IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

特開2024-113830画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
<>
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図1
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図2A
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図2B
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図3A
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図3B
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法およびプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113830
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/593 20170101AFI20240816BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240816BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240816BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G06T7/593
G06T1/00 330B
G06T7/00 650B
G01C3/06 110V
G01C3/06 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019057
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀治
【テーマコード(参考)】
2F112
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
2F112AC03
2F112AC06
2F112BA06
2F112CA05
2F112DA28
2F112DA32
2F112FA35
2F112FA38
2F112FA45
2F112GA01
5B057AA16
5B057CA08
5B057CA13
5B057CB08
5B057CB13
5B057CC02
5B057CE05
5B057DA07
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA05
5L096EA06
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA04
(57)【要約】
【課題】レンズグレアによるゴースト距離の発生を抑制し、有効な距離情報を確保する。
【解決手段】長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体IBを含む周辺領域が撮像された画素領域を低解像度化する低解像度化部130と、低解像度化された長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する検出部140と、低解像度化された長時間露光距離画像内のサチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から特定の物体の移動距離を推定する推定部150と、推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域については、サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する長時間露光距離画像生成部と、
所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する短長時間露光距離画像生成部と、
前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像された画素領域の画素数を圧縮し、低解像度化する低解像度化部と、
低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する推定部と、
該推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域と前記短時間露光距離画像において前記前方車両の発光体が撮像された画素領域とが重なる領域については、前記短時間露光距離画像において前記前方車両の発光体が撮像された画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域以外の前記画素領域については、前記長時間露光距離画像あるいは前記短時間露光距離画像の距離情報を用いて、距離画像を生成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、天候状態に応じて、前記所定の閾値の範囲および画像の圧縮画素の大きさを可変することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、画像に対向車両の発光体や道路周辺の発光体による光の映り込みがあった場合には、前記発光体の前記サチュレーションを含む前記光の映り込みを除外した前記長時間露光距離画像あるいは前記短時間露光距離画像から前記距離画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
長時間露光距離画像生成部と、短時間露光距離画像生成部と、低解像度化部と、検出部と、推定部と、画像処理部と、を備えた画像処理装置における画像処理方法であって、
前記長時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する第1の工程と、
前記短時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する第2の工程と、
前記低解像度化部が、前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像されたブロックの画素数を圧縮し、低解像度化する第3の工程と、
前記検出部が、低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する第4の工程と、
前記推定部が、前記第4の工程における検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する第5の工程と、
前記画像処理部が、前記第5の工程において推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する第6の工程と、
