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特開2024-113836検出システム、作業機械、及び検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113836
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】検出システム、作業機械、及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240816BHJP
   G01C 9/00 20060101ALI20240816BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
B66F9/24 E
G01C9/00 Z
G01C15/00 104C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019069
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 馨
(72)【発明者】
【氏名】横内 禎生
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333DA08
3F333FA17
3F333FD08
(57)【要約】
【課題】走行中において、車体の加減速の影響を受けずに作業機の絶対角を検出する検出システム、作業機械、及び検出方法を提供すること。
【解決手段】検出システム30は、作業機械の車体に配置された、車体の角度を示す車体角度を検出する第1傾斜センサと、作業機械の作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する第2傾斜センサと、第1傾斜センサによって検出された車体角度と、第2傾斜センサによって検出された作業機角度とを取得するコントローラと、を備え、第1傾斜センサと第2傾斜センサとは、同じ特性を有する傾斜センサであり、コントローラは、車体角度と作業機角度とに基づいて、作業機の絶対角度を算出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の車体に配置された、車体の角度を示す車体角度を検出する第1傾斜センサと、
作業機械の作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する第2傾斜センサと、
前記第1傾斜センサによって検出された前記車体角度と、前記第2傾斜センサによって検出された前記作業機角度とを取得するコントローラと、
を備え、
前記第1傾斜センサと前記第2傾斜センサとは、同じ特性を有する傾斜センサであり、
前記コントローラは、前記車体角度と前記作業機角度とに基づいて、前記作業機の絶対角度を算出する、
検出システム。
【請求項2】
前記第1傾斜センサと前記第2傾斜センサとは、液面式傾斜センサである、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記車体角度の変動が所定のしきい値以下である場合、最新の前記車体角度を用いて前記絶対角度を算出する、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記車体角度の変動が所定のしきい値より大きい場合、前回、絶対角度の算出に用いた前記車体角度を用いて前記絶対角度を算出する、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項5】
前記第1傾斜センサは、前記車体に配置された前輪の車軸上に配置される、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項6】
前記第2傾斜センサは、前記作業機の前記車体側かつ上下方向下方の端部に配置される、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項7】
前記車体角度の変動は、過去の一定期間に検出された前記車体角度の最大値又は最小値、過去の一定期間に検出された前記車体角度の平均値と、検出された最新の車体角度との差、車体角度のローパスフィルタ後の値と、検出された最新の車体角度との差、又は、一定期間に検出された前記車体角度の変動量の総和のいずれかである、
請求項3又は4に記載の検出システム。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の検出システムと、
前記車体と、
前記作業機と、
を備える作業機械。
【請求項9】
作業機械の車体に配置された、前記車体の角度を示す車体角度を検出する第1傾斜センサと、
作業機械の作業機に配置された、前記作業機の角度を示す作業機角度を検出する第2傾斜センサと、
前記第1傾斜センサによって検出された前記車体角度と、前記第2傾斜センサによって検出された前記作業機角度とを取得するコントローラと、
を備えた作業機械のための検出方法であって、
前記車体角度と前記作業機角度とに基づいて、前記作業機の絶対角度を算出する、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出システム、作業機械、及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車体と作業機に傾斜センサが設けられ、車体側傾斜センサの検出値と作業機側傾斜センサの検出値とを比較して補正量を算出する補正量算出部と、作業機を用いた作業中において、車体側傾斜センサの検出値と補正量とに基づいて、作業機が水平に近づくように作業機の傾斜角度を変更する水平制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
