(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113962
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】保冷容器、梱包体及び保冷方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20240816BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B65D81/38 A
B65D81/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019273
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】520393613
【氏名又は名称】平尾 英三
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】平尾 英三
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB16
3E067BA05B
3E067BA06C
3E067BA12C
3E067BB01B
3E067BB01C
3E067BB02C
3E067BB03B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E067BB25B
3E067BC06B
3E067BC06C
3E067CA18
3E067EA24
3E067EC32
3E067ED04
3E067EE28
3E067FA03
3E067FC01
3E067GA02
3E067GA11
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減することが可能であり、保冷性に十分に優れる保冷容器及び梱包体を提供すること。
【解決手段】断熱部材を備える保冷容器であって、断熱部材は、表面に凹凸形状を有する紙材53と、表面が対向するように重ね合わせられた紙材53の間に凹凸形状で形成される空隙部54と、を有する、保冷容器を提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱部材を備える保冷容器であって、
前記断熱部材は、
表面に凹凸形状を有する紙材と、
前記表面が対向するように重ね合わせられた前記紙材の間に前記凹凸形状で形成される空隙部と、を有する、保冷容器。
【請求項2】
前記凹凸形状は、エンボス加工及び/又はクレープ加工によって形成されている、請求項1に記載の保冷容器。
【請求項3】
前記断熱部材における前記紙材の少なくとも一部は、前記凹凸形状を構成する凹部同士及び凸部同士が対向するように重ね合わせられている、請求項1に記載の保冷容器。
【請求項4】
前記紙材の厚みが300μm以下であり、
前記断熱部材は、複数の前記紙材が積み重ねられた積層体、及び、前記紙材がロール状に巻かれたロール体、の一方又は双方を含む紙製部材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の保冷容器。
【請求項5】
前記断熱部材は、前記紙製部材と、前記紙製部材を収納する紙製の収納体と、を備え、
前記断熱部材は、被梱包物を収容する収容部を形成する構造体の一部を構成する、請求項4に記載の保冷容器。
【請求項6】
前記断熱部材は前記積層体を含み、
前記積層体の厚みが5mm以上であり、前記積層体の見掛け密度が0.20g/cm3以下である、請求項4に記載の保冷容器。
【請求項7】
被梱包物を収容する収容部と、
前記収容部に収容される冷却材の冷気を封止する樹脂フィルムと、を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の保冷容器。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の保冷容器と、
前記保冷容器に梱包される、冷凍食品又は冷菓を含む被梱包物及び前記被梱包物を冷却する冷却材と、を備える、梱包体。
【請求項9】
断熱部材を備える保冷容器を用いる被梱包物の保冷方法であって、
前記断熱部材は、
表面に凹凸形状を有する紙材と、
前記表面が対向するように重ね合わせられた前記紙材の間に前記凹凸形状で形成される空隙部と、を有し、
前記断熱部材で取り囲まれる収容部に前記被梱包物と冷却材を収容する、被梱包物の保冷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保冷容器、梱包体及び保冷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品及び食材等の保管及び輸送には、品質及び鮮度を維持するために保冷容器が用いられる。そのような保冷容器としては、軽量で比較的保冷性に優れる発泡スチロール製のものが知られている。一方で、発泡スチロール製の容器は、再生してリサイクルすることが難しい。このため、資源の有効利用の観点から紙製の断熱材を用いた保冷容器や包装材が検討されている。例えば、特許文献1では、アルミニウムを有する保冷性シートの間に、断熱材として紙材又は布を配置する技術が提案されている。特許文献2では、古紙を解繊して得られる解繊物を断熱材として用いる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-64735号公報