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
長時間露光距離画像生成部と、短時間露光距離画像生成部と、低解像度化部と、検出部と、推定部と、画像処理部と、を備えた画像処理装置における画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記長時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する第1の工程と、
前記短時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する第2の工程と、
前記低解像度化部が、前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像されたブロックの画素数を圧縮し、低解像度化する第3の工程と、
前記検出部が、低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する第4の工程と、
前記推定部が、前記第4の工程における検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する第5の工程と、
前記画像処理部が、前記第5の工程において推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する第6の工程と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、
を備え、
前記1つまたは複数のプロセッサは、
所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する長時間露光距離画像生成部と、
所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する短長時間露光距離画像生成部と、
前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像された画素領域の画素数を圧縮し、低解像度化する低解像度化部と、
低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する推定部と、
該推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車両の前方に走行する車両等を検出し、先行車両との衝突回避(衝突回避制御)、あるいは、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ制御(クルーズコントロール)が実用化されている。
【0003】
この種の技術では、自車両前方の車外環境を、例えば、撮像装置により得られた画像情報により把握して、適切な制御が実行される。
上記制御を適切に実行するためには、自車両の前方に存在する車両等との距離を精度よく把握することが重要な要素となる。
そのため、例えば、ステレオカメラにおいて取得される右画像と、左画像とにおいて撮像された物体の視差に応じて距離を計算する方法が知られている。
【0004】
また、更なる距離の計測精度を図るため、長時間露光で画像を撮像し、所定の間隔を有して配置されている第1の長時間露光カメラと第2の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する長時間露光距離画像生成部と、短時間露光で画像を撮像し、所定の間隔を有して配置されている第1の短時間露光カメラと第2の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する短時間露光距離画像生成部と、長時間露光距離画像と短時間露光距離画像を合成して距離画像を生成する距離画像生成部とを備える画像処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-156579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画素単位での計算のみでマスク画像を生成しているため、例えば、画素を超えた乱反射(グレア)が発生した場合、グレア位置に誤った距離(ゴースト距離)が発生する虞があった。
【0007】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、レンズグレアによるゴースト距離の発生を抑制し、有効な距離情報を確保する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する長時間露光距離画像生成部と、所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する短長時間露光距離画像生成部と、前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像された画素領域の画素数を圧縮し、低解像度化する低解像度化部と、低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する推定部と、該推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理部と、を備えたことを特徴とする画像処理装置を提案している。
【0009】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記画像処理部は、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域と前記短時間露光距離画像において前記前方車両の発光体が撮像された画素領域とが重なる領域については、前記短時間露光距離画像において前記前方車両の発光体が撮像された画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理装置を提案している。
【0010】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記画像処理部は、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域以外の前記画素領域については、前記長時間露光距離画像あるいは前記短時間露光距離画像の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理装置を提案している。
【0011】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記画像処理部は、天候状態に応じて、前記所定の閾値の範囲および画像の圧縮画素の大きさを可変する画像処理装置を提案している。
【0012】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記画像処理部は、画像に対向車両の発光体や道路周辺の発光体による光の映り込みがあった場合には、前記発光体の前記サチュレーションを含む前記光の映り込みを除外した前記長時間露光距離画像あるいは前記短時間露光距離画像から前記距離画像を生成する画像処理装置を提案している。