車体フレームの傾斜角度を検出する車体傾斜角度センサと、作業機の傾斜角度を検出する作業機傾斜角度センサとにより検出した両傾斜角度に基づいて作業機角度を演算する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-156388号公報
【特許文献2】特開2002-096998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、シリンダストロークセンサ、角度センサ等のセンサを傾斜センサとして用いる場合、車体と作業機との相対位置が検出される。このため、作業機の地面に対する、言い換えると、重力加速度方向に対する絶対角は検出できない。例えば、車体の傾斜、荷重による作業機、車体、タイヤの変形等により検出結果に誤差が生じる。
【0006】
例えば、IMU(Inertial Measurement Unit加速度センサ)を傾斜センサとして用いる場合、作業機の地面に対する姿勢を検出できる。ところが、単体では、誤差やノイズの影響を受けやすいので、ゼロ点補正ができない。IMU単体は、車体の加減速と作業機の姿勢変化を区別できないため、車速センサ、GPS(Global Positioning System)、ジャイロ等の他のセンサと組み合わせて使う必要がある。
【0007】
例えば、液面式傾斜センサを用いる場合、作業機の地面に対する姿勢を検出できる。ところが、液面式傾斜センサ単体では車体の加減速と、作業機の姿勢変化とを区別できない。このため、車体や作業機が止っている時などに限定して使用するのに適している。
【0008】
走行中において、車体の加減速の影響を受けずに作業機の絶対角を検出することが望まれる。
【0009】
本開示の態様は、走行中において、車体の加減速の影響を受けずに作業機の絶対角を検出する検出システム、作業機械、及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の態様に従えば、作業機械の車体に配置された、車体の角度を示す車体角度を検出する第1傾斜センサと、作業機械の作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する第2傾斜センサと、前記第1傾斜センサによって検出された前記車体角度と、前記第2傾斜センサによって検出された前記作業機角度とを取得するコントローラと、を備え、前記第1傾斜センサと前記第2傾斜センサとは、同じ特性を有する傾斜センサであり、前記コントローラは、前記車体角度と前記作業機角度とに基づいて、前記作業機の絶対角度を算出する検出システムが提供される。
【0011】
本開示の態様に従えば、上記の検出システムと、前記車体と、前記作業機と、を備える作業機械が提供される。
【0012】
本開示の態様に従えば、作業機械の車体に配置された、前記車体の角度を示す車体角度を検出する第1傾斜センサと、作業機械の作業機に配置された、前記作業機の角度を示す作業機角度を検出する第2傾斜センサと、前記第1傾斜センサによって検出された前記車体角度と、前記第2傾斜センサによって検出された前記作業機角度とを取得するコントローラと、を備えた作業機械のための検出方法であって、前記車体角度と前記作業機角度とに基づいて、前記作業機の絶対角度を算出する検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本開示の態様によれば、走行中において、車体加減速の影響を受けずに作業機の絶対角を検出する検出システム、作業機械、及び検出方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係るフォークリフトを左前方斜め上側から見た斜視図である。
図2図2は、第1傾斜センサ及び第2傾斜センサの一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るフォークリフトの検出システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るコントローラの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5図5は、表示の一例を示す概略図である。
図6図6は、実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態に係るフォークリフトの制御方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0016】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、フォークリフトに規定された車体座標系の原点を基準とする相対位置又は方向を示す。
【0017】
<フォークリフト>
作業機械は、作業機を有する。実施形態においては、作業機械1がフォークリフト1であることとする。実施形態においては、作業機械1を適宜、フォークリフト1、と称する。なお、作業機械は、フォークリフトに特に限定されるものではなく、例えば、ショベル、ホイールローダ等であってもよい。
【0018】
図1は、実施形態に係るフォークリフト1を左前方斜め上側から見た斜視図である。フォークリフト1は、車体10と、図示しない動力源と、車体10の前方に配置される作業機2と、車体10を支持する走行装置と、運転室20とを備える。動力源は、図示しない油圧ポンプやトランスミッションを駆動する。動力源は、例えば、エンジンである。
【0019】
