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特開2024-113852伝送方向判定装置、伝送方向判定方法、プログラム、伝送方向判定用モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113852
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】伝送方向判定装置、伝送方向判定方法、プログラム、伝送方向判定用モジュール
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/079 20130101AFI20240816BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20240816BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20240816BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240816BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240816BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240816BHJP
   H04J 14/00 20060101ALN20240816BHJP
【FI】
H04B10/079
H01S3/067
H01S3/10 D
G02B6/32
G02B6/42
G02B6/02 461
H04J14/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019094
(22)【出願日】2023-02-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】下村 優輔
(72)【発明者】
【氏名】竹下 仁士
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
5F172
5K102
【Fターム(参考)】
2H137AB01
2H137AB05
2H137BA07
2H137BA16
2H137BA18
2H137BB14
2H137BB17
2H137BC02
2H137BC12
2H137BC31
2H137BC53
2H250AC64
2H250AC83
2H250AC94
2H250AC95
2H250AH33
2H250AH38
2H250CD22
5F172AM01
5F172AM08
5F172BB03
5K102AA15
5K102AL13
5K102LA02
5K102LA11
5K102LA26
5K102LA52
5K102MH04
5K102MH14
5K102MH22
5K102PA00
5K102PH13
5K102PH31
5K102RB02
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】光ファイバにおいて伝送される光の伝送方向を判定する。
【解決手段】第一レンズが、一方のマルチコアファイバから他方の光ファイバへ伝搬する光を平行光にする。第二レンズが、第一レンズから伝搬した光を集光する。部分反射ミラーが、平行光の一部を反射する。光検出器が、部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、部分反射ミラーの他方の面側とに配置される。伝送方向判定部が、光検出器それぞれの信号強度から光ファイバのコアを伝搬する光の伝送方向を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、
前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、
前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、
前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、
前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段と、
を備える伝送方向判定装置。
【請求項2】
前記第一レンズは、互いに対向する二つのマルチコアファイバのうちの一方のマルチコアファイバの複数の各コアから出力し他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光に形成し、
前記第二レンズは、前記第一レンズから伝搬した光を集光して、前記一方のマルチコアファイバの複数の各コアから出力した各光を前記他方のマルチコアファイバの対応するコアへ集光し、
前記部分反射ミラーは、前記一方のマルチコアファイバと前記他方のマルチコアファイバの出力した平行光の所定割合をそれぞれ反射する少なくとも二つの反射面を表裏に有し、前記平行光の前記所定割合を除く光を前記他方のマルチコアファイバの方向へ透過し、
前記光検出器は、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定する前記反射面それぞれに対応して設けられ、
前記伝送方向判定手段は、前記反射面それぞれに対応する光検出器の検出した信号強度に基づいて互いに対向する二つの前記マルチコアファイバの間を伝搬する光の伝送方向を判定する
請求項1に記載の伝送方向判定装置。
【請求項3】
前記部分反射ミラーは、一方のマルチコアファイバから前記他方のマルチコアファイバへ伝搬する光に含まれる信号光の波長域の光を透過し、当該透過した光と比較して小さい割合であって当該信号光の波長域の光の前記所定割合を前記反射面において反射する
請求項2に記載の伝送方向判定装置。
【請求項4】
前記部分反射ミラーは、当該部分反射ミラーの表裏の面において、一方のマルチコアファイバから前記他方のマルチコアファイバへ伝搬する光に含まれる信号光の波長域の光を透過し、当該透過した光と比較して小さい割合であって当該信号光の波長域の光の前記所定割合を前記反射面において反射すると共に、当該信号光の波長域よりも短い波長域の光を前記一方の面において反射するダイクロイックミラーである