【特許文献2】特開2022-62905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案されている包装材は、密封性は高いものの保冷効果が十分ではないと考えられる。特許文献2で提案されている断熱材は、優れた断熱性を有するものの、製造コストが高くなる傾向にある。そこで、本開示は、製造コストを低減することが可能であり、保冷性に十分に優れる保冷容器及び梱包体を提供する。また、本開示は、低いコストで被梱包物を十分に保冷することが可能な保冷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、断熱部材を備える保冷容器であって、前記断熱部材は、表面に凹凸形状を有する紙材と、前記表面が対向するように重ね合わせられた前記紙材の間に前記凹凸形状で形成される空隙部と、を有する、保冷容器を提供する。
【0006】
上記保冷容器は、紙材と、重ね合わせられた紙材の間に、紙材の表面における凹凸形状で形成される空隙部と、を有する断熱部材を備える。この断熱部材は、表面に凹凸形状を有する紙材を用いていることから、低い製造コストで製造することができる。また、この断熱部材は凹凸形状で形成される空隙部を有することから保冷性能に優れる。したがって、上記保冷容器は、製造コストを低減することが可能であり、保冷性にも十分に優れる。
【0007】
本開示は、上述の保冷容器と、前記保冷容器に梱包される、冷凍食品又は前記冷菓を含む被梱包物及び前記被梱包物を冷却する冷却材と、を備える、梱包体を提供する。上記梱包体は、上述の保冷容器を備えることから、製造コストを低減することが可能であり、保冷性能にも十分に優れる。
【0008】
本開示は、断熱部材を備える保冷容器を用いる被梱包物の保冷方法であって、前記断熱部材は、表面に凹凸形状を有する紙材と、前記表面が対向するように重ね合わせられた前記紙材の間に前記凹凸形状で形成される空隙部と、を有し、前記断熱部材で取り囲まれる収容部に前記被梱包物と冷却材を収容する、被梱包物の保冷方法を提供する。
【0009】
上記保冷方法では、紙材と、重ね合わせられた紙材の間に、紙材の表面における凹凸形状で形成される空隙部と、を有する断熱部材を備える保冷容器を用いる。この断熱部材は、表面に凹凸形状を有する紙材を用いていることから、解繊物を用いる場合に比べて低い製造コストで製造することができる。また、この断熱部材は凹凸形状で形成される空隙部を有することから保冷性能に優れる。したがって、上記保冷方法は、低いコストで被梱包物を十分に保冷することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、製造コストを低減することが可能であり、保冷性に十分に優れる保冷容器及び梱包体を提供することができる。また、本開示によれば、低いコストで被梱包物を十分に保冷することが可能な保冷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る保冷容器(梱包体)の斜視図である。
【
図2】
図1の保冷容器(梱包体)の分解斜視図である。
【
図3】袋体とこれに収容される内箱を示す図である。
【
図4】
図1の保冷容器(梱包体)のIV-IV線断面図である。
【
図5】断熱部材(紙製部材)の一例を示す断面図である。
【
図6】断熱部材(紙製部材)の別の例を示す断面図である。
【
図7】断熱部材(紙製部材)において重ね合わせられている紙材を拡大して示す断面図である。
【
図8】保冷容器(梱包体)にもなり得る内箱の斜視図である。
【
図9】(A)は実施例1で用いた凹凸形状を有するコピー用紙の写真であり、(B)は実施例2で用いた凹凸形状を有するコピー用紙の写真である。
【
図10】(A)及び(B)は、実施例1及び比較例1の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図11】(A)及び(B)は、実施例2及び比較例2の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図12】(A)及び(B)は、実施例3及び比較例3の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図13】(A)及び(B)は、実施例4及び比較例4の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図14】(A)及び(B)は、実施例5及び比較例5の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図15】(A)及び(B)は、実施例6及び実施例7の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図16】(A)及び(B)は、実施例8及び実施例9の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図17】(A)及び(B)は、比較例6及び比較例7の保冷性能の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、場合により図面を参照して、本開示の一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0013】
一実施形態に係る保冷容器100(梱包体200)は、
図1に示すような外観を有し、
図2及び
図3に示すように分解することができる。
図1~
