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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113831
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   F01P 3/18 20060101AFI20240816BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20240816BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20240816BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F01P3/18 A
F01P5/06 501
F01P5/06 510A
F01P3/18 G
F01P3/20 L
E02F9/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019058
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西出 隆史
(72)【発明者】
【氏名】本圖 誠
(72)【発明者】
【氏名】海崎 裕輝
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA02
(57)【要約】
【課題】 個々の熱交換器の冷却効率を向上できるようにする。
【解決手段】 熱交換装置14は、冷却ファン13に対面した状態で配置された第1熱交換器としてのラジエータ16と、冷却ファン13に対面した状態であって、平面視でボス13Aの少なくとも一部を挟むようにラジエータ16と間隔(空間部20)を置いて並列に配置された第2熱交換器としてのオイルクーラ19と、冷却ファン13に対して、ラジエータ16およびオイルクーラ19と直列に配置された第3熱交換器としてのコンデンサ21と、からなる。この上で、ラジエータ16とオイルクーラ19との間には、コンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27が形成されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走が可能な車体と、
前記車体に設けられ、中央のボスから径方向に延びた複数の羽根を有し、冷却風を発生する冷却ファンと、
前記車体に設けられ、前記冷却ファンが発生した冷却風により冷却される熱交換装置と、を備えてなる建設機械において、
前記熱交換装置は、
前記冷却ファンに対面した状態で配置された第1熱交換器と、
前記冷却ファンに対面した状態であって、平面視で前記ボスの少なくとも一部を挟むように前記第1熱交換器と間隔を置いて並列に配置された第2熱交換器と、
前記冷却ファンに対して、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器と直列に配置された第3熱交換器と、
からなり、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間には、通気孔が形成されることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記通気孔は、前記第3熱交換器と対面する位置に配置された複数の孔からなることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械において、
前記熱交換装置は、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間に設けられ、前記通気孔が形成されたカバー部材と、
前記第1熱交換器および前記第2熱交換器を収容する枠体と、
を有し、
前記カバー部材、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器は、それぞれ前記枠体に取り付けられることを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械において、
前記第1熱交換器および前記第2熱交換器は、原動機の冷却水を冷却するラジエータおよび作動油を冷却するオイルクーラであることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項1に記載の建設機械において、
前記熱交換装置は、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間に設けられ、前記通気孔が形成されたカバー部材を有し、
前記カバー部材は、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間に亘って延びた閉塞面部と、前記閉塞面部の幅方向の端縁から屈曲して延びた一対の側面部と、を有し、
前記一対の側面部と前記第1熱交換器および前記第2熱交換器との間には、それぞれ隙間を埋めるシール部材が設けられていることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器からなる熱交換装置を備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、自走が可能な車体と、冷却風を発生する冷却ファンと、冷却ファンに対面した状態で車体に設けられた熱交換装置と、を備えている。また、熱交換装置は、冷却ファンを取り囲むように設けられた枠体と、枠体の内部に設けられ、温度上昇した流体を冷却ファンが発生した冷却風により冷却する複数の熱交換器と、を備えている。
