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特開2024-113932車両情報提供システム、車両情報提供方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113932
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】車両情報提供システム、車両情報提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240816BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G06Q50/30
B61L25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019217
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】志村 愛菜
【テーマコード(参考)】
5H161
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB20
5H161DD20
5H161DD21
5H161GG03
5H161GG16
5H161GG23
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】交通機関の車両における混雑状況の提供を支援することが可能な車両情報提供システム等を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】本開示の一態様にかかる車両情報提供システムは、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する検知手段と、前記人物の出入りに基づき算出された、前記ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する取得手段と、前記人数情報に基づいて、ドアごとに前記ドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出する算出手段と、算出された前記混雑度を示す情報を、出力装置に配信する配信制御手段と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する検知手段と、
前記人物の出入りに基づき算出された、前記ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する取得手段と、
前記人数情報に基づいて、ドアごとに前記ドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出する算出手段と、
算出された前記混雑度を示す情報を、出力装置に配信する配信制御手段と、を備える、
車両情報提供システム。
【請求項2】
前記ドア前領域を含む車両内の領域の三次元形状を計測可能な三次元センサを備え、
前記三次元センサは、前記検知手段と人数算出手段とを有し、
前記検知手段は、計測された三次元形状の変化により、前記ドア前領域における前記人物の出入りを検知し、
前記人数算出手段は、前記人物の出入りが検知されたことに応じて、前記ドア前領域に存在する人物の数を算出する、
前記取得手段は、前記人数算出手段によって計測された人物の数を示す情報を、前記人数情報として取得する、
請求項1に記載の車両情報提供システム。
【請求項3】
前記配信制御手段は、
前記混雑度に基づいて、同一の列車における車両の前記ドア前領域のうち、他のドア前領域と比較して混雑していないドア前領域を特定し、特定されたドア前領域のドアを示す情報を、前記出力装置に配信する、
請求項1に記載の車両情報提供システム。
【請求項4】
前記出力装置は、駅のホームの乗車位置ごとに設置されるディスプレイを含み、
前記ディスプレイのそれぞれは、前記乗車位置のそれぞれと関連付けられ、
前記ホームに、一以上の車両を含む列車が、所定時間以内に到着する場合に、
前記配信制御手段は、前記ディスプレイのそれぞれに、前記ディスプレイに関連付けられた前記乗車位置に対応する、前記列車のドアの前記混雑度を示す情報を配信する、
請求項1に記載の車両情報提供システム。
【請求項5】
前記配信制御手段は、前記ディスプレイのそれぞれに、前記ディスプレイに関連付けられた前記乗車位置と隣接する乗車位置に対応する、前記列車のドアの前記混雑度を示す情報を配信する、
請求項4に記載の車両情報提供システム。
【請求項6】
算出された前記混雑度と、前記混雑度が算出された際の車両を含む列車の運行種別、運行時刻、路線、及び行先を含む列車情報と、を関連付けた情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に蓄積された情報を利用して、前記混雑度と、前記列車情報と、の関係を学習した学習モデルに基づいて、所定の時刻に運行予定の列車に含まれる車両のドアごとの混雑度を推定する推定手段と、を備え、
前記配信制御手段は、当該推定された混雑度を示す情報を、前記出力装置に配信する、
請求項1に記載の車両情報提供システム。
【請求項7】
前記推定手段は、運行中の列車が所定の駅に到着した場合に想定される、当該運行中の列車に含まれる車両のドアごとの混雑度を推定し、
前記配信制御手段は、前記運行中の列車が、前記所定の駅に到着する前に、前記運行中の列車に含まれる車両に設置されたディスプレイに、当該推定された混雑度を示す情報を配信する、
請求項6に記載の車両情報提供システム。
【請求項8】
推定手段をさらに備え、
運行中の列車が所定時間以内に所定の駅に到着する場合に、
前記取得手段は、前記所定の駅のホームが撮影された撮影画像を取得し、
前記推定手段は、前記撮影画像に基づいて、前記運行中の列車に含まれる車両に乗車する人物を推定し、
前記配信制御手段は、前記運行中の列車に含まれる車両に設置されたディスプレイに、当該推定された人物の数、及び、種別の少なくともいずれかを示す情報を配信する、
請求項1乃至5のいずれかに記載の車両情報提供システム。
【請求項9】
車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知し、
前記人物の出入りに基づき算出された、前記ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得し、
前記人数情報に基づいて、ドアごとに前記ドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出し、
算出された前記混雑度を示す情報を、出力装置に配信する、
車両情報提供方法。
【請求項10】
車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する処理と、
前記人物の出入りに基づき算出された、前記ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する処理と、
