(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113857
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】表示システム、フォークリフト、及び表示方法
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
B66F9/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019100
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横内 禎生
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 馨
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333CA24
3F333DB01
3F333FA13
3F333FA36
3F333FD08
3F333FD14
(57)【要約】
【課題】フォークの傾斜の角度である作業機角度とフォークの差込状態とを、容易に確認可能にする表示システム、フォークリフト、及び表示方法を提供すること。
【解決手段】表示システム30は、フォークリフトの作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する作業機傾斜センサと、作業機のフォークの積荷に対する差込状態を検出する差込センサと、作業機傾斜センサによって検出された作業機角度と、差込センサによって取得された差込センサデータとを取得するコントローラと、作業機角度を示す傾斜角表示部56、及び、差込状態を示す差込状態表示部57を1画面で表示する表示部59と、を備え、コントローラは、作業機角度と差込センサデータとに基づいて、作業機角度及び差込状態を、傾斜角表示部56及び差込状態表示部57に表示させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトの作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する作業機傾斜センサと、
前記作業機のフォークの積荷に対する差込状態を検出する差込センサと、
前記作業機傾斜センサによって検出された前記作業機角度と、前記差込センサによって取得された差込センサデータとを取得するコントローラと、
前記作業機角度を示す傾斜角表示部、及び、前記差込状態を示す差込状態表示部を1画面で表示する表示部と、
を備え、
前記コントローラは、前記作業機角度と前記差込センサデータとに基づいて、前記作業機角度及び前記差込状態を、前記傾斜角表示部及び前記差込状態表示部に表示させる、
表示システム。
【請求項2】
前記傾斜角表示部は、前記作業機角度に応じた所定角度毎の目盛り状に形成されている、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記傾斜角表示部は、前記作業機角度が水平を示す水平位置の目盛りと、前記水平位置の上下の目盛りとでは色を変えて表示する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記傾斜角表示部は、目盛りが扇形の弧に沿って配置されている、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記差込状態表示部は、左右一対の前記フォークの差込状態をそれぞれ表示する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項6】
前記差込状態表示部は、左右一対の前記フォークの少なくともどちらかの差込が不十分である場合に表示される、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項7】
前記傾斜角表示部は、1画面において前記差込状態表示部より上方に配置されている、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項8】
前記傾斜角表示部は、1画面において前記差込状態表示部より下方に配置されている、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項9】
前記表示部は、運転席の前側方に配置されている、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の表示システムと、
車体と、
前記作業機と、
を備えるフォークリフト。
【請求項11】
