(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113930
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B65G1/137 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019213
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】西本 陽平
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522AA03
3F522BB02
3F522BB03
3F522BB06
3F522CC01
3F522CC03
3F522DD04
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE16
3F522FF02
3F522FF21
3F522FF27
3F522HH02
3F522HH04
3F522HH13
3F522HH36
3F522HH37
3F522JJ01
3F522LL27
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】設備の規模が拡大することを抑制しつつ、マルチピッキングの効率を向上させることができるピッキングシステムを提供する。
【解決手段】ピッキングシステム1は、一方向に出荷容器Sを搬送する搬送装置2と、搬送装置2による搬送経路に対して出荷容器Sが出し入れ可能に設けられ、出荷容器Sに物品Bを収容するための下流側ステーション3Dと、搬送経路に対して出荷容器Sを出し入れ可能且つ出荷容器Sを一時保管可能に設けられると共に、出荷容器Sの搬送方向において下流側ステーション3Dの上流側に設けられているバッファ装置4と、所定位置ARに到達する出荷容器Sである対象容器SOについて、バッファ装置4での一時保管の要否を判定するコントローラ8と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に容器を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による搬送経路上に設けられるか、又は、前記搬送経路に対して前記容器が出し入れ可能に設けられ、前記容器に物品を収容するためのピッキングステーションと、
前記搬送経路に対して前記容器を出し入れ可能且つ前記容器を一時保管可能に設けられると共に、前記容器の搬送方向において前記ピッキングステーションの上流側に設けられているバッファ装置と、
前記容器の搬送方向において前記バッファ装置の上流側の所定位置に到達する前記容器である対象容器について、前記バッファ装置での一時保管の要否を判定するコントローラと、を備える、ピッキングシステム。
【請求項2】
前記コントローラでは、前記対象容器の一部のみを前記バッファ装置で一時保管するように、前記保管の要否を判定する際の保管判定条件が設定されており、
前記保管判定条件は、前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器に収容すべき残りの前記物品に関する情報に基づいて設定されている、請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器に収容すべき残りの前記物品の種類の数である収容予定数を取得し、
前記収容予定数が所定値以上である場合、前記対象容器を前記バッファ装置に一時保管すると判定する、請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記ピッキングステーションは、所定数の前記容器を貯留可能且つ前記所定数の容器のそれぞれに対して前記物品を収容可能に構成されており、
前記コントローラは、
前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器を先頭として前記所定数の容器が貯留されたときに前記所定数の容器に共通して収容される前記物品の種類の有無を取得し、
前記共通して収容される前記物品の種類が無いと判定した場合、前記対象容器を前記バッファ装置に一時保管すると判定する、請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記ピッキングステーションにおいて前記容器に収容される数が多い前記物品である人気物品に関する情報を取得し、
前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器に収容される残りの前記物品に前記人気物品が含まれる場合、前記対象容器を前記バッファ装置に一時保管すると判定する、請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項6】
前記コントローラでは、前記バッファ装置で一時保管された前記容器のうち共通する種類の前記物品が収容される前記容器を連続して前記搬送装置に搬出するように、前記搬出の要否を判定する際の搬出判定条件が設定されており、
前記搬出判定条件は、前記バッファ装置で一時保管された前記容器に収容される残りの前記物品に関する情報に基づいて設定されている、請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項7】
複数の前記容器のそれぞれに収容されるべき残りの前記物品の種類の数の和をシングル搬送数とし、複数の前記容器に収容されるべき残りの前記物品の種類の数をマルチ搬送数とし、前記シングル搬送数に対する、前記シングル搬送数からマルチ搬送数を差し引いた数の割合を出庫量削減率としたとき、
前記コントローラは、前記バッファ装置に一時保管された前記容器の中から、前記出庫量削減率が所定値以上となるように複数の前記容器を抽出してグループ化し、前記グループ化された複数の前記容器を連続して前記バッファ装置から前記搬送装置に搬出させる、請求項6に記載のピッキングシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記容器が前記バッファ装置に一時保管されてから前記搬送装置に搬出されるまでの時間を、予め設定された下限値及び上限値の少なくとも一方に基づいて制御する、請求項7に記載のピッキングシステム。
【請求項9】
前記バッファ装置と前記ピッキングステーションとの間の前記搬送経路を通過する前記容器を判別する容器判別部を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、特許文献1に記載のピッキングシステムが知られている。このピッキングシステムは、作業者により容器(出荷容器)に物品が収容されるピッキングステーション(仕分け部)と、物品の収容が完了した容器がピッキングステーションから搬出される搬送装置(出荷ライン)と、を備える。ピッキングステーションにおいて、作業者は、ピッキングラインによって搬送されてくる搬送容器から物品を取り出し、ピッキングステーションにおいて容器に物品を収容する作業を行う(以下、このような作業を「ピッキング」とも称する。)。このようなピッキングにおいて、作業者は、ピッキングステーションに搬送された複数の容器のそれぞれに対し、複数の容器のそれぞれに割り付けられたオーダーで要求される種類、数量の物品を収容するピッキング手法(マルチピッキング)を採りうる。物品の収容が完了した容器は、搬出コンベアによってピッキングステーションの停止位置から搬送装置に払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチピッキングの効率を向上させる観点からは、ピッキングステーションに貯留される複数の容器のそれぞれに共通の商品が収容される頻度を増加させることが求められる。しかし、上記従来のピッキングシステムでは、複数の容器に対して共通の商品が収容されるか否かは、ピッキングステーションに搬送されてくる容器の順番に依存して決定されるため、ピッキングステーションに搬送されてくる容器の順番を入れ替える必要がある。
【0005】
