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特開2024-113863ジャケット構造体及び水平度調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113863
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ジャケット構造体及び水平度調整方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/52 20060101AFI20240816BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20240816BHJP
   E02D 27/14 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E02D27/52 A
E02D27/32 Z
E02D27/14
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019108
(22)【出願日】2023-02-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】片山 能輔
(72)【発明者】
【氏名】入江 敬
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA01
2D046DA62
(57)【要約】
【課題】水平度調整の作業性を向上したジャケット構造体及び水平度調整方法を提供することを目的とする。
【解決手段】洋上風車200を支持するトランジションピース10と、トランジションピース10の一部であるトランジションピース側レグ20と、トランジションピース側レグ20に接続される下部構造体側レグ30と、を備えるジャケット構造体100であって、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とが接続される部分は、洋上風車200の水平度を調整する水平度調整機構60として、用いられることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースの一部であるトランジションピース側レグと、
前記トランジションピース側レグに接続される下部構造体側レグと、
を備えるジャケット構造体であって、
前記トランジションピース側レグと前記下部構造体側レグとが接続される部分は、前記洋上風車の水平度を調整する水平度調整機構として、用いられる、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記水平度調整機構は、気中に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
複数の前記下部構造体側レグ同士を接続するブレース、
を更に備え、
前記水平度調整機構は、前記ブレースの上端より上に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記水平度調整機構は、水平方向に沿って見て、前記トランジションピースと重なる、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記トランジションピース側レグと前記下部構造体側レグとの間には、溶接部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記溶接部には、ライナープレートが配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記トランジションピース側レグの径と前記下部構造体側レグの径とは異なる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記トランジションピース側レグ及び前記下部構造体側レグの一方は、他方の内部に挿入される、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記一方の外周面と前記他方の内周面との間には、グラウトが充填される、
ことを特徴とする請求項8に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記一方と前記他方との間には、ライナープレートが配置されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記一方には、被当接部材が設けられ、
前記被当接部材は、前記他方に当接し、
前記ライナープレートは、前記他方と前記被当接部材との間に配置される、
ことを特徴とする請求項10に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記一方が前記トランジションピース側レグであり、
前記他方が前記下部構造体側レグである、
ことを特徴とする請求項11に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記一方が前記下部構造体側レグであり、
前記他方が前記トランジションピース側レグである、
ことを特徴とする請求項11に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記トランジションピース側レグに対して前記下部構造体側レグを固定する鋼材、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
前記鋼材は、前記トランジションピース側レグ及び前記下部構造体側レグそれぞれの、内部又は外部に配置される、
ことを特徴とする請求項14に記載のジャケット構造体。
【請求項16】
前記鋼材は管状であり、前記鋼材の一方の端部は前記トランジションピース側レグの端部に突き合わせられるように配置され、前記鋼材の他方の端部は前記下部構造体側レグの端部に突き合わせられるように配置される、
ことを特徴とする請求項14に記載のジャケット構造体。
【請求項17】
前記トランジションピースは、洋上風車タワーを支持するセンターパイプを含み、
前記センターパイプは、フランジを含み、
前記洋上風車タワーと前記フランジとの間には、ライナープレートが配置され、
前記フランジは、L型フランジ又はT型フランジである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項18】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースの一部であるトランジションピース側レグと、
前記トランジションピース側レグに接続される下部構造体側レグと、
を備えるジャケット構造体の水平度調整方法であって、
前記下部構造体側レグを海底に設置する設置工程と、
前記トランジションピース側レグをジャッキによって、前記設置工程にて前記海底に設置された前記下部構造体側レグに対し、位置決めすることで水平度を調整する水平度調整工程と、
前記設置工程にて前記海底に設置された前記下部構造体側レグと、前記位置決め工程にて位置決めされた前記トランジションピース側レグとを接合する接合工程と、
を備えることを特徴とする水平度調整方法。
【請求項19】
前記接合工程は溶接工程である、
ことを特徴とする請求項18に記載の水平度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体及び水平度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上風車をジャケット構造体によって支持する際、洋上風車の水平を確保することが求められる。
特許文献1では、海底に打設された杭と、ジャケット構造体のうち杭に接続されるレグとの間にライナープレートを配置することで、杭とレグとの相対位置を変更し、ジャケット構造体の水平度を調整する技術が開示されている。
特許文献2では、予め水底地盤に打設された中央杭に対してジャケットの中央レグを仮連結した後、ジャケットの周囲レグに杭を打設し、ジャケットの傾きを微調整した後、周囲レグと周囲杭とを接合して固定する技術が開示されている。
特許文献3では、トランジションピースと洋上風車タワーとを接合する際、ボルトの調整によって洋上風車タワーの傾きを補正した後、グラウトにより固定する技術が開示されている。
特許文献4では、タワージャケット接合部の傾きを、杭に接続された吊ピースを、ウィンチを介して上下することで、杭とジャケット構造体との相対位置を調整し、ジャケット構造体の傾きを調整する技術が開示されている。
特許文献5では、洋上風車タワーとトランジションピースのセンターパイプとの間にシム板を配置し、洋上風車タワーの水平度を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6824464号公報
【特許文献2】特開2011-144532号公報
【特許文献3】特表2022-538814号公報
【特許文献4】特開2018-141326号公報
