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特開2024-113824給電パレットとこれを用いた機械式駐車装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113824
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】給電パレットとこれを用いた機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240816BHJP
   E04H 6/14 20060101ALI20240816BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240816BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240816BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240816BHJP
   B60L 53/20 20190101ALI20240816BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240816BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20240816BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240816BHJP
【FI】
E04H6/42 H
E04H6/42 Z
E04H6/14 601B
E04H6/14 601Z
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/20
B60L53/30
B60L53/53
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019039
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】迫田 央司
(72)【発明者】
【氏名】島崎 康輔
(72)【発明者】
【氏名】今福 修
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 武
(72)【発明者】
【氏名】黒▲瀬▼ 道明
(72)【発明者】
【氏名】森 真也
(72)【発明者】
【氏名】三宅 宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信男
(72)【発明者】
【氏名】宮田 貴之
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503FA03
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC23
5H125AC24
5H125BB00
5H125BC05
5H125BC21
5H125DD02
5H125FF14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】駐車中の電動車両へ電力を安定供給して充電でき、充電時間を短縮でき、かつ電源設備を小型化できる給電パレットとこれを用いた機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】給電パレット20が、入出庫部と格納部との間で搬送可能であり、電動車両EVを含む車両Vを載せる車両搭載面21と、車両搭載面21の下方に設けられ電動車両EVの車載電池Bに給電するための給電ユニット24と、を備える。給電ユニット24は、給電用バッテリ25、給電装置26、及び充電ポート28を有する。給電用バッテリ25は、電動車両EVに電力を供給する二次電池(蓄電池)である。給電装置26は、給電用バッテリ25から車載電池Bに給電する電力を制御する。充電ポート28は、外部から給電用バッテリ25に給電するための接続口である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両を含む車両をその上に載せる車両搭載面と、
前記車両搭載面の下方に設けられた給電ユニットを備え、
前記給電ユニットは、給電用バッテリと、
前記給電用バッテリから前記電動車両へ給電する給電装置と、
外部から前記給電用バッテリに給電するための充電ポートと、を有し、
前記車両が入出庫する入出庫部と前記車両を格納する格納部との間で搬送可能に構成されている、給電パレット。
【請求項2】
前記電動車両は、走行用の動力源である車載電池と、車両充電ポートから供給される交流を直流に変換して前記車載電池を充電する車載充電器と、を搭載しており、
