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  • 特開-安全管理システム及び安全管理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113871
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】安全管理システム及び安全管理方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/931 20200101AFI20240816BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240816BHJP
   E21F 13/02 20060101ALI20240816BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240816BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240816BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240816BHJP
   G01S 17/34 20200101ALN20240816BHJP
【FI】
G01S17/931
G08G1/16 A
E21F13/02
G08B21/02
G08B25/04 K
G08B25/10 A
G01S17/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019124
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕司
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
5J084
【Fターム(参考)】
5C086AA47
5C086AA53
5C086BA19
5C086BA22
5C086CA11
5C086CA21
5C086CA25
5C086DA08
5C086FA06
5C086FA15
5C087AA16
5C087AA37
5C087BB19
5C087DD03
5C087DD13
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG84
5H181AA01
5H181AA07
5H181CC03
5H181DD02
5H181LL07
5H181LL08
5J084AA02
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA09
5J084AA13
5J084AB01
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA48
5J084CA08
5J084EA22
5J084EA29
(57)【要約】
【課題】粉塵環境下で対象物を従来よりも的確に検出することが可能な安全管理システム及び安全管理方法を提供する。
【解決手段】FM-CW(Time of Flight)方式に基づいて対象物の点群データを取得するLIDAR(Light Detection and Ranging)と、点群データに基づいて対象物までの距離及び当該対象物の速度を検出するとともに対象物の接近を判定し、当該判定の結果に応じた警報信号を出力する演算装置と、警報信号に基づいて警報を発する警報装置とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FM-CW(Time of Flight)方式に基づいて対象物の点群データを取得するLIDAR(Light Detection and Ranging)と、
前記点群データに基づいて前記対象物までの距離及び当該対象物の速度を検出するとともに前記対象物の接近を判定し、当該判定の結果に応じた警報信号を出力する演算装置と、
前記警報信号に基づいて警報を発する警報装置と
を備えることを特徴とする安全管理システム。
【請求項2】
前記LIDAR及び前記警報装置は、掘削工事現場のトンネル坑の内部に設置され、
前記LIDARは、前記トンネル坑の内部において出入口側から切羽に向かう方向を検出領域とすることを特徴とする請求項1に記載の安全管理システム。
【請求項3】
前記対象物は車両であり、
前記警報装置は、前記車両が通過するとともに前記トンネル坑の内部において作業者が作業する作業領域に設置され、前記車両の前記作業領域への接近を視覚的かつ聴覚的に警報することを特徴とする請求項2に記載の安全管理システム。
【請求項4】