【0003】
ここで、冷却ファンは、中央のボスから径方向に延びた複数の羽根を有し、ボスを中心に回転されることにより冷却風を発生する軸流式の冷却ファンとして形成されている。一方、熱交換装置に設けられた複数の熱交換器としては、エンジン、電動モータ等の原動機を冷やすための冷却水を冷却するラジエータと、作業装置等を動作させるための作動油を冷却するオイルクーラと、が知られている。このラジエータとオイルクーラとは、一般に、冷却ファンに対面する位置に連続するように並べて配置されている(特許文献1)。さらに、熱交換装置には、他の熱交換器として、キャブ内の環境を整える空調装置用の冷媒を冷却するコンデンサ、エンジンに供給する燃料を冷却する燃料クーラ等が設けられている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/187571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、軸流式の冷却ファンは、中央のボス付近よりも羽根の先端側(径方向の外側)の方が多くの風量を発生し、羽根の基端側を含むボス付近では発生する風量が少ない。そのため、冷却ファンに対面する位置に複数の熱交換器を連続して並べて配置した場合、羽根の基端側を含むボス付近に配置された熱交換器には、多くの冷却風を当てることができないため、羽根の基端側を含むボス付近の熱交換器の冷却効率が低くなるという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、個々の熱交換器の冷却効率を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自走が可能な車体と、前記車体に設けられ、中央のボスから径方向に延びた複数の羽根を有し、冷却風を発生する冷却ファンと、前記車体に設けられ、前記冷却ファンが発生した冷却風により冷却される熱交換装置と、を備えてなる建設機械において、前記熱交換装置は、前記冷却ファンに対面した状態で配置された第1熱交換器と、前記冷却ファンに対面した状態であって、平面視で前記ボスの少なくとも一部を挟むように前記第1熱交換器と間隔を置いて並列に配置された第2熱交換器と、前記冷却ファンに対して、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器と直列に配置された第3熱交換器と、からなり、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間には、通気孔が形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、個々の熱交換器の冷却効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る油圧ショベルを示す左側面図である。
図2】建屋カバーを省略した状態の上部旋回体の後側部分を示す平面図である。
図3図2中の冷却ファンと熱交換装置とを示す左側面図である。
図4】冷却ファンと熱交換装置とをエンジン側から示す斜視図である。
図5】コンデンサと燃料クーラを取り外した熱交換装置と冷却ファンとを示す左側面図である。
図6】カバー部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る建設機械の代表例として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図6に従って詳細に説明する。なお、本実施形態では、上部旋回体の前後方向に対し、この前後方向に直交した水平方向を左右方向とし、各機器、部材の構成、配置について説明する。
【0011】
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、自走が可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に回動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4と、を備えている。下部走行体2と上部旋回体3は、車体を構成している。
【0012】
上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム5と、旋回フレーム5の左前側に設けられたキャブ6と、旋回フレーム5の後部に設けられたカウンタウエイト7と、旋回フレーム5上に設けられた外装カバー8と、を備えている。キャブ6は、オペレータが搭乗するもので、内部には、オペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0013】
また、外装カバー8には、後述する冷却室10の左側を覆う左側面カバー8Aが設けられている。図2に示すように、左側面カバー8Aには、冷却室10に配置される後述の熱交換装置14に向けて外部の空気を流入させる流入口8Bが設けられている。
【0014】
さらに、上部旋回体3の後側には、キャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して外装カバー8で覆われたエンジン室9とエンジン室9の左側の冷却室10(図2参照)とが設けられている。エンジン室9と冷却室10との間は、仕切板11によって仕切られている。