【特許文献5】特開2014-159674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の水平度調整技術においては、作業性の向上に課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、水平度調整の作業性を向上したジャケット構造体及び水平度調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースの一部であるトランジションピース側レグと、前記トランジションピース側レグに接続される下部構造体側レグと、を備えるジャケット構造体であって、前記トランジションピース側レグと前記下部構造体側レグとが接続される部分は、前記洋上風車の水平度を調整する水平度調整機構として、用いられることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとが接続される部分は、洋上風車の水平度を調整する水平度調整機構として、用いられる。これにより、例えば、ジャケット構造体の施工現場において、トランジションピース側レグと、下部構造体側レグと、を接続する作業を行う際に、洋上風車の水平度を調整することができる。よって、例えば、洋上風車の水平度を調整するために、特別な構成や工程を設けることを不要とすることができる。よって、洋上風車の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係るジャケット構造体は、態様1に係るジャケット構造体において、前記水平度調整機構は、気中に位置することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部である水平度調整機構は、気中に位置する。これにより、例えば、水平度調整機構が水中に位置する、又は洋上風車の水平度調整の作業を水中で行う場合と比較して、洋上風車の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係るジャケット構造体は、態様1又は態様2に係るジャケット構造体において、複数の前記下部構造体側レグ同士を接続するブレース、を更に備え、前記水平度調整機構は、前記ブレースの上端より上に位置することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部である水平度調整機構は、複数の下部構造体側レグ同士を接続するブレースの上端より上に位置する。これにより、水平度調整機構とブレースとが干渉することを抑えることができる。よって、ジャケット構造体にブレースを配置しやすくすることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係るジャケット構造体は、態様1から態様3のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記水平度調整機構は、水平方向に沿って見て、前記トランジションピースと重なることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、水平度調整機構は、水平方向に沿って見て、トランジションピースと重なる。言い換えれば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部である水平度調整機構は、トランジションピースの上端よりも下方に、かつ、トランジションピースの下端よりも上方に位置する。このような位置に水平度調整機構を配置することで、例えば、ジャケット構造体の下部において杭間距離を確保するために下部構造体側レグに屈曲部を設ける場合、屈曲部をトランジションピースの近くに設けることができることで、屈曲部の位置を高くすることができる。したがって、例えば、ジャケット構造体の高さ、及び下部構造体側レグの傾斜の勾配を変更することなく、杭間距離を大きくすることができる。よって、例えば、ジャケット構造体をより安定した構造とすることができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係るジャケット構造体は、態様1から態様4のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記トランジションピース側レグと前記下部構造体側レグとの間には、溶接部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの間には、溶接部が形成されている。言い換えれば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとは、溶接されている。これにより、例えば、トランジションピース側レグの径と下部構造体側レグの径とを同じにした場合、接続の作業を容易にすることができる。更に、例えば、トランジションピース側レグの径と下部構造体側レグの径とを同じにすることで、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、例えば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部の防錆処理を容易にすることができる。また、例えば、接続部の疲労強度を向上させることができる。
【0016】
<6>本発明の態様6に係るジャケット構造体は、態様5に係るジャケット構造体において、前記溶接部には、ライナープレートが配置されていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの溶接部には、ライナープレートが配置されている。これにより、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの間に配置するライナープレートの大きさを調整することで、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの間の寸法調整を容易に行うことができる。したがって、例えば、洋上風車の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0018】
<7>本発明の態様7に係るジャケット構造体は、態様1から態様6のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記トランジションピース側レグの径と前記下部構造体側レグの径とは異なることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、トランジションピース側レグの径と下部構造体側レグの径とは異なる。これにより、例えば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとのうち径が大きい方の内部に、径が小さい方の端部を挿入することで、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとを接続することができる。よって、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続を容易にすることができる。
【0020】
<8>本発明の態様8に係るジャケット構造体は、態様1から態様7のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記トランジションピース側レグ及び前記下部構造体側レグの一方は、他方の内部に挿入されることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの一方は、他方の内部に挿入される。これにより、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとを容易かつ確実に接続することができる。
【0022】
<9>本発明の態様9に係るジャケット構造体は、態様8に係るジャケット構造体において、前記一方の外周面と前記他方の内周面との間には、グラウトが充填されることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの一方の外周面と他方の内周面との間には、グラウトが充填される。つまり、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとは、グラウトにより固定される。これにより、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとを確実に接続することができる。
【0024】
<10>本発明の態様10に係るジャケット構造体は、態様8又は態様9に係るジャケット構造体において、前記一方と前記他方との間には、ライナープレートが配置されていることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの一方と他方との間には、ライナープレートが配置されている。これにより、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの一方と他方との間に配置するライナープレートの大きさを調整することで、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの間の寸法調整を容易に行うことができる。したがって、例えば、洋上風車の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0026】
<11>本発明の態様11に係るジャケット構造体は、態様10に係るジャケット構造体において、前記一方には、被当接部材が設けられ、前記被当接部材は、前記他方に当接し、前記ライナープレートは、前記他方と前記被当接部材との間に配置されることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグのうち、他方の内部に挿入される一方には、被当接部材が設けられる。被当接部材は、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの他方に当接する。ライナープレートは、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの他方と被当接部材との間に配置される。これにより、例えば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの間で、ライナープレートを配置しやすくすることができる。よって、例えば、ライナープレートによる洋上風車の水平度調整をより確実に行うことができる。
【0028】
<12>本発明の態様12に係るジャケット構造体は、態様8から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方が前記トランジションピース側レグであり、前記他方が前記下部構造体側レグであることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの一方がトランジションピース側レグであり、他方が下部構造体側レグである。言い換えれば、下部構造体側レグの内部に、トランジションピース側レグの端部が挿入されることで、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとが接続される。これにより、例えば、下部構造体側レグの径を、トランジションピース側レグの径よりも大きくすることができる。よって、例えば、ジャケット構造体の下部に接続される杭の径に合わせて、下部構造体側レグの径を大きくする必要がある場合に対応しやすくすることができる。また、例えば、複数の下部構造体側レグ同士を接続するブレースを配置しやすくすることができる。
【0030】