請求項2に記載の伝送方向判定装置。
【請求項5】
前記マルチコアファイバは、光の伝送路であるコアに希土類元素が添加されており、
前記信号光の波長域よりも短い波長域の光は、前記希土類元素が添加された前記コアの電子エネルギー準位を上げて希土類元素を励起状態にする励起光であり、
前記第二レンズは、前記励起光を前記他方のマルチコアファイバへ集光する
請求項4に記載の伝送方向判定装置。
【請求項6】
前記伝送方向判定手段は、前記光検出器の検出した光の信号強度が所定の閾値以上か否かを判定し、当該光の信号強度が所定の閾値以上の場合に前記互いに対向する二つの前記マルチコアファイバの間を伝搬する光の伝送方向を判定し、当該光の信号強度が所定の閾値未満の場合にエラーを出力する
請求項2から請求項5の何れか一項に記載の伝送方向判定装置。
【請求項7】
複数の光ファイバをまとめた一方の光ファイバ束から他方の光ファイバ束へ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、
前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、
前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、
前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、
前記光検出器それぞれの信号強度から前記光ファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段と、
を備える伝送方向判定装置。
【請求項8】
第一レンズが、一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にし、
第二レンズが、前記第一レンズから伝搬した光を集光し、
部分反射ミラーが、前記平行光の一部を反射し、
光検出器が、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置され、
伝送方向判定部が、前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する
伝送方向判定方法。
【請求項9】
一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、
前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、
前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、
前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、を備える伝送方向判定装置のコンピュータを、
前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段、
として機能させるプログラム。
【請求項10】
一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、
前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、
前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、
前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、
を備える伝送方向判定用モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、伝送方向判定装置、伝送方向判定方法、プログラム、伝送方向判定用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット通信トラフィック需要の増大に応えるため、光ファイバ伝送の伝送容量拡大が急務である。しかし、シングルコアファイバの伝送容量は、伝送帯域の制限、周波数利用効率向上の限界、光中継器の雑音抑制の限界などから100Tbit/Sが上限だと考えられている。そこで、伝送信号を空間的に分割多重送信する空間分割多重技術が近年注目されている。空間分割多重技術の1つであるマルチコアファイバは、1本のファイバ内に複数のコアを持ち、伝送容量の拡大だけでなく、コア毎に伝送方向を可変にすることでトラフィック需要の非対称性を効率よく収容することも提案されている。マルチコアのコア毎に伝送方向を変えるためにはコア内を伝搬する信号光の伝送方向を判定する技術が必要不可欠である。前記の技術はマルチコアファイバの伝送路中や、マルチコアファイバの各コアをFI/FO(Fan-in/Fan-out)などの分岐装置によってシングルコアファイバに分岐したシングルコアファイバの伝送路中で使用することが考えられる。
【0003】
特許文献1には、レンズと部分反射ミラーと光検出器で構成された各コアの信号光の有無を判定する方法が開示されている。この方法はマルチコアファイバの伝送路中に部分反射ミラーを挿入することで、信号光の一部を伝送路外へ反射させて光検出器でその強度を測定することで、信号光の有無を判定し故障などを検知する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-222310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような光ファイバの技術において、コアを伝送する光の伝送方向を検知できる技術が求められている。
【0006】
この開示は、上記の課題を解決する伝送方向判定装置、伝送方向判定方法、プログラム、伝送方向判定用モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示の第1の態様によれば、伝送方向判定装置は、一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段と、を備える。
【0008】
