(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113961
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】伸縮性配線基板、及び、伸縮性配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240816BHJP
A61B 5/259 20210101ALI20240816BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H05K1/02 B
A61B5/259
H05K1/02 D
H05K3/28 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019270
(22)【出願日】2023-02-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】塩川 大介
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 雅之
【テーマコード(参考)】
4C127
5E314
5E338
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA03
4C127AA04
4C127LL02
4C127LL04
4C127LL30
5E314AA24
5E314AA36
5E314AA39
5E314CC15
5E314FF06
5E314FF12
5E314GG19
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA15
5E338AA16
5E338BB63
5E338CD13
5E338EE27
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】ダブルアクセス構造、且つ、構造的強度及び製造容易性に優れた構造を容易に実現可能な伸縮性配線基板を提供する。
【解決手段】伸縮性配線基板100は、伸縮性基材10と、伸縮性配線20と、補強フィルム30と、を備え、伸縮性配線20の一部分は、伸縮性基材10に形成された開口15を介して伸縮性基材10の他方の面10b側に露出して、第1露出電極51を構成しており、伸縮性配線20において第1露出電極51とは異なる平面位置にある部分の一部分は、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側に露出して、第2露出電極55を構成しており、伸縮性配線20において、少なくとも第1露出電極51と第2露出電極55とを構成している部分は、単膜構造である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されている伸縮性配線と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムと、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記伸縮性配線の一部分は、前記伸縮性基材に形成された開口を介して前記伸縮性基材の他方の面側に露出して、第1露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において前記第1露出電極とは異なる平面位置にある部分の一部分は、前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出して、第2露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において、少なくとも前記第1露出電極と前記第2露出電極とを構成している部分は、単膜構造である伸縮性配線基板。
【請求項2】
前記補強フィルムは、フィルム基材層と、前記フィルム基材層における前記伸縮性基材側の面に形成されている粘着剤層と、を有し、
前記フィルム基材層は、前記粘着剤層によって前記伸縮性基材及び前記伸縮性配線に対して貼り付けられている請求項1に記載の伸縮性配線基板。
【請求項3】
前記粘着剤層は、前記第1露出電極の裏面に対して直接貼り付けられている請求項2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項4】
前記第2露出電極を直接覆う導電性粘着層を更に備え、
前記導電性粘着層を介して当該伸縮性配線基板を生体の肌に貼り付け可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項5】
前記導電性粘着層は、前記補強フィルムの一部分を覆っており、
前記導電性粘着層において少なくとも前記補強フィルムを覆う部位には、剥離可能な剥離フィルムが貼り付けられている請求項4に記載の伸縮性配線基板。
【請求項6】
複数の前記伸縮性配線と、
前記複数の伸縮性配線を個別に覆う複数の前記導電性粘着層と、
を備える請求項5に記載の伸縮性配線基板。
【請求項7】
前記複数の導電性粘着層に個別に貼り付けられている複数の前記剥離フィルムを備える請求項6に記載の伸縮性配線基板。
【請求項8】
共通の前記剥離フィルムが前記複数の導電性粘着層に貼り付けられている請求項6に記載の伸縮性配線基板。
【請求項9】
複数の前記伸縮性配線を備え、
前記複数の伸縮性配線が共通の前記補強フィルムによって覆われている請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板を製造する方法であって、
離型フィルムの一方の面に前記伸縮性配線を形成する工程と、
剥離シートの一方の面に形成された、前記開口を有する前記伸縮性基材に対して、前記伸縮性配線を加熱及び加圧して前記離型フィルムから転写する工程と、
前記離型フィルムを前記伸縮性配線から剥離する工程と、
前記補強フィルムを前記伸縮性基材に対して貼り付けて、当該補強フィルムによって前記伸縮性配線を部分的に覆う工程と、
をこの順に行う伸縮性配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性配線基板、及び、伸縮性配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性配線基板において、一方の面側及び他方の面側にそれぞれ電極が露出している構造をダブルアクセス構造(両面露出構造)という。このような構造の伸縮性配線基板、及び、当該伸縮性配線基板の製造方法としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1の伸縮性配線基板は、伸縮性基材と、伸縮性基材の一方の面に配置されている第1伸縮性配線(同文献には、伸縮性配線部と記載)と、伸縮性基材よりも面内剛性が高い補強フィルム(同文献には、補強基材と記載)と、補強フィルムの一方の面に配置され、第1伸縮性配線と導通している第2伸縮性配線(同文献には、引出配線部と記載)と、を備える伸縮性配線基板であって、
第1伸縮性配線の一部分は、伸縮性基材側に露出して第1露出電極を構成しており、
第2伸縮性配線の一部分は、伸縮性基材側とは反対側に露出して第2露出電極を構成しており、
第1伸縮性配線と第2伸縮性配線とはその一部分が互いに積層されて多層構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の伸縮性配線基板、及び、伸縮性配線基板の製造方法は、製造容易性について、なお改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されている伸縮性配線と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムと、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記伸縮性配線の一部分は、前記伸縮性基材に形成された開口を介して前記伸縮性基材の他方の面側に露出して、第1露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において前記第1露出電極とは異なる平面位置にある部分の一部分は、前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出して、第2露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において、少なくとも前記第1露出電極と前記第2露出電極とを構成している部分は、単膜構造である伸縮性配線基板が提供される。