前記演算装置は、前記対象物の制限速度の管理情報を予め記憶し、当該管理情報に基づいて異なる前記警報信号を出力することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の安全管理システム。
【請求項5】
FM-CW(Time of Flight)方式のレーザー光を用いて対象物の点群データを取得するデータ取得工程と、
前記点群データに基づいて前記対象物までの距離及び当該対象物の速度を検出するとともに前記対象物の接近を判定し、当該判定の結果に応じた警報信号を出力する情報処理工程と、
前記警報信号に基づいて警報を発する警報工程と
を有することを特徴とする安全管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全管理システム及び安全管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトンネルの掘削工事現場では、トンネル坑内での発破作業で発生した土砂を重ダンプを用いてトンネル坑外に搬出している。トンネル坑内には発破作業の他に様々な作業者が作業を行っており、重ダンプの通路を横断することがある。
【0003】
下記特許文献1には、車両に搭載され、自車両の前方の障害物を検出する運転支援装置が開示されている。この運転支援装置は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数変調連続波)方式の電波を前方に照射することにより障害物の位置及び速度を検出するレーダ装置と、パルス状のレーザ光を前方に照射することによりTOF(Time of Flight)方式に基づいて障害物までの距離を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-154611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、掘削工事現場におけるトンネル坑内は、発破等による粉塵が発生している。重ダンプは、粉塵環境下のトンネル坑内を走行することになるので、上記運転支援装置では作業者を的確に検出することができない。すなわち、上述したレーダ装置及びLIDARは、粉塵が外乱となって作業者(対象者)の位置、速度及び距離を誤検出し易いという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、粉塵環境下で対象物を従来よりも的確に検出することが可能な安全管理システム及び安全管理方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、安全管理システムに係る第1の解決手段として、FM-CW(Time of Flight)方式に基づいて対象物の点群データを取得するLIDAR(Light Detection and Ranging)と、前記点群データに基づいて前記対象物までの距離及び当該対象物の速度を検出するとともに前記対象物の接近を判定し、当該判定の結果に応じた警報信号を出力する演算装置と、前記警報信号に基づいて警報を発する警報装置とを備える、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、安全管理システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記LIDAR及び前記警報装置は、掘削工事現場のトンネル坑の内部に設置され、前記LIDARは、前記トンネル坑の内部において出入口側から切羽に向かう方向を検出領域とする、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、安全管理システムに係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記対象物は車両であり、前記警報装置は、前記車両が通過するとともに前記トンネル坑の内部において作業者が作業する作業領域に設置され、前記車両の前記作業領域への接近を視覚的かつ聴覚的に警報する、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、安全管理システムに係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記演算装置は、前記対象物の制限速度の管理情報を予め記憶し、当該管理情報に基づいて異なる前記警報信号を出力する、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、安全管理方法に係る解決手段として、FM-CW(Time of