(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113906
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】コントロールセンタ、及びコントロールセンタの消火システム
(51)【国際特許分類】
A62C 3/00 20060101AFI20240816BHJP
A62C 3/16 20060101ALI20240816BHJP
A62C 37/38 20060101ALI20240816BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240816BHJP
G08B 17/107 20060101ALI20240816BHJP
H02B 1/28 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A62C3/00 E
A62C3/16 C
A62C37/38
G08B17/00 J
G08B17/107 A
H02B1/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019178
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】上村 和矢
【テーマコード(参考)】
2E189
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
2E189BB04
2E189BC07
5C085AA03
5C085AB01
5C085BA33
5C085CA20
5C085FA11
5G405AA01
5G405AB02
5G405CA29
5G405FA06
(57)【要約】
【課題】筐体内で発生した火災の早期の消火と、迅速な復旧を可能とするコントロールセンタ、及びコントロールセンタの消火システムを提供する。
【解決手段】コントロールセンタは、内部に一又は複数の単位装置を収容する筐体と、前記筐体内に設置され、筐体内における火災の発生を感知する火災検知装置と、内部に消火剤を収容する容器と、筐体内に設けられて消火剤を筐体内に放出する出口となる放出口と、容器と放出口とを繋ぐ経路を開閉する弁と、を有し、火災検知装置が火災を検知した場合に弁を開放することで消火剤を筐体内に放出する消火装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に一又は複数の単位装置を収容する筐体と、
前記筐体内に設置され、前記筐体内における火災の発生を感知する火災検知装置と、
内部に消火剤を収容する容器と、前記筐体内に設けられて前記消火剤を前記筐体内に放出する出口となる放出口と、前記容器と前記放出口とを繋ぐ経路を開閉する弁と、を有し、前記火災検知装置が火災を検知した場合に前記弁を開放することで前記消火剤を前記筐体内に放出する消火装置と、を備える、
コントロールセンタ。
【請求項2】
前記消火剤は、不活性ガス消火剤である、
請求項1に記載のコントロールセンタ。
【請求項3】
前記容器は、前記筐体内に設けられる、
請求項1に記載のコントロールセンタ。
【請求項4】
前記筐体は、開口部を有し、
前記開口部を開閉する扉と、
前記扉と前記筐体との間に配置された封止部材と、を備える、
請求項2に記載のコントロールセンタ。
【請求項5】
前記消火装置は、前記コントロールセンタを収容する空間内であってかつ前記筐体外に配置されて火災の発生を報知する火災報知器から信号を受け取る受信部を有し、前記受信部が火災の発生を報知する信号を受けた場合に前記弁を開放させることで前記消火剤を前記筐体内に放出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコントロールセンタ。
【請求項6】
内部に消火剤を収容する容器と、コントロールセンタの筐体内に設けられて前記消火剤を前記筐体内に放出する出口となる放出口と、前記容器と前記放出口とを繋ぐ経路を開閉する弁と、を有する消火装置と、
前記筐体内に設置され、前記筐体内における火災の発生を検知した場合に前記消火装置に信号を送信する火災検知装置と、
前記コントロールセンタを収容する空間内であってかつ前記筐体外に配置されて、前記空間内における火災の発生を検知する火災検知部と、前記火災検知部が火災の発生を検知した場合に前記消火装置に信号を送信する通信部と、を有する火災報知器と、を備え、
前記消火装置は、前記火災検知装置及び前記通信部それぞれから前記信号を受信する受信部を有し、前記火災検知装置又は、前記通信部の少なくともいずれか一方から前記信号を受信した場合に、前記弁を開放することで前記消火剤を前記筐体内に放出する、
