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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113907
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】雌端子、端子ユニットおよび雄端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/187 20060101AFI20240816BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01R13/187 B
H01R13/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019179
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】西島 誠道
(72)【発明者】
【氏名】塚本 有哉
(72)【発明者】
【氏名】大辻 俊
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏弥
(57)【要約】
【課題】大電流化への対応が必要な場合でも、雌端子の大型化を抑制しつつ弾性接触片の雄端子への追従性や接圧を確保できる、雌端子を開示する。
【解決手段】雌端子10が、第1壁部18および第2壁部20を含む本体部22と、第1壁部18に設けられる第1接点24と、第2壁部20に組み付けられており、本体部22よりも薄い板厚を有し、第1壁部18に向かって突出して第2壁部20側に弾性変形可能であり第2接点26を有する弾性接触片28と、第2壁部20に組み付けられており、雄端子12における雄端子挿入隙間16への圧入時において、弾性接触片28を第1壁部18側に向かって付勢する押圧ばね30と、を備え、弾性接触片28の第2接点26は、雄端子挿入隙間16に圧入された雄端子12に対して、弾性接触片28の第1壁部18側への弾性復帰力および押圧ばね30の付勢力により雄端子12に圧接され、雄端子12を第1接点24に押圧する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子が圧入されて配置される雄端子挿入隙間を隔てて対向配置された第1壁部および第2壁部を含む本体部と、
前記第1壁部に設けられて前記第2壁部に向かって突出する第1接点と、
前記第2壁部に組み付けられており、前記本体部よりも薄い板厚を有し、前記第1壁部に向かって突出して前記第2壁部側に弾性変形可能であり第2接点を有する弾性接触片と、
前記第2壁部に組み付けられており、前記雄端子における前記雄端子挿入隙間への圧入時において、前記弾性接触片を前記第1壁部側に向かって付勢する押圧ばねと、を備え、
前記弾性接触片の前記第2接点は、前記雄端子挿入隙間に圧入された前記雄端子に対して、前記弾性接触片の前記第1壁部側への弾性復帰力および前記押圧ばねの付勢力により前記雄端子に圧接され、前記雄端子を前記第1接点に押圧する、雌端子。
【請求項2】
前記雄端子挿入隙間へ圧入される前記雄端子は、圧入方向に交差する板幅方向の両側に、前記雄端子の板厚方向の一方側に傾斜する一対の傾斜部を有するものであり、
前記第1壁部は、前記雄端子の前記板厚方向の他方側の面に対向し、前記雄端子の前記一対の傾斜部に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第1傾斜側縁部を有し、前記各第1傾斜側縁部には、前記第1接点が設けられており、
前記第2壁部は、前記雄端子の前記板厚方向の前記一方側の面に対向し、前記雄端子の前記一対の傾斜部に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第2傾斜側縁部を有し、前記各第2傾斜側縁部には、前記弾性接触片が配置されており、
前記押圧ばねは、前記板幅方向の一方側に配置された前記弾性接触片を前記板幅方向の前記一方側に位置する前記第1傾斜側縁部に向かって付勢する第1ばね部と、前記板幅方向の他方側に配置された前記弾性接触片を前記板幅方向の前記他方側に位置する前記第1傾斜側縁部に向かって付勢する第2ばね部と、を有する、請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記本体部の前記雄端子挿入隙間の先端側には、前記雄端子挿入隙間に連続する雄端子挿入口が設けられており、
前記弾性接触片は、前記第2壁部に組み付けられる第1組付部に支持されており、
前記第1組付部は、前記雄端子挿入口側の前記第2壁部の外面に載置される第1ベースと、前記第1ベースから前記第1壁部側に向かって突出して前記雄端子挿入口を構成する前記第2壁部の端面に対向配置される第1連結板部と、を有し、
前記弾性接触片は、前記第1連結板部の突出縁部に片持ち梁状に連結されて前記雄端子挿入隙間の内方および前記第1壁部側に突出している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記第1組付部の前記第1連結板部は、前記第2壁部の前記雄端子挿入口側の前記端面に対して溶接されている、請求項3に記載の雌端子。
【請求項5】
前記第1組付部は、前記一対の第2傾斜側縁部のそれぞれの前記雄端子挿入口側の端面に対向配置される一対の前記第1連結板部を有し、
前記一対の第1連結板部のそれぞれの前記突出縁部に前記弾性接触片が片持ち梁状に連結されており、前記一対の弾性接触片は、前記第1ばね部と前記第2ばね部とによって各別に前記第1傾斜側縁部に向かって付勢されている、請求項2に係属する場合の請求項3に記載の雌端子。
【請求項6】
前記第1組付部および前記第2壁部の両対向面の一方には、弾性変形可能な第1ロック爪を有し、前記第1組付部および前記第2壁部の両対向面の他方には、第1ロック穴を有し、
前記第1ロック爪が弾性変形することにより前記第1組付部の前記第2壁部への組み付けが許容され、前記第1ロック爪が弾性復帰して前記第1ロック穴に嵌合することで、前記第1組付部が前記第2壁部に対して離脱不能に組み付けられる、請求項3に記載の雌端子。
【請求項7】
前記本体部の前記雄端子挿入隙間の基端側には、前記雄端子挿入隙間に連続する後方開口部が設けられており、
前記押圧ばねは、舌片形状を有するとともに、前記第2壁部に組み付けられる第2組付部に支持されており、
前記第2組付部は、前記後方開口部側の前記第2壁部の外面に載置される第2ベースと、前記第2ベースから前記第1壁部側に向かって突出して前記後方開口部を構成する前記第2壁部の端面に対向配置される第2連結板部と、を有し、
前記押圧ばねは、前記第2連結板部の突出縁部に片持ち梁状に連結されて前記雄端子挿入隙間の内方および前記第1壁部側に突出しており、前記押圧ばねの突出端部が前記弾性接触片の端部を前記第1壁部側に押圧している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項8】
前記第2組付部は、前記一対の第2傾斜側縁部のそれぞれの前記後方開口部側の端面に対向配置される一対の前記第2連結板部を有し、
前記一対の第2連結板部のそれぞれの前記突出縁部に前記押圧ばねが片持ち梁状に連結されて前記第1ばね部と前記第2ばね部とが構成されている、請求項2に係属する場合の請求項7に記載の雌端子。
【請求項9】
前記第2組付部および前記第2壁部の両対向面の一方には、弾性変形可能な第2ロック爪を有し、前記第2組付部および前記第2壁部の両対向面の他方には、第2ロック穴を有し、
前記第2ロック爪が弾性変形することにより前記第2組付部の前記第2壁部への組み付けが許容され、前記第2ロック爪が弾性復帰して前記第2ロック穴に嵌合することで、前記第2組付部が前記第2壁部に対して離脱不能に組み付けられる、請求項7に記載の雌端子。
【請求項10】
板状をなす雄端子と、前記雄端子に接続される雌端子と、を備える端子ユニットであって、
前記雌端子が、請求項1または請求項2に記載の雌端子である、端子ユニット。
【請求項11】
請求項2に記載の雌端子の前記雄端子挿入隙間へ圧入される雄端子であって、
圧入方向に交差する板幅方向の両側に、前記雄端子の板厚方向の一方側に傾斜する一対の傾斜部を有する、雄端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雌端子、それを用いた端子ユニットおよび雄端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板状の雄端子と、雄端子に接続される雌端子と、からなる端子ユニットが開示されている。雌端子は、雄端子挿入隙間を隔てて対向配置された一対の壁部を有し、一方の壁部には雄端子を他方の壁部に押圧する弾性接触片が設けられ、他方の壁部には複数の接点が突設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-204396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の端子ユニットにおける雌端子は、単一の金属平板をプレス加工して形成していることから、弾性接触片も電流容量に応じて設定された金属平板の板厚と同じ厚さで形成される。それゆえ、大電流を流す必要がある場合には、弾性接触片の板厚も厚くなり、弾性接触片の雄端子への追従性が悪化する。その結果、弾性接触片が雄端子から離れ易くなり、弾性接触片の雄端子への必要な接圧が得られない等の不具合が発生するおそれがあった。これに対して、弾性接触片の長さを長くして追従性を確保することも考えられるが、雌端子が大型化するため、好ましい対応とは言い難かった。