【0015】
エンジン12は、エンジン室9内に位置して旋回フレーム5の後側に設けられている。エンジン12は、左右方向に延在する横置き状態で設けられている。エンジン12の左側には、出力軸12Aが突出し、この出力軸12Aには、後述の冷却ファン13が取り付けられている。一方、エンジン12の右側には、油圧ポンプ(図示せず)が設けられている。この油圧ポンプは、エンジン12によって駆動されることにより、作動油を昇圧(加圧)して下部走行体2や作業装置4に設けられた各種アクチュエータ等に供給する。
【0016】
ここで、エンジン12は、電動モータまたは電動モータを備えたハイブリッドエンジン等の原動機に置き換えることができる。電動モータの場合には、後述の燃料クーラは不要になる。
【0017】
冷却ファン13は、エンジン12の出力軸12Aに取り付けられている。冷却ファン13は、エンジン12に駆動されることにより、外装カバー8の流入口8Bから外部の空気を冷却風として吸い込む吸込式の冷却ファンとして構成されている。また、冷却ファン13は、中央に位置してエンジン12の出力軸12Aに取り付けられたボス13Aと、ボス13Aから径方向に延びた複数、例えば4枚の羽根13B(図4参照)と、を有している。そして、冷却ファン13は、ボス13Aを中心に回転されることにより4枚の羽根13Bで冷却風を発生する軸流式の冷却ファンとして形成されている。なお、冷却ファン13は、エンジン12に代えて電動モータまたは油圧モータで駆動することもできる。また、羽根の枚数は4枚に限るものではない。
【0018】
ここで、軸流式の冷却ファン13は、ボス13Aを中心に回転することで、径方向に延びた4枚の羽根13Bで冷却風を発生している。従って、中心のボス13Aの位置では、冷却風を発生せず、羽根13Bの基端側(径方向の内側)では、回転時の周速が遅いために冷却風の風量が少なく、羽根13Bの先端側(径方向の外側)では、周速が早いために冷却風の風量が多くなる。即ち、軸流式の冷却ファン13は、中央のボス13A付近よりも羽根13Bの先端側の方が多くの風量を発生することができる。
【0019】
次に、流体としてのエンジン冷却水、作動油、冷媒、燃料を冷却風により冷却する本実施形態による熱交換装置14の構成について説明する。ここで、熱交換装置14は、吸込式の冷却ファン13の左側に配置されているから、左側が冷却風の流れ方向の上流側となり、右側が冷却風の流れ方向の下流側となる。
【0020】
熱交換装置14は、冷却ファン13に隣接して車体を構成する上部旋回体3に設けられている。熱交換装置14は、冷却ファン13が発生した冷却風により冷却されることにより、温度上昇した流体を冷却する。熱交換装置14は、冷却ファン13に対面した状態で旋回フレーム5上に設けられている。また、熱交換装置14は、仕切板11と協働してエンジン室9と冷却室10とを仕切っている。
【0021】
図2ないし図4に示すように、熱交換装置14は、後述の枠体15、ラジエータ16、オイルクーラ19、コンデンサ21、燃料クーラ22、カバー部材23を含んで構成されている。
【0022】
図2に示すように、枠体15は、冷却ファン13の左側に位置して旋回フレーム5上に取り付けられている。枠体15は、冷却ファン13を取り囲むように左右方向に貫通した四角形状の角枠体として形成されている。また、枠体15は、エンジン12が左右方向に延在する横置き状態に搭載された構造では、上部旋回体3の前後方向が幅方向となるように配置されている。即ち、枠体15は、前枠15A、後枠15B、上枠15Cおよび下枠15Dによって角枠体をなしている。枠体15の内部には、ラジエータ16、オイルクーラ19、コンデンサ21が収容されている。
【0023】
さらに、図4に示すように、枠体15は、前枠15A、後枠15B、上枠15Cおよび下枠15Dの右側にファンシュラウド15Eを有している。ファンシュラウド15Eは、冷却ファン13を取り囲みつつ、枠体15のエンジン12側となる右側を覆っている。これにより、ファンシュラウド15Eは、冷却ファン13の周囲で冷却風の逆流が発生しないようにして、冷却風が左側から右側に効率よく流通するようにしている。
【0024】
次に、熱交換装置14に設けられた1列目のラジエータ16、オイルクーラ19と、2列目のコンデンサ21、燃料クーラ22との構成について述べる。なお、エンジンに過給機が取り付けられている場合には、1列目または2列目の熱交換器として、過給機によって温度上昇したエンジン吸気を冷却するインタクーラを適用することができる。また、ラジエータ16とオイルクーラ19との位置を前後で逆にすることもできる。
【0025】
1列目の第1熱交換器としてのラジエータ16は、枠体15の内部に冷却ファン13に対面した状態で設けられ、温度上昇した流体としてのエンジン冷却水を冷却ファン13が発生した冷却風により冷却する。ラジエータ16は、上下方向に長尺な長方形状の外観を有し、エンジン冷却水が流通する管路と放熱用のフィンとを備えている。ラジエータ16は、上側が枠体15の上枠15Cに取り付けられ、下側が下枠15Dに取り付けられている。
【0026】