コントロールセンタの消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コントロールセンタ、及びコントロールセンタの消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コントロールセンタは、主回路における開閉器、保護装置及び、監視・制御装置などを単位装置毎に筐体に組み込んだ装置である。筐体内に組み込まれる各単位装置は、それぞれ受電制御、モータなどの負荷の制御、フィーダ制御等の機能を有し、各機能を満たすために必要な主回路及び補助回路の装置を備えた構成である。
【0003】
筐体内には、多数の電気用品が収容されており、短絡や過電流による異常発熱等が発生することで、火災につながる虞がある。そこで、例えば、特許文献1には、遮断器盤内で火災が発生した際に炎による熱が他の遮断器や他のコンパートメントへ伝わり波及することを防止するために、上下に段積みした遮断器を収納した遮断器コンパートメントと、各遮断器と接続された母線を収納した母線コンパートメントと、各遮断器に接続されたケーブルを収納した上段と下段のケーブルコンパートメントとを有し、遮断器コンパートメントを配置し、母線コンパートメントと上段と下段のケーブルコンパートメントとを遮断器コンパートメントの後部に配置した筺体を備え、筺体を複数列配置すると共に、並列した筺体の隣り合う両側壁間、遮断器コンパートメントの天井部、段積みした遮断器間の仕切り部、上段のケーブルコンパートメントと下段のケーブルコンパートメントとの仕切り部、及び母線コンパートメントと上段と下段のケーブルコンパートメントのいずれか一方、又は双方に接する遮断器コンパートメントの後壁部に、それぞれ遮熱用の断熱層を設けた閉鎖配電盤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筐体内で火災が発生した場合に、他の区画への延焼の拡がりを抑制すると共に、早期の消火が重要となる。すなわち、迅速な消火活動が行われない場合、延焼した区画が一部であっても、コントロールセンタ自体や収容された電気用品が使用不能となってしまう場合がある。その場合、コントロールセンタの機能の復旧に時間がかかる虞がある。コントロールセンタの機能が復旧しないと、負荷例えばモータを駆動することができず、工場等の稼働に影響が出る。
【0006】
そこで、筐体内で発生した火災の早期の消火と、迅速な復旧を可能とするコントロールセンタ、及びコントロールセンタの消火システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
コントロールセンタは、内部に一又は複数の単位装置を収容する筐体と、前記筐体内に設置され、前記筐体内における火災の発生を感知する火災検知装置と、内部に消火剤を収容する容器と、前記筐体内に設けられて前記消火剤を前記筐体内に放出する出口となる放出口と、前記容器と前記放出口とを繋ぐ経路を開閉する弁と、を有し、前記火災検知装置が火災を検知した場合に前記弁を開放することで前記消火剤を前記筐体内に放出する消火装置と、を備える。
【0008】
コントロールセンタの消火システムは、内部に消火剤を収容する容器と、コントロールセンタの筐体内に設けられて前記消火剤を前記筐体内に放出する出口となる放出口と、前記容器と前記放出口とを繋ぐ経路を開閉する弁と、を有する消火装置と、前記筐体内に設置され、前記筐体内における火災の発生を検知した場合に前記消火装置に信号を送信する火災検知装置と、前記コントロールセンタを収容する空間内であってかつ前記筐体外に配置されて、前記空間内における火災の発生を検知する火災検知部と、前記火災検知部が火災の発生を検知した場合に前記消火装置に信号を送信する通信部と、を有する火災報知器と、を備える。前記消火装置は、前記火災検知装置及び前記通信部それぞれから前記信号を受信する受信部を有し、前記火災検知装置又は、前記通信部の少なくともいずれか一方から前記信号を受信した場合に、前記弁を開放することで前記消火剤を前記筐体内に放出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態によるコントロールセンタの一例の概略構成を表す正面図
【
図2】第1実施形態によるコントロールセンタの一例の概略構成を各扉を外して表す概略正面図
【
図3】第1実施形態によるコントロールセンタの一例のユニット室扉と棚板との当接部分を
図1のIII-III線に沿って拡大して示す断面図
【
図4】第1実施形態によるコントロールセンタの一例のユニット室扉と棚板との当接部分を