このような問題に対し、容器の搬送経路におけるピッキングステーションの上流側の所定位置に対して容器を出し入れ可能且つ容器を一時保管可能なバッファ装置を設け、ピッキングステーションに搬送される容器の順番を調整することが考えられる。しかし、所定位置に到達した容器の全てをバッファ装置に一時保管する場合、バッファ装置が大型化するため設備の規模が拡大する。
【0006】
そこで、本発明の一側面の目的は、設備の規模が拡大することを抑制しつつ、マルチピッキングの効率を向上させることができるピッキングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るピッキングシステムは、一方向に容器を搬送する搬送装置と、搬送装置による搬送経路上に設けられるか、又は、搬送経路に対して容器が出し入れ可能に設けられ、容器に物品を収容するためのピッキングステーションと、搬送経路に対して容器を出し入れ可能且つ容器を一時保管可能に設けられると共に、容器の搬送方向においてピッキングステーションの上流側に設けられているバッファ装置と、容器の搬送方向においてバッファ装置の上流側の所定位置に到達する容器である対象容器について、バッファ装置での一時保管の要否を判定するコントローラと、を備える。
【0008】
この構成のピッキングシステムでは、容器の搬送経路に対してバッファ装置が容器を一時保管した上で出し入れ可能であるので、例えば、ピッキングステーションに搬送される複数の容器のそれぞれに共通(同種類)の物品を収容できる頻度が高まるように、容器の順番を調整できる。よって、マルチピッキングの効率を向上させることができる。また、対象容器をバッファ装置に一時保管するか否かを判定し、対象容器の一部のみをバッファ装置に一時保管するので、例えば対象容器の全てをバッファ装置に一時保管する場合と比較して、バッファ装置の規模が拡大することを抑制できる。
【0009】
本発明の一側面に係るピッキングシステムでは、コントローラでは、対象容器の一部のみをバッファ装置で一時保管するように、保管の要否を判定する際の保管判定条件が設定されており、保管判定条件は、ピッキングステーションにおいて対象容器に収容すべき残りの物品に関する情報に基づいて設定されていてもよい。この構成では、対象容器に収容すべき残りの物品に関する情報に基づいて、例えば、バッファ装置に一時保管された他の容器と共通する物品が収容される対象容器を選んでバッファ装置に一時保管させることができる。
【0010】
本発明の一側面に係るピッキングシステムでは、コントローラは、ピッキングステーションにおいて対象容器に収容すべき残りの物品の種類の数である収容予定数を取得し、収容予定数が所定値以上である場合、対象容器をバッファ装置に一時保管すると判定してもよい。この構成では、複数の容器同士で共通(同種類)の物品を収容できる確率を高めることができる収容予定数が所定値以上の容器をバッファ装置に一時保管する。この構成では、ピッキングステーションにおいて対象容器に収容すべき残りの物品に関する情報として、収容予定数(残りの物品の種類の数)を取得している。これにより、ピッキングステーションに搬送される複数の容器のそれぞれに共通の物品を収容できる頻度が高くなるように容器の順番を調整できる。
【0011】
本発明の一側面に係るピッキングシステムでは、ピッキングステーションは、所定数の容器を貯留可能且つ所定数の容器のそれぞれに対して物品を収容可能に構成されており、コントローラは、ピッキングステーションにおいて対象容器を先頭として所定数の容器が貯留されたときに所定数の容器に共通して収容される物品の種類の有無を取得し、共通して収容される物品の種類が無いと判定した場合、対象容器をバッファ装置に一時保管すると判定してもよい。この構成では、ピッキングステーションにおいて対象容器に収容すべき残りの物品に関する情報として、ピッキングステーションにおいて対象容器を先頭として所定数の容器が貯留されたときに所定数の容器に共通して収容される物品の種類の有無を取得している。このままピッキングステーションに搬送されたとしても、複数の容器のそれぞれに共通(同種類)の物品を収容される可能性のない容器をバッファ装置に一時保管する。これにより、ピッキングステーションに搬送される複数の容器のそれぞれに共通の物品を収容できる頻度が高くなるように容器の順番を調整できる。
【0012】
本発明の一側面に係るピッキングシステムでは、コントローラは、ピッキングステーションにおいて容器に収容される数が多い物品である人気物品に関する情報を取得し、ピッキングステーションにおいて対象容器に収容される残りの物品に人気物品が含まれる場合、対象容器をバッファ装置に一時保管すると判定してもよい。この構成では、ピッキングステーションにおいて収容される確率が高い物品である人気物品をバッファ装置に一時保管する。これにより、ピッキングステーションに搬送される複数の容器のそれぞれに共通の物品を収容できる頻度が高くなるように容器の順番を調整できる。
【0013】
本発明の一側面に係るピッキングシステムでは、コントローラでは、バッファ装置で一時保管された容器のうち共通する種類の物品が収容される容器を連続して搬送装置に搬出するように、搬出の要否を判定する際の搬出判定条件が設定されており、搬出判定条件は、バッファ装置で一時保管された容器に収容される残りの物品に関する情報に基づいて設定されていてもよい。この構成では、バッファ装置で一時保管された容器に収容される残りの物品に関する情報に基づいて、例えば、ピッキングステーションにおいて同種類の物品が共通して収容される複数の容器をまとめて搬送装置に搬出できる。
【0014】
本発明の一側面に係るピッキングシステムでは、複数の容器のそれぞれに収容されるべき残りの物品の種類の数の和をシングル搬送数とし、複数の容器に収容されるべき残りの物品の種類の数をマルチ搬送数とし、シングル搬送数に対する、シングル搬送数からマルチ搬送数を差し引いた数の割合を出庫量削減率としたとき、コントローラは、バッファ装置に一時保管された容器の中から、出庫量削減率が所定値以上となるように複数の容器を抽出してグループ化し、グループ化された複数の容器を連続してバッファ装置から搬送装置に搬出させてもよい。この構成では、出庫量削減率が所定値以上となるグループを構成する複数の容器を連続して搬出するので、例えば、ピッキングステーションに対して物品をバッファ装置から出庫する動作の回数を減少させることができる。
【0015】
本発明の一側面に係るピッキングシステムでは、コントローラは、容器がバッファ装置に一時保管されてから搬送装置に搬出されるまでの時間を、予め設定された下限値及び上限値の少なくとも一方に基づいて制御してもよい。この構成では、ピッキングステーションにおいて同種類の物品が共通して収容される複数の容器のグループを構成できる確率を向上できる。また、容器がバッファ装置に保管される時間が増大することを抑制できる。
【0016】
本発明の一側面に係るピッキングシステムは、バッファ装置とピッキングステーションとの間の搬送経路を通過する容器を判別する容器判別部を更に備えてもよい。この構成では、ピッキングステーションに搬送される容器の順番を予め認識することができる。容器の順番を予め認識することで、例えば、ピッキングステーションに容器に収容される物品を容器の到着前に予め準備できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一側面によれば、設備の規模が増大することを抑制しつつ、マルチピッキングの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係るピッキングシステムの概略構成を示す構成図である。
【
図2】
図2(a)は、実施形態に係るピッキングシステムの動作の一例を説明する図である。
図2(b)は、
図2(a)に示す動作の後の動作の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、
図2(b)に示す動作の後の動作の一例を説明する図である。
【
図4】
図4(a)は、比較例に係るピッキングシステムの動作の一例を説明する図である。
図4(b)は、
図4(a)に示す動作の後の動作の一例を説明する図である。
【
図5】
図5(a)は、第1変形例に係るピッキングシステムの動作の一例を説明する図である。
図5(b)は、
図5(a)に示す動作の後の動作の一例を説明する図である。