【0006】
本発明によれば、本発明の伸縮性配線基板を製造する方法であって、
離型フィルムの一方の面に前記伸縮性配線を形成する工程と、
剥離シートの一方の面に形成された、前記開口を有する前記伸縮性基材に対して、前記伸縮性配線を加熱及び加圧して前記離型フィルムから転写する工程と、
前記離型フィルムを前記伸縮性配線から剥離する工程と、
前記補強フィルムを前記伸縮性基材に対して貼り付けて、当該補強フィルムによって前記伸縮性配線を部分的に覆う工程と、
をこの順に行う伸縮性配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダブルアクセス構造、且つ、構造的強度及び製造容易性に優れた伸縮性配線基板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、一方の面側から視た状態を示す。
【
図2】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、他方の面側から視た状態を示す。
【
図3】
図1及び
図2に示すX-X線に沿った模式的な切断端面を示す。
【
図4】第1実施形態に係る伸縮性配線基板の使用方法の一例を説明するための模式的な分解端面図である。
【
図5】第1実施形態に係る伸縮性配線基板の使用方法の一例を説明するための模式的な端面図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)は第1実施形態に係る伸縮性配線基板の製造方法の一連の流れを説明するための模式的な端面図であり、伸縮性配線の形成工程から伸縮性配線の転写工程を示す。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)は第1実施形態に係る伸縮性配線基板の製造方法の一連の流れを説明するための模式的な端面図であり、離型フィルムを伸縮性配線から剥離する工程から補強フィルムを伸縮性基材に対して貼り付ける工程を示す。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)は第1実施形態に係る伸縮性配線基板の製造方法の一連の流れを説明するための模式的な端面図であり、導電性粘着層を伸縮性配線に対して貼り付ける工程を示す。
【
図9】第1実施形態に係る伸縮性配線基板の製造方法の一連の流れを説明するための模式的な端面図であり、剥離シートを伸縮性基材から剥離する工程を示す。
【
図10】第2実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、
図1から
図9を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
図1から
図3に示すように、本実施形態に係る伸縮性配線基板100は、伸縮性基材10と、伸縮性基材10の一方の面10aに配置されている伸縮性配線20と、伸縮性基材10の一方の面10aに配置されていて、伸縮性配線20を伸縮性基材10側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルム30と、を備える。
伸縮性配線20の一部分は、伸縮性基材10に形成された開口15を介して伸縮性基材10の他方の面10b側に露出して、第1露出電極51を構成している。
伸縮性配線20において第1露出電極51とは異なる平面位置にある部分の一部分は、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側に露出して、第2露出電極55を構成している。
そして、伸縮性配線20において、少なくとも第1露出電極51と第2露出電極55とを構成している部分は、単膜構造である。
なお、ここで「単膜構造」とは、伸縮性配線20が単膜(形成当初から単一の膜)であり、複数の伸縮性配線20同士を積層又は接合した継ぎ目が無い構造となっていることを意味している。
また、本発明において、伸縮性配線20における第1露出電極51及び第2露出電極55を構成している部分以外においては、例えば、他の伸縮性配線が積層又は接合された構成となっていてもよい。
【0011】
図4及び
図5に示すように、伸縮性配線基板100は、デバイス200側に露出する電極(本実施形態の場合、第1露出電極51)と、対象物(本実施形態の場合、生体の肌300)側に露出する電極(本実施形態の場合、第2露出電極55)と、を備えるダブルアクセス構造(両面露出構造)である。
【0012】
本実施形態によれば、伸縮性配線20の一部分が、伸縮性基材10の他方の面10b側に露出して、第1露出電極51を構成しており、伸縮性配線20における第1露出電極51とは異なる平面位置にある部分の一部分が、伸縮性基材10側とは反対側に露出して、第2露出電極55を構成している。そして、伸縮性配線20において、少なくとも第1露出電極51と第2露出電極55とを構成している部分は、単膜構造である。すなわち、一の伸縮性配線20における互いに異なる部分が、それぞれ第1露出電極51及び第2露出電極55としてデバイス200側と対象物(生体の肌300)側とに露出する構造となっている。このため、互いに積層又は接合された個別の伸縮性配線20が、それぞれ第1露出電極51及び第2露出電極55を構成している場合と比較して、より少ない製造工程で、第1露出電極51及び第2露出電極55がそれぞれ露出するダブルアクセス構造の伸縮性配線基板100を得ることができる。
更には、伸縮性配線基板100は、伸縮性配線20を伸縮性基材10側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルム30を備えている。このため、補強フィルム30によって、伸縮性配線20を良好に補強(支持)することができる。また、デバイス200が備える接続端子220との接続に必要となる第1露出電極51及び第2露出電極55の各々の電極(端子)のピッチを担保することができる。
このように、本実施形態によれば、ダブルアクセス構造、且つ、構造的強度及び製造容易性に優れた伸縮性配線基板100を実現することができる。
【0013】
伸縮性配線基板100は、対象物の対象面に貼付して用いられる。本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、人の生体における所望の部位の肌300(
図5参照)に対して貼付して用いられる。該肌300は、凹凸を有した柔軟な曲面であるとともに、筋肉の伸縮や関節の屈曲等に伴って変形(伸縮等)する。
伸縮性基材10は、肌300に対するフィット性を実現する観点から、2つの主面(一方の面10a及び他方の面10b)を有する薄膜のシート材である。伸縮性配線基板100が肌300に対して貼付されている状態において、伸縮性基材10は、肌300の凹凸、変形に追従して伸縮及び湾曲する。また、伸縮性を有する伸縮性配線20も、伸縮性基材10の伸縮及び湾曲に伴って変形する。
なお、伸縮性配線基板100は、肌300に貼付して用いられることに限定されず、例えば、生体の爪、衣服、ロボットや各種デバイス、装置類及びウェアラブル用品等に貼付して用いられてもよい。
【0014】
伸縮性配線基板100は、デバイス200と接続して用いられる。伸縮性配線基板100は、デバイス200から印加される電気信号を生体の肌300に伝達するために用いられてもよいし、デバイス200を介して生体の肌300から生体信号を取得するために用いられてもよい。より詳細には、デバイス200は、例えば、心電図や心拍数、血圧、体温などの生体情報を検知する脳波や筋電位、心電等の微弱な生体信号を検出する生体センサや、生体の筋肉に電気刺激(EMS:Electrical Muscle Stimulation)を与えるデバイス、生体の動き(関節の動きや角度)を検出する歪センサなどである。