この開示の第2の態様によれば、伝送方向判定方法は、第一レンズが、一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にし、第二レンズが、前記第一レンズから伝搬した光を集光し、部分反射ミラーが、前記平行光の一部を反射し、光検出器が、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置され、伝送方向判定部が、前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する。
【0009】
この開示の第3の態様によれば、プログラムは、一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、を備える伝送方向判定装置のコンピュータを、前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段、として機能させる。
【0010】
この開示の第4の態様によれば、伝送方向判定用モジュールは、一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、を備える。
【0011】
この開示の第5の態様によれば、伝送方向判定装置は、一方の光ファイバ束から他方の光ファイバ束へ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マルチコアファイバにおいて伝送される光の伝送方向を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態による伝送方向判定装置の第一の模式図である。
図2】本発明の第1実施形態による伝送方向判定装置の第二の模式図である。
図3】本実施形態によるマルチコアファイバの断面模式図である。
図4】本発明の第1実施形態において光検出器が検出する光強度と閾値の関係を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態において信号光の伝搬方向を判定する処理の第一のフローチャートを示す図である。
図6】本発明の第1実施形態において信号光の伝搬方向を判定する処理の第二のフローチャート。
図7】本発明の第2実施形態による伝送方向判定装置の模式図である。
図8】希土類添加マルチコアファイバの断面模式図である。
図9】本発明の第2実施形態によるダイクロイックミラーの透過率と反射率を示す図である。
図10】本実施形態によるマルチコアファイバに添加された希土類元素のエネルギー準位を示す図である。
図11】本発明の第3実施形態による伝送方向判定装置の模式図である。
図12】本発明の第3実施形態によるダイクロイックミラーの透過率と反射率を示す図である。
図13】本発明の第4実施形態による伝送方向判別装置の模式図である。
図14】本発明の第4実施形態による光ファイバ束の断模式図である。
図15】伝送方向判定装置の最小構成を示す機能ブロック図である。
図16】最小構成の伝送方向判定装置による処理フローを示す図である。
図17】伝送方向判定部(伝送方向判定手段)を実現可能な計算処理装置のハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
[構造の説明]
図1は本発明の第1実施形態による伝送方向判定装置の第一の模式図である。
図2は本発明の第1実施形態による伝送方向判定装置の第二の模式図である。
伝送方向判定装置1はマルチコアファイバ11とマルチコアファイバ12と光学部100(伝送方向判定用モジュール101)と伝送方向判定部200で構成されている。伝送方向判定用モジュール101を構成する光学部100は、マルチコアファイバ11の各コア11a~11dまたはマルチコアファイバ12の各コア12a~12dを伝搬する信号光17a~17dを、他方のマルチコアファイバへ伝搬する中空部110を有する。中空部110には、レンズ15、レンズ16、ミラー13、光検出器14が設けられる。
【0015】
レンズ15とレンズ16は、マルチコアファイバ11とマルチコアファイバ12のうちの一方のマルチコアファイバから出射する光を平行光にし、かつ、平行光を他方のマルチコアファイバの各コアへ集光する。つまり、レンズ15、レンズ16それぞれは、互いに対向する二つのマルチコアファイバのうちの一方のマルチコアファイバの複数の各コアから出力し他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光に形成する第一レンズの機能を備える。また、レンズ15、レンズ16それぞれは、他方のレンズが第一レンズである場合に、当該第一レンズから伝搬した光を集光して、一方のマルチコアファイバの複数の各コアから出力した各光を他方のマルチコアファイバの対応するコアへ集光する第二レンズの機能を備える。
【0016】
ミラー13は、信号光17a~17dの一部を反射する性質をもった部分反射ミラーである。ミラー13は、マルチコアファイバ11とマルチコアファイバ12のうちの一方のマルチコアファイバと他方のマルチコアファイバの出力した平行光の所定割合をそれぞれ反射する少なくとも二つの反射面を表裏に有する。ミラー13は、平行光の所定割合を除く光を他方のマルチコアファイバの方向へ透過する。より具体的には、ミラー13は、マルチコアファイバ11とマルチコアファイバ12のうちの一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光に含まれる信号光の波長域の光を透過し、当該透過した光と比較して小さい割合であって当該信号光の波長域の光の所定割合を表裏の反射面において反射する。
【0017】
光検出器14は、光検出器14a~14dと光検出器14a’~14d’により構成される。光検出器14a、14a’はコア11aからコア12aへ、またはコア12aからコア11aへ伝搬する光の強度を検出する。同様に小文字のアルファベットで区別される各光検出器14は、同一の小文字アルファベットで区別される一方のマルチコアファイバのコアから他方のマルチコアファイバのコアへ伝搬する信号光の強度を検出する。なお、図1中には、説明の便宜上、光検出器14a、14a’と光検出器14b、14b’の2対の光検出器を図示している。図2中には、説明の便宜上、光検出器14c、14c’と光検出器14d、14d’の2対の光検出器を図示している。実際には、これら光検出器14a~14dと光検出器14a’~14d’は共に光学部100に含まれる。
【0018】