【
図6】
図6(a)は、第2変形例に係るピッキングシステムの動作の一例を説明する図である。
図6(b)は、
図6(a)に示す動作の後の動作の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して一実施形態に係るピッキングシステム1を説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、実施形態に係るピッキングシステム1の概略構成を示す構成図である。実施形態に係るピッキングシステム1は、例えば工場、物流倉庫内において、オーダーに基づいて物品Bを出荷容器(容器)Sに収容(ピッキング)するためのシステムである。ピッキングシステム1は、在庫容器Cに収容された物品Bを作業者Pのもとに搬送する。作業者Pは、出庫された在庫容器Cから物品Bを取り出し、出荷容器Sごとに割り付けられたオーダーに応じて出荷容器Sに物品Bを収容する。物品Bが収容された出荷容器Sは、出荷場にまで搬送され、例えば、店舗、又は家庭等にトラック等の車両で搬送される。
【0021】
ピッキングシステム1は、マルチピッキング及びシングルピッキングを行うことで、出荷容器Sに物品Bを収容する。マルチピッキングとは、複数の出荷容器Sのそれぞれに割り付けられたオーダーに基づいて、各オーダーで要求される種類、数量の物品を同じ在庫容器Cから複数の出荷容器Sのそれぞれに連続して収容するピッキング手法である。シングルピッキングとは、1つの出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、オーダーで要求される種類、数量の物品を出荷容器Sに収容するピッキング手法である。マルチピッキングは、複数のオーダーで要求される物品をシングルピッキングよりも少ない出庫回数で出庫するため、シングルピッキングよりもピッキングの作業効率を向上できるとされる。
【0022】
物品Bは、例えば、店舗、又は家庭等に搬送される製品であってもよい。物品Bは、例えば、製品を収容した段ボール、又はコンテナ等の包装容器であってもよい。物品Bの種類、個数、及び大きさは、特に限定されない。在庫容器Cは、例えば、複数のオーダーに応じた物品Bをまとめて収容する。換言すれば、在庫容器Cは、例えば、いわゆるトータルピッキングをされた後の複数の物品Bを収容する。在庫容器Cは、例えば、プラスチック製であってもよく、段ボールであってもよい。在庫容器Cの幅、高さ、容量、及び材料は、特に限定されない。出荷容器Sは、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに応じた物品Bを収容する。出荷容器Sは、例えば、プラスチック製であってもよく、段ボールであってもよい。出荷容器Sの幅、高さ、容量、及び材料は、特に限定されない。本実施形態では、出荷容器Sには、出荷容器Sを判別するための情報である判別情報を示すバーコードが配置されている。判別情報は、例えば、出荷容器Sを一意に特定するIDを示す情報であってもよい。
【0023】
ピッキングシステム1は、搬送装置2と、ピッキングステーション3と、バッファ装置4と、容器判別部5,6と、出庫装置7と、コントローラ8とを備える。搬送装置2は、搬送経路に沿って一方向(図中の一方向矢印)に出荷容器Sを搬送する。搬送装置2は、第1方向に延びるベルトコンベアである。搬送装置2は、例えば、第1方向Dに延びるローラコンベアであってもよいし、出荷容器Sを第1方向Dに搬送可能な搬送車であってもよい。搬送装置2の種類は、特に限定されない。搬送装置2は、
図1では図示されていないが、上流側において受け渡された空の出荷容器Sを、一方向における下流側に搬送する(以下、一方向における下流側を単に「下流側」、一方向における上流側を単に「上流側」と称する。)。搬送装置2は、物品Bの収容が完了した出荷容器Sを、例えばトラック等の車両に積み込む場所に搬送する。
【0024】
ピッキングステーション3では、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、出荷容器Sに物品Bが収容される。ピッキングステーション3では、例えば、作業者Pがピッキングを行う。ピッキングステーション3は、複数(
図1の例では2つ)設けられている。複数のピッキングステーション3は、搬送装置2の搬送方向に沿って配列されている。ピッキングステーション3は、搬送装置2による搬送経路に対して出荷容器Sが出し入れ可能に設けられている。ピッキングステーション3は、搬送装置2から搬入された出荷容器Sを一方向に沿って搬送する。ピッキングステーション3は、物品Bの収容が完了した出荷容器Sを搬送装置2に払い出し(搬出)可能である。ピッキングステーション3は、搬送部31と、表示部32とを有する。
【0025】
搬送部31は、搬送装置2から搬入された出荷容器Sを下流側に搬送することで、出荷容器Sを作業者Pのもとに搬送する。本実施形態の搬送部31は、ローラコンベアである。搬送部31は、一対の支持部(不図示)と、一対の支持部に回転可能に両端が支持された複数のローラ(不図示)と、各ローラを駆動する駆動部(不図示)とを有する。搬送部31は、例えば、出荷容器Sが載置された少なくとも1つのローラを、ローラに対応する駆動部を駆動させることで出荷容器Sを搬送する。搬送部31は、下流側において所定数(例えば3つ)の出荷容器Sを貯留可能且つ所定数の出荷容器Sのそれぞれに対して物品Bを収容可能である。言い替えれば、作業者は、貯留される複数(例えば3つ)の出荷容器Sに対してマルチピッキングが可能になる。搬送部31では、貯留された所定数の出荷容器Sのいずれもが、それぞれの貯留位置から搬送装置2に払い出されることが可能に構成されている。搬送部31の構成は、特に限定されない。
【0026】
表示部32は、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、ピッキングに関する指示を示す情報を作業者Pに向けて表示する。表示部32は、ピッキングの方式を示す情報、出荷容器Sに収容される物品Bの種類を示す情報、及び出荷容器Sに収容される物品Bの数量を示す情報の少なくともいずれかを表示する。本実施形態では、表示部32は、タッチパネルである。表示部32は、タッチパネルに限定されず、例えばタブレット又はスマートフォン等の携帯情報端末であってもよい。また、表示部32は、作業者Pによる操作を受け付ける入力部を有してもよい。入力部は、例えば、キーボード及びマウス等の入力インタフェイスであってもよい。この場合、表示部32は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータのディスプレイであってもよい。
【0027】
以下、説明の便宜のため、2つのピッキングステーション3のうち、上流側に位置するピッキングステーション3を上流側ステーション3Tと称することがある。2つのピッキングステーション3のうち、下流側に位置するピッキングステーション3を下流側ステーション3Dと称することがある。
【0028】
バッファ装置4は、出荷容器Sを一時保管可能に設けられている。バッファ装置4は、出荷容器Sの搬送方向において下流側ステーション3Dの上流側に設けられている。本実施形態では、バッファ装置4は、一方向において上流側ステーション3T及び下流側ステーション3Dの間に設けられている。バッファ装置4は、出荷容器Sの搬送経路に対して出荷容器Sを出し入れ可能である。本実施形態では、バッファ装置4は、搬送経路における上流側ステーション3Tの下流側、且つ、下流側ステーション3Dの上流側に対して、出荷容器Sを出し入れ可能である。バッファ装置4は、搬入コンベア41と、搬出コンベア42と、一時保管部43とを有する。
【0029】
搬入コンベア41は、搬送経路上の出荷容器Sを搬送装置2から一時保管部43に搬入する。搬入コンベア41は、一時保管部43に搬入される出荷容器Sを検知するセンサ(不図示)を有する。搬出コンベア42は、一時保管部43に一時保管された出荷容器Sを搬送装置2に搬出する。本実施形態では、搬出コンベア42は、搬入コンベア41よりも下流側に設けられている。搬入コンベア41及び搬出コンベア42の例には、ベルトコンベア及びローラコンベヤが含まれる。