ラジエータ16は、上側がエンジン冷却水の入口側となり、下側がエンジン冷却水の出口側となる。ラジエータ16は、上側が流出ホース17を介してエンジン12のウォータジャケット(図示せず)の出口側に接続され、下側が流入ホース18を介してエンジン12のウォータジャケット(図示せず)の入口側に接続されている。これにより、ラジエータ16は、上側から流入する温度上昇したエンジン冷却水を冷却しつつ、温度の低下によって下側に流れる特性を利用してエンジン冷却水を下側から効率よく流出させることができる。
【0027】
図5に示すように、ラジエータ16は、冷却ファン13の左側に対面した位置で、枠体15の内部の後側に配置されている。この場合、ラジエータ16は、後述のオイルクーラ19と前後方向に離れた状態で冷却ファン13のボス13Aの中心Oよりも後側に配置されている。これにより、ラジエータ16は、ボス13Aや羽根13Bの基端側を避け、多くの部分が羽根13Bの先端側に対面している。
【0028】
1列目の第2熱交換器としてのオイルクーラ19は、枠体15の内部に冷却ファン13に対面した状態で設けられている。また、オイルクーラ19は、図2に示す平面視で、ボス13Aの少なくとも一部を挟むようにラジエータ16と間隔を置いて並列に配置されている。オイルクーラ19は、温度上昇した流体としての作動油を冷却ファン13が発生した冷却風により冷却する。オイルクーラ19は、上下方向に長尺な長方形状の外観を有し、作動油が流通する管路と放熱用のフィンとを備えている。オイルクーラ19は、上側が枠体15の上枠15Cに取り付けられ、下側が下枠15Dに取り付けられている。
【0029】
オイルクーラ19は、上側が作動油の入口側となり、下側が作動油の出口側となる。オイルクーラ19は、上側がアクチュエータから作動油を戻す配管に接続され、下側が作動油タンクに作動油を戻す配管(いずれも図示せず)に接続されている。これにより、オイルクーラ19は、上側から流入する温度上昇した作動油を冷却しつつ、温度の低下によって下側に流れる特性を利用して作動油を下側から効率よく流出させることができる。
【0030】
オイルクーラ19は、冷却ファン13の左側に対面した位置で、枠体15の内部の前側にラジエータ16とほぼ同一の平面をなすように配置されている。この場合、オイルクーラ19は、ラジエータ16と前後方向に離れた状態で冷却ファン13のボス13Aの中心O(図5参照)よりも前側に配置されている。これにより、オイルクーラ19は、ボス13Aや羽根13Bの基端側を避け、多くの部分が羽根13Bの先端側に対面している。
【0031】
ここで、1列目の第1熱交換器を構成するラジエータ16と第2熱交換器を構成するオイルクーラ19とは、図2に示す平面視で、冷却ファン13のボス13Aを挟む位置に空間部20をもって並んで配置されている。この場合、ラジエータ16とオイルクーラ19とが挟むボス13Aの範囲は、全部または一部でもよく、少なくとも中心Oの付近が挟まれていればよい。従って、ラジエータ16とオイルクーラ19とは、ボス13A付近の風量が少ない領域を避け、羽根13Bの先端側(径方向の外側)の風量の多い領域に配置されている。これにより、ラジエータ16とオイルクーラ19には、冷却ファン13の冷却風を全面に亘って多く当てることができる。
【0032】
2列目の第3熱交換器としてのコンデンサ21は、枠体15の内部に設けられている。コンデンサ21は、冷却ファン13に対して、ラジエータ16およびオイルクーラ19と直列に配置されている。具体的には、コンデンサ21は、冷却ファン13と反対側となる左側でラジエータ16とオイルクーラ19とに冷却風の流れ方向で重なるように配置されている。コンデンサ21は、キャブ6内の室内機(図示せず)から供給される気化(温度上昇)した冷媒の熱を放出(冷却)して液体に戻すもので、空調装置の室外機を構成している。コンデンサ21は、左右方向に長尺な長方形状の外観を有し、冷媒が流通する管路と放熱用のフィンとを備えている。コンデンサ21は、前側が枠体15の前枠15Aに取り付けられ、後側が後枠15Bに取り付けられている。
【0033】
コンデンサ21は、ラジエータ16とオイルクーラ19との左側に対面した位置で、枠体15の内部の上側に配置されている。この場合、コンデンサ21は、燃料クーラ22と上下方向に離れた状態で上側に配置されている。
【0034】
2列目の第4熱交換器としての燃料クーラ22は、枠体15の内部に設けられている。燃料クーラ22は、コンデンサ21と同様に、冷却ファン13と反対側となる左側でラジエータ16とオイルクーラ19とに冷却風の流れ方向で重なるように配置されている。燃料クーラ22は、温度上昇した流体としての燃料を冷却ファン13が発生した冷却風により冷却する。燃料クーラ22は、左右方向に長尺な長方形状の外観を有し、燃料が流通する管路と放熱用のフィンとを備えている。燃料クーラ22は、ブラケット22Aを介して下枠15Dに取り付けられている。
【0035】
カバー部材23は、枠体15に設けられている。カバー部材23は、ラジエータ16とオイルクーラ19との間に設けられている。カバー部材23は、空間部20を覆って枠体15に取り付けられている。カバー部材23は、ラジエータ16とオイルクーラ19との間に亘って延びた上下方向に長尺な長方形状の板体からなる閉塞面部23Aと、閉塞面部23Aの幅方向(前後方向)の前端縁から冷却ファン13側に屈曲して延びた前側面部23Bと、閉塞面部23Aの幅方向(前後方向)の後端縁から冷却ファン13側に屈曲して延びた後側面部23Cと、を有している。これにより、カバー部材23は、横断面がU字状に屈曲して形成されている。
【0036】