車体10の前方には、運搬物を取り上げるための作業機2が設置されている。作業機2は、リフトブラケット15と、マスト14と、フォーク13と、図示しないリフトシリンダと、図示しないチルトシリンダと、図示しないサイドシフトシリンダとを有する。マスト14は、左右軸回りに回転可能に車体10の前方に取り付けられている。マスト14は、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。リフトブラケット15は、マスト14に支持されている。リフトブラケット15は、マスト14に沿って昇降する。フォーク13は、リフトブラケット15に支持されている。フォーク13は、リフトブラケット15とともにマスト14に沿って昇降する。
【0020】
リフトシリンダは、車体10に対してリフトブラケット15とフォーク13を上下方向に移動させる。チルトシリンダは、車体10に対してマスト14を前後方向に傾斜させる。サイドシフトシリンダは、車体10に対してリフトブラケット15とフォーク13を左右方向に移動させる。
【0021】
走行装置は、フォークリフト1を走行させる。走行装置は、フォークリフト1の進行、制動、及び操舵を行う。走行装置は、前輪11と、後輪12とを有する。
【0022】
前輪11及び後輪12のそれぞれは、車体10を支持する。前輪11の少なくとも一部は、車体10よりも下方に配置される。後輪12の少なくとも一部は、車体10よりも下方に配置される。前輪11は、後輪12よりも前方に配置される。前輪11は、車体10の左側及び右側のそれぞれに配置される。後輪12は、車体10の左側及び右側のそれぞれに配置される。前輪11及び後輪12のそれぞれは、回転軸を中心に回転可能である。
【0023】
図示しない走行モータは、フォークリフト1を進行させるための駆動力を発生する。走行モータは、前輪11を回転させることによって、フォークリフト1を前進又は後進させる。走行モータは、図示しない油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動する。
【0024】
表示装置40は、運転室20に配置されている。表示装置40は、傾斜角に関する情報処理及び表示のみを行うものであってもよいし、作業機械の全体に関する情報処理及び表示を行うものであってもよい。実施形態では、傾斜角に関する情報処理及び表示のみを行うものとして説明する。表示装置40は、コントローラ50と、表示部55とを備える。
【0025】
<フォークリフトの検出システム>
図2は、第1傾斜センサ31及び第2傾斜センサ32の一例を示す図である。図3は、実施形態に係るフォークリフトの検出システム30の構成の一例を示す機能ブロック図である。図4は、実施形態に係るコントローラ50の構成の一例を示す機能ブロック図である。図6は、実施形態に係るコントローラの構成の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、フォークリフト1の検出システム30は、第1傾斜センサ31と、第2傾斜センサ32と、コントローラ50を含む表示装置40とを備える。コントローラ50は、作業機械の絶対角度を算出する。
【0026】
図2に示すように、第1傾斜センサ31は、車体の地面に対する、言い換えると、重力加速度方向に対する姿勢である車体角度の絶対角を検出する。第1傾斜センサ31は、液面式傾斜センサ又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサである。第1傾斜センサ31は、車体に配置されている。第1傾斜センサ31は、車体のうちの作業機の近傍に配置されることが好ましい。実施形態では、第1傾斜センサ31は、車体の前方に配置されている。実施形態では、第1傾斜センサ31は、前輪11の車軸上に配置されている。
【0027】
第2傾斜センサ32は、作業機の地面に対する、言い換えると、重力加速度方向に対する姿勢である絶対角を検出する。実施形態では、第2傾斜センサ32は、保持している保持コンテナの地面に対する絶対角度を検出する。第2傾斜センサ32は、第1傾斜センサ31と同じ特性を有する液面式傾斜センサ又はMEMSセンサである。第2傾斜センサ32は、作業機に配置されている。第2傾斜センサ32は、作業機のうちの車体の近傍に配置されていることが好ましい。実施形態では、第2傾斜センサ32は、フォーク13の根本側に配置されている。
【0028】
同じ特性であるとは、例えば、同じ位置に同様に配置した場合、検出結果の波形が同一になることである。第1傾斜センサ31と第2傾斜センサ32とが同じ特性であるとは、例えば、同一型番のセンサである。
【0029】
<コントローラ>
コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)のような数値演算装置(プロセッサ)を含む。実施形態では、コントローラ50は、センサデータ取得部51と、傾斜角算出部52と、表示制御部53とを備える。
【0030】
センサデータ取得部51は、第1傾斜センサ31から車体角度を取得し、第2傾斜センサ32から作業機角度を取得する。
【0031】
傾斜角算出部52は、センサデータ取得部51によって取得された車体角度と作業機角度とに基づいて、作業機の絶対角度を算出する。傾斜角算出部52は、車体角度と作業機角度との角度の差分と車体角度とから、作業機の絶対角度を算出する。傾斜角算出部52は、車体角度の変動がしきい値以下である場合、検出した最新の車体角度と、車体角度と作業機角度との角度の差分とを用いて、作業機の絶対角度を算出する。
【0032】
車体角度の変動は、例えば、以下のいずれかを変動判定値として判定する。例えば、過去の一定期間に検出された車体角度の最大値又は最小値を変動判定値としてもよい。例えば、過去の一定期間に検出された車体角度の平均値と、検出された最新の車体角度との差を変動判定値としてもよい。例えば、車体角度のローパスフィルタ後の値と、検出された最新の車体角度との差を変動判定値としてもよい。例えば、一定期間に検出された車体角度の変動量、言い換えると、前回検出された車体角度との差の総和を変動判定値としてもよい。
