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  • 特開-食害防止方法 図1
  • 特開-食害防止方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113910
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】食害防止方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/00 20110101AFI20240816BHJP
【FI】
A01M29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019184
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】520307067
【氏名又は名称】株式会社NEWGREEN
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】塩路 義行
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA06
2B121DA70
2B121EA26
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】簡便な方法で貝類による食害を防止する食害防止方法を提供すること。
【解決手段】貝類による食害の防止方法は、田植え後から2週間以内に、稲の根に触れることなく、稲の葉を揺らす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝類による食害の防止方法であって、
田植え後から2週間以内に、稲の根に触れることなく、稲の葉を揺らす、
貝類による食害を防止する食害防止方法。
【請求項2】
田植え後10日以内に少なくとも1回、稲の葉を揺らす、
請求項1に記載の食害防止方法。
【請求項3】
接触部材が稲に触れることによって稲の葉を揺らし、
接触部材が稲に触れる位置は、稲の、水面より上の位置である、
請求項1または2に記載の食害防止方法。
【請求項4】
接触部材が稲に触れる位置は、稲の、水面から水底の方向に1.5cm以内の位置である、
請求項1または2に記載の食害防止方法。
【請求項5】
接触部材が稲に触れる位置は、稲の、水底から水面の方向に1.5cm以上離れた位置である、
請求項1または2に記載の食害防止方法。
【請求項6】
前記接触部材は、水田の水に浮いた状態で前記水田内を移動する移動装置に備えられている、
請求項3に記載の食害防止方法。
【請求項7】
前記移動装置は、自働で移動する、
請求項6に記載の食害防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田における貝類による食害を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水田において、ジャンボタニシなどの貝類が稲を食することによる食害が問題になっている。特許文献1には、水田に金属線を張り巡らし、貝類に電気的な刺激を与えることによって食害を抑制する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-85187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の金属線を水田に張り巡らす方法には、金属線を張り巡らす作業が煩雑である、および方法を実施するための費用が高い、との課題がある。そこで、本発明は、簡便な方法で貝類による食害を防止する食害防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の貝類による食害の防止方法は、田植え後から2週間以内に、稲の根に触れることなく、稲の葉を揺らす。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡便な方法で貝類による食害を防止する食害防止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】自働航行装置の斜視図である。
図2】他の自働航行装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。本実施形態の食害防止方法は、田植え後の稲が貝類に食されることを抑制する。本実施形態の食害防止方法は、稲の葉を揺らす工程を含む。
【0009】
葉を揺らす程度は、特に限定されない。葉を揺らす好ましい程度の例は、葉の揺れによって、水田の水の表面にさざ波が生じる程度である。葉を揺らす好ましい程度の他の例は、水中にある稲の周りに水流が生じる程度である。水田の水のさざ波、および稲の周りの水流は、貝類が稲に近づくことを抑制する。