伝送方向判定部200は光検出器14a~14dと光検出器14a’~14d’のそれぞれと接続し、各光検出器の光強度を比較して各コアを伝搬する信号光の伝送方向を判定する機能を有する。なお、図1には記載していないが、伝送方向判定部200は、伝送方向の判定結果を外部に送信するための信号ケーブルが接続されていてよい。
【0019】
本開示では、マルチコアファイバの一例として4つのコアを有するマルチコアファイバ11、12を用いて説明する。しかしながら、他の態様においては、各マルチコアファイバは、4つ以外の複数のコアを有するものであってよい。その場合、マルチコアファイバが有するコアの数nだけ、光検出器のn対が光学部100に設けられる。
【0020】
図3は本実施形態によるマルチコアファイバの断面模式図である。
図3(a),(b)に示すように、マルチコアファイバ11、12はクラッド11’、12’の内部に4つのコア11a~11d、12a~12dを備えている。マルチコアファイバ11、12は実際に使用する際にコア数の制限はない。ただし、マルチコアファイバ11、12のコア数は同数にする方が望ましい。
【0021】
マルチコアファイバ11、12を伝搬する光を信号光と称し、コア11a~11d、12a~12dを伝搬する光をそれぞれ信号光17a~17dと称する。各コアを伝搬する信号光は任意の方向で伝搬することができるが、本開示における説明では、図1図2に示すように信号光17aはコア11aからコア12aへ伝搬し、信号光17bはコア12bからコア11bへ伝搬し、信号光17cはコア11cからコア12cへ伝搬し、信号光17dはコア12dからコア11dへ伝搬するものとして以下説明をする。
【0022】
レンズ15はマルチコアファイバ11とミラー13の間に設けられ、マルチコアファイバ11のコア11a~11dから出射した光を平行光線にし、ミラー13を透過しマルチコアファイバ11方向に伝送される信号光をマルチコアファイバ11のコア11a~11dそれぞれに集光する。
【0023】
レンズ16はマルチコアファイバ12とミラー13の間に設置され、マルチコアファイバ12のコア12a~12dから出射した光を平行光線にし、ミラー13を透過しマルチコアファイバ12方向に伝送される信号光をマルチコアファイバ12のコア12a~12dに集光する。
【0024】
ミラー13は信号光17a~17dの一部(所定の割合)を反射し、ほとんどを透過させる性質を有する。ミラー13のマルチコアファイバ11側の反射面で反射された信号光は反射光17a’~17d’と称し、ミラー13のマルチコアファイバ12側の反射面で反射された信号光は反射光17a”~17d”と称することとする。ミラー13は反射光17a’~17d’、17a”~17d”を、各マルチコアファイバ間を伝送する光信号の伝送経路外に出射するために一定の角度がつけられている。当該ミラー13の角度に基づいて、光検出器14a~14dと光検出器14a’~14d’とがそれぞれ配置されている。
【0025】
光検出器14a~14dは、信号光17a~17dがミラー13のマルチコアファイバ11側の反射面で反射された反射光17a’~17d’を検知できる場所に設置される。また、光検出器14a~14dは伝送に使用するマルチコアファイバのコア数と同数配置するのが望ましい。
【0026】
光検出器14a’~14d’は、信号光17a~17dがミラー13のマルチコアファイバ12側の反射面で反射された反射光17a”~17d”を検知できる場所に設置される。また、光検出器14a’~14d’は伝送に使用するマルチコアファイバのコア数と同数配置するのが望ましい。
【0027】
図1においては、マルチコアファイバ11のコア11aからマルチコアファイバ12のコア12aへ光学部100の中空部110を介して伝搬する信号光の所定の割合がミラー13の一方の反射面で反射して光検出器14aで光を検出した場合を示している。また図1においては、マルチコアファイバ12のコア12bからマルチコアファイバ11のコア11bへ光学部100の中空部110を介して伝搬する信号光の所定の割合がミラー13の他方の反射面で反射して光検出器14b’で光を検出した場合を示している。
【0028】
図2においては、マルチコアファイバ12のコア12dからマルチコアファイバ11のコア11dへ光学部100の中空部110を介して伝搬する信号光の所定の割合がミラー13の一方の反射面で反射して光検出器14d’で光を検出した場合を示している。また図2においては、マルチコアファイバ11のコア11cからマルチコアファイバ12のコア12cへ光学部100の中空部110を介して伝搬する信号光の所定の割合がミラー13の他方の反射面で反射して光検出器14cで光を検出した場合を示している。各光検出器14は、伝送方向判定部200へ検出した光の強度を出力する。
【0029】
以降、本実施形態においては説明を簡単にするために、図3に示すマルチコアファイバ11、12のA-A線断面上のコア11a、11b、12a、12bに着目した模式図である図1と、B-B線断面上のコア11c、11d、12c、12dに着目した模式図である図2とを用いて説明を行う。
【0030】
まず、図1を用いて各コアを伝搬する信号光の伝送方向の判定方法を説明する。図1に示すように、信号光17aはコア11aから12aへ伝搬しており、ミラー13のマルチコアファイバ11側の反射面で一部が反射され反射光17a’が発生する。光検出器14aは、反射光17a’の光強度を測定する。
【0031】
一方、コア12aから11aへ信号光は伝搬していないため、ミラー13のマルチコアファイバ12側の反射面で反射される光(すなわち反射光17a”)はないため、光検出器14a’で光強度はほとんど検出されない。
【0032】
図4は第1実施形態において光検出器が検出する光強度と閾値の関係を示す図である。
図4に光検出器14aと14a’で検出する光強度を示す。伝送方向判定部200では光検出器14aと14a’の光強度を比較する。伝送方向判定部200は、光検出器14aで検出した光強度が光検出器14a’で検出した光強度よりも大きいことから信号光17aはコア11aからコア12aへ伝搬していると判断する。
【0033】
同様に、図1に示すように、信号光17bはコア12bから11bへ伝搬しており、ミラー13のマルチコアファイバ12側の反射面で一部が反射され反射光17b”が発生する。光検出器14b’は反射光17b”の光強度を測定する。