前記給電装置は、前記給電用バッテリに接続され直流電流を交流電流に変換するインバータ装置を備える、請求項1に記載の給電パレット。
【請求項3】
前記電動車両は、走行用の動力源である車載電池と、車両充電ポートから供給される直流により前記車載電池を充電する車載充電器と、を搭載しており、
前記給電装置は、前記給電用バッテリに接続され直流電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータ装置を備える、請求項1に記載の給電パレット。
【請求項4】
前記給電装置は、
前記給電用バッテリから前記電動車両に給電するための給電ソケットを有する、請求項1に記載の給電パレット。
【請求項5】
前記給電装置は、
前記給電用バッテリから前記電動車両に給電するための充電ケーブルを有する、請求項1に記載の給電パレット。
【請求項6】
前記給電用バッテリは、DC200V以上の高圧バッテリであり、かつ60kWh以上の容量を有する、請求項1に記載の給電パレット。
【請求項7】
請求項1に記載の前記給電パレットと、
前記給電パレットの外部に設置され前記給電用バッテリを個別に充電するバッテリ充電装置と、
前記給電パレットを前記入出庫部と前記格納部との間で搬送する搬送装置と、を備える、機械式駐車装置。
【請求項8】
前記バッテリ充電装置は、外部電源の交流を直流に変換するAC/DCコンバータ装置と、前記給電パレットの前記充電ポートと着脱可能な充電コネクタと、前記給電用バッテリの充電を制御する充電制御装置と、を有する、請求項7に記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
前記バッテリ充電装置は、DC200V以上の高電圧を用いるDC急速充電器である、請求項7に記載の機械式駐車装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車中に電動車両に給電可能な給電パレットとこれを用いた機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直循環式駐車装置は、タワーパーキングとも称され、車両(例えば、乗用車)を載せた多数のケージをメリーゴーランド(又は観覧車)のように上下方向に回転させて車両を入出庫させる機械式駐車装置である。この垂直循環式駐車装置は、駐車装置の骨格となる鉄骨に取り付けた上下のスプロケットの間に主務チェーンをエンドレスに掛け渡し、この主務チェーンに取り付けた複数のケージを上下方向に回転する。
【0003】
垂直循環式駐車装置の入出庫部は、例えば、地上1階に設けられ、上スプロケットをモータで回転させ、上下のスプロケットの間に掛け渡した主務チェーンを昇降させて、ケージを1階に下降させることにより車両の入出庫を行うようになっている。
【0004】
上述した垂直循環式駐車装置において、駐車中に電動車両に給電可能な充電機能付きの駐車装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5525669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の充電機能付きの駐車装置は、主電源盤200から電源回路83を介して導電性架線81に給電し、導電性架線から集電器82と導電線71を介して配電線72に給電し、配電線からスリップリング50と給電機器300を介して車両に給電する。また、導電線71は、無端チェーンに沿ってエンドレスに設けられており、導電線71の一部は直線部で常に導電性架線81と接続されている。
【0007】
しかし、上述した特許文献1の充電機能付きの駐車装置は、以下の問題点があった。
(1)導電性架線81と摺動して電気を集電する集電器82と、スリップリング50を用いる。そのため、集電器82及びスリップリング50の摺動部の電気抵抗が大きく、接続不良が生じやすく電力の安定供給が困難である。
特に、導電性架線81は導電部が露出しこれと摺動するシューを介して給電するので、雨水やほこりにより給電が途切れたり漏電の可能性がある。
(2)主電源盤200から車両までの送電経路が単相(例えばAC100V)に制限され、三相電源(例えばAC200V)の使用が困難である。単相の場合、車両の充電に長時間(例えば16時間以上)必要になる。
(3)駐車中の多数(例えば10~30台)の電動車両に給電するため、電源設備が大型となる。
【0008】
一方、電動車両(例えば電気自動車)は急速な普及が予想されており、その普及につれて、電動車両の充電ステーションの不足が予測されている。そのため、機械式駐車装置において駐車中に電動車両に給電して充電することが望まれている。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、駐車中の電動車両へ電力を安定供給して充電でき、充電時間を短縮でき、かつ電源設備を小型化できる給電パレットとこれを用いた機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、電動車両を含む車両をその上に載せる車両搭載面と、
