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特開2024-113856フォークリフト用カメラ及びフォークリフト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113856
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】フォークリフト用カメラ及びフォークリフト
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B66F9/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019099
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 馨
(72)【発明者】
【氏名】横内 禎生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 周志
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333DA02
3F333DB01
3F333FA27
3F333FA36
3F333FD11
(57)【要約】
【課題】コンテナを輸送するフォークリフトにおいて、荷取り時及び荷置き時に適切な撮影範囲を撮影するフォークリフト用カメラ及びフォークリフトを提供すること。
【解決手段】フォークリフト用カメラ30は、フォークリフトの前方を撮影するカメラであって、フォークリフトのマスト14に対して上下動可能に配置されたリフトブラケット15の下部であって、左右方向の中央に固定され、光軸Cは、水平よりも下方を向いて配置され、荷取り時は、フォーク13の爪先13aと、コンテナ100に形成されたフォークの挿込孔101とが撮影範囲Aに含まれ、荷置き時は、フォーク13が運搬するコンテナ100に配置されたロック凸部と、コンテナ100が荷置きされる位置に配置されたロック装置のロック凹部とが撮影範囲に含まれる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトの前方を撮影するカメラであって、
フォークリフトのマストに対して上下動可能に配置されたリフトブラケットの下部であって、左右方向の中央に固定され、
光軸は、水平よりも下方を向いて配置され、
荷取り時は、フォークの爪先と、コンテナに形成された前記フォークの挿込孔とが撮影範囲に含まれ、
荷置き時は、前記フォークが運搬する前記コンテナに配置されたロック凸部と、前記コンテナが荷置きされる位置に配置されたロック装置のロック凹部とが撮影範囲に含まれる、
フォークリフト用カメラ。
【請求項2】
荷取り時とは、前記フォークの前記爪先と前記コンテナとの距離が所定距離以下となったときである、
請求項1に記載のフォークリフト用カメラ。
【請求項3】
荷置き時とは、前記フォークの前記リフトブラケットと前記コンテナとの距離が所定距離以下となったときである、
請求項1に記載のフォークリフト用カメラ。
【請求項4】
撮影範囲の垂直方向の角度のうち、水平より上方の角度は、15°以上25°以下である、
請求項1に記載のフォークリフト用カメラ。
【請求項5】
撮影範囲の垂直方向の角度のうち、水平より下方の角度は、58°以上62°以下である、
請求項1に記載のフォークリフト用カメラ。
【請求項6】
撮影範囲の垂直方向の角度は、75°以上85°以下であり、
前記撮影範囲の垂直方向の角度のうち、水平より上方の角度は、15°以上25°以下であり、
前記撮影範囲の垂直方向の角度のうち、水平より下方の角度は、58°以上62°以下である、
請求項1に記載のフォークリフト用カメラ。
【請求項7】
撮影範囲の垂直方向の角度は、75°以上85°以下であり、
前記光軸は、15°以上25°以下、水平より下方に傾いている、
請求項1に記載のフォークリフト用カメラ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のフォークリフト用カメラと、
車体と、
前記マストと、
前記フォークと、