Flight)方式のレーザー光を用いて対象物の点群データを取得するデータ取得工程と、前記点群データに基づいて前記対象物までの距離及び当該対象物の速度を検出するとともに前記対象物の接近を判定し、当該判定の結果に応じた警報信号を出力する情報処理工程と、前記警報信号に基づいて警報を発する警報工程とを有する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粉塵環境下で対象物を従来よりも的確に検出することが可能な安全管理システム及び安全管理方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る安全管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る安全管理システムの動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態における制限速度の管理情報を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る安全管理システムAは、図1(a)に示すように、掘削工事現場におけるトンネル坑Tの内部に設置されている。トンネル坑Tの内部には、切羽Tsと出入口との間に車両Mの走行路Rが設けられている。
【0015】
上記車両Mは、切羽Tsで発生した土砂をトンネル坑Tの外部に排出する重ダンプやダンプトラック、生コンクリートを搬送するアジテーター車,作業員の移動等に使用される乗用車や軽トラック等である。上記走行路Rにはこれらの様々な種類の車両Mがランダムに走行する。
【0016】
また、トンネル坑Tの内部において、上記走行路Rの途中部位には1あるいは複数の作業領域Wが設定されている。この作業領域Wは、複数の作業者がトンネル坑Tの掘削工事に関する様々な作業を行う領域であり、また車両Mが通過する領域でもある。作業者は、必要に応じて走行路Rを渡って各種作業を行う。
【0017】
すなわち、トンネル坑Tの内部は、走行路Rを走行する車両Mと作業領域Wで作業を行う作業者とが衝突し得る環境にある。また、トンネル坑Tの内部は、切羽Tsにおける掘削作業等に起因して比較的密度が高い粉塵が舞っている状態(粉塵環境下)にあるので、作業者にとって視界が制限された環境にある。したがって、トンネル坑Tの内部は、作業領域Wで作業を行う作業者が走行路Rを走行する車両Mに気づき難い環境にある。
【0018】
このようなトンネル坑Tの内部において、安全管理システムAは、図1(a)に示すように作業領域Wの切羽Ts側に設けられ、また図1(a)に破線矢印で示すように、トンネル坑Tの出入口側から切羽Tsに向かう方向の二次元領域を検出領域とするように設置されている。
【0019】
この安全管理システムAは、切羽Ts側から作業領域Wに向かって走行する車両Mを監視し、当該車両Mの接近を作業者に警報するシステムである。すなわち、切羽Ts側から作業領域Wに向かって走行する車両Mは、本発明における対象物であり、安全管理システムAの監視対象物である。
【0020】
このような安全管理システムAは、図1(b)に示すように、より詳しくはLIDAR(Light Detection and Ranging)1、演算装置2及び警報装置3を備える。なお、これらLIDAR1、演算装置2及び警報装置3のうち、LIDAR1及び警報装置3は、トンネル坑Tの内部において作業領域Wの近傍に設けられている必要があるが、演算装置2については、必要に応じてトンネル坑Tの外部に設けられていてもよい。
【0021】
LIDAR1は、FM-CW(Time of Flight)方式に基づく検査光を検出領域(三次元領域)に走査状に照射し、この検査光の反射光を受光することにより検出領域における各点の三次元位置と瞬間速度とを示す点群データSaを取得する四次元レーザセンサと呼ばれるものである。すなわち、この点群データSaは、検出領域における車両Mの形状F、車両Mまでの距離L及び車両Mの速度Vに関する情報を含んでいる。
【0022】
ここで、FM-CW(Time of Flight)方式は周知の技術なので、検査光の生成方法の詳細については説明しないが、上記検査光は、一定の周期で波長が直線的に変化する連続光(レーザ光)である。車両Mが移動(走行)していた場合、検査光は、車両Mに照射されることによりドップラシフト(波長遷移)を受ける。このドップラシフト(波長遷移)の値は、車両Mの形状F及び車両Mまでの距離Lに加えて、車両Mの速度Vを示すものである。
【0023】
演算装置2は、LIDAR1から入力される検出領域の点群データSaに基づいて車両Mの形状F、距離L及び速度Vを取得し、当該形状F、距離L及び速度Vに基づいて車両Mの接近を判定し、この判定の結果に応じた警報信号Sbを出力する。すなわち、演算装置2は、車両Mの速度Vに基づいて車両Mが作業領域Wに向かって近づいてくるか否かを判定するとともに、車両Mまでの距離Lが所定の警戒距離Lr以下か否かを判定する。