デバイス200は、例えば、本体部210と、伸縮性配線基板100と接続される一対の接続端子220と、を備えている。なお、
図4及び
図5においては、デバイス200の形状を模式的に示している。また、
図4及び
図5においては、
図1及び
図2のX-X線に相当する位置での伸縮性配線基板100の切断端面を示している。
なお、本発明において、伸縮性配線基板100は、例えば、電源、制御基板及びモニターなどのデバイス200以外の装置と接続して用いられてもよい。
【0015】
以下では、伸縮性配線基板100の各構成要素同士の位置関係などを説明するに際し、
図3における上側を、上側又は上方などと称し、その反対側を下側又は下方などと称する。しかし、これらの方向の規定は便宜的なものであり、伸縮性配線基板100の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0016】
伸縮性基材10は、面内方向の少なくとも一方向に伸縮が可能な薄膜のシート材である。伸縮性基材10の面内方向の伸縮性は等方性でもよく、または面内の複数方向への伸縮性が互いに異なる異方性でもよい。なお、ここでいう伸縮性とは、伸縮性基材10に張力が作用して伸び、また、伸縮性基材10が圧縮力に応じて収縮する性質をいい、伸縮性基材10は収縮するよりも伸びることによる寸法形状の変化が大きい。
図1及び
図2に示すように、伸縮性基材10は、例えば、平面視において、一方向に長尺な略オーバル形状に形成されている。ただし、本発明において、伸縮性基材10の平面形状は特に限定されず、伸縮性配線基板100の用途や貼付対象物に応じて適宜設定することができる。
【0017】
伸縮性基材10は、所望(例えば、80℃以上150℃以下)の温度域で軟化及び溶着性を発揮する熱可塑性樹脂を含有していることが好ましい。
伸縮性基材10を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ニトリルゴム、ラテックスゴム、ウレタン系エラストマー等のエラストマー材料等を挙げることができる。特に、医療用に用いられるウレタン系エラストマーシートを用いることで、人体の肌300に貼り付けた場合でも高い安全性を得ることができる。本実施形態の場合、一例として、伸縮性基材10は、その表面に粘着層などを有さないエラストマー単体層である。
【0018】
伸縮性基材10の厚み寸法は、特に限定されないが、肌300の伸縮の動きを阻害しないという観点で、例えば、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下である。
このようにすることによって、伸縮性配線基板100の装着感が向上するとともに、使用済みの伸縮性配線基板100を肌300から剥離した際に、当該肌300に伸縮性配線基板100の貼付痕が一時的に残留してしまうことを抑制できる。更には、伸縮性基材10は補強フィルム30や後述する導電性粘着層61及び剥離フィルム65によって補強されているので、伸縮性基材10の厚み寸法を5μm以下に設定したとしても、伸縮性配線基板100が肌300に貼付される前の段階においては、伸縮性基材10の主面がその面方向に展開された状態を良好に維持することができる。
【0019】
伸縮性基材10は、最大伸び率が、10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、200%以上であることが特に好ましい。上述のように構成されている伸縮性基材10であれば、例えば、最大伸び率300%以上を発揮することが可能である。ここで伸縮性基材10の最大伸び率とは、面内方向の一方向に弾性変形可能な伸び率の最大値のことをいう。
なお、本実施形態において、伸び率とは、外力が付加されていない場合の寸法(伸び率0%寸法)に対し、力が加えられることで面内方向の一方向に伸びた割合を意味する。たとえば伸び率50%であれば伸び率0%寸法の1.5倍の伸び率であり、伸び率100%であれば伸び率0%寸法の2倍の伸び率である。
【0020】
伸縮性配線20は、導電性を有し、電気信号や電流を伝達可能である。なお、本発明において、伸縮性配線20は、例えば、その一部分がアンテナとして機能し、当該アンテナが受信した信号を外部機器(不図示)に伝達するように構成されていてもよい。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、複数の伸縮性配線20を有する。より詳細には、伸縮性配線基板100は、例えば、複数の伸縮性配線20として、第1伸縮性配線21と第2伸縮性配線22とを有する。第1伸縮性配線21及び第2伸縮性配線22の各々は、例えば、その全体が単膜構造となっている。
第1伸縮性配線21及び第2伸縮性配線22は、互いに異なる平面位置に配置されており、それぞれ個別に第1露出電極51(後述する第1露出電極51a、51b)及び第2露出電極55(後述する第2露出電極55a、55b)を構成している。
本実施形態の場合、第1伸縮性配線21は、伸縮性基材10の長手方向における一端部に配置されており、第2伸縮性配線22は、当該伸縮性基材10の長手方向における他端部に配置されている。また、第1伸縮性配線21と第2伸縮性配線22とは、互いに面一に配置されている。
第1伸縮性配線21と第2伸縮性配線22とは、例えば、伸縮性基材10の長手方向における中心を基準として、対称形状に形成されている。
第1伸縮性配線21は、例えば、本体部21aと、本体部21aから第2伸縮性配線22側に向けて張り出している張出部21bと、を含む。
本体部21aは、例えば、平面視において、伸縮性基材10の長手方向に長尺な略オーバル形状に形成されている。
張出部21bは、例えば、本体部21aの長軸方向における一端部から、略直線状に延在している。
同様に、第2伸縮性配線22は、例えば、平面視略オーバル形状の本体部22aと、本体部22aから第1伸縮性配線21側に張り出している張出部22bと、を含む。
第2伸縮性配線22の張出部22bは、第1伸縮性配線21の張出部21bの延長線上に配置されている。
なお、伸縮性配線20の平面形状や位置関係は、上述の例に限定されず、伸縮性配線基板100の寸法や用途に応じて適宜設定することができる。また、第1伸縮性配線21と第2伸縮性配線22とは、例えば、互いに異なる形状に形成されていてもよい。
【0021】
本実施形態の場合、伸縮性配線20(第1伸縮性配線21及び第2伸縮性配線22)は、例えば、導電性フィラーと、熱可塑性樹脂を含有するバインダーと、を含んだ塗膜である。
導電性フィラーは、例えば、銀、金、白金、カーボン、銅、アルミニウム、コバルトもしくはニッケル、又はこれらの合金等によって構成されている。
熱可塑性樹脂は、所望(例えば、80℃以上150℃以下)の温度域で軟化及び溶着性を発揮するものが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性のエラストマー材料を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂としては、塗膜化された状態における伸縮性配線20の弾性率が伸縮性基材10の弾性率に比して同等か、またはより小さくなるように低ヤング率のものを選定することが望ましい。エラストマー材料は一種類で用いてもよく、または複数種類のエラストマー材料を混合して用いてもよい。
また、伸縮性配線20の形成方法は、特に限定されないが、例えば、印刷法により形成することができる。印刷法は、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷方法、インクジェット印刷方法、グラビア印刷方法、オフセット印刷方法などである。より詳細には、伸縮性配線20は、導電性ペーストを後述する離型フィルム71上に印刷した後に、熱処理(例えば乾燥処理)によって硬化させることにより形成される単膜である。
伸縮性配線20の厚みは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、20μm程度とすることがより好ましい。