前記人数情報に基づいて、ドアごとに前記ドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出する処理と、
算出された前記混雑度を示す情報を、出力装置に配信する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の人物が利用可能な車両に関する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道等の交通機関に関して、車両の混雑状況を把握する技術が存在する。
【0003】
特許文献1では、カメラが撮像した画像に基づき、車両の前部に搭乗している乗客の人数をカウントし、カウントした人数を前部に搭乗可能な最大人数で除して乗車率を算出することが開示される。
【0004】
特許文献2では、プラットホーム上に取り付けられたカメラと車両内に設置された重量センサとに基づいて、列車が駅に到着する際の混雑度を算出することが開示される。
【0005】
特許文献3では、カメラによって撮影された列車内の床面積の情報に基づいて、混雑度を算出することが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-023518号公報
【特許文献2】特開2019-089417号公報
【特許文献3】特開2007-290574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車両内は一様に混雑していないこともある。すなわち、車両内における人物の分布が偏っている可能性がある。特にドア付近が混雑している状況は、これから乗車しようとする人物にとって乗車しづらい状況といえる。そのため、車両のドア付近の混雑状況を把握したいというニーズがある。
【0008】
ところで、乗車中の人物は、車両が停車中及び走行中に限らず、車両内を移動することがある。人物の移動は、車両のドア付近の混雑状況に影響を及ぼす。特許文献1乃至3のいずれにも、人物の移動を考慮することは開示されていない。
【0009】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、交通機関の車両における混雑状況の提供を支援することが可能な車両情報提供システム等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様にかかる車両情報提供システムは、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する検知手段と、前記人物の出入りに基づき算出された、前記ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する取得手段と、前記人数情報に基づいて、ドアごとに前記ドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出する算出手段と、算出された前記混雑度を示す情報を、出力装置に配信する配信制御手段と、を備える。
【0011】
本開示の一態様にかかる車両情報提供方法は、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知し、前記人物の出入りに基づき算出された、前記ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得し、前記人数情報に基づいて、ドアごとに前記ドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出し、算出された前記混雑度を示す情報を、出力装置に配信する。
【0012】
本開示の一態様にかかるプログラムは、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する処理と、前記人物の出入りに基づき算出された、前記ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する処理と、前記人数情報に基づいて、ドアごとに前記ドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出する処理と、算出された前記混雑度を示す情報を、出力装置に配信する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、交通機関の車両における混雑状況の提供を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態の車両情報提供システムを含む構成の一例を模式的に示す図である。
図2】第1の実施形態の車両情報提供システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の車両情報提供システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
図4】第2の実施形態の車両情報提供システムの構成の一例を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態のドア前領域の一例を模式的に示す図である。
図6】第2の実施形態の混雑度の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態の出力装置の設置例を示す図である。
図8】第2の実施形態の出力情報の一例を示す図である。
図9】第2の実施形態の出力情報の他の例を示す図である。
図10】第2の実施形態の車両情報提供システムの動作の一例を説明するシーケンス図である。
図11】変形例4のドア前領域の一例を模式的に示す図である。
図12】第3の実施形態の車両情報提供システムの構成の一例を示すブロック図である。
図13】第3の実施形態の出力情報の一例を示す図である。
図14】第3の実施形態の車両情報提供システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
図15】変形例6の出力情報の一例を示す図である。
図16】本開示の第1、第2、及び第3の実施形態の車両情報提供システムを実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の車両情報提供システムの概要について説明する。
【0017】
図1は、車両情報提供システム1000を含む構成の一例を模式的に示す図である。車両情報提供システム1000は、少なくともサーバ装置100を含んでよい。図1の例では、車両情報提供システム1000は、サーバ装置100とセンサ200と出力装置300とを含む。サーバ装置100は、センサ200と無線又は有線のネットワークを介して通信可能に接続される。また、サーバ装置100と出力装置300とは、無線又は有線のネットワークを介して通信可能である。
【0018】
なお、図1では、サーバ装置100が、便宜上、一の装置で構成されているよう記載されているが、サーバ装置100の構成はこの例に限られない。すなわち、サーバ装置100は、複数の装置で構成されてもよい。
【0019】
センサ200は、交通機関の車両に設置される。センサ200は、車両内の人物を検知するセンサである。例えばセンサ200は、三次元形状に基づいて人物を検出することが可能な三次元センサである。この例に限られず、センサ200は、カメラであってもよい。
