを待っていることを意味する。
【0113】
待機開始日時1305は、注目垂直搬送の対象とされた棚5が、垂直搬送元のエリアにおけるバッファ区画に配置された日時であり、当該バッファ区画で、目的位置への搬送を待機開始した日時を表す。
【0114】
搬送開始日時1306は、注目垂直搬送を開始した日時を表す。例えば、搬送開始日時1306は、搬送元のエリア200のバッファ区画から垂直搬送機202に、搬送設備が棚5の搬送を開始した日時である。例えば、搬送開始日時1306は、垂直搬送機202が、棚5の搬送を開始した日時であってもよい。
【0115】
バッファリング開始日時1307は、注目垂直搬送の対象とされた棚5が、垂直搬送先のエリアにおけるバッファ区画に配置された日時であり、注目垂直搬送が完了した日時を表す。具体的には、例えば、垂直搬送機202により1段目エリア200Aに到達した棚5は、搬送設備により搬送される(例えば、図示しない架台コンベアに載置され、当該架台コンベアによりバッファ区画へ搬送される)が、バッファリング開始日時1307は、当該搬送設備により棚5がバッファ区画へ搬送された日時である。例えば、バッファリング開始日時1307は、垂直搬送機202が、棚5の搬送を完了した日時であってもよい。
【0116】
例えば、バッファ区画から目的位置(例えばピッキングステーション6)に棚5を搬送させる場合、制御装置4は、装置搬送テーブル53を参照して、当該バッファ区画と同じエリアにおり、近くにいる「空き」の装置状態1105の搬送装置3に搬送タスクを割り当て、移動指示を送信する。例えば、制御装置4は、垂直搬送テーブル61を参照して、バッファリング開始日時1307から、すぐに棚5を搬送できるように、搬送装置3をバッファ区画の周辺に事前に待機させたり、バッファ区画へ事前に移動開始するように、搬送装置3に移動指示を出したりしてもよい。また、バッファ区画に複数の棚5がある場合、制御装置4は、優先度が高い搬送タスクを優先的に搬送させるように制御(移動指示)することに加えて、バッファリング開始日時1307の早い順に搬送させるように移動指示してもよい。これにより、バッファ区画での滞留を防ぎ、効率的な搬送が可能となる。
【0117】
処理プログラム51は、垂直搬送テーブル61を参照し、注目垂直搬送の待機開始日時1305から搬送開始日時1306までの時間を、当該注目垂直搬送の待機時間として算出してもよい。処理プログラム51は、垂直搬送テーブル61に基づいて、各時間帯の各搬送モードについて棚5の待機時間の統計(例えば、累計、平均又は最大値)を算出してよい。
【0118】
処理プログラム51は、垂直搬送テーブル61を参照し、ある対象の日時が、作業開始日時から搬送開始日時までの間に該当する垂直搬送及び垂直搬送の対象の棚は、当該対象の日時において待機中であることを特定できる。図13の例によれば、ある日時「2020/06/22 11:04」において、棚IDがS020及びS026が垂直搬送の待機をしていたことがわかる。処理プログラム51は、垂直搬送テーブル61に基づいて、各時間帯の各搬送モードについて待機棚5の数(例えば、累計、平均又は最大値)を算出してよい。
【0119】
処理プログラム51は、垂直搬送テーブル61を参照し、注目垂直搬送のバッファリング開始日時1307から、注目垂直搬送の次の垂直搬送の搬送開始日時1306までの時間(移行時間)を、空き時間として算出してもよい。または、処理プログラム51は、当該移行時間から特定の時間を差し引いた時間を空き時間として算出してもよい。ここで、「特定の時間」は、注目垂直搬送で搬送先のエリアから、次の垂直搬送の搬送元のエリアに戻るための時間であり、実測値、移動するフロア数等に基づく推測値、又は標準時間等であってもよい。処理プログラム51は、垂直搬送テーブル61から、各時間帯の搬送モード(垂直搬送機202)の空き時間や、空き時間統計(例えば、累計、平均又は最大値)を算出してもよい。
【0120】
図14は、ピッキングテーブル58の構成例を示す図である。
【0121】
ピッキングテーブル58は、ピッキング作業に関するテーブルである。ピッキングテーブル58は、ピッキング作業毎にレコードを有する。各レコードが、ピッキングステーションID1401、処理ID1402、装置ID1403、棚ID1404、商品ID1405、数量1406、開始予定日時1407、終了予定日時1408及びピッキング状態1409といった情報を保持する。一回のピッキング作業を例に取る(図14の説明において「注目ピッキング作業」)。
【0122】
ピッキングステーションID1401は、注目ピッキング作業が行われるピッキングステーションのIDを表す。ピッキングステーションID1401は無くてもよく、ピッキングステーション6毎にピッキングテーブル58が設けられてもよい。
【0123】
処理ID1402は、注目ピッキング作業に対応したオーダの処理IDである。装置ID1403は、注目ピッキング作業においてピッキングされる商品を有する棚5を、ピッキングステーション6に搬送する搬送装置3のIDである。
【0124】
棚ID1404は、注目ピッキング作業においてピッキングされる商品を有する棚5のIDを表し、商品ID1405は、当該商品のIDを表し、数量1406は、ピッキングされる商品の数を表す。なお、開始予定日時1407の昇順でレコードが並んでいるテーブル58によれば、同じ棚ID1404が連続している場合、1個の棚5から異なる処理IDに対応した異なる商品を、連続してピッキング可能である。
【0125】