伸縮性配線20の弾性率は、例えば、1kPa以上50kPa以下であることが好ましく、1kPa以上10kPa以下であることがより好ましい。本実施形態の場合、一例として、伸縮性配線20の弾性率は、1kPa以上10kPa以下である。
また、熱処理前(導電性ペーストの状態)の伸縮性配線20の粘度は、例えば、50dPa・s以上が好ましく、より好ましくは100dPa・s以上である。なお、ここでの粘度は、25℃の条件下でコーンプレート型粘度計を用いて測定された値とする。
【0022】
ここで、上述のように、伸縮性配線20の一部分は、伸縮性基材10に形成された開口15を介して伸縮性基材10の他方の面10b側に露出して、第1露出電極51を構成している。
図4及び
図5に示すように、伸縮性基材10に形成されている開口15を介して、第1露出電極51とデバイス200の接続端子220とが相互に接続される。
より詳細には、開口15は、伸縮性基材10において、第1伸縮性配線21の張出部21bの先端部と対応する位置に形成されている第1開口15aと、第2伸縮性配線22の張出部22bと対応する位置に形成されている第2開口15bと、を含む。第1開口15a及び第2開口15bは、それぞれ伸縮性基材10の長手方向における中央部に形成されている。
そして、張出部21bの先端部の一部分は、第1開口15aを介して、伸縮性基材10の他方の面10b側(本実施形態の場合、
図3における上面側)に露出して、第1露出電極51aを構成している。同様に、張出部22bの先端部の一部分は、第2開口15bを介して、伸縮性基材10の他方の面10b側(同上)に露出して、第1露出電極51bを構成している。
第1伸縮性配線21の第1露出電極51a(張出部21b)は、第1開口15aを介して、デバイス200の一方の接続端子220と電気的及び機械的に接続され、第2伸縮性配線22の第1露出電極51bは、第2開口15bを介して、デバイス200の他方の接続端子220と電気的及び機械的に接続される。
第1開口15aと第2開口15bとは、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。第1開口15a及び第2開口15bの各々の平面形状は、特に限定されないが、一例として、正円形状である。また、第1開口15a及び第2開口15bの各々の外径は、張出部21b及び張出部22bの各々の幅寸法よりも小さい。
本実施形態の場合、一例として、開口15(第1開口15a及び第2開口15b)の内径は1.0mm以上10.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上5.0mm以下であることがより好ましい。本実施形態の場合、一例として、開口15(第1開口15a及び第2開口15b)の内径、すなわち第1露出電極51(第1露出電極51a、51b)の外径は、1.0mm以上5.0mm以下である。
【0023】
図1から
図3に示すように、補強フィルム30は、例えば、フィルム基材層36と、フィルム基材層36における伸縮性基材10側の面(本実施形態の場合、
図3における上面)に形成されている粘着剤層31と、を有する。
フィルム基材層36は、粘着剤層31によって伸縮性基材10及び伸縮性配線20に対して貼り付けられている。
このような構成によれば、フィルム基材層36によって伸縮性配線20が良好に補強されるとともに、粘着剤層31によって補強フィルム30が伸縮性配線20に対して良好に密着するので、伸縮性配線20、特に単膜で構成される第1露出電極51及び第2露出電極55の構造的強度をより向上させることができる。
【0024】
フィルム基材層36は、フィルム状(薄膜状)、板状ないしは薄片状に形成されている。フィルム基材層36は、平面視において、伸縮性基材10の長手方向における中央部を覆っている。フィルム基材層36の平面形状は特に限定されないが、一例として、略正方形状に形成されている。
フィルム基材層36は、可撓性を有する部材であって、伸縮性基材10よりも大きなヤング率を有している。フィルム基材層36の材料は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはフッ素樹脂等の、低摺動性、耐食性かつ高強度の合成樹脂を用いることができる。このほか補強フィルム30には、セルロースナノファイバーペーパーや厚紙等のように、相応の耐久性を備えた紙素材を用いてもよい。
また、フィルム基材層36の剛性は、伸縮性基材10及び伸縮性配線20の剛性よりも高い。
なお、フィルム基材層36の剛性とは、ヤング率(E)と断面二次モーメント(I)との積(E・I)である。そして、「剛性が高い」とは、面方向に対して交差する方向への曲げ荷重に対して変形しにくい、すなわち曲げ剛性が高いこと、もしくは面内方向の引張り応力に対して変形しにくいことの少なくともいずれか一方を意味しており、この両方で意味していることが好ましい。
【0025】
フィルム基材層36の厚み寸法は、特に限定されないが、10μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上300μm以下である。
【0026】
粘着剤層31は、例えば、粘着性材料が塗工されることにより形成されたものである。粘着性材料は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂などを用いることができる。
【0027】
粘着剤層31は、例えば、第1露出電極51の裏面(本実施形態の場合、
図3における下面)に対して直接貼り付けられている。
これにより、補強フィルム30によって第1露出電極51を良好に補強することができるとともに、デバイス200が備える接続端子220との接続に必要となる第1露出電極51及び第2露出電極55の各々の電極(端子)のピッチを担保することができる。
【0028】
より詳細には、
図1及び
図2に示すように、平面視において、粘着剤層31及びフィルム基材層36は、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。粘着剤層31及びフィルム基材層36の平面形状は特に限定されてないが、一例として、略正方形状である。
粘着剤層31及びフィルム基材層36の幅寸法は、例えば、伸縮性基材10の幅寸法と同等の寸法に設定されている。
粘着剤層31は、第1伸縮性配線21の張出部21bの裏面(下面)の一部分と、第2伸縮性配線22の張出部22bの裏面(下面)の一部分と、に対して直接貼り付けられている。また、
図3に示すように、フィルム基材層36は、粘着剤層31における伸縮性基材10側とは反対側の面に対して直に積層されている。
図1及び
図2に示すように、平面視において、張出部21b、22b、ひいては第1露出電極51a、51bの全体は、補強フィルム30(粘着剤層31及びフィルム基材層36)の外形線の内側に収まっている。
【0029】
上述のように、伸縮性配線20において第1露出電極51とは異なる平面位置にある部分の一部分は、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側に露出して、第2露出電極55を構成している。
より詳細には、本実施形態の場合、
図1から
図3に示すように、第1伸縮性配線21の本体部21aは、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側(本実施形態の場合、下側)に露出して、第2露出電極55aを構成している。同様に、第2伸縮性配線22の本体部22aは、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側(同上)に露出して、第2露出電極55bを構成している。
【0030】
更に、本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、第2露出電極55を直接覆う導電性粘着層61を備えている。
そして、
図5に示すように、導電性粘着層61を介して伸縮性配線基板100を生体の肌300に貼り付け可能である。
すなわち、本実施形態の場合、第2露出電極55は、生体の肌300側に配置される生体電極である。第2露出電極55を介して、デバイス200は、脳波、筋電位及び心電等の生体信号を生体から検出したり、電気刺激を生体に与えたりすることができる。そして、導電性粘着層61によって、第2露出電極55を生体の肌300に沿って良好に配置することができる。