【0024】
演算装置2は、検出領域の点群データSaに関する情報処理を予め記憶する判定プログラムに基づいて実行する。この演算装置2は、情報処理の結果、作業領域Wに向かって走行する車両Mが警戒距離Lrまで近づいた時点において警報信号Sbを警報装置3に出力する。なお、このような演算装置2は、本発明における判定装置に相当する。
【0025】
ここで、演算装置2は、上述した情報処理の開始及び終了に関する操作指示を作業者から受け付ける操作部を付帯的に備えている。この操作部は、例えば押下スイッチである。作業者は、この操作部を操作することにより、情報処理の開始つまり作業領域Wに向かって走行する車両Mの警戒開始及び情報処理の終了つまり作業領域Wに向かって走行する車両Mの警戒終了を演算装置2に指示する。
【0026】
警報装置3は、演算装置2から入力される警報信号Sbに基づいて警報を発する発音装置である。すなわち、警報装置3は、警報信号Sbに基づいて車両Mが作業領域Wに近づいていることを示す視覚的かつ聴覚的な警報を発する。このような警報装置3は、例えば信号機及び拡声器である。
【0027】
すなわち、警報信号Sbは、信号機に対して点灯すべき色つまり「青」、「黄」又は「赤」を指定する点灯信号であり、また車両Mが作業領域Wに近づいていることを拡声器にアナウンスさせる音声信号である。作業領域Wの作業者は、信号機の点灯色及び拡声器のアナウンスによって車両Mの接近を認知し、走行路Rを横断する行為を自粛する。
【0028】
次に、本実施形態に係る安全管理システムAの動作つまり本実施形態に係る安全管理方法について、図2及び図3を参照して詳しく説明する。
【0029】
本実施形態に係る安全管理システムAは、図2に示すフローチャートに沿って動作する。すなわち、電源が投入されることによって安全管理システムAが作動を開始すると、演算装置2は、車両Mの警戒開始が作業者から指示されたか否かを判断する(ステップS1)。
【0030】
そして、演算装置2は、ステップS1の判断結果が「Yes」の場合つまり作業者から警戒開始の指示を受け付けると、LIDAR1に作動開始指示を出力することにより検出領域の点群データSaの取得を開始させる。LIDAR1は、演算装置2から入力される作動開始指示に基づいて検出領域への検査光の照射を開始し、検出領域の点群データSaを所定のタイムインターバルで順次取得する(ステップS2)。このステップS2は、本実施形態に係る安全管理方法のデータ取得工程である。
【0031】
そして、LIDAR1は、自身が取得した検出領域の点群データSaを演算装置2に順次出力する。演算装置2は、LIDAR1から検出領域の点群データSaの入力が開始すると、当該点群データSaに対する所定の情報処理を開始する(ステップS3)。このステップS3は、本実施形態に係る安全管理方法の情報処理工程である。
【0032】
なお、演算装置2は、ステップS1の判断結果が「No」の場合つまり作業者から警戒開始の指示を受け付けていない場合には、警戒開始の指示を受け付けるまで待機する。演算装置2は、情報処理を開始すると、LIDAR1から入力される検出領域の点群データSaに検出処理を施すことにより、車両Mの形状F、距離L及び速度Vを順次検出する。そして、演算装置2は、自身が取得した車両Mの形状F、距離L及び速度Vを内部メモリに順次記憶させる。
【0033】
そして、演算装置2は、内部メモリに記憶された車両Mの形状F、距離L及び速度Vに判定処理を施することにより、作業領域Wに向かって走行する車両Mが警戒距離Lrまで近づいているか否かを判定する。そして、演算装置2は、判定処理の結果に応じた警報信号Sbを警報装置3に出力する。
【0034】
すなわち、演算装置2は、車両M(対象物)の速度Vに基づいて車両M(対象物)が作業領域Wに向かって近づいてくるか否かを判定する。また、演算装置2は、車両Mまでの距離Lが警戒距離Lr以下になったか否かを判定する。そして、このような2つの判定の結果として警報信号Sbを警報装置3に出力する。
【0035】
そして、警報装置3は、演算装置2から入力される警報信号Sbに基づいて警報を発音する(ステップS4)。このステップS4は、本実施形態に係る安全管理方法の警報処理工程である。警報装置3は、作業領域Wに車両Mが接近していることを信号機及び拡声器を用いて視覚的かつ聴覚的に警報することにより、作業員が車両M(対象物)の走行路Rに侵入しないように注意喚起する。
【0036】
このようにして警報装置3によって作業者に警報が発せられると、演算装置2は、情報処理の終了が作業者から指示されたか否かを判断する(ステップS5)。そして、演算装置2は、ステップS5の判断が「Yes」の場合つまり作業者から情報処理の終了が指示されると全ての処理を終了する。
【0037】