開始予定日時1407は、注目ピッキング作業の開始予定日時を表す。終了予定日時1408は、注目ピッキング作業の終了予定日時を表す。開始予定日時1407は、移動経路に沿って搬送装置3がピッキングステーション6に到着する予定日時や、注目ピッキング作業より前に行われるピッキング作業に要する予測時間長を基に、処理プログラム51により算出されてよい。終了予定日時1408は、開始予定日時1407と、ピッキング作業に要する予測時間長とを基に処理プログラム51により算出されてよい。ピッキング作業に要する予測時間長は、ピッキング作業対象の商品の数量、ピッキング作業の平均的な所用時間、及び、ピッキング作業の作業者の過去のピッキング作業履歴、のうちの少なくとも一つを基に、処理プログラム51により算出されてよい。なお、ピッキング作業は、作業者に代えて又は加えてロボットにより行われてもよい。
【0126】
ピッキング状態1409は、注目ピッキング作業の状態を表す。“作業前”は、棚5をもった搬送装置3がピッキングステーション6に到着しピッキング作業が開始される前であることを意味する。“作業中”は、ピッキング作業が開始されたがピッキング作業が完了していないことを意味する。“完了”は、ピッキング作業が完了したことを意味する。なお、ピッキング状態1409の変更は、ピッキング作業の作業者からの入力を基に行われてもよいし、ピッキング作業に関して自動検出された値を基に自動で行われてもよい。例えば、注目ピッキング作業の完了後の棚5を、待機していた搬送装置3が搬送した場合、注目ピッキング作業の次のピッキング作業に対応したピッキング状態1409が、“作業前”から“作業中”に変更されてもよい。
【0127】
図15A及び図15Bは、搬送モード管理テーブル59の構成例を示す図である。
【0128】
搬送モード管理テーブル59は、搬送モードに関するテーブルである。搬送モード管理テーブル59の各レコードが、垂直ID1501、搬送方向1502、搬送モード1503及び時間帯1504といった情報を保持する。
【0129】
垂直ID1501は、垂直搬送機202のIDを表す。なお、垂直ID1501が無くてもよく、搬送モード管理テーブル59は、垂直搬送機202毎に存在してもよい。
【0130】
搬送方向1502は、垂直搬送機202の搬送方向を表す。搬送モード1503は、垂直搬送機202の搬送モードを表す。時間帯1504は、垂直搬送機202の搬送モードが適用される時間帯を表す。
【0131】
図15A及び図15Bが示す例によれば、複数のエリアペアの搬送元エリアが異なっていれば、それら複数のエリアペアは異なる搬送モードに分類される。また、例えば一つの搬送モードとして定義される一つ以上のエリアペアは、それぞれ同じ搬送方向を表すエリアペアであってもよい。つまり、一つの搬送モードには、搬送方向が異なるエリアペアが混在することはないとしてもよい。
【0132】
図15Aが示す例によれば、複数のエリアペアの搬送元エリアが同じであれば、それら複数のエリアペアは一つの搬送モードに集約される。しかし、図15Bが示す例の通り、複数のエリアペアの搬送元エリアが同じであっても、必ずしも一つの搬送モードに集約されなくてもよい。つまり、図15Bが示す例の通り、複数のエリアペアの搬送元エリアが同じであるか否かに関わらず、一つの搬送モードは一つのエリアペアで定義されてよい。
【0133】
また、本実施の形態の他の例として、一つの搬送モードとして定義される一つ以上のエリアペアは、異なる搬送方向を表すが搬送元エリアが共通の複数のエリアペアが含まれていてもよい。例えば、図15Aの一つの搬送モードとして、「2→1」及び「2→3」が含まれていてもよい。この例は、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへの搬送(下り方向)と、2段目エリア200Bから3段目エリア200Cへの搬送(上り方向)が、同じ搬送モードである。
【0134】
搬送モードは、搬送元のエリアが異なるエリアペアは、同じ搬送モードとせず、異なる搬送モードとする。また、搬送元のエリアが同じエリアペアは、図15Aの例のように、複数のエリアペアを一つの搬送モードに一部又は全部集約してもよいし、図15Bの例のように集約しなくてもよい。
【0135】
上述のように、搬送モードについて、搬送元のエリアが異なるエリアペアは、異なる搬送モードとする。そのため、同じエリア間搬送機(例えば垂直搬送機202)において、同じ搬送モードの時間帯における搬送元のエリアは、同じエリアとなり、当該エリアは搬送先のエリアとならない。これにより、エリア間搬送機に次の搬送物を入れるために、エリア間搬送機から搬送物が出るのを待機する必要がなくなる。したがって、当該次の搬送物の搬送タスクについて待機時間を低減できる。また、例えば、搬送元のエリアがそれぞれ異なるエリアである複数の搬送タスクが同じエリア間搬送機を使用することがないため、待機時間を低減できる。したがって、異なるエリア間での搬送物の搬送効率を向上できる。
【0136】
以下、本実施の形態で行われる処理の例を説明する。なお、本実施の形態では、テーブル53~61は、格納プログラム50により記憶装置42に格納される。各搬送装置3、各垂直搬送機202、各ピッキング端末710から制御装置4が定期的又は不定期的に受信する情報(例えば、センサの計測値を含んだ情報)を基に、格納プログラム50により、テーブル53~61のうちの該当部分が適宜に更新される。
【0137】
図16は、作業日時決定処理の流れを示すフローチャートである。作業日時決定処理は、繰り返し(例えば定期的に)行われる。