フォークリフトの作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する作業機傾斜センサと、
前記作業機のフォークの積荷に対する差込状態を検出する差込センサと、
前記作業機傾斜センサによって検出された前記作業機角度と、前記差込センサによって取得された差込センサデータとを取得するコントローラと、
前記作業機角度を示す傾斜角表示部、及び、前記差込状態を示す差込状態表示部を1画面で表示する表示部と、
を備えたフォークリフトのための表示方法であって、
前記作業機角度と前記差込センサデータとに基づいて、前記作業機角度及び前記差込状態を、前記傾斜角表示部及び前記差込状態表示部に表示させる、
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システム、フォークリフト、及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトのマストの傾斜角度を表示するマスト傾斜角指示器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、フォークリフトのチルトシリンダの前後の動きをリンク機構でオペレータ近くへ伝達し、指示メータの表示針の回転の動きに変換する。
【0003】
フォークリフトの左右一対のフォークとフォーク当接物との当接位置を表示する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-294399号公報
【特許文献2】特開2018-177514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォークリフトによる荷取り時又は荷置き時、オペレータは、フォークが水平になったことを確認してから、荷取り又は荷置きを実施する必要がある。荷取り時には、オペレータは、フォークが適切に差し込まれていることを確認する必要がある。
【0006】
そこで、フォークの傾斜の角度である作業機角度とフォークの差込状態とを、容易に確認可能にすることが望まれる。
【0007】
本開示の態様は、フォークの傾斜の角度である作業機角度とフォークの差込状態とを、容易に確認可能にする表示システム、フォークリフト、及び表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様に従えば、フォークリフトの作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する作業機傾斜センサと、前記作業機のフォークの積荷に対する差込状態を検出する差込センサと、前記作業機傾斜センサによって検出された前記作業機角度と、前記差込センサによって取得された差込センサデータとを取得するコントローラと、前記作業機角度を示す傾斜角表示部、及び、前記差込状態を示す差込状態表示部を1画面で表示する表示部と、を備え、前記コントローラは、前記作業機角度と前記差込センサデータとに基づいて、前記作業機角度及び前記差込状態を、前記傾斜角表示部及び前記差込状態表示部に表示させる、表示システムが提供される。
【0009】
本開示の態様に従えば、上記の表示システムと、車体と、前記作業機と、を備えるフォークリフトが提供される。
【0010】
本開示の態様に従えば、フォークリフトの作業機に配置された、作業機の角度を示す作業機角度を検出する作業機傾斜センサと、前記作業機のフォークの積荷に対する差込状態を検出する差込センサと、前記作業機傾斜センサによって検出された前記作業機角度と、前記差込センサによって取得された差込センサデータとを取得するコントローラと、前記作業機角度を示す傾斜角表示部、及び、前記差込状態を示す差込状態表示部を1画面で表示する表示部と、を備えたフォークリフトのための表示方法であって、前記作業機角度と前記差込センサデータとに基づいて、前記作業機角度及び前記差込状態を、前記傾斜角表示部及び前記差込状態表示部に表示させる、表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の態様によれば、フォークの傾斜の角度である作業機角度とフォークの差込状態とを、容易に確認可能にする表示システム、フォークリフト、及び表示方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係るフォークリフトを左前方斜め上側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、運転席に配置された表示装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るフォークリフトの表示システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコントローラの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るフォークリフトの制御方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0014】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、フォークリフトに規定された車体座標系の原点を基準とする相対位置又は方向を示す。