【0031】
より詳細には、本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、複数の伸縮性配線20(第1伸縮性配線21及び第2伸縮性配線22)を個別に覆う複数の導電性粘着層61(本実施形態の場合、導電性粘着層61a、61b)を備えている。
【0032】
導電性粘着層61の材料は、特に限定されないが、ハイドロゲルや導電性を備えた粘着剤等であることが挙げられる。導電性粘着層61の材料がハイドロゲルである場合、当該ハイドロゲルは、例えば、電解液(一例として、塩化ナトリウム水溶液)や不織布を含む。
導電性粘着層61の厚みは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、20μm以上1000μm(1mm)程度とすることがより好ましい。
【0033】
また、導電性粘着層61は、例えば、補強フィルム30の一部分を覆っており、導電性粘着層61において少なくとも補強フィルム30を覆う部位には、剥離可能な剥離フィルム65が貼り付けられている。
これにより、補強フィルム30及び剥離フィルム65によって伸縮性配線20が補強(支持)される構造となるので、特に肌300に対して伸縮性配線基板100を取り付ける前の状態において当該伸縮性配線20の構造的強度をより向上させることができる。また、デバイス200が備える接続端子220との接続に必要となる第1露出電極51及び第2露出電極55の各々の電極(端子)のピッチを担保することができる。
【0034】
より詳細には、伸縮性配線基板100は、例えば、複数の導電性粘着層61(導電性粘着層61a、61b)に個別に貼り付けられている複数の剥離フィルム65(剥離フィルム65a、65b)を備えている。
剥離フィルム65は、伸縮性基材10よりも大きなヤング率を有している。
剥離フィルム65の材料は、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)又は紙等であることが挙げられる。複数の剥離フィルム65は、互いに同じ材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。
【0035】
図4及び
図5に示すように、本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、第2露出電極55a(第1伸縮性配線21の本体部21a)を直接覆う導電性粘着層61aと、第2露出電極55b(第2伸縮性配線22の本体部22a)を直接覆う導電性粘着層61bと、を備えている。
また、伸縮性配線基板100は、導電性粘着層61aに貼り付けられている剥離フィルム65aと、導電性粘着層61bに貼り付けられている剥離フィルム65bと、を備えている。平面視において、剥離フィルム65aは導電性粘着層61aの全体を覆っており、剥離フィルム65bは導電性粘着層61bの全体を覆っている。
剥離フィルム65aは、平面視において、本体部21aの全体と、張出部21bの基端部と、補強フィルム30の一端部(伸縮性基材10の長手方向における一端部)と、を覆う配置で、導電性粘着層61aに対して積層されている。同様に、剥離フィルム65bは、平面視において、本体部22aの全体と、張出部22bの基端部と、補強フィルム30の他端部(伸縮性基材10の長手方向における他端部)と、を覆う配置で、導電性粘着層61bに対して積層されている。
平面視において、第1伸縮性配線21の全体は、剥離フィルム65a及び補強フィルム30の集合体の外形線の内側に収まっている。同様に、平面視において、第2伸縮性配線22の全体は、剥離フィルム65b及び補強フィルム30の集合体の外形線の内側に収まっている。
【0036】
次に、
図6(a)から
図9を用いて、本実施形態に係る伸縮性配線基板100の製造方法の一例を説明する。
図6(a)から
図9は本実施形態に係る伸縮性配線基板100の製造工程を示す工程図である。なお、
図6(a)から
図9は、
図1及び
図2に示すX-X線に相当する位置での切断端面図である。
【0037】
先ず、
図6(a)に示すように、離型フィルム71を準備し、離型フィルム71の一方の面71aに伸縮性配線20を形成する。
より詳細には、離型フィルム71上に伸縮性配線20となる導電性ペーストを印刷し、熱処理(例えば、乾燥処理)を行う。これにより、導電性ペーストが硬化し、離型フィルム71上に伸縮性配線20が形成される。
なお、ここで、純水に対する離型フィルム71の接触角(離型性)は、70°以上であることが好ましい。このようにすることによって、伸縮性配線20が剥離シート73からスムーズに剥離されるようにできる。なお、ここでいう離型フィルム71の接触角とは、JIS K6768に規定するぬれ張力試験に準じて測定した値である。
【0038】
次に、剥離シート73の一方の面73aに形成された、開口15を有する伸縮性基材10に対して、伸縮性配線20を加熱及び加圧して離型フィルム71から転写する。
より詳細には、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、伸縮性基材10と伸縮性配線20とを互いに位置合わせして重ね合わせる(仮貼りする)。この際、伸縮性配線20の一部分(張出部21b及び張出部22b)は、伸縮性基材10に形成された開口15(第1開口15a及び第2開口15b)を介して伸縮性基材10の他方の面10b側に露出して、第1露出電極51(第1露出電極51a、51b)を構成する。
このように、当該伸縮性基材10と伸縮性配線20とを重ね合わせる際に、剥離シート73に支持された伸縮性基材10を用いるので、伸縮性基材10が意図せず伸長してしまうことを抑制し、伸縮性基材10と伸縮性配線20との位置合わせを容易に行うことができる。
ここで、上述のように、本実施形態の場合、伸縮性基材10は、その表面に粘着層などを有さないエラストマー単体層となっている。このため、伸縮性基材10と伸縮性配線20とを互いに重ね合わせた際に位置ズレが生じたとしても、容易に伸縮性基材10を伸縮性配線20から剥離し、再度位置合わせを行うことができる。
続いて、伸縮性基材10と伸縮性配線20とを熱圧着(加熱及び加圧)する。これにより、伸縮性配線20が、離型フィルム71に対する密着力を上回る密着力で伸縮性基材10に対して接合され、伸縮性配線20が離型フィルム71から伸縮性基材10に転写される。
加熱手段としては特に限定されないが、一例として、加熱プレスの手段を採用することができる。加熱プレスの設定温度は、80℃以上150℃以下であることが好ましい。このようにすることによって、伸縮性基材10及び伸縮性配線20の各々は、上述のように80℃以上150℃以下の温度域で軟化及び溶着性を発現する熱可塑性樹脂を含有しているので、伸縮性基材10と伸縮性配線20とを互いに良好に融着させることができる。ただし、本発明において、少なくとも伸縮性基材10と伸縮性配線20とのうちいずれか一方が、所望の温度域で軟化及び溶着性を発現する熱可塑性樹脂を含有していればよい。
【0039】
次に、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、離型フィルム71を伸縮性配線20から剥離し、伸縮性配線基板100の一方の面10a側において伸縮性配線20が露出する状態にする。そして、
図7(c)に示すように、伸縮性配線基板100を、伸縮性基材10の一方の面10aが上側、その反対側の面(他方の面10b)が下側を向いた姿勢とする。
この際、離型フィルム71を伸縮性配線20から剥離した状態において、伸縮性配線20における第1露出電極51を構成する部分は、他の層によって支持されておらず単独で膜形状を維持している自立膜となっている。ここで、上述のように、本実施形態の場合、伸縮性配線20の厚みは、5μm以上であり、伸縮性配線20の弾性率は10kPa以上である。また、第1露出電極51(第1露出電極51a、51b)の外径は、1.0mm以上5.0mm以下である。このような構成によれば、第1露出電極51が自立膜となっている状態においても、当該第1露出電極51の膜形状を良好に維持することができる。