図1のIV-IV線に沿って拡大して示す断面図
【
図5】第1実施形態によるコントロールセンタの一例のユニット室扉及び配線室扉と仕切り板との当接部分を
図1のV-V線に沿って拡大して示す断面図
【
図6】第1実施形態によるコントロールセンタの火災検知装置の一例の概略構成を
図2のVI-VI線に沿って示す断面図
【
図7】第1実施形態によるコントロールセンタの一例の電気的構成を示すブロック図
【
図8】第2実施形態によるコントロールセンタとコントロールセンタの消火システムの一例の電気的構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態によるコントロールセンタについて、図面を参照して説明する。各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。コントロールセンタの一例として、モータの駆動を制御するモータコントロールセンタが挙げられる。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るコントロールセンタ10について、
図1~
図7を参照して説明する。
図1に示すコントロールセンタ10は、前面が開口した縦長矩形箱状の筐体11内に、複数のユニット室12と、配線室13と、端子台室14と、を有して構成されている。以下の説明では、筐体11の開口側を、コントロールセンタ10の前面側とし、開口とは反対側を、コントロールセンタ10の背面側とする。また、コントロールセンタ10を
図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、コントロールセンタ10の上下方向とする。また、
図1のコントロールセンタ10を前側から見た場合における左右方向を、コントロールセンタ10の左右方向とする。
【0012】
筐体11は、前面に開口部111を有する。開口部111は、筐体11の内部と外部とを連通する。作業者は、開口部111を通してユニット室12、配線室13又は端子台室14の内部にアクセスすることができる。
【0013】
複数のユニット室12は、筐体11の上下方向に並んで設けられている。各ユニット室12は、単位装置20を内部に収納する空間である。なお、本実施形態では、各ユニット室12は、筐体11の左右の一方の側この場合左側寄りに設けられている。なお、ユニット室12は、筐体11の上下方向だけでなく左右方向に複数並べて配置しても良い。
【0014】
配線室13は、ユニット室12に収容された単位装置20に接続される配線などを収容する空間である。配線室13は、複数のユニット室12に隣接して設けられている。本実施形態では、配線室13は、複数のユニット室12の右側に上下方向に延びて設けられている。
【0015】
端子台室14は、図示しない端子台を収容する空間である。端子台は、単位装置20から延びる電線と、負荷である外部のモータへと延びる電線とを接続する機能を有する。本実施形態では、端子台室14は、複数のユニット室12の下方に設けられている。他の実施形態では、端子台室14を、複数のユニット室12の上方に設けても良い。
【0016】
コントロールセンタ10は、複数のユニット室扉15、配線室扉16、端子台室扉17を備えている。ユニット室扉15は、各ユニット室12の前面に回動可能に取り付けられて、各ユニット室12を開閉する。配線室扉16は、配線室13の前面に回動可能に取り付けられて、配線室13を開閉する。端子台室扉17は、端子台室14の前面に取り付けられて、端子台室14を開閉する。
【0017】
図2は、各扉15、16、17を取り外して表す正面概略図である。単位装置20や配線などの電気用品も図示が省略されている。
図1及び2に示すように、筐体11は、左右の側板21、22と、天板23と、底板24と、図示しない背板と、複数の棚板25と、仕切り板26と、上下の化粧パネル27、28と、を有する。左右の側板21、22は、鉛直方向に延びる面を形成し、それぞれ筐体11の左右の面を形成する。天板23は、水平方向に延びる面を形成し筐体11の上面を形成する。底板24は、水平方向に延びる面を形成し筐体11の底面を形成する。図示しない背板は、鉛直方向に延びる面を形成し筐体11の背面を形成する。複数の棚板25は、互いに上下方向に離れて配置されて水平方向に延びる面を形成し、複数のユニット室12を区画する。詳細は図示しないが、棚板25は、筐体11の前部に配置されている。仕切り板26は、上下方向に延びて、筐体11の前部において複数のユニット室12と配線室13との間に配置される。上下の化粧パネル27、28は、左右方向を長辺とした矩形に形成されて、筐体11の前面において、開口部111の上下に配置されている。なお、各ユニット室12の間、ユニット室12と配線室13との間、ユニット室12と端子台室14との間、及び配線室13と端子台室14との間は、連通しており、気体が移動可能に構成されている。