<13>本発明の態様13に係るジャケット構造体は、態様8から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記一方が前記下部構造体側レグであり、前記他方が前記トランジションピース側レグであることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグの一方が下部構造体側レグであり、他方がトランジションピース側レグである。言い換えれば、トランジションピース側レグの内部に、下部構造体側レグの端部が挿入されることで、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとが接続される。これにより、例えば、下部構造体側レグの径を、トランジションピース側レグの径よりも細くすることができる。よって、例えば、下部構造体側レグの径が必要以上に大きくなることを抑えることができる。よって、例えば、ジャケット構造体を経済的にすることができる。
【0032】
<14>本発明の態様14に係るジャケット構造体は、態様1から態様13のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記トランジションピース側レグに対して前記下部構造体側レグを固定する鋼材、を更に備えることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、トランジションピース側レグに対して下部構造体側レグを固定する鋼材を更に備える。これにより、例えば、トランジションピース側レグの径と下部構造体側レグの径とを同じにした場合に、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続を確実にすることができる。
【0034】
<15>本発明の態様15に係るジャケット構造体は、態様14に係るジャケット構造体において、前記鋼材は、前記トランジションピース側レグ及び前記下部構造体側レグそれぞれの、内部又は外部に配置されることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、鋼材は、トランジションピース側レグ及び下部構造体側レグそれぞれの、内部又は外部に配置される。鋼材がトランジションピース側レグ及び下部構造体側レグそれぞれの内部に配置される場合、例えば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、例えば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部の防錆処理を容易にすることができる。
鋼材がトランジションピース側レグ及び下部構造体側レグそれぞれの外部に配置される場合、例えば、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続部を鋼材によって覆うことができる。よって、例えば、鋼材に防錆処理を施すことで、接続部に防錆処理を施すことを不要とすることができる。
【0036】
<16>本発明の態様16に係るジャケット構造体は、態様14又は態様15に係るジャケット構造体において、前記鋼材は管状であり、前記鋼材の一方の端部は前記トランジションピース側レグの端部に突き合わせられるように配置され、前記鋼材の他方の端部は前記下部構造体側レグの端部に突き合わせられるように配置されることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、鋼材は管状であり、鋼材の一方の端部はトランジションピース側レグの端部に突き合わせられるように配置され、鋼材の他方の端部は下部構造体側レグの端部に突き合わせられるように配置される。これにより、例えば、鋼材とトランジションピース側レグ及び下部構造体側レグそれぞれとの接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、例えば、それぞれの接続部の防錆処理を容易にすることができる。更に、例えば、鋼材の長さを調整することで、トランジションピース側レグと下部構造体側レグとの間の寸法調整を行うことができる。したがって、例えば、洋上風車の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0038】
<17>本発明の態様17に係るジャケット構造体は、態様1から態様16のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記トランジションピースは、洋上風車タワーを支持するセンターパイプを含み、前記センターパイプは、フランジを含み、前記洋上風車タワーと前記フランジとの間には、ライナープレートが配置され、前記フランジは、L型フランジ又はT型フランジであることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、トランジションピースは、洋上風車タワーを支持するセンターパイプを含む。洋上風車タワーと、センターパイプの含むフランジとの間には、ライナープレートが配置される。これにより、例えば、洋上風車タワーとフランジとの間に配置するライナープレートの大きさを調整することで、洋上風車タワーとセンターパイプとの間で、洋上風車の水平度を調整することができる。また、フランジは、L型フランジ又はT型フランジである。このことで、ライナープレートを設置しやすくすることができる。したがって、洋上風車タワーとセンターパイプとの間における洋上風車の水平度調整を容易にすることができる。
【0040】
<18>本発明の態様18に係る水平度調整方法は、洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースの一部であるトランジションピース側レグと、前記トランジションピース側レグに接続される下部構造体側レグと、を備えるジャケット構造体の水平度調整方法であって、前記下部構造体側レグを海底に設置する設置工程と、前記トランジションピース側レグをジャッキによって、前記設置工程にて前記海底に設置された前記下部構造体側レグに対し、位置決めすることで水平度を調整する水平度調整工程と、前記設置工程にて前記海底に設置された前記下部構造体側レグと、前記位置決め工程にて位置決めされた前記トランジションピース側レグとを接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、水平度調整方法は、トランジションピース側レグをジャッキによって、設置工程にて海底に設置された下部構造体側レグに対し、位置決めすることで水平度を調整する水平度調整工程を備える。水平度調整工程にジャッキを用いることで、ジャケット構造体の水平度の調整を柔軟に行うことができる。よって、水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0042】
<19>本発明の態様19に係る水平度調整方法は、態様18に係る水平度調整方法において、前記接合工程は溶接工程であることを特徴とする。
【0043】
この発明によれば、接合工程は溶接工程である。つまり、下部構造体側レグとトランジションピース側レグとは、溶接により接合される。これにより、例えば、下部構造体側レグの径とトランジションピース側レグの径とが同じである場合に、下部構造体側レグとトランジションピース側レグとを効率的に接合することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、水平度調整の作業性を向上したジャケット構造体及び水平度調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】ジャケット構造体の正面図である。
図2】ジャケット構造体の備えるトランジションピースの平面図である。
図3】第1実施形態における、図1に示すIII部の拡大図である。
図4】第2実施形態における、図1に示すIV部の第1例である。
図5】第2実施形態における、図1に示すIV部の第2例である。
図6】第2実施形態における、図1に示すIV部の第3例である。
図7】第2実施形態における、図1に示すIV部の第1変形例である。
図8】第2実施形態における、図1に示すIV部の第2変形例である。
図9】第3実施形態における、鋼材によるトランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続の第1例である。
図10】第3実施形態における、鋼材によるトランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続の第2例である。
図11】第3実施形態における、鋼材によるトランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続の第3例である。
図12】第4実施形態における、図1に示すXII部の第1例である。
図13】第4実施形態における、図1に示すXII部の第2例である。
図14】水平度調整工程の模式図である。
図15図14のXV部の拡大図である。
図16】第3実施形態における、鋼材によるトランジションピース側レグと下部構造体側レグとの接続の第4例である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るジャケット構造体100を説明する。図1に示すように、ジャケット構造体100は、トランジションピース10と、トランジションピース側レグ20と、下部構造体側レグ30と、ブレース40と、接合部材50と、を備える。
トランジションピース10は、洋上風車200を支持する。具体的には、トランジションピース10には、洋上風車タワー200Tの下端が接続されることで、洋上風車200を支持する。トランジションピース10は、ジャケット構造体100の上端に配置される。
【0047】
図1に示すように、トランジションピース10は、上側板11と、下側板12と、ウェブ13と、センターパイプ14と、を備える。
上側板11は、トランジションピース10の上側において水平方向に配置される。第1実施形態において、水平方向とは、洋上風車200が配置される海面と平行な方向である。図2に示すように、上側板11は、例えば、十字状であり、中央にセンターパイプ14が配置される。上側板11におけるセンターパイプ14の径方向の外側に突出した各端部には、トランジションピース側レグ20が配置される。