【0040】
次に、補強フィルム30を伸縮性基材10に対して貼り付けて、当該補強フィルム30によって伸縮性配線20を部分的に覆う。より詳細には、
図7(c)及び
図8(a)に示すように、粘着剤層31を介してフィルム基材層36を伸縮性基材10の一部分及び伸縮性配線20の一部分に対して貼付する。この際、補強フィルム30は粘着剤層31を有するので、当該補強フィルム30を伸縮性配線20に対して良好に密着させることができる。これにより、第1露出電極51は補強フィルム30によって支持されるので、当該第1露出電極51の耐久性を十分に確保することができる。また、伸縮性配線20において第1露出電極51とは異なる平面位置にある部分の一部分(本体部21a及び本体部22a)は、補強フィルム30から伸縮性基材10側とは反対側に露出して、第2露出電極55(第2露出電極55a、55b)を構成する。
そして、補強フィルム30を伸縮性基材10に対して貼り付けた状態で、伸縮性基材10と補強フィルム30とを熱圧着(加熱及び加圧)する。加熱手段としては特に限定されないが、一例として、加熱プレスによるラミネート手法を採用することができる。これにより、補強フィルム30の粘着剤層31が含有する気泡を効率的に除去することができる。ただし、本発明において、補強フィルム30は、例えば、粘着剤層31の粘着性による貼合のみによって、伸縮性基材10に対して接合されてもよい。
【0041】
次に、
図8(b)及び
図8(c)に示すように、導電性粘着層61を伸縮性配線20に対して貼り付けて、当該導電性粘着層61によって伸縮性配線20を覆う。導電性粘着層61は、伸縮性配線20における伸縮性基材10側とは反対側の面(
図8(b)及び
図8(c)における上面)に対して貼付される。より詳細には、導電性粘着層61aを、第1伸縮性配線21における第2露出電極55aを構成している部分と、フィルム基材層36の一部分と、に亘って貼付し、導電性粘着層61bを、第2伸縮性配線22における第2露出電極55bを構成している部分と、フィルム基材層36の一部分と、に亘って貼付する。この際、平面視において、剥離フィルム65a、65bの一部分とフィルム基材層36の一部分とは互いに重複しており、連続的に配置されることが好ましい。このようにすることによって、伸縮性配線基板100を対象物に貼付する前の状態において、剛性のある剥離フィルム65及びフィルム基材層36が、伸縮性基材10の一方の面10a側の全体を覆うとともに補強する構成となる。このため、伸縮性配線基板100を出荷する際などに、意図しない伸縮性基材10の伸長によって伸縮性配線20が断線してしまうことを抑制できる。
本実施形態の場合、一例として、導電性粘着層61はハイドロゲルであり、当該ハイドロゲルが有する粘着性によって導電性粘着層61は伸縮性配線20に対して貼合される。なお、導電性粘着層61が導電性の粘着剤によって構成されている場合、例えば、加熱プレスによるラミネート手法によって導電性粘着層61を伸縮性配線20に対して熱圧着してもよい。
また、ここで、本実施形態の場合、伸縮性配線20の各主面のうち、伸縮性基材10と接合されている側の面は、印刷によるメッシュ痕により粗面となっている。一方、伸縮性配線20における伸縮性基材10側とは反対側の面、すなわち離型フィルム71と接触していた側の面は、表面粗さが小さい平滑面となっている。そして、導電性粘着層61は、伸縮性配線20における平滑面に対して貼付されるため、伸縮性配線20と導電性粘着層61との間に気泡が介在してしまうことが抑制され、当該伸縮性配線20と導電性粘着層61との密着性を良好に確保することができる。
続いて、
図9に示すように、導電性粘着層61を伸縮性配線20に対して貼り付けた後は、剥離シート73を伸縮性基材10から剥離する。
以上により、伸縮性配線基板100を製造することができる。
【0042】
伸縮性配線基板100を使用する際には、例えば、先ず、剥離フィルム65を導電性粘着層61から剥離し、伸縮性配線基板100の下面側において導電性粘着層61が露出する状態にする。そして、
図5に示すように、導電性粘着層61を介して伸縮性配線基板100を肌300に対して貼付することができる。したがって、伸縮性配線基板100は、伸縮性基材10の一方の面10aが下側、その反対側の面(他方の面10b)が上側を向いた姿勢で肌300に貼付される。ここで、上述のように伸縮性基材10は補強フィルム30や導電性粘着層61によって補強されているので、剥離フィルム65が伸縮性配線基板100から剥離された状態においても、伸縮性基材10がその面方向に展開された状態を十分に維持できる。
【0043】
このように、本実施形態に係る伸縮性配線基板の製造方法は、本実施形態に係る伸縮性配線基板100を製造する方法であって、離型フィルム71の一方の面71aに伸縮性配線20を形成する工程と、剥離シート73の一方の面73aに形成された、開口15を有する伸縮性基材10に対して、伸縮性配線20を加熱及び加圧して離型フィルム71から転写する工程と、離型フィルム71を伸縮性配線20から剥離する工程と、補強フィルム30を伸縮性基材10に対して貼り付けて、当該補強フィルム30によって伸縮性配線20を部分的に覆う工程と、をこの順に行う。
このような製造方法によれば、一の伸縮性配線20を伸縮性基材10に対して転写した後は、離型フィルム71を剥離することによって、伸縮性配線20の一部分が、伸縮性基材10の他方の面10b側に露出し第1露出電極55を構成しているとともに、伸縮性配線20において第1露出電極55とは異なる平面位置にある部分の一部分が、伸縮性基材10側とは反対側に露出し第2露出電極55を構成している状態とすることができる。すなわち、単膜構造の伸縮性配線20によって、第1露出電極51と第2露出電極55とを有するダブルアクセス構造を実現することができる。このため、第1露出電極51を構成する伸縮性配線20と第2露出電極55を構成する伸縮性配線20とをそれぞれ個別の基材に形成し、これらの基材に形成された伸縮性配線20同士を重ね合わせる場合と比較して、より少ない製造工程でダブルアクセス構造の伸縮性配線基板100を製造することができる。
また、伸縮性基材10と伸縮性配線20とを重ね合わせる際に、剥離シート73に支持された伸縮性基材10を用いるので、伸縮性基材10が意図せず伸長してしまうことを抑制し、伸縮性基材10と伸縮性配線20との位置合わせを容易に行うことができる。
更に、離型フィルム71が伸縮性配線20から剥離された後は、当該伸縮性配線20は補強フィルム30や導電性粘着層61によって良好に支持されるので、伸縮性配線20の構造的強度を十分に確保することができる。
このように、本実施形態に係る伸縮性配線基板の製造方法によれば、ダブルアクセス構造、且つ、構造的強度及び製造容易性に優れた構造の伸縮性配線基板100を容易に実現することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、
図10を用いて第2実施形態を説明する。なお、
図10においては、
図1のX-X線に相当する線に沿った伸縮性配線基板100の切断端面を示している。
第2実施形態に係る伸縮性配線基板100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と同様に構成されている。
【0045】
本実施形態に係る伸縮性配線基板100は、共通の剥離フィルム65が複数の導電性粘着層61a、61bに貼り付けられている点において、第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違している。
図10に示すように、このような構成によっても、伸縮性配線基板100を対象物に貼付する前の状態において、剛性のある剥離フィルム65及びフィルム基材層36が、伸縮性基材10の一方の面10a側の全体を覆うとともに補強する構成となる。このため、伸縮性配線基板100を出荷する際などに、意図しない伸縮性基材10の伸長によって伸縮性配線20が断線してしまうことなどを抑制できる。