図3に示すように、保冷容器100(梱包体200)は、外箱60と、外箱60の底部に収容される底部材42、樹脂製の袋体30及び封止部材20とを備える。袋体30には、側壁部材41と、側壁部材41で取り囲まれる収容部を閉鎖空間にする内蓋部材10と、が収容される。被梱包物は、底部材42の上面に重ね合わせられる袋体30、4つの側壁部材41、及び内蓋部材10で形成される閉鎖空間に収容される。すなわち、被梱包物を収容する閉鎖空間の底面は袋体30の一部、閉鎖空間の側面は側壁部材41、及び、閉鎖空間の天面は内蓋部材10でそれぞれ構成される。
【0014】
外箱60は、例えば通常の段ボール箱であってよい。外箱60の上面は開放可能に構成されており、4つの側壁64の上端には、それぞれ蓋部材61(フラップ)が連設されており、蓋部材61を内側に折り込むことによって、外箱60が閉鎖される。閉鎖状態では、蓋部材61は、テープ66をH状に貼着することによって固定されてよい。
図1に示すように、外箱60の下面も、テープ66を貼着することによって固定されてよい。
【0015】
外箱60には、
図2に示すように、底部材42の上に袋体30が収容されている。
図3に示すように袋体30は上部に開口24を有しており、袋体30の内部には、側壁部材41と、側壁部材41の上端部に被せられる内蓋部材10が一体(内箱40)となって収容されている。側壁部材41及び内蓋部材10が収容された状態で、袋体30の上部が折り畳まれて開口24が閉じられ、
図2に示すような折り畳み部32が形成されて袋体30が封止される。袋体30の折り畳み部32は、折り目を有しており、袋体30の上端部同士が重ね合わされて形成される。このような折り畳み部32が、
図2及び
図3に示すように、内蓋部材10の上面13と、封止部材20の下面との間に挟まれる。このようにして、折り畳み部32が挟まれた封止構造が形成される。
【0016】
袋体30は、樹脂製である。樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE,LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、及びナイロン等が挙げられる。このうち、低コストで良好な折り曲げ性を有するともに、ある程度のガス透過性を有する観点から、ポリオレフィンが好ましく、ポリオレフィンの中でも高密度ポリエチレン(HDPE)がより好ましい。高密度ポリエチレンであれば、折り畳み部32における高い封止性を維持しつつ、冷却材としてドライアイス等の昇華又は気化する冷却材を用いても、過剰に内圧が上昇することを抑制できる。袋体30の二酸化炭素のガス透過度は、内圧の過剰な上昇を抑制しつつ優れた保冷性を十分に維持する観点から、10,000~300,000mL/m2・d・MPaであってよく、20,000~200,000mL/m2・d・MPaであってもよい。このガス透過度は、20℃,65%RHの環境下、JIS K 7126-1に準拠して測定することができる。
【0017】
図4に示すように、内蓋部材10は、側壁部材41の上端を覆うように被せられて、収容部72を閉鎖空間にする。内蓋部材10は、蓋体としての機能と、折り畳み部32を挟んで封止する封止部材としての機能とを兼ね備えていてよい。
図4の収容部72には、被梱包物及びドライアイス等の冷却材が収容されていてよい。袋体30は、外箱60と側壁部材41との間に介在しつつ、収容部72の底面において露出している。袋体30の上部は折り畳まれて折り畳み部32を構成している。
【0018】
図4に示すように、折り畳み部32は内蓋部材10(上面13)と封止部材20(下面23)とに間に挟まれている。保冷容器100(梱包体200)は、折り畳み部32が、内蓋部材10の第1樹脂シートで被覆されている上面13と、封止部材20の第2樹脂シートで被覆されている下面23とによって挟まれた封止構造90を有する。封止構造90は外箱60によって取り囲まれている。外箱60の蓋部材61は例えばクラフトテープ等のテープ66で固定される。封止構造90は、上面13、折り畳み部32及び下面23の密着状態が維持されるように外箱60によって拘束されている。
【0019】
保冷容器100(梱包体200)は、封止構造90を有するため、密封性を十分に高くすることができる。上面13と下面23の面積は略同一であってよく、互いに中心が位置合わせされていてよい。下面23の外縁は、外箱60の内周壁に接していてもよい。これによって、密封性を一層高くすることができる。
【0020】
図4では収容部72に収容される被梱包物及び冷却材が図示されていないが、収容部72には、被梱包物とともにドライアイスが収容されてよい。この場合、ドライアイスの昇華に伴って、閉鎖空間となっている袋体30の内圧が上昇し、袋体30が膨張する。折り畳み部32から二酸化炭素ガスが漏れ出すと、内蓋部材10が持ち上げられて封止部材20に向かう方向に押し付けられる。封止構造90は外箱60によって拘束されていることから、折り畳み部32は上面13及び下面23によって強固に挟まれることとなる。このため、折り畳み部32が緩んだり、折り畳み部32と上面13及び下面23と間に隙間が生じたりすることが抑制される。よって、封止構造90からガス(冷気)が袋体30の外部に大量に漏れ出すことを抑制することができる。なお、本実施形態では、外箱60の底面と袋体30との間に底部材42を配置しているため、冷却材としてドライアイスを収容していても外箱60の底面が膨らむことを抑制することができる。
【0021】