前記車両搭載面の下方に設けられた給電ユニットを備え、
前記給電ユニットは、給電用バッテリと、
前記給電用バッテリから前記電動車両へ給電する給電装置と、
外部から前記給電用バッテリに給電するための充電ポートと、を有し、
前記車両が入出庫する入出庫部と前記車両を格納する格納部との間で搬送可能に構成されている、給電パレットが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記給電パレットと、
前記給電パレットの外部に設置され前記給電用バッテリを個別に充電するバッテリ充電装置と、
前記給電パレットを前記入出庫部と前記格納部との間で搬送する搬送装置と、を備える、機械式駐車装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の構成によれば、給電パレットが入出庫部と格納部との間で搬送可能に構成されているので、入出庫部で車両搭載面の上に車両が入庫した給電パレットをそのまま格納部に搬送し、格納部に車両を載せた給電パレットを保管することができる。
また、逆に車両を載せた給電パレットを格納部から入出庫部まで搬送し、入出庫部で車両搭載面からその外側に車両が出庫することができる。
【0013】
また、給電パレットが給電ユニットを備えているので、給電パレットの搬送中及び保管中において、給電ユニットにより給電用バッテリから電動車両へ給電しかつその給電を制御することができる。
【0014】
また、機械式駐車装置が給電パレットの外部に設置されたバッテリ充電装置を備えているので、バッテリ充電装置により給電用バッテリに充電しその充電を制御することができる。
【0015】
また、給電パレットの車両搭載面に電動車両を載せた状態で、給電装置により給電用バッテリから電動車両に給電するので、給電が途切れることなく、電動車両へ電力を安定供給して充電できる。
【0016】
また、給電装置により給電用バッテリから電動車両へ給電する電源を適正化できるので、例えば三相電源(例えばAC200V)又はDC電源により、充電時間を短縮化できる。
【0017】
また、給電パレットの外部に設置されたバッテリ充電装置により、給電用バッテリを個別に充電するので、多数の電動車両に同時に給電する場合と比較して、電源設備を大幅に小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電動車両の説明図である。
図2】本発明による給電パレットとバッテリ充電装置の構成図である。
図3】本発明による給電パレットの全体構成図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のB-B矢視図である。
図4】垂直循環式駐車装置の全体構成図である。
図5図4の下部拡大図である。
図6図5のA-A矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0020】
(電動車両EV)
図1は、電動車両EVの説明図である。
【0021】
本発明において、車両Vは、電動車両EVを含む。
電動車両EVとは、走行用の動力源として車載電池Bを備えた車両であり、例えば、電池式電気自動車(BEV)、ハイブリッド式電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車、等を意味する。また、電動車両以外の車両(「非電動車両」)は、例えばガソリン車やディーゼル車を意味する。
以下、区別が必要な場合を除き、電動車両EVと非電動車両を単に「車両V」と呼ぶ。
【0022】
図1(A)は、電動車両EVの一例を示す模式図である。
この図において、電動車両EVは、車載電池Bの他に、車両充電ポートP及び車載充電器D1を搭載しており、かつ充電ケーブルE1を個別に備えている。
充電ケーブルE1は、一端に交流電源(例えばAC200V、AC100V)の給電ソケットに接続する充電プラグF1、他端に車両充電ポートPに接続する充電コネクタF2が設けられた交流用ケーブルである。
【0023】
車載電池Bは、電動車両EVの電気モーターを駆動するための二次電池(蓄電池)であり、好ましくはリチウムイオン電池又は全固体電池である。車載電池Bは、好ましくはDC400V以上の高圧バッテリーでありかつ大容量(例えば60kWh以上)を有する。
【0024】
車載充電器D1は、車両充電ポートPから供給される交流を直流に変換して車載電池Bを充電するユニットである。交流電源は三相電源(例えばAC200V)であるのが好ましいが、単相電源(例えばAC100V)であってもよい。