【0018】
筐体11と、各扉15、16、17との間は、気密に封止されている。例えば、筐体11と各扉15、16、17との間には、パッキン30が配置されている。パッキン30は、各扉15、16、17が閉じた状態において生じる筐体11と各扉15、16、17との間の隙間を埋めて、筐体11内部を密閉する。パッキン30は、筐体11側に設けられていても良いし、扉15、16、17側に設けられていても良い。パッキン30は、例えば樹脂等の弾性を有する部材で構成されている。
【0019】
例えば、
図3に示すように、棚板25の前面に棚板パッキン31が配置されている。棚板パッキン31は、棚板25に図示しない接着剤などによって貼付されている。棚板パッキン31の前後方向の長さ寸法つまり厚みは、ユニット室扉15と棚板25との間の隙間の寸法よりも大きく設定されている。ユニット室扉15が閉じた状態では、ユニット室扉15の後面が棚板パッキン31に押し付けられることで、ユニット室扉15とユニット室12内部との間が気密に封止される。
【0020】
図4に示すように、左の側板21の前部には、側板パッキン32が配置されている。側板パッキン32は、側板21に図示しない接着剤などによって貼付されている。側板パッキン32の前後方向の長さ寸法つまり厚みは、ユニット室扉15と側板21との間の隙間の寸法よりも大きく設定されている。ユニット室扉15が閉じた状態では、ユニット室扉15の後面が側板パッキン32に押し付けられることで、ユニット室扉15とユニット室12内部との間が気密に封止される。図示しないが、側板パッキン32は筐体11の下部まで延びて配置されており、端子台室扉17と端子台室14内部との間も機密に封止する。また、右の側板22にも同様にパッキン30が配置されており、配線室扉16と配線室13内部との間も気密に封止される。
【0021】
図5に示すように、仕切り板26の前面には、仕切り板パッキン33が配置されている。仕切り板パッキン33は、仕切り板26に図示しない接着剤などによって貼付されている。仕切り板パッキン33の前後方向の長さ寸法つまり厚みは、ユニット室扉15又は配線室扉16と仕切り板26との間の隙間の寸法よりも大きく設定されている。ユニット室扉15又は配線室扉16が閉じた状態では、ユニット室扉15の後面又は配線室扉16の後面が仕切り板パッキン33に押し付けられることで、ユニット室扉15とユニット室12内部との間又は配線室扉16と配線室13内部との間が気密に封止される。
【0022】
なお、図示は省略するが、上下の化粧パネル27、28と筐体11との間にも、パッキン30が配置され、化粧パネル27、28と筐体11との間の隙間を気密に封止している。また、筐体11の背面に扉を配する場合には、当該扉と筐体11との間にパッキン30を配置することができる。
【0023】
図2に示すように、コントロールセンタ10は、更に火災検知装置40と、消火装置50と、を備える。火災検知装置40は、筐体11内に配置され、筐体11内で発生した火災を検知する機能を有する。消火装置50は、筐体11内で発生した火災を消火する機能を有する。
【0024】
火災の検知方法は複数考えられるが、本実施形態では、火災検知装置40は煙を検知する機能を有するいわゆる煙感知器である。火災検知装置40は、火災の初期に発生する煙を検知する。また、火災検知装置40は、下部に煙の進入を許す開口を有するケース41と、ケース41内部に設けられた発光部42及び受光部43と、を有する。火災検知装置40は、ケース41の内部に煙Sが入ると、発光部42から出る光が煙の粒子に当たって乱反射し、それを受光部43で感知するいわゆる光電式スポット型感知器である。煙感知器としては、送光部と受光部とを離れた位置に設けて、送光部と受光部との間の交線が煙によって遮られることを検知するいわゆる光電式分離型感知器もあるが、光電式スポット型感知器にすることで、筐体11内部の空スペースを利用して火災検知装置40を配置することができる。なお、筐体11の上部に十分なスペースがある場合には、火災検知装置40として光電式分離型感知器を利用しても構わない。
【0025】
なお、火災の検知方法として、火災によって発生する熱による火災検知部周囲の温度変化を検知する方式もある。コントロールセンタ10内部には多数の電気用品が配置されている。コントロールセンタ10が制御する負荷の運転状況により電気用品の温度が変動し、その結果、筐体11内の温度も変動しがちである。したがって、火災検知装置40として煙感知器を利用することで、モータ等負荷の運転状況に左右されずにより正確な火災発生の検知が可能となる。