保冷容器100の構造体である側壁部材41、底部材42及び内蓋部材10の少なくとも一つは、断熱部材であってよい。このように、保冷容器100の形状を保持する機能を有するものが、保冷容器100の構造体に該当する。側壁部材41、底部材42及び内蓋部材10の少なくとも一つを断熱部材で構成することによって、収容部72を十分に保冷することができる。断熱部材は、表面に凹凸形状を有する紙材と、上記表面が対向するように重ね合わせられた紙材の間に凹凸形状で形成される空隙部と、を有する。側壁部材41、底部材42及び内蓋部材10の全てを断熱部材で構成することによって、保冷容器100の保冷性能を一層向上することができる。
【0022】
本開示における「紙材」は、表面に凹凸形状を有するシート状の紙であってよく、紙片であってもよい。本明細書における「紙」は、JIS P0001:1998の第4項の番号4004で定義されるとおり「植物繊維その他の繊維をこう(膠)着させて製造したもの」であり、「素材として合成高分子物質を用いて製造した合成紙のほか,繊維状無機材料を配合した紙も含む。」ものである。板紙は上記「紙材」から除かれる。紙材は、具体的には、和紙であってもよいし、洋紙であってもよい。紙材の好適な例としては、ペーパ―タオル、キッチンペーパー、ティッシュペーパー、キッチンタオル(紙製のもの)、クレープ紙、新聞、コピー用紙等が挙げられる。紙材は、新品(未使用品)であってもよいし、使用済品(リサイクル品)であってもよい。各種紙材は、インキ及びトナー等でデザイン又は文字等が印刷されたものであってもよい。
【0023】
紙材(シート)1枚当たりの厚み(紙厚)は、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下である。このような厚みを有する紙材を用いることによって、コンパクトなサイズを維持しつつ断熱部材における空隙部の層数又は体積を大きくすることができる。したがって、保冷容器100(梱包体200)の保冷性能を一層向上することができる。
【0024】
紙材の1m2当たりの重量(坪量)は、好ましくは150g/m2以下、より好ましくは100g/m2以下、さらに好ましくは80g/m2以下である。これによって、保冷容器100の重量を維持しつつ、紙材の量を増やして保冷性能を一層向上することができる。
【0025】
紙材は表面に凹凸形状を有することによって、紙材を重ね合わせたときに隣り合う紙材の間における空隙部を大きくすることができる。このような空隙部を有することによって、保冷性能を向上することができる。凹凸形状は、エンボス加工で形成されたものであってもよいし、クレープ加工で形成されたものであってもよい。
【0026】
図5及び
図6は断熱部材(紙製部材)の例を示す断面図である。
図5の断熱部材50は、複数の紙材53が積み重ねられた積層体51Aと、積層体51Aを収納する紙製の収納体58を備える。積層体51Aは、表面に凹凸形状を有する複数の紙材53が積み重ねられて構成されることから、積層方向に沿って隣り合う紙材53の間に空隙部を有する。紙材53の枚数は、保冷性能を一層高くする観点から、好ましくは10枚以上、より好ましくは20枚以上、さらに好ましくは30枚以上、特に好ましくは50枚以上である。紙材53の枚数は、断熱部材50の軽量化及びコンパクト化を図る観点から、好ましくは200枚以下、より好ましくは150枚以下、さらに好ましくは100枚以下である。複数ある紙材53の種類及び大きさは互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0027】
複数の紙材53は、帯又は紐等の拘束部材を用いて束ねられ、紙束となっていてもよいし、収納体58が複数の紙材53を拘束していてもよい。これによって、紙材53が収納体58の内部で動いて、摩擦によって破損することを十分に抑制することができる。積層体51Aの厚みtは、保冷性能を一層高くする観点から、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは20mm以上、特に好ましくは25mm以上である。積層体51Aの厚みtは、断熱部材50の軽量化及びコンパクト化を図る観点から、好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下、さらに好ましくは60mm以下である。
【0028】
積層体51Aの見掛け密度は、保冷性能を一層高くする観点から、好ましくは0.20g/cm3以下、より好ましくは0.15g/cm3以下、さらに好ましくは0.10g/cm3以下、特に好ましくは0.05g/cm3以下である。この見掛け密度は、積層体51Aの重量を積層体51Aの体積(直方体の場合は、縦×横×厚みt)で割って算出することができる。
【0029】
収納体58を構成する紙は、紙材53よりも1m2当たりの重量(坪量)が大きいことが好ましい。これによって、断熱部材50の剛性を高くすることができる。収納体58を構成する紙の坪量は、好ましくは200g/m2以上、より好ましくは240g/m2以上、さらに好ましくは280g/m2以上である。収納体58を構成する紙は、例えば、コートボール紙等の板紙(ボール紙)であってよく、段ボールであってもよい。断熱部材50は、紙のみで構成されていてよい。これによって、リサイクルする際の分別を円滑に行うことができる。収納体58の外形は直方体形状であるが、このような形状に限定されない。
【0030】