<フォークリフト>
作業機械は、作業機を有する。実施形態においては、作業機械1がフォークリフト1である。実施形態においては、作業機械1を適宜、フォークリフト1、と称する。なお、作業機械は、フォークリフトに特に限定されるものではなく、例えば、ショベル、ホイールローダ等であってもよい。
【0015】
図1は、実施形態に係るフォークリフト1を左前方斜め上側から見た斜視図である。フォークリフト1は、車体10と、図示しない動力源と、車体10の前方に配置される作業機2と、車体10を支持する走行装置と、運転室20とを備える。動力源は、図示しない油圧ポンプやトランスミッションを駆動する。動力源は、例えば、エンジンである。
【0016】
車体10の前方には、運搬物を取り上げるための作業機2が設置されている。作業機2は、リフトブラケット15と、マスト14と、フォーク13と、図示しないリフトシリンダと、図示しないチルトシリンダと、図示しないサイドシフトシリンダとを有する。マスト14は、左右軸回りに回転可能に車体10の前方に取り付けられている。マスト14は、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。リフトブラケット15は、マスト14に支持されている。リフトブラケット15は、マスト14に沿って昇降する。フォーク13は、リフトブラケット15に支持されている。フォーク13は、リフトブラケット15とともにマスト14に沿って昇降する。
【0017】
リフトシリンダは、車体10に対してリフトブラケット15とフォーク13を上下方向に移動させる。チルトシリンダは、車体10に対してマスト14を前後方向に傾斜させる。サイドシフトシリンダは、車体10に対してリフトブラケット15とフォーク13を左右方向に移動させる。
【0018】
走行装置は、フォークリフト1を走行させる。走行装置は、フォークリフト1の進行、制動、及び操舵を行う。走行装置は、前輪11と、後輪12とを有する。
【0019】
前輪11及び後輪12のそれぞれは、車体10を支持する。前輪11の少なくとも一部は、車体10よりも下方に配置される。後輪12の少なくとも一部は、車体10よりも下方に配置される。前輪11は、後輪12よりも前方に配置される。前輪11は、車体10の左側及び右側のそれぞれに配置される。後輪12は、車体10の左側及び右側のそれぞれに配置される。前輪11及び後輪12のそれぞれは、回転軸を中心に回転可能である。
【0020】
図示しない走行モータは、フォークリフト1を進行させるための駆動力を発生する。走行モータは、前輪11を回転させることによって、フォークリフト1を前進又は後進させる。走行モータは、図示しない油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動する。
【0021】
図2は、運転席に配置された表示装置の一例を示す図である。表示装置40は、運転室20に配置されている。実施形態では、表示装置40は、運転席の右前前方に配置されている。表示装置40は、フォークの傾斜角及び差込状態に関する情報処理及び表示のみを行うものであってもよいし、作業機械に機械の全体の関する情報処理及び表示を行うものであってもよい。実施形態では、フォークの傾斜角及び差込状態に関する情報処理及び表示のみを行うものとして説明する。表示装置40は、コントローラ50と、表示部59とを備える。
【0022】
<フォークリフトの表示システム>
図3は、実施形態に係るフォークリフト1の表示システム30の構成の一例を示す機能ブロック図である。フォークリフト1の表示システム30は、フォーク13の傾斜角と、差込状態とを1画面で表示する。
図3に示すように、フォークリフト1の表示システム30は、作業機傾斜センサ32と、差込センサ33と、コントローラ50及び表示部59を含む表示装置40とを備える。
【0023】