【0034】
一方、コア11bから12bへ信号光は伝搬していないため、ミラー13のマルチコアファイバ11側の反射面で反射される光(すなわち反射光17b’)はないため、光検出器14bで光強度はほとんど検出されない。
【0035】
図4に光検出器14bと14b’で検出する光強度を示す。伝送方向判定部200では光検出器14bと14b’の光強度を比較する。伝送方向判定部200は、光検出器14b’で検出した光強度が光検出器14bで検出した光強度よりも大きいことから信号光17bはコア12bからコア11bへ伝搬していると判断する。
【0036】
図2に示す信号光17c、17dの伝送方向の判定も図1と同様に、伝送方向判定部200信号光17cの伝送方向は光検出器14c、14c’で検出した光強度を比較してコア11cから12cへ伝搬していると判断する。また伝送方向判定部200は、信号光17dの伝送方向は光検出器14d、14d’の光強度を比較してコア12dからコア11dへ伝搬していると判断する。光検出器14c、14c’、14d、14d’が測定した光強度を図4に示す。
【0037】
図5は第1実施形態において信号光の伝搬方向を判定する処理の第一のフローチャートを示す図である。
伝送方向判定部200は、識別子xにa~dの何れかを代入し、コアxについての処理を開始する(ステップS101)。伝送方向判定部200は、コアxの信号光を検出する光検出器14xと光検出器14x’で検出した光強度を測定する(ステップS102)。伝送方向判定部200は、光検出器14x’の検出した光強度より光検出器14xの検出した光強度が大きいかを判定する(ステップS103)。伝送方向判定部200は、光検出器14x’の検出した光強度より光検出器14xの検出した光強度が大きい場合、信号光の伝送方向はマルチコアファイバ11のコア11xからマルチコアファイバ12のコア12xであると判定する(ステップS104)。伝送方向判定部200は、光検出器14x’の検出した光強度より光検出器14xの検出した光強度が大きいと判定できない場合、信号光の伝送方向はマルチコアファイバ12のコア12xからマルチコアファイバ11のコア11xであると判定する(ステップS105)。伝送方向判定部200は、識別子xを次の設定していない符号(a~dのうち設定していない符号)がある場合には、次の識別子の処理を行うと判定する(ステップS106)。
【0038】
なお、伝送方向判定部200において伝送方向を判定するための光検出器14の組で、どちらの信号も光強度が図4に示す光強度の閾値を超えていなかった場合、または、どちらの信号も閾値を超えていた場合、伝送になんらかの故障が生じたとして故障を検知したことを知らせる信号を発する機能を備えてよもよい。
【0039】
図6は第1実施形態において信号光の伝搬方向を判定する処理の第二のフローチャートを示す図である。上述のステップS101~ステップS106における、ステップS103の処理の後に、以下の処理を行ってもよい。つまり、伝送方向判定部200は、ステップS103において、光検出器14x’の検出した光強度より光検出器14xの検出した光強度が大きい場合、光検出器14xで検出した光強度が閾値を下回っているかを判定する(ステップS201)。伝送方向判定部200は、光検出器14xで検出した光強度が閾値を下回っていない場合、ステップS104のように信号光の伝送方向はマルチコアファイバ11のコア11xからマルチコアファイバ12のコア12xであると判定する。伝送方向判定部200は、光検出器14xで検出した光強度が閾値を下回っている場合、エラーと判定し、エラー信号を所定の出力先へ送信する(ステップS202)。
【0040】
伝送方向判定部200は、ステップS103において、光検出器14x’の検出した光強度より光検出器14xの検出した光強度が大きいと判定できない場合、光検出器14x’で検出した光強度が閾値を下回っているかを判定する(ステップS203)。伝送方向判定部200は、光検出器14x’で検出した光強度が閾値を下回っていない場合、ステップS105のように信号光の伝送方向はマルチコアファイバ12のコア12xからマルチコアファイバ11のコア11xであると判定する。伝送方向判定部200は、光検出器14x’で検出した光強度が閾値を下回っている場合、エラーと判定し、エラー信号を所定の出力先へ送信する(ステップS204)。
【0041】
[効果の説明]
以上より、本発明の第1実施形態ではミラー13の一方の反射面側に光検出器14a~14d、他方の面側に光検出器14a’~14d’を配置したことで、1地点で各コアを伝搬する信号光の伝送方向を判定することができる。関連する技術では信号光の伝送方向を判定するために、伝送路の2地点に部分反射ミラー挿入することが必要となるが、本開示では部分反射ミラー(ミラー13)を伝送路の1地点に挿入するので光損失が半分などに減じられ、伝送方向判定装置1の装置規模も半分などの小型化を図ることができる。
【0042】
[第2実施形態]
[構造の説明]
図7は本発明の第2実施形態による伝送方向判定装置の第一の模式図である。
図7はマルチコアファイバ11において図3で示すA-A線断面上のコア11a、11bおよび、図8に示す希土類添加マルチコアファイバのA-A線断面上のコア20a、20bに着目した模式図である。本実施の形態は、説明を簡単にするため図7に従って説明を行う。
【0043】
図7に示すように、第1実施形態と比較して第2実施形態ではマルチコアファイバ12が希土類添加マルチコアファイバ20に変更されている。また第2実施形態に係る光学部100においてはミラー13の代わりに、ミラー13と同様に表裏の反射面それぞれにおいて信号光を透過または一部反射すると共に、励起光18を反射する性質を有するダイクロイックミラー19と19’を備える点で第1実施形態と異なる。
【0044】
第2実施形態による、ダイクロイックミラー19’は、信号光の波長域よりも短い波長域の光(励起光)を少なくとも一方の面(例えば、図7のダイクロイックミラー19においてはマルチコアファイバ20側の面、図7のダイクロイックミラー19’においてはダイクロイックミラー19側の面)において反射するダイクロイックミラーである。
【0045】