【0033】
傾斜角算出部52は、車体角度の変動を示す変動判定値がしきい値以下である場合、検出した最新の車体角度と、車体角度と作業機角度との角度の差分とを用いて、作業機の絶対角度を算出する。傾斜角算出部52は、車体角度の変動を示す変動判定値がしきい値以下であると判定しない場合、前回の演算に用いた車体角度と、車体角度と作業機角度との角度の差分とを用いて、作業機の絶対角度を算出する。
【0034】
傾斜角算出部52における演算に用いられた車体角度は、毎回、図示しない記憶部に上書して記憶される。
【0035】
図4を用いて、傾斜角算出部52の機能を実装する構成の一例を説明する。検出された最新の車体角度θpは、減算器521と、変動判定値算出部522と、スイッチ524とへ入力される。検出された最新の作業機角度θqは、減算器521に入力される。
【0036】
減算器521は、車体角度θpと作業機角度θqとを入力として、車体角度θpと作業機角度θqとの差分を算出する。車体角度θpと作業機角度θqとの差分計算により、フォークリフト1の加減速の影響を除いた、作業機の姿勢変化のみを示す角度が算出される。算出した差分は、加算器525へ出力される。
【0037】
変動判定値算出部522は、車体角度θpを入力として、変動判定値を算出する。変動判定値算出部522は、例えば、過去の一定期間に検出された車体角度の最大値又は最小値を変動判定値とする。変動判定値算出部522は、例えば、過去の一定期間に検出された車体角度の平均値と、検出された最新の車体角度との差分を変動判定値とする。変動判定値算出部522は、例えば、車体角度のローパスフィルタ後の値と、検出された最新の車体角度との差分を変動判定値とする。変動判定値算出部522は、例えば、一定期間に検出された車体角度の変動量、言い換えると、前回検出された車体角度との差分の総和を変動判定値とする。算出した変動判定値は、判定部523へ出力される。
【0038】
判定部523は、変動判定値がしきい値以下であるか否かを判定する。しきい値以下であると判定する場合、スイッチ524の接点524aを接点524bに接続する。しきい値以下であると判定しない場合、スイッチ524の接点524aを接点524cに接続する。
【0039】
加算器525は、角度差分である作業機の姿勢変化を、適切な車体角度によりゼロ点補正して、作業機の絶対角度を算出する。加算器525は、減算器521から出力された差分と、スイッチ524から入力された車体角度とを加算して、作業機の絶対角度θを算出する。加算器525は、スイッチ524の接点524aと接点524bとが接続されている場合、減算器521から出力された差分と、最新の車体角度とを加算して作業機の絶対角度θを算出する。加算器525は、スイッチ524の接点524aと接点524cとが接続されている場合、減算器521から出力された差分と、前回の加算器525における演算に用いられた車体角度とを加算して作業機の絶対角度θを算出する。
【0040】
加算器525における演算に用いられた車体角度は、毎回、記憶部に上書して記憶される。
【0041】
このようにして、フォークリフト1の加減速成分が相殺され、作業機の傾き成分のみが抽出される。
【0042】
表示制御部53は、表示部55に画像を表示させる画像信号を出力する。表示制御部53は、例えば、作業機の絶対角度を示す画像等を表示部55に表示させる画像信号を出力する。表示制御部53は、例えば、作業機が地面に対して水平になったことを示す画像等を表示部55に表示させる画像信号を出力する。
【0043】
図5を用いて、表示部55に表示させる画像の一例を説明する。図5は、表示の一例を示す概略図である。表示部59には、傾斜角表示部56と、差込状態表示部57とが表示される。
【0044】
傾斜角表示部56は、フォーク絵画像561と、傾斜角インジケータ562と、水平位置画像563と、後傾フォーク絵画像564と、前傾フォーク絵画像565とを有する。フォーク絵画像561は、フォーク13の側方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。図5では、傾斜角インジケータ562は、フォーク13が後傾していることを示している。図5では、傾斜角インジケータ562は、水平位置と、上方の2目盛りが点灯している。水平位置画像563は、傾斜角インジケータ562の水平を示す画像である。後傾フォーク絵画像564は、後傾したフォーク13の側方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。前傾フォーク絵画像565は、前傾したフォーク13の側方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。
【0045】
差込状態表示部57は、フォーク絵画像571と、右ランプ572と、左ランプ573とを有する。フォーク絵画像571は、フォーク13の上方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。右ランプ572は、右側のフォーク13が差込対象に差し込まれて差込途中であるときに点灯する。右ランプ572は、右側のフォーク13が差込対象に差し込まれた後、所定距離より近づいたときに消灯する。右ランプ572は、差込状態が正常である場合、点灯した後に消灯する。左ランプ573は、左側のフォーク13が差込対象に差し込まれている途中であるときに点灯する。左ランプ573は、左側のフォーク13が差込対象に差し込まれた後、所定距離より近づいたときに消灯する。左ランプ573は、差込状態が正常である場合、点灯した後に消灯する。このように、左右一対のフォーク13の差込状態が正常である場合、右ランプ572及び左ランプ573が点灯した後に消灯する。左右一対のフォーク13の差込状態が不十分である場合、右ランプ572及び左ランプ573の少なくともどちらが点灯したままになる。