【0138】
S1601で、処理プログラム51が、オーダテーブル55から、作業日時610が未決定の対象のレコードを選択する。ここで言う「対象のレコード」は、所定の条件を満たすレコード、例えば、納期608が表す日時が所定の期間に属するレコードである。
【0139】
S1602で、処理プログラム51が、対象のレコード毎に、対象のレコードの商品名605及び商品ID606を基に、商品を搭載する棚5と、当該棚5の位置とを特定する。具体的には、例えば、処理プログラム51が、在庫テーブル54及び棚テーブル57を基に、対象のレコードの商品名605及び商品ID606に一致する商品名701及び商品ID702に対応した棚ID704を在庫テーブル54から特定する。処理プログラム51が、特定した棚ID704に一致する棚ID801に対応した保管位置802を棚テーブル57から特定する。
【0140】
S1603で、処理プログラム51が、搬送モード管理テーブル59を基に、対象のレコード毎に、対象のレコードの作業日時610を決定する。具体的には、例えば、次の通りである。搬送モード管理テーブル59は、垂直搬送機202と、搬送モードと、時間帯との関係を表している。すなわち、垂直搬送機202毎に、適用される搬送モードが時間帯によって異なる。そこで、処理プログラム51は、対象のレコードに対応のオーダがエリア間搬送を必要とするオーダである場合、当該オーダの作業日時を、当該エリア間搬送の搬送モードに対応の時間帯に属する作業日時に決定する。
【0141】
図17は、搬送制御処理の流れを示すフローチャートである。搬送制御処理は、繰り返し(例えば定期的に)行われる。
【0142】
S1701で、処理プログラム51が、オーダテーブル55から、作業日時610が対象の作業日時を表すレコードを選択する。選択されたレコード(オーダ)について、S1702~S1704が行われる。また、処理プログラム51が、複数のオーダを一つのオーダにまとめ、そのようなまとめられたオーダに対してS1702~S1704が行われてもよい。一つのオーダにまとめられる複数のオーダは、同じ棚に含まれる商品のオーダであるといった所定種類の要素が共通するオーダでよい。ここでは、一つのオーダを例に取る(図17の説明において注目オーダ)。
【0143】
S1702で、処理プログラム51が、注目オーダを基に、ピッキング対象となる商品を搭載する棚5と、当該棚5の位置とを特定する。具体的には、例えば、次の処理が行われる。処理プログラム51が、オーダテーブル55、在庫テーブル54及び棚テーブル57を基に、注目オーダで指定されている商品名605及び商品ID606に一致する商品名701及び商品ID702に対応した棚ID704を在庫テーブル54から特定する。処理プログラム51が、特定した棚ID704に一致する棚ID801に対応した保管位置802を棚テーブル57から特定する。
【0144】
S1703で、処理プログラム51が、注目オーダについて、地図テーブル56、装置搬送テーブル53、棚テーブル57、垂直搬送テーブル61及び床テーブル60を基に、S1702で特定された棚位置(棚5の保管位置802)にある棚5を搬送する搬送装置3を選択し、且つ、当該搬送装置3による搬送の移動経路を作成する。つまり、S1703では、注目オーダに従う搬送タスクの割当先の搬送装置3が決定される。搬送タスクは、搬送対象の棚5を、作成された移動経路に従い搬送するタスクでよい。S1703では、具体的には、例えば、処理プログラム51は、下記のうちの少なくとも一つを行ってよい。
・処理プログラム51は、所定の条件に該当する一つ以上の搬送装置3から一つの搬送装置3を選択する。ここで言う「所定の条件」は、例えば装置状態1105が「空き」であることでよい。搬送装置3の選択は、各搬送装置3の装置状態1105、棚フラグ1102、位置1103、及び、搬送対象の棚5の保管位置802(保管位置802と目的区画の位置との距離)に基づき行われてよい。例えば、処理プログラム51は、装置搬送テーブル53を参照して、搬送対象の棚5の保管位置802と同じエリアにいる、装置状態1105が「空き」である搬送装置3のうち、保管位置802に一番近い位置1103にいる搬送装置3を選択してもよい。
・処理プログラム51は、選択された搬送装置3の位置1103と、搬送対象の棚5の保管位置802と、目的区画の位置(典型的にはピッキングステーション6又は垂直搬送機202の位置)とを結ぶ複数通りの経路の各々の経路について、当該経路における区画毎のレコード(例えば、使用不可フラグ1204、旋回可否フラグ1205、方向(棚なし)1206及び方向(棚あり)1207)を基に、移動経路(移動方向を含む)を作成する。移動経路は、例えば、選択された搬送装置3の位置1103から搬送対象の棚5の保管位置802への経路、搬送対象の棚5の保管位置802から目的区画の位置への経路であってよい。
・エリア間搬送機(例えば垂直搬送機202)により、エリア間(例えば1段目エリア200Aと2段目エリア200B)で搬送物を搬送する場合、搬送対象の搬送物の位置(例えば棚5の保管位置802)、各エリア間搬送機の搬送方向(例えば搬送モード1203)、各エリア間搬送機の搬送状況(例えば垂直搬送テーブル61の「垂直搬送」のタスク状況)、各エリア間搬送機の位置や使用不可フラグ1204等に基づいて、当該搬送を行うエリア間搬送機(例えば垂直搬送機202)を決定してよい。