【0005】
そこで、大電流化への対応が必要な場合でも、雌端子の大型化を抑制しつつ弾性接触片の雄端子への追従性や接圧を確保できる、雌端子、それを用いた端子ユニットおよび雄端子を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の雌端子は、雄端子が圧入されて配置される雄端子挿入隙間を隔てて対向配置された第1壁部および第2壁部を含む本体部と、前記第1壁部に設けられて前記第2壁部に向かって突出する第1接点と、前記第2壁部に組み付けられており、前記本体部よりも薄い板厚を有し、前記第1壁部に向かって突出して前記第2壁部側に弾性変形可能であり第2接点を有する弾性接触片と、前記第2壁部に組み付けられており、前記雄端子における前記雄端子挿入隙間への圧入時において、前記弾性接触片を前記第1壁部側に向かって付勢する押圧ばねと、を備え、前記弾性接触片の前記第2接点は、前記雄端子挿入隙間に圧入された前記雄端子に対して、前記弾性接触片の前記第1壁部側への弾性復帰力および前記押圧ばねの付勢力により前記雄端子に圧接され、前記雄端子を前記第1接点に押圧する、ものである。
【0007】
本開示の端子ユニットは、板状をなす雄端子と、前記雄端子に接続される雌端子と、を備える端子ユニットであって、前記雌端子が、本開示に係る雌端子である、ものである。
【0008】
本開示の雄端子は、本開示の後述する(2)の態様に係る雌端子の前記雄端子挿入隙間へ圧入される雄端子であって、圧入方向に交差する板幅方向の両側に、前記雄端子の板厚方向の一方側に傾斜する一対の傾斜部を有する、ものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、大電流化への対応が必要な場合でも、雌端子の大型化を抑制しつつ弾性接触片の雄端子への追従性や接圧を確保できる、雌端子、それを用いた端子ユニットおよび雄端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る雌端子を雄端子との接続状態で示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された雌端子における平面図である。
図3図3は、図2におけるIII-III断面を拡大して示す横断面図である。
図4図4は、図3におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、図1に示された雌端子を雄端子との非接続状態で示す斜視図である。
図6図6は、図5に示された雌端子における断面図であって、図4に対応する図である。
図7図7は、図5に示された雌端子における分解斜視図である。
図8図8は、図5に示された雌端子の本体部を構成する金属平板をプレス加工前の状態で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の雌端子は、
(1)雄端子が圧入されて配置される雄端子挿入隙間を隔てて対向配置された第1壁部および第2壁部を含む本体部と、前記第1壁部に設けられて前記第2壁部に向かって突出する第1接点と、前記第2壁部に組み付けられており、前記本体部よりも薄い板厚を有し、前記第1壁部に向かって突出して前記第2壁部側に弾性変形可能であり第2接点を有する弾性接触片と、前記第2壁部に組み付けられており、前記雄端子における前記雄端子挿入隙間への圧入時において、前記弾性接触片を前記第1壁部側に向かって付勢する押圧ばねと、を備え、前記弾性接触片の前記第2接点は、前記雄端子挿入隙間に圧入された前記雄端子に対して、前記弾性接触片の前記第1壁部側への弾性復帰力および前記押圧ばねの付勢力により前記雄端子に圧接され、前記雄端子を前記第1接点に押圧する、ものである。
【0012】
本開示の雌端子によれば、本体部の第1壁部と対向配置された第2壁部に対して、本体部よりも薄い板厚を有する本体部とは別体の弾性接触片が組み付けられている。弾性接触片は第1接点が設けられた第1壁部に向かって突出しており、雄端子挿入隙間に圧入された雄端子に押されて第2壁部側に弾性変形することで、雄端子の雄端子挿入隙間への圧入を許容するようになっている。弾性接触片に設けられた第2接点は、先ず、雄端子挿入隙間に挿入された雄端子に対して、弾性接触片の第1壁部側への弾性復帰力により、圧接されるようになっている。ここで、弾性接触片は本体部よりも薄い板厚を有していることから、本体部の一部によって弾性接触片が構成されている従来構造に比して、撓み変形が容易となっている。それゆえ、大電流化への対応が必要な場合には、板厚寸法の大きな本体部において通電容量を確保しつつ、本体部よりも板厚が薄い弾性接触片により雄端子への追従性を確保することができる。すなわち、弾性接触片を長大化することなく雄端子への追従性を確保できることから、大電流化へ対応が必要な場合でも、雌端子の大型化を抑制しつつ弾性接触片の雄端子への必要な追従性を確保することができる。
【0013】
加えて、本体部の第2壁部には、前記雄端子における前記雄端子挿入隙間への圧入時において、弾性接触片を第1壁部側に向かって付勢する押圧ばねが組み付けられていることから、押圧ばねの付勢力により、弾性接触片における第2接点の雄端子への接圧も有利に向上させることができる。しかも押圧ばねに付勢された弾性接触片により雄端子が第1接点へ押圧されて第1および第2接点との接触状態に安定して維持されて、雌雄端子間の導通安定性を有利に維持できる。
【0014】
なお、雄端子の圧入に伴う弾性接触片の弾性変形が、本体部の弾性変形を伴うものではないことから、雌端子を収容するコネクタハウジングとの間に変形収容隙間等を設ける必要がなくなって、設計が容易となると共に雌端子を備えたコネクタの小型化も図ることができる。さらに、押圧ばねは、本体部よりも撓み変形が容易な弾性接触片を押圧し得る付勢力があれば足りることから、本体部と同じ板厚の弾性接触片を付勢しなければならない場合に比して、押圧ばねの小型化も図ることができる。
【0015】
(2)上記(1)において、前記雄端子圧入隙間へ圧入される前記雄端子は、圧入方向に交差する板幅方向の両側に、前記雄端子の板厚方向の一方側に傾斜する一対の傾斜部を有するものであり、前記第1壁部は、前記雄端子の前記板厚方向の他方側の面に対向し、前記雄端子の前記一対の傾斜部に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第1傾斜側縁部を有し、前記各第1傾斜側縁部には、前記第1接点が設けられており、前記第2壁部は、前記雄端子の前記板厚方向の前記一方側の面に対向し、前記雄端子の前記一対の傾斜部に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第2傾斜側縁部を有し、前記各第2傾斜側縁部には、前記弾性接触片が配置されており、前記押圧ばねは、前記板幅方向の一方側に配置された前記弾性接触片を前記板幅方向の前記一方側に位置する前記第1傾斜側縁部に向かって付勢する第1ばね部と、前記板幅方向の他方側に配置された前記弾性接触片を前記板幅方向の前記他方側に位置する前記第1傾斜側縁部に向かって付勢する第2ばね部と、を有する、ことが好ましい。
【0016】
雄端子は、雄端子圧入隙間への圧入方向と交差する方向である雄端子の板幅方向の両側に、雄端子の板厚方向の一方側に傾斜する一対の傾斜部を有している。同様に、雌端子の第1壁部は、雄端子の板厚方向の他方側の面に対向し、雄端子の一対の傾斜部に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第1傾斜側縁部(第1接点)を有し、雌端子の第2壁部は、雄端子の板厚方向の一方側の面に対向し、雄端子の一対の傾斜部に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第2傾斜側縁部を有しており、それぞれ弾性接触片が配置されている。さらに、雄端子の板幅方向の一方側に位置する雌端子の第2傾斜側縁部に配置された弾性接触片が第1ばね部により雄端子の傾斜部に押圧され、雄端子の板幅方向の他方側に位置する雌端子の第2傾斜側縁部に配置された弾性接触片が第2ばね部により雄端子の傾斜部に押圧されている。これにより、雄端子の板幅方向に外力が及ぼされた場合には、雄端子の板幅方向の両側において雄端子の傾斜部が、同様に傾斜した雌端子の第1傾斜側縁部の第1接点や第2傾斜側縁部に配置された弾性接触片の第2接点に押圧されて、板幅方向の内方に向かう分力(第1接点部や第2接点部からの反力)が発生する。その結果、雄端子や雌端子の第1/第2壁部が平板形状である場合に比して、雄端子の板幅方向の外方に向かう外力に対して雄端子の変位を阻止する力を大きくすることができ、雌端子に対する雄端子の板幅方向での変位を抑制することができる。
【0017】
加えて、雄端子の板幅方向の両側において雄端子の傾斜部を、同様に傾斜した雌端子の
第1傾斜側縁部と第2傾斜側縁部に配置された弾性接触片の間に挟み込んで、各別の押圧ばね(第1ばね部と第2ばね部)により雄端子の傾斜部の板厚方向の両側から接圧を付与することができる。その結果、雌端子の第1接点と第2接点を雄端子の各傾斜部に押圧した状態を、安定した接圧で維持することができ、雄端子の板幅方向の外力に対する変位抑制性能の一層の向上や、雌雄端子間の微摺動摩擦の抑制を一層有利に実現することができる。
