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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113862
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ニューマチックアンローダ
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/60 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B65G67/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019107
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】田中 正吉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
【テーマコード(参考)】
3F077
【Fターム(参考)】
3F077AA04
3F077BA02
3F077BB02
3F077BB03
3F077BB08
3F077DB09
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制しつつ最大荷揚げ範囲を拡大する。
【解決手段】ニューマチックアンローダ100は、陸Q上に設置される基部1と、基部上に鉛直軸C1回りに回動可能に設けられた旋回部2と、旋回部に水平軸回りに回動可能に設けられた第1ブーム18Aと、第1ブームの先端部に水平軸回りに回動可能に接続された第2ブーム18Bと、旋回部に設けられたレシーバタンク8と、レシーバタンクに水平軸回りに回動可能に接続され、第1ブームに沿って延びる第1水平管17Aと、第1ブームの先端部に水平軸回りに回動可能に接続され、第2ブームに沿って延びる第2水平管17Bと、第2水平管の先端部に水平軸回りに回動可能に接続された垂直管21とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上に設置される基部と、
前記基部上に鉛直軸回りに回動可能に設けられた旋回部と、
前記旋回部に水平軸回りに回動可能に設けられた第1ブームと、
前記第1ブームの先端部に水平軸回りに回動可能に接続された第2ブームと、
前記旋回部に設けられたレシーバタンクと、
前記レシーバタンクに水平軸回りに回動可能に接続され、前記第1ブームに沿って延びる第1水平管と、
前記第1ブームの先端部に水平軸回りに回動可能に接続され、前記第2ブームに沿って延びる第2水平管と、
前記第2水平管の先端部に水平軸回りに回動可能に接続された垂直管と、
を備えることを特徴とするニューマチックアンローダ。
【請求項2】
前記第1水平管および前記第2水平管の回動軸と、前記第1ブームおよび前記第2ブームの回動軸とが同軸に位置される
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項3】
前記旋回部に水平軸回りに回動可能に接続された基端部と、前記第2ブームに水平軸回りに回動可能に接続された先端部とを有するリンク部材を備え、
前記旋回部、前記第1ブーム、前記第2ブームおよび前記リンク部材によって4節リンク機構が構成される
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項4】
前記リンク部材の基端部は前記旋回部の頂部に回動可能に接続され、前記リンク部材の先端部は、前記第1ブームおよび前記第2ブームの接続部よりも基端側の位置において、前記第2ブームの基端部に回動可能に接続されている
請求項3に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項5】
前記第1ブームおよび前記第2ブームの屈伸動作により前記垂直管が水平方向に移動される
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項6】
前記第1水平管が前記第1ブームに着脱可能に取り付けられている
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項7】
前記第2水平管が前記第2ブームに着脱可能に取り付けられている
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項8】
前記第1ブームを駆動する駆動装置を備える