【0030】
一時保管部43は、搬送装置2から搬入された出荷容器Sを一時保管する。本実施形態では、一時保管部43は、自動倉庫である。一時保管部43は、出荷容器Sを保管する棚段(不図示)を上下方向及び水平方向に複数配列することで構成されたラック(不図示)と、出荷容器Sを上下方向に搬送し、出荷容器Sを複数の棚段のそれぞれに移動させる昇降装置(不図示)と、各棚段に設けられ、出荷容器Sを水平方向に搬送する搬送台車(不図示)とを有する。但し、バッファ装置4の構成は、特に限定されない。
【0031】
容器判別部5,6は、搬送経路上の所定の位置に搬送された出荷容器Sを判別する。本実施形態では、容器判別部5,6は、出荷容器Sに配置されたバーコードを読み取り可能なバーコードリーダを含む。容器判別部5,6は、バーコードから判別情報を取得する。容器判別部5は、出荷容器Sの搬送方向においてバッファ装置4の上流側の所定位置ARに到達する出荷容器Sを判別する。本実施形態では、容器判別部5は、搬入コンベア41よりも上流側に設けられている。容器判別部6は、バッファ装置4と下流側ステーション3Dとの間の搬送経路を通過する出荷容器Sを判別する。本実施形態では、容器判別部6は、搬出コンベア42よりも下流側に設けられている。
【0032】
出庫装置7は、作業者Pに向けて在庫容器Cを出庫する。出庫装置7は、例えば、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに応じた物品Bを収容する在庫容器Cを作業者Pに向けて出庫する。本実施形態では、出庫装置7は、ピッキングステーション3に応じて、複数(
図1の例では2つ)設けられている。出庫装置7は、物品Bを収容した在庫容器Cを保管する保管部71と、保管部71から作業者Pに在庫容器Cを搬送する出庫コンベア72とを有する。保管部71の例は、自動倉庫である。保管部71は、例えば、在庫容器Cを載置するためのラック(不図示)と、ラックに載置された在庫容器Cを出庫コンベア72に渡すクレーン(不図示)とを有してもよい。出庫コンベア72の例には、ベルトコンベア及びローラコンベヤが含まれる。但し、出庫装置7の構成は、特に限定されない。
【0033】
コントローラ8は、例えば、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)及び通信回路等を有する。コントローラ8は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種処理を実行する。
【0034】
コントローラ8は、搬送装置2、ピッキングステーション3、バッファ装置4、容器判別部5,6、及び出庫装置7を制御する。コントローラ8は、搬送装置2、ピッキングステーション3、バッファ装置4、容器判別部5,6、及び出庫装置7に対して、有線又は無線によって通信可能に設けられている。コントローラ8は、例えば、搬送装置2の一部に配置されていてもよい。コントローラ8の配置位置は、特に限定されない。
【0035】
コントローラ8は、所定位置ARに到達する出荷容器S(以下、「対象容器SO」とも称する。)について、バッファ装置4での一時保管の要否を判定する。コントローラ8では、対象容器SOの一部のみをバッファ装置4で一時保管するように、保管の要否を判定する際の保管判定条件が設定されている。保管判定条件は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報に基づいて設定されている。言い換えれば、コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報と、保管判定条件とを比較し、対象容器SOが保管判定条件を満たせば当該対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。
【0036】
コントローラ8は、容器判別部5から判別情報を取得する。コントローラ8は、判別情報及び出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報を取得する。コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報として、収容予定数を取得する。収容予定数は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bの種類の数である。コントローラ8は、保管判定条件として収容予定数が所定値以上である場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。当該所定値は、任意の自然数であり、適宜変更可能である。対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定した場合、コントローラ8は、搬送装置2及びバッファ装置4を制御することで出荷容器Sをバッファ装置4に一時保管させる。コントローラ8は、バッファ装置4に一時保管させた出荷容器Sを示す情報を記憶する。
【0037】
コントローラ8は、バッファ装置4に一時保管された出荷容器Sについて、搬送装置2への搬出の要否を判定する。コントローラ8は、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sのうち共通する種類の物品Bが収容される出荷容器Sを連続して搬送装置2に搬出するように、搬出の要否を判定する際の搬出判定条件が設定されている。搬出判定条件は、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容すべき残りの物品Bに関する情報に基づいて設定されている。言い換えれば、コントローラ8は、出荷容器Sに収容する物品Bに含まれているが、まだ収容されていない物品Bである残りの物品Bを把握する。また、コントローラ8は、その残りの物品Bの種類が他の出荷容器Sに収容される残りの物品Bの種類と共通するか否かを判定する。そして、コントローラ8は、他の出荷容器Sに共通して収容される残りの物品Bの種類の数が搬出判定条件において設定された数よりも多い場合に、共通する種類の物品Bが収容される複数の出荷容器Sを連続して搬送装置2に搬出すると判定する。
【0038】
コントローラ8は、バッファ装置4に一時保管させた出荷容器Sを示す情報、及び、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容すべき残りの物品Bに関する情報を取得する。コントローラ8は、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容すべき残りの物品Bに関する情報に基づいて、バッファ装置4に一時保管された出荷容器Sの一部により構成された複数の出荷容器Sの出庫量削減率を算出する。
【0039】
出庫量削減率は、下流側ステーション3Dに搬送された複数の出荷容器Sの全てに対してシングルピッキングを行う場合と比較して、下流側ステーション3Dに対する出庫動作の回数を削減できる割合を示す指標である。本実施形態では、出庫量削減率は、シングル搬送数に対する、シングル搬送数からマルチ搬送数を差し引いた数の割合である。シングル搬送数は、複数の出荷容器Sのそれぞれに収容されるべき残りの物品Bの種類の数の和である。つまり、シングル搬送数は、同じ種類の物品Bでも加算をした延べ数である。マルチ搬送数は、複数の出荷容器Sに収容されるべき残りの物品Bの種類の数である。つまり、マルチ搬送数は、同じ種類の物品Bは加算をしない絶対数である。
【0040】
コントローラ8は、搬出判定条件として出庫量削減率が所定値以上となるように複数の出荷容器Sを抽出してグループ化する。なお、複数の出荷容器Sの具体的な数は、下流側ステーション3Dにおいてマルチピッキングできる出荷容器Sの数以下であることが好ましい。例えば、下流側ステーション3Dの貯留数が3の場合、コントローラ8は、3つ又は2つの出荷容器Sを抽出してグループ化する。出庫量削減率は、例えば、30%以上且つ50%以下(一例として40%)である。コントローラ8は、バッファ装置4を制御することで、グループ化された複数の出荷容器Sを連続してバッファ装置4から搬送装置2に搬出させる。
【0041】