【0046】
表示部55は、傾斜角を示すインジケータでもよい。表示部55は、傾斜角を表示する液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイでもよい。表示部55は、コントローラ50から送信された画像を表示する。
【0047】
図6は、実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。コントローラ50は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPUのようなプロセッサ1001と、ROMのような不揮発性メモリ及びRAMのような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述のコントローラ50の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0048】
<コントローラによる処理>
フォークリフト1の起動中に、図7に示す処理が実行される。図7は、実施形態に係るフォークリフト1の制御方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
コントローラ50は、作業機角度を取得する(ステップST11)。より詳しくは、コントローラ50は、センサデータ取得部51によって、第2傾斜センサ32から作業機角度を取得する。コントローラ50は、ステップST12へ進む。
【0050】
コントローラ50は、車体角度を取得する(ステップST12)。より詳しくは、コントローラ50は、センサデータ取得部51によって、第1傾斜センサ31から車体角度を取得する。コントローラ50は、ステップST13へ進む。
【0051】
コントローラ50は、作業機の絶対角度を算出する(ステップST13)。より詳しくは、コントローラ50は、傾斜角算出部52によって、車体角度と作業機角度との角度の差分と車体角度とから、作業機の絶対角度を算出する。さらに詳しくは、コントローラ50は、傾斜角算出部52によって、車体角度θpと作業機角度θqとの差分計算により、フォークリフト1の加減速の影響を除いた、作業機の姿勢変化のみを示す角度を算出する。コントローラ50は、傾斜角算出部52によって、車体角度θpを入力として、変動判定値を算出する。コントローラ50は、傾斜角算出部52によって、変動判定値がしきい値以下であるか否かを判定する。コントローラ50は、傾斜角算出部52によって、車体角度の変動がしきい値以下である場合、検出した最新の車体角度と、車体角度と作業機角度との角度の差分とを用いて、作業機の絶対角度を算出する。コントローラ50は、傾斜角算出部52によって、車体角度の変動を示す変動判定値がしきい値以下であると判定しない場合、前回の演算に用いた車体角度と、車体角度と作業機角度との角度の差分とを用いて、作業機の絶対角度を算出する。
【0052】
<効果>
以上説明したように、実施形態では、車体に配置した第1傾斜センサ31と、作業機に配置した第2傾斜センサ32とは、同じ特性を有する傾斜センサである。実施形態では、コントローラ50は、車体角度と作業機角度とに基づいて、作業機の絶対角度を算出する。実施形態は、同じ特性を有する傾斜センサを用いることにより、簡易な演算により、車体の加減速の影響を除いて、作業機の絶対角を検出できる。実施形態によれば、走行中において、車体の加減速の影響を受けずに作業機の絶対角を検出できる。
【0053】
実施形態では、第1傾斜センサ31と第2傾斜センサ32とは、液面傾斜式センサである。実施形態によれば、安価な液面式傾斜センサ2個、又は、MEMSセンサ2個のみで、走行中でも車体加減速の影響を受けずに作業機絶対角を検出できる。
【0054】
実施形態では、車体角度の変動が所定のしきい値以下である場合、最新の車体角度を用いて絶対角度を算出する。実施形態によれば、車体の揺れが所定値以下であれば、最新の車体角度を用いて絶対角度を検出できる。実施形態によれば、車体の揺れが小さい場合、適切な絶対角度を算出できる。
【0055】
実施形態では、車体角度の変動が所定のしきい値より大きい場合、前回、絶対角度の算出に用いた車体角度を用いて絶対角度を検出できる。実施形態によれば、車体揺れが大きい場合、絶対角度を仮に検出できる。
【0056】
実施形態では、第1傾斜センサ31は、車体に配置された前輪の車軸上に配置される。実施形態によれば、走行中において、車体の揺れによる影響を抑える位置に第1傾斜センサ31を配置することができる。実施形態によれば、絶対角度の精度を向上することができる。
【0057】
実施形態では、第2傾斜センサ32は、作業機の車体側かつ上下方向下方の端部に配置される。実施形態によれば、絶対角度の精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…フォークリフト(フォークリフト)、10…車体、11…前輪、12…後輪、13…フォーク、14…マスト、20…運転室、30…検出システム、31…第1傾斜センサ、32…第2傾斜センサ、40…表示装置、50…コントローラ、51…センサデータ取得部、52…傾斜角算出部、53…表示制御部、55…表示部、θp…車体角度、θq…作業機角度、θ…絶対角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7