一方の側面部となる前側面部23Bとオイルクーラ19の後端部との間には、カバー部材23とオイルクーラ19との隙間を埋めるシール部材24が設けられている。また、他方の側面部となる後側面部23Cとラジエータ16の前端部との間には、カバー部材23とラジエータ16との隙間を埋めるシール部材25が設けられている。これにより、シール部材24,25は、ラジエータ16とオイルクーラ19とに向けて流れる冷却風が、流通抵抗が小さなカバー部材23とラジエータ16、オイルクーラ19との隙間を通じて冷却ファン13側に流れてしまうのを防止している。
【0037】
図6に示すように、通気孔としての複数のコンデンサ用通気孔26と通気孔としての複数の燃料クーラ用通気孔27とは、カバー部材23に設けられている。複数のコンデンサ用通気孔26は、2列目の第3熱交換器としてのコンデンサ21と対面する位置に配置されている。具体的には、複数のコンデンサ用通気孔26は、閉塞面部23Aの中間部から上部の範囲に配置されている。
【0038】
複数のコンデンサ用通気孔26は、ラジエータ16、オイルクーラ19を冷却風が通過するときの流通抵抗と同程度の抵抗を生じるように開口面積と配置間隔が設定されている。換言すると、複数のコンデンサ用通気孔26は、大きな面積差が無い程度の同等の開口面積と大きな寸法差が無い程度の同等の配置間隔をもって形成されている。
【0039】
一方、複数の燃料クーラ用通気孔27は、閉塞面部23Aの下部に配置されている。複数の燃料クーラ用通気孔27は、複数のコンデンサ用通気孔26と同様に、ラジエータ16、オイルクーラ19を冷却風が通過するときの流通抵抗と同程度の抵抗を生じるように開口面積と配置間隔が設定されている。また、複数の燃料クーラ用通気孔27は、大きな面積差が無い程度の同等の開口面積と大きな寸法差が無い程度の同等の配置間隔をもって形成されている。
【0040】
本実施形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0041】
油圧ショベル1のオペレータは、上部旋回体3のキャブ6に搭乗し、エンジン12を始動して油圧ポンプを駆動する。これにより、油圧ポンプから圧油が吐出され、この圧油は制御弁装置(図示せず)を介して、各種アクチュエータに供給される。
【0042】
キャブ6に搭乗したオペレータは、走行用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、下部走行体2により車両を前進または後退させることができる。一方、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4を回動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0043】
油圧ショベル1を稼動しているときには、冷却ファン13により外装カバー8の流入口8Bを通じて外部の空気を流入させ、この空気を冷却風として熱交換装置14のラジエータ16、オイルクーラ19、コンデンサ21、燃料クーラ22に供給することにより、それぞれを流れる流体を冷却することができる。
【0044】
かくして、本実施形態によれば、熱交換装置14は、冷却ファン13に対面した状態で配置された第1熱交換器としてのラジエータ16と、冷却ファン13に対面した状態であって、平面視でボス13Aの少なくとも一部を挟むようにラジエータ16と間隔(空間部20)を置いて並列に配置された第2熱交換器としてのオイルクーラ19と、冷却ファン13に対して、ラジエータ16およびオイルクーラ19と直列に配置された第3熱交換器としてのコンデンサ21と、からなる。この上で、ラジエータ16とオイルクーラ19との間には、コンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27が形成されている。
【0045】
従って、ラジエータ16、オイルクーラ19とは、ボス13A付近の冷却ファン13による冷却風の風量が少ない領域を避け、羽根13Bの先端側(径方向の外側)の冷却風の風量が多い領域に配置することができる。これにより、ラジエータ16の全面とオイルクーラ19の全面とに冷却風を多く当てることができる。この結果、ラジエータ16、オイルクーラ19による冷却効率を向上することができる。
【0046】
ここで、ラジエータ16とオイルクーラ19とを、冷却ファン13のボス13Aを挟む位置に空間部20をもって並んで配置した場合には、冷却風が流通抵抗の小さな空間部20を通って流れてしまい、ラジエータ16とオイルクーラ19とに向けて流れる冷却風の風量が減少してしまう。しかし、本実施形態では、ラジエータ16とオイルクーラ19との間には、コンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27が形成されているから、空間部20を通る空気量をコンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27で制限することができる。これにより、ラジエータ16とオイルクーラ19には、それぞれの全面に冷却風を多く当てることができるから、ラジエータ16、オイルクーラ19による冷却効率を向上することができる。
【0047】
また、ラジエータ16の全面とオイルクーラ19の全面とに冷却風が当たるようにすることで、冷却風が流れ易い空間部20の周囲に集中するのを防止できる。これにより、2列目のコンデンサ21の全面と燃料クーラ22の全面に均等に冷却風を当てることができ、コンデンサ21、燃料クーラ22の冷却効率も向上することができる。