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はニューマチックアンローダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に港湾には、船舶によって運搬されてきた穀物等のばら物である荷を吸い上げて荷揚げするニューマチック(空気式)アンローダが設置されている。
【0003】
このニューマチックアンローダは一般に、旋回部に起伏可能に設けられたブームと、ブームに沿って設けられた水平管と、水平管の先端部に回動可能に接続された垂直管とを備えている。水平管と垂直管は伸縮可能である。ブームにはこれに沿って移動する水平台車が設けられる。この水平台車に水平管の先端部が支持され、水平管は水平台車の移動に連動して伸縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-171440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この一般的なニューマチックアンローダでは、水平方向の最大荷揚げ範囲を拡大しようとした場合、ブームを長くせざるを得ず、大型化を招いてしまう。
【0006】
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、大型化を抑制しつつ最大荷揚げ範囲を拡大することができるニューマチックアンローダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様によれば、
陸上に設置される基部と、
前記基部上に鉛直軸回りに回動可能に設けられた旋回部と、
前記旋回部に水平軸回りに回動可能に設けられた第1ブームと、
前記第1ブームの先端部に水平軸回りに回動可能に接続された第2ブームと、
前記旋回部に設けられたレシーバタンクと、
前記レシーバタンクに水平軸回りに回動可能に接続され、前記第1ブームに沿って延びる第1水平管と、
前記第1ブームの先端部に水平軸回りに回動可能に接続され、前記第2ブームに沿って延びる第2水平管と、
前記第2水平管の先端部に水平軸回りに回動可能に接続された垂直管と、
を備えることを特徴とするニューマチックアンローダが提供される。
【0008】
好ましくは、前記第1水平管および前記第2水平管の回動軸と、前記第1ブームおよび前記第2ブームの回動軸とが同軸に位置される。
【0009】
好ましくは、前記ニューマチックアンローダは、前記旋回部に水平軸回りに回動可能に接続された基端部と、前記第2ブームに水平軸回りに回動可能に接続された先端部とを有するリンク部材を備え、
前記旋回部、前記第1ブーム、前記第2ブームおよび前記リンク部材によって4節リンク機構が構成される。
【0010】
好ましくは、前記リンク部材の基端部は前記旋回部の頂部に回動可能に接続され、前記リンク部材の先端部は、前記第1ブームおよび前記第2ブームの接続部よりも基端側の位置において、前記第2ブームの基端部に回動可能に接続されている。
【0011】
好ましくは、前記第1ブームおよび前記第2ブームの屈伸動作により前記垂直管が水平方向に移動される。
【0012】
好ましくは、前記第1水平管が前記第1ブームに着脱可能に取り付けられている。
【0013】
好ましくは、前記第2水平管が前記第2ブームに着脱可能に取り付けられている。
【0014】
好ましくは、前記ニューマチックアンローダは、前記第1ブームを駆動する駆動装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、大型化を抑制しつつ最大荷揚げ範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施形態に係るニューマチックアンローダを示す概略図である。
図2】ニューマチックアンローダの要部を示す概略図であり、中間状態を示す。
図3】第1ブームと第1水平管の取付構造を示し、図2のIII-III断面図である。
図4】第1ブームと第1水平管の取付構造を示し、図2のIV-IV断面図である。
図5】第2ブームと第2水平管の取付構造を示し、図2のV-V断面図である。
図6】第2ブームと第2水平管の取付構造を示し、図2のVI-VI断面図である。
図7】ニューマチックアンローダの要部を示す概略図であり、収縮状態を示す。
図8】ニューマチックアンローダの要部を示す概略図であり、伸長状態を示す。
図9】本実施形態のアンローダと従来のアンローダとを比較した概略図である。
図10】変形例に係るニューマチックアンローダを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
【0018】