【0010】
葉を揺らす好ましい程度の他の例は、稲が痛まない範囲内で稲が倒れる程度である。稲が倒れることは、稲に付着している貝類を稲から離すことを可能にする。このようにして、稲の葉を揺らすことは、貝類が稲を食することを抑制する。
【0011】
さらに、後に説明する自働航行装置10が、稲に触れ、稲及び葉が揺れることで貝類を落とすことができる。また、水流によりもたらされる泥幕がゆっくり沈降することでフワトロ層が形成され、それによって貝類が稲に近づいていきにくい土壌をえることができる。これらによっても、貝類が稲を食することを抑制することができる。なお、貝類の例は、ジャンボタニシである。
【0012】
稲を揺らす好ましい時期は、田植え後から2週間以内である。稲を揺らすより好ましい時期は、田植え後から10日以内である。
【0013】
稲を揺らす時期を田植え後2週間以内または10日以内にすることは、貝類が稲を食することを効果的に抑制する。田植え後から10日または2週間程度経過すると、稲は成長し、稲の茎はある程度硬くなる。この時期の茎の硬さの程度は、貝類が稲を食するのには硬すぎる程度である。稲の茎が硬くなるため、田植え後から10日または2週間程度経過した後は、貝類に食されることによる稲の食害は、食害が問題になる程度までは発生しない。貝類にとって稲が魅力的な食事の対象である期間は、田植え後から10日または2週間程度以内の期間である。そのため、稲を揺らす時期を2週間以内または10日以内などにすることは、貝類が稲を食することを効果的に抑制する。
【0014】
田植え後2週間以内または10日以内の時期は、他の食害防止方法が実施しにくい期間でもある。食害防止方法の他の例は、水田から水を抜くことである。水が抜かれた水田では、貝類の移動は妨げられる。移動が妨げられることによって、貝類が稲を食することは抑制される。
【0015】
一方、水田から水を抜くことは、雑草を増加させる。雑草を除去することは容易ではない。そのため、水田から水を抜くことによって食害を防止する方法は、課題を抱えている。以下、雑草を除去することが容易でないことを説明する。
【0016】
雑草を除去する方法の例は、走行型機械除草機を用いて雑草を除去する方法である。走行型機械除草機は、水田に浮遊するのではなく、地面にふれながら走行する除草機である。走行型機械除草機は、株間除草機、チェーン除草機、人力ブラシ除草機、および手押し機械除草機などを含む。しかし、田植え後2週間以内または10日以内の時期は、走行型機械除草機の使用には適さない時期である。走行型機械除草機の作動態様は、除草刃が回転し、除草刃が雑草の根っこを土の中からかき出すような態様である。走行型機械除草機を使用すると、除草刃が稲に触れる場合がある。一方、田植え後2週間以内または10日以内の時期は、稲が除草刃の接触によってでも傷つかない程度の硬さまでは成長していない時期である。そのため、走行型機械除草機の使用は、稲を傷つける場合がある。また、走行型機械除草機の使用は、稲の土への埋まり具合を不安定にする場合がある。さらに、走行型機械除草機の使用は、土中に埋まっていることで発芽しない雑草の種を発芽する程度に掘り起してしまう場合がある。以上の理由で、田植え後2週間以内などの時期における走行型機械除草機の使用は、好ましくない。
【0017】
田植え後2週間以内などの時期における回転式レーキの使用も、好ましくない。好ましくない理由は、走行型機械除草機が好ましくない理由と同じである。
【0018】
雑草を除去する方法の他の例は、人手によって雑草を抜く方法である。人手によって雑草を抜く方法は、極めて負荷の高い手作業を要求する。手引きタイプの除草機などを用いる場合であっても、人手によって雑草を抜く方法の負荷は、大きくは低減しない。人手によって雑草を除去することには課題がある。
【0019】
雑草を除去する方法の他の例は、水田に除草剤を散布する方法である。昨今、有機栽培、自然栽培および特別栽培などが志向されている。除草剤を散布することは、有機栽培、自然栽培および特別栽培などの栽培基準から逸脱する行為である。水田に除草剤を散布する方法は、採用し得ない方法である場合が多い。
【0020】
以上のように、特に有機栽培などを志向している場合において、田植え後2週間以内などの時期に雑草を除去することは、容易ではない。そのため、水田から水を抜くことによって食害を防止する方法には課題がある。
【0021】
以上のように、これまでの食害対策やり方は、雑草対策と食害対策の二律背反となってしまう環境を発生させ、且つ、除草に要する負荷と雑草による稲のダメージは大きい時期となり、食害対策としては課題を抱えたままである。
【0022】