【0026】
火災検知装置40は、筐体11の上部に配置される。これにより、火災が発生した場合、熱せられた気体が上昇するため、上昇気流に乗って筐体11上部に運ばれた煙を感知し易くなる。より具体的には、火災検知装置40は、各ユニット室12よりも上方に配置される。すなわち、火災検知装置40は最上段のユニット室12の上方に位置する棚板25よりも上方に配置される。また、本実施形態では、火災検知装置40は、上部の化粧パネル27と奥行き方向つまり正面視において重なるように配置されている。これにより、例えば最上段のユニット室12内で火災が発生した場合でも、火災検知装置40は更に上方に位置するため、上昇する煙を迅速に感知し易くなる。
【0027】
火災検知装置40は、処理装置44と、送信部45とを有する。処理装置44は、CPU441やROM及びRAMなどの記憶領域442を有するマイクロコンピュータを有して構成されている。処理装置44は、CPU441において記憶領域442に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、発光部42、受光部43、及び送信部45の動作を制御する。送信部45は、火災検知装置40が火災の発生を検知するとつまり受光部43が煙Sの存在を捉えると、消火装置50に信号を送信する。
【0028】
なお、火災検知装置40は、消火装置50に信号を送信するとともに、図示しない報知部によって、音声及び又は光によって警報を発することができる。これにより、作業員は、コントロールセンタ10において火災が発生したことを認し、他のコントロールセンタへの延焼の必要な処置を取ることができる。
【0029】
消火装置50は、筐体11内に消火剤として不活性ガスを放出することで火災を消化する機能を有する。消火剤は、電気用品に影響を与えず、金属腐食の恐れもない不活性ガスが好ましい。不活性ガスは、例えば大気の組成成分である窒素52%、アルゴン40%、二酸化炭素8%を含んで構成されるIG-541を利用することができる。消火装置50は、不活性ガスを放出し、筐体11内部の酸素濃度を例えば13%以下に低下させることで、消火する。また、IG-541は、放出後の比重が1.07で空気と同程度である。
【0030】
消火装置50は、容器51と、放出口52と、管部53と、弁54と、を有する。容器51は、消火剤としての不活性ガスを高圧状態で内部に収容する。放出口52は、消火剤を放出する出口である。管部53は、容器51と放出口52とを接続する経路である。弁54は、管部53を開閉する例えば電磁弁である。弁54が開放すると、容器51に収容された高圧状態の不活性ガスが管部53を通って放出口52から筐体11内部に放出されて、筐体11内部に充満する。これにより、筐体11内部の酸素濃度が低下し、消火することができる。
【0031】
消火装置50は、処理装置55と、受信部56を有している。処理装置55は、CPU551やROM及びRAMなどの記憶領域552を有するマイクロコンピュータを有して構成されている。処理装置55は、CPU551において記憶領域552に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、弁54の開閉を制御する。受信部56は、火災検知装置40の送信部45からの信号を受信する。受信部56が火災検知装置40から煙を検知したことを知らせる信号を受信すると、処理装置55は、弁54を開いて消火処理を実行する。なお、送信部45と受信部56との間の通信方式は、有線であっても無線であっても構わないが、本実施形態では図示しない電線を介して信号が送受信される。
【0032】
消火装置50は、少なくとも放出口52が筐体11内部に設けられるように配置されてる。本実施形態では、消火装置50は、全体が筐体11内部に設けられている。この場合、上述のように本実施形態では、空気と比重が同程度の不活性ガスを消火剤として使用するため、放出口52は筐体11の上下方向のどの位置に配置しても構わない。本実施形態では、容器51を筐体11の下部この場合配線室13の下部に配置しており、放出口52は筐体11の中央部この場合配線室13の下部寄りに配置されている。
【0033】