図1に示すように、港湾には、穀物等のばら物である荷Bを船倉K内に搭載した船舶Sが停泊している。そして港湾の岸壁Qには、船倉K内に貯留された荷Bを吸い上げて払い出すためのニューマチックアンローダ(以下、単にアンローダという)100が設置されている。便宜上、図1における前後左右上下の各方向を図示のように定める。海側ないし船舶S側が前方、陸側ないしアンローダ100側が後方である。
【0019】
アンローダ100は、陸上すなわち岸壁Q上に設置された基部1と、基部1上に旋回可能に設けられた旋回部2とを有する。基部1は陸上で走行可能である。すなわち岸壁Qに沿って前後一対のレール3が設けられ、基部1はこのレール3上を走行可能である。基部1は、前後の脚部4と、脚部4の下端に回転可能に設けられレール3上を転動する車輪5と、前後の脚部4を掛け渡して連結するガーダ6とを備える。
【0020】
旋回部2は、鉛直方向に延びる回動軸(これを鉛直軸という)C1回りに矢印aの如く回動もしくは旋回するよう、旋回環ないし旋回軸受7を介して基部1に取り付けられる。旋回部2には、吸引した荷Bを一時的に受け入れるレシーバタンク8が設けられる。レシーバタンク8は、上下方向に長い円筒状に形成され、旋回部2に同軸に固定されると共に、旋回軸C1を中心に旋回可能である。レシーバタンク8は旋回部2の一部に含まれる。
【0021】
旋回部2には、機械室9が設けられ、機械室9内には真空ポンプ10が配置されている。真空ポンプ10は吸引管11を介してレシーバタンク8に接続され、レシーバタンク8内に負圧を発生させる。吸引管11はレシーバタンク8の上端に接続される。レシーバタンク8内において、吸引管11の接続部手前にはバグフィルタ12が設けられる。バグフィルタ12は真空ポンプ10に向かって荷Bが吸い込まれるのを防止する。
【0022】
レシーバタンク8の下端には荷Bの出口13が設けられる。この出口にはシュート14が接続される。シュート14にはロータリーフィーダ14Aが設けられる。シュート14を通じて機内コンベヤ14Bに落下された荷Bは、最終的に二次払い出し装置としての地上コンベヤ15に払い出される。地上コンベヤ15は荷Bを図示しない貯蔵設備に搬送する。なお二次払い出し装置はトラックでもよく、荷Bをトラックの荷台に直接払い出して搬送してもよい。
【0023】
ロータリーフィーダ14Aは、真空切り出し装置または送り出し装置として機能する。ロータリーフィーダ14Aによって、地上コンベヤ15への荷Bの排出流量(単位時間当たりの荷Bの排出量)が略一定となるよう制御されると共に、真空側と大気側が隔離される。ロータリーフィーダ14Aより上側が真空側、下側が大気側である。
【0024】
レシーバタンク2の下部側面には荷Bの入口である投入口16が設けられる。通常、この投入口16には単一の水平管およびブームが回動可能に接続される。しかしながら本実施形態では、それら水平管およびブームが二分割されており、この点が本実施形態の特徴である。
【0025】
すなわち、図2にも詳しく示すように、前後方向に延びる第1水平管17Aの基端部ないし後端部が、ボール状のスイングジョイント(関節型管継手)16Aを介して、レシーバタンク2の投入口16に回動可能に接続されている。そして第1水平管17Aの先端部ないし前端部に、前後方向に延びる第2水平管17Bの基端部ないし後端部が、円筒状のスイングジョイント16Bを介して、回動可能に接続されている。
【0026】
第1水平管17Aは投入口16に、水平方向(具体的には左右方向)に延びる回動軸(これを水平軸という)C2回りに矢印bの如く回動可能に接続されている。また第2水平管17Bは第1水平管17Aに、水平方向(具体的には左右方向)に延びる回動軸C3回りに矢印cの如く回動可能に接続されている。こうして第1水平管17Aは投入口16に、第2水平管17Bは第1水平管17Aに、それぞれ起伏可能に取り付けられている。
【0027】
一方、前後方向に延びる第1ブーム18Aの基端部ないし後端部が、軸受19Aを介して、レシーバタンク2の投入口16に回動可能に接続されている。そして第1ブーム18Aの先端部ないし前端部に、前後方向に延びる第2ブーム18Bの中間部が、軸受19Bを介して、回動可能に接続されている。
【0028】
第1ブーム18Aは投入口16に、前述の回動軸C2回りに矢印bの如く回動可能に接続されている。また第2ブーム18Bは第1ブーム18Aに、前述の回動軸C3回りに矢印cの如く回動可能に接続されている。こうして第1ブーム18Aは投入口16に、第2ブーム18Bは第1ブーム18Aに、それぞれ起伏可能に取り付けられている。
【0029】