【0018】
(3)上記(1)または(2)において、前記本体部の前記雄端子挿入隙間の先端側には、前記雄端子挿入隙間に連続する雄端子挿入口が設けられており、前記弾性接触片は、前記第2壁部に組み付けられる第1組付部に支持されており、前記第1組付部は、前記雄端子挿入口側の前記第2壁部の外面に載置される第1ベースと、前記第1ベースから前記第1壁部側に向かって突出して前記雄端子挿入口を構成する前記第2壁部の端面に対向配置される第1連結板部と、を有し、前記弾性接触片は、前記第1連結板部の突出縁部に片持ち梁状に連結されて前記雄端子挿入隙間の内方および前記第1壁部側に突出している、ことが好ましい。
【0019】
弾性接触片が、第2壁部の外面に載置される第1ベースと第1ベースから第1壁部側に向かって突出して第2壁部の雄端子挿入口側の端面に対向配置される第1連結板部を有する第1組付部に支持されており、第1組付部を第2壁部に組み付けることで、弾性接触片を雄端子挿入口側から内方に突出しつつ第1壁部に向かって片持ち梁状に突出する状態で、第2壁部に組み付けることができる。これにより、雄端子圧入隙間に圧入される雄端子に押圧されて弾性変形する弾性接触片の雄端子挿入隙間への配設を簡単に行うことができる。しかも、第1組付部の第1連結板部に片持ち梁状に連結された弾性接触片を、単一の金属平板をプレス加工することにより容易に形成できることから、製造性の向上も図ることができる。
【0020】
(4)上記(3)において、前記第1組付部の前記第1連結板部は、前記第2壁部の前記雄端子挿入口側の前記端面に対して溶接されている、ことが好ましい。弾性接触片が連結された第1組付部の第1連結板部が本体部の第2壁部の端面に溶接されていることから、それらの間の接触抵抗を低減することができ、大電流化への対応が容易となる。
【0021】
(5)上記(2)に係属する場合の(3)において、前記第1組付部は、前記一対の第2傾斜側縁部のそれぞれの前記雄端子挿入口側の端面に対向配置される一対の前記第1連結板部を有し、前記一対の第1連結板部のそれぞれの前記突出縁部に前記弾性接触片が片持ち梁状に連結されており、前記一対の弾性接触片は、前記第1ばね部と前記第2ばね部とによって各別に前記第1傾斜側縁部に向かって付勢されている、ことが好ましい。第1組付部の一対の第1連結板部にそれぞれ連結支持された一対の弾性接触片が、押圧ばねが有する第1ばね部と第2ばね部によって各別に対向する第1傾斜側縁部に向かって付勢されていることから、弾性接触片の雄端子へのさらなる追従性の向上や接圧の維持を達成することができる。
【0022】
(6)上記(3)から(5)のいずれか1つにおいて、前記第1組付部および前記第2壁部の両対向面の一方には、弾性変形可能な第1ロック爪を有し、前記第1組付部および前記第2壁部の両対向面の他方には、第1ロック穴を有し、前記第1ロック爪が弾性変形することにより前記第1組付部の前記第2壁部への組み付けが許容され、前記第1ロック爪が弾性復帰して前記第1ロック穴に嵌合することで、前記第1組付部が前記第2壁部に対して離脱不能に組み付けられる、ことが好ましい。第1組付部と第2壁部の対向面間に配設された第1ロック爪と第1ロック穴によって組付部の第2壁部への組付状態を維持することができ、弾性接触片の予期せぬ本体部からの離脱を未然に防止することができる。
【0023】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記本体部の前記雄端子挿入隙間の基端側には、前記雄端子挿入隙間に連続する後方開口部が設けられており、前記押圧ばねは、舌片形状を有するとともに、前記第2壁部に組み付けられる第2組付部に支持されており、前記第2組付部は、前記後方開口部側の前記第2壁部の外面に載置される第2ベースと、前記第2ベースから前記第1壁部側に向かって突出して前記後方開口部を構成する前記第2壁部の端面に対向配置される第2連結板部と、を有し、前記押圧ばねは、前記第2連結板部の突出縁部に片持ち梁状に連結されて前記雄端子挿入隙間の内方および前記第1壁部側に突出しており、前記押圧ばねの突出端部が前記弾性接触片の端部を前記第1壁部側に押圧している、ことが好ましい。
【0024】
弾性接触片が、第2壁部の外面に載置される第2ベースと第2ベースから第1壁部側に向かって突出して第2壁部の後方開口部側の端面に対向配置される第2連結板部を有する第2組付部に支持されており、第2組付部を第2壁部に組み付けることで、舌片形状の押圧ばねを後方開口部から内方に突出しつつ第1壁部に向かって片持ち梁状に突出し、押圧ばねの突出端部が弾性接触片の端部を第1壁部側に押圧する状態で、第2壁部に組み付けることができる。これにより、弾性接触片を第1壁部側に押圧する押圧ばねの雄端子挿入隙間への配設を簡単に行うことができる。しかも、第2組付部の第2連結板部に片持ち梁状に連結された舌片形状の押圧ばねを、単一の金属平板をプレス加工することにより容易に形成できることから、製造性の向上も図ることができる。
【0025】
(8)上記(2)に係属する場合の(7)において、前記第2組付部は、前記一対の第2傾斜側縁部のそれぞれの前記後方開口部側の端面に対向配置される一対の前記第2連結板部を有し、前記一対の第2連結板部のそれぞれの前記突出縁部に前記押圧ばねが片持ち梁状に連結されて前記第1ばね部と前記第2ばね部とが構成されている、ことが好ましい。組付部の一対の連結板部にそれぞれ連結支持された一対の弾性接触片が、押圧ばねが有する第1ばね部と第2ばね部によって各別に対向する第1傾斜側縁部に向かって付勢されていることから、弾性接触片の雄端子へのさらなる追従性の向上や接圧の維持を達成することができる。
【0026】
(9)上記(7)または(8)において、前記第2組付部および前記第2壁部の両対向面の一方には、弾性変形可能な第2ロック爪を有し、前記第2組付部および前記第2壁部の両対向面の他方には、第2ロック穴を有し、前記第2ロック爪が弾性変形することにより前記第2組付部の前記第2壁部への組み付けが許容され、前記第2ロック爪が弾性復帰して前記第2ロック穴に嵌合することで、前記第2組付部が前記第2壁部に対して離脱不能に組み付けられる、ことが好ましい。第2組付部と第2壁部の対向面間に配設された第2ロック爪と第2ロック穴によって第2組付部の第2壁部への組付状態を維持することができ、押圧ばねの予期せぬ本体部からの離脱を未然に防止することができる。
【0027】
本開示の端子ユニットは、
(10)板状をなす雄端子と、前記雄端子に接続される雌端子と、を備える端子ユニットであって、前記雌端子が、上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の雌端子である、ものである。
【0028】
本開示の端子ユニットでは、雌端子が上記(1)から(9)のいずれかに記載の態様で構成されていることから、上記(1)から(9)のいずれかで得られるものと同様の作用効果を奏することができる、端子ユニットを提供することができる。
【0029】
本開示の雄端子は、
(11)上記(2)に記載の雌端子の前記雄端子圧入隙間へ圧入される雄端子であって、圧入方向に交差する板幅方向の両側に、前記雄端子の板厚方向の一方側に傾斜する一対の傾斜部を有する、ものである。
【0030】
本開示の雄端子では、上記(2)に記載の雌端子と組み合わせて用いられることで、上記(2)と同様の効果が発揮され得る。
【0031】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の雌端子、端子ユニットおよび雄端子の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の雌端子10および、雌端子10と雌端子10に接続される雄端子12とを備えた端子ユニット14について、図1から図8を用いて説明する。雌端子10は、例えばバッテリ等の電源側の部材とモータ等の負荷側の部材との間を接続する端子である。そして、電源側と負荷側の一方に設けられる雌端子10と、電源側と負荷側の他方に設けられる雄端子12とが相互に接触して導通状態とされることで、バッテリ等の電源からモータ等の負荷へ電力が供給されるようになっている。なお、雌端子10は任意の向きで配置することができるが、以下では、上方とは図3中の上方、下方とは図3中の下方、前方とは図2中の左方、後方とは図2中の右方、左方とは図2中の上方、右方とは図2中の下方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0033】
<雌端子10>
雌端子10は、雄端子12が圧入されて配置される雄端子挿入隙間16を隔てて対向配置された第1壁部18および第2壁部20を含む本体部22を備えている。また、雌端子10は、第1壁部18に設けられて第2壁部20に向かって突出する第1接点24を備えている。さらに、雌端子10は、第1壁部18に向かって突出して第2壁部20側に弾性変形可能であり第2接点26を有する弾性接触片28を備えている。この弾性接触片28は、第2壁部20に組み付けられており、本体部22よりも薄い板厚を有している。また、雌端子10は、雄端子12における雄端子挿入隙間16への圧入時において、弾性接触片28を第1壁部18側に向かって付勢する押圧ばね30を備えている。押圧ばね30は、第2壁部20に組み付けられている。
【0034】
<雄端子12>