作業機傾斜センサ32は、作業機であるフォーク13の地面に対する、言い換えると、重力加速度方向に対する姿勢である絶対角を検出する。実施形態では、作業機傾斜センサ32は、フォーク13の地面に対する絶対角度を検出する。作業機傾斜センサ32は、例えば、シリンダストロークセンサ又はポテンショ等のセンサ、IMU(Inertial Measurement Unit加速度センサ)、液面式傾斜センサ等である。作業機傾斜センサ32は、これらに限定されない。作業機傾斜センサ32は、作業機に配置されている。
【0024】
作業機傾斜センサ32は、例えば、フォークリフト1の起動中は常時、フォーク13の絶対角を検出してもよい。作業機傾斜センサ32は、例えば、荷取り又は荷置きを開始するための操作がオペレータによって実行された場合、フォーク13の絶対角を検出してもよい。
【0025】
差込センサ33は、フォーク13の差込対象への差込を検出する。差込センサ33は、例えば、近接センサ等である。差込センサ33は、フォーク13の根元側、言い換えると、車体側に進行方向前方を向いて配置される。実施形態では、差込センサ33は、フォーク13を支持するリフトブラケット15の周辺に配置されている。実施形態では、差込センサ33は、フォーク13には配置されていない。差込センサ33は、左右に配置されたフォーク13のそれぞれに対応するように、左右一対として配置される。差込センサ33は、進行方向前方の所定距離、例えば5cm以上40cm以下の範囲内の物体を検出する。左右一対のフォーク13を差込対象に適切に差し込んだ場合、左右一対の差込センサ33のどちらも、所定距離に積荷を検出した後に、積荷との距離が所定距離より短くなるので非検出となる。左右一対のフォーク13のどちらかが差込対象に不十分に差し込まれた場合、不十分に差し込まれたフォーク13に配置された差込センサ33は、所定距離の積荷を検出した後、検出したままとなる。
【0026】
差込センサ33は、例えば、フォークリフト1の起動中は常時、差込を検出してもよい。差込センサ33は、例えば、荷取り又は荷置きを開始するための操作がオペレータによって実行された後に、フォークリフト1が停止した場合、差込を検出してもよい。
【0027】
差込対象とは、例えば、コンテナ、パレット及び荷物等の積荷に設けられた、フォーク13を差し込みする差込孔等である。
【0028】
<コントローラ>
コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)のような数値演算装置(プロセッサ)を含む。実施形態では、コントローラ50は、傾斜角センサデータ取得部51と、差込センサデータ取得部52と、傾斜角算出部53と、差込状態検出部54と、表示制御部55とを備える。
【0029】
傾斜角センサデータ取得部51は、作業機傾斜センサ32から作業機角度を取得する。
【0030】
差込センサデータ取得部52は、差込センサ33から差込センサデータを取得する。
【0031】
傾斜角算出部53は、傾斜角センサデータ取得部51によって取得された作業機角度から、フォーク13の角度として表示するための作業機角度を算出する。より詳しくは、傾斜角算出部53は、例えば、傾斜角センサデータ取得部51によって取得された作業機角度から、フォークリフト1の車体の傾きを考慮した作業機角度を算出する。傾斜角算出部53は、例えば、傾斜角センサデータ取得部51によって取得された作業機角度から、フォークリフト1の車体の揺れを考慮した作業機角度を算出する。具体的な算出方法は限定されず、公知の算出方法を用いればよい。
【0032】
差込状態検出部54は、差込センサデータ取得部52によって取得された差込センサデータからフォーク13の差込状態を検出する。差込状態検出部54は、左右一対の差込センサ33の差込センサデータのどちらも所定距離以内の積荷を検出していることを示す場合、左右一対のフォーク13を積荷の差込対象に差し込んでいる途中(差込状態が不十分)の状態であることを検出する。差込状態検出部54は、左右一対の差込センサ33の差込センサデータのどちらも所定距離以内の積荷を検出した後、非検出となったことを示す場合、左右一対のフォーク13の差込状態が正常であると検出する。差込状態検出部54は、左右一対の差込センサ33の差込センサデータのうちどちらかのみが所定距離以内に積荷を検出していることを示す場合、左右一対のフォーク13のうち積荷を検出している方のフォーク13のみ差込状態が不十分であると検出する。
【0033】
表示制御部55は、表示部59に、フォーク13の傾斜角及び差込状態を表示するよう制御する。より詳しくは、表示制御部55は、傾斜角算出部53によって算出された作業機角度に基づいて、フォーク13の傾斜角を表示させるように制御する。表示制御部55は、差込状態検出部54によって検出した差込状態に基づく表示をさせるように制御する。
【0034】