なお、他の実施形態では、例えば管部53を必要なだけ長さに設計して、容器51は筐体11外部に放出口52は筐体11内部に設けられていても良い。またこの場合、弁54を選択弁として、複数のコントロールセンタ10に対して一の容器51を配置しても良い。複数の筐体11のそれぞれに放出口52を設けて、一の容器51から、複数の放出口52のうち選択弁によって開放された一の経路の下流に設けられた放出口52を通して不活性ガスを放出して消火する構成とすることができる。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、コントロールセンタ10は、筐体11と、火災検知装置40と、消火装置50と、を備える。筐体11は、内部に一又は複数の単位装置20を収容する。火災検知装置40は、筐体11内に設置され、筐体11内における火災の発生を安置する。消火装置50は、容器51と、放出口52と、弁54と、を有する。容器51は、内部に消火剤を収容する。放出口52は、筐体11内に設けられて消火剤を筐体11内に放出する出口となる。弁54は、容器51と放出口52とを繋ぐ経路としての管部53を開閉する。消火装置50は、火災検知装置40が火災を感知した場合に弁54を開放することで消火剤を筐体11内に放出する。
【0035】
これによれば、筐体11内で発生した発熱異常などを起因とした火災の初期段階で、即座に発生を感知することができる。そのため、迅速に消火剤を放出して消火を実施することができる。また、筐体11外部からではなく火災の発生箇所である筐体11内部に直接消火剤を放出することで、コントロールセンタ10における火災を迅速に消火することができる。したがって、筐体11内で発生した火災の早期の消火が可能となり、それに伴い、火災の発生後、早期の復旧を可能とするコントロールセンタ10が提供される。
【0036】
ここで、迅速な消火活動が行われた場合であっても、一般的な消火器に使用される粉末消火剤の場合、消火時にコントロールセンタ内の遮断器や電磁開閉器などの電気部品に付着して、消火後にも完全に取り除けず、性能に影響を及ぼす虞がある。
【0037】
これに対し、本実施形態のコントロールセンタ10の消火剤は、不活性ガス消火剤である。
【0038】
不活性ガスの場合、消火に際して電気部品に付着することはないため、性能に与える影響を抑制することができる。したがって、電気用品の交換などに時間がかからず、早期の復旧を可能とするコントロールセンタ10が提供される。
【0039】
本実施形態によれば、容器51は、筐体11内に設けられる。
【0040】
容器51は筐体11内に設けられているため、消火剤の輸送に手間取ることなく、迅速に消火することができる。また、コントロールセンタ10は、機械室内に複数台を並べて配置することがある。この場合、容器51を筐体11外部に配置すると、複数台を互いに隙間なく並べて配置することが難しくなり、機械室内のスペースを有効活用することができない。これに対して、筐体11内に容器51を配置することで、コントロールセンタ10を互いに隙間なく配置することが可能となり、機械室のスペースを有効活用することができるようになる。
【0041】
本実施形態によれば、筐体11は、開口部111を有する。コントロールセンタ10は、開口部111を開閉する扉15、16、17と、扉15、16、17と筐体11との間に配置された封止部材としてのパッキン30、31、32、33と、を備える。
【0042】
これによれば、パッキン30、31、32、33によって筐体11内部の気密性が高まるため、不活性ガスが筐体11外部に漏れ出し難く、酸素濃度を迅速に低下させることができる。したがって、一層迅速な消火活動が可能となる。
【0043】
(第2実施形態)
図8を参照して、第2実施形態によるコントロールセンタ10とコントロールセンタ10の消火システム1について説明する。コントロールセンタ10の消火装置50と、火災検知装置40とは、火災報知器100と共に、消火システム1を構成する。
【0044】
火災報知器100は、コントロールセンタ10が配置された空間例えば機械室内であってかつ筐体11の外部に設置されている。火災報知器100は、当該空間内で発生した火災を検知して、報知する機能を有する。火災報知器100は、火災検知部101と、報知部102と、通信部103と、処理装置200とを有する。
【0045】
火災検知部101は、火災の発生を検知する機能を有する。この場合、火災検知部101は、既存の任意の方式によって火災を検知することができる。例えば、火災の発生を検知する方式として、火災検知装置40と同様に煙の発生を検知してもよいし、温度変化を検知してもよいが、負荷の稼働によってコントロールセンタ10内の電気用品が発熱するため、火災検知装置40と同様に煙の発生を検知することが好ましい。この場合、火災検知部101は、例えば設置場所のスペース等に応じて光電式スポット型感知器であってもよいし、光電式分離型感知器であってもよい。
【0046】