投入口16および第1水平管17Aの回動軸C2と、投入口16および第1ブーム18Aの回動軸C2とは同軸に位置される。また、第1水平管17Aおよび第2水平管17Bの回動軸C3と、第1ブーム18Aおよび第2ブーム18Bの回動軸C3とは同軸に位置される。
【0030】
第1水平管17Aは、第1ブーム18Aに沿って延び、第1ブーム18Aに長手方向所定間隔で支持される。第2水平管17Bも、第2ブーム18Bに沿って延び、第2ブーム18Bに長手方向所定間隔で支持される。
【0031】
なお、通常のニューマチックアンローダと異なり、本実施形態の第1水平管17Aおよび第2水平管17Bには伸縮機能がない。すなわち、第1水平管17Aおよび第2水平管17Bは、伸縮せず、一定の長さを有する。
【0032】
第2水平管17Bはその先端部に、下向きに湾曲された曲管20を一体的に有する。そして曲管20の先端には、鉛直方向に延びる垂直管21の基端ないし上端が、円筒状のスイングジョイント22を介して、回動可能に接続されている。垂直管21は曲管20に、水平方向(具体的には左右方向)に延びる回動軸C4回りに矢印dの如く回動可能に接続されている。
【0033】
垂直管21の先端ないし下端には、荷Bの吸込口をなすノズル23が取り付けられている。垂直管21は矢印eの如くその長手方向に伸縮可能であり、ノズル23の高さ位置を、荷Bや船舶Sの高さ位置に応じて調節できるようになっている。垂直管21は、スイングジョイント22に接続される上側部分21Aと、上側部分21Aから下方に向かって伸縮可能な下側部分21Bとを備える。下側部分21Bは上側部分21Aにスライド可能に挿入される。
【0034】
上側部分21には、垂直管21を伸縮させるための垂直伸縮装置25が設けられている。垂直伸縮装置25は、ワイヤ26を介して下側部分21Bを昇降させるウインチにより構成される。下側部分21Bを昇降させることにより、下側部分21Bを上側部分21に対して挿抜させ、ノズル23の高さ位置を変更することが可能である。
【0035】
上側部分21Aの上端部と、下側部分21Bの下端部とには可撓管24が設けられている。例えば、荷Bとの衝突等によりノズル23に横力が加わった場合、可撓管24が曲がることにより、第2水平管17Bおよび第2ブーム18B等に横力が伝達されるのを抑制できる。
【0036】
一方、アンローダ100は、旋回部2と第2ブーム18Bを連結するリンク部材31を備える。リンク部材31は、前後方向に直線状に延びる部材であり、旋回部2に回動可能に接続された基端部すなわち後端部31Aと、第2ブーム18Bに回動可能に接続された先端部すなわち前端部31Bとを有する。
【0037】
レシーバタンク2には、これより上方に突出するリンク支持部材32が設けられる。リンク部材31の後端部31Aは、軸受33を介してリンク支持部材32の頂部に、水平方向に延びる回動軸C5回りに矢印fの如く回動可能に接続されている。
【0038】
第2ブーム18Bは、第1ブーム18Aとの接続部、すなわち軸受19Bより基端側ないし後側に位置する基端部ないし後端部34を有する。リンク部材31の前端部31Bは、軸受35を介して第2ブーム18Bの後端部34に、水平方向に延びる回動軸C6回りに矢印gの如く回動可能に接続されている。
【0039】
こうして、アンローダ100においては、旋回部2(レシーバタンク2およびリンク支持部材32を含む)、第1ブーム18A、第2ブーム18Bおよびリンク部材32によって4節リンク機構が構成される。
【0040】
かかる4節リンク機構において、回動軸C2,C5間の距離を第1リンク長L1とし、回動軸C2,C3間の距離を第2リンク長L2とし、回動軸C3,C6間の距離を第3リンク長L3とし、回動軸C6,C5間の距離を第4リンク長L4とする。本実施形態における各リンク長の関係はL4>L1>L2>L3である。
【0041】
上記の説明で分かるように、リンク部材31の後端部31Aは旋回部2の頂部に接続されている。またリンク部材31の前端部31Bは、第1ブーム18Aおよび第2ブーム18Bの接続部(軸受19B)よりも基端側ないし後側の位置において、第2ブーム18Bの後端部34に接続されている。
【0042】
またアンローダ100は、第1ブーム18Aを駆動する駆動装置36を備える。駆動装置36は、ワイヤ37の巻き上げ・巻き下げにより第1ブーム18Aを昇降方向ないし起伏方向に駆動するウインチにより構成される。駆動装置36は、旋回部2におけるレシーバタンク2よりやや後側の位置に設置される。
【0043】
第1ブーム18Aに固定されたブラケット38に可動プーリ39が回転可能に設けられる。可動プーリ39は、水平方向(具体的には左右方向)に延びる回転軸C7回りに回転可能である。またリンク支持部材32の頂部にも図示しない固定プーリが回転可能に設けられる。この固定プーリは、前述の回動軸C5と同軸の回転軸回りに回転可能である。前述の回動軸C2~C7は全て平行である。