・処理プログラム51は、ピッキングテーブル58を参照してよい。例えば、処理プログラム51は、相対的に空いているピッキングステーション6(例えば、ピッキングテーブル58において対応するレコードの数が相対的に少ないピッキングステーション6)を特定し、目的区画として、当該空いているピッキングステーション6を決定してよい。
【0145】
S1704で、処理プログラム51は、S1703で選択された搬送装置3に、当該搬送装置3に割り当てられた搬送タスク(注目オーダに従う搬送タスク)が関連付けられた移動指示を送信する。
【0146】
なお、搬送元エリア200にある棚5を、搬送元エリアと異なる搬送先エリア200のピッキングステーション6に搬送する場合(棚5のエリア間での搬送が生じる場合)、処理プログラム51は、S1703で、例えば、移動経路として、搬送元エリア200の搬送装置3の位置1103から搬送対象の棚5の保管位置802への経路、搬送対象の棚5の保管位置802から垂直搬送機202の位置(又は搬送元エリア200のバッファ区画)への経路、垂直搬送機202での搬送経路、垂直搬送機202の位置(又は搬送先エリア200のバッファ区画)からピッキングステーション6への経路を作成してもよい。そして、S1704で、処理プログラム51は、搬送元エリア200の搬送装置3、垂直搬送機202、各搬送設備、搬送先エリア200の搬送装置3に、それぞれの移動経路についての移動指示を送信する。
【0147】
この搬送制御処理では、各オーダについて、決定され割り当てられる搬送タスクは、当該オーダの納期608を守るタスクである。
【0148】
図18は、モード割合更新処理の流れを示すフローチャートである。モード割合更新処理は、時間帯での搬送モード割合を更新する処理である。この処理は、繰り返し(例えば定期的に)行われてもよいし、垂直搬送テーブル61から垂直搬送機202についての渋滞(例えば、待機開始日時1305が表す日時からの経過時間が一定時間を超えている)が検出された場合に行われてもよい。
【0149】
S1801で、処理プログラム51は、各垂直搬送機202について、垂直搬送テーブル61(例えば、待機開始日時1305、搬送開始日時1306及びバッファリング開始日時1307のカラムを含んだカラム)から、各時間帯での利用状況を特定する。
【0150】
S1802で、処理プログラム51は、各時間帯について、空き垂直搬送機202又は混雑垂直搬送機202があるか否かを判定する。「空き垂直搬送機」は、空いている(暇な)垂直搬送機202である。「混雑垂直搬送機」は、混んでいる(忙しい)垂直搬送機202である。「空いている」や「混んでいる」は、一つ又は複数の観点から定められてよい。空き垂直搬送機202又は混雑垂直搬送機202が一つでも存在する時間帯があれば、S1802の判定結果が真(YES)である。空き垂直搬送機202又は混雑垂直搬送機202がなければ、S1802の判定結果が偽(NO)として、モード割合更新処理を終了する。
【0151】
S1802の判定結果が真の場合、S1803で、処理プログラム51は、S1801で特定された利用状況に基づき、空き垂直搬送機202又は混雑垂直搬送機202がなるべく無くなるよう、空き垂直搬送機202又は混雑垂直搬送機202が生じる時間帯を含む一つ以上の時間帯の各々について、各搬送モードの割合を決定する。具体的には、例えば、各時間帯について、当該時間帯に適用される一つ以上の搬送モードと、当該一つ以上の搬送モードの各々の割合(例えば、当該搬送モードが適用される垂直搬送機202の数)とを決定する。例えば、一つの時間帯について、第一の搬送モードで空いている状況の垂直搬送機202が複数台あり、第二の搬送モードで混んでいる状況の垂直搬送機202がある場合、処理プログラム51は、第一の搬送モードが適用される垂直搬送機202を減らし、第二の搬送モードが適用される垂直搬送機202を増やしてよい。
【0152】
S1804で、処理プログラム51は、S1803の決定の結果を表すよう搬送モード管理テーブル59を更新する。また、処理プログラム51は、各垂直搬送機202に、設定指示を送信する。各垂直搬送機202について、設定指示は、更新後の搬送モード管理テーブル59が表す設定(当該垂直搬送機202についての搬送モードと時間帯との関係の設定)である。当該設定指示に応答して、当該設定指示で指定された関係(搬送モードと時間帯との関係)が、垂直搬送機202の記憶装置713に設定される。垂直搬送機202は、当該垂直搬送機202に設定されている関係に従う、すなわち、垂直搬送(エリア間搬送)を、当該垂直搬送が属する搬送モードに対応の時間帯に行い、当該時間帯以外の時間帯に当該垂直搬送を行わない。
【0153】
S1804で、処理プログラム51は、必要に応じて、一部のエリア200の搬送装置3の数を制御してよい。この処理が行われる場合、垂直搬送機202は、棚5に加えて搬送装置3の垂直搬送(エリア間搬送)も可能なエリア間搬送機でよい。
【0154】
図18が示す処理によれば、各時間帯での利用状況に基づいて、少なくとも一つの時間帯での搬送モードの割合が決定される。搬送モードの割合は、利用状況に代えて又は加えて、各時間帯におけるタスク状況を基に決定されてもよい。「タスク状況」とは、各エリアペアについて、当該エリアペアに従うエリア間搬送を必要とする搬送タスクの数に基づく状況である。
【0155】
タスク状況に基づいて搬送モードの割合を決定する例を、図19を参照して説明する。
【0156】
図19は、モード割合更新処理の変形例の流れを示すフローチャートである。
【0157】