本実施形態の食害防止方法は、田植え後2週間以内などの時期において、言い換えると田植え後直後において、ジャンボタニシなどの貝類による食害への対策と、雑草を発生させないこととの両立を可能にする。これは、本実施形態の食害防止方法は、水田から水を抜くことで雑草を増加させること、および除草機を使用することで土中の雑草の種を掘り起してしまうこと、がないためである。
【0023】
また、本実施形態による食害防止方法は、稲の葉を揺らす程度(強さ、早さ、頻度など)など、稲の葉の揺らす態様によっては、貝類による食害を防止することに加えて、稲を傷つけることなく且つ土中の雑草の種を掘り起こすことなく、水中の水底にある土を巻き上げ、水中に泥幕をはることで水中への日光を斜光し、またフワトロな表面土壌を創りだすなどをすることにより、雑草の発芽を抑制し、また、発芽している雑草が水流により簡単に引き抜かれる等することで、除草・抑草効果を有するためである。
【0024】
稲を揺らす回数は、特には限定されない。稲は、田植え直後から頻繁に揺らされることが好ましい。
【0025】
稲の葉は、稲の根に触れられることなく揺らされる。稲の葉を揺らす際に稲の根に触れることは、稲の土への埋まり具合を不安定にする。特に田植え後2週間以内などの時期においては、稲の根に触れることは、稲の土への埋まり具合を不安定にしやすい。そのため、稲の葉は、稲における根以外の位置に触れることによって揺らされる。
【0026】
なお、根に触れずに、又は根に影響を与えずに稲に触れることは、物が接触することに限定されない。例えば、風を稲に吹き付けることは、稲に触れることに含まれる。
【0027】
稲に触れる好ましい位置は、水面より上の位置である。水面より上の位置は、稲の根から離れた位置である。稲に触れる位置を水面より上の位置にすることは、稲に触れた際に稲の根に加わる力を低減すること可能にする。
【0028】
稲に触れる位置は、水面から水底の方向に1.5cm以内の位置にすることができる。稲における水面から水底の方向に1.5cm以内の位置に触れることは、水田の水のさざ波、または稲の周りの水流を効率的に発生させることを可能にする。
【0029】
稲に触れる位置は、水底から水面の方向に1.5cm以上離れた位置とすることができる。水底から水面の方向に1.5cm以上離れた位置に触れることは、稲に触れた際に稲の根に加わる力を許容範囲以内にすることを可能にする。
【0030】
稲に触れる手段を説明する。稲に触れる手段は、特には限定されない。稲に触れる手段の種類は、2つ以上ある。
【0031】
水田内を移動する装置を、水田移動装置とする。稲に触れる部材を、接触部材とする。水田移動装置は、接触部材を備えることができる。稲に触れる手段の例は、水田移動装置に水田内を移動させることである。水田移動装置が水田内を移動することに伴って、接触部材が稲に触れる。接触部材が稲に触れることによって、稲の葉が揺らされる。
【0032】
図1は、水田移動装置の例を示す図である。水田移動装置は、水田100に配置されている。水田には、稲110が植えられている。植えられた稲110の列を条という。条と条の間を条間120という。
【0033】
水田移動装置の移動の仕方には、2つの仕方がある。1つの仕方は、稲と条間とを区別せずに、水田を移動する仕方である。他の1つの仕方は、条間を移動する仕方である。
【0034】
図1に示す水田移動装置は、稲と条間とを区別せず移動する水田移動装置である。図1に示す水田移動装置は、水田の水に浮いた状態で、水田内を移動することができる。水に浮いた状態で移動することを、航行とする。図1に示す水田移動装置を自働航行装置10という。
【0035】
図1は、自働航行装置10の斜視図である。自働航行装置10は、フレーム20、フロート30、制御部40、太陽電池パネル50およびスクリュー60を備える。自働航行装置10は、フロート30の浮力によって水田100の水に浮くことができる。
【0036】
自働航行装置10は、スクリュー60が発生させる推進力によって、水田100内を航行する。スクリュー60を回転させるための電力は、太陽電池パネル50から供給される。自働航行装置10は、あらかじめ設定された航行経路に則って水田100内を航行する。航行の経路は、特には限定されない。航行の好ましい経路は、1回経路を航行することによって、水田100の稲が、すべて1回は揺らされる経路である。
【0037】
自働航行装置10においては、フロート30が接触部材12として機能する。図1の矢印Yは、自働航行装置10の航行方向を示す。図1の矢印Xは、自働航行装置10の幅方向を示す。幅方向Xは、航行方向Yに対して直交する方向である。フロート30の幅方向Xの長さは、条間の長さよりも長い。そのため、自働航行装置10が条の延びる方向と平行な方向に航行した場合、フロート30は、稲に触れることができる。