報知部102は、火災検知部101が火災の発生を検知すると、その旨を報知する機能を有する。報知部102は、例えばスピーカ及び又は表示灯を含んで構成される。報知部102は、スピーカによって火災の発生を音声又は警告音などを発生することで、作業者などに火災の発生を報知する構成であってもよい。また、報知部102は、表示灯を点灯又は点滅させることで、作業者などに火災の発生を報知する構成であってもよい。
【0047】
通信部103は、有線又は無線方式によって、コントロールセンタ10内の消火装置50に信号を送信可能に構成されている。本実施形態では、通信部103と受信部56とは、図示しない配線によって接続されている。通信部103は、火災検知部101が火災の発生を検知すると、消火装置50に信号を送信する。
【0048】
処理装置200は、CPU201やROM及びRAMなどの記憶領域202を有するマイクロコンピュータを有して構成されている。処理装置200は、CPU201において記憶領域202に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、火災検知部101、報知部102、及び通信部103の動作を制御する。
【0049】
消火装置50の処理装置55は、受信部56が筐体11内部の火災検知装置40及び又は筐体11外部の火災報知器100から信号を受信すると、弁54を開放して、放出口52から筐体11内部に消火剤として不活性ガスを放出させる。これにより、筐体11内部又は外部で火災が発生すると、筐体11内部に消火剤が充満し、筐体11内部の酸素濃度を低下させて、コントロールセンタ10内の延焼を抑制する。
【0050】
ここで、コントロールセンタ10は、通常使用時において扉15、16、17は閉じた状態に維持される。そのため、コントロールセンタ10を収容する機械室等に火災が発生して、機械室内部に消火剤が放出されたとしても、筐体11内部への燃え広がりを抑制するために筐体11内部まで消火剤を進入させるには一定以上の期間が必要となる。また、何らかの理由により、火災検知装置40が故障してしまった場合には、筐体11内部で発生した火災に対応することが困難となる。
【0051】
本実施形態のコントロールセンタ10によれば、消火装置50は、コントロールセンタ10を収容する空間内であってかつ筐体11外に配置されて火災の発生を放置する火災報知器100から信号を受け取る受信部56を有する。消火装置50は、受信部56が火災の発生を報知する信号を受けた場合に弁54を開放させることで消火剤を筐体11内に放出する。
【0052】
これによれば、上記実施形態と同様の効果が奏される。また、筐体11外部で火災が発生した又は筐体11外部で火災の発生が検知された場合であっても、筐体11内部に消火剤を放出させることで燃え広がりを抑制し、又は迅速に消火させることができる。よって、筐体11内部の電気用品を保護することができ、火災の発生後、早期の復旧を可能とするコントロールセンタ10が提供される。
【0053】
本実施形態のコントロールセンタ10の消火システム1は、消火装置50と、火災検知装置40と、火災報知器100と、を備える。消火装置50は、内部に消火剤を収容する容器51と、コントロールセンタ10の筐体11内に設けられて消火剤を筐体11内に放出する出口となる放出口52と、容器51と放出口52とを繋ぐ経路としての管部53を開閉する弁54と、を有する。火災検知装置40は、筐体11内に設置され、筐体11内における火災の発生を検知した場合に消火装置50に信号を送信する。火災報知器100は、コントロールセンタ10を収容する空間内であってかつ筐体11外に配置されて、当該空間内における火災の発生を検知する火災検知部101と、火災検知部101が火災の発生を検知した場合に消火装置50に信号を送信する通信部103と、を有する。消火装置50は、火災検知装置40及び通信部103それぞれから信号を受信する受信部56を有する。消火装置50は、火災検知装置40又は、通信部103の少なくともいずれか一方から信号を受信した場合に、弁54を開放することで消火剤を筐体11内に放出する。
【0054】
これによれば、上記と同様の効果が奏されるコントロールセンタの消火システムが提供される。
【0055】
上記各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…消火システム、10…コントロールセンタ、11…筐体、30…パッキン(封止部材)、31…棚板パッキン(封止部材)、32…側板パッキン(封止部材)、33…仕切り板パッキン(封止部材)、40…火災検知装置、50…消火装置、51…容器、52…放出口、53…管部(経路)、54…弁、56…受信部、100…火災報知器、101…火災検知部、103…通信部