【0013】
形態6;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、長時間露光距離画像生成部と、短時間露光距離画像生成部と、低解像度化部と、検出部と、推定部と、画像処理部と、を備えた画像処理装置における画像処理方法であって、前記長時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する第1の工程と、前記短時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する第2の工程と、前記低解像度化部が、前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像されたブロックの画素数を圧縮し、低解像度化する第3の工程と、前記検出部が、低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する第4の工程と、前記推定部が、前記第4の工程における検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する第5の工程と、前記画像処理部が、前記第5の工程において推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する第6の工程と、を備えたことを特徴とする画像処理方法を提案している。
【0014】
形態7;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、長時間露光距離画像生成部と、短時間露光距離画像生成部と、低解像度化部と、検出部と、推定部と、画像処理部と、を備えた画像処理装置における画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記長時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する第1の工程と、前記短時間露光距離画像生成部が、所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する第2の工程と、前記低解像度化部が、前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像されたブロックの画素数を圧縮し、低解像度化する第3の工程と、前記検出部が、低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する第4の工程と、前記推定部が、前記第4の工程における検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する第5の工程と、前記画像処理部が、前記第5の工程において推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する第6の工程と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0015】
形態8;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、を備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、所定の間隔を有して配置され、長時間露光により画像を撮像する第1の長時間露光カメラからの第1の長時間露光画像と第2の長時間露光カメラからの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する長時間露光距離画像生成部と、所定の間隔を有して配置され、短時間露光により画像を撮像する第1の短時間露光カメラからの第1の短時間露光画像と第2の短時間露光カメラからの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する短長時間露光距離画像生成部と、前記長時間露光距離画像と前記短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像された画素領域の画素数を圧縮し、低解像度化する低解像度化部と、低解像度化された前記長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、低解像度化された前記長時間露光距離画像内の前記サチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から前記特定の物体の移動距離を推定する推定部と、該推定された前記特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、前記長時間露光距離画像において前記サチュレーションが生じている画素領域については、前記サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理部と、を備えることを特徴とする画像処理装置を提案している。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、レンズグレアによるゴースト距離の発生を抑制し、有効な距離情報を確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。
図2A】本発明の実施形態に係る前方車両を長時間露光で撮像した際の画像を例示する図である。
図2B】本発明の実施形態に係る前方車両を短時間露光で撮像した際の画像を例示する図である。
図3A】本発明の実施形態に係る図2(A)の画像を低解像度化した場合の模式図である。
図3B】本発明の実施形態に係る図2(B)の画像を低解像度化した場合の模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
図1から図4を用いて、本実施形態に係る画像処理装置1について説明する。
【0019】
<画像処理装置1について>
本実施形態に係る画像処理装置1は、図1に示すように、プロセッサ100と、メモリ200と、を含んで構成されている。
【0020】
プロセッサ100は、各種の画像処理を実行する。
プロセッサ100は、本実施形態においては、例えば、長時間露光距離画像の生成処理、短時間露光距離画像の生成処理、画像の低解像度化処理、低解像度画像からのサチュレーション領域検出処理、特定の物体の移動距離推定処理、距離画像の生成処理を含む画像処理を実行する。
なお、各処理の詳細については、後述する。
【0021】
メモリ200は、ROM(Read Only Memory)あるいはRAM(Random Access Memory)等から構成され、プログラムや各種データを保存、格納する。
メモリ200は、本実施形態においては、記憶部210を備え、例えば、制御プログラムや生成された画像データ等を保存、格納する。
【0022】