図8は希土類添加マルチコアファイバ20の断面模式図である。希土類添加マルチコアファイバ20は外部クラッド20’と内部クラッド20”とコア20a~20dとで構成される。信号光の伝搬はコア20a~20dで行われ、このコアには信号光の波長域で蛍光を有する希土類元素が添加されている。この希土類添加マルチコアファイバ20において、信号光と異なる波長の励起光18を内部クラッド20”へ入射されると、コア20a~20dに添加されている希土類元素が励起光18を吸収し、吸収した励起光のエネルギーによって希土類元素の電子エネルギー準位が上がる(図10参照)。この状態を励起状態と呼び、励起状態は一定の確率でよりエネルギーの低い準位へ遷移していき、このときに希土類元素は信号光と同じ波長域の蛍光を発する。
【0046】
以上より、第2実施形態における伝送方向判定装置1は、光増幅を行うために信号光と同じ波長域の蛍光を発する希土類元素を添加した希土類添加マルチコアファイバ20へ、希土類元素を励起状態へ励起させるための励起光18を内部クラッド20”へ入射する構成を有する。このように、信号光をコア20a~20dに入射することで、希土類添加マルチコアファイバ20は伝送される信号光を増幅する。
【0047】
再び図7を参照し、ダイクロイックミラー19、19’は信号光17a、17bを透過し、信号光よりも低波長の励起光18を反射する性質を有する。ダイクロイックミラー19は完全に信号光17a、17bを透過することができず、信号光17a(17b)の一部(所定の割合)がダイクロイックミラー19のマルチコアファイバ11(20)側で反射され反射光17a’(17b”)が生じる。
【0048】
図9は第2実施形態によるダイクロイックミラー19と19’の透過率と反射率の変化を示す図である。ダイクロイックミラー19と19’は、信号光の波長域においてほとんどの光を透過し、一部(所定割合)の光を反射する。図9に示すように、信号光は完全に透過するわけではなくダイクロイックミラー19(19’)に入射した信号光の一部(所定割合は例えば約1%)は反射される。当該透過と反射の割合は一般的に信号光の参照に使われる20dB光カプラーと同程度である。また図9で示すように、ダイクロイックミラー19と19’は、信号光よりも波長の短い励起光の波長域において、励起光をほぼと反射し、一部(所定割合はわずか1%程度などの割合)を透過する。
【0049】
第2実施形態の伝送方向判定部200による伝送方向の判定は第1の実施の形態と同様に、図5および図6で示すフローチャートに従って行う。
【0050】
なお、反射光17a”~17d”は希土類添加マルチコアファイバ20で光増幅された信号光の反射光であるため、ダイクロイックミラー19のマルチコアファイバ11側の反射面で反射した反射光17a’~17d’よりも光強度が高い。従って、反射光17a”~17d”はダイクロイックミラー19’を透過した際に光損失が生じても光検出器14a’~14d ’で検知できる程度の強度を有する。
【0051】
[効果の説明]
本発明の第2の実施の形態ではダイクロイックミラー19と19’を使用することで励起光と信号光を分離することができ、光検出器14a~14dと光検出器14a’~14d’は信号光のみを検出することが可能になる。その結果、光増幅器の近傍でも各コアを伝搬する信号光の伝送方向を判定することができる。関連する技術では信号光の伝送方向を判定するために、伝送路の2地点に部分反射ミラー挿入される必要があったが、本開示の伝送方向判定装置1では、部分反射ミラー(ダイクロイックミラー19)を伝送路の1地点に挿入するので光損失が半分などに減じられ、伝送方向判定装置1の装置規模も半分などの小型化を図ることができる。
【0052】
[第3の実施の形態]
[構造の説明]
図11図3(a)で示すA-A線断面上のコア11a、11bおよび、図8に示す希土類添加マルチコアファイバのA-A線断面上のコア20a、20bに着目した模式図である。本実施形態は、説明を簡単にするため図11に従って説明を行う。
【0053】
図11に示すように、第3実施形態に係る光学部100は、第2実施形態に係る光学部100と比較すると、励起光18を透過し信号光を反射する性質を有するダイクロイックミラー19’を備える点で異なる。ダイクロイックミラー19’は図12に示すように、信号光波長域を反射し励起光波長域を透過する性質を有する。
【0054】
図12にダイクロイックミラー19’の波長による反射率と透過率の変化を示す。ダイクロイックミラー19’は、励起光の波長域においてほとんどの光を透過し、一部(所定割合はわずか1%程度などの割合)の励起光を反射する。また図12で示すように、ダイクロイックミラー19’は、励起光よりも波長の長い信号光の波長域において、当該信号光をほぼ反射し、一部(所定割合はわずか1%程度などの割合)を透過する。
【0055】
第3実施形態の伝送方向判定部200による伝送方向の判定は第1実施形態と同様に、図5および図6で示すフローチャートに従って行う。
【0056】
[効果の説明]
本発明の第3実施形態では、マルチコアファイバ11のコア11a~11dから光を入射し、光検出器14a~14dで検出される光強度が最大になるようにダイクロイックミラー19の角度を調整し、希土類添加マルチコアファイバ20のコア20a~20dから光を入射して光検出器14a’~14d’で検出される光強度が最大になるようにダイクロイックミラー19’の角度を調整することができる。第1実施形態ではミラー13(部分反射ミラー)、第2実施形態ではダイクロイックミラー19の1枚の角度で光検出器14a~14d、14a’~14d’へ入射する光の経路を最適化する必要があったが、第3実施形態ではダイクロイックミラー19、19’の2枚のミラー角度を調整できるため、光検出器14a~14dと光検出器14a’~14d’の設置位置を、独立に最適化することができる。
【0057】
[第4実施形態]
[構造の説明]
図13は第4実施形態による伝送方向判定装置の模式図である。
図13に示すように、第4実施形態による伝送方向判定装置は、光ファイバをまとめた光ファイバ束40~41の間に光学部100が設置される。
【0058】