上記雌端子10に接続される雄端子12は、図5等にも示されるように、全体として板状をなしており、例えば図示しない平板金具を用いて構成される。この平板金具は全体として略矩形状を有しており、所定の板幅寸法および板厚寸法を有してストレートに延びている。なお、雄端子12において、雌端子10における雄端子挿入隙間16への圧入方向先端側(後方側)の端部は先細形状である。雄端子12は、導電性を有しており、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の電気抵抗の低い金属により形成される。
【0035】
そして、平板金具の板幅方向(左右方向)両端部分を板厚方向の一方側(上方)に屈曲させて傾斜させることで、雄端子12の板幅方向両端部分には、一対の傾斜部32,32が設けられている。すなわち、雄端子12において、雄端子挿入隙間16への圧入方向(前方から後方に向かう方向)に対して交差する方向、実施形態1では直交する方向である板幅方向の両側に一対の傾斜部32,32が設けられている。雄端子12の板幅方向で一対の傾斜部32,32の間に位置する板幅方向の中央部分には、平坦に広がる中央平坦部34が設けられている。なお、一対の傾斜部32,32は、雄端子12の長さ方向の全長にわたって設けられてもよいし、雄端子12において雄端子挿入隙間16に圧入される圧入方向先端部分にのみ設けられてもよい。実施形態1では、雄端子12の板厚寸法が略一定であり、一対の傾斜部32,32および中央平坦部34の厚さ寸法がそれぞれA(図3,4参照)であるが、一対の傾斜部32,32および中央平坦部34の厚さ寸法は相互に異なっていてもよい。
【0036】
一対の傾斜部32,32の中央平坦部34に対する傾斜角度はθ1となっている(図3参照)。なお、実施形態1では、雄端子12において、板幅方向の一方側(左側)の傾斜部32の中央平坦部34に対する傾斜角度と、板幅方向の他方側(右側)の傾斜部32の中央平坦部34に対する傾斜角度は、相互に等しい大きさ(θ1)であるが、左右両側の傾斜角度は相互に異なっていてもよい。
【0037】
一対の傾斜部32,32の中央平坦部34に対する傾斜角度θ1は限定されるものではないが、例えば5°以上45°以下とされることが好適であり、より好適には10°以上30°以下とされる。傾斜部32の傾斜角度θ1が5°以上とされることにより、雄端子12に板幅方向外方への外力が入力された際にも雄端子12の板幅方向外方への変位を抑制することができる。傾斜部32の傾斜角度θ1が45°以下とされることにより、雄端子12、ひいては雄端子12に接続される雌端子10の上下方向寸法を小さく抑えることができる。
【0038】
雄端子12において、圧入方向基端側(前方側)の形状は限定されるものではないが、実施形態1では、基端側が略ストレートに延びており、当該ストレートに延びる部分に板厚方向に貫通する貫通孔36が形成されている。そして、貫通孔36に挿通される図示しない締結ボルトによって、雄端子12が図示しない機器の端子部に対して導通接続されて固定されるようになっている。なお、雄端子12における圧入方向基端側は、そこに導通接続される機器の端子部やコネクタ、電線等の導体の形状に適合する任意の形状が採用され得る。
【0039】
<本体部22>
本体部22における前方部分に前述の雄端子挿入隙間16が設けられており、当該雄端子挿入隙間16は前後方向に延びている。本体部22における前方部分は前後方向に延びる略筒形状であり、本体部22において雄端子挿入隙間16の先端側(前端側)には、雄端子挿入隙間16に連続する雄端子挿入口38が設けられている。また、本体部22において雄端子挿入隙間16の基端側(後端側)には、雄端子挿入隙間16に連続する後方開口部40が設けられている。
【0040】
要するに、本体部22において雄端子挿入隙間16を構成する部分(前方部分)は、下側の壁部である前述の第1壁部18と上側の壁部である前述の第2壁部20と、これら第1壁部18と第2壁部20とを接続する一対の側壁部42,42とを備えている。雄端子挿入隙間16における雄端子挿入口38は、第1壁部18、第2壁部20および一対の側壁部42,42の各端面としての各前端面18a,20a,42a,42aを含んで構成されている。また、雄端子挿入隙間16における後方開口部40は、第2壁部20および一対の側壁部42,42における別の各端面としての各後端面20b,42b,42bを含んで構成されている。この雄端子挿入隙間16は、圧入される雄端子12と略対応する形状とされている。
【0041】
なお、雄端子挿入口38を構成する第2壁部20の前端には、後述する第1組付部74が組み付けられる際に、第1組付部74における各第1連結板部78が収容される前方収容凹部41aが設けられている。この前方収容凹部41aは、第2壁部20の左右方向略全長にわたって形成されており、雄端子挿入口38を構成する各前端面18a,20a,42a,42aにおいて、第2壁部20の前端面20aが他の3つの面に比べて後方に位置している。なお、第2壁部20の前端面20aよりも前方に位置する各前端面18a,42a,42aは、例えば雌端子10と雄端子12との接続時において雄端子12を保持する図示しないハウジングと当接させることもできる。
【0042】
同様に、後方開口部40を構成する第2壁部20の後端には、後述する第2組付部94が組み付けられる際に、第2組付部94における各第2連結板部98が収容される後方収容凹部41bが設けられている。この後方収容凹部41bは、第2壁部20の左右方向略全長にわたって形成されており、後方開口部40を構成する各後端面20b,42b,42bにおいて、第2壁部20の後端面20bが各側壁部42における後端面42bよりも前方に位置している。
【0043】
さらに、本体部22における後方部分には、雄端子挿入隙間16の下側の壁部である第1壁部18から後方に延び出す略矩形平板状の接続部43が設けられている。この接続部43には、例えば電線の端末が溶接や圧着されたり、バスバー等の導電部材がボルト等により固定され得る。
【0044】
<第1壁部18>
第1壁部18は、雄端子12の板厚方向の他方側の面(下面)に対向し、雄端子12の一対の傾斜部32,32に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第1傾斜側縁部44,44を有している。換言すれば、第1壁部18において、板幅方向(左右方向)の両端部分には、板幅方向中央部分に対して板厚方向の一方側(上側)に屈曲させて傾斜させた一対の第1傾斜側縁部44,44が設けられている。また、これら一対の第1傾斜側縁部44,44の板幅方向の間に位置する、第1壁部18の板幅方向中央部分は、雄端子12における中央平坦部34に対向して、且つ沿って平坦に広がる第1平坦部46である。そして、このような第1壁部18の内面における先端部には、左右方向の略全長にわたって、先端側に向かって上下方向で対向する第2壁部20から次第に離隔する誘い込み面47が形成されている。
【0045】
各第1傾斜側縁部44は、第1平坦部46に対して所定の傾斜角度θ2(図3参照)をもって傾斜している。実施形態1では、第1壁部18において、板幅方向の一方側(左側)の第1傾斜側縁部44の第1平坦部46に対する傾斜角度と、板幅方向の他方側(右側)の第1傾斜側縁部44の第1平坦部46に対する傾斜角度は、相互に等しい大きさ(θ2)であるが、左右両側の傾斜角度は相互に異なっていてもよい。
【0046】
また、各第1傾斜側縁部44の内面(上面)には、上方に位置する雄端子挿入隙間16に向かって突出する前述の第1接点24が設けられている。これら各第1接点24は、各第1傾斜側縁部44の板厚方向に突出しており、第1平坦部46の板厚方向となる上下方向に対して傾斜して突出している。実施形態1では、図3,4にも示されるように、各第1傾斜側縁部44の内面において所定の幅寸法(左右方向寸法)および長さ寸法(前後方向寸法)を有する突部48が設けられているとともに、突部48の長さ方向中央に凹部50が設けられている。これにより、突部48上において、前後方向で離隔して2つの第1接点24,24が形成されている。なお、これら突部48および凹部50は連続する湾曲面により形成されており、図3,4にも示されるように、各第1接点24が湾曲面の頂部により構成されている。
【0047】
特に、実施形態1では、各突部48が、各第1傾斜側縁部44における左右方向中央部分に設けられているとともに、左右の各第1傾斜側縁部44において前後方向で略対応する位置に各第1接点24が形成されている。すなわち、第1壁部18には、左右方向および前後方向で相互に離隔して合計で4つの第1接点24が設けられている。各第1傾斜側縁部44の外面(下面)において、各突部48と対応する位置には下方に開口する凹溝部52が形成されており、第1傾斜側縁部44においてプレス加工を行うことにより各突部48および各第1接点24が形成されるようになっている。
【0048】
<第2壁部20>
第2壁部20は、雄端子12の板厚方向の一方側の面(上面)に対向し、雄端子12の一対の傾斜部32,32に沿ってそれぞれ傾斜する一対の第2傾斜側縁部54,54を有している。換言すれば、第2壁部20において、板幅方向(左右方向)の両端部分には、板幅方向中央部分に対して板厚方向の一方側(上側)に屈曲させて傾斜させた一対の第2傾斜側縁部54,54が設けられている。そして、第1壁部18における各第1傾斜側縁部44と第2壁部20における各第2傾斜側縁部54とが、左右方向の両端部においてそれぞれ側壁部42によって接続されている。また、これら一対の第2傾斜側縁部54,54の板幅方向の間に位置する、第2壁部20の板幅方向中央部分は、雄端子12における中央平坦部34に対向して、且つ沿って平坦に広がる第2平坦部56である。