本実施形態に係る画像処理装置1に画像を供給する撮像装置は、図1に示すように、撮像装置10と、撮像装置20とを含んで構成されている。
撮像装置10と、撮像装置20とは、例えば、自車両内部のフロントガラス上部に、車幅方向に対して所定の間隔を有して配置されているカメラである。
撮像装置10と、撮像装置20とは、1組のステレオカメラを構成し、撮像装置10において撮像された画像と、撮像装置20において撮像された画像に視差があることを利用し、距離が測定され、距離画像が生成される。
ここで、距離画像とは、例えば、距離に応じた色づけがなされた画像であり、距離画像における距離は、撮像装置10、20から測定対象とされている特定の物体までの距離である。
撮像装置10は、長時間露光カメラ10Aと、短時間露光カメラ10Bと、を備え、撮像装置20は、長時間露光カメラ20Aと、短時間露光カメラ20Bと、を備えている。
長時間露光カメラ10Aは、短時間露光カメラ10Bの露光時間よりも長い時間露光し、画像を撮像する。
長時間露光カメラ10Aで撮像された長時間露光画像は、例えば、図2Aに示すような画像となり、短時間露光カメラ10Bで撮像された短時間露光画像は、例えば、図2Bに示すような画像となる。
長時間露光カメラ10Aで撮像された長時間露光画像は、例えば、図2Aに示すように、前方車両後部の発光体から生じるサチュレーションが広範囲に確認できる画像である。一方で、短時間露光カメラ10Bで撮像された短時間露光画像は、例えば、図2Bに示すように、前方車両後部の発光体から生じるサチュレーションが狭い範囲に確認できる画像となるという特徴を有している。
【0023】
<プロセッサ100の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1のプロセッサ100は、長時間露光距離画像生成部110と、短時間露光距離画像生成部120と、低解像度化部130と、検出部140と、推定部150と、画像処理部160と、制御部170と、を含んで構成されている。
【0024】
長時間露光距離画像生成部110は、長時間露光により画像を撮像する長時間露光カメラ10A(第1の長時間露光カメラ)からの第1の長時間露光画像と長時間露光カメラ20A(第2の長時間露光カメラ)からの第2の長時間露光画像とから視差を算出し、長時間露光距離画像を生成する。
長時間露光距離画像生成部110において生成された長時間露光距離画像は、バスラインBLを介して、後述する制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した長時間露光距離画像を記憶部210に保存する。
【0025】
短時間露光距離画像生成部120は、短時間露光により画像を撮像する短時間露光カメラ10B(第1の短時間露光カメラ)からの第1の短時間露光画像と短時間露光カメラ20B(第2の短時間露光カメラ)からの第2の短時間露光画像とから視差を算出し、短時間露光距離画像を生成する。
短時間露光距離画像生成部120において生成された短時間露光距離画像は、バスラインBLを介して、後述する制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した短時間露光距離画像を記憶部210に保存する。
【0026】
低解像度化部130は、長時間露光距離画像と短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を含む周辺領域が撮像された画素領域の画素数を圧縮し、長時間露光距離画像と短時間露光距離画像とを低解像度化する。
図3A図3Bは、例えば、長時間露光距離画像と短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体を中心とした600画素×300画素の画素領域を6画素×3画素の画素領域に圧縮して、低解像度化した場合の画像を模式的に示したものである。
図3Aにおいて、薄いグラデーションを施した画素領域ISAは、低解像度化された長時間露光距離画像において、発光体IBのサチュレーションが観測される画素領域である。
図3Bにおいて、濃いグラデーションを施した画素領域DSAは、低解像度化された長時間露光距離画像において、発光体IBのサチュレーションが観測される画素領域である。
低解像度化部130において生成された画像は、バスラインBLを介して、後述する制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した生成画像を記憶部210に保存する。
なお、低解像度化の手法としては、最大輝度の画素を採用する手法や平滑化手法などが挙げられるが、それらの組み合わせや他の手法であってもよい。
【0027】
検出部140は、低解像度化された長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する。
検出部140は、例えば、図3Aの例では、低解像度化された長時間露光距離画像において、薄いグラデーションを施した画素領域ISAを検出する。
検出部140において検出された画素領域ISAの情報は、バスラインBLを介して、後述する制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した画素領域ISAの情報は、記憶部210に保存される。
【0028】
推定部150は、検出部140の検出結果に基づいて、低解像度化された長時間露光距離画像内のサチュレーションが生じている画素領域ISAにおける特定の物体の移動量から特定の物体の移動距離を推定する。
推定部150において推定された特定の物体の移動距離情報は、バスラインBLを介して、後述する制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した特定の物体の推定移動距離情報を記憶部210に保存する。
【0029】
画像処理部160は、推定部150において推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域ISAについては、サチュレーションが生じている画素領域ISAの距離情報を用いて、距離画像を生成する。
ここで、所定の閾値の範囲とは、想定される制御対象としての物体の種別と他の外乱要素を考慮して、例えば、推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が±1mの場合を例示することができる。
画像処理部160は、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域ISAと短時間露光距離画像において前方車両の発光体IBが撮像された画素領域DSAとが重なる領域については、短時間露光距離画像において前方車両の発光体IBが撮像された画素領域DSAの距離情報を用いて、距離画像を生成する。
画像処理部160は、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域ISA以外の画素領域については、長時間露光距離画像あるいは短時間露光距離画像の距離情報を用いて、距離画像を生成する。