より詳細には、1枚の剥離フィルム65が、導電性粘着層61aと導電性粘着層61bとに跨がって貼り付けられている。剥離フィルム65は、平面視において、伸縮性配線20の全体と、フィルム基材層36の全体と、を覆う配置で、導電性粘着層61に対して積層されている。
平面視において、剥離フィルム65は、例えば、伸縮性基材10と同様に、平面視において、一方向に長尺な略オーバル形状に形成されている。ただし、長手方向において、剥離フィルム65の寸法は、伸縮性基材10の寸法よりも僅かに大きい。
【0046】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0047】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されている伸縮性配線と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムと、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記伸縮性配線の一部分は、前記伸縮性基材に形成された開口を介して前記伸縮性基材の他方の面側に露出して、第1露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において前記第1露出電極とは異なる平面位置にある部分の一部分は、前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出して、第2露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において、少なくとも前記第1露出電極と前記第2露出電極とを構成している部分は、単膜構造である伸縮性配線基板。
(2)前記補強フィルムは、フィルム基材層と、前記フィルム基材層における前記伸縮性基材側の面に形成されている粘着剤層と、を有し、
前記フィルム基材層は、前記粘着剤層によって前記伸縮性基材及び前記伸縮性配線に対して貼り付けられている(1)に記載の伸縮性配線基板。
(3)前記粘着剤層は、前記第1露出電極の裏面に対して直接貼り付けられている(2)に記載の伸縮性配線基板。
(4)前記第2露出電極を直接覆う導電性粘着層を更に備え、
前記導電性粘着層を介して当該伸縮性配線基板を生体の肌に貼り付け可能である(1)から(3)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(5)前記導電性粘着層は、前記補強フィルムの一部分を覆っており、
前記導電性粘着層において少なくとも前記補強フィルムを覆う部位には、剥離可能な剥離フィルムが貼り付けられている(4)に記載の伸縮性配線基板。
(6)複数の前記伸縮性配線と、
前記複数の伸縮性配線を個別に覆う複数の前記導電性粘着層と、
を備える(1)から(5)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(7)前記複数の導電性粘着層に個別に貼り付けられている複数の前記剥離フィルムを備える(6)に記載の伸縮性配線基板。
(8)共通の前記剥離フィルムが前記複数の導電性粘着層に貼り付けられている(6)に記載の伸縮性配線基板。
(9)複数の前記伸縮性配線を備え、
前記複数の伸縮性配線が共通の前記補強フィルムによって覆われている(1)から(8)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(10)(1)から(9)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板を製造する方法であって、
離型フィルムの一方の面に前記伸縮性配線を形成する工程と、
剥離シートの一方の面に形成された、前記開口を有する前記伸縮性基材に対して、前記伸縮性配線を加熱及び加圧して前記離型フィルムから転写する工程と、
前記離型フィルムを前記伸縮性配線から剥離する工程と、
前記補強フィルムを前記伸縮性基材に対して貼り付けて、当該補強フィルムによって前記伸縮性配線を部分的に覆う工程と、
をこの順に行う伸縮性配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0048】
10 伸縮性基材
10a 一方の面
10b 他方の面
15 開口
15a 第1開口
15b 第2開口
20 伸縮性配線
21 第1伸縮性配線
21a 本体部
21b 張出部
22 第2伸縮性配線
22a 本体部
22b 張出部
30 補強フィルム
31 粘着剤層
36 フィルム基材層
51、51a、51b 第1露出電極(外部接続端子)
55、55a、55b 第2露出電極(生体電極)
61、61a、61b 導電性粘着層
65、65a、65b 剥離フィルム
71 離型フィルム
71a 一方の面
73 剥離シート
73a 一方の面
100 伸縮性配線基板
200 デバイス
210 本体部
220 接続端子
300 肌
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長尺な伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されている複数の伸縮性配線と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムと、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記複数の伸縮性配線の各々の一部分は、前記伸縮性基材に形成された開口を介して前記伸縮性基材の他方の面側に露出して、第1露出電極を構成しており、
前記複数の伸縮性配線の各々において前記第1露出電極とは異なる平面位置にある部分の一部分は、前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出して、第2露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において、少なくとも前記第1露出電極と前記第2露出電極とを構成している部分は、単膜構造であり、
前記複数の伸縮性配線は、互いに異なる平面位置に配置されている第1伸縮性配線及び第2伸縮性配線を含み、
前記第1伸縮性配線及び前記第2伸縮性配線の各々は、前記第2露出電極を構成している本体部と、前記第1露出電極を構成している張出部と、を含み、
前記第1伸縮性配線の前記張出部は、当該第1伸縮性配線の前記本体部から前記第2伸縮性配線側に向けて局所的に張り出しており、
前記第2伸縮性配線の前記張出部は、当該第2伸縮性配線の前記本体部から前記第1伸縮性配線側に向けて局所的に張り出しており、
前記張出部は、前記伸縮性基材の長手方向と短手方向の双方において、前記本体部よりも小さく、
前記第1伸縮性配線及び前記第2伸縮性配線の各々の前記張出部における少なくとも前記第1露出電極を構成している部分は、前記伸縮性基材側とは反対側から前記補強フィルムによって覆われており、
前記第1伸縮性配線及び前記第2伸縮性配線の各々の前記本体部の全体は、前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出しており、
前記第1露出電極は、当該伸縮性配線基板と接続されるデバイス側に露出する電極であり、前記第2露出電極は、当該伸縮性配線基板が貼付される対象物側に露出する電極である伸縮性配線基板。
【請求項2】
前記補強フィルムは、フィルム基材層と、前記フィルム基材層における前記伸縮性基材側の面に形成されている粘着剤層と、を有し、
前記フィルム基材層は、前記粘着剤層によって前記伸縮性基材及び前記伸縮性配線に対して貼り付けられている請求項1に記載の伸縮性配線基板。
【請求項3】
前記粘着剤層は、前記第1露出電極の裏面に対して直接貼り付けられている請求項2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項4】
前記第2露出電極を直接覆う導電性粘着層を更に備え、
前記導電性粘着層を介して当該伸縮性配線基板を生体の肌に貼り付け可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項5】