図6の断熱部材50Aは、紙材53を巻いて構成される複数のロール体51Bと、ロール体51Bを収納する紙製の収納体58を備える。ロール体51Bは、表面に凹凸形状を有する紙材53が例えば中芯に巻き付けて構成される。このようなロール体51Bは、ロール体51Bの径方向に沿って隣り合う紙材53の間に空隙部を有する。紙材53の巻き数は、保冷性能を一層高くする観点から、好ましくは20回巻き以上、より好ましくは30回巻き以上、さらに好ましくは50回巻き以上である。
【0031】
紙材53の巻き数は、断熱部材50Aの軽量化及びコンパクト化を図る観点から、好ましくは100回巻き以下、より好ましくは80回巻き以下、さらに好ましくは60回巻き以下である。ロール体51Bは、複数枚の紙材53を重ねたものを巻いたものであってもよい。中芯はあってもよいしなくてもよい。中芯を用いる場合は、紙製のものを用いることが好ましい。ロール体51Bの直径trは、保冷性能を十分に高くする観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上であってよい。なお、ロール体は円筒形状又は円柱形状に限定されず、扁平していてもよい。
【0032】
図7は、
図5の積層体51Aにおける紙材53を拡大して示す断面図である。紙材53は一方面に凸部53aを、他方面に凹部53bを有する。このように、一方面に凸部53aを、他方面に凹部53bを有する紙材53は、両方の表面に凹凸形状を有する。隣り合う紙材53は、凸部53a同士(一方面同士)、又は凹部53b同士(他方面同士)が対向するように配置されている。このように、紙材53は、凸部53a同士及び凹部53b同士が対向するように重ね合わされている。これによって、隣り合う紙材53の間に形成される空隙部54のサイズを十分に大きくすることができる。したがって、保冷性能を一層高くすることができる。積層体51Aに含まれる紙材53の全てが
図7に示すような向きで重ね合わせられていてもよいし、紙材53の一部のみが
図7に示すような向きで重ね合わせられていてもよい。また変形例では、隣り合う紙材53同士の全てが、凸部53aと凹部53bが対向するように配置されていてもよい。ただし、保冷性能をより一層高くする観点から、積層体51Aに含まれる全ての紙材53の50%以上、70%以上、又は90%以上が、凸部53a同士及び凹部53b同士が対向するように重ね合わせられていることが好ましい。
【0033】
図6のロール体51Bにおいて径方向に隣り合う紙材53も、凸部53a同士及び凹部53b同士が対向するように重ね合わせられていることが好ましい。例えば、凸部53a同士が対向するように重ね合わせられた2枚重ねの紙材53を巻いてロール体51Bを形成してもよい。これによって、
図7に示すような積層構造を有するロール体51Bを円滑に製造することができる。
【0034】
紙材53の凹凸形状(凸部53a及び凹部53b)は、エンボス加工で形成されたものであってもよいし、クレープ加工で形成されたものであってもよい。基準面(主面)に対する凸部53aの高さhは、例えば0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であってよい。これによって空隙部のサイズを大きくして保冷性能を一層向上することができる。紙材53の破損を抑制する観点から、凸部53aの高さhは、例えば1.5mm以下、又は1mm以下であってよい。基準面(主面)に対する凹部53bの深さは、凸部53aの高さと同じ程度であってよい。複数ある凸部53a及び凹部53bの形状及びサイズは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
紙材53の構造は
図7のものに限定されない。また、側壁部材41、底部材42及び内蓋部材10を構成するの断熱部材の構造も、上述の断熱部材50,50Aに限定されない。例えば、収納体58に、積層体51Aとロール体51Bの両方が収納されていてもよい。収納体58には、積層体51A及びロール体51B以外の部材(例:段ボール紙等)が収納されていてもよい。収納体58には紙材53とともに凹凸形状を有しない紙材が収納されていてもよい。
【0036】
図8に示す内箱40は、側壁部材41と、側壁部材41で取り囲まれる収容部72と、収容部72に収容される被梱包物70及び被梱包物70の上に載置された冷却材75と、側壁部の上端側を覆う内蓋部材10(蓋部材)とを有する。側壁部材41は、4つの断熱部材50(50A)で構成されてよい。内蓋部材10も、断熱部材50(50A)で構成されてよい。4つの側壁部材41は連結されていてもよいし、
図1及び
図2に示す外箱60の内壁に沿って並べることで側壁部を形成してもよい。また、内箱40に断熱部材50(50A)で構成される底部材を取り付けて、変形例に係る保冷容器(梱包体)としてもよい。
【0037】
側壁部材41、内蓋部材10及び底部材42の各構造体を
図5の断熱部材50で構成する場合、積層体51Aにおける紙材53の積層方向と、収容部72を形成する内壁とが交差又は直交するように、断熱部材50を配置することが好ましい。これによって、断熱部材50による保冷性能を一層高くすることができる。
【0038】
被梱包物70は、冷凍食品及び冷菓に限定されず、例えば生鮮食品又は飲料であってもよい。保冷容器100は、発泡スチロールを含まず、紙及び樹脂シートのみで構成されてもよい。このような保冷容器は、軽量であるうえに、使用後に再生してリサイクルすることが容易である。このため、リサイクルを促進して資源の一層の有効活用を図ることができる。
【0039】