充電ケーブルE1は、電動車両EVに適合するように設計されており、充電プラグF1は三相電源用(例えばAC200V)であるのが好ましいが、単相電源用(例えばAC100V)であってもよい。
充電コネクタF2は、SAEJ1772(日本共通規格)の充電コネクタであることが好ましいが、その他のEV充電コネクタであってもよい。
【0025】
図1(B)は、電動車両EVの別の例を示す模式図である。
この図において、電動車両EVは、車載電池Bの他に、車両充電ポートP及び車載充電器D2を搭載している。
この例で、車載充電器D2は、車両充電ポートPから供給される直流により車載電池Bを充電するユニットである。車両充電ポートPは、図1(A)と別個でも共用してもよい。車載電池Bは、図1(A)と同じであるのがよい。
またこの例では充電ケーブルE2は電動車両の外部に設置された直流用ケーブルであり、充電コネクタF2は、DC急速充電器に適合するEV充電コネクタであるのがよい。
【0026】
なお、電動車両EVは、上述した例に限定されない。
例えば、電動車両EVは、車載充電器D1,D2の両方を備えていてもよい。
また、交流用ケーブルを充電ケーブルE2と同様に電動車両の外部に設置してもよい。
【0027】
図2は、本発明による給電パレット20とバッテリ充電装置30の構成図である。
【0028】
(給電パレット20)
図2(A)は、図1(A)の電動車両用の給電パレット20である。
この図において、給電パレット20は、車両Vをその上に載せる車両搭載面21とその下方に設けられた給電ユニット24を備える。
車両搭載面21は、入出庫部X(図4参照)でその上に車両Vが入庫し、車両Vを載せたまま搬送して格納部Yに保管することができ、かつ車両Vを載せて格納部Yから入出庫部Xまで搬送し、入出庫部Xでその上からその外側に車両Vが出庫できるようになっている。
【0029】
給電ユニット24は、給電用バッテリ25、給電装置26、及び充電ポート28を有する。
給電用バッテリ25は、車載電池Bに電力を供給するための二次電池(蓄電池)であり、好ましくはリチウムイオン電池又は全固体電池である。給電用バッテリ25は、好ましくはDC200V以上(より好ましくはDC400V以上)の高圧バッテリでありかつ車載電池Bよりも大容量(例えば60kWh以上)であることが好ましい。
なお、給電用バッテリ25は、DC200V未満の低圧バッテリであってもよい。
【0030】
給電装置26は、電動車両EVへの給電を制御するコンピュータ(PC)である。給電装置26は、給電用バッテリ25から車載電池に給電する電力を制御し、電動車両EVへの給電容量、給電時間、等を制御可能に構成されている。
【0031】
この例で給電装置26は、給電ソケット27とインバータ装置29Aを有する。
【0032】
給電ソケット27は、充電ケーブルE1を介して給電用バッテリ25から電動車両EVに給電するための接続口である。
給電ソケット27は、充電プラグF1と接続可能に構成されており、充電ケーブルEを介して交流電流を電動車両EVに給電する。給電ソケット27は、三相電源用(例えばAC200V)であるのが好ましいが、単相電源用(例えばAC100V)も備えることが好ましい。
【0033】
インバータ装置29Aは、給電用バッテリ25に接続されており、給電用バッテリ25の直流電流を交流電流に変換して給電ソケット27に供給する。
【0034】
充電ポート28は、外部から給電用バッテリ25に給電するための接続口である。充電ポート28は、DC急速充電に対応していることが好ましい。
【0035】
図2(B)は、図1(B)の電動車両用の給電パレット20である。
この図において、給電パレット20は、車両Vをその上に載せる車両搭載面21とその下方に設けられた給電用バッテリ25、給電装置26、及び充電ポート28を備える。
車両搭載面21、給電用バッテリ25、及び充電ポート28は、図2(A)と同様である。
【0036】
この例で給電装置26は、DC/DCコンバータ装置29Bを有する。
DC/DCコンバータ装置29Bは、給電用バッテリ25に接続されており、給電用バッテリ25の直流電圧を所定の電圧(例えばDC480V)に変換する。
また、この例では給電ソケット27は省略されており、充電ケーブルE2の充電プラグ側が給電装置26に直接接続されている。また、充電ケーブルE2は、車両搭載面21の下方に収納可能であるのがよい。
【0037】
なお、給電パレット20は、上述した例に限定されない。
例えば、給電パレット20は、インバータ装置29AとDC/DCコンバータ装置29Bの両方を備えた給電パレット20であってもよい。
【0038】
(バッテリ充電装置30)
本発明の機械式駐車装置100は、上述した給電パレット20の他にバッテリ充電装置30を備える。