【0020】
センサ200は、例えば、車両の天井側に設置される。センサ200は、少なくとも、後述するドア前領域において人物を検知可能な場所に設置されればよい。交通機関が鉄道である場合、一の列車に複数の車両が含まれることがある。このような場合には、各車両に一以上のセンサ200が設置される。
【0021】
ここで交通機関は、例えば鉄道、軌道、及びバスである。すなわち、交通機関の車両とは、鉄道及び軌道で用いられる列車の車両、及び、バス車両を示すものであってよい。本開示においては、交通機関の車両が、鉄道で用いられる列車の車両である例について主に説明する。
【0022】
出力装置300の一例は、ディスプレイである。出力装置300は、例えば、交通機関のプラットホームに設置される。出力装置300は、サイネージとして機能するディスプレイであってもよい。また、出力装置300は、パーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯型端末であってよい。
【0023】
次に、車両情報提供システム1000の機能構成の一例を説明する。図2は、車両情報提供システム1000の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、車両情報提供システム1000は、検知部110と取得部120と算出部130と配信制御部140とを備える。
【0024】
検知部110は、車両のドア前領域に対する人物の出入りを検知する。ドア前領域とは、車両内の領域であって、車両のドアから所定範囲の領域を示す。ドア前領域は、ドアごとに定められる。そのため、一の車両に複数のドアが存在する場合、一の車両に複数のドア前領域が定められてよい。
【0025】
検知部110は、例えば、ドア前領域に人物が入ったこと、または、ドア前領域から人物が出たことを検知する。検知部110は、センサ200によって実現されてよい。
【0026】
このように検知部110は、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する。検知部110は、検知手段の一例である。
【0027】
取得部120は、例えばサーバ装置100に構成される。取得部120は、ドア前領域における人数情報を取得する。人数情報は、ドア前領域に存在する人物の数を示す情報である。また、人数情報は、人物の出入りが検知されたことに応じて生成される情報であってよい。例えば、人物の出入りが検知されると、センサ200が、人物の数を算出してよい。センサ200が三次元センサである場合、センサ200は、三次元形状に関する情報をセンサデータとして計測する。そして、センサ200は、計測されたセンサデータに基づいて、人物の数を算出する。また、センサ200がカメラである場合、センサ200が計測するセンサデータは映像である。このときセンサ200は、映像から人物を検出し、検出した人物の数を算出する。
【0028】
また、センサ200によって人物の数が算出されなくともよい。例えば、サーバ装置100は、センサ200からセンサデータを取得する。そして、サーバ装置100がセンサデータに基づいて、人物の数を算出してよい。例えば、取得部120が、センサデータに基づいて人物の数を算出することにより、人数情報を取得してよい。
【0029】
このように取得部120は、人物の出入りに基づき算出された、ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する。取得部120は、取得手段の一例である。
【0030】
算出部130は、人数情報に基づいて、ドアごとに混雑度を算出する。混雑度とは、ドア前領域の混雑状況を示す情報である。ドア前領域に標準人数が予め定められるとする。例えば、算出部130は、人数情報と標準人数との差を用いて混雑度を算出してよい。また、算出部130は、標準人数に対する人数情報の割合を用いて混雑度を算出してよい。混雑度の算出方法はこの例に限られない。算出部130は、ドア前領域における混雑状況を表す指標を算出すればよい。
【0031】
このように、算出部130は、人数情報に基づいて、ドアごとにドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出する。算出部130は、算出手段の一例である。
【0032】
配信制御部140は、混雑度を示す情報を配信する。配信される情報は、例えば、出力装置300の一例である、交通機関のプラットホームに設置されたディスプレイに出力される。
【0033】
このように、配信制御部140は、算出された混雑度を示す情報を、出力装置300に配信する。配信制御部140は、配信制御手段の一例である。
【0034】
次に、車両情報提供システム1000の動作の一例を、図3を用いて説明する。なお本開示において、フローチャートの各ステップを「S1」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0035】
図3は、車両情報提供システム1000の動作の一例を説明するフローチャートである。検知部110は、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する(S1)。取得部120は、人物の出入りに基づき算出された、ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する(S2)。算出部130は、人数情報に基づいて、ドアごとにドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出する(S3)。配信制御部140は、算出された混雑度を示す情報を、出力装置300に配信する(S4)。
【0036】
このように、第1の実施形態の車両情報提供システム1000は、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する。車両情報提供システム1000は、人物の出入りに基づき算出された、ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する。そして、車両情報提供システム1000は、人数情報に基づいて、ドアごとにドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出し、算出された混雑度を示す情報を、出力装置300に配信する。
【0037】
これにより、車両情報提供システム1000は、車両内に存在する人物が、ドア前領域に進入したり、ドア前領域から退出したりしたことを考慮して、ドア前領域の混雑度を算出することができる。そのため、車両情報提供システム1000は、より正確な、ドアごとの混雑状況を提供することができる。すなわち、車両情報提供システム1000は、交通機関の車両における混雑状況の提供を支援することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の車両情報提供システムについて説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した車両情報提供システムに関する更なる例を説明する。なお、第1の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0039】