【0048】
下側板12は、トランジションピース10の下端において水平方向に配置される。図2に示すように、下側板12は上側板11と同様に十字状であり、中央にセンターパイプ14が配置され、センターパイプ14の径方向の外側に突出した各端部には、トランジションピース側レグ20が配置される。これにより、トランジションピース10においてセンターパイプ14及びトランジションピース側レグ20を上下2箇所で支持する。
ウェブ13は、上側板11と、下側板12と、センターパイプ14と、トランジションピース側レグ20と、との間を補強する部材である。図1に示すように、ウェブ13は略四角形状の板である。ウェブ13は、前記略四角形状の4辺を、上述の上側板11と、下側板12と、センターパイプ14と、トランジションピース側レグ20と、にそれぞれ接続する。これによりトランジションピース10を補強する。
センターパイプ14は筒状の部材であり、トランジションピース10の中央に配置される。センターパイプ14は、洋上風車タワー200Tを支持する。センターパイプ14は、上側板11、下側板12、及びウェブ13によって支持される。第1実施形態において、センターパイプ14には洋上風車200が接続される。これにより、トランジションピース10によって洋上風車200を支持する。
【0049】
トランジションピース側レグ20は、トランジションピース10の一部である。すなわち、トランジションピース側レグ20は、少なくとも上端を含む一部がトランジションピース10の上端よりも下方に、かつ、トランジションピース10の下端よりも上方に位置する。トランジションピース側レグ20の下端は、下部構造体側レグ30の上端と接続される。
トランジションピース側レグ20は、トランジションピース10に複数設けられる。上述のように、トランジションピース10の上側板11及び下側板12は十字状であり、センターパイプ14の径方向外側に突出した各端部にトランジションピース側レグ20が配置される。したがって、第1実施形態において、トランジションピース側レグ20は、図2に示すように、4つ設けられる。
【0050】
下部構造体側レグ30は、トランジションピース側レグ20に接続される。具体的には、下部構造体側レグ30の上端と、トランジションピース側レグ20の下端とが接続される。このことで、下部構造体側レグ30は、トランジションピース10を支持する。下部構造体側レグ30の下端は、例えば、接合部材50を介して、海底に打設された杭Pに接続される。
下部構造体側レグ30は、トランジションピース側レグ20の数に合わせて複数設けられる。第1実施形態において、下部構造体側レグ30は、4つ設けられる。第1実施形態において、トランジションピース側レグ20の径と下部構造体側レグ30の径とは、例えば、同じである。
第1実施形態において、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とが接続される部分は、洋上風車200の水平度を調整する水平度調整機構60として用いられる(詳細は後述する)。
【0051】
ブレース40は、複数の下部構造体側レグ30同士を接続する。このことで、ブレース40は、ジャケット構造体100を補強する。
ブレース40は、例えば、図1に示す斜めブレース41のように、水平方向に対して斜めに配置される。また、斜めブレース41は、例えば、複数の下部構造体側レグ30同士の間にX字状に配置される。斜めブレース41は、例えば、図1に示すように、ジャケット構造体100の上下方向に2段以上配置される。斜めブレース41は、ジャケット構造体100の上下方向に一段のみ配置されてもよい。
ブレース40は、例えば、図1に示す水平ブレース42のように、水平方向に平行に配置されてもよい。
【0052】
水平度調整機構60は、ブレース40の上端より上に位置する。つまり、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部は、例えば、図3に示すように、ブレース40(斜めブレース41)の上端より上に位置する。このことで、水平度調整機構60とブレース40とが干渉することで設計検討が複雑になることを抑え、ジャケット構造体100にブレース40を配置しやすくすることが好ましい。
【0053】
接合部材50は、ジャケット構造体100を複数の杭Pに接合する。図1に示すように、接合部材50は、下部構造体側レグ30の下端に設けられる。接合部材50は、スリーブ51と、接続部材52と、を含む。
スリーブ51は、上下方向に伸びる筒状体である。スリーブ51のそれぞれには、杭Pが挿入される。
接続部材52は、下部構造体側レグ30とスリーブ51を接続する板状の部材である。接続部材52は、例えば、スリーブ51の上下方向の端部に1つずつ、合わせて2つ設けられる。これにより、ジャケット構造体100と杭Pとを接続する。
【0054】
(水平度調整機構60について)
上述のように、第1実施形態において、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とが接続される部分は、洋上風車200の水平度を調整する水平度調整機構60として用いられる。具体的には、ジャケット構造体100に複数設けられたトランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部において、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間の距離を適宜調整することで、トランジションピース10に配置された複数のトランジションピース側レグ20の高さを個別に調整し、トランジションピース10が水平に配置されるようにする。このことで、トランジションピース10が支持する洋上風車200が水平に配置されるようにする。
以下、第1実施例に係る水平度調整機構60の具体的態様について説明する。
【0055】
第1実施形態において、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間には、図3に示すように、溶接部60Wが形成されている。言い換えれば、第1実施形態において、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とは溶接されている。また、溶接部60Wには、図3に示すように、ライナープレート60Pが配置されている。
ライナープレート60Pは、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間に配置される板状の部材である。言い換えれば、ライナープレート60Pは、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間に挟まれる。
【0056】
第1実施形態においては、このライナープレート60Pの大きさを調整することで、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間の距離を調整する。なお、ライナープレート60Pの大きさを調整することには、例えば、ライナープレート60Pの板厚を変更すること、及び、複数のライナープレート60Pを積層する数を変更することが含まれる。上述のようにしてトランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間の距離を調整した後に、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とを溶接して溶接部60Wを形成することで、トランジションピース10が水平に配置された状態とする。
【0057】
第1実施形態において、水平度調整機構60は、気中に位置する。言い換えれば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部は、気中に位置し、水中に位置しない。このことで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続作業、及び洋上風車200の水平度調整の作業を気中で行うことができるようにすることが好ましい。
【0058】
ここで、海上に配置されるジャケット構造体100の強度を考慮するとき、上側板11及び下側板12等の自重に伴う付加的な曲げモーメントを小さくするため、トランジションピース10の大きさは比較的小さいことが好ましい。したがって、上下方向を軸としたジャケット構造体100の周方向において、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の数を一定とした条件において、トランジションピース側レグ20同士の距離は、比較的短いことが好ましい。これに対し、ジャケット構造体100の転倒モーメントに伴う下部構造体側レグ30の押し引き(軸力)を小さくし、杭Pに求められる支持力を小さくするため、海底に打設される杭P同士の距離、すなわち杭間距離は、比較的長いことが好ましい。したがって、上下方向を軸としたジャケット構造体100の周方向において、下部構造体側レグ30の下端同士の距離は、比較的長いことが好ましい。
【0059】
このため、下部構造体側レグ30の下端同士の距離を、トランジションピース側レグ20同士の距離よりも大きくするために、下部構造体側レグ30に屈曲部30Bを設け、下部構造体側レグ30の中間部を傾斜させることが好ましい。屈曲部30Bは、例えば、下部構造体側レグ30が屈曲する部位である。これに限らず、屈曲部30Bにおいては、下部構造体側レグ30が湾曲していてもよい。換言すれば、屈曲部30Bは、非直線部とも言える。下部構造体側レグ30に屈曲部30Bを設けるとき、より長い杭間距離を確保するためには、屈曲部30Bをトランジションピース10の近くに設けることで、屈曲部30Bの位置を高くすることが好ましい。
【0060】
具体的には、屈曲部30Bは、例えば、トランジションピース10の下側板12から屈曲部30Bまでの距離が、下部構造体側レグ30から屈曲部30Bまでの距離よりも短くなるように配置されることが好ましい。屈曲部30Bは、例えば、トランジションピース10の下側板12と、下部構造体側レグ30とブレース40との交点のうち最も上に位置するものとの間に配置されてもよい。
【0061】