【0049】
各第2傾斜側縁部54は、第2平坦部56に対して所定の傾斜角度θ3(図3参照)をもって傾斜している。実施形態1では、第2壁部20において、板幅方向の一方側(左側)の第2傾斜側縁部54の第2平坦部56に対する傾斜角度と、板幅方向の他方側(右側)の第2傾斜側縁部54の第2平坦部56に対する傾斜角度は、相互に等しい大きさ(θ3)であるが、左右両側の傾斜角度は相互に異なっていてもよい。
【0050】
各第1傾斜側縁部44の第1平坦部46に対する傾斜角度θ2は、雄端子12における各傾斜部32の中央平坦部34に対する傾斜角度θ1に対して、同一の大きさか、異なる場合でも角度差が10°以内であることが好ましい。これにより、雄端子挿入隙間16に対して雄端子12が圧入された際に、雄端子挿入隙間16内での雄端子12のがたつきを抑えて、雄端子12と各第1接点24との接触面積を安定して確保することができる。同様に、各第2傾斜側縁部54の第2平坦部56に対する傾斜角度θ3は、雄端子12における各傾斜部32の中央平坦部34に対する傾斜角度θ1に対して、同一の大きさか、異なる場合でも角度差が10°以内であることが好ましい。これにより、雄端子挿入隙間16に対して雄端子12が圧入された際に、雄端子挿入隙間16内での雄端子12のがたつきを抑えて、雄端子12と前述の第2接点26との接触面積を安定して確保することができる。
【0051】
実施形態1では、各第1傾斜側縁部44の第1平坦部46に対する傾斜角度θ2と、各第2傾斜側縁部54の第2平坦部56に対する傾斜角度θ3とが略等しくされている。それゆえ、実施形態1では、左方における第1傾斜側縁部44と第2傾斜側縁部54とが略平行に広がっているとともに、右方における第1傾斜側縁部44と第2傾斜側縁部54とが略平行に広がっている。
【0052】
後述するように、このような各第2傾斜側縁部54に対して、弾性接触片28が組み付けられて配置されることで、各第2傾斜側縁部54の内面(下面)において、下方に位置する雄端子挿入隙間16に向かって突出する各第2接点26が形成されている。
【0053】
また、各第2傾斜側縁部54における前後方向中央部分には、厚さ方向で貫通する貫通孔58が形成されている。さらに、第2平坦部56において、前後方向中央部分には、厚さ方向(上下方向)で貫通する第1ロック穴60と第2ロック穴62とが、前後方向で相互に離隔して形成されている。なお、第1ロック穴60の方が第2ロック穴62よりも前方に設けられている。実施形態1では、これら貫通孔58、第1ロック穴60および第2ロック穴62が何れも略矩形状をもって形成されている。特に、実施形態1では、第2壁部20における前後方向において、第1ロック穴60と第2ロック穴62との間に、左右両側の各貫通孔58が形成されている。
【0054】
実施形態1では、上記のような形状とされた本体部22が、所定の厚さ寸法を有する1枚の金属平板64をプレス加工等することにより形成されている。金属平板64におけるプレス加工前の状態を図8に示す。そして、図7等にも示されるように、実施形態1では、金属平板64を折り曲げて本体部22を形成する際に相互に突き合わされる部分が、第2壁部20における第2平坦部56に設けられている。すなわち、第2平坦部56は左右方向で分割されており、左側第2平坦部56aと右側第2平坦部56bとから構成されている。要するに、左側の側壁部42において第1壁部18に接続される側と反対側には、第2壁部20の左側部分66が接続されており、左側部分66が、左側の第2傾斜側縁部54と当該第2傾斜側縁部54から連続して延びる左側第2平坦部56aにより構成されている。また、右側の側壁部42において第1壁部18に接続される側と反対側には、第2壁部20の右側部分68が接続されており、右側部分68が、右側の第2傾斜側縁部54と右側第2平坦部56bにより構成されている。
【0055】
これにより、図8に示されるように、プレス加工を行う前の金属平板64では、第2壁部20の左側部分66(左側第2平坦部56aおよび第2傾斜側縁部54)、左側の側壁部42、第1壁部18、右側の側壁部42および第2壁部20の右側部分68(第2傾斜側縁部54および右側第2平坦部56b)が図8中の上下方向で連続して設けられている。また、接続部43が第1壁部18から図8中の右方へ延び出している。そして、金属平板64を図8に2点鎖線で示される部分で折り曲げて、左側および右側第2平坦部56a,56bを相互に突き合わせて第2平坦部56を構成することで、本体部22が構成されるようになっている。
【0056】
なお、図8に示される金属平板64を折り曲げる前の状態では、第1ロック穴60と第2ロック穴62とが左右方向で分割されており、左側第2平坦部56aと右側第2平坦部56bとを相互に突き合わせることで、第1および第2ロック穴60,62が構成されるようになっている。なお、本体部22を構成する金属平板64の金属の材質は限定されるものではないが、導電性に優れる金属が採用可能であり、例えば純銅が採用され得る。
【0057】
<弾性接触片28>
前述のように、弾性接触片28は左右の第2傾斜側縁部54,54に設けられており、雌端子10には、左右方向で相互に離隔する一対の弾性接触片28,28が設けられている。各弾性接触片28は相互に同形状であり、各弾性接触片28は、図7にも示されるように、全体として略矩形板状とされている。各弾性接触片28が各第2傾斜側縁部54に装着された状態では各弾性接触片28は前後方向に延びており、各弾性接触片28の突出先端部分(後方部分)に屈曲部70が設けられている。そして、各弾性接触片28の下面において、各屈曲部70の形成位置に、前述の第2接点26が設けられている。
【0058】
これら各第2接点26は、図4図6に示す断面において湾曲円弧状に形成されており、各弾性接触片28の板幅方向中央部分において所定の幅寸法を有しているとともに、各弾性接触片28において屈曲部70を挟んで前後方向両側にまたがるように設けられている。このような各第2接点26は、各弾性接触片28の板厚方向の投影において、幅寸法に比して、雄端子12の挿入方向となる前後方向の寸法の方が大きくされた長円形状とされている。これにより、雌端子10に挿入された雄端子12が上下方向で揺動変位する場合にも、各第2接点26と雄端子12との接触面積を安定して確保できるようになっている。実施形態1では、後述するように、1枚の金属平板をプレス加工することにより、各弾性接触片28を支持する第1組付部74が形成されており、各弾性接触片28における上面において、各第2接点26と対応する位置には凹部72が形成されている。
【0059】
<第1組付部74>
弾性接触片28は、第2壁部20に組み付けられる第1組付部74に支持されている。第1組付部74は、雄端子挿入口38側の第2壁部20の外面(上面)に載置される第1ベース76と、第1ベース76から第1壁部18側となる下側に向かって突出して雄端子挿入口38を構成する第2壁部20の端面(前端面20a)に対向配置される第1連結板部78とを有している。そして、第1連結板部78の突出縁部(下側縁部)に弾性接触片28が片持ち梁状に連結されて、第1組付部74が第2壁部20に組み付けられた状態では、弾性接触片28が雄端子挿入隙間16の内方(後方)および第1壁部18側(下側)に突出している。これにより、弾性接触片28が、第1連結板部78との連結部分を基点として、上下方向で弾性変形可能とされている。また、第1ベース76と弾性接触片28とは、第1連結板部78の分だけそれぞれの板厚方向で離隔して対向しており、第1ベース76と弾性接触片28との間における後方の開口部分により、第1組付部74を第2壁部20の前端に挿し込むための挿込口79が構成されている。
【0060】
実施形態1では、一対の弾性接触片28,28が左右方向で相互に離隔して設けられている。それゆえ、一対の第1ベース76,76および一対の第1連結板部78,78が左右方向で相互に離隔して設けられており、各第1連結板部78の突出縁部(下側縁部)にそれぞれ弾性接触片28が片持ち梁状に連結されている。これら一対の第1連結板部78,78は、一対の第2傾斜側縁部54,54における雄端子挿入口38側の端面(要するに、前端面20a)にそれぞれ対向配置される。そして、第1組付部74において各第1ベース76が、第1接続部80により相互に接続されている。各第1ベース76は所定の前後方向寸法を有しており、第1接続部80は、各第1ベース76の前後方向略全長にわたって形成されている。具体的には、一対の第1ベース76,76が第2壁部20における各第2傾斜側縁部54に載置されるとともに、第1接続部80が第2壁部20における第2平坦部56に載置されるようになっている。それゆえ、各第1ベース76は、第1接続部80に対して傾斜して接続されており、各第1ベース76における第1接続部80に対する傾斜角度は、各第2傾斜側縁部54における第2平坦部56に対する傾斜角度(θ3)と等しいか、ある程度近い大きさとされている。
【0061】