バッテリ充電装置30は、給電パレット20の外部に設置され、給電用バッテリ25を個別に充電する。
【0039】
この例で、バッテリ充電装置30は、AC/DCコンバータ装置33、充電コネクタ34、及び充電制御装置36を有する。
【0040】
AC/DCコンバータ装置33は、外部電源32に接続され外部電源32の交流を直流に変換する。外部電源32は、例えばAC100V又はAC200Vである。
充電コネクタ34は、給電パレット20の充電ポート28と着脱可能に構成され、充電ポート28を介して直流電流を給電用バッテリ25に給電して充電する。
充電制御装置36は、給電用バッテリ25の充電を制御するコンピュータ(PC)である。
バッテリ充電装置30は、DC200V以上の高電圧(例えばDC480V)を用いるDC急速充電器であることが好ましい。
なお、給電用バッテリ25が、DC200V未満の低圧バッテリである場合、DC200V未満の低電圧を用いるDC充電器であってもよい。
【0041】
上述した構成により、バッテリ充電装置30により、充電コネクタ34と充電ポート28を介して直流電流を給電パレット20の給電用バッテリ25に給電して充電することができる。この際、DC急速充電器を用いることにより、車載電池Bに相当する大容量の給電用バッテリ25を短時間(例えば20~30分間)でフル充電することができる。
【0042】
また、給電パレット20の搬送中及び保管中において、充電ケーブルE1,E2を介して電動車両EVに給電し、車載充電器D1,D2により車載電池Bを充電することができる。この際、給電装置26により、車載電池Bへの給電容量、給電時間、等を制御することができる。
【実施例0043】
以下、本発明の機械式駐車装置100が垂直循環式駐車装置100Aであり、図1(A)の電動車両EVと図2(A)の給電パレット20の場合を説明する。
【0044】
図3は、本発明による給電パレット20の全体構成図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のB-B矢視図である。
【0045】
車両搭載面21は、この例では、タイヤ支持面22と剛性付加部分23a,23bとからなる。
タイヤ支持面22は、図3(A)において1対(図で上下)が設けられ、水平に形成され、入出庫時に車両Vの左右のタイヤを連続的に支持する。
剛性付加部分23a,23bは、タイヤ支持面22の幅方向の内側及び外側に、タイヤ支持面22より上方に折り曲げられている。
この例で、タイヤ支持面22とそれに接続する剛性付加部分23a,23bは、単一の平板を曲げ加工した曲げ板構造を有する。
【0046】
図3において、給電パレット20は、さらに給電ユニット24と給電ソケット27を備える。
給電ユニット24は、この例では、剛性付加部分23aの下方に設置されており、上述した給電用バッテリ25、給電装置26、及び充電ポート28を内蔵する。
給電ソケット27は、この例では、剛性付加部分23aの上面に設置された電動車両EVの車載電池Bに給電可能なソケットである。この例では、給電ソケット27は、三相電源用(例えばAC200V)と単相電源用(例えばAC100V)の両方が設けられている。
三相電源用(例えばAC200V)を用いた場合、8時間前後で車載電池Bをフル充電することができる。また単相電源用(例えばAC100V)でも充電は可能だが、フル充電には長時間(例えば16時間以上)を必要とする。
【0047】
図3に示した給電パレット20は、ケージ8(図6参照)で長さ方向両端部(図で左右両端部)を支持され、その上に車両Vを載せるパレットである。
なお、ケージ8は、給電ユニット24を備えていない無給電パレット19(図5参照)も同様に支持し、その上に車両Vを載せるようになっている。無給電パレット19の詳細は後述する。
【0048】
図4は、垂直循環式駐車装置100Aの全体構成図であり、図5は、図4の下部拡大図である。
図4図5において、垂直循環式駐車装置100Aは、主務チェーン2、複数のアタッチメント4、及び複数のケージ8を備える。
【0049】
垂直循環式駐車装置100Aは、駐車装置の骨格となる鉄骨に取り付けた上スプロケット1aと下スプロケット1bとの間に主務チェーン2をエンドレスに掛け渡し、主務チェーン2に取り付けた複数のケージ8を上下方向に回転するように構成したものである。
複数のアタッチメント4は、主務チェーン2に所定の間隔を隔てて取り付けられている。
【0050】
図4において、入出庫部Xは、ケージ8の下端が入出庫高さに位置する最下部である。また、格納部Yは、最下部を除く全てのケージ8の位置である。
【0051】
図5において、無給電パレット19は、車両Vをその上に載せる上述の車両搭載面21を有し、給電ユニット24を備えていないパレットである。すなわち、無給電パレット19は、電動車両EVに給電する機能を有さない点のみが給電パレット20と相違する。