表示制御部55は、例えば、フォークリフト1の起動中は常時、表示部59に、フォーク13の傾斜角を表示するように制御してもよい。表示制御部55は、例えば、荷取り又は荷置きを開始するための操作がオペレータによって実行された場合、表示部59に、フォーク13の傾斜角を表示するように制御してもよい。
【0035】
表示制御部55は、例えば、フォークリフト1の起動中は常時、表示部59に、フォーク13の差込状態を表示するように制御してもよい。表示制御部55は、例えば、荷取り又は荷置きを開始するための操作がオペレータによって実行された後に、フォークリフト1が停止した場合、表示部59に、フォーク13の差込状態を表示するように制御してもよい。
【0036】
表示部59がインジケータである場合について説明する。表示制御部55は、フォーク13の傾斜角及び差込状態を示す各種ランプを点灯及び消灯させる制御信号を出力する。表示制御部55は、例えば、フォーク13の傾斜角を示すランプを点灯させる制御信号を出力する。表示制御部55は、例えば、フォーク13が地面に対して水平になったことを示すランプを点灯させる制御信号を出力する。表示制御部55は、例えば、フォーク13の差込状態を示すランプの点灯及び消灯させる制御信号を出力する。
【0037】
表示部59がディスプレイである場合について説明する。表示制御部55は、フォーク13の傾斜角及び差込状態を示す各種画像を表示させる画像信号を出力する。表示制御部55は、例えば、フォーク13の傾斜角を示す画像等を表示部59に表示させる画像信号を出力する。表示制御部55は、例えば、作業機が地面に対して水平になったことを示す画像等を表示部59に表示させる画像信号を出力する。表示制御部55は、例えば、フォーク13の差込状態が正常であることを示す画像等を表示部59に表示させる画像信号を出力する。
【0038】
図4は、実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。コントローラ50は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPUのようなプロセッサ1001と、ROMのような不揮発性メモリ及びRAMのような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述のコントローラ50の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0039】
<表示部>
表示部59は、傾斜角及び差込状態のみを表示する。表示部59は、傾斜角及び差込状態以外は表示しない。表示部59は、表示制御部55の制御によって表示が制御される。実施形態では、表示部59は、運転席の右前方に配置されている。表示部59は、運転席の中央前方、又は、左前方に配置されていてもよい。
【0040】
表示部59は、例えば、傾斜角及び差込状態を示すインジケータでもよい。表示部59は、コントローラ50から送信された制御信号に基づいて、インジゲータの各種ランプの点灯と消灯とを切り替える。
【0041】
表示部59は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイでもよい。表示部59は、コントローラ50から送信された画像を表示する。
【0042】
<表示の一例>
図5は、表示の一例を示す概略図である。表示部59には、傾斜角表示部56と、差込状態表示部57とが表示される。傾斜角表示部56は、差込状態表示部57より表示部59において上方に配置されている。
【0043】
傾斜角表示部56は、フォーク13の傾斜角を示す。傾斜角表示部56は、作業機角度に応じた所定角度毎の目盛り状に形成されている。傾斜角表示部56は、作業機角度が水平を示す水平位置の目盛りと、水平位置の上下の目盛りとでは色を変えて表示する。傾斜角表示部56は、フォーク絵画像561と、傾斜角インジケータ562と、水平ランプ563とを有する。フォーク絵画像561は、フォーク13の側方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。フォーク絵画像561は、表示部59において、フォーク13の先端部を左方に向けている。傾斜角インジケータ562は、フォーク13の傾斜角を示すインジケータである。傾斜角インジケータ562は、表示部59において、フォーク絵画像561より左方に配置されている。傾斜角インジケータ562は、例えば、1.5°程度の所定角度毎の目盛り状である。傾斜角インジケータ562は、フォーク13の傾斜角が水平となる角度を基準の0°として、例えば±1.5°変化するたびに目盛りを上方又は下方に1つ点灯する。傾斜角インジケータ562は、フォーク絵画像561のフォークの先端部が示す目盛りの位置が水平位置である。傾斜角インジケータ562は、水平位置と、その他の位置とで点灯する色を変えてもよい。傾斜角インジケータ562は、例えば、水平位置を緑色、その他の位置をオレンジ色で点灯させてもよい。傾斜角インジケータ562は、上方の目盛りが点灯するほど、フォーク13の前側が根元側に比べて高く傾斜(後傾)していることを示す。傾斜角インジケータ562は、下方の目盛りが点灯するほど、フォーク13の前側が根元側に比べて低く傾斜(前傾)していることを示す。水平ランプ563は、フォーク13が水平であるときに点灯する。水平ランプ563は、表示部59において、フォーク絵画像561より下方に配置されている。水平ランプ563の代わりに屋内外での使用に適した照度センサを用いてもよい。