この第1接続部80の前後方向中間部分には、第1接続部80を厚さ方向(上下方向)で貫通する略矩形の貫通窓82が形成されているとともに、貫通窓82の内周面における後方部分には前方に突出する第1ロック爪84が設けられている。第1ロック爪84は切り起こしによって形成されており、第1ロック爪84は前方になるにつれて次第に下方へと傾斜して突出している。第1ロック爪84の周囲の三方(左右方向両側および前方)には空間(隙間)が設けられており、第1ロック爪84が上下方向で弾性変形可能とされている。要するに、第1組付部74と第2壁部20の対向面(第1接続部80の下面と第2平坦部56の上面)の一方に第1ロック爪84が設けられているとともに、他方に第1ロック穴60が設けられている。
【0062】
上記のような形状とされた第1組付部74を第2壁部20に組み付けるに際しては、各挿込口79に対して第2壁部20の前端を挿し込んで、第2壁部20に対して第1組付部74を後方へスライド変位させる。これにより、第1ロック爪84に対して第2平坦部56の前端部が後方から当接して、第1ロック爪84を上方へ弾性変形させ、この結果、第1組付部74のさらなる後方へのスライド変位が許容される。そして、第1ロック爪84が第2平坦部56における第1ロック穴60に至ることで第1ロック爪84が弾性的に復元変形(弾性復帰)して、第1組付部74が第2壁部20に対して離脱不能とされた状態で組み付けられるようになっている。第1組付部74が第2壁部20に組み付けられた状態(雄端子12の挿入前の状態)では、図6に示されるように、第2傾斜側縁部54と弾性接触片28とが第2傾斜側縁部54の板厚方向で対向している。弾性接触片28は、第1連結板部78から後方になるにつれて次第に下方へと傾斜して突出しており、第2傾斜側縁部54と弾性接触片28との対向距離が、後方になるにつれて次第に大きくなっている。
【0063】
また、上記のように第1組付部74が第2壁部20に組み付けられることで、第1組付部74における各第1連結板部78が、第2壁部20の前端に設けられた前方収容凹部41aに収容されるようになっている。そして、実施形態1では、相互に重ね合わされる第2壁部20の雄端子挿入口38側の端面(前端面20a)と各第1連結板部78とが相互に溶接されており、特に実施形態1では、これらがレーザー溶接により溶接されている。これにより、第1組付部74における本体部22からの脱落がより確実に防止されるとともに、プレス成形により相互に突き当てられた左側第2平坦部56aと右側第2平坦部56bとが、相互に離隔する方向へ変位することが防止される。また、各第1連結板部78が前方収容凹部41aに収容されることで、本体部22からの第1組付部74の前方への突出が防止されるか、突出量が小さく抑制されている。
【0064】
実施形態1では、上記のような形状とされた第1組付部74が、1枚の金属平板をプレス加工等することにより形成されており、第1組付部74を構成する金属平板は、本体部22を構成する金属平板64よりも薄い板厚を有している。第1組付部74を構成する1枚の金属平板の金属の材質は限定されるものではないが、導電性且つばね性を有する金属が採用可能であり、例えば銅合金等が採用され得る。
【0065】
<押圧ばね30>
押圧ばね30は、板幅方向の一方側(左側)に配置された弾性接触片28を左側の第1傾斜側縁部44に付勢する第1ばね部86と、板幅方向の他方側(右側)に配置された弾性接触片28を右側の第1傾斜側縁部44に付勢する第2ばね部88とを有している。実施形態1では、第1ばね部86と第2ばね部88とが相互に同形状であり、それぞれ略矩形の舌片形状とされている。具体的には、第1および第2ばね部86,88が第2壁部20に装着された状態では、第1および第2ばね部86,88は前後方向に延びており、第1および第2ばね部86,88の突出先端部分(前方部分)に湾曲部90が設けられている。これにより、第1および第2ばね部86,88の各前端部92は上方に向かって突出している。
【0066】
<第2組付部94>
押圧ばね30は、第2壁部20に組み付けられる第2組付部94に支持されている。第2組付部94は、後方開口部40側の第2壁部20の外面(上面)に載置される第2ベース96と、第2ベース96から第1壁部18側となる下側に向かって突出して後方開口部40を構成する第2壁部20の端面(後端面20b)に対向配置される第2連結板部98とを有している。そして、第2連結板部98の突出縁部(下側縁部)に押圧ばね30が片持ち梁状に連結されて、第2組付部94が第2壁部20に組み付けられた状態では、押圧ばね30が雄端子挿入隙間16の内方(前方)および第1壁部18側(下側)に突出している。これにより、押圧ばね30が、第2連結板部98との連結部分を基点として、上下方向で弾性変形可能とされている。また、第2ベース96と押圧ばね30とは、第2連結板部98の分だけそれぞれの板厚方向で離隔して対向しており、第2ベース96と押圧ばね30との間における前方の開口部分により、第2組付部94を第2壁部20の後端に挿し込むための挿込口100が構成されている。
【0067】
実施形態1では、押圧ばね30が左右方向で相互に離隔する第1ばね部86と第2ばね部88とを有している。それゆえ、一対の第2ベース96,96および一対の第2連結板部98,98が左右方向で相互に離隔して設けられており、各第2連結板部98の突出縁部(下側縁部)に一対の舌片形状の押圧ばね30,30がそれぞれ片持ち梁状に連結されて第1ばね部86と第2ばね部88とが構成されている。これら一対の第2連結板部98,98は一対の第2傾斜側縁部54,54における後方開口部40側の端面(要するに、後端面20b)にそれぞれ対向配置される。そして、第2組付部94において各第2ベース96が、第2接続部102により相互に接続されている。各第2ベース96は所定の前後方向寸法を有しており、第2接続部102は、各第2ベース96の前後方向略全長にわたって形成されている。具体的には、一対の第2ベース96,96が第2壁部20における各第2傾斜側縁部54に載置されるとともに、第2接続部102が第2壁部20における第2平坦部56に載置されるようになっている。それゆえ、各第2ベース96は、第2接続部102に対して傾斜して接続されており、各第2ベース96における第2接続部102に対する傾斜角度は、各第2傾斜側縁部54における第2平坦部56に対する傾斜角度(θ3)と等しいか、ある程度近い大きさとされている。
【0068】
この第2接続部102の前後方向中間部分には、第2接続部102を厚さ方向(上下方向)で貫通する略矩形の貫通窓104が形成されているとともに、貫通窓104の内周面における前方部分には後方に突出する第2ロック爪106が設けられている。第2ロック爪106は切り起こしによって形成されており、第2ロック爪106は後方になるにつれて次第に下方へと傾斜して突出している。第2ロック爪106の周囲の三方(左右方向両側および後方)には空間(隙間)が設けられており、第2ロック爪106が上下方向で弾性変形可能とされている。要するに、第2組付部94と第2壁部20の対向面(第2接続部102の下面と第2平坦部56の上面)の一方に第2ロック爪106が設けられているとともに、他方に第2ロック穴62が形成されている。
【0069】
上記のような形状とされた第2組付部94を第2壁部20に組み付けるに際しては、各挿込口100に対して第2壁部20の後端を挿し込んで、第2壁部20に対して第2組付部94を前方へスライド変位させる。これにより、第2ロック爪106に対して第2平坦部56の後端部が前方から当接して、第2ロック爪106を上方へ弾性変形させ、この結果、第2組付部94のさらなる前方へのスライド変位が許容される。そして、第2ロック爪106が第2平坦部56における第2ロック穴62に至ることで第2ロック爪106が弾性的に復元変形(弾性復帰)して、第2組付部94が第2壁部20に対して離脱不能とされた状態で組み付けられるようになっている。
【0070】
第1および第2組付部74,94が第2壁部20に組み付けられた状態(雄端子12の挿入前の状態)では、図6に示されるように、第1および第2ばね部86,88の突出先端部分(前方部分)が、それぞれ各第2傾斜側縁部54と各弾性接触片28との対向間に挿し入れられている。実施形態1では、これら第1および第2ばね部86,88の突出端部(湾曲部90)が各弾性接触片28の突出端部(屈曲部70)に対して、後方且つ上方から当接している。なお、押圧ばね30(第1および第2ばね部86,88)の突出端部は、各弾性接触片28の突出端部に対してゼロタッチで当接していてもよいし、各弾性接触片28の突出端部を第1壁部18側(下側)に押圧していてもよい。また、この状態において、第1および第2ばね部86,88の各前端部92は、各第2傾斜側縁部54に設けられた貫通孔58の下方に位置している。
【0071】
また、上記のように第2組付部94が第2壁部20に組み付けられることで、第2組付部94における各第2連結板部98が、第2壁部20の後端に設けられた後方収容凹部41bに収容されるようになっている。これにより、本体部22からの第2組付部94の後方への突出が防止されるか、突出量が小さく抑制されている。
【0072】
第2組付部94の材質は押圧ばね30(第1および第2ばね部86,88)がばね性を有していれば限定されるものではなく、例えば金属製や合成樹脂製であってもよいが、実施形態1では、上記のような形状とされた第2組付部94が、1枚の金属平板をプレス加工等することにより形成されている。第2組付部94が1枚の金属平板により形成される場合、ばね性を有する金属が採用可能であり、例えばステンレス鋼や銅合金等が採用され得る。第2組付部94を構成する金属平板は、例えば第1組付部74を構成する金属平板と略等しい板厚とすることができる。
【0073】