保冷容器100(梱包体200)は、側壁部材41、内蓋部材10、底部材42として、紙材53と、重ね合わせられた紙材53の間に、紙材53の表面における凹凸形状で形成される空隙部54と、を有する断熱部材50(50A)を備える。断熱部材50(50A)は、表面に凹凸形状を有する紙材53を用いていることから、解繊物を用いる場合に比べて低い製造コストで製造することができる。また、断熱部材50(50A)は凹凸形状で形成される空隙部54を有することから保冷性能に優れる。したがって、保冷容器は、製造コストを低減することが可能であり、保冷性にも十分に優れる。
【0040】
一実施形態に係る保冷方法は、保冷容器100、内箱40又はこれら変形例によって実施することができる。この保冷方法では、断熱部材50(50A)で取り囲まれる収容部72に被梱包物70と冷却材75を収容する。したがって、この保冷方法は、低いコストで被梱包物を十分に保冷することができる。
【0041】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、保冷容器100は四角柱状の外観を有しているが、円柱状のものであってもよい。また、保冷容器100は内箱40と外箱60を備える二重構造になっていたが、このような構造に限定されず、内箱40に底部材42を接続して保冷容器として用いてもよい。保冷容器100(内箱40)の構造体である側壁部材41、底部材42、及び内蓋部材10の全てが断熱部材50(50A)で構成されていなくてもよい。外箱は、二重又は三重に重ね合わせてもよいし、その場合、段ボールと紙器用板紙とを組み合わせて構成してもよい。収容部72は、鉛直方向又は水平方向に沿って複数に区画されていてもよい。紙材53は、一方面に凸部53aを、他方面に凹部53bを有していたが、変形例では、一方面及び他方面のそれぞれが凸部及び凹部を有していてもよい。この場合も、凹部と凸部の位置がずれていれば、十分に大きな空隙部を形成することができる。
【0042】
本開示は、以下の内容を含む。
[1]断熱部材を備える保冷容器であって、
前記断熱部材は、
表面に凹凸形状を有する紙材と、
前記表面が対向するように重ね合わせられた前記紙材の間に前記凹凸形状で形成される空隙部と、を有する、保冷容器。
[2]前記凹凸形状は、エンボス加工及び/又はクレープ加工によって形成されている、[1]に記載の保冷容器。
[3]前記断熱部材における前記紙材の少なくとも一部は、前記凹凸形状を構成する凹部同士及び凸部同士が対向するように重ね合わせられている、[1]又は[2]に記載の保冷容器。
[4]前記紙材の厚みが300μm以下であり、
前記断熱部材は、複数の前記紙材が積み重ねられた積層体、及び、前記紙材がロール状に巻かれたロール体、の一方又は双方を含む紙製部材を含む、[1]~[3]のいずれか一つに記載の保冷容器。
[5]前記断熱部材は、前記紙製部材と、前記紙製部材を収納する紙製の収納体と、を備え、
前記断熱部材は、被梱包物を収容する収容部を形成する構造体の一部を構成する、[1]~[4]のいずれか一つに記載の保冷容器。
[6]前記断熱部材は積層体を含み、
前記積層体の厚みが5mm以上であり、前記積層体の見掛け密度が0.20g/cm3以下である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の保冷容器。
[7]被梱包物を収容する収容部と、
前記収容部に収容される冷却材の冷気を封止する樹脂フィルムと、を備える、[1]~[6]のいずれか一つに記載の保冷容器。
[8]上記[1]~[7]のいずれか一つに記載の保冷容器と、
前記保冷容器に梱包される、冷凍食品又は冷菓を含む被梱包物及び前記被梱包物を冷却する冷却材と、を備える、梱包体。
[9]断熱部材を備える保冷容器を用いる被梱包物の保冷方法であって、
前記断熱部材は、
表面に凹凸形状を有する紙材と、
前記表面が対向するように重ね合わせられた前記紙材の間に前記凹凸形状で形成される空隙部と、を有し、
前記断熱部材で取り囲まれる収容部に前記被梱包物と冷却材を収容する、被梱包物の保冷方法。
【実施例0043】
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
<収納体の作製>
コピー用紙(使用済み品、厚み:100μm、坪量:70g/m
2)を準備した。コピー用紙の一方の主面にはインキが印刷されていた。厚み及び坪量の測定には、デジタルノギスと重量計を用いた。このコピー用紙を、52枚重ねて金網(孔のサイズ:4mm×4mm)の上に置いて棒を用いて叩き、コピー用紙の表面に凹凸形状を形成した。
図9(A)に、凹凸形状が形成されたコピー用紙の表面(凸部側)の写真を示す。主面に対する凸部の高さhは、0.4~0.6mmであった。凹凸形状を形成した後、コピー用紙を交互に裏返し、凸部を有する主面同士及び凹部を有する主面同士がそれぞれ向かい合うように52枚のコピー用紙を重ね合わせて積層体を作製した。
【0045】
段ボール(厚み:約1mm)を用いて、直方体形状を有する収納体を作製した。この収納体に、上述のとおり作製した積層体を収納し、
図5に示すような断熱部材を6つ作製した。6つの断熱部材に含まれる積層体のサイズ、体積、重量、見掛け密度及びコピー用紙の積層枚数は、表1に示すとおりとした。このような積層体を有する断熱部材を、側壁部材、内蓋部材、及び底部材に用いて、
図1~
図3に示すような構造を有する直方体形状の保冷容器及び梱包体を作製した。作製手順としては、以下のとおりとした。
【0046】