第1実施形態において、水平度調整機構60は、図3に示すように、例えば、下側板12の下面から、トランジションピース側レグ20の外径の200%以下の寸法だけ下方に移動した箇所に設けられることが好ましい。このような位置に水平度調整機構60を配置することで、屈曲部30Bをトランジションピース10の近くに設けることができるようにして、屈曲部30Bの位置を高くすることが好ましい。
【0062】
(ジャケット構造体100の水平度調整方法)
次に、第1実施形態に係るジャケット構造体100の水平度調整方法について説明する。なお、第1実施形態において、ジャケット構造体100の水平度調整とは、より具体的には、トランジションピース10の水平度を調整することで、トランジションピース10のセンターパイプ14に接続される洋上風車200の水平度を調整することをいう。
第1実施形態に係る水平度調整方法は、設置工程と、水平度調整工程と、接合工程と、を備える。
【0063】
設置工程は、下部構造体側レグ30を海底に設置する工程である。すなわち、設置工程においては、あらかじめ海底に打設された杭Pの上端に、例えば、接合部材50を介して下部構造体側レグ30の下端を接続する。具体的には、例えば、下部構造体側レグ30の下端に取り付けられた接合部材50のスリーブ51に、杭Pの上端を挿入させる。このことで、下部構造体側レグ30を海底に設置する。
【0064】
水平度調整工程は、トランジションピース側レグ20を、設置工程にて海底に設置された下部構造体側レグ30に対して位置決めすることで、トランジションピース10の水平度を調整する工程である。第1実施形態において、トランジションピース側レグ20の位置決めには、例えば、不図示のジャッキが用いられる。具体的には、例えば、図14に示すように、不図示のジャッキによりトランジションピース側レグ20の位置を仮保持した状態で、図15に示すように、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間にライナープレート60Pを適宜配置する。このことで、トランジションピース側レグ20の位置を決定する。
【0065】
接合工程は、設置工程にて海底に設置された下部構造体側レグ30と、位置決め工程にて位置決めされたトランジションピース側レグ20とを接合する工程である。第1実施形態において、接合工程は溶接工程である。つまり、下部構造体側レグ30とトランジションピース側レグ20とは、溶接により接合される。
【0066】
以上の工程により、ジャケット構造体100の水平度調整が行われる。なお、水平度調整工程において配置されたライナープレート60Pは、例えば、下部構造体側レグ30とトランジションピース側レグ20とが溶接された後に残置されてもよいし、下部構造体側レグ30とトランジションピース側レグ20とが溶接された後に取り外されてもよい。ライナープレート60Pを取り外す場合は、ライナープレート60Pが取り外された後の空間を、別途溶接することで埋めるようにすることが好ましい。
【0067】
以上説明したように、第1実施形態に係るジャケット構造体100によれば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とが接続される部分は、洋上風車200の水平度を調整する水平度調整機構60として、用いられる。これにより、例えば、ジャケット構造体100の施工現場において、トランジションピース側レグ20と、下部構造体側レグ30と、を接続する作業を行う際に、洋上風車200の水平度を調整することができる。よって、例えば、洋上風車200の水平度を調整するために、特別な構成や工程を設けることを不要とすることができる。よって、洋上風車200の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0068】
また、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部である水平度調整機構60は、気中に位置する。これにより、例えば、水平度調整機構60が水中に位置する、又は洋上風車200の水平度調整の作業を水中で行う場合と比較して、洋上風車200の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車200の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0069】
また、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部である水平度調整機構60は、複数の下部構造体側レグ30同士を接続するブレース40の上端より上に位置する。これにより、水平度調整機構60とブレース40とが干渉することを抑えることができる。よって、ジャケット構造体100にブレース40を配置しやすくすることができる。
【0070】
また、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間には、溶接部60Wが形成されている。言い換えれば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とは、溶接されている。これにより、例えば、トランジションピース側レグ20の径と下部構造体側レグ30の径とを同じにした場合、接続の作業を容易にすることができる。更に、例えば、トランジションピース側レグ20の径と下部構造体側レグ30の径とを同じにすることで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、例えば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部の防錆処理を容易にすることができる。また、例えば、接続部の疲労強度を向上させることができる。
【0071】
また、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との溶接部60Wには、ライナープレート60Pが配置されている。これにより、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間に配置するライナープレート60Pの大きさを調整することで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間の寸法調整を容易に行うことができる。したがって、例えば、洋上風車200の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車200の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0072】
また、水平度調整方法は、トランジションピース側レグ20をジャッキによって、設置工程にて海底に設置された下部構造体側レグ30に対し、位置決めすることで水平度を調整する水平度調整工程を備える。水平度調整工程にジャッキを用いることで、ジャケット構造体100の水平度の調整を柔軟に行うことができる。よって、水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0073】
また、接合工程は溶接工程である。つまり、下部構造体側レグ30とトランジションピース側レグ20とは、溶接により接合される。これにより、例えば、下部構造体側レグ30の径とトランジションピース側レグ20の径とが同じである場合に、下部構造体側レグ30とトランジションピース側レグ20とを効率的に接合することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のジャケット構造体100を、図4図8を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第2実施形態に係るジャケット構造体100は、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続の態様が、第1実施形態と異なる。以下、具体的な態様について説明する。
【0075】
第2実施形態において、トランジションピース側レグ20の径と下部構造体側レグ30の径とは異なる。トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方は、他方の内部に挿入される。そして、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方の外周面と他方の内周面との間には、グラウトGが充填される。つまり、第2実施形態において、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とは、グラウト接合される。第2実施形態に係る水平度調整機構60は、水平方向に沿って見て、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方と他方とが重なる領域をいう。
以下、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とのグラウト接合に係る構造について、3例説明する。
【0076】
(グラウト接合の第1例)
第1例に係るグラウト接合の態様は、図4に示すように、前述の一方がトランジションピース側レグ20であり、他方が下部構造体側レグ30である。言い換えれば、下部構造体側レグ30の内部に、トランジションピース側レグ20の端部が挿入されることで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とが接続される。第1例において、トランジションピース側レグ20の下部は、トランジションピース10の下側板12から下方に突出している。下部構造体側レグ30の内部には、トランジションピース側レグ20の下部のうち、トランジションピース10の下側板12から下方に突出した部分が挿入される。
【0077】
第1例において、一方であるトランジションピース側レグ20には、被当接部材60Sが設けられる。被当接部材60Sは、板状の部材であって、厚さ方向が水平方向に沿うように配置される部材である。被当接部材60Sは、一方であるトランジションピース側レグ20の周方向に、間隔を空けて複数設けられる。被当接部材60Sは、例えば、一方であるトランジションピース側レグ20に溶接により取り付けられる。このため、被当接部材60Sの、トランジションピース側レグ20に接する部分には、不図示のフランジが設けられていることが好ましい。
【0078】