そして、第1および第2組付部74,94が第2壁部20に組み付けられた状態において、各弾性接触片28の下面に設けられた各第2接点26が、第1壁部18の各第1傾斜側縁部44上に設けられた各第1接点24とは、雄端子12の圧入方向となる前後方向で異なる位置に設けられている。実施形態1では、各第2接点26が、各第1接点24の前後方向中間部分に位置している。なお、図3にも示されるように、各第2接点26は、各第1接点24よりも左右方向内方に設けられている。すなわち、これら各第1接点24および第2接点26は、雄端子12の圧入方向の投影(要するに、横断面を示す図3状態)において、雄端子12における各傾斜部32の板厚方向で相互に対向している。
【0074】
また、第1および第2組付部74,94が第2壁部20に組み付けられた状態において、雄端子12が雄端子挿入隙間16に圧入される前では、図6に示されるように、各第1接点24の頂部と第2接点26との対向方向の離隔距離はB(図6参照)である。この第1接点24の頂部と第2接点26の頂部との離隔距離Bは、雄端子12の板厚寸法Aよりも小さくされており、これにより雄端子挿入隙間16に対して雄端子12が圧入され得る。
【0075】
<雌端子10の組立て>
以下、雌端子10を組み立てる方法の具体的な一例を説明する。なお、雌端子10の組立方法は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0076】
先ず、1枚の金属平板64を前述の形状に折り曲げて、本体部22を形成する。同様に、それぞれ1枚の金属平板を前述の形状に折り曲げて、第1組付部74および第2組付部94を形成する。その後、図7に示されるように、雄端子挿入隙間16を構成する第2壁部20の前方に第1組付部74を対向配置して、第1組付部74と第2壁部20とを相互に接近させる。これにより、第1組付部74における各挿込口79に第2壁部20の前端を挿し込んで、各第1ベース76を各第2傾斜側縁部54の上面に載置する。そして、第1組付部74を本体部22に対して後方に変位させることで第1ロック爪84を第2平坦部56に当接させて、第1ロック爪84を上方に弾性変形させる。第1ロック穴60に至った第1ロック爪84は弾性的に復元変形(弾性復帰)して、第1ロック穴60に嵌合する。また、第1組付部74における各第1連結板部78を第2壁部20における前方収容凹部41aに収容して、各第1連結板部78と第2壁部20における各前端面20aとを相互に重ね合わせる。その後、各第1連結板部78と各前端面20aとをレーザー溶接により溶接して、第1組付部74を本体部22に固定する。
【0077】
さらに、雄端子挿入隙間16を構成する第2壁部20の後方に第2組付部94を対向配置して、第2組付部94と第2壁部20とを相互に接近させる。これにより、第2組付部94における各挿込口100に第2壁部20の後端を挿し込んで、各第2ベース96を各第2傾斜側縁部54の上面に載置する。そして、第2組付部94を本体部22に対して前方に変位させることで第2ロック爪106を第2平坦部56に当接させて、第2ロック爪106を上方に弾性変形させる。第2ロック穴62に至った第2ロック爪106は弾性的に復元変形(弾性復帰)して、第2ロック穴62に嵌合する。また、第2組付部94における各第2連結板部98を第2壁部20における後方収容凹部41bに収容する。これにより、第2組付部94を本体部22に固定して、雌端子10が完成する。
【0078】
雌端子10の完成状態では、前述のように、各弾性接触片28の突出先端部分に対して後方且つ上方から第1および第2ばね部86,88の突出先端部分が当接しており、各第1接点24と各第2接点26との離隔距離がBとされている。
【0079】
<端子ユニット14の組立て>
以下、雌端子10に対して雄端子12を挿入して、雌端子10と雄端子12とが接続された状態の端子ユニット14を組み立てる方法の具体的な一例を説明する。
【0080】
先ず、上述のように組み立てられた雌端子10と雄端子12とを、図5,6に示されるように前後方向で対向させる。その後、雄端子12の先端部分を、雄端子挿入口38を通じて雄端子挿入隙間16に挿し入れて、各第1接点24および各第2接点26の対向面間に圧入する。これにより、図3,4に示されるように、雄端子12における各傾斜部32の上下両面に対して各第1および第2接点24,26が当接して、雄端子12は、各第1接点24と各第2接点26との離隔距離が雄端子12における各傾斜部32の厚さ寸法となるAまで、各第1接点24と各第2接点26との間を押し広げる。具体的には、各傾斜部32の上面により各弾性接触片28および押圧ばね30(第1および第2ばね部86,88)を上方に弾性変形させる。この結果、図1から図4に示されるように、雄端子12における先端部分の雄端子挿入隙間16への圧入が許容される。
【0081】
そして、各弾性接触片28および押圧ばね30(第1および第2ばね部86,88)の弾性的な復元力によって、各第2接点26が各傾斜部32の上面に対して圧接されるとともに、各雄端子12における先端部分が下方へ押圧されて、各第1接点24が各傾斜部32の下面に対して圧接される。これにより、雄端子12と雌端子10とが電気的に導通状態とされて、雌端子10と雄端子12とが接続された状態の端子ユニット14が完成する。なお、図4に示されるように、上方へ弾性変形した第1および第2ばね部86,88の各前端部92は、各第2傾斜側縁部54における貫通孔58へ入り込むようになっており、各前端部92と各第2傾斜側縁部54とが当接することに伴って第1および第2ばね部86,88の変形が阻害されることが回避される。
【0082】
すなわち、雌端子10に対する雄端子12の挿入状態では、各弾性接触片28だけでなく、第1および第2ばね部86,88も上方に押圧されており、各弾性接触片28の弾性的な復元力だけでなく、第1および第2ばね部86,88の弾性的な復元力によっても、各第1接点24および各第2接点26が雄端子12における各傾斜部32の上下両面に圧接されるようになっている。換言すれば、雄端子12を雄端子挿入隙間16へ圧入した状態において、上方に弾性変形した第1および第2ばね部86,88の弾性的な復元力が下方への付勢力として各弾性接触片28に及ぼされる。そして、各弾性接触片28の第1壁部18側(下側)への弾性復帰力および押圧ばね30(第1および第2ばね部86,88)の付勢力により各弾性接触片28の各第2接点26が雄端子12へと圧接され、さらに雄端子12を各第1接点24に押圧するようになっている。
【0083】
実施形態1の雌端子10によれば、雄端子12の圧入時において弾性変形可能な弾性接触片28を、雌端子10における本体部22とは別体として第2壁部20に組み付けて、雄端子挿入隙間16の内方に突出させる構成とした。また、ばね性を有する弾性接触片28は、本体部22よりも薄肉であり、雄端子12の圧入時において容易に弾性変形することができる。これにより、雌端子10の本体部22がばね性を有する必要はなく、より厚肉とすることができるとともに、導電性に優れる材質を選択することができる。加えて、弾性接触片28の後方且つ上方には押圧ばね30を配置して、雄端子12の圧入時には、弾性接触片28および押圧ばね30が上方へ弾性変形するとともに、この弾性変形に対する弾性的な復元力により、雄端子12が下方へと押圧されて、各第1および第2接点24,26に対してより確実に圧接されるようにした。この結果、雄端子12と雌端子10の導通状態が安定して維持されて、より大電流に対応した雌端子10を提供することができる。
【0084】
特に、雌端子10の本体部22において雄端子挿入隙間16を構成する部分が比較的厚肉とされるとともに、雄端子挿入隙間16を構成する部分が略筒状であることから、雄端子挿入隙間16に対して雄端子12が圧入される場合にも、雌端子10の本体部22が略変形することがない。それゆえ、雌端子10を保持するハウジングを設計する際に本体部22の変形を考慮する必要がなく、ハウジングの形状が簡素なものとされるとともに、ハウジングの小型化も図られる。
【0085】
特に、雄端子12は板幅方向(左右方向)の両側に一対の傾斜部32,32を有しているとともに、第1壁部18および第2壁部20は、それに対応して、それぞれ一対の第1傾斜側縁部44,44および一対の第2傾斜側縁部54,54を有している。そして、各第1傾斜側縁部44は、雄端子挿入隙間16に圧入された雄端子12に接触する各第1接点24を有しているとともに、各第2傾斜側縁部54は、雄端子挿入隙間16に圧入された雄端子12に接触する各第2接点26を有している。これら各第1接点24と各第2接点26とは、それぞれ各傾斜部32における板厚方向に突出して、各傾斜部32を挟んで相互に対向している。
【0086】
すなわち、各第1接点24による押圧力F1(図3参照)と各第2接点26による押圧力F2(図3参照)とが何れも、各傾斜部32における板厚方向と同方向に作用することから、各第1および第2接点24,26により各傾斜部32が安定して挟持されて、雄端子12と雌端子10とをより確実に導通させることができる。特に、実施形態1では、各第1接点24による押圧力F1の作用する方向と各第2接点26による押圧力F2の作用する方向とは、各傾斜部32を挟んで各傾斜部32の板厚方向で対向しており、各第1および第2接点24,26によって、より確実に各傾斜部32を挟持することができる。
【0087】