【0038】
フロート30は、水田の水に浮いている。そのため、フロート30は、稲における水面より上の位置で、稲に触れる。フロート30は、稲の根には触れない。このように、自働航行装置10は、稲の根に触れることなく、稲に触れることができる。そして、自働航行装置10は、稲の根に触れることなく、稲を揺らすことができる。
【0039】
自働航行装置10の主な構成部品を説明する。
(フレーム)
フレーム20は、自働航行装置10の上面視において長方形型の枠組みである。フレーム20は、複数本の管で形成されている。フレーム20は、自働航行装置10の骨格をなす部分である。自働航行装置10の各部品の大半は、フレーム20に取り付けられている。
【0040】
(フロート)
フロート30は、自働航行装置10を水に浮かせるための浮きである。フロート30は、フレーム20の外周に配置されている。フロート30は、水より比重の軽い樹脂成形体を含んでいる。フロート30は、接触部材12として機能する。
【0041】
(制御部)
制御部40は、自働航行装置10の動作を制御する部分である。制御部40は、フレーム20に取り付けられている。制御部40は、駆動部70を介してスクリュー60の回転を制御する。また制御部40は、GPS受信部80からGPSの位置情報を取得する。制御部40は、取得した位置情報と航行経路とを比較して、スクリュー60の出力を制御することができる。
【0042】
(太陽電池パネル)
太陽電池パネル50は、太陽電池セルが配置された板状の部品である。太陽電池パネル50は、フレーム20に取り付けられている。自働航行装置10は、太陽電池パネル50を介して取得された太陽エネルギーを用いて航行する。
【0043】
(スクリュー)
スクリュー60は、自働航行装置10を航行させるための水流を発生させる部分である。スクリュー60は、少なくとも、2つ備えられている。具体的には、スクリュー60は、長方形型のフレーム20の枠組みにおける、対向する2辺に1つずつ、合計2つ備えられている。図1に示すように、スクリュー60の一方を第1スクリュー601とし、スクリュー60の他方を第2スクリュー602とする。スクリュー60には、それぞれ、駆動部70が接続されている。スクリュー60の回転は、駆動部70を介して制御部40によって制御されている。
【0044】
(GPS受信部)
GPS受信部80は、GPSの位置情報を取得する部分である。制御部40は、GPS受信部80が受信した位置情報によって、自働航行装置10の位置を把握することができる。自働航行装置10が航行する航行経路は、GPSの位置情報によって規定されている。制御部40は、自働航行装置10の位置と、航行経路とを比較する。それにより、制御部40は、自働航行装置10の航行が航行経路に則っているか否かを判定することができる。
【0045】
(自働航行装置の作用)
自働航行装置10は、田植え後から2週間以内などの田植え直後に水田を自働航行する。自働航行装置10が航行することによって、貝類による稲の食害を抑制することができる。
【0046】
自働航行装置10の形態は、図1に示す形態には限定されない。図2は、他の自働航行装置10を示す図である。自働航行装置10は、船型にすることができる。図2に示す自働航行装置10は、船型に形成されている。図2に示す自働航行装置10は、図1に示した自働航行装置10と同様に、制御部および駆動部などを備えている。図2に示す自働航行装置10は、図1に示した自働航行装置10と同様に、自働航行することができる。
【0047】
図2に示す自働航行装置10においては、接触部材12は、甲板16に取り付けられている。接触部材12は、支柱部材12aおよび幅部材12bを含む。支柱部材12aは、幅部材12bを支える部材である。支柱部材12aの一端は、甲板16に取り付けられている。支柱部材12aの他端は、幅部材12bに取り付けられている。このように、支柱部材12aは、甲板16と幅部材12bとを接続する。
【0048】
幅部材12bは、支柱部材12aに取り付けられている。幅部材12bは、棒状の部材である。幅部材12bは、自働航行装置10の幅方向Xに対して平行な方向にその長手方向が向くように配置されている。幅部材12bは、丸棒で構成されている。丸棒は、棒の長手方向に垂直な面での断面が丸形状の棒である。
【0049】
図2のD1は、自働航行装置10の幅方向Xの長さを示す。図2のD2は、幅部材12bの幅方向Xの長さを示す。幅部材12bの幅方向Xの長さD2は、自働航行装置10の幅方向Xの長さD1よりも長い。長さD2を所望の長さにすることによって、幅部材12bを所望の範囲の稲110に対して触れさせることができる。
【0050】