S1901で、処理プログラム51は、オーダテーブル55から、作業日時610が対象期間に属するレコードを選択する。
【0158】
S1902で、処理プログラム51は、S1901で選択されたレコード毎に、当該レコードの商品名605及び商品ID606を基に、商品を搭載する棚5と、当該棚5の位置とを特定する。なお、棚5及び棚5の位置の特定方法は、S1602やS1702で説明した方法と同様の方法で行われてよい。
【0159】
S1903で、処理プログラム51は、各時間帯について、タスク状況を調整する。
【0160】
S1904で、処理プログラム51は、S1903の調整後のタスク状況に応じて、各時間帯における搬送モードの割合を決定する。
【0161】
S1905で、処理プログラム51は、S1904の決定の結果を表すよう搬送モード管理テーブル59を更新し、各垂直搬送機202に、更新後の搬送モード管理テーブル59に基づく設定指示を送信する。また、S1905で、処理プログラム51は、必要に応じて、一部のエリア200の搬送装置3の数を制御してよい。なお、本処理は、S1804で説明した方法と同様の方法で行われてよい。
【0162】
以上、幾つかの実施の形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【0163】
また、例えば、区画の形状は、方形に限られず、他の形状でもよい。また、異なる大きさ又は形状の区画が混在してもよい。また、区画の位置は、当該区画上の二次元バーコードから特定されることに代えて、他種の方法により特定されてもよい。
【0164】
また、例えば、格納プログラム50及び処理プログラム51は、制御装置4に代えて又は加えて搬送装置3で実行されてもよい。また、搬送装置3が制御装置4を兼ねてもよい。
【0165】
また、例えば、本実施の形態では、エリア間搬送機として垂直搬送機202を使用する例を示したが、垂直搬送機202は、垂直方向に棚5を搬送可能なフォークリフト等の他のエリア間搬送機によって代替可能である。また、この場合、制御装置4によって、フォークリフトが棚5の垂直搬送を行う位置を決定してもよい。
【0166】
フォークリフトによって1段目エリア200A以外のエリアから1段目エリア200Aに搬送された搬送物は、搬送装置3へと直接移載されてもよい。
【0167】
また、本発明は、ネット通販会社等の企業が商品を保管するために利用する保管庫以外の工場や作業場などにおいて物品を搬送するための搬送システムにも適用することができる。具体的には、搬送装置3の搬送物が、トレーやボックス、パレット又は物品などの棚5以外の物であってもよい。この場合、トレー、ボックス及びパレットについては、物品を収納していてもよいし、物品を収納していなくてもよい(例えば、トレー、ボックス及びパレット自体が搬送物の場合)。なお、この場合には、「棚」を「搬送物」と置き換えればよいだけであるため、詳細な説明は省略する。また、かかる搬送物に対する作業がピッキング作業以外の加工、組み立て、梱包又は検品などの作業であってもよい。この場合には、「ピッキング」や「ピッキング作業」を「作業」と置き換えればよいだけであるため、詳細な説明は省略する。
【0168】
なお、以上の説明を、例えば下記のように総括することができる。下記の総括は、上述の説明の補足説明や上述の実施の形態の変形例の説明を含んでもよい。
【0169】
制御装置4は、複数の垂直搬送機202(複数のエリア間搬送機の一例)と通信するインターフェース装置45と、搬送物の搬送に関する管理情報を記憶した記憶装置42と、インターフェース装置45及び記憶装置42に接続されているプロセッサ40とを備える。管理情報は、搬送モード管理テーブル59を含む複数のテーブル53~61の少なくとも一部を含んだ情報でよい。
【0170】
複数の垂直搬送機202の各々は、複数のエリア(例えば三つ以上のエリア)200のうちの一のエリア200において搬送タスクに従い棚5(搬送物の一例)の搬送のために走行する搬送装置3により搬送された棚5の垂直搬送(エリア間搬送の一例)を行う装置である(複数のエリア200は、異なる高さに存在するため、エリア200は「フロア」と呼ばれてもよい)。
【0171】
プロセッサ40は、管理情報を参照し、複数の時間帯の各々について搬送モードと垂直搬送機202との一つ以上の組を決定し、決定された組に従い、各垂直搬送機202に、搬送モードと時間帯との組を指定する。個々の垂直搬送機202について、「複数の時間帯」は、重複の無い複数の時間帯でよい(例えば、“9時~10時”の時間帯がある場合、別の時間帯は、“9時~10時”の少なくとも一部を含まない時間帯とされてよい)。また、垂直搬送機202間で、時間帯が必ずしも同じでなくてもよい、言い換えれば、垂直搬送機202別に複数の時間帯が独立して存在してよい。例えば、或る垂直搬送機202については“9時~10時”の時間帯があり、別の垂直搬送機202については“9時~11時”の時間帯のように或る垂直搬送機202の時間帯を完全に含んだ時間帯や、“8時~10時”の時間帯のように或る垂直搬送機202の時間帯の一部と重複する時間帯があってよい。「複数の時間帯」は、全ての垂直搬送機202に共通でもよい。また、時間帯は、予め定められていてもよいし、適宜手動又は自動で時間帯の長さが変更されてもよい。
【0172】
搬送モードは、一つ又は複数のエリアペアで定義される。エリアペアは、搬送元エリア200と搬送先エリア200とのペアである。搬送元エリアが異なる複数のエリアペアは、それぞれ異なる搬送モードに属する。
【0173】