また、図3に示されるように、各第1接点24による押圧力F1は、上方への分力F1aおよび左右方向内方への分力F1bとして作用するとともに、各第2接点26による押圧力F2は、下方への分力F2aおよび左右方向外方への分力F2bとして作用する。ここで、例えば雄端子12に対して左右方向において一方から他方へ(例えば右方から左方)向かう外力が及ぼされた場合にも、反対方向の分力(例えば左方から右方へ向かう分力F2b)や左右方向内方への分力F1bにより入力された外力に伴う雄端子12の変位が抑制される。この結果、雌端子10に対する雄端子12の変位が抑制されて、雄端子12と雌端子10との導通状態を安定して維持することができる。
【0088】
そして、上記押圧力F2を付与するばね部材として、各弾性接触片28と第1および第2ばね部86,88が設けられており、各弾性接触片28と第1および第2ばね部86,88が左右両側に配置されている。これにより、左方における押圧力F2は左方の弾性接触片28と第1ばね部86の弾性的な復元力により得ることができるとともに、右方における押圧力F2は右方の弾性接触片28と第2ばね部88の弾性的な復元力により得ることができる。それゆえ、異なる方向に作用する押圧力F2を左右各別に得ることができて、雄端子12の変位に対する追従性の向上が図られる。
【0089】
さらに、図4に示されるように、各第1接点24と各第2接点26とは前後方向で形成位置が異ならされており、雄端子12は、前後方向の異なる3箇所において各第1接点24と各第2接点26により挟持されるようになっている。これにより、雄端子挿入隙間16内において雄端子12が上下方向で揺動変位することが効果的に防止され得る。
【0090】
第1組付部74は、第1ベース76と第1連結板部78とを有しており、第1連結板部78における下側縁部において、弾性接触片28が片持ち梁状に連結されている。特に、実施形態1では、弾性接触片28が左右両側に設けられており、第1組付部74は、同様に左右両側に設けられた各第1連結板部78および各第1ベース76を第1接続部80で接続した構造とされている。これにより、弾性接触片28が左右両側に設けられる場合にも第1組付部74の構造を簡単なものとすることができて、第1組付部74の小型化も図られる。
【0091】
同様に、第2組付部94は、第2ベース96と第2連結板部98とを有しており、第2連結板部98における下側縁部において押圧ばね30が片持ち梁状に連結されている。特に、実施形態1では、押圧ばね30が左右両側の第1ばね部86と第2ばね部88とを有しており、第2組付部94は、同様に左右両側に設けられた各第2連結板部98および各第2ベース96を第2接続部102で接続した構造とされている。これにより、左右両側に第1ばね部86と第2ばね部88とが設けられる場合にも第2組付部94の構造を簡単なものとすることができて、第2組付部94の小型化も図られる。
【0092】
そして、これら第1組付部74と第2組付部94とはそれぞれ第1ロック爪84および第2ロック爪106を備えており、それぞれ第2壁部20に設けられた第1ロック穴60および第2ロック穴62に対して嵌合することで、第1および第2組付部74,94が本体部22に対して組み付けられるようになっている。これにより、第1および第2組付部74,94を本体部22に対して容易に組み付けることができて、ひいては各弾性接触片28と第1および第2ばね部86,88とを雄端子挿入隙間16の内部に容易に設けることができる。
【0093】
特に、第1組付部74における各第1連結板部78は、第2壁部20における前端面20aに重ね合わされて、これら各第1連結板部78と前端面20aとが溶接されるようになっている。これにより、第1組付部74における本体部22からの脱落をより効果的に防止できるだけでなく、第1組付部74と本体部22との間の接触抵抗を低減することができて、より大電流化に適した雌端子10を提供することができる。また、実施形態1のように本体部22が1枚の金属平板64によるプレス成形品である場合には、相互に突き当たる部分を第2壁部20に設けることで、第1組付部74の溶接によりプレス成形された本体部22の開き防止の効果を発揮することもできる。
【0094】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0095】
(1)前記実施形態では、雄端子12が一対の傾斜部32,32を有しているとともに、雌端子10における第1壁部18および第2壁部20がそれぞれ一対の第1傾斜側縁部44,44と一対の第2傾斜側縁部54,54とを有していたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、雄端子は平タブ状であってもよく、その場合、雌端子において雄端子挿入隙間を構成する部分は略矩形筒形状とされてもよい。同様に、雄端子はピン状であってもよく、その場合、雌端子において雄端子挿入隙間を構成する部分は略円筒形状とされてもよい。なお、傾斜部や第1傾斜側縁部、第2傾斜側縁部が設けられる場合でも、傾斜角度θ1や傾斜角度θ2、傾斜角度θ3の大きさは相互に異ならされてもよい。また、中央平坦部や第1平坦部、第2平坦部は必須なものではなく、両側の傾斜部や第1傾斜側縁部、第2傾斜側縁部は相互に直接接続されてもよい。
【0096】
(2)前記実施形態では、本体部22、第1組付部74、第2組付部94のそれぞれが1枚の金属平板にプレス加工等を施すことにより形成されていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、本体部、第1組付部、第2組付部の少なくとも1つは、例えば複数の部材から構成されて、それらが溶接されることによって形成されてもよい。なお、本体部が金属平板をプレス加工することにより形成される場合でも、相互の突き当たり部分は第2壁部に設けられる必要はなく、本体部における任意の場所に設定され得る。
【0097】
(3)前記実施形態では、第1組付部74が本体部22に対して溶接と第1ロック穴60および第1ロック爪84の嵌合とにより組み付けられていたが、溶接と嵌合との一方により組み付けられてもよく、例えば第1ロック穴や第1ロック爪は、本開示に係る雌端子において必須なものではない。同様に、第2組付部は本体部に対して溶接により固定されてもよく、第2ロック穴や第2ロック爪は、本開示に係る雌端子において必須なものではない。なお、第1ロック穴と第1ロック爪とを設ける場合、前記実施形態とは反対に設けられてもよく、すなわち第1組付部における第1接続部に第1ロック穴が設けられて、第2壁部における第2平坦部に第1ロック爪が設けられてもよい。同様に、第2ロック穴と第2ロック爪は前記実施形態と反対に設けられてもよく、第2組付部における第2接続部に第2ロック穴が設けられて、第2壁部における第2平坦部に第2ロック爪が設けられてもよい。
【0098】
(4)前記実施形態では、押圧ばね30(第1および第2ばね部86,88)が金属平板を折り曲げることで形成される板ばねによって構成されていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、押圧ばねは、ゴム等の弾性体やコイルスプリングによって構成されてもよい。また、前記実施形態では、雄端子12の挿入前の初期状態において押圧ばね30(第1および第2ばね部86,88)の突出先端部分(湾曲部90)が各弾性接触片28の突出先端部分(屈曲部70)に対して後方且つ上方から当接していたが、初期状態において押圧ばねの突出先端部分と弾性接触片の突出先端部分とは僅かに離隔していてもよい。すなわち、押圧ばねは、雄端子挿入隙間の内部において弾性接触片の後方且つ上方に配置されて、雄端子の圧入時に弾性接触片と共に弾性変形して、その弾性的な復元力を、弾性接触片と共に雄端子に及ぼすようになっていればよい。
【0099】
(5)第1接点と第2接点の数や形状等は、前記実施形態に記載の態様に限定されるものではない。例えば、第1接点や第2接点は何れも半球状であってもよいし、雄端子の圧入方向で1つまたは複数個が設けられてもよい。また、第1接点と第2接点の数や形状等は相互に同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 雌端子
12 雄端子
14 端子ユニット
16 雄端子挿入隙間
18 第1壁部
18a 前端面
20 第2壁部
20a 前端面
20b 後端面
22 本体部
24 第1接点
26 第2接点
28 弾性接触片
30 押圧ばね
32 傾斜部
34 中央平坦部
36 貫通孔
38 雄端子挿入口
40 後方開口部
41a 前方収容凹部
41b 後方収容凹部
42 側壁部
42a 前端面
42b 後端面
43 接続部
44 第1傾斜側縁部
46 第1平坦部
47 誘い込み面
48 突部
50 凹部
52 凹溝部
54 第2傾斜側縁部
56 第2平坦部
56a 左側第2平坦部
56b 右側第2平坦部
58 貫通孔
60 第1ロック穴
62 第2ロック穴
64 金属平板
66 左側部分
68 右側部分
70 屈曲部
72 凹部
74 第1組付部
76 第1ベース
78 第1連結板部
79 挿込口
80 第1接続部
82 貫通窓
84 第1ロック爪
86 第1ばね部
88 第2ばね部
90 湾曲部
92 前端部
94 第2組付部
96 第2ベース
98 第2連結板部
100 挿込口
102 第2接続部
104 貫通窓
106 第2ロック爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8