【0044】
駆動装置36から延出されたワイヤ37は、固定プーリを経由して可動プーリ39に巻き掛けられ、その後、反転して、リンク支持部材32の頂部に固定される。これにより、駆動装置36にワイヤ37が巻き取られた場合には第1ブーム18Aが上昇され、駆動装置36からワイヤ37が巻き出された場合には第1ブーム18Aが下降される。この第1ブーム18Aの昇降に応じて、水平に対する第1ブーム18Aの上昇角度であるブーム角θが変化される。
【0045】
次に、図3および図4を参照して、第1ブーム18Aと第1水平管17Aの取付構造を説明する。前述したように、第1水平管17Aは第1ブーム18Aに長手方向所定間隔で支持される。図3は非支持箇所の断面図(図2のIII-III断面図)であり、図4は支持箇所の断面図(図2のIV-IV断面図)である。
【0046】
図3に示すように、本実施形態の第1ブーム18Aは、互いに離間された左右一対のI型鋼40を、互いに離間された上下一対の連結桁41で溶接等により連結して構成されている。そして非支持箇所においては、これらI型鋼40および連結桁41により囲まれて形成された横長長方形の空間42に、断面円形の第1水平管17Aが隙間を以て貫通するような形で配置されている。I型鋼40は第1ブーム18Aの略全長に亘って延び、連結桁41は第1ブーム18Aの長手方向に所定間隔で配置される。
【0047】
他方、図4に示すように、支持箇所においては、連結桁41が設けられていない。代わりに左右のI型鋼40には、左右中心側に延びる板状の支持部材43が溶接等により取り付けられている。第1水平管17Aには、左右外側に延びる板状のフランジ部材44が溶接等により取り付けられている。左右のフランジ部材44が左右の支持部材43に重ね合わされ、複数(左右に2つずつ)のボルト45により固定される。これにより第1水平管17Aは第1ブーム18Aに着脱可能に取り付けられる。
【0048】
次に、図5および図6を参照して、第2ブーム18Bと第2水平管17Bの取付構造を説明する。前述したように、第2水平管17Bも第2ブーム18Bに長手方向所定間隔で支持される。図5は非支持箇所の断面図(図2のV-V断面図)であり、図6は支持箇所の断面図(図2のVI-VI断面図)である。
【0049】
図5に示すように、本実施形態の第2ブーム18Bは、断面四角形状(略正方形状)の鋼管46により形成されている。そして非支持箇所においては、鋼管46の真下に断面円形の第2水平管17Bが隙間を以て配置されている。鋼管46は第2ブーム18Bの略全長に亘って延びる。
【0050】
他方、図6に示すように、支持箇所においては、鋼管46の下面部を左右に延長するよう、左右一対の板状リブ47が鋼管46に溶接等により取り付けられている。左右のそれぞれにおいて、リブ47の上面部と鋼管46の側面部とに、三角状の補強板48が溶接等により取り付けられている。また左右のそれぞれにおいて、リブ47の下面部には、長方形板状の支持部材49が、下方に垂下されるような形で溶接等により取り付けられている。これら支持部材49の間に第2水平管17Bが隙間を以て挟まれるような形で配置されている。
【0051】
第2水平管17Bには、左右外側に延びる板状のフランジ部材50が溶接等により取り付けられている。左右のフランジ部材50が左右の支持部材49に重ね合わされ、複数(左右に2つずつ)のボルト51により固定される。これにより第2水平管17Bは第2ブーム18Bに着脱可能に取り付けられる。
【0052】
このように第1水平管17Aを第1ブーム18Aに着脱可能に取り付けることで、第1水平管17Aを容易に第1ブーム18Aから取り外したり、交換したりすることができ、メンテナンスが容易となる。
【0053】
同様に、第2水平管17Bを第2ブーム18Bに着脱可能に取り付けることで、第2水平管17Bを容易に第2ブーム18Bから取り外したり、交換したりすることができ、メンテナンスが容易となる。
【0054】
なお便宜上、図5,6以外の図では第2ブーム18Bおよび第2水平管17Bの取付構造を簡略化して示す。そのため図5,6の構造と整合していない点に留意されたい。
【0055】
次に、アンローダ100の作動と利点を説明する。
【0056】
まず、荷役作業時の荷Bの流れについて説明する。荷役作業時、垂直管21は船舶SのハッチHを通じて船倉K内に挿入される。そして真空ポンプ10が作動され、船倉K内の荷Bがノズル23から吸引される。
【0057】