第1例において、被当接部材60Sは、例えば、他方である下部構造体側レグ30に当接する。あるいは、一方であるトランジションピース側レグ20と他方である下部構造体側レグ30との間には、ライナープレート60Pが配置される。なお、被当接部材60Sが他方である下部構造体側レグ30に当接するとは、被当接部材60Sと下部構造体側レグ30との間にライナープレート60Pが介されている状態も含むものとする。
【0079】
第2実施形態においては、被当接部材60Sと他方である下部構造体側レグ30との間に配置されるライナープレート60Pの大きさを調整することで、一方であるトランジションピース側レグ20の、他方である下部構造体側レグ30への挿入代を変更する。このことで、トランジションピース10の水平度調整を行う。ライナープレート60Pの大きさの調整の方法は、第1実施形態と同じである。なお、トランジションピース10の水平度の調整の結果によっては、ライナープレート60Pを設けず、被当接部材60Sと他方である下部構造体側レグ30とが直接に当接してもよい。
【0080】
(グラウト接合の第2例)
第2例に係るグラウト接合の態様は、図5に示すように、前述の一方が下部構造体側レグ30であり、他方がトランジションピース側レグ20である。言い換えれば、トランジションピース側レグ20の内部に、下部構造体側レグ30の端部が挿入されることで、下部構造体側レグ30とトランジションピース側レグ20とが接続される。第2例において、下部構造体側レグ30の下部は、トランジションピース10の下側板12から下方に突出している。下部構造体側レグ30の端部は、トランジションピース側レグ20の下部のうち、トランジションピース10の下側板12から下方に突出した部分に挿入される。
【0081】
第2例において、一方である下部構造体側レグ30には、被当接部材60Sが設けられる。被当接部材60Sは、板状の部材であって、厚さ方向が水平方向に沿うように配置される部材である。被当接部材60Sは、一方である下部構造体側レグ30の周方向に、間隔を空けて複数設けられる。被当接部材60Sは、例えば、一方である下部構造体側レグ30に溶接により取り付けられる。このため、被当接部材60Sの、トランジションピース側レグ20に接する部分には、不図示のフランジが設けられていることが好ましい。
【0082】
第2例において、被当接部材60Sは、例えば、他方であるトランジションピース側レグ20に当接する。あるいは、一方である下部構造体側レグ30と他方であるトランジションピース側レグ20との間には、ライナープレート60Pが配置される。なお、被当接部材60Sが他方であるトランジションピース側レグ20に当接するとは、被当接部材60Sとトランジションピース側レグ20との間にライナープレート60Pが介されている状態も含むものとする。
ライナープレート60Pによって一方である下部構造体側レグ30の他方であるトランジションピース側レグ20への挿入代を変更し、トランジションピース10の水平度を調整することについては、第1例と同じである。なお、トランジションピース10の水平度の調整の結果によっては、ライナープレート60Pを設けず、被当接部材60Sと他方であるトランジションピース側レグ20とが直接に当接してもよい。
【0083】
(グラウト接合の第3例)
第3例に係るグラウト接合の態様は、図6に示すように、水平度調整機構60が、水平方向に沿って見て、トランジションピース10と重なる。言い換えれば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部である水平度調整機構60は、トランジションピース10の上端よりも下方に、かつ、トランジションピース10の下端よりも上方に位置する。
【0084】
すなわち、一方である下部構造体側レグ30の端部が、トランジションピース10の上端よりも下方に、かつ、トランジションピース10の下端よりも上方に位置する。この点でのみ、第2例と異なる。その他については、第2例と同じである。
第3例に係る水平度調整機構60は、図6に示すように、水平方向に沿って見て、トランジションピース10と重なる。第3例は、第1例及び第2例に対して、下部構造体側レグ30の屈曲部30Bをトランジションピース10の近くに配置することができる点で有利な効果を有する。
【0085】
なお、第1例及び第2例については、水平度調整機構60が水平方向に沿って見てトランジションピース10と重ならないようにすることで、設計検討を容易にできる点で第3例に対し有利な効果を有する。
上述の第1実施形態において、水平度調整機構60はブレース40の上端より上に位置すると説明した。図4~5においては同様としているが、例えば、図7及び図8に示すように、第2例又は第3例においては、水平度調整機構60と同じ高さにブレース40(斜めブレース41)が配置されていてもよい。
【0086】
(ジャケット構造体100の水平度調整方法)
次に、第2実施形態に係るジャケット構造体100の水平度調整方法について説明する。第2実施形態に係る水平度調整方法は、接合工程が、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方の外周面と他方の内周面との間にグラウトGを充填し、硬化させる工程である点で、第1実施形態と異なる。
【0087】
なお、第2実施形態のように、被当接部材60Sによってトランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とを仮保持することが可能である場合も、水平度調整工程においては、ジャッキを用いて、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間の寸法を調整する。具体的には、例えば、被当接部材60Sの1つと、被当接部材60Sに当接するトランジションピース側レグ20又は下部構造体側レグ30の端部との間にジャッキを配置し、ジャッキによってトランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間の寸法が調整された状態のまま、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とをグラウト接合してもよい。
【0088】
以上説明したように、第2実施形態に係るグラウト接合の第3例によれば、水平度調整機構60は、水平方向に沿って見て、トランジションピース10と重なる。言い換えれば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部である水平度調整機構60は、トランジションピース10の上端よりも下方に、かつ、トランジションピース10の下端よりも上方に位置する。このような位置に水平度調整機構60を配置することで、例えば、ジャケット構造体100の下部において杭間距離を確保するために下部構造体側レグ30に屈曲部30Bを設ける場合、屈曲部30Bをトランジションピース10の近くに設けることができることで、屈曲部30Bの位置を高くすることができる。したがって、例えば、ジャケット構造体100の高さ、及び下部構造体側レグ30の傾斜の勾配を変更することなく、杭間距離を大きくすることができる。よって、例えば、ジャケット構造体100をより安定した構造とすることができる。
【0089】
また、トランジションピース側レグ20の径と下部構造体側レグ30の径とは異なる。これにより、例えば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とのうち径が大きい方の内部に、径が小さい方の端部を挿入することで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とを接続することができる。よって、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続を容易にすることができる。
【0090】
また、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方は、他方の内部に挿入される。これにより、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とを容易かつ確実に接続することができる。
【0091】
また、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方の外周面と他方の内周面との間には、グラウトGが充填される。つまり、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とは、グラウトGにより固定される。これにより、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とを確実に接続することができる。
【0092】
また、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方と他方との間には、ライナープレート60Pが配置されている。これにより、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方と他方との間に配置するライナープレート60Pの大きさを調整することで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間の寸法調整を容易に行うことができる。したがって、例えば、洋上風車200の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車200の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0093】
また、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30のうち、他方の内部に挿入される一方には、被当接部材60Sが設けられる。被当接部材60Sは、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の他方に当接する。ライナープレート60Pは、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の他方と被当接部材60Sとの間に配置される。これにより、例えば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間で、ライナープレート60Pを配置しやすくすることができる。よって、例えば、ライナープレート60Pによる洋上風車200の水平度調整をより確実に行うことができる。