以下、区別が不要な場合、無給電パレット19と給電パレット20の両方を単に「パレット」と呼ぶ。
【0052】
本発明の機械式駐車装置100は、さらに、パレット(無給電パレット19と給電パレット20)を入出庫部Xと格納部Yとの間で搬送する搬送装置40を備える。
垂直循環式駐車装置100Aの場合、搬送装置40は、上述した上スプロケット1a、下スプロケット1b、主務チェーン2、アタッチメント4、円弧ガイド5、及びケージ8を有する。
【0053】
図6は、図5のA-A矢視図である。
図5図6において、ケージ8は、ケージ吊軸6、1対の吊上げ部8a、車両搭載部8b、1対の吊り枠部8c、及び複数のローラブラケット8dを有する。
1対の吊上げ部8aは、車両Vの前後方向に間隔を隔てて位置する。
車両搭載部8bは、吊上げ部8aの下方に位置し、車両Vを載せるパレットを支持する。
また複数(この例では4つ)のローラブラケット8dは、幅方向に間隔を隔てた位置にガイドローラ9を有し、吊上げ部8aに固定されている。
【0054】
図5において、垂直循環式駐車装置100Aはさらに、ガイドローラ9を案内する円弧ガイド5を有する。
円弧ガイド5は、垂直循環式駐車装置100Aの上端部及び下端部において、ガイドローラ9を案内する円弧状の案内溝であり、上端部及び下端部で回転するケージ8が傾かないように案内する。
【0055】
図6において、給電パレット20は、ケージ8により長さ方向両端部を着脱可能に支持されている。
【0056】
また、車両Vを載せた給電パレット20は、最下部において、入出庫部Xの下方に設置された旋回装置10により、上昇かつ回転中心Zを中心に水平旋回して車両Vの前後を反転させるようになっている。
なお、本発明は旋回装置10は必須ではなく、これを備えない機械式駐車装置に用いることもできる。
【0057】
図6において、給電パレット20は、DC/DCコンバータ装置29Bを備えた図2(B)の給電パレット20であってもよく、インバータ装置29AとDC/DCコンバータ装置29Bの両方を備えた給電パレット20であってもよい。
【0058】
図3図6において、給電ユニット24は、旋回装置10と干渉せずかつその作動を妨げないように、剛性付加部分23aの下方に設置されている。また、給電ユニット24の下端高さは、上下にケージ8が隣接する際に、車両Vの上面と干渉しない高さに設定されている。
この構成により、入出庫部Xにおいて、車両Vが給電パレット20の上に入庫し、或いは給電パレット20から外部に出庫することができる。
また、入出庫部Xのケージ8の上で、旋回装置10により、給電パレット20を持ち上げて水平旋回させることができる。
【0059】
この例において、給電パレット20の充電ポート28は、旋回装置10と干渉しないように、給電ユニット24の長さ方向端部の下面に設けられている。
また、バッテリ充電装置30の充電コネクタ34は、入出庫部Xにおいて充電ポート28に対向する位置に設置されている。
この構成により、ケージ8が入出庫部Xまで下降する際に、充電ポート28を充電コネクタ34に接続し、ケージ8が入出庫部Xから上昇する際に、充電ポート28を充電コネクタ34から切断することができる。
なお、この接続と切断の際に、充電ポート28又は充電コネクタ34をバネ等で接続方向に付勢してもよい。
また、充電ポート28又は充電コネクタ34を接続位置と切断位置の間で移動可能に構成してもよい。
【0060】
(制御方法)
上述した垂直循環式駐車装置100Aは、例えば以下のように制御する。
(1)パレットは、給電パレット20に限定されず、無給電パレット19を含んでもよい。例えば、電動車両EVの充電ステーションの不足が予測される場合に、垂直循環式駐車装置100Aのケージ8の総数(例えば30台)のうち、需要が見込まれる一部(例えば3台)のみに給電パレット20を搭載し、その他を無給電パレット19にしてもよい。
(2)給電パレット20への充電は、車両の入出庫が行われない時に、入出庫部Xにおいて実施する。
例えば、バッテリ充電装置30がDC急速充電器である場合、車載電池Bに相当する大容量の給電用バッテリ25を短時間(例えば20~30分間)でフル充電できる。従って、給電パレット20の総数が例えば30台以上であっても、入出庫の少ない夜間にすべての給電用バッテリ25をフル充電できる。
また、バッテリ充電装置30がDC200V未満の低電圧を用いるDC充電器であっても、給電パレット20の総数が少ない場合(例えば3台)、入出庫の少ない夜間にすべての給電用バッテリ25をフル充電できる。
また、車両の入出庫中であっても、ケージ8が入出庫部Xに停止する時間がその他の時間に比べて長いので、その都度、給電用バッテリ25を充電することができる。
【0061】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、以下の構成であってもよい。