各垂直搬送機202は、複数の時間帯の各々について、当該時間帯では、当該時間帯と組になっている搬送モードに従う垂直搬送を行う。各垂直搬送機202は、複数の時間帯の各々について、当該時間帯では、当該時間帯と組になっている搬送モード以外の搬送モードに従う垂直搬送を行わないでよい。
【0174】
このように、搬送元エリアが異なる複数のエリアペアは、それぞれ異なる搬送モードに属し、各垂直搬送機202に、時間帯毎に一つの搬送モードが割り当てられる。このため、垂直搬送機202に次の搬送物を入れるために垂直搬送機202から搬送物が出るのを待機する必要がなくなり、また、搬送元エリアが異なる搬送タスクが同じエリア間搬送機を使用することがないため、待機時間を低減できる。したがって、異なるエリア間での搬送物の搬送効率を向上できる。
【0175】
エリア間搬送の搬送方向と搬送元エリアが同じであるが搬送先エリアが異なる二つ以上のエリアペアで定義された搬送モードがあってよい。搬送方向及び搬送元エリアが同じ二つ以上のエリアペアが一つの搬送モードに集約されるため、搬送モードの数が減り、垂直搬送機202又は時間帯の数が少ない場合でも、効率的な搬送制御が期待できる。
【0176】
搬送元エリアが同じでも搬送先エリアが異なっている二つ以上のエリアペアがそれぞれ属する異なる二つ以上の搬送モードがあってよい。すなわち、搬送元エリアが同じであっても、搬送先エリアが異なっていれば、搬送方向が同じか否かに関わらず、一つのエリアペアで一つの搬送モードが定義されてよい。これにより、垂直搬送機202について、同一時間帯で、搬送先エリアが異なる複数の搬送タスクが競合するといったことを避け、同一のエリア間の垂直搬送を集中的に行うことで、搬送効率の向上が期待できる。
【0177】
プロセッサ40は、各時間帯での利用状況又はタスク状況に基づき、少なくとも一つの時間帯における搬送モードの割合を決定してよい。各時間帯について、「利用状況」は、前記複数の垂直搬送機202の各々の当該時間帯での履歴に基づく状況でよい。各時間帯について、「タスク状況」は、各エリアペアについて当該エリアペアに従う垂直搬送を必要とする搬送タスクの数に基づく状況でよい。これにより、空いている時間帯又は混んでいる時間帯がなるべく生じないようにすることが期待できる。
【0178】
プロセッサ40は、連続する二つ以上の時間帯の各々に同じ搬送モードが適用される場合、当該搬送モードを同一の垂直搬送機202に適用してよい。例えば、プロセッサ40は、搬送モードの割合の決定(例えばS1803又はS1904)において、連続する二つ以上の時間帯で搬送モードを変更しなくても各時間帯について所望の搬送モード割合とすることができるか否かを判定してよい。この判定の結果が真の場合、プロセッサ40は、連続する二つ以上の時間帯の各々に同じ搬送モードを同一の垂直搬送機202に適用してよい。これにより、当該垂直搬送機202において搬送モードの切り替えが不要であり、効率の向上が期待される。
【0179】
プロセッサ40は、各時間帯について、各垂直搬送機202の位置と、垂直搬送対象の各棚5の位置及びエリアペアとに基づいて、各垂直搬送機202について当該垂直搬送機202に適用する搬送モードを決定してよい。例えば、プロセッサ40は、搬送モードの割合の決定(例えばS1803又はS1904)において、管理情報から、各垂直搬送機202の位置と、垂直搬送対象の各棚5の位置及びエリアペアとを特定してよい。プロセッサ40は、垂直搬送機202毎に、適用対象の各搬送モードについて、当該垂直搬送機202から所定距離範囲における、当該搬送モードに従う垂直搬送が必要な棚5の数を算出してよい。プロセッサ40は、当該算出の結果を基に、各時間帯について、いずれの垂直搬送機202にいずれの搬送モードを適用するかを決定してよい。これにより、搬送効率の向上が期待される。
【0180】
プロセッサ40は、各垂直搬送機202についての時間帯と搬送モードとの組と、垂直搬送対象の棚5のエリアペアとを基に、当該棚5の垂直搬送を含む搬送タスクの日時を決定してよい。例えば、プロセッサ40は、S1803又はS1904において、垂直搬送機202に関連付いている搬送モード及び時間帯から、当該時間帯での当該垂直搬送機202の搬送モードに、当該垂直搬送機202に割り当てられた搬送タスクの垂直搬送が競合することを特定した場合、当該搬送タスクの日時を、許容範囲で(例えば納期608の遵守が可能な範囲で)変更してよい。これにより、搬送効率の向上が期待される。
【0181】
プロセッサ40は、例えばS1803又はS1904において、複数のエリア200のうちの或るエリア200で保管される棚5の数が第一の閾値以上となる時間帯について、当該或るエリア200が搬送先エリア200である搬送モードの割合を減らしてよい(例えば無くしてよい)。これにより、棚5の受け入れ可能な数の上限がエリア200に定められていても、当該上限を棚5の数が超えないように維持しつつ、搬送効率を向上することが期待できる。
【0182】
プロセッサ40は、各垂直搬送機202についての時間帯と搬送モードとの組を基に、複数のエリア200の各々について、搬送装置3の数を制御してよい。或いは、プロセッサ40は、垂直搬送(垂直搬送機202の搬送モードに対応する垂直搬送)を含む複数の搬送タスクを基に、複数のエリア200の各々について、搬送装置3の数を制御してよい。これにより、搬送効率の向上が期待される。例えば、時間帯において、垂直搬送により1段目エリア200Aにおける棚5が増える場合、S1804又はS1905において、当該時間帯について、1段目エリア200Aにおける搬送装置3の数を増やすための処理が行われてよい。また、例えば、時間帯において、垂直搬送により3段目エリア200Cにおける棚5が減る場合、S1804又はS1905において、3段目エリア200Cにおける搬送装置3の数を減らすための処理が行われてよい。エリア200の搬送装置3を増やす又は減らすための処理は、例えば、下記のうちのいずれかでよい。