一方、演算装置2は、ステップS5の判断が「No」の場合つまり作業者から判定処理(演算処理)の終了指示が入力されていない場合には、ステップS3の判定工程を繰り返す。すなわち、演算装置2は、次に作業領域Wに向かって接近してくる車両Mの警戒を行う。
【0038】
ここで、演算装置2は、情報処理を開始すると、LIDAR1から検出領域の点群データSaを所定にタイムインターバルで順次取得する。この点群データSaは、車両Mの距離L及び速度Vに関する情報を含むとともに、車両Mの形状Fに関する情報をも含んでいる。演算装置2は、車両の形状Fに基づいて車両Mの種類を判定することにより、車両Mの種類及び車両Mの速度V毎に異なる警報信号Sbを警報装置3に出力する。
【0039】
図3は、車両Mの種類及び車両Mの速度Vに応じた警報内容を示す制限速度の管理情報である。演算装置2は、検出領域の点群データSaに基づいて車両Mの種類及び速度Vを検出すると、検出結果(種類及び速度V)を制限速度の管理情報と照合することにより警報内容を決定する。そして、演算装置2は、制限速度の管理情報に基づいて決定した警報内容に応じた警報信号Sbを生成し、当該警報信号Sbを警報装置3に出力する。
【0040】
図3に示すように、例えば作業領域Wに接近してくる車両Mが「重ダンプ」であり、その速度が「0km/h」であった場合、つまり検出領域に重ダンプが検出されたものの、当該重ダンプが停車している場合、演算装置2は、信号機に「青」を点灯させる点灯信号(警報信号Sb)を警報装置3に出力する。この場合、作業者は走行路Rを自由に横断することができる。
【0041】
一方、図3に示すように、作業領域Wに接近してくる車両Mが「重ダンプ」であり、その速度Vが「10km/h」であった場合、つまり検出領域に重ダンプが検出され、また当該重ダンプが比較的遅い速度Vで作業領域Wに接近してくる場合、演算装置2は、信号機に「黄」を点灯させる点灯信号(警報信号Sb)を警報装置3に出力する。この場合、作業者は走行路Rの横断に十分な注意を払うか、又は横断を自粛する。
【0042】
さらに、図3に示すように、作業領域Wに接近してくる車両Mが「重ダンプ」であり、その速度が「20km/h」であった場合、つまり検出領域に重ダンプが検出され、また当該重ダンプが比較的速い速度Vで作業領域Wに接近してくる場合、演算装置2は、信号機に「赤」を点灯させる点灯信号(警報信号Sb)を警報装置3に出力する。この場合、作業者は、走行路Rの横断を完全に自粛する。
【0043】
図3に示すように、このような重ダンプ以外のダンプトラック及びアジテーター車等については、「0km/h」、「15km/h」及び「30km/h」の制限速度が設定されており、制限速度に応じた信号機の点灯色が設定されている。また、乗用車及び低トラについては、「0km/h」、「20km/h」及び「40km/h」の制限速度が設定されており、制限速度に応じた信号機の点灯色が設定されている。
【0044】
このように、本実施形態に係る安全管理システムAは、FM-CW方式に基づいて車両M(対象物)の点群データを取得するLIDAR1と、点群データに基づいて車両M(対象物)までの距離及び当該車両M(対象物)の速度を検出するとともに車両M(対象物)の接近を判定し、当該判定の結果に応じた警報信号Sbを出力する演算装置2と、警報信号Sbに基づいて警報を発する警報装置3とを備える。
【0045】
また、本実施形態に係る安全管理方法は、FM-CW(Time of Flight)方式のレーザー光を用いて車両M(対象物)の点群データを取得するデータ取得工程と、点群データに基づいて車両M(対象物)での距離及び当該車両M(対象物)の速度を検出するとともに車両M(対象物)の接近を判定し、当該判定の結果に応じた警報信号Sbを出力する情報処理工程と、警報信号Bに基づいて警報を発する警報工程とを有する。
【0046】
このような本実施形態によれば、FM-CW方式に基づいて検出した車両M(対象物)までの距離L及び当該車両Mの速度Vに基づいて車両Mの接近を判定して警報を発するので、粉塵環境下で車両M(対象物)を従来よりも的確に検出することが可能な安全管理システムA及び安全管理方法を提供することが可能である。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。例えば上記実施形態では、粉塵環境下にある掘削工事現場のトンネル坑Tにおける車両Mを対象物としてが、対象物は、このような車両Mに限定されない。
【符号の説明】
【0048】
A 安全管理システム
M 車両
R 走行路
Sa 点群データ
Sb 警報信号
T トンネル坑
W 作業領域
1 LIDAR(Light Detection and Ranging)
2 演算装置
3 警報装置
図1
図2
図3