吸引された荷Bは、垂直管21、スイングジョイント22、第2水平管17B、スイングジョイント16B、第1水平管17A、スイングジョイント16Aを順に通過して投入口16からレシーバタンク2内に入る。レシーバタンク2内の空気は、バグフィルタ12、吸引管11を順に通過して真空ポンプ10に至る。一方、レシーバタンク2内の荷Bは落下して出口13、シュート14を通じてロータリーフィーダ14Aに至り、ロータリーフィーダ14Aによって制御された流量で送り出される。そしてさらにシュート14、機内コンベヤ14Bを通じて地上コンベヤ15に払い出される。
【0058】
次に、ブーム動作について説明する。本実施形態では、第1ブーム18Aを昇降させて第1ブーム18Aのブーム角θを変化させることにより、垂直管21およびノズル23の水平方向(具体的には前後方向)の位置を変化させることができる。
【0059】
図2は、ブーム角θがθ2となっているときのアンローダ100の状態を示す。便宜上、このときのアンローダ100の状態を中間状態といい、ブーム角θ2を中間角という。
【0060】
これに対し図7は、ブーム角θがθ2より大きいθ3となっているときのアンローダ100の状態を示す。便宜上、このときのアンローダ100の状態を収縮状態といい、ブーム角θ3を収縮角という。
【0061】
この収縮状態では、中間状態のときに比べ、垂直管21が後方に位置される。中間状態から収縮状態に移行するにつれ、中間状態から収縮状態に移行するは矢印hで示すように後方に平行移動される。
【0062】
中間状態から収縮状態に移行するとき、駆動装置36により第1ブーム18Aが上昇され、第2ブーム18Bはその後端部34がリンク部材31により拘束されているので、第1ブーム18Aに対し下向き(図の反時計回り)に回動される。これにより垂直管21が後方に平行移動される。
【0063】
中間状態から収縮状態に移行するときの第1ブーム18A、第2ブーム18B、リンク部材31および垂直管21の各動作を図中矢印b,c,g,f,dで示す。第1ブーム18Aと第2ブーム18Bの回動ないし屈曲動作と共に、第1水平管17Aおよび第2水平管17Bが同軸で回動ないし屈曲動作する。
【0064】
図8は逆に、ブーム角θがθ2より小さいθ1となっているときのアンローダ100の状態を示す。便宜上、このときのアンローダ100の状態を伸長状態といい、ブーム角θ1を伸長角という。
【0065】
この伸長状態では、中間状態のときに比べ、垂直管21が前方に位置される。中間状態から伸長状態に移行するにつれ、垂直管21は矢印iで示すように前方に平行移動される。
【0066】
中間状態から伸長状態に移行するとき、駆動装置36により第1ブーム18Aが下降され、第2ブーム18Bはその後端部34がリンク部材31により拘束されているので、第1ブーム18Aに対し上向き(図の時計回り)に回動される。これにより垂直管21が前方に平行移動される。
【0067】
中間状態から伸長状態に移行するときの第1ブーム18A、第2ブーム18B、リンク部材31および垂直管21の各動作を図中矢印b,c,g,f,dで示す。第1ブーム18Aと第2ブーム18Bの回動ないし屈曲動作と共に、第1水平管17Aおよび第2水平管17Bが同軸で回動ないし屈曲動作する。
【0068】
このように本実施形態のアンローダ100では、第1ブーム18Aおよび第2ブーム18Bが尺取り虫の如く屈伸動作し、この屈伸動作により垂直管21が水平方向(前後方向)に移動される。これによりノズル23の水平方向(前後方向)の位置を変化させることができる。
【0069】
次に、図9を参照して本実施形態のアンローダ100の利点を説明する。総じて本実施形態のアンローダ100は、従来のアンローダに比べ、大型化を抑制しつつ、最大荷揚げ範囲を拡大することができる。図9において、(A)は本実施形態のアンローダ100を示し、(B)と(C)は従来のアンローダ100’を示す。従来のアンローダ100’のうち、本実施形態のアンローダ100の要素に対応する要素については同一符号に「’」を付して示す。
【0070】
図9(A)に示す本実施形態のアンローダ100は、垂直管21が最も前方に位置する最大伸長状態となっている。このときブーム角θは最小角θ0となっており、第2ブーム18Bとリンク部材31は一直線上に整列され、回動軸C1から垂直管21の中心C8までの半径は最大となっている。このときの半径が本実施形態のアンローダ100の最大荷揚げ範囲R0である。
【0071】