を備えるフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォークリフト用カメラ及びフォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトは、運転席からフォーク先端を視認しにくい。オペレータの視覚を補助するために、作業機や車体にカメラを設置し、運転席に配置されたモニタへ表示する。パレット挿入口の位置を確認可能にするために、フォークリフトのリフトブラケットの下部であって、両フォークのほぼ中間であって両フォークの先端とほぼ同じ高さ位置にカメラを配置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-002395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンテナを輸送するフォークリフトでは、コンテナをフォークリフトで荷取りする際に、フォークの爪先と、コンテナの挿込孔との位置を合わせて荷取りする。コンテナをトラックや貨物列車などに荷置きする際に、コンテナと、トラック又は貨物列車に配置されたロック機構との位置を合わせて荷置きする。このように、荷取り時と荷置き時とでは、撮影したい対象が異なる。
【0005】
しかしながら、撮影したい対象ごとにカメラ及びモニタを設置すると、コストが増加する。撮影したい対象ごとに設置したカメラを、1台のモニタで切り替えて表示する場合、オペレータによる切り替え操作が必要になる。撮影したい対象ごとに設置したカメラを、1台のモニタに画面分割して表示した場合、映像が確認しにくくなる可能性がある。
【0006】
本開示の態様は、コンテナを輸送するフォークリフトにおいて、荷取り時及び荷置き時に適切な撮影範囲を撮影するフォークリフト用カメラ及びフォークリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様に従えば、フォークリフトの前方を撮影するカメラであって、フォークリフトのマストに対して上下動可能に配置されたリフトブラケットの下部であって、左右方向の中央に固定され、光軸は、水平よりも下方を向いて配置され、荷取り時は、フォークの爪先と、コンテナに形成された前記フォークの挿込孔とが撮影範囲に含まれ、荷置き時は、前記フォークが運搬する前記コンテナに配置されたロック凸部と、前記コンテナが荷置きされる位置に配置されたロック装置のロック凹部とが撮影範囲に含まれる、フォークリフト用カメラが提供される。
【0008】
本開示の態様に従えば、上記のフォークリフト用カメラと、前記車体と、前記マストと、前記フォークと、を備えるフォークリフトが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様によれば、コンテナを輸送するフォークリフトにおいて、荷取り時及び荷置き時に適切な撮影範囲を撮影するフォークリフト用カメラ及びフォークリフトが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るフォークリフトを左前方斜め上側から見た斜視図である。
図2図2は、カメラの設置位置を説明するために、フォークを前方から見た正面図である。
図3図3は、カメラの設置位置を説明するために、フォークを左方から見た側面図である。
図4図4は、荷取り時の撮影範囲を示す概略図である。
図5図5は、荷置き時の撮影範囲を示す概略図である。
図6図6は、荷取り時に撮影される映像の撮影範囲を示す模式図である。
図7図7は、荷置き時に撮影される映像の撮影範囲を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0012】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、フォークリフトに規定された車体座標系の原点を基準とする相対位置又は方向を示す。
【0013】
<フォークリフト>
図1は、実施形態に係るフォークリフトを左前方斜め上側から見た斜視図である。図2は、カメラの設置位置を説明するために、フォークを前方から見た正面図である。図3は、カメラの設置位置を説明するために、フォークを左方から見た側面図である。フォークリフト1は、車体10と、図示しない動力源と、車体10の前方に配置される作業機2と、車体10を支持する走行装置と、運転室20とを備える。動力源は、図示しない油圧ポンプやトランスミッションを駆動する。動力源は、例えば、エンジンである。実施形態では、フォークリフト1は、コンテナであるコンテナを輸送するフォークリフトである。
【0014】
車体10の前方には、運搬物を取り上げるための作業機2が設置されている。作業機2は、マスト14と、左右一対のフォーク13と、図示しないリフトシリンダと、図示しないチルトシリンダと、図示しないサイドシフトシリンダとを有する。マスト14は、左右軸回りに回転可能に車体10の前方に取り付けられている。マスト14は、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。左右一対のフォーク13は、矩形の枠状のリフトブラケット15を介してマスト14に支持されている。左右一対のフォーク13及びリフトブラケット15は、マスト14に沿って昇降する。