コントローラ8は、バッファ装置4を制御することで、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから搬送装置2に搬出されるまでの時間を、予め設定された第1時間(下限値)及び第2時間(上限値)の少なくとも一方に基づいて制御する、本実施形態では、コントローラ8は、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから搬送装置2に搬出されるまでの時間を、第1時間以上且つ第2時間以下とする。第1時間は、例えば、1分以上且つ10分以下(一例として3分)である。第2時間は、例えば、5分以上且つ60分以下(一例として10分)である。本実施形態では、コントローラ8は、搬入コンベア41に含まれるセンサにより出荷容器Sを検知してから経過した時間を示す情報である時間情報を、バッファ装置4に一時保管された出荷容器Sごとに記憶する。コントローラ8は、時間情報に基づいてバッファ装置4を制御することで、出荷容器Sを搬送装置2に搬出させる。
【0042】
続いて、ピッキングシステム1の動作の一例を説明する。
図2~
図6では、搬送装置2による出荷容器Sの搬送経路を矢印で示している。図示された出荷容器Sには、説明の便宜のため、1~6のいずれかの番号が付されている。以下、図中において番号としてnが付された出荷容器Sを第n出荷容器Snと称する(nは1~6の自然数)。また、下流側ステーション3Dにおいて出荷容器Sのそれぞれに収容される残りの物品Bの種類が「残商品」として図示されている。以下、図示された物品Bの種類を区別する必要があるときは、物品Bを物品Bmと称する(mは任意の数字又はアルファベット)。
【0043】
図2(a)に示されるように、作業者Pが上流側ステーション3Tにおいて出荷容器Sに物品Bを収容し終えると、コントローラ8は、上流側ステーション3Tに含まれる搬送部31を制御することで、出荷容器Sを搬送装置2に払い出させる。コントローラ8は、搬送装置2を制御することで、上流側ステーション3Tから払い出された出荷容器Sを下流側に搬送させる。
【0044】
コントローラ8は、容器判別部5から対象容器SOの判別情報を取得する。コントローラ8は、判別情報及び出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報を取得する。コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報として、収容予定数を取得する。コントローラ8は、収容予定数が所定値(本実施形態では3)以上である場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。コントローラ8は、搬送装置2及びバッファ装置4を制御することで、収容予定数が3以上である第2出荷容器S2、第3出荷容器S3、第4出荷容器S4、及び第6出荷容器S6をバッファ装置4に一時保管させる。コントローラ8は、収容予定数が3未満である(すなわち保管判定条件を満たさない)第1出荷容器S1及び第5出荷容器S5をバッファ装置4に一時保管させず、搬送装置2を制御することでバッファ装置4よりも下流側に出荷容器Sを搬送させる。
【0045】
出荷容器Sをバッファ装置4に一時保管させるに際し、コントローラ8は、搬入コンベア41を制御することで、搬送経路上の出荷容器Sを搬送装置2から一時保管部43に含まれる昇降装置に搬送させる。コントローラ8は、昇降装置を制御することで、出荷容器Sを上下方向に搬送させ、所定の棚段に移動させる。コントローラ8は、搬送台車を制御することで、昇降装置から出荷容器Sを受け取らせ、出荷容器Sを水平方向に搬送させる。そして、コントローラ8は、搬送台車を制御することで、棚段の所定の位置に出荷容器Sを保管させる。
【0046】
続いて、コントローラ8は、バッファ装置4に一時保管させた出荷容器Sを示す情報及び出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容すべき残りの物品Bに関する情報を取得する。コントローラ8は、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容すべき残りの物品Bに関する情報に基づいて、バッファ装置4に一時保管された出荷容器Sの一部により構成された複数の出荷容器Sの出庫量削減率を算出する。コントローラ8は、出庫量削減率が所定値(本実施形態では40%)以上となる第3出荷容器S3、第4出荷容器S4、及び第6出荷容器S6を抽出してグループ化することでグループG1を構成する。
【0047】
この場合、第3出荷容器S3及び第4出荷容器S4のそれぞれに収容される残りの物品Bの種類の数は5である。第6出荷容器S6に収容される残りの物品Bの種類の数は6である。よって、これら3つの出荷容器Sのシングル搬送数は16(=5+5+6)である。また、3つの出荷容器Sに収容される物品Bの種類の数は9であるから、マルチ搬送数は9である。よって、グループG1の出庫量削減率は43.75%(=(16-9)/16×100)である。また、3つの出荷容器Sに収容される残りの物品Bのうち、物品B4及び物品B5が共通して各出荷容器Sに収容される。
【0048】
続いて、コントローラ8は、グループG1を構成する3つの出荷容器Sを連続してバッファ装置4から搬送装置2に搬出させる。コントローラ8は、グループ化されなかった出荷容器S(第2出荷容器S2)を引き続きバッファ装置4に保管する。コントローラ8は、搬送装置2を制御することで、バッファ装置4から搬出された出荷容器Sを下流側に搬送する。
【0049】
出荷容器Sをバッファ装置4から搬送装置2に搬出させるに際し、コントローラ8は、一時保管部43に含まれる搬送台車を制御することで、棚段の所定の位置に保管された出荷容器Sを水平方向に搬送させる。コントローラ8は、昇降装置を制御することで、搬送台車から出荷容器Sを受け取らせ、出荷容器Sを上下方向に搬送させる。コントローラ8は、昇降装置を制御することで、出荷容器Sを搬出コンベア42に渡させる。コントローラ8は、搬出コンベア42を制御することで、出荷容器Sを一時保管部43から搬送装置2による搬送経路上に搬送させる。
【0050】
コントローラ8は、時間情報に基づいてバッファ装置4を制御することで、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから搬送装置2に搬出されるまでの時間を、第1時間以上且つ第2時間以下とする。
【0051】
続いて、コントローラ8は、容器判別部6を制御することで、バッファ装置4と下流側ステーション3Dとの間の搬送経路を通過する出荷容器Sを判別させる。コントローラ8は、容器判別部6から出荷容器Sの判別情報を取得する。コントローラ8は、判別情報、及び、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容すべき残りの物品Bに関する情報に基づいて出庫装置7を制御することで、出荷容器Sに収容される残りの物品Bを収容した在庫容器Cを、作業者Pに向けて出庫させる。コントローラ8は、搬送装置2を制御することで、グループ化された複数の出荷容器Sをまとめて搬送装置2から下流側ステーション3Dに搬送させる。
【0052】
続いて、コントローラ8は、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて表示部32を制御することで、ピッキングに関する指示を示す情報を表示させる。作業者Pは、表示部32により表示されたピッキングに関する指示を示す情報に基づいて、出荷容器Sに物品Bを収容する。
【0053】
続いて、
図4を用いて比較例に係るピッキングシステム10を説明しつつ、ピッキングシステム1の作用効果を説明する。
図4(a)に示されるピッキングシステム10は、バッファ装置4を備えていない点で、上記実施形態に係るピッキングシステム1と相違する。ピッキングシステム10は、バッファ装置4により搬送経路上の出荷容器Sの順番を調整することができない。すなわち、ピッキングシステム10では、上流側ステーション3Tから搬出された出荷容器Sは、搬出された順番そのままで下流側ステーション3Dに搬入される。
【0054】
この場合、