[車両情報提供システム1000の詳細]
図4は、車両情報提供システム1000の構成の一例を示すブロック図である。より具体的には、図4の車両情報提供システム1000は、図1で説明した車両情報提供システム1000の機能構成の一例を示す。なお図4では、便宜上、一のセンサ200と一の出力装置300とが示されているが、センサ200と出力装置300は複数存在していてよい。
【0040】
センサ200の一例は三次元センサである。三次元センサは、三次元形状を計測可能なセンサである。より具体的には、三次元センサは、計測対象の奥行を表す深度を計測する。例えば、三次元センサは、ステレオカメラ方式で深度を計測するセンサであってもよいし、ToF(Time of Flight)カメラ方式で深度を計測するセンサであってもよい。三次元形状を計測する方式はこの例に限られない。センサ200はこの例に限られないが、本実施形態では、センサ200が三次元センサである例について説明する。
【0041】
センサ200は、一の車両に一以上設置される。好ましくは、センサ200は、車両のドアごとに設置される。ここで、車両には一対のドアが存在することがある。例えば、鉄道の車両であれば、進行方向に対して、両側面にドアが対向して存在することがある。このような場合に、センサ200は、一対のドアごとに設置されてもよい。
【0042】
図4に示すように、センサ200は、検知部110と人数算出部210とを備える。検知部110は、ドア前領域に対する人物の出入りを検知する。ドア前領域は、ドアから所定範囲の車両内の領域である。例えば、ドア前領域は、ドアから半径Xメートルの範囲(Xは正数)のように定義されてもよいし、ドア前の一定の大きさの矩形領域として定義されてもよい。
【0043】
図5は、ドア前領域の一例を模式的に示す図である。具体的には、図5は、鉄道の車両内を示す図であって、車両内を天井側からみたときの平面図である。ドア前領域は点線で示される。図5の例では、車両は、進行方向に対して両側面にドアを有する。このように両側面に対向して設けられたドアを、一対のドアと称する。図5の例では、一対のドアに挟まれる領域であって、座席を含まない矩形領域がドア前領域として定義されている。また図5に示されるように、一対のドアのそれぞれに対してドア前領域が定義される。この車両の例では、1番ドアのドア前領域を計測するセンサ200と、2番ドアのドア前領域を計測するセンサ200と、3番ドアのドア前領域を計測するセンサ200と、が当該車両に設置される。
【0044】
例えば、1番ドアのドア前領域を計測するセンサ200は、当該ドア前領域を含む車両内の領域の三次元形状を計測可能である。検知部110は、計測された三次元形状の変化により、車両内におけるドア前領域に対する人物の出入りを検知する。さらに、検知部110は、車両外からドア前領域に人物が進入したこと、及び、ドア前領域から車両外に人物が退出したことを検知してもよい。すなわち、検知部110は、ドアを介したドア前領域に対する人物の出入りを検知してよい。
【0045】
人数算出部210は、検知部110によって人物の出入りが検知されたことに応じて、ドア前領域に存在する人物の数を算出する。人数算出部210は、人数算出手段の一例である。例えば、人数算出部210は、人物の出入りが検知された際に計測される三次元形状から、人数を算出してよい。このとき、人数を算出するタイミングは、人物の出入りが検知された毎であって、もよいし、人物の出入りが複数回検知されたときであってもよい。また、例えば、人数算出部210は、人物がドア前領域に進入した場合にカウントアップし、人物がドア前領域から退出した場合にカウントダウンするように、人数を算出してもよい。
【0046】
図4に示すように、サーバ装置100は、取得部120と算出部130と配信制御部140とを備える。
【0047】
取得部120は、センサ200から人数情報を取得する。具体的には、取得部120は、人数算出部210によって算出された人物の数を示す情報を、人数情報として取得する。
【0048】
算出部130は、人数情報に基づいて、ドア前領域ごとに混雑度を算出する。ドア前領域はドアごとに定義されるので、算出部130はドアごとに混雑度を算出する、ともいえる。この「ドアごと」には、図5の例のように、一対のドアに対してドア前領域が定義される場合における「一対のドアごと」という解釈も含む。また、本開示において、「混雑しているドア前領域」を、「混雑しているドア」と表現することもある。
【0049】
算出部130は、基準情報を利用して混雑度を算出する。基準情報は、ドア前領域を示す情報と標準人数とが関連付けられた情報である。すなわち、各ドア前領域に対して、予め標準人数が定められる。なお基準情報は、サーバ装置100が有する記憶装置(図示せず)に格納されてもよいし、サーバ装置100と通信可能に接続される外部の記憶装置(図示せず)に格納されてもよい。
【0050】
算出部130は、人数情報が示す値の標準人数に対する割合を混雑度として算出してよい。例えば、所定のドア前領域の標準人数が15人であるとする。また当該ドア前領域における人数情報が12人を示すとする。算出部130は、12を15で除することにより算出された0.8を混雑度としてよい。この場合、混雑度は、0に近いほど混雑していないことを示し、1より大きくなるほど混雑していることを示す。なお混雑度の算出方法はこの例に限られない。例えば、算出部130は、人数情報が示す値と標準人数との差を混雑度としてもよい。
【0051】
なお、すべてのドア前領域に対して同一の標準人数が定められなくともよい。例えば、ドア前領域ごとに異なる標準人数が定められてもよい。ドア前領域の大きさごとに異なる標準人数が定められてもよいし、ドア前領域の場所に応じて標準人数が定められてもよい。
【0052】
図6は混雑度の一例を示す図である。具体的には、図6は、複数の車両を含む列車Aについて算出された混雑度を示す。また、図6の例では、人数情報が示す値の標準人数に対する割合を混雑度としている。例えば、1号車の車両に関しては、1番ドアのドア前領域の混雑度は0.46であり、2番ドアのドア前領域の混雑度は0.2であり、3番ドアのドア前領域の混雑度は0.2である。算出部130によって算出される混雑度は、列車ごとにリアルタイムで算出されてよい。すなわち、混雑度は随時更新されてよい。
【0053】
配信制御部140は、算出された混雑度を示す情報を、各出力装置300に配信する。具体的には、配信制御部140は、運行中の列車に含まれる車両について、各ドアを示す情報と、各ドアの混雑度と、を対応づけた出力情報を配信する。出力情報においては、混雑度は数値で表されてもよいし、数値に応じた色、記号、図形及びアイコン等で表されてもよい。例えば、上述の例のように、混雑度が、人数情報が示す値の標準人数に対する割合として示されているとする。このとき、混雑度の値が0.8未満を「〇」、混雑度の値が0.8以上1.2未満を「△」、混雑度の値が1.2以上を「×」のように表現されてもよい。これにより、混雑していないドアが記号「〇」で示される。また、混雑度の値に応じて、人型のマークが増減するようなアイコンで、混雑度が表現されてもよい。例えば、混雑しているドアについては、複数の人型のマークを示すアイコンが示される。