【0094】
また、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方がトランジションピース側レグ20であり、他方が下部構造体側レグ30である。言い換えれば、下部構造体側レグ30の内部に、トランジションピース側レグ20の端部が挿入されることで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とが接続される。これにより、例えば、下部構造体側レグ30の径を、トランジションピース側レグ20の径よりも大きくすることができる。よって、例えば、ジャケット構造体100の下部に接続される杭Pの径に合わせて、下部構造体側レグ30の径を大きくする必要がある場合に対応しやすくすることができる。また、例えば、複数の下部構造体側レグ30同士を接続するブレース40を配置しやすくすることができる。
【0095】
また、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の一方が下部構造体側レグ30であり、他方がトランジションピース側レグ20である。言い換えれば、トランジションピース側レグ20の内部に、下部構造体側レグ30の端部が挿入されることで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とが接続される。これにより、例えば、下部構造体側レグ30の径を、トランジションピース側レグ20の径よりも細くすることができる。よって、例えば、下部構造体側レグ30の径が必要以上に大きくなることを抑えることができる。よって、例えば、ジャケット構造体100を経済的にすることができる。
【0096】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態のジャケット構造体100を、図9図11を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1及び第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第3実施形態に係るジャケット構造体100は、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続の態様が、第1及び第2実施形態と異なる。以下、具体的な態様について説明する。
【0097】
第3実施形態において、トランジションピース側レグ20の径と下部構造体側レグ30の径とは、例えば、同じである。第3実施形態に係るジャケット構造体100は、トランジションピース側レグ20に対して下部構造体側レグ30を固定する鋼材70を更に備える点で、第1及び第2実施形態と異なる。
以下、鋼材70によるトランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続に係る構造について、3例説明する。
【0098】
(鋼材70の第1例)
第1例に係る鋼材70は、図9に示すように、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30それぞれの内部に配置される。第1例において、鋼材70と、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30とは、例えば、溶接により接合される。このとき、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30のそれぞれに対する鋼材70の位置を適宜変更することで、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間の距離を調整する。このことで、トランジションピース10の水平度調整を行う。
【0099】
(鋼材70の第2例)
第2例に係る鋼材70は、図10に示すように、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30それぞれの外部に配置される。第2例において、鋼材70と、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30とは、例えば、溶接により接合される。このとき、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30のそれぞれに対する鋼材70の位置を適宜変更することで、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間の距離を調整する。このことで、トランジションピース10の水平度調整を行う。
【0100】
(鋼材70の第3例)
第3例に係る鋼材70は、図11に示すように、管状である。鋼材70の一方の端部はトランジションピース側レグ20の端部に突き合わせられるように配置され、鋼材70の他方の端部は下部構造体側レグ30の端部に突き合わせられるように配置される。この時、鋼材70の長さを適宜変更することで、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間の距離を調整する。このことで、トランジションピース10の水平度調整を行う。
【0101】
(鋼材70の第4例)
第4例に係る鋼材70は、図16に示すように、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30それぞれの外部に配置される。具体的には、第2例に係る鋼材70は、図16に示すように、板状の部材であって、厚さ方向が水平方向に沿う部材である。鋼材70は、例えば、トランジションピース側レグ20の周方向に、90°の間隔をあけて4つ設けられる。換言すれば、鋼材70は、トランジションピース側レグ20の外周面に、平面視において十字状に設けられる。
【0102】
第2例において、鋼材70は、例えば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とを接続する際の仮止めに用いられる。具体的には、図16に示すように、鋼材70は、例えば、予め下部構造体側レグ30に溶接されている。又は、鋼材70は、予めトランジションピース側レグ20に溶接されていてもよい。この状態で、トランジションピース側レグ20を上方から下部構造体側レグ30に接近させ、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間の距離を調整する。その後、鋼材とトランジションピース側レグ20とを溶接することで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30とを仮止めする。この状態で、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の端部同士を溶接する。このことで、トランジションピース10の水平度調整を行う。なお、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30の端部同士が溶接された後は、鋼材70は取り外されることが好ましい。
【0103】
(ジャケット構造体100の水平度調整方法)
次に、第3実施形態に係るジャケット構造体100の水平度調整方法について説明する。第3実施形態に係る水平度調整方法は、上述のように、水平度調整工程において、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30のそれぞれに対する鋼材70の位置を適宜変更する、又は、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間に配置された鋼材70の長さを適宜変更することで、トランジションピース側レグ20の端部と下部構造体側レグ30の端部との間の距離を調整する点で、第1及び第2実施形態と異なる。
【0104】
以上説明したように、第3実施形態に係るジャケット構造体100によれば、トランジションピース側レグ20に対して下部構造体側レグ30を固定する鋼材70を更に備える。これにより、例えば、トランジションピース側レグ20の径と下部構造体側レグ30の径とを同じにした場合に、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続を確実にすることができる。
【0105】
また、鋼材70は、トランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30それぞれの、内部又は外部に配置される。鋼材70がトランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30それぞれの内部に配置される場合、例えば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、例えば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部の防錆処理を容易にすることができる。
鋼材70がトランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30それぞれの外部に配置される場合、例えば、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部を鋼材70によって覆うことができる。よって、例えば、鋼材70に防錆処理を施すことで、接続部に防錆処理を施すことを不要とすることができる。
【0106】
また、鋼材70は管状であり、鋼材70の一方の端部はトランジションピース側レグ20の端部に突き合わせられるように配置され、鋼材70の他方の端部は下部構造体側レグ30の端部に突き合わせられるように配置される。これにより、例えば、鋼材70とトランジションピース側レグ20及び下部構造体側レグ30それぞれとの接続部の外周面を平坦にすることができる。よって、例えば、それぞれの接続部の防錆処理を容易にすることができる。更に、例えば、鋼材70の長さを調整することで、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間の寸法調整を行うことができる。したがって、例えば、洋上風車200の水平度調整の作業を容易に行うことができる。よって、洋上風車200の水平度調整の作業性を向上させることができる。