図2の矢印Zは、自働航行装置10の高さ方向を示す。支柱部材12aの高さ方向Zの長さを所望の長さにすることによって、幅部材12bを、稲110の高さ方向Zの所望の位置に対して触れさせることができる。
【0051】
幅部材12bは、丸棒であることに限定されない。幅部材12bは、他の形状の棒状の部品であってよい。幅部材12bは、棒状の部品であることに限定されない。幅部材12bは、ワイヤが所望の幅で張られているような部品でもよい。幅部材12bが所望の範囲の稲110に対して触れることができれば、幅部材12bの構成は限定されない。
【0052】
幅部材12bは、自働航行装置10の任意の位置に配置されてよい。幅部材12bは船室の屋根に配置されてもよい。
【0053】
図3のD3は、条間120の幅を示す。自働航行装置10の幅方向Xの長さD1は、条間120の幅D3以下であってもよい。自働航行装置10の幅方向Xの長さD1が条間120の幅D3以下である場合、自働航行装置10は、稲110と条間120とを区別して条間120のみを航行できる。自働航行装置10を条間120のみに航行させることで、自働航行装置10における接触部材12以外の部分が稲110に触れることを抑制できる。そのため、稲110に不要な負担がかかることを抑制できる。
【0054】
水田移動装置は、自働航行装置10であることに限定されない。水田移動装置は、水田の水に浮いた状態で水田内を移動するものでなくてもよい。
例えば、水田移動装置が条間を移動する装置である場合、水田移動装置は、水底に接触していてもよい。例えば、水田移動装置の駆動輪または無限軌道などが水底に接していてもよい。駆動輪または無限軌道の回転が水底に伝わることで、水田移動装置が移動するようにしてもよい。
【0055】
貝類による食害の防止方法は、人によって実施されてもよい。人が実施する態様として、以下が考えらえる。水田100の形状は、長方形であるとする。長方形の4辺のうち、対向する2辺にそれぞれ人が配置される。すなわち、水田100の両側にそれぞれ人が配置される。二人の人は、一本のワイヤまたはロープなどを持つ。二人のうちの一人がワイヤなどの一端を持つ。もう一人の人がワイヤなどの他端を持つ。ワイヤなどは、水田に渡された状態で二人の人によって保持される。ワイヤなどは、ワイヤなどが稲110の所望の位置に触れるような高さに保持される。二人の人は、それぞれが配置された辺を、その一端から他端まで、ワイヤなどを保持した状態で移動する。人は、移動する際、ワイヤなどが、水田100において人が配置されていない辺と平行な状態が保たれるように移動する。これによって、ワイヤなどが稲に触れ、水田全体の稲を揺らすことができる。
【0056】
人が実施する他の態様として、以下が考えらえる。人は、条間120を、条が延びる方向に進行する。人が条間120を進行する際、人は稲に触れる。稲に触れる手段は、人の手が稲110に触れることでもよい。稲に触れる他の手段は、人が保持する棒でもよい。人は、人が保持する棒が稲110に触れるようにしながら、条間120を進行することができる。これにより、人は稲の葉を揺らすことができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。
【0058】
例えば、稲を揺らす手段は、稲に接触部材を触れさせることに限定されない。稲を揺らす手段は、稲に空気などを吹き付けることでもよい。
【0059】
(1)貝類による食害の防止方法であって、田植え後から2週間以内に、稲の根に触れることなく、稲の葉を揺らす、貝類による食害を防止する食害防止方法。
【0060】
(2)田植え後10日以内に少なくとも1回、稲の葉を揺らす、(1)に記載の食害防止方法。
【0061】
(3)接触部材が稲に触れることによって、稲の葉を揺らし、接触部材が稲に触れる位置は、稲の、水面より上の位置である、(1)または(2)に記載の食害防止方法。
【0062】
(4)接触部材が稲に触れる位置は、稲の、水面から水底の方向に1.5cm以内の位置である、(1)または(2)に記載の食害防止方法。
【0063】
(5)接触部材が稲に触れる位置は、稲の、水底から水面の方向に1.5cm以内の位置である、(1)または(2)に記載の食害防止方法。
【0064】
(6)前記接触部材は、水田の水に浮いた状態で前記水田内を移動する移動装置に備えられる、(3)から(5)のいずれか1つに記載の食害防止方法。
【0065】
(7)前記移動装置は、自働で移動する、(6)に記載の食害防止方法。
【符号の説明】
【0066】
10 自働航行装置
12 接触部材
12a 支柱部材
12b 幅部材
14 船室の屋根
16 甲板
20 フレーム
30 フロート
40 制御部
50 太陽電池パネル
60 スクリュー
70 駆動部
80 GPS受信部
100 水田
110 稲
120 条間
図1
図2