【0044】
傾斜角表示部56は、算出されたフォーク13の傾斜角の変化に連動して、傾斜角インジケータ562の表示が変化する。傾斜角表示部56は、算出されたフォーク13の傾斜角の変化の速さに応じて、傾斜角インジケータ562の表示が変化する。傾斜角表示部56は、例えば、フォーク13の傾斜角が速く変化する場合、傾斜角インジケータ562の傾斜角を示す目盛りが、傾斜角が遅く変化する場合に比べて速く変化する。
【0045】
差込状態表示部57は、左右一対のフォーク13の差込対象への差込状態を、それぞれ区別して示す。差込状態表示部57は、左右一対のフォーク13の少なくともどちらかの差込が不十分である場合に表示される。差込状態表示部57は、フォーク絵画像571と、右ランプ572と、左ランプ573とを有する。フォーク絵画像571は、フォーク13の上方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。フォーク絵画像571は、表示部59において、フォーク13の先端部を上方に向けている。右ランプ572は、フォーク絵画像571の右側のフォークの上方に配置されている。右ランプ572は、右側のフォーク13が差込対象に差し込まれて差込途中であるときに点灯する。右ランプ572は、右側のフォーク13が差込対象に差し込まれた後、所定距離より近づいたときに消灯する。右ランプ572は、差込状態が正常である場合、点灯した後に消灯する。左ランプ573は、フォーク絵画像571の左側のフォークの上方に配置されている。左ランプ573は、左側のフォーク13が差込対象に差し込まれている途中であるときに点灯する。左ランプ573は、左側のフォーク13が差込対象に差し込まれた後、所定距離より近づいたときに消灯する。左ランプ573は、差込状態が正常である場合、点灯した後に消灯する。このように、左右一対のフォーク13の差込状態が正常である場合、右ランプ572及び左ランプ573が点灯した後に消灯する。左右一対のフォーク13の差込状態が不十分である場合、右ランプ572及び左ランプ573の少なくともどちらが点灯したままになる。
【0046】
<コントローラによる処理>
フォークリフト1の起動中に、
図6に示す処理が実行される。
図6は、実施形態に係るフォークリフト1の制御方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【0047】
コントローラ50は、作業機角度を取得する(ステップST11)。より詳しくは、コントローラ50は、傾斜角センサデータ取得部51によって、作業機傾斜センサ32から作業機角度を取得する。コントローラ50は、ステップST12へ進む。
【0048】
コントローラ50は、差込センサデータを取得する(ステップST12)。より詳しくは、コントローラ50は、差込センサデータ取得部52によって、差込センサ33から差込センサデータを取得する。コントローラ50は、ステップST13へ進む。
【0049】
コントローラ50は、作業機であるフォーク13の絶対角度を算出する(ステップST13)。より詳しくは、コントローラ50は、傾斜角算出部53によって、フォーク13の絶対角度を算出する。コントローラ50は、ステップST14へ進む。
【0050】
コントローラ50は、差込状態を検出する(ステップST14)。より詳しくは、コントローラ50は、差込状態検出部54によって、差込状態を検出する。コントローラ50は、ステップST14へ進む。
【0051】
コントローラ50は、表示する(ステップS15)。より詳しくは、コントローラ50は、表示制御部55によって、算出したフォーク13の絶対角度に基づいて、傾斜角表示部56に表示するための信号を生成する。コントローラ50は、表示制御部55によって、検出した差込状態から、差込状態表示部57を表示するための信号を生成する。表示制御部55によって、例えば、
図5に示すような傾斜角表示部56と差込状態表示部57とを、表示部59に表示させる。
【0052】
<効果>