【0054】
また、出力情報においては、混雑していないドア、または、混雑しているドアが強調表示されてもよい。例えば、配信制御部140は、算出された混雑度が所定の値未満のドア前領域を特定する。これにより、混雑していないドア前領域が特定される。そして、配信制御部140は、特定されたドア前領域に対応するドアを強調表示するような出力情報を生成してよい。また、配信制御部140は、同一の列車における車両のドア前領域の混雑度を比較することにより、混雑していないドア前領域または混雑しているドア前領域を特定してもよい。これにより、同一の列車において、相対的に、混雑しているドア前領域または混雑していないドア前領域が特定される。すなわち、配信制御部140は、混雑度に基づいて、同一の列車における車両のドア前領域のうち、他のドア前領域と比較して混雑していないドア前領域を特定してよい。そして、配信制御部140は、特定されたドア前領域のドアを示す情報を、出力装置300に配信してよい。
【0055】
また配信制御部140は、出力装置300のそれぞれに応じた出力情報を配信してよい。出力装置300は、駅のホームに設置されるディスプレイであるとする。図7は、出力装置の設置例を示す図である。図7は、鉄道の駅のホーム側から車両をみたときの模式図である。この例では、ホームドアが設置されており、ホームドアの奥に車両が停止している。ホームドアが開くと車両のドアも開き、人物は車両を乗降する。すなわち、ホームドア付近が乗車位置として定義される。図7の例において、ディスプレイは乗車位置ごとに設置され、乗車位置のそれぞれと関連付けられる。このような場合に、配信制御部140は、ディスプレイのそれぞれに応じた出力情報を配信してよい。
【0056】
図8は、出力情報の一例を示す図である。より具体的には、図8に示される出力情報は、図7の例のように、駅のホームの乗車位置ごとにディスプレイが設置された場合における、一のディスプレイに表示される出力情報である。図8の例では、1号車から6号車の車両で構成される列車における、3号車の混雑度を示す出力情報が示される。また、3号車の2番ドアについて「現在の乗車位置」という文字が示される。すなわち、図8に示される出力情報は、当該列車の3号車の2番ドアに対応する、駅のホームの乗車位置付近に設置されたディスプレイに配信される。
【0057】
図8の例では、混雑度が、人型のマークが増減するアイコンで示されている。例えば、2番ドアは3番ドアよりも混雑していて、3番ドアは1番ドアより混雑していることが示される。この例のように、出力情報には、乗車位置に対応するドアの混雑度だけでなく、隣接するドアの混雑度が示されてもよい。また、このような出力情報は、当該ホームに次に到着する列車の情報であってよい。これに限らず、このような出力情報は、当該ホームに、所定時間以内に到着する列車の情報であってよい。
【0058】
すなわち、ホームに、一以上の車両を含む列車が、所定時間以内に到着する場合に、配信制御部140は、ディスプレイのそれぞれに、ディスプレイに関連付けられた乗車位置に対応する、列車のドアの混雑度を示す情報を配信してよい。また、配信制御部140は、ディスプレイのそれぞれに、ディスプレイに関連付けられた乗車位置と隣接する乗車位置に対応する、列車のドアの混雑度を示す情報を配信してよい。
【0059】
また、出力装置300がスマートフォン等の、人物が所有する端末である場合、配信制御部140は、運行中の列車のそれぞれの混雑度を示す出力情報を配信してよい。例えば配信制御部140は、出力装置300に搭載されるアプリケーションを通じて、出力情報を配信する。図9は、出力情報の他の例を示す図である。より具体的には、図9に示される出力情報は、スマートフォンに表示される出力情報である。例えば出力装置300のユーザは、運行中の列車のいずれかを選択する。そして、選択された列車に関する出力情報が、出力装置300に表示される。図9の例では、Y駅からX駅に向かっている列車の混雑状況が示されている。例えば、ユーザが3号車を選択すると、図9のように、3号車の各ドアにおける混雑度が表示される。また、図9の例では、3号車と4号車とに色付けされている。これは、他の車両に比べて3号車及び4号車が混雑していることを示す。さらに「先頭車両から乗車されることをお勧めします」という文字が記載されている。このように、出力情報には、混雑していないドア及び車両から乗車することを推奨するような情報が含まれてもよい。
【0060】
[車両情報提供システム1000の動作例]
次に、車両情報提供システム1000の動作の一例を、図10を用いて説明する。なお、本動作例では、図7の例のように、駅のホームの乗車位置ごとに出力装置300が設置されている場合の動作を説明する。
【0061】
図10は、車両情報提供システム1000の動作の一例を説明するシーケンス図である。センサ200の検知部110は、ドア前領域における人物の出入りを検知する(S101)。人数算出部210は、人物の出入りが検知されたことに応じて、ドア前領域に存在する人数を算出する(S102)。ここで、センサ200は、複数存在する。例えば、一の車両に複数設置される場合、及び、列車が複数存在する場合がある。この場合、複数のセンサ200のそれぞれがS101及びS102の処理を行う。
【0062】
サーバ装置100の取得部120は、センサ200のそれぞれから人数情報を取得する(S103)。算出部130は、ドア前領域ごとに混雑度を算出する(S104)。例えば、算出部130は、人数情報とドア前領域ごとに設定された標準人数とに基づいて混雑度を算出する。配信制御部140は、出力装置300と関連付けられた乗車位置を特定する(S105)。また、配信制御部140は、特定された乗車位置に対応する出力情報を生成する(S106)。そして、配信制御部140は、特定された乗車位置に対応する出力装置に、当該出力情報を配信する(S107)。
【0063】
なお、本動作例は、車両情報提供システム1000の動作のあくまで一例であり、この例に限られない。
【0064】
このように、第2の実施形態の車両情報提供システム1000は、車両のドアごとに定められる領域であって、ドアから所定範囲の車両内の領域であるドア前領域に対する、車両内での人物の出入りを検知する。車両情報提供システム1000は、人物の出入りに基づき算出された、ドア前領域に存在する人物の数を示す人数情報を取得する。そして、車両情報提供システム1000は、人数情報に基づいて、ドアごとにドア前領域の混雑状況を示す混雑度を算出し、算出された混雑度を示す情報を、出力装置300に配信する。
【0065】
これにより、車両情報提供システム1000は、車両内に存在する人物が、ドア前領域に進入したり、ドア前領域から退出したりしたことを考慮して、ドア前領域の混雑度を算出することができる。そのため、車両情報提供システム1000は、より正確な、ドアごとの混雑状況を提供することができる。すなわち、車両情報提供システム1000は、交通機関の車両における混雑状況の提供を支援することができる。