図14に光ファイバ束40と41の断面模式図を示す。光ファイバ束40は光ファイバ30~33で構成され、光ファイバ束41も同様に光ファイバ34~37で構成されている。なお、図14に記載の光ファイバ束40,41を構成する光ファイバは説明のために単一コアにしているが、実際に使用する場合は光ファイバの種類に指定はなく単一コアやマルチコアファイバ、あるいは単一コアとマルチコアファイバの混合でも良い。また、光ファイバ束40,41は説明のために4本の光ファイバの束にしているが、実際に使用する場合には光ファイバの本数や束ね方に制約はない。
【0059】
以降の説明では図14に記載のA-A線断面上の光ファイバ30、31、36、37に着目した模式図である図13を用いて行う。
光ファイバ30から光ファイバ37へ伝搬する信号光を17a、光ファイバ36から光ファイバ31へ伝搬する信号光を17bとする。
【0060】
ミラー13は第1実施形態と同様に信号光17a,17bの一部を反射する性質をもった部分反射ミラーである。
【0061】
光検出器14a,14bは、信号光17aが部分反射ミラー13のマルチコアファイバ束40側の反射面で反射された反射光17a’を検知できる場所に設置される。また、光検出器14a,14bは伝送に使用する光ファイバが単一コアの場合は光ファイバの本数と同数、マルチコアファイバの場合はマルチコアファイバのコア数×マルチコアファイバの本数の数だけ配置するのが望ましい。
【0062】
光検出器14a’,14b’は、信号光17bが部分反射ミラー13のマルチコアファイバ束41側の反射面で反射された反射光17b”を検知できる場所に設置される。また、光検出器14a’,14b’は伝送に使用する光ファイバが単一コアの場合は光ファイバの本数と同数、マルチコアファイバの場合はマルチコアファイバのコア数×マルチコアファイバの本数の数だけ配置するのが望ましい。
【0063】
第4実施形態の伝送方向判定部200による伝送方向の判定は第1実施形態と同様に、図5および図6で示すフローチャートに従って行う。
【0064】
[効果の説明]
本発明の第4実施形態では、複数の光ファイバのまとまりであるファイバ束の各コアを伝搬する信号光の伝搬方向を判別することができる。関連する技術では、複数の光ファイバがあった場合に、光ファイバ毎に伝送方向判別モジュールを設置する必要があったが、本実施形態では複数の光ファイバをまとめることで伝送方向判別モジュールの設置個所を1か所にまとめることができ装置の設置規模を縮小が実現できる。
【0065】
<第5実施形態>
図15は伝送方向判定装置の最小構成を示す機能ブロック図である。
図16は最小構成の伝送方向判定装置による処理フローを示す図である。
伝送方向判定装置1は、少なくとも、第一レンズ150、第二レンズ160、部分反射ミラー130、光検出器140a,140a’を備える光学部100(伝送方向判定用モジュール101)と、伝送方向判定手段210とにより構成される。
第一レンズ150は、一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする(ステップS301)。
第二レンズ160は、第一レンズ150から伝搬した光を集光する(ステップS302)。
部分反射ミラー130は、平行光の一部を反射する(ステップS303)。
光検出器140a,140a’は、部分反射ミラー130で反射した信号光の強度を測定するために、部分反射ミラーの一方の面側と、部分反射ミラーの他方の面側とに配置され、反射した信号光を検出する(ステップS304)。
伝送方向判定手段210は、光検出器140a,140a’それぞれの信号強度からマルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する(ステップS305)。
【0066】
なお上述の各実施形態においてマルチコアファイバに代えて単一コアの光ファイバを用いてもよい。この場合、伝送方向判定装置1は、光ファイバにおけるコアを伝送する信号光の伝送方向を同様に判定してよい。
【0067】
(ハードウェア構成)
図17は、この開示の各実施形態に係る伝送方向判定部200(伝送方向判定手段210)を実現可能な計算処理装置80のハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
伝送方向判定部200(伝送方向判定手段210)を、1つの計算処理装置(情報処理装置、コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。
【0068】
計算処理装置80は、中央処理演算装置(Central_Processing_Unit、以降「CPU」と表す)81、揮発性記憶装置82、ディスク83、不揮発性記録媒体84、及び、通信インタフェース(以降、「通信IF」と表す)87を有する。計算処理装置80は、入力装置85、出力装置86に接続可能であってもよい。計算処理装置80は、通信IF87を介して、他の計算処理装置、及び、通信装置と情報を送受信することができる。
【0069】
不揮発性記録媒体84は、コンピュータが読み取り可能な、たとえば、コンパクトディスク(Compact_Disc)、デジタルバーサタイルディスク(Digital_Versatile_Disc)である。また、不揮発性記録媒体84は、ユニバーサルシリアルバスメモリ(USBメモリ)、ソリッドステートドライブ(Solid_State_Drive)等であってもよい。不揮発性記録媒体84は、電力を供給しなくても係るプログラムを保持し、持ち運びを可能にする。不揮発性記録媒体84は、上述した媒体に限定されない。また、不揮発性記録媒体84の代わりに、通信IF87、及び、通信ネットワークを介して係るプログラムを持ち運びしてもよい。
【0070】
揮発性記憶装置82は、コンピュータが読み取り可能であって、一時的にデータを記憶することができる。揮発性記憶装置82は、DRAM(dynamic random Access memory)、SRAM(static random Access memory)等のメモリ等である。
【0071】