外箱60として、段ボール箱(縦×横×高さ=262mm×252mm×180mm、厚さ:1mm)を、クラフトテープを用いて組み立てた。
図2に示すように段ボール箱(外箱)の上面を開放した状態で、底部材42を外箱60の底面上に載置した。その後、袋体30を底部材42の上面及び外箱60の内側面に接するように配置した。袋体としては、高密度ポリエチレン製の袋(HDPE,厚さ:13μmm)を用いた。袋体30は、外箱として用いた段ボール箱の周囲長とほぼ同じ周囲長を有するものを用いた。
【0047】
袋体30が外箱60の内側面と側壁部材41との間に介在するように4つの側壁部材41を用いて側壁を形成した。側壁で囲まれた収容部72に、
図8に示すように被梱包物70としてアイスクリーム入りの容器(計8個)を収容した。容器は、上段と下段に分けて、各段に4個ずつ収容した。各段の4つのアイスクリーム容器の中から一つを選択し、選択したアイスクリーム容器の内部に温度計(T&D製のTR-71nw、商品名)のセンサを固定した。上段のアイスクリーム容器の上に
図8に示すようにドライアイス(970g)を載置した。その後、内蓋部材10を被せてアイスクリーム及びドライアイスが収容された収容部72を閉鎖空間とした。
【0048】
内蓋部材10の一方面(上面)に、高密度ポリエチレン製のフィルム(厚さ:12μm)を両面テープで貼着した。このフィルムが貼着された面を覆うように、袋体30の上端を折り畳んで、内蓋部材10の一方面上に折り畳み部32を形成した。この折り畳み部32を覆うように、封止部材20を被せた。封止部材20は、板状の段ボール(厚み:1mm)の一方面(下面)に、高密度ポリエチレン製のフィルム(厚さ:13μm)を両面テープで貼着することによって作製されたものである。フィルムが貼着された面と折り畳み部32とが接するように封止部材20を折り畳み部32に被せた。
【0049】
外箱の蓋部材61(フラップ)を折り畳み、クラフトテープで蓋部材61を固定することによって、封止構造を拘束した。このようにして、
図1に示すような外観を有する保冷容器100及び梱包体200が得られた。なお、上述のとおり、4つの側壁部材、底部材、及び内蓋部材は、表1に示す積層体と、当該積層体が収納された収納体と、からなる断熱部材で構成されている。
【0050】
【0051】
<保冷性能の評価>
密閉後、収容部に収容された上段及び下段のアイスクリーム容器内の温度の経時変化を測定した。なお、外気温は16℃で一定に調節した。測定は約1日間継続して行った。
図10(A)は、測定結果を示すグラフである。下側の曲線は上段のアイスクリーム容器内の温度を、上側の曲線は下段のアイスクリーム容器内の温度を示している。測定開始直後は、ドライアイスによる冷却効果によって温度が低下し、数時間経過後に最低温度に到達した。温度計の仕様の都合上、-40℃以下の温度は測定できなかった。上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の最低温度、1日(24時間)経過後の上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の温度、及びドライアイスの初期重量と1日(24時間)経過後の重量は表16に示すとおりであった。
【0052】
(比較例1)
実施例1で用いたコピー用紙と同等品を準備した。コピー用紙の表面に凹凸形状を形成しなかったこと以外は、実施例1と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。比較例1の積層体のサイズ、体積、重量、見掛け密度及びコピー用紙の積層枚数は、表2に示すとおりであった。実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図10(B)及び表16に示すとおりであった。
【0053】
【0054】
(実施例2)
紙材として、新品のコピー用紙(厚み:80μm、坪量:70g/m
2)を準備した。このコピー用紙を用いたこと、及び、積層体の構成を表3に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。凹凸形状が形成されたコピー用紙の表面(凸部側)の写真は、
図9(B)に示すとおりであった。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図11(A)及び表16に示すとおりであった。
【0055】
【0056】
(比較例2)
実施例2で用いたコピー用紙と同じものを準備した。コピー用紙の表面に凹凸形状を形成しなかったこと以外は、実施例2と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。比較例2の積層体のサイズ、体積、重量、見掛け密度及びコピー用紙の積層枚数は、表4に示すとおりであった。実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図11(B)及び表16に示すとおりであった。
【0057】
【0058】
(実施例3)
紙材として、AIPA株式会社製のハンドペーパー(厚み:90μm、坪量:36g/m
2)を準備した。このハンドペーパーの表面に実施例1と同様にして凹凸形状を形成した。このハンドペーパーを用いたこと、及び、積層体の構成を表5に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図12(A)及び表16に示すとおりであった。
【0059】
【0060】
(比較例3)