画像処理部160は、天候状態に応じて、所定の閾値の範囲および画像の圧縮画素の大きさを可変する。
画像処理部160は、画像に対向車両の発光体IBや道路周辺の発光体IBによる光の映り込みがあった場合には、サチュレーションを含む光の映り込みを除外した長時間露光距離画像あるいは短時間露光距離画像から距離画像を生成する。
【0030】
制御部170は、図示しないROM(Random Access Memory)に格納された制御プログラムに基づいて、画像処理装置1全体の動作を制御する。
制御部170は、本実施形態においては、例えば、長時間露光距離画像生成部110による長時間露光距離画像の生成処理、短時間露光距離画像生成部120による短時間露光距離画像の生成処理、低解像度化部130による画像の低解像度化処理、検出部140による低解像度画像からのサチュレーション領域検出処理、推定部150による特定の物体の移動距離推定処理、画像処理部160による距離画像の生成処理を含む画像処理制御を実行する。
【0031】
<画像処理装置1の処理>
図4を用いて、本実施形態に係る画像処理装置1の処理について説明する。
【0032】
制御部170は、長時間露光距離画像生成部110に対して、長時間露光距離画像を生成する長時間露光距離画像生成処理を実行するよう制御を行う(ステップS110)。
長時間露光距離画像生成部110において生成された長時間露光距離画像は、バスラインBLを介して、制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した長時間露光距離画像を記憶部210に保存する。
【0033】
制御部170は、短時間露光距離画像生成部120に対して、短時間露光距離画像を生成する短時間露光距離画像生成処理を実行するよう制御を行う(ステップS120)。
短時間露光距離画像生成部120において生成された短時間露光距離画像は、バスラインBLを介して、制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した短時間露光距離画像を記憶部210に保存する。
なお、ステップS110およびS120は、同時並行的に処理が実行させる。
【0034】
制御部170は、長時間露光距離画像生成部110により生成された長時間露光距離画像および短時間露光距離画像生成部120により生成された短時間露光距離画像を記憶部210から読み出して、低解像度化部130に出力し、低解像度化部130に長時間露光距離画像および短時間露光距離画像を低解像度化する低解像度化処理を実行するよう制御する(ステップS130)。
低解像度化部130において生成された画像は、バスラインBLを介して、制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した低解像度化画像を記憶部210に保存する。
【0035】
制御部170は、低解像度化部130により、低解像度化された長時間露光距離画像を記憶部210から読み出して、検出部140に出力し、検出部140に低解像度化された長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する検出処理を実行するよう制御する(ステップS140)。
検出部140において検出された画素領域ISAの情報は、バスラインBLを介して、制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した画素領域ISAの情報は、記憶部210に保存される。
【0036】
制御部170は、検出部140において検出された画素領域ISAの情報を記憶部210から読み出して、推定部150に出力し、推定部150に、検出された画素領域ISAの情報に基づいて、低解像度化された長時間露光距離画像内のサチュレーションが生じている画素領域ISAにおける特定の物体の移動量から特定の物体の移動距離を推定する移動距離推定処理を実行するよう制御する(ステップS150)。
推定部150において推定された特定の物体の移動距離情報は、バスラインBLを介して、制御部170に出力され、制御部170は、一時的に、入力した特定の物体の推定移動距離情報を記憶部210に保存する。
【0037】
制御部170は、長時間露光距離画像生成部110により生成された長時間露光距離画像および短時間露光距離画像生成部120により生成された短時間露光距離画像、推定部150において推定された特定の物体の移動距離情報を記憶部210から読み出して、画像処理部160に、推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域ISAについては、サチュレーションが生じている画素領域ISAの距離情報を用いて、距離画像を生成する距離画像生成処理を実行するよう制御し、画像処理部160の処理結果を運転制御部に出力して、すべての処理を終了する(ステップS160)。
【0038】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る画像処理装置1は、長時間露光距離画像と短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体IBを含む周辺領域が撮像された画素領域の画素数を圧縮し、低解像度化する低解像度化部130を備える。
前方車両の発光体IBが撮像された距離画像には、サチュレーションとサチュレーションではない光が膨張した画像も撮像される。
この膨張した光の画像を含む距離画像から距離を求めるとゴースト距離が発生する。
一方で、長時間露光距離画像と短時間露光距離画像とにおいて、前方車両の発光体IBを含む周辺領域が撮像された画素領域の画素数を圧縮し、低解像度化すると、膨張した光を捉えた画素を拡大して、サチュレーションか否かを判定できる。
そのため、距離画像を低解像度化することにより、サチュレーションか否かを的確に判定して、ゴースト距離の発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る画像処理装置1は、低解像度化された長時間露光距離画像の画素領域において、サチュレーションが生じている画素領域を検出する検出部140を備える。
つまり、検出部140は、低解像度化された長時間露光距離画像の画素領域を対象として、サチュレーションが生じている画素領域を検出する。
そのため、低解像度化された長時間露光距離画像の画素領域をサチュレーションが生じている画素領域とサチュレーションが生じていない画素領域とに明確に識別して、サチュレーションが生じている画素領域を的確に検出することができる。
また、本実施形態に係る画像処理装置1は、推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との差が所定の閾値の範囲内である場合には、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域については、サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する画像処理部160を備える。