【0015】
リフトシリンダは、車体10に対して左右一対のフォーク13を上下方向に移動させる。チルトシリンダは、車体10に対してマスト14を前後方向に傾斜させる。サイドシフトシリンダは、車体10に対して左右一対のフォーク13を左右方向に移動させる。
【0016】
走行装置は、フォークリフト1を走行させる。走行装置は、フォークリフト1の進行、制動、及び操舵を行う。走行装置は、前輪11と、後輪12とを有する。
【0017】
前輪11及び後輪12のそれぞれは、車体10を支持する。前輪11の少なくとも一部は、車体10よりも下方に配置される。後輪12の少なくとも一部は、車体10よりも下方に配置される。前輪11は、後輪12よりも前方に配置される。前輪11は、車体10の左側及び右側のそれぞれに配置される。後輪12は、車体10の左側及び右側のそれぞれに配置される。前輪11及び後輪12のそれぞれは、回転軸を中心に回転可能である。
【0018】
図示しない走行モータやトランスミッションは、フォークリフト1を進行させるための駆動力を発生する。走行モータやトランスミッションは、前輪11を回転させることによって、フォークリフト1を前進又は後進させる。走行モータは、図示しない油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動する。
【0019】
このように構成されたフォークリフト1による荷取り作業、荷置き作業について説明する。コンテナ100をフォークリフト1で荷取りする際に、フォーク13の爪先13aと、コンテナ100の挿込孔101との位置を合わせて荷取りする。コンテナ100をトラックや貨物列車などに荷置きする際に、コンテナ100のロック凸部102と、トラック又は貨物列車に配置されたロック機構110のロック凹部111との位置を合わせて荷置きする。コンテナ100のロック凸部102が、ロック機構110のロック凹部111に挿入されると、コンテナ100とロック機構110との位置ずれが規制される。
【0020】
<カメラ>
フォークリフト用カメラであるカメラ30は、フォークリフト1の前方を撮影する。カメラ30は、リフトブラケット15の下部中央に配置されている。カメラ30は、少なくともレンズがリフトブラケット15より下方に突出するように配置されている。カメラ30は、フォークリフト1のマスト14に対して上下動可能に配置されたリフトブラケット15の下部であって、左右方向の中央に固定されている。カメラ30は、左右のフォーク13の中心部に配置されている。図2において、右方に配置されたフォーク13とカメラ30の中心との距離をL11、左に配置されたフォーク13とカメラ30の中心との距離をL12とする。カメラ30は、L11とL12とが同じ長さとなる位置に配置されている。
【0021】
カメラ30は、レンズの中心軸である光軸Cが水平よりも下方を向いている。光軸Cは、15°以上25°以下、水平より下方に傾いている。
【0022】
カメラ30の撮影範囲Aの垂直方向の角度θ1+θ2+θ3は、75°以上85°以下である。カメラ30の垂直方向の撮影範囲において、水平より上方に位置する撮影範囲は角度θ1である。カメラ30の垂直方向の撮影範囲において、水平より下方かつ光軸Cより上方に位置する撮影範囲は角度θ2である。カメラ30の垂直方向の撮影範囲において、光軸Cより下方に位置する撮影範囲は角度θ3である。カメラ30の撮影範囲Aの垂直方向の角度θ1+θ2+θ3は、75°以上85°以下である。撮影範囲Aの垂直方向の角度のうち、水平より上方の角度θ1は、15°以上25°以下である。撮影範囲Aの垂直方向の角度のうち、水平より下方の角度θ2+θ3は、58°以上62°以下である。
【0023】
カメラ30は、フォークリフト1の荷置き時、又は、荷取り時に、フォーク13とコンテナとを撮影する。
【0024】
荷取り時とは、フォーク13に荷物が支持されていない状態で、フォーク13の爪先13aとコンテナ100との距離L13が所定距離以下となったときである。距離L13の所定距離は、例えば、0m以上2m以下の長さである。
【0025】
荷置き時とは、フォーク13にコンテナ100が支持された状態で、リフトブラケット15の前側の端部とコンテナ100との距離L14が所定距離以下となったときである。距離L14の所定距離は、例えば、0cm以上数10cm以下の長さである。所定距離の上限は、リフトブラケット15の前側端部からフォーク13の爪先13aまでの距離である。
【0026】