前記導電性粘着層は、前記補強フィルムの一部分を覆っており、
前記導電性粘着層において少なくとも前記補強フィルムを覆う部位には、剥離可能な剥離フィルムが貼り付けられている請求項4に記載の伸縮性配線基板。
【請求項6】
複数の前記伸縮性配線と、
前記複数の伸縮性配線を個別に覆う複数の前記導電性粘着層と、
を備える請求項5に記載の伸縮性配線基板。
【請求項7】
前記複数の導電性粘着層に個別に貼り付けられている複数の前記剥離フィルムを備える請求項6に記載の伸縮性配線基板。
【請求項8】
共通の前記剥離フィルムが前記複数の導電性粘着層に貼り付けられている請求項6に記載の伸縮性配線基板。
【請求項9】
複数の前記伸縮性配線を備え、
前記複数の伸縮性配線が共通の前記補強フィルムによって覆われている請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板を製造する方法であって、
離型フィルムの一方の面に前記伸縮性配線を形成する工程と、
剥離シートの一方の面に形成された、前記開口を有する前記伸縮性基材に対して、前記伸縮性配線を加熱及び加圧して前記離型フィルムから転写する工程と、
前記離型フィルムを前記伸縮性配線から剥離する工程と、
前記補強フィルムを前記伸縮性基材に対して貼り付けて、当該補強フィルムによって前記伸縮性配線を部分的に覆う工程と、
をこの順に行い、
補強フィルムによって前記伸縮性配線を部分的に覆う工程では、前記張出部における少なくとも前記第1露出電極を構成している部分が前記伸縮性基材側とは反対側から前記補強フィルムによって覆われる一方で、前記伸縮性配線の前記本体部の全体は前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出するように、前記補強フィルムを前記伸縮性基材に対して貼り付ける伸縮性配線基板の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向を長手方向とする長尺な伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されている複数の伸縮性配線と、
前記伸縮性基材の一方の面に配置されていて、前記伸縮性配線を前記伸縮性基材側とは反対側から部分的に覆っている補強フィルムと、前記複数の伸縮性配線を個別に覆う複数の導電性粘着層と、
を備える伸縮性配線基板であって、
前記複数の伸縮性配線の各々の一部分は、前記伸縮性基材に形成された開口を介して前記伸縮性基材の他方の面側に露出して、第1露出電極を構成しており、
前記複数の伸縮性配線の各々において前記第1露出電極とは異なる平面位置にある部分の一部分は、前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出して、第2露出電極を構成しており、
前記伸縮性配線において、少なくとも前記第1露出電極と前記第2露出電極とを構成している部分は、単膜構造であり、
前記複数の伸縮性配線は、互いに異なる平面位置に配置されている第1伸縮性配線及び第2伸縮性配線を含み、
前記第1伸縮性配線は、前記伸縮性基材の前記長手方向における一端部に配置されており、前記第2伸縮性配線は、前記長手方向における他端部に配置されており、
前記第1伸縮性配線及び前記第2伸縮性配線の各々は、前記長手方向に長尺となっており、
前記複数の導電性粘着層は、前記第1伸縮性配線を覆う第1導電性粘着層と、前記第2伸縮性配線を覆う第2導電性粘着層と、を含み、
前記第1導電性粘着層及び前記第2導電性粘着層の各々は、前記長手方向に長尺となっており、
前記第1伸縮性配線及び前記第2伸縮性配線の各々は、前記第2露出電極を構成している本体部と、前記第1露出電極を構成している張出部と、を含み、
前記第1伸縮性配線の前記張出部は、当該第1伸縮性配線の前記本体部から前記第2伸縮性配線側に向けて局所的に張り出しており、
前記第2伸縮性配線の前記張出部は、当該第2伸縮性配線の前記本体部から前記第1伸縮性配線側に向けて局所的に張り出しており、
前記張出部は、前記伸縮性基材の長手方向と短手方向の双方において、前記本体部よりも小さく、
前記第1伸縮性配線及び前記第2伸縮性配線の各々の前記張出部における少なくとも前記第1露出電極を構成している部分は、前記伸縮性基材側とは反対側から前記補強フィルムによって覆われており、
前記第1伸縮性配線及び前記第2伸縮性配線の各々の前記本体部の全体は、前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出しており、
前記第1露出電極は、当該伸縮性配線基板と接続されるデバイス側に露出する電極であり、前記第2露出電極は、当該伸縮性配線基板が貼付される対象物側に露出する電極である伸縮性配線基板。
【請求項2】
前記補強フィルムは、フィルム基材層と、前記フィルム基材層における前記伸縮性基材側の面に形成されている粘着剤層と、を有し、
前記フィルム基材層は、前記粘着剤層によって前記伸縮性基材及び前記伸縮性配線に対して貼り付けられている請求項1に記載の伸縮性配線基板。
【請求項3】
前記粘着剤層は、前記第1露出電極の裏面に対して直接貼り付けられている請求項2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項4】
前記第2露出電極を直接覆う導電性粘着層を更に備え、
前記導電性粘着層を介して当該伸縮性配線基板を生体の肌に貼り付け可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項5】
前記導電性粘着層は、前記補強フィルムの一部分を覆っており、
前記導電性粘着層において少なくとも前記補強フィルムを覆う部位には、剥離可能な剥離フィルムが貼り付けられている請求項4に記載の伸縮性配線基板。
【請求項6】
前記複数の導電性粘着層に個別に貼り付けられている複数の前記剥離フィルムを備える請求項5に記載の伸縮性配線基板。
【請求項7】
共通の前記剥離フィルムが前記複数の導電性粘着層に貼り付けられている請求項5に記載の伸縮性配線基板。
【請求項8】
複数の前記伸縮性配線を備え、
前記複数の伸縮性配線が共通の前記補強フィルムによって覆われている請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板を製造する方法であって、
離型フィルムの一方の面に前記複数の伸縮性配線を形成する工程と、
剥離シートの一方の面に形成された、前記開口を有する前記伸縮性基材に対して、前記複数の伸縮性配線を加熱及び加圧して前記離型フィルムから転写する工程と、
前記離型フィルムを前記複数の伸縮性配線から剥離する工程と、
前記補強フィルムを前記伸縮性基材に対して貼り付けて、当該補強フィルムによって前記複数の伸縮性配線を部分的に覆う工程と、
前記複数の導電性粘着層を前記複数の伸縮性配線に対して貼り付けて、当該複数の導電性粘着層によって前記複数の伸縮性配線を個別に覆う工程と、
をこの順に行い、
前記補強フィルムによって前記伸縮性配線を部分的に覆う工程では、前記張出部における少なくとも前記第1露出電極を構成している部分が前記伸縮性基材側とは反対側から前記補強フィルムによって覆われる一方で、前記伸縮性配線の前記本体部の全体は前記補強フィルムから前記伸縮性基材側とは反対側に露出するように、前記補強フィルムを前記伸縮性基材に対して貼り付ける伸縮性配線基板の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
先ず、
図6(a)に示すように、離型フィルム71を準備し、離型フィルム71の一方の面71aに伸縮性配線20を形成する。
より詳細には、離型フィルム71上に伸縮性配線20となる導電性ペーストを印刷し、熱処理(例えば、乾燥処理)を行う。これにより、導電性ペーストが硬化し、離型フィルム71上に伸縮性配線20が形成される。
なお、ここで、純水に対する離型フィルム71の接触角(離型性)は、70°以上であることが好ましい。このようにすることによって、伸縮性配線20が
離型フィルム71からスムーズに剥離されるようにできる。なお、ここでいう離型フィルム71の接触角とは、JIS K6768に規定するぬれ張力試験に準じて測定した値である。