以上説明したように、実施形態では、フォーク13の傾斜角である作業機角度を示す傾斜角表示部56、及び、フォーク13の差込状態を示す差込状態表示部57を1画面で表示部59に表示できる。実施形態によれば、フォーク13が水平になったことと、フォーク13の差込状態とが1画面で表示されるので、オペレータは容易に確認できる。
【0053】
実施形態では、傾斜角表示部56は、作業機角度に応じた所定角度毎の目盛り状に形成されている。実施形態によれば、フォーク13の角度を適切に確認できる。
【0054】
実施形態では、傾斜角表示部56は、作業機角度が水平を示す水平位置の目盛りと、水平位置の上下の目盛りとでは色を変えて表示する。実施形態によれば、フォーク13が水平になったことを容易に確認できる。
【0055】
実施形態によれば、フォークの傾斜角が変化する速さが表示される。実施形態によれば、フォーク13の傾斜角の変化をオペレータは直感的に確認できる。本実施形態によれば、フォーク13の傾斜角の変化を予測できるので、オペレータは、フォークリフト1を円滑に操作できる。
【0056】
<変形例>
上記の表示システム30は、ブザーを備えていてもよい。差込状態が不十分な状態で、フォーク13でフォーク13上の積荷を持ち上げる操作が行われた場合、差込状態表示部57の表示に加えて、ブザーを鳴らしてもよい。これにより、オペレータに、フォーク13の差込状態が不十分であることを、より確実に通知することができる。
【0057】
<表示の変形例2>
図7は、表示の変形例を示す概略図である。傾斜角表示部56は、傾斜角表示部56は、フォーク絵画像561と、傾斜角インジケータ562と、水平位置画像563と、後傾フォーク絵画像564と、前傾フォーク絵画像565とを有する。フォーク絵画像561は、
図5と同様に形成されている。傾斜角インジケータ562は、所定角度毎の目盛りが扇形の弧に沿って配置された形状である。
図7では、傾斜角インジケータ562は、フォーク13が水平であることを示している。水平位置画像563は、傾斜角インジケータ562の水平を示す画像である。後傾フォーク絵画像564は、後傾したフォーク13の側方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。後傾フォーク絵画像564は、表示部59において、水平位置画像563より上方に配置されている。前傾フォーク絵画像565は、前傾したフォーク13の側方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。前傾フォーク絵画像565は、表示部59において、水平位置画像563より下方に配置されている。後傾フォーク絵画像564及び前傾フォーク絵画像565は、表示部59において、フォーク13の先端部を左方に向けている。後傾フォーク絵画像564及び前傾フォーク絵画像565は、表示部59において、傾斜角インジケータ562より左方に配置されている。
【0058】
差込状態表示部57は、フォーク絵画像571と、右差込警告画像572と、左差込警告画像573とを有する。フォーク絵画像571は、
図5と略同様に形成されている。右差込警告画像572は、フォーク絵画像571の右側のフォークの下方に配置されている。右差込警告画像572は、右側のフォーク及び差込対象を側方から見た形状を模式的に示す画像である。右差込警告画像572は、右側のフォークが差込途中である場合に表示される。左差込警告画像573は、フォーク絵画像571の左側のフォークの下方に配置されている。左差込警告画像573は、左側のフォーク及び差込対象を側方から見た形状を模式的に示す画像である。左差込警告画像573は、左側のフォークが差込途中である場合に表示される。
【0059】
本変形例では、傾斜角インジケータ562の目盛りが扇形の弧に沿って配置されているので、後傾フォーク絵画像564及び前傾フォーク絵画像565によって、フォーク13の姿勢をオペレータが直感的に確認できる。本変形例によれば、フォーク13の前傾又は後傾をオペレータが直感的に確認できる。
【0060】
本変形例では、右差込警告画像572及び左差込警告画像573が、フォーク及び差込対象を側方から見た形状に表示されるので、オペレータに直感的にフォーク13の差込状態を示すことができる。
【0061】
<表示の変形例3>
図8は、表示の変形例を示す概略図である。傾斜角表示部56は、フォーク絵画像561と、傾斜角インジケータ562と、水平位置画像563とを有する。フォーク絵画像561は、フォーク13及び車体の前部の側方から見た形状を模式的に示す絵の画像である。フォーク絵画像561は、フォークの後傾及び前傾を示す絵が破線で示されている。傾斜角インジケータ562は、
図7と同様に形成されている。