ここで、推定された特定の物体の移動距離とは、低解像度化された長時間露光距離画像内のサチュレーションが生じている画素領域における特定の物体の移動量から特定の物体の移動距離を推定したものである。
つまり、推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との乖離が大きい場合には、サチュレーションが距離の算出に影響を与えている度合いが大きい。
そのため、推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との乖離が所定の閾値の範囲内である場合、すなわち、サチュレーションが距離の算出に影響を与えている度合いが小さく、サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を距離画像の生成にあたって用いても信頼度を損ねない場合には、サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する。
これにより、サチュレーションが発生しているような状況であっても、必要な距離情報を確保することができる。
また、所定の閾値の範囲は、自車両が走行する走行路前方の対象物、具体的には、発光体IBを備える前方車両、周辺の光を反射して撮像される歩行者や動物等との衝突を避けるためのものでもある。
特に、周辺の光を反射して撮像される歩行者や動物等から得られる距離に関する情報量は、少ない。
そのため、推定された特定の物体の移動距離と自車両の実移動距離との乖離が所定の閾値の範囲内である場合には、サチュレーションが生じている画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成することにより、自車両が走行する走行路前方の対象物との衝突を回避することができる。
したがって、本実施形態に係る画像処理装置1によれば、レンズグレアによるゴースト距離の発生を抑制し、有効な距離情報を確保することができる。
【0039】
本実施形態に係る画像処理装置1の画像処理部160は、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域と短時間露光距離画像において前方車両の発光体IBが撮像された画素領域とが重なる領域については、短時間露光距離画像において前方車両の発光体IBが撮像された画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する。
つまり、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域と短時間露光距離画像において前方車両の発光体IBが撮像された画素領域とが重なる領域は、サチュレーションが強い領域である。
そのため、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域と短時間露光距離画像において前方車両の発光体IBが撮像された画素領域とが重なる領域においては、レンズグレアの少ない短時間露光距離画像において前方車両の発光体IBが撮像された画素領域の距離情報を用いて、距離画像を生成する。
したがって、本実施形態に係る画像処理装置1によれば、レンズグレアによるゴースト距離の発生を抑制し、有効な距離情報を確保することができる。
【0040】
本実施形態に係る画像処理装置1の画像処理部160は、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域以外の画素領域については、長時間露光距離画像あるいは短時間露光距離画像の距離情報を用いて、距離画像を生成する。
つまり、長時間露光距離画像においてサチュレーションが生じている画素領域以外の画素領域については、高解像度の長時間露光距離画像あるいは高解像度の短時間露光距離画像の距離情報を用いて、距離画像を生成する。
なお、長時間露光距離画像あるいは短時間露光距離画像の距離情報のいずれを用いるのかについては、他の発光体IBによる当該画素領域におけるエッジの強さやサチュレーションの度合いによって判断することが好ましい。
【0041】
本実施形態に係る画像処理装置1の画像処理部160は、天候状態に応じて、所定の閾値の範囲および画像の圧縮画素の大きさを可変する。
つまり、天候状態が雨天や降雪等の場合には、フロントガラスの外側表面に雨水や雪が付着することによって、長時間露光距離画像あるいは短時間露光距離画像の画質が低下し、発光体IBによるサチュレーションが実際よりも拡大して撮像される可能性が大きい。
そのため、雨天や降雪等の天候状態の場合には、例えば、所定の閾値範囲を調整することが望ましい。
したがって、本実施形態に係る画像処理装置1によれば、外乱が生じた場合であっても、レンズグレアによるゴースト距離の発生を抑制し、有効な距離情報を確保することができる。
【0042】
本実施形態に係る画像処理装置1の画像処理部160は、画像に対向車両の発光体IBや道路周辺の発光体IBによる光の映り込みがあった場合には、発光体IBのサチュレーションを含む光の映り込みを除外した長時間露光距離画像あるいは短時間露光距離画像から距離画像を生成する。
つまり、対向車両の発光体IBや道路周辺の発光体IBおよび対向車両の発光体IBや道路周辺の発光体IBによるサチュレーションを含む光の映り込みを検出することは可能である。
一方で、対向車両のヘッドライト等発光体IBや道路周辺の街頭等発光体IBを検出できることにより、サチュレーションが発生している画素だけでなく、発光体IB周辺等のゴースト距離が発生しやすい領域を含むゴースト距離発生予想領域を的確に判断することができる。
そのため、ゴースト距離発生予想領域に対して、ゴースト距離の発生を抑制する処理を実行することができるため、外乱が生じた場合であっても、レンズグレアによるゴースト距離の発生を抑制し、有効な距離情報を確保することができる。
【0043】
なお、プロセッサ100の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをプロセッサ100に読み込ませ、実行することによって本発明の画像処理装置1を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0044】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0045】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0046】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1;画像処理装置
10;撮像装置
20;撮像装置
100;プロセッサ
110;長時間露光距離画像生成部
120;短時間露光距離画像生成部
130;低解像度化部
140;検出部
150;推定部
160;画像処理部
170;制御部
200;メモリ
210;記憶部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4