・プロセッサ40が、エリア200におけるスタンバイ状態の搬送装置3にアクティブ状態となることを指示する、又は、エリア200におけるアクティブ状態の搬送装置3にスタンバイ状態となることを指示する。つまり、搬送装置3の増減は、アクティブ状態の搬送装置3の増減でよい。
・少なくとも一つの垂直搬送機202が、棚5の他に搬送装置3の垂直搬送が可能である。そのような垂直搬送機202を利用して搬送装置3の垂直搬送をするよう、プロセッサ40が、当該垂直搬送機202及び当該搬送装置3に指示を出す。
【0183】
また、S1804又はS1905において、垂直搬送機202のモード設定に応じて、又は、垂直搬送を含む複数の搬送タスクに応じて、搬送元エリア及び/又は搬送先エリアにおける搬送装置3の数は、閾値X以上に増やされてもよいし、それ以外の搬送装置3の数が閾値Y以下に減らされてもよい。垂直搬送機202のモード設定によっては、或るエリア200での搬送装置3の稼働率が上がったり下がったりしてよい。
【0184】
プロセッサ40は、各垂直搬送機202についての垂直搬送の過去の履歴(例えば、垂直搬送テーブル61から特定される履歴)を基に、搬送モード毎に、当該搬送モードに該当の垂直搬送を含む搬送タスクの各時間帯での頻度を特定してよい。プロセッサ40は、各搬送モードについて特定された各時間帯での頻度に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定してよい。これにより、搬送効率の向上が期待される。例えば、S1801において、プロセッサ40は、垂直搬送テーブル61(垂直搬送のログとしてのテーブル)に基づいて、各時間帯の各搬送モードに対応の搬送タスク(当該搬送モードに対応の垂直搬送を行うための搬送タスク)の頻度を算出してよい。プロセッサ40は、当該頻度に基づき、利用状況を特定してよい。例えば、頻度が第一の閾値以下の場合は、当該搬送タスクに対応の搬送モードが適用されている垂直搬送機202は空き垂直搬送機202と判定されてよい。頻度が第二の閾値より大きい場合は、当該搬送タスクに対応の搬送モードが適用されている垂直搬送機202は混雑垂直搬送機202と判定されてよい。
【0185】
プロセッサ40は、各垂直搬送機202についての垂直搬送の過去の履歴を基に、当該垂直搬送機202が行う垂直搬送の待機時間の統計である待機時間統計を各時間帯について特定してよい。プロセッサ40は、各垂直搬送機202について特定された各時間帯での待機時間統計に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定してよい。これにより、搬送効率の向上が期待される。例えば、S1801において、プロセッサ40は、垂直搬送テーブル61に基づいて、各時間帯の各搬送モードについて棚5の待機時間の統計(例えば、累計、平均又は最大値)を算出してよい。例えば、待機時間統計が第一の閾値以下の場合は、待ちが生じた棚5に対応の垂直搬送機202は混雑垂直搬送機202と判定されてよい。待機時間統計が第二の閾値より大きい場合は、待ちが生じた棚5に対応の垂直搬送機202は空き垂直搬送機202と判定されてよい。
【0186】
プロセッサ40は、各垂直搬送機202についての垂直搬送の過去の履歴を基に、当該垂直搬送機202による垂直搬送を待つ棚5である待機棚5の数を各時間帯について特定してよい。プロセッサ40は、各垂直搬送機202について特定された各時間帯での待機棚5の数に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定してよい。これにより、搬送効率の向上が期待される。例えば、S1801において、プロセッサ40は、垂直搬送テーブル61に基づいて、各時間帯の各搬送モードについて待機棚5の数(例えば、累計、平均又は最大値)を算出してよい。例えば、待機棚5の数が第一の閾値以下の場合は、待機棚5に対応の垂直搬送機202は空き垂直搬送機202と判定されてよい。待機棚5の数が第二の閾値より大きい場合は、待機棚5に対応の垂直搬送機202は混雑垂直搬送機202と判定されてよい。
【0187】
プロセッサ40は、各垂直搬送機202についての垂直搬送の過去の履歴を基に、当該垂直搬送機の空き時間の統計である空き時間統計を各時間帯について特定してよい。プロセッサ40は、各垂直搬送機202について特定された各時間帯での空き時間統計に応じて、一つ以上の時間帯の各々について、一つ以上の搬送モードの各々の割合である搬送モード割合を決定してよい。これにより、搬送効率の向上が期待される。例えば、垂直搬送テーブル61(又は別のテーブル)に、時間帯毎に、搬送モード(垂直搬送機202)の空き時間が記録されてもよいし、また、垂直搬送テーブル61(又は別のテーブル)から、搬送モード(垂直搬送機202)の空き時間が算出されてもよい。このような空き時間から、空き時間統計(例えば、累計、平均又は最大値)が算出されてよい。例えば、空き時間統計が第一の閾値以下の場合は、当該空き時間統計に対応の垂直搬送機202は混雑垂直搬送機202と判定されてよい。空き時間統計が第二の閾値より大きい場合は、当該空き時間統計に対応の垂直搬送機202は空き垂直搬送機202と判定されてよい。