図4(b)に示されるように、下流側ステーション3Dには、第1出荷容器S1、第2出荷容器S2、及び第3出荷容器S3が搬入される。作業者は、表示部32に表示されるオーダーに基づいて、第1出荷容器S1、第2出荷容器S2、及び第3出荷容器S3に物品Bを収容する。これら第1出荷容器S1、第2出荷容器S2、及び第3出荷容器S3の出庫量削減率を算出すると22.2%(=(9-7)/9×100)となる。次に、下流側ステーション3Dには、第4出荷容器S4、第5出荷容器S5、及び第6出荷容器S6が搬入される。作業者は、表示部32に表示されるオーダーに基づいて、第4出荷容器S4、第5出荷容器S5、及び第6出荷容器S6に物品Bを収容する。これら第4出荷容器S4、第5出荷容器S5、及び第6出荷容器S6の出庫量削減率を算出すると38.5%(=(13-8)/13×100)となる。すなわち、バッファ装置4を備えていない構成のピッキングシステムでは、出庫量削減率が低下し、マルチピッキングの効率が低下する。
【0055】
これに対し、上記実施形態のピッキングシステム1では、出荷容器Sの搬送経路に対してバッファ装置4が出荷容器Sを一時保管した上で出し入れ可能であるので、例えば、下流側ステーション3Dに搬送される複数の出荷容器Sのそれぞれに共通(同種類)の物品Bを収容できる頻度が高まるように、出荷容器Sの順番を調整できる。よって、マルチピッキングの効率を向上させることができる。
【0056】
図3に示されるように、グループG1を構成する第3出荷容器S3、第4出荷容器S4、及び第6出荷容器S6には、共通する種類の物品B4及び物品B5が収容される。よって、下流側ステーション3DにおいてグループG1を構成する出荷容器Sに物品Bを収容(マルチピッキング)するに際し、これら全ての出荷容器Sに対して共通する種類の物品Bを収容することができる。よって、
図4に示されるピッキングシステム10と比較してマルチピッキングの効率を向上させることができる。
【0057】
また、出荷容器の搬送経路に対して出荷容器を出し入れ可能且つ出荷容器を一時保管可能なバッファ装置を設けた場合でも、対象容器の全てをバッファ装置に一時保管する場合、バッファ装置が大型化するため設備の規模が拡大しうる。これに対し、上記実施形態のピッキングシステム1は、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管するか否かを判定し、対象容器SOの一部のみをバッファ装置4に一時保管するので、例えば対象容器SOの全てをバッファ装置4に一時保管する場合と比較して、バッファ装置4の規模が拡大することを抑制できる。
【0058】
上記実施形態のピッキングシステム1では、コントローラ8では、対象容器SOの一部のみをバッファ装置4で一時保管するように、保管の要否を判定する際の保管判定条件が設定されており、保管判定条件は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報に基づいて設定されている。対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報に基づいて、例えば、バッファ装置4に一時保管された他の出荷容器Sと共通する物品Bが収容される対象容器SOを選んでバッファ装置4に一時保管させることができる。
【0059】
上記実施形態のピッキングシステム1では、コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bの種類の数である収容予定数を取得し、収容予定数が所定値以上である場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。複数の出荷容器S同士で共通(同種類)の物品Bを収容できる確率を高めることができるように、収容予定数が所定値以上の出荷容器Sをバッファ装置4に一時保管する。コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報として、収容予定数(残りの物品Bの種類の数)を取得している。これにより、下流側ステーション3Dに搬送される複数の出荷容器Sのそれぞれに共通の物品Bを収容できる頻度が高くなるように出荷容器Sの順番を調整できる。
【0060】
上記実施形態のピッキングシステム1では、コントローラ8では、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sのうち共通する種類の物品Bが収容される出荷容器Sを連続して搬送装置2に搬出するように、搬出の要否を判定する際の搬出判定条件が設定されており、搬出判定条件は、バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容される残りの物品Bに関する情報に基づいて設定されている。バッファ装置4で一時保管された出荷容器Sに収容される残りの物品Bに関する情報に基づいて、例えば、下流側ステーション3Dにおいて同種類の物品Bが共通して収容される複数の出荷容器Sをまとめて搬送装置2に搬出できる。
【0061】
上記実施形態のピッキングシステム1では、複数の出荷容器Sのそれぞれに収容されるべき残りの物品Bの種類の数の和をシングル搬送数とし、複数の出荷容器Sに収容されるべき残りの物品Bの種類の数をマルチ搬送数とし、シングル搬送数に対する、シングル搬送数からマルチ搬送数を差し引いた数の割合を出庫量削減率としたとき、コントローラ8は、バッファ装置4に一時保管された出荷容器Sの中から、出庫量削減率が所定値以上となるように複数の出荷容器Sを抽出してグループ化し、グループ化された複数の出荷容器Sを連続してバッファ装置4から搬送装置2に搬出させる。出庫量削減率が所定値以上であるグループを構成する複数の出荷容器Sを連続して搬出するので、例えば、下流側ステーション3Dに対して物品Bをバッファ装置4から出庫する動作の回数を減少させることができる。
【0062】
上記実施形態のピッキングシステム1では、コントローラ8は、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから搬送装置2に搬出されるまでの時間を、第1時間以上且つ第2時間以下とする。ピッキングステーション3において同種類の物品Bが共通して収容される複数の出荷容器Sのグループを構成できる確率を向上できる。また、出荷容器Sがバッファ装置4に保管される時間が増大することを抑制できる。
【0063】
例えば、コントローラ8は、出庫量削減率が所定値以上である複数の出荷容器Sのグループを構成できた場合でも、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから第1時間経過するまでは出荷容器Sを搬送装置2に搬出させなくてもよい。この場合、より高い出庫量削減率を有する出荷容器Sのグループを構成できる可能性を向上できる。例えば、コントローラ8は、出庫量削減率が所定値以下である複数の出荷容器Sのグループしか構成できなかった場合でも、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから第2時間経過した場合に出荷容器Sを搬送装置2に搬出させてもよい。この場合、ピッキングの完了が過度に遅くなることを抑制できる。
【0064】
上記実施形態のピッキングシステム1は、バッファ装置4と下流側ステーション3Dとの間の搬送経路を通過する出荷容器Sを判別する容器判別部6を更に備える。ピッキングステーション3に搬送される出荷容器Sの順番を予め認識することができる。出荷容器Sの順番を予め認識することで、例えば、下流側ステーション3Dに出荷容器Sに収容される物品Bを出荷容器Sの到着前に予め準備できる。
【0065】
以上、本発明の一側面の実施形態について説明したが、本発明の一側面は上記実施形態に限られない。まず、第1変形例に係るピッキングシステム1Aを説明する。以下、上記実施形態に係るピッキングシステム1との相違点を主として説明し、重複する説明を省略する。
【0066】