アンローダは空気輸送により荷を搬送する。そのためブーム角をゼロにすると、水平管が水平になり、水平管内に荷が蓄積し、荷役能力が低下する可能性がある。そのためアンローダの荷役能力を考慮した場合、ブーム角はゼロより大きい角度であるのが好ましい。こうした理由から、本実施形態のアンローダ100では、最小角θ0がゼロより大きい所定角度に設定され、最小角θ0のときに第1水平管17Aが荷の搬送方向下流側に向かうにつれ高さが低くなるようにされている。
【0072】
一方、図9(B)に示す従来のアンローダ100’は、単に一本ずつのブーム18’と水平管17’を有するに過ぎない。水平管17’は伸縮可能であり、ブーム18’に沿った水平台車19’の走行移動に連動して水平管17’が伸縮する。水平管17’の先端部に円筒状のスイングジョイント22’を介して垂直管21’が回動可能に接続される。
【0073】
この従来のアンローダ100’の場合、最大荷揚げ範囲が最大となるのは、ブーム角θが0(ゼロ)のときである。よってこのときの最大荷揚げ範囲を本実施形態と等しくR0とする。
【0074】
しかしこのとき、水平管17’が水平になってしまうため、荷役能力が低下する可能性がある。よって荷役能力を考慮し、図9(C)に示すように、ブーム角θを本実施形態と等しくθ0にするのが好ましい。
【0075】
しかしこうすると、最大荷揚げ範囲がR0より小さいR0’となり、最大荷揚げ範囲が縮小してしまう。
【0076】
この対策として、ブーム角θがθ0のときの最大荷揚げ範囲がR0となるよう、ブーム18’と水平管17’を長くすることが考えられる。しかしこうするとアンローダ100’が大型化してしまう。
【0077】
よって本実施形態のアンローダ100によれば、従来のアンローダに比べ、大型化を抑制しつつ、最大荷揚げ範囲を拡大することができる。
【0078】
加えて、本実施形態のアンローダ100は、従来のアンローダに比べ、大幅な軽量化を図れる。すなわち、従来のアンローダでは、水平管17’が伸縮可能であり、その前側部分が後側部分に対しスライドして挿抜される。そのため前側部分と後側部分の間にシールやローラを設ける等、複雑な機構が必要となる。また、従来のアンローダでは、水平台車19’が前側部分を支持しながら走行移動することにより、水平管17’が伸縮される。水平台車19’は、ブーム18’に設けられたレールに沿って走行し、このとき、水平台車19’に設けられた複数のローラがレールおよびブーム18’上を転動する。ブーム18’には水平台車19’を駆動するための駆動装置が設けられる。
【0079】
本実施形態では、水平管17’におけるシール等の機構や、水平台車19’およびこれに付随する機構を省略できるため、従来のアンローダに比べ、大幅な軽量化を図れる。
【0080】
また、従来のアンローダでは、水平台車19’のローラと、レールおよびブーム18’との間のクリアランス調整が比較的面倒である。本実施形態では、こうしたクリアランス調整も不要にできるため、アンローダの設置やその後のメンテナンスを容易化できる。
【0081】
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示の実施形態および変形例は様々考えられる。
【0082】
例えば図10に示すように、機械室9および真空ポンプ10は基部1に設けられてもよい。図示例の場合、機械室9および真空ポンプ10はガーダ6上に設置されている。こうした変更に伴い、前述の基本実施形態に比べ、吸引管11はより下方まで延長され、機内コンベヤ14Bの位置はガーダ6の内部に変更されている。吸引管11とレシーバタンク8の接続部にはロータリジョイント11Aが設けられ、真空ポンプ10に対するレシーバタンク8の旋回が可能となっている。
【0083】
4節リンク機構における各リンク長の関係は、L4>L1>L2>L3に限らず、必要に応じて任意に変更可能である。
【0084】
第1ブーム18Aの代わりに、リンク部材31または第2ブーム18Bを駆動してもよい。またこれらを駆動する駆動装置についても、ウインチ以外の機構(例えば歯車機構、チェーン機構等)が可能である。
【0085】
第1水平管17Aと第2水平管17Bは、スイングジョイント16Bに代わって、屈曲可能な可撓管によって接続されてもよい。
【0086】
本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 基部
2 旋回部
8 レシーバタンク
17A 第1水平管
17B 第2水平管
18A 第1ブーム
18B 第2ブーム
21 垂直管
31 リンク部材
31A 後端部
31B 前端部
36 駆動装置
100 ニューマチックアンローダ
C1,C2,C3,C4,C5,C6 回動軸
Q 岸壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10