【0107】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態のジャケット構造体100を、図12及び図13を参照して説明する。
なお、この第4実施形態においては、第1乃至第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第4実施形態に係るジャケット構造体100は、第1実施形態に係る水平度調整機構60に加えて、第2水平度調整機構80が、洋上風車タワー200Tとセンターパイプ14との間に更に設けられる点で、第1乃至第3実施形態と異なる。以下、具体的な態様について説明する。
【0108】
第4実施形態において、センターパイプ14は、フランジ14Fを含む。フランジ14Fは、例えば、図12に示すように、L型フランジである。又は、フランジ14Fは、図13に示すように、T型フランジでもよい。
洋上風車タワー200Tとフランジ14Fとの間には、ライナープレート60Pが配置される。第4実施形態においては、このライナープレート60Pの大きさを調整することで、洋上風車タワー200Tとフランジ14Fとの間の距離を調整する。すなわち、洋上風車タワー200T及びフランジ14Fの周方向の一部に、ライナープレート60Pを適宜配置することで、洋上風車タワー200Tの中心軸とセンターパイプ14の中心軸との相対角度を変更する。ライナープレート60Pの大きさを調整することには、例えば、ライナープレート60Pの板厚を変更すること、及び、複数のライナープレート60Pを積層する数を変更することが含まれる。このことで、洋上風車200の水平度を調整する。
【0109】
(ジャケット構造体100の水平度調整方法)
次に、第4実施形態に係るジャケット構造体100の水平度調整方法について説明する。第4実施形態に係る水平度調整方法は、上述のように、水平度調整工程において、洋上風車タワー200Tとフランジ14Fとの間にライナープレート60Pを配置し、接合工程において、洋上風車タワー200Tとフランジ14Fとを接合する点で、第1乃至第3実施形態と異なる。
なお、第4実施形態に係るジャケット構造体100においては、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との間に設けられる水平度調整機構60は、第1実施形態に係るものに限らず、第2又は第3実施形態に係るものが設けられてもよい。
【0110】
以上説明したように、第4実施形態に係るジャケット構造体100によれば、トランジションピース10は、洋上風車タワー200Tを支持するセンターパイプ14を含む。洋上風車タワー200Tと、センターパイプ14の含むフランジとの間には、ライナープレート60Pが配置される。これにより、例えば、洋上風車タワー200Tとフランジとの間に配置するライナープレート60Pの大きさを調整することで、洋上風車タワー200Tとセンターパイプ14との間で、洋上風車200の水平度を調整することができる。また、フランジは、L型フランジ又はT型フランジである。このことで、ライナープレート60Pを設置しやすくすることができる。したがって、洋上風車タワー200Tとセンターパイプ14との間における洋上風車200の水平度調整を容易にすることができる。
【0111】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、1つのジャケット構造体100において、上述したトランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との各種接続構造を複数適用してもよい。すなわち、ジャケット構造体100のうち、1つの接続構造と、前記1つと異なる接続構造とは、異なる種類の構造としてもよい。
また、1つのジャケット構造体100において、水平度調整機構60を、トランジションピース側レグ20と下部構造体側レグ30との接続部、及び、洋上風車タワー200Tとセンターパイプ14との間、の両方に設けてもよい。
また、ジャケット構造体100において、第4実施形態に係る第2水平度調整機構80のみを備えた構造として、第1乃至第3実施形態に係る水平度調整機構60を備えなくてもよい。
【0112】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 トランジションピース
11 上側板
12 下側板
13 ウェブ
14 センターパイプ
14F フランジ
20 トランジションピース側レグ
30 下部構造体側レグ
30B 屈曲部
40 ブレース
41 斜めブレース
42 水平ブレース
50 接合部材
51 スリーブ
52 接続部材
60 水平度調整機構
60P ライナープレート
60S 被当接部材
60W 溶接部
70 鋼材
80 第2水平度調整機構
100 ジャケット構造体
200 洋上風車
200T 洋上風車タワー
G グラウト
P 杭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースの一部である複数のトランジションピース側レグと、
前記複数のトランジションピース側レグに各別に接続される複数の下部構造体側レグと、
を備えるジャケット構造体であって、
前記洋上風車の水平度を調整する水平度調整機構が、前記トランジションピース側レグと前記下部構造体側レグとが接続される部分に設けられ
前記水平度調整機構は、前記複数のトランジションピース側レグのうち1つの前記トランジションピース側レグとそれに対応する前記下部構造体側レグとの相対位置と、他の前記トランジションピース側レグとそれに対応する前記下部構造体側レグとの相対位置とを異ならせている
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記水平度調整機構は、気中に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
複数の前記下部構造体側レグ同士を接続するブレース、
を更に備え、
前記水平度調整機構は、前記ブレースの上端より上に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記水平度調整機構は、水平方向に沿って見て、前記トランジションピースと重なる、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記トランジションピース側レグと前記下部構造体側レグとの間には、溶接部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記溶接部には、ライナープレートが配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記トランジションピース側レグの径と前記下部構造体側レグの径とは異なる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記トランジションピース側レグ及び前記下部構造体側レグの一方は、他方の内部に挿入される、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記一方の外周面と前記他方の内周面との間には、グラウトが充填される、
ことを特徴とする請求項8に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記一方と前記他方との間には、ライナープレートが配置されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記一方には、被当接部材が設けられ、
前記被当接部材は、前記他方に当接し、
前記ライナープレートは、前記他方と前記被当接部材との間に配置される、
ことを特徴とする請求項10に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記一方が前記トランジションピース側レグであり、
前記他方が前記下部構造体側レグである、
ことを特徴とする請求項11に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記一方が前記下部構造体側レグであり、
前記他方が前記トランジションピース側レグである、
ことを特徴とする請求項11に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記トランジションピース側レグに対して前記下部構造体側レグを固定する鋼材、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
前記鋼材は、前記トランジションピース側レグ及び前記下部構造体側レグそれぞれの、内部又は外部に配置される、
ことを特徴とする請求項14に記載のジャケット構造体。
【請求項16】
前記鋼材は管状であり、前記鋼材の一方の端部は前記トランジションピース側レグの端部に突き合わせられるように配置され、前記鋼材の他方の端部は前記下部構造体側レグの端部に突き合わせられるように配置される、
ことを特徴とする請求項14に記載のジャケット構造体。
【請求項17】
前記トランジションピースは、洋上風車タワーを支持するセンターパイプを含み、
前記センターパイプは、フランジを含み、
前記洋上風車タワーと前記フランジとの間には、ライナープレートが配置され、
前記フランジは、L型フランジ又はT型フランジである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項18】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースの一部であるトランジションピース側レグと、
前記トランジションピース側レグに接続される下部構造体側レグと、
を備えるジャケット構造体の水平度調整方法であって、
前記下部構造体側レグを海底に設置する設置工程と、
前記トランジションピース側レグをジャッキによって、前記設置工程にて前記海底に設置された前記下部構造体側レグに対し、位置決めすることで水平度を調整する水平度調整工程と、
前記設置工程にて前記海底に設置された前記下部構造体側レグと、前記位置決め工程にて位置決めされた前記トランジションピース側レグとを接合する接合工程と、
を備えることを特徴とする水平度調整方法。
【請求項19】
前記接合工程は溶接工程である、
ことを特徴とする請求項18に記載の水平度調整方法。