すなわち、CPU81は、ディスク83に格納されているソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム:以下、単に「プログラム」と称する)を、実行する際に揮発性記憶装置82にコピーし、演算処理を実行する。CPU81は、プログラム実行に必要なデータを揮発性記憶装置82から読み取る。表示が必要な場合に、CPU81は、出力装置86に出力結果を表示する。外部からプログラムを入力する場合に、CPU81は、入力装置85からプログラムを読み取る。CPU81は、図2(または図3)に示す各部が表す機能(処理)に対応するところの揮発性記憶装置82にある解析プログラム(図4、または、図5)を解釈し実行する。CPU81は、上述した各実施形態において説明した処理を実行する。すなわち、このような場合に、上述の各実施形態は、係る解析プログラムによっても成し得ると捉えることができる。さらに、係る解析プログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体によっても、この開示の各実施形態は成し得ると捉えることができる。
【0072】
伝送方向判定部200(伝送方向判定手段210)は電子回路、電気回路等によって構成されてもよい。
【0073】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0074】
(付記1)
一方のマルチコアファイバから他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、
前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、
前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、
前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、
前記光検出器それぞれの信号強度から前記マルチコアファイバの各コアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段と、
を備える伝送方向判定装置。
【0075】
(付記2)
前記第一レンズは、互いに対向する二つのマルチコアファイバのうちの一方のマルチコアファイバの複数の各コアから出力し他方のマルチコアファイバへ伝搬する光を平行光に形成し、
前記第二レンズは、前記第一レンズから伝搬した光を集光して、前記一方のマルチコアファイバの複数の各コアから出力した各光を前記他方のマルチコアファイバの対応するコアへ集光し、
前記部分反射ミラーは、前記一方のマルチコアファイバと前記他方のマルチコアファイバの出力した平行光の所定割合をそれぞれ反射する少なくとも二つの反射面を表裏に有し、前記平行光の前記所定割合を除く光を前記他方のマルチコアファイバの方向へ透過し、
前記光検出器は、前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定する前記反射面それぞれに対応して設けられ、
前記伝送方向判定手段は、前記反射面それぞれに対応する光検出器の検出した信号強度に基づいて互いに対向する二つの前記マルチコアファイバの間を伝搬する光の伝送方向を判定する
付記1に記載の伝送方向判定装置。
【0076】
(付記3)
前記部分反射ミラーは、一方のマルチコアファイバから前記他方のマルチコアファイバへ伝搬する光に含まれる信号光の波長域の光を透過し、当該透過した光と比較して小さい割合であって当該信号光の波長域の光の前記所定割合を前記反射面において反射する
請求項1または付記2に記載の伝送方向判定装置。
【0077】
(付記4)
前記部分反射ミラーは、当該部分反射ミラーの表裏の面において、一方のマルチコアファイバから前記他方のマルチコアファイバへ伝搬する光に含まれる信号光の波長域の光を透過し、当該透過した光と比較して小さい割合であって当該信号光の波長域の光の前記所定割合を前記反射面において反射すると共に、当該信号光の波長域よりも短い波長域の光を前記一方の面において反射するダイクロイックミラーである
付記1または付記2に記載の伝送方向判定装置。
【0078】
(付記5)
前記マルチコアファイバは、光の伝送路であるコアに希土類元素が添加されており、
前記信号光の波長域よりも短い波長域の光は、前記希土類元素が添加された前記コアの電子エネルギー準位を上げて希土類元素を励起状態にする励起光であり、
前記第二レンズは、前記励起光を前記他方のマルチコアファイバへ集光する
付記4に記載の伝送方向判定装置。
【0079】
(付記6)
前記伝送方向判定手段は、前記光検出器の検出した光の信号強度が所定の閾値以上か否かを判定し、当該光の信号強度が所定の閾値以上の場合に前記互いに対向する二つの前記マルチコアファイバの間を伝搬する光の伝送方向を判定し、当該光の信号強度が所定の閾値未満の場合にエラーを出力する
付記2から付記5の何れか一つに記載の伝送方向判定装置。
【0080】
(付記7)
前記部分反射ミラーは、互いに対向する二つの前記マルチコアファイバの間において、前記信号光の伝送路外に前記所定割合の光が反射されるよう固定される
付記2から付記6の何れか一つに記載の伝送方向判定装置。
【0081】
(付記8)
一方の光ファイバから他方の光ファイバへ伝搬する光を平行光にする第一レンズと、
前記第一レンズから伝搬した光を集光する第二レンズと、
前記平行光の一部を反射する部分反射ミラーと、
前記部分反射ミラーで反射された信号光の強度を測定するために部分反射ミラーの一方の面側と、前記部分反射ミラーの他方の面側とに配置した光検出器と、
前記光検出器それぞれの信号強度から前記光ファイバのコアを伝搬する光の伝送方向を判定する伝送方向判定手段と、
を備える伝送方向判定装置。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、マルチコアファイバを利用した光ファイバ通信のコア毎の伝送方向の判定といった用途に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1・・・伝送方向判定装置
100・・・光学部
110・・・中空部
200・・・伝送方向判定部
11,12・・マルチコアファイバ
11a~11d,12a~12d,20a~20d・・・コア
13・・・ミラー
19,19’・・・ダイクロイックミラー
14(14a~14d,14a’~14d’)・・・光検出器
15,16・・・レンズ
20・・・希土類添加マルチコアファイバ
20’・・・外部クラッド
20”・・・内部クラッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17