実施例3で用いたハンドペーパーと同じものを準備した。ハンドペーパーの表面に凹凸形状を形成しなかったこと以外は、実施例3と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。比較例3の積層体のサイズ、体積、重量、見掛け密度及びハンドペーパーの積層枚数は、表6に示すとおりであった。実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図12(B)及び表16に示すとおりであった。
【0061】
【0062】
(実施例4)
紙材として、市販の新聞紙(厚み:60μm、坪量:42g/m
2)を準備した。この新聞紙の表面に実施例1と同様にして凹凸形状を形成した。この新聞紙を用いたこと、及び、積層体の構成を表7に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図13(A)及び表16に示すとおりであった。
【0063】
【0064】
(比較例4)
実施例4で用いた新聞紙と同じものを準備した。新聞紙の表面に凹凸形状を形成しなかったこと以外は、実施例4と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。比較例4の積層体のサイズ、体積、重量、見掛け密度及び新聞紙の積層枚数は、表8に示すとおりであった。実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図13(B)及び表16に示すとおりであった。
【0065】
【0066】
(実施例5)
紙材として、市販の書道半紙(厚み:70μm、坪量:31g/m
2)を準備した。この書道半紙の表面に実施例1と同様にして凹凸形状を形成した。この書道半紙を用いたこと、及び、積層体の構成を表9に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図14(A)及び表16に示すとおりであった。
【0067】
【0068】
(比較例5)
実施例5で用いた書道半紙と同じものを準備した。書道半紙の表面に凹凸形状を形成しなかったこと以外は、実施例5と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。比較例5の積層体のサイズ、体積、重量、見掛け密度及び書道半紙の積層枚数は、表10に示すとおりであった。実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図14(B)及び表16に示すとおりであった。
【0069】
【0070】
(実施例6)
紙材として、市販のソフトちり紙(厚み:40μm、坪量:25g/m
2)を準備した。このソフトちり紙にはしぼり加工が施してあり、表面に凹凸形状を有していたため、凹凸形状を形成する作業は行わなかった。このソフトちり紙を用いたこと、及び、積層体の構成を表11に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図15(A)及び表16に示すとおりであった。
【0071】
【0072】
(実施例7)
ソフトちり紙(厚み:40μm、坪量:25g/m
2)の積層数を60枚に変更したこと以外は、実施例6と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図15(B)及び表16に示すとおりであった。積層体の構成を表12に示すとおりであった。
【0073】
【0074】
(実施例8)
実施例6と同じソフトちり紙(厚み:40μm、坪量:25g/m
2)を準備した。このソフトちり紙を5枚重ね合わせたもの(ソフトちり紙の間に空隙を含む)を、収納体の中にランダムに詰めた。収納体の中に詰めた充填物の構成は表13に示すとおりであった。なお、充填物のサイズ及び体積は、収納体の内容積と同一と見做した。このような断熱部材を用いたこと以外は、実施例6と同じ手順で
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図16(A)及び表16に示すとおりであった。
【0075】
【0076】
(実施例9)
実施例6と同じソフトちり紙(厚み:40μm、坪量:25g/m
2)を準備した。このソフトちり紙を8枚重ね合わせ、ロール状に巻いてロール体を作製した。このようなロール体を収納体の中に収納して、
図6に示すような断熱部材を作製した。これを、各部材を構成する断熱部材として用いたこと以外は、実施例6と同じ手順で
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図16(B)及び表16に示すとおりであった。ロール体の構成は表14に示すとおりであった。なお、表14に示すサイズ(縦×横×厚みt)及び体積は、収納体の内容積である。
【0077】
【0078】
(比較例6)
市販の段ボール(Aフロート、厚み:5mm、坪量:580g/m
2)を準備した。この段ボールは表面に凹凸形状を有していなかった。この段ボールを用いたこと、及び、積層体の構成を表15に示すとおりにしたこと以外は、比較例1と同じ手順で積層体を作製し、
図1に示すような外観を有する保冷容器及び梱包体を得た。そして、実施例1と同じ手順で保冷性能を評価した。結果は、
図17(A)及び表16に示すとおりであった。
【0079】
【0080】
(比較例7)
市販の発泡スチロール製の保冷容器を準備した。保冷容器の側壁部、底部及び蓋部の各厚みは、23mmであった。この保冷容器に、アイスクリーム