図4は、荷取り時の撮影範囲を示す概略図である。カメラ30の撮影範囲には、フォークリフト1の荷取り時には、コンテナ100と、挿込孔101と、左右一対のフォーク13の爪先13aとが含まれる。カメラ30の撮影範囲には、荷取り時には、左右一対のフォーク13の中間部の下方が含まれる。カメラ30の撮影範囲のうち垂直方向の上方向は、コンテナ100とフォーク13の爪先13aとの距離L13が0m以上2m以下の範囲で、フォーク13の爪先13aとコンテナ100の挿込孔101とが映るように、カメラ30の取付け位置の高さ及び光軸の角度が設定される。
【0027】
フォーク13がコンテナ100の挿込孔101に挿入された状態では、カメラ30の撮影範囲のうち垂直方向の上方向の一部は、コンテナ100のみが撮影される。カメラ30の撮影範囲のうち垂直方向の残りの部分は、コンテナ100の下方が撮影される。
【0028】
図5は、荷置き時の撮影範囲を示す概略図である。カメラ30の撮影範囲には、フォークリフト1の荷置き時には、フォーク13で運搬しているコンテナ100の下部に設けられたロック凸部102と、ロック機構110のロック凹部111とが含まれる。カメラ30の撮影範囲のうち下方向は、荷置き状態であるときに、ロック機構110のロック凹部111が視認できる画角に設定されている。より詳しくは、カメラ30の撮影範囲のうち下方向は、荷置き状態であるときに、ロック凹部111の、コンテナ100に配置されたロック凸部102と向かい合う面の表面の凹凸を含めた形状が表示される。
【0029】
荷置き状態とは、リフトブラケット15の前側の端部とコンテナ100との距離L14が所定距離以下であって、コンテナ100のロック機構110からの距離L15が、ロック機構110に対して、ロック機構110の高さH1と同等以下に近づいた状態である。
【0030】
図6を用いて、荷取り時の撮影範囲について説明する。図6は、荷取り時に撮影される映像の撮影範囲を示す模式図である。モニタ200には、コンテナ100と、挿込孔101と、左右一対のフォーク13の爪先13aとが1つの映像内に表示される。
【0031】
図7を用いて、荷置き時の撮影範囲について説明する。図7は、荷置き時に撮影される映像の撮影範囲を示す模式図である。モニタ200には、フォーク13で運搬しているコンテナ100の下部に設けられたロック凸部102と、ロック機構110のロック凹部111とが1つの映像内に表示される。モニタ200には、ロック凹部111の、コンテナ100に配置されたロック凸部102と向かい合う面の表面の凹凸を含めた形状が表示される。
【0032】
このように構成されたカメラ300で撮影された映像は、例えば、運転室20に設置されたモニタ200に表示される。オペレータは、荷取り時は、モニタ200の映像を視認して、フォーク13の爪先13aと、コンテナ100の挿込孔101との位置を合わせる。オペレータは、荷置き時は、モニタ200の映像を視認して、フォーク13が支持するコンテナ100のロック凸部102と、ロック機構110のロック凹部111との位置を合わせる。
【0033】
<効果>
以上説明したように、実施形態では、カメラ30の光軸Cは、水平よりも下方を向いて配置されている。実施形態では、荷取り時は、左右一対のフォーク13の爪先13aと、コンテナ100に形成されたフォークの挿込孔101とが撮影範囲に含まれる。実施形態では、荷置き時は、フォーク13が運搬するコンテナ100に配置されたロック凸部102と、コンテナ100が荷置きされる位置に配置されたロック機構110のロック凹部111とが撮影範囲に含まれる。実施形態によれば、コンテナ100を輸送するフォークリフト1において、1台のカメラ30によって、荷取り時及び荷置き時に適切な撮影範囲を撮影できる。
【0034】
実施形態では、荷取り時及び荷置き時のどちらも、撮影範囲に表示したい対象、言い換えると、オペレータが確認したい対象が撮影されている。実施形態によれば、1つの映像内で、対象をモニタ200に表示できる。実施形態によれば、モニタ200の表示を切り替える必要がない。実施形態によれば、1つの映像内に表示されているので、撮影したい対象ごとに設置したカメラを、1台のモニタ200に画面分割して表示した場合に比べて、確認しやすい映像を表示できる。
【0035】
本実施形態では、1台のモニタ200によって、荷取り時及び荷置き時に荷取り時及び荷置き時に適切な撮影範囲をそれぞれ表示できる。
【符号の説明】
【0036】
1…フォークリフト(フォークリフト)、2…作業機、10…車体、11…前輪、12…後輪、13…フォーク、14…マスト、15…リフトブラケット、20…運転室、30…カメラ(フォークリフト用カメラ)、100…コンテナ、101…挿込孔、102…ロック凸部、110…ロック機構、111…ロック凹部、200…モニタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7