【0066】
また、第2の実施形態の車両情報提供システム1000は、ドア前領域を含む車両内の領域の三次元形状を計測可能な三次元センサを備えてよい。そして、三次元センサにおいて、三次元形状の変化により、ドア前領域における人物の出入りを検知されたり、人物の出入りが検知されたりしたことに応じて、ドア前領域に存在する人物の数を算出してよい。
【0067】
人物の数の算出にカメラが用いられる場合、例えば、カメラは、人物の頭を認識する等、人物の特定の場所を認識することによって人物の数を算出する。そのため、カメラの映像に特定の場所が映らない場合、正確に人物の数を算出できない場合もある。これに対して三次元センサは、領域の三次元形状を計測可能である。すなわち、車両情報提供システム1000は、その領域に存在する物体を三次元的に認識した情報を用いて、人物の数を算出することができるので、より正確に人物の数を算出することができる。
【0068】
また、第2の実施形態の車両情報提供システム1000は、混雑度に基づいて、同一の列車における車両のドア前領域のうち、他のドア前領域と比較して混雑していないドア前領域を特定し、特定されたドア前領域のドアを示す情報を、出力装置300に配信する。これにより、車両情報提供システム1000は、出力装置300を視認する人物に対して、相対的に混雑していないドアの情報を提供することができるので、混雑していないドアへの誘導を支援することができる。
【0069】
また、第2の実施形態では、出力装置300は、駅のホームの乗車位置ごとに設置されるディスプレイを含み、当該ディスプレイのそれぞれは、乗車位置のそれぞれと関連付けられる。そして、車両情報提供システム1000は、ホームに、一以上の車両を含む列車が所定時間以内に到着する場合に、ディスプレイのそれぞれに、ディスプレイに関連付けられた乗車位置に対応する、列車のドアの混雑度を示す情報を配信してよい。これにより、車両情報提供システム1000は、例えば、乗車位置に存在する人物に対して適した情報を提供することができる。
【0070】
またこのとき、第2の実施形態の車両情報提供システム1000は、ディスプレイのそれぞれに、ディスプレイに関連付けられた乗車位置と隣接する乗車位置に対応する、列車のドアの混雑度を示す情報を配信してよい。これにより、車両情報提供システム1000は、乗車位置に存在する人物に対して、移動しやすい場所の混雑状況を提供することができる。また、車両情報提供システム1000は、すべての車両の混雑度を示さず、隣接する乗車位置に対応する混雑度を配信することができるので、乗車位置に存在する人物に対して、当該人物に関連する情報を明確に提供することができる。
【0071】
[変形例1]
第2の実施形態では、センサ200においてドア前領域に存在する人物の数が算出される例について主に説明した。この例に限られず、人物の数は、サーバ装置100で算出されてもよい。この倍、取得部120は、センサ200において検出されたセンサデータ(例えば、計測された三次元形状に関する情報)を取得する。そして、取得部120が、人数算出部210の機能を有することにより、人数情報を取得してよい。
【0072】
[変形例2]
混雑度は、ドア前領域の体積に基づいて算出されてもよい。この場合、ドア前領域の空間の体積が予め定められる。そして、取得部120は、センサ200において計測された三次元形状に関する情報を取得する。算出部130は、取得された三次元形状に関する情報を用いて、ドア前領域の空間が埋まっている割合を算出する。算出部130は、当該割合を混雑度として算出してよい。
【0073】
[変形例3]
センサ200は、人物の数に加え、荷物の数を検出してもよい。例えば、人数算出部210は、所定の大きさ以上の荷物(例えば、ベビーカー、キャリーバッグ、車いす、及び自転車等)を三次元形状に基づいて検知する。そして、人数算出部210は、検知された荷物の数を算出する。
【0074】
この場合、取得部120は、荷物の数を示す情報をセンサ200から取得する。そして、算出部130は、荷物の数を考慮して混雑度を算出してよい。例えば、混雑度が、人数情報が示す値の標準人数に対する割合で算出されるとする。この場合、算出部130は、算出された値に、荷物の数に応じた値を加算することにより、荷物の数を考慮した混雑度を算出してよい。
【0075】
[変形例4]
車両に一対のドアが存在する場合であっても、ドアごとにドア前領域が定義されてもよい。図11は、ドア前領域の一例を模式的に示す図である。図11は、図5と同様に、鉄道の車両内を示す図であって、車両内を天井側からみたときの平面図である。図11の例では、車両に一対のドアが存在するが、ドアごとにドア前領域が定義されている。例えば、1番ドアAには、ドア前領域1Aが対応し、1番ドアBには、ドア前領域1Bが対応する。このような場合、センサ200は、ドアごとに設置される。すなわち、ドア前領域1Aを計測するセンサ200と、ドア前領域1Bを計測するセンサ200と、は異なる装置であってよい。
【0076】
この状況において、算出部130は、ドア前領域ごとに混雑度を算出する。例えば、ドア前領域1Aとドア前領域1Bとのそれぞれの混雑度を算出する。
【0077】
そして、配信制御部140は、出力装置300に応じた内容の出力情報を配信する。例えば、図11に示す車両を含む列車が、所定時間以内にX駅に到着するとする。そして、X駅では、進行方向に対して右側のドア(すなわち、1番ドアA、2番ドアA、及び3番ドアA)が開き、進行方向に対して左側のドア(すなわち、1番ドアB、2番ドアB、及び3番ドアB)は開かないとする。このような場合、配信制御部140は、X駅のホームの乗車位置ごとに設置された出力装置300(ディスプレイ)に、乗車位置において開く方のドアの混雑度を示す出力情報を配信する。具体的には、配信制御部140は、2番ドアAに対応する乗車位置付近に設置される出力装置300には、ドア前領域2Aの混雑度を示す出力情報を配信する。このとき配信制御部140は、ドア前領域2Bの混雑度を示す出力情報を配信しなくともよい。
【0078】
これにより、車両情報提供システム1000は、駅のホームの乗車位置ごとに出力装置300が設置される場合に、当該駅において、一対のドアのいずれが開くか、という情報を考慮して混雑度を示す情報を提供することができる。
【0079】
[変形例5]
上述の実施形態では、センサ200が三次元センサである例について主に説明した。しかしながらこれは、センサ200が三次元センサ以外である例を排除するものではない。例えばセンサ200はカメラであってもよい。
【0080】
この場合、検知部110は、カメラによって撮影された映像に基づいて、ドア前領域に対する人物の出入りを検知する。そして、人数算出部210は、映像から所定の画像処理を行うことにより人物を検出し、人物の数を算出してよい。このとき画像処理は、人物の頭等の特定の場所を検出する方法、及び人型を検出する方法等、種々の既存手法であってよい。また、カメラが赤外線を用いた撮影が可能である場合、人数算出部210は、赤外線画像から測定可能な温度の情報を用いて、人物の数を算出してもよい。