【0188】
垂直搬送機202のセンサ715(例えばカメラ含む)等により、各時間帯について、垂直搬送機202の搬送回数が取得されてよい。垂直搬送テーブル61を基に、搬送タスクの頻度が算出されてもよい。同様に、センサ715等により、各時間帯の垂直搬送機202で搬送する棚5の待機時間、待機棚5の数、又は、搬送モードの空き時間が算出されてもよい。
【0189】
例えば、図19のS1903については、次のことが採用されてよい。搬送タスクに対応の納期608や優先順位に基づき、搬送タスクの作業日時が決められてよい。例えば、或る搬送モードで所定の時間帯で一つの垂直搬送機202により処理可能な搬送タスク数に対応させて、処理プログラム51が、当該垂直搬送機202についての搬送タスクを選択してよい(例えば、搬送タスクの順序を変更してよい)。或る時間帯について或る搬送モードに対応の搬送タスクが少なすぎると、当該搬送モードが適用された垂直搬送機202の空いている時間が多くなり、効率が低下する。この場合、処理プログラム51は、当該搬送タスクの実施日時(処理日時)を、当該搬送タスクに対応の搬送モードがある他の時間帯に属する日時に変更するか、又は、当該搬送タスクと、当該搬送モードに対応の他の搬送タスクとを同じ時間帯で処理するようにしてもよい。垂直搬送機202の種類やモードによって、処理可能な搬送タスク数の設定は、同じであっても異なってもよい。搬送先エリアで受け入れ可能な棚の数の上限が定められている場合、その上限を超えないように、搬送タスクが処理プログラム51により調整されてもよい。
【0190】
例えば、図19のS1904については、次のことが採用されてよい。将来の一定期間(例えば翌日)のオーダに対する在庫配置(棚5の配置)から、垂直搬送の搬送タスクが特定される。搬送タスクに応じて、処理プログラム51は、各時間帯における搬送モードの割合を決定する。例えば、或る時間帯の搬送タスクと、(A)1段目エリア200Aから2段目エリア200Bへの搬送タスク、(B)2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへの搬送タスク、(C)1段目エリア200Aから3段目エリア200Cへの搬送タスク、及び、(D)3段目エリア200Cから1段目エリア200Aへの搬送タスク、があるとする。タスク数の比が、(A):(B):(C):(D)=1:1:2:2であるとする。垂直搬送機202が6台あるとする。この場合、処理プログラム51は、当該(A)(B)(C)(D)に対応する搬送モードの割合を同じ(又はなるべく近い)割合(1台:1台:2台:2台)とする。なお、棚5を戻す搬送タスクについて、ピッキングするためにエリア間で棚5を搬送する搬送タスクと、ピッキング後に元の位置に戻すためにエリア間で棚5を搬送する搬送タスク(「戻し搬送タスク」)とが同じ時間帯で行われてよい。この場合、ピッキングを行うエリアに、ピッキング後に戻す棚5を一時保管する保管スペースは少なくてよくなるため、保管効率の向上が期待できる。但し、当該「戻し搬送タスク」が、垂直搬送機202が空いているときや異なる時間帯(ピッキング作業時間の終了後)に行われてもよい。ピッキングのための搬送タスクを優先することで、ピッキング作業を効率化できる。
【0191】
例えば、図19のS1905については、次のことが採用されてよい。垂直搬送機202の位置と、在庫配置との関係を考慮して、各垂直搬送機202の搬送モードが処理プログラム51により設定されてよい。これにより、垂直搬送機202までの搬送の効率の向上が期待される。例えば、或る時間帯において、或る搬送モードの搬送タスクの対象となる複数の棚5の位置が、第一~第四垂直搬送機の中で、第一垂直搬送機202Aの位置に偏っていた場合、当該時間帯における第一垂直搬送機202Aの搬送モードは、当該棚5の搬送のための搬送モードとされてよい。
【0192】
本発明は様々なケースに適用することが期待される。例えば、下記のうちのいずれにも本発明は適用されてよい。
・複数のエリアの各々は、同じ高さのエリアであってもよいし、異なる高さのエリアであってもよい。異なる高さのエリアの場合、倉庫2に設けられたメザニンの多段エリアにおけるエリア間搬送がされてもよいし、複数階を有する建物における異なる階(エリア)におけるエリア間搬送がされてもよい。各エリアに、ワーキングステーションがあってもよいし、なくてもよい。エリア間搬送の搬送方向は、複数通りあってよい。
・複数のエリアは、自動倉庫外のエリアと自動倉庫内のエリアとを含んででよい。自動倉庫に搬入する物品(搬送物)は、制御装置4からの搬入指示に応答して、エリア間搬送機(例えばコンベアやスタッカクレーン等)により自動倉庫外から自動倉庫へ搬入されてよい。自動倉庫に格納された物品(搬送物)は、オーダ等に基づく制御装置4からの搬出指示に応答して、エリア間搬送機(例えばコンベアやスタッカクレーン等)により自動倉庫から自動倉庫外へ搬出されてよい。エリア間搬送機により自動倉庫から自動倉庫外へ搬出された搬送物は、搬送装置により、目的地(ワーキングステーション等)へ搬送されてよい。
・エリア間搬送機は、エリア間で物品(搬送物)を搬送するコンベアであってもよい。
【符号の説明】
【0193】
3:搬送装置、4:制御装置、202:垂直搬送機
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19