図5に示されるピッキングシステム1Aは、保管判定条件の内容においてピッキングシステム1と相違している。コントローラ8は、容器判別部5から対象容器SOの判別情報を取得する。コントローラ8は、判別情報及び出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報として、対象容器SOを先頭として所定数(本実施形態では2つ)の出荷容器Sが下流側ステーション3Dに貯留されたときに所定数の出荷容器Sに共通して収容される物品Bの種類の有無を取得する。コントローラ8は、保管判定条件として所定数の出荷容器Sに共通して収容される物品Bの種類が無いと判定した場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。
【0067】
図5(a)の例では、第1出荷容器S1及び第2出荷容器S2のそれぞれが対象容器SOである場合、対象容器SOを先頭として2つの出荷容器Sが下流側ステーション3Dに貯留されたとき、2つの出荷容器Sに共通して収容される物品Bの種類は無い。これに対し、第3出荷容器S3が対象容器SOである場合、対象容器SOを先頭として2つの出荷容器Sが下流側ステーション3Dに貯留されたとき、第3出荷容器S3及び第4出荷容器S4には、物品B5,B6が共通して収容される。よって、
図5(b)に示されるように、コントローラ8は、第1出荷容器S1及び第2出荷容器S2をバッファ装置4に一時保管すると判定し、第1出荷容器S1及び第2出荷容器S2をバッファ装置4に搬入させる。また、コントローラ8は、第3出荷容器S3をバッファ装置4に一時保管させないと判定し、搬送装置2を制御して第3出荷容器S3を下流方向に搬送させる。なお、
図5(b)では、第4出荷容器S4がバッファ装置4に一時保管されない例が図示されているが、第4出荷容器S4が一時保管されるか否かは、第4出荷容器S4を先頭として2つの出荷容器Sが下流側ステーション3Dに貯留されたとき、2つの出荷容器Sに共通して収容される物品Bの有無により決定される。
【0068】
続いて、ピッキングシステム1Aの作用効果を説明する。第1変形例のピッキングシステム1Aでは、ピッキングステーション3は、所定数の出荷容器Sを貯留可能且つ所定数の出荷容器Sのそれぞれに対して物品Bを収容可能に構成されている。コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOを先頭として所定数の出荷容器Sが貯留されたときに所定数の出荷容器Sに共通して収容される物品Bの種類の有無を取得し、共通して収容される物品Bの種類が無いと判定した場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。これにより、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容すべき残りの物品Bに関する情報として、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOを先頭として所定数の出荷容器Sが貯留されたときに所定数の出荷容器Sに共通して収容される物品Bの種類の有無を取得している。このまま下流側ステーション3Dに搬送されたとしても、複数の出荷容器Sのそれぞれに共通(同種類)の物品Bを収容される可能性のない出荷容器Sをバッファ装置4に一時保管する。これにより、下流側ステーション3Dに搬送される複数の出荷容器Sのそれぞれに共通の物品Bを収容できる頻度が高くなるように出荷容器Sの順番を調整できる。
【0069】
続いて、第2変形例に係るピッキングシステム1Bを説明する。以下、上記実施形態及び第1変形例との相違点を主として説明し、重複する説明を省略する。
【0070】
図6に示されるピッキングシステム1Bは、保管判定条件の内容においてピッキングシステム1,1Aと相違している。コントローラ8は、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、人気物品に関する情報を取得する。人気物品とは、ピッキングステーション3において出荷容器Sに収容される数が多い物品Bである。人気物品は、例えば、流行等に応じて注文数が増加する物品Bである。人気物品に関する情報は、下流側ステーション3Dにおいて出荷容器Sに収容される残りの物品Bに人気物品が含まれることを示す情報を含む。
【0071】
コントローラ8は、判別情報及び出荷容器Sに割り付けられたオーダーに基づいて、人気物品に関する情報を取得する。コントローラ8は、人気物品に関する情報に基づいて、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容される残りの物品Bに人気物品が含まれるか否かを判定する。コントローラ8は、保管判定条件として下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容される残りの物品Bに人気物品が含まれる場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。
【0072】
図6(a)の例では、(P)と図示された物品BPが人気物品である。下流側ステーション3Dにおいて第1出荷容器S1及び第3出荷容器S3に収容される残りの物品Bには、人気物品が含まれていない。下流側ステーション3Dにおいて第2出荷容器S2に収容される残りの物品Bには、人気物品が含まれている。コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて第1出荷容器S1に収容される残りの物品Bに人気物品が含まれないと判定し、下流側ステーション3Dにおいて第2出荷容器S2に収容される残りの物品Bに人気物品が含まれると判定する。よって、
図6(b)に示されるように、コントローラ8は、第1出荷容器S1及び第3出荷容器S3をバッファ装置4に一時保管しないと判定し、第2出荷容器S2をバッファ装置4に一時保管すると判定する。
【0073】
続いて、ピッキングシステム1Bの作用効果を説明する。第2変形例のピッキングシステム1Bでは、コントローラ8は、下流側ステーション3Dにおいて出荷容器Sに収容される数が多い物品Bである人気物品に関する情報を取得し、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容される残りの物品Bに人気物品が含まれる場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定する。下流側ステーション3Dにおいて収容される確率が高い物品Bである人気物品をバッファ装置4に一時保管する。これにより、下流側ステーション3Dに搬送される複数の出荷容器Sのそれぞれに、人気物品である共通の物品BPを収容できる頻度が高くなるように出荷容器Sの順番を調整できる。
【0074】
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例として記載の内容を適宜組み合わせてもよい。例えば、コントローラ8は、対象容器SOの収容予定数が所定値未満であり、且つ、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOを先頭として所定数の出荷容器Sが貯留されたときに所定数の出荷容器Sに共通して収容される物品Bの種類が無いと判定した場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定してもよい。また、コントローラ8は、対象容器SOの収容予定数が所定値未満であり、且つ、下流側ステーション3Dにおいて対象容器SOに収容される残りの物品Bに人気物品が含まれる場合、対象容器SOをバッファ装置4に一時保管すると判定してもよい。
【0075】
上記実施形態及び上記変形例では、バッファ装置4が一方向において上流側ステーション3T及び下流側ステーション3Dの間に位置している例を説明した。しかし、上流側ステーション3T及びバッファ装置4の間、又は、バッファ装置4及び下流側ステーション3Dの間には、別のピッキングステーション3が位置していてもよい。上流側ステーション3Tは、バッファ装置4の上流側に位置していればよく、下流側ステーション3Dは、バッファ装置4の下流側に位置し、且つ、バッファ装置4から搬出された出荷容器Sが搬送されればよい。
【0076】