【0081】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の車両情報提供システムについて説明する。第3の実施形態では、混雑度を推定する例について説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0082】
[車両情報提供システム1001の詳細]
図12は、第3の実施形態の車両情報提供システム1001の構成の一例を示すブロック図である。車両情報提供システム1001は、サーバ装置101を少なくとも含む。図12の例では、車両情報提供システム1001は、サーバ装置101とセンサ200と出力装置300とを含む。サーバ装置101は、サーバ装置100の機能に加えて、以下に説明する機能を有していてよい。
【0083】
サーバ装置101は、取得部120と算出部130と配信制御部141と推定部150と記憶部160とを含む。記憶部160は、蓄積情報を記憶する。蓄積情報は、算出部130によって算出された混雑度と、当該混雑度が算出された対象の列車の列車情報と、が関連付けられた情報である。列車情報は、列車の運行状況を示す情報である。例えば、列車情報には、各駅停車、急行、及び特急といった、列車の運行種別と、当該列車の運行時刻と、当該列車の路線と、当該列車の行先とを含む。蓄積情報には、混雑度が算出された際の列車情報が含まれる。例えば、蓄積情報には、路線ZのX駅行きの特急列車において、16時時点では、1号車の1番ドアのドア前領域における混雑度がnである、といった情報が含まれる。なお、列車情報には更なる情報が含まれてもよい。例えば、混雑度が算出された際の天気の情報等が含まれてもよい。
【0084】
記憶部160は、算出された混雑度と列車情報とを随時、蓄積情報として記憶する。
【0085】
このように、記憶部160は、算出された混雑度と、混雑度が算出された際の車両を含む列車の運行種別、運行時刻、路線、及び行先を含む列車情報と、を関連付けた情報を記憶する。記憶部160は、記憶手段の一例である。
【0086】
推定部150は、記憶部160に蓄積された情報を利用して、車両のドアごとの混雑度を推定する。このとき、推定部150は、所定の学習が行われた学習モデルを利用して、混雑度を推定してよい。学習モデルは、車両のドアごとの混雑度と、列車情報と、の関係が機械学習によって学習された学習モデルである。この場合、推定部150は、運行予定の列車の列車情報を学習モデルに入力する。そして、当該学習モデルによって、車両のドアごとの混雑度が出力される。推定部150は、当該出力された混雑度を、所定の時刻に運行予定の列車に含まれる車両のドアごとの混雑度として推定する。なお、学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークを用いた深層学習などにより学習されたものであるが、この例に限られない。
【0087】
なお、学習モデルは、蓄積情報に基づいて、推定部150によって生成されてもよい。また、学習モデルは、サーバ装置100と通信可能に接続される外部の装置によって生成されてもよい。
【0088】
このように、推定部150は、蓄積された情報を利用して、混雑度と、列車情報と、の関係を学習した学習モデルに基づいて、所定の時刻に運行予定の列車に含まれる車両のドアごとの混雑度を推定する。推定部150は、推定手段の一例である。
【0089】
また、列車情報に、混雑度が算出された際の天気の情報が含まれる場合、天気の情報が考慮された学習モデルが生成される。このような場合には、推定部150は、天気予報の情報等、所定の時刻について予測される天気の情報をさらに用いて、所定の時刻に運行予定の列車における車両のドアごとの混雑度を推定してよい。
【0090】
配信制御部141は、推定された混雑度を示す情報を、出力装置300に配信する。例えば、出力装置300がスマートフォン等の、人物が所有する端末である場合、配信制御部141は、運行予定の列車について推定された混雑度を示す出力情報を配信してよい。例えば配信制御部141は、出力装置300に搭載されるアプリケーションを通じて、出力情報を配信する。
【0091】
ここで、出力装置300は、車両に設置されるディスプレイであってもよい。すなわち配信制御部141は、車両内に存在する人物に対して情報を提供してよい。具体的には、配信制御部141は、運行中の列車が所定の駅に到着する前に、当該所定の駅に到着した場合に想定される、混雑度を示す情報を、車両内のディスプレイに配信してよい。所定の駅は、例えば、運行中の列車が次に到着する駅であってもよいし、所定時間以内に到着する駅であってもよい。この場合、推定部150によって、運行中の列車が所定の駅に到着した場合に想定される、当該運行中の列車に含まれる車両のドアごとの混雑度が推定される。
【0092】
図13は、出力情報の一例を示す図である。具体的には、図13は、車両に設置されるディスプレイに、推定された混雑度に基づく情報が表示される例である。例えば、推定部150によって、運行中の列車が次の駅に到着した場合の混雑度を推定したとする。このとき、当該列車の1号車の1番ドアについて推定された混雑度は、現在の算出部130によって算出された1号車の1番ドアの混雑度よりも、より混雑していることを示すとする。このような場合、配信制御部141は、1号車に設置されるディスプレイに、図13の例のように、次の駅でさらに混雑することを示すような出力情報を配信する。
【0093】
このように、配信制御部141は、運行中の列車が、所定の駅に到着する前に、運行中の列車に含まれる車両に設置されたディスプレイに、推定された混雑度を示す情報を配信してよい。
【0094】
[車両情報提供システム1001の動作例]
次に、車両情報提供システム1001の動作の一例を図14を用いて説明する。なお、本動作例では、運行中の列車に含まれる車両に設置された出力装置300に、推定された混雑度を示す情報を配信する例について説明する。この例においては、予め記憶部160に、蓄積情報と、蓄積情報に基づいて生成された学習モデルが記憶されている。
【0095】
図14は、車両情報提供システム1001の動作の一例を説明するフローチャートである。サーバ装置101の取得部120は、運行中の列車に関する列車情報を取得する(S201)。
【0096】
推定部150は、当該運行中の列車が所定の駅に到着した場合に想定される混雑度を推定する(S202)。例えば、推定部150は、運行中の列車が、次の駅に到着して、次の駅を発車したと仮定した際の列車情報を、学習モデルに入力する。そして、推定部150は、当該学習モデルによって出力された混雑度を、運行中の列車が、次の駅に到着して、次の駅を発車した場合に想定される混雑度として推定する。
【0097】
そして、配信制御部141は、出力装置300に、推定された混雑度を示す情報を配信する(S203)。このとき配信制御部141は、運行中の列車に含まれる車両に設置されたディスプレイに、推定された混雑度に応じた出力情報を配信してよい。
【0098】
なお、本動作例は、車両情報提供システム1001の動作のあくまで一例であり、この例に限られない。