(1)車両の前進入庫と前進出庫のため、パレットは入庫後に旋回装置10により水平旋回する場合がある。そのため、給電ソケット27と充電ポート28は、パレットの長さ方向両端部であって、好ましくは対称位置に設けることが好ましい。
(2)給電ソケット27の設置位置は、剛性付加部分23aに限定されず、その他の位置でもよい。また、車両の入出庫の際に損傷を受けない位置に設置し、保護カバーを設けることが好ましい。給電装置26の操作部も同様である。
(3)充電ポート28を給電パレット20の側面に設け、充電コネクタ34を水平方向に移動可能に構成してもよい。
(4)また、ケージ8で支持される給電パレット20の長さ方向両端部の下面に充電ポート28を設け、ケージ8の両端部の給電パレット20を支持する部分に充電ポート28と対向する別の充電用コネクタを設けてもよい。
この場合、ケージ8の任意の箇所に充電コネクタ34と対向する別の充電用ポートを設置し、ケージ8内のケーブルを介して、充電コネクタ34から給電パレット20に給電することができる。
(5)パレットがドアプロテクタを有する場合に、ドアプロテクタ駆動部のプッシャー部に充電コネクタ34を設置し、ドアプロテクタのプッシャー部に対応する位置に充電ポート28を設けて、ドアプロテクタの駆動中に給電用バッテリ25を充電してもよい。
(6)非接触給電により、バッテリ充電装置30から給電用バッテリ25を充電してもよい。
(7)バッテリ充電装置30の設置位置は、入出庫部Xに限定されず、例えば格納部Yであってもよい。また、バッテリ充電装置30の設置数は、複数であってもよい。
(8)機械式駐車装置100は、垂直循環式駐車装置100Aに限定されず、その他の機械式駐車装置、例えばエレベータ式であってもよい。
【0062】
上述した本発明の実施形態によれば、給電パレット20が車両Vが入出庫する入出庫部Xと車両Vを格納する格納部Yとの間で搬送可能に構成されている。これにより、入出庫部Xで車両搭載面21の上に車両Vが入庫した給電パレット20をそのまま格納部Yに搬送し、格納部Yに車両Vを載せた給電パレット20を保管することができる。
また、逆に車両Vを載せた給電パレット20を格納部Yから入出庫部Xまで搬送し、入出庫部Xで車両搭載面21の上からその外側に車両Vが出庫することができる。
【0063】
また、給電パレット20が給電ユニット24を備えているので、給電パレット20の搬送中及び保管中において、給電ユニット24により給電用バッテリ25から電動車両EVへ給電しかつその給電を制御することができる。
【0064】
また、機械式駐車装置100が給電パレット20の外部に設置されたバッテリ充電装置30を備えているので、バッテリ充電装置30により給電用バッテリ25に充電しその充電を制御することができる。
【0065】
また、給電パレット20の車両搭載面21に電動車両EVを載せた状態で、給電装置26により給電用バッテリ25から電動車両EVに給電するので、給電が途切れることなく、電動車両EVへ電力を安定供給して充電できる。
【0066】
また、給電装置26により給電用バッテリ25から電動車両EVへ給電する電源を適正化できるので、例えば三相電源(例えばAC200V)又はDC電源により、充電時間を短縮化できる。
【0067】
また、給電パレット20の外部に設置されたバッテリ充電装置30により、給電用バッテリ25を個別に充電するので、多数の電動車両EVに同時に給電する場合と比較して、電源設備を大幅に小型化できる。
【0068】
なお本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
B 車載電池、D1,D2 車載充電器、E1,E2 充電ケーブル、
F1 充電プラグ、F2 充電コネクタ、EV 電動車両、P 車両充電ポート、
V 車両、X 入出庫部、Y 格納部、Z 回転中心、
1a 上スプロケット、1b 下スプロケット、2 主務チェーン、
4 アタッチメント、5 円弧ガイド、6 ケージ吊軸、8 ケージ、
8a 吊上げ部、8b 車両搭載部、8c 吊り枠部、8d ローラブラケット、
9 ガイドローラ、10 旋回装置、19 無給電パレット、
20 給電パレット、21 車両搭載面、22 タイヤ支持面、
23a,23b 剛性付加部分、24 給電ユニット、25 給電用バッテリ、
26 給電装置、27 給電ソケット、28 充電ポート、
29A インバータ装置、29B DC/DCコンバータ装置、
30 バッテリ充電装置、32 外部電源、33 AC/DCコンバータ装置、
34 充電コネクタ、36 充電制御装置、40 搬送装置、
100 機械式駐車装置、100A 垂直循環式駐車装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6