【0048】
また、コンデンサ用通気孔26は、コンデンサ21と対面する位置に配置された複数の孔からなり、燃料クーラ用通気孔27は、燃料クーラ22と対面する位置に配置された複数の孔からなる。これにより、冷却風は、コンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27とを流通することができるから、重ねて配置されたコンデンサ21の全面と燃料クーラ22の全面とに冷却風を当てることができる。
【0049】
しかも、カバー部材23の複数のコンデンサ用通気孔26は、コンデンサ21と対面する位置に配置され、複数の燃料クーラ用通気孔27は、燃料クーラ22と対面する位置に配置されている。これにより、カバー部材23は、必要な位置だけにコンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27を形成すればよいから、製造コストを抑えることができる。
【0050】
熱交換装置14は、ラジエータ16とオイルクーラ19との間に設けられ、コンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27が形成されたカバー部材23と、ラジエータ16およびオイルクーラ19を収容する枠体15と、を有し、カバー部材23、ラジエータ16およびオイルクーラ19は、それぞれ枠体15に取り付けられている。これにより、熱交換装置14は、枠体15を用いて1つの構造体として容易に組み立てることができる。
【0051】
ラジエータ16およびオイルクーラ19は、原動機の冷却水を冷却するラジエータ16および作動油を冷却するオイルクーラ19である。ここで、ラジエータ16、オイルクーラ19は、比較的に熱量が多いため、必要な冷却性能を得るために面積も比較的大きくなる。このように、面積の大きなラジエータ16およびオイルクーラ19とカバー部材23とを並べて配置した構造では、枠体15の内部を覆って、枠体15の内部にスムーズな冷却風の流れが生じるように構成することができる。また、面積の大きいラジエータ16およびオイルクーラ19では、一面を覆うために、カバー部材23が複雑な形状になったり、カバー部材23が多数必要になったりするのを防止することができる。
【0052】
一方、熱交換装置14は、ラジエータ16とオイルクーラ19との間に設けられ、コンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27が形成されたカバー部材23を有し、カバー部材23は、ラジエータ16とオイルクーラ19との間に亘って延びた閉塞面部23Aと、閉塞面部23Aの幅方向の端縁から屈曲して延びた前側面部23B、後側面部23Cと、を有している。この上で、前側面部23Bとオイルクーラ19との間には、隙間を埋めるシール部材24が設けられ、後側面部23Cとラジエータ16との間には、隙間を埋めるシール部材25が設けられている。これにより、シール部材24,25は、ラジエータ16とオイルクーラ19とに向けて流れる冷却風が、流通抵抗が小さなカバー部材23とラジエータ16、オイルクーラ19との隙間を通じて冷却ファン13側に流れて冷却効率が低下するのを防止できる。
【0053】
なお、実施形態では、カバー部材23の閉塞面部23Aにコンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27とを直接的に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、閉塞面部に大きな開口を形成し、この開口を覆うようにパンチングプレートを固着することにより、閉塞面部に通気孔を設ける構成としてもよい。
【0054】
また、実施形態では、ラジエータ16とオイルクーラ19との間にカバー部材23を設け、カバー部材23にコンデンサ用通気孔26と燃料クーラ用通気孔27を形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、ラジエータの端部にオイルクーラ側まで延びる延長部を設けたり、オイルクーラの端部にラジエータ側まで延びる延長部を設けたり、ラジエータの端部とオイルクーラの端部とに互いに接近するように延長部を設けたりしてもよい。そして、前述した延長部に通気孔を設ける構成としてもよい。
【0055】
また、実施形態では、第3熱交換器としてコンデンサ21を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、第3熱交換器として、燃料クーラ、インタクーラ等を適用する構成としてもよい。
【0056】
また、実施形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
13 冷却ファン
13A ボス
13B 羽根
14 熱交換装置
15 枠体
16 ラジエータ(第1熱交換器)
19 オイルクーラ(第2熱交換器)
20 空間部
21 コンデンサ(第3熱交換器)
22 燃料クーラ
23 カバー部材
23A 閉塞面部
23B 前側面部(側面部)
23C 後側面部(側面部)
24,25 シール部材
26 コンデンサ用通気孔(通気孔)
27 燃料クーラ用通気孔(通気孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6