上記実施形態及び上記変形例では、コントローラ8が、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから搬送装置2に搬出されるまでの時間を第1時間以上且つ第2時間以下とする例を説明した。しかし、コントローラ8は、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから搬送装置2に搬出されるまでの時間を予め設定された第1時間以上としてもよい。又は、コントローラ8は、出荷容器Sがバッファ装置4に一時保管されてから搬送装置2に搬出されるまでの時間を予め設定された第2時間以下としてもよい。
【0077】
上記実施形態及び上記変形例では、バッファ装置4の一時保管部43が備える昇降装置及び搬送台車に代えて、ラックの延在方向に沿って走行する走行部と、走行部から立設するマストと、物品Bをラックに移載可能かつマストの延在方向に沿って移動可能に設けられて移載部と、を有するクレーンを備えてもよい。
【0078】
また、上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例に記載のバッファ装置4の一時保管部43に代えて、出荷容器Sを支持する複数の支持体と、出荷容器Sが受け渡される搬入出部と保管エリアとの間で複数の支持体を循環させる循環搬送部と、を有する一時保管部、出荷容器Sを支持する支持部が上下方向に配列されたラックと、出荷容器Sが受け渡される搬入出部と各支持部との間を上下方向に移動して出荷容器Sを搬送する昇降台と、を有する一時保管部等を採用してもよい。
【0079】
上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、ピッキングステーション3が搬送装置2による搬送経路に対して出荷容器Sが出し入れ可能に設けられている例を説明した。しかし、ピッキングステーション3は、搬送装置2による搬送経路上に設けられてもよい。
【0080】
上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、搬送装置2としてベルトコンベアを例に挙げて説明したが、例えば、ローラコンベアであってもよいし、出荷容器Sを搬送可能な搬送車であってもよい。
【0081】
上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、出庫装置7が作業者Pに向けて在庫容器Cを出庫する例を説明した。しかし、ピッキングシステム1,1A,1Bは、出庫装置7を備えておらず、作業者Pの付近に配置された在庫棚を備えてもよい。この場合、例えば、作業者Pは、表示部32に表示されたピッキングに関する指示を示す情報に基づいて、出荷容器Sに割り付けられたオーダーに応じた物品Bを在庫棚から取り出し、取り出した物品Bを搬送部31に貯留された出荷容器Sに収容してもよい。
【0082】
上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、ピッキングステーション3において作業者Pが出荷容器Sに物品Bを収容する例を説明した。しかし、出荷容器Sへの物品Bの収容は、例えば、6軸ロボットのようなピッキング装置により行われてもよい。
【0083】
上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、バーコードが出荷容器Sに配置され、容器判別部5,6がバーコードを読み取り可能なバーコードリーダである例を説明した。しかし、出荷容器Sには、RFID(Radio Frequency Identifier)タグ又はQRコード(登録商標)のような二次元コードが配置されていてもよい。この場合、容器判別部5,6は、RFIDタグを読み取り可能なRFIDリーダ、又は、二次元コードを読み取り可能なバーコードリーダであってもよい。
【0084】
本発明の技術主題は以下のとおりに記載されうる。
[1]
一方向に容器を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による搬送経路上に設けられるか、又は、前記搬送経路に対して前記容器が出し入れ可能に設けられ、前記容器に物品を収容するためのピッキングステーションと、
前記搬送経路に対して前記容器を出し入れ可能且つ前記容器を一時保管可能に設けられると共に、前記容器の搬送方向において前記ピッキングステーションの上流側に設けられているバッファ装置と、
前記容器の搬送方向において前記バッファ装置の上流側の所定位置に到達する前記容器である対象容器について、前記バッファ装置での一時保管の要否を判定するコントローラと、を備える、ピッキングシステム。
[2]
前記コントローラでは、前記対象容器の一部のみを前記バッファ装置で一時保管するように、前記保管の要否を判定する際の保管判定条件が設定されており、
前記保管判定条件は、前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器に収容すべき残りの前記物品に関する情報に基づいて設定されている、[1]に記載のピッキングシステム。
[3]
前記コントローラは、
前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器に収容すべき残りの前記物品の種類の数である収容予定数を取得し、
前記収容予定数が所定値以上である場合、前記対象容器を前記バッファ装置に一時保管すると判定する、[2]に記載のピッキングシステム。
[4]
前記ピッキングステーションは、所定数の前記容器を貯留可能且つ前記所定数の容器のそれぞれに対して前記物品を収容可能に構成されており、
前記コントローラは、
前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器を先頭として前記所定数の容器が貯留されたときに前記所定数の容器に共通して収容される前記物品の種類の有無を取得し、
前記共通して収容される前記物品の種類が無いと判定した場合、前記対象容器を前記バッファ装置に一時保管すると判定する、[1]~[3]のいずれかに記載のピッキングシステム。
[5]
前記コントローラは、
前記ピッキングステーションにおいて前記容器に収容される数が多い前記物品である人気物品に関する情報を取得し、
前記ピッキングステーションにおいて前記対象容器に収容される残りの前記物品に前記人気物品が含まれる場合、前記対象容器を前記バッファ装置に一時保管すると判定する、[1]~[4]のいずれかに記載のピッキングシステム。
[6]
前記コントローラでは、前記バッファ装置で一時保管された前記容器のうち共通する種類の前記物品が収容される前記容器を連続して前記搬送装置に搬出するように、前記搬出の要否を判定する際の搬出判定条件が設定されており、
前記搬出判定条件は、前記バッファ装置で一時保管された前記容器に収容される残りの前記物品に関する情報に基づいて設定されている、[1]~[5]のいずれかに記載のピッキングシステム。
[7]
複数の前記容器のそれぞれに収容されるべき残りの前記物品の種類の数の和をシングル搬送数とし、複数の前記容器に収容されるべき残りの前記物品の種類の数をマルチ搬送数とし、前記シングル搬送数に対する、前記シングル搬送数からマルチ搬送数を差し引いた数の割合を出庫量削減率としたとき、
前記コントローラは、前記バッファ装置に一時保管された前記容器の中から、前記出庫量削減率が所定値以上となるように複数の前記容器を抽出してグループ化し、前記グループ化された複数の前記容器を連続して前記バッファ装置から前記搬送装置に搬出させる、[1]~[6]のいずれかに記載のピッキングシステム。
[8]
前記コントローラは、前記容器が前記バッファ装置に一時保管されてから前記搬送装置に搬出されるまでの時間を、予め設定された下限値及び上限値の少なくとも一方に基づいて制御する、[1]~[7]のいずれかに記載のピッキングシステム。
[9]
前記バッファ装置と前記ピッキングステーションとの間の前記搬送経路を通過する前記容器を判別する容器判別部を更に備える、[1]~[8]のいずれかに記載のピッキングシステム。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B…ピッキングシステム、2…搬送装置、3…ピッキングステーション、4…バッファ装置、6…容器判別部、8…コントローラ、B…物品、S…出荷容器(容器)、SO…対象容器。