図8では、傾斜角インジケータ562は、フォーク13が前傾していることを示している。
図8では、傾斜角インジケータ562は、水平位置と、下方の2目盛りが点灯している。
【0062】
差込状態表示部57は、右差込警告画像572と、左差込警告画像573とを有する。右差込警告画像572は、フォーク及び及び差込対象を上方から見て、フォークに対して積荷の右側が前方に離間した形状を模式的に示す画像である。左差込警告画像573は、フォーク及び及び差込対象を上方から見て、フォークに対して積荷の左側が前方に離間した形状を模式的に示す画像である。
図8では、右差込警告画像572は点灯しておらず、左差込警告画像573が点灯している。
【0063】
本変形例では、右差込警告画像572と左差込警告画像573とにより、オペレータに直感的にフォーク13の差込状態を示すことができる。本変形例では、差込状態が不十分なフォーク13側の差込状態表示部57を点灯させて、オペレータに認識させる。
【0064】
<表示の変形例4>
図9は、表示の変形例を示す概略図である。
図9では、差込状態表示部57は、傾斜角表示部56より表示部59において左上方に配置されている。
【0065】
傾斜角表示部56は、
図7と略同様に形成されている。
【0066】
差込状態表示部57は、フォーク絵画像571と、右ランプ572と、左ランプ573とを有する。フォーク絵画像571は、
図5と略同様に形成されている。フォーク絵画像571のフォークの根元部には、フォークの根元部における隙間を示す絵が示されている。右ランプ572は、フォーク絵画像571の右側のフォークの下方に配置されている。左ランプ573は、フォーク絵画像571の左側のフォークの下方に配置されている。
【0067】
本変形例では、差込状態表示部57が傾斜角表示部56より上方に表示されるので、オペレータは容易に確認できる。
【0068】
<表示の変形例5>
図10は、表示の変形例を示す概略図である。傾斜角表示部56は、
図7と略同様に形成されている。
【0069】
差込状態表示部57は、フォーク絵画像571と、右ランプ572と、左ランプ573とを有する。フォーク絵画像571は、
図5と略同様に形成されている。フォーク絵画像571のフォークの根元部には、フォークの根元部における隙間を示す絵が示されている。右ランプ572は、フォーク絵画像571の右側のフォークの根元部の右側に配置されている。左ランプ573は、フォーク絵画像571の左側のフォークの根元部の左側に配置されている。
【0070】
本変形例では、右ランプ572と左ランプ573とがフォーク絵画像571のフォークの根元部に配置されるので、オペレータは容易に確認できる。
【0071】
<表示の変形例6>
図11は、表示の変形例を示す概略図である。傾斜角表示部56は、
図8と略同様に形成されている。
【0072】
差込状態表示部57は、フォーク絵画像571と、右ランプ572と、左ランプ573とを有する。フォーク絵画像571は、差込対象に差し込まれたフォークを上方から見た形状を模式的に示す画像である。右ランプ572は、フォーク絵画像571の右側のフォークと積荷との隙間に配置されている。左ランプ573は、フォーク絵画像571の左側のフォークの根元部と積荷との隙間に配置されている。
【0073】
本変形例では、右ランプ572と左ランプ573の形状により、オペレータにフォーク13の差込状態を直感的に示すことができる。
【0074】
<表示の変形例7>
図12は、表示の変形例を示す概略図である。傾斜角表示部56は、
図8と略同様に形成されている。
【0075】
差込状態表示部57は、フォーク絵画像571と、右ランプ572と、左ランプ573とを有する。フォーク絵画像571は、積荷の差込対象に差し込まれたフォーク13を上方から見た形状を模式的に示す画像である。フォーク絵画像571は、フォークの根元部の隙間を示す絵を含む。右ランプ572は、フォーク絵画像571の右側のフォークの先端部の上方に配置されている。左ランプ573は、フォーク絵画像571の左側のフォークの先端部の上方に配置されている。
【0076】
本変形例では、右ランプ572と左ランプ573の形状により、オペレータにフォーク13の差込状態を直感的に示すことができる。
【符号の説明】
【0077】
1…フォークリフト(フォークリフト)、10…車体、11…前輪、12…後輪、13…フォーク、14…マスト、20…運転室、30…表示システム、32…作業機傾斜センサ、33…差込センサ、40…表示装置、50…コントローラ、51…傾斜角センサデータ取得部、52…差込センサデータ取得部、53…傾斜角算出部、54…差込状態検出部、55…表示制御部、56…傾斜角表示部、57…差込状態表示部、59…表示部。