【0099】
このように、第3の実施形態の車両情報提供システム1001は、算出された混雑度と、混雑度が算出された際の車両を含む列車の運行種別、運行時刻、路線、及び行先を含む列車情報と、を関連付けた情報を記憶する。車両情報提供システム1001は、このように蓄積された情報を利用して、混雑度と、列車情報と、の関係を学習した学習モデルに基づいて、所定の時刻に運行予定の列車に含まれる車両のドアごとの混雑度を推定する。そして車両情報提供システム1001は、推定された混雑度を示す情報を、出力装置300に配信する。これにより、車両情報提供システム1001は、運行予定の列車について推定されるドアごとの混雑状況を提供することができる。
【0100】
また、第3の実施形態の車両情報提供システム1001は、運行中の列車が所定の駅に到着した場合に想定される、当該運行中の列車に含まれる車両のドアごとの混雑度を推定してよい。そして、車両情報提供システム1001は、運行中の列車が、所定の駅に到着する前に、運行中の列車に含まれる車両に設置されたディスプレイに、当該推定された混雑度を示す情報を配信してよい。これにより、車両情報提供システム1001は、車両内にいる人物に対して、今後の混雑状況を提供することができる。
【0101】
[変形例6]
車両情報提供システム1001は、車両内にいる人物に対して、更なる情報を提供してよい。
【0102】
例えば、所定の駅のホームにカメラが設置されているとする。このとき、カメラは、ホームの乗車位置を含む範囲を撮影している。取得部120は、カメラによって撮影された撮影画像を随時取得する。
【0103】
ここで、運行中の列車が所定時間以内に当該所定の駅に到着するとする。このとき推定部150は、撮影画像から、当該運行中の列車に乗車する人物を推定する。例えば、撮影画像に映る人物のうち、乗車位置付近に立ち止まっている人物を、運行中の列車に乗車する予定の人物として推定する。このとき、推定部150は、乗車する予定の人物の数及び種別を特定してもよい。種別とは、人物がベビーカーなどの所定の大きさ以上の荷物を持っている人物であるかを示す情報であってよい。また、種別は、人物が車いすを利用しているかどうかを示す情報であってもよいし、人物が松葉づえを利用しているかどうかを示す情報であってもよい。
【0104】
配信制御部141は、推定部150によって推定された、当該運行中の列車に乗車する予定の人物に関する情報を、車両に設置されたディスプレイに配信してよい。図15は出力情報の一例を示す図である。例えば、推定部150によって、撮影画像から、列車に乗車する予定の人物が車いすを利用していることが特定されたとする。この場合、配信制御部141は、運行中の列車の車両であって、車いすを利用している人物がいる乗車位置に対応する車両のディスプレイに、図15の例のように、車いすを利用する人物が次の駅で乗車することを示す出力情報を配信する。
【0105】
このように、変形例6の車両情報提供システム1001は、運行中の列車が所定時間以内に所定の駅に到着する場合に、所定の駅のホームが撮影された撮影画像を取得し、当該撮影画像に基づいて、運行中の列車に含まれる車両に乗車する人物を推定してよい。そして、車両情報提供システム1001は、運行中の列車に含まれる車両に設置されたディスプレイに、当該推定された人物の数、及び、種別の少なくともいずれかを示す情報を配信してよい。
【0106】
<車両情報提供システムのハードウェアの構成例>
上述した第1、第2及び第3の実施形態の車両情報提供システムを構成するハードウェアについて説明する。図16は、各実施形態における車両情報提供システムを構成するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置90において、各実施形態及び各変形例で説明した、車両情報提供システム及び車両情報提供方法が実現される。例えば、各実施形態及び各変形例で説明したサーバ装置、センサ、及び出力装置のそれぞれが、図16に示すハードウェア構成を有していてよい。
【0107】
図16に示すように、コンピュータ装置90は、プロセッサ91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、記憶装置94、入出力インタフェース95、バス96、及びドライブ装置97を備える。なお、車両情報提供システムは、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0108】
記憶装置94は、プログラム(コンピュータプログラム)98を格納する。プロセッサ91は、RAM92を用いて本車両情報提供システムのプログラム98を実行する。具体的には、例えば、プログラム98は、図3図10、及び図14に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ91が、プログラム98を実行することに応じて、本車両情報提供システムの各構成の機能が実現される。プログラム98は、ROM93に記憶されていてもよい。また、プログラム98は、記憶媒体80に記録され、ドライブ装置97を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置90に送信されてもよい。
【0109】
入出力インタフェース95は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)99とデータをやり取りする。入出力インタフェース95は、データを取得または出力する手段として機能する。バス96は、各構成を接続する。
【0110】
なお、車両情報提供システムの実現方法には様々な変形例がある。例えば、車両情報提供システムに含まれる各構成は、それぞれ専用の装置として実現することができる。また、車両情報提供システムに含まれる構成は、それぞれ複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0111】
各実施形態の機能における各構成を実現するためのプログラムを記憶媒体に記録させ、該記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0112】
該記憶媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限られない。また該記憶媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0113】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0114】
また、上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0115】
100 サーバ装置
110 検知部
120 取得部
130 算出部
140、141 配信制御部
150 推定部
160 記憶部
200 センサ
210 人数算出部
300 出力装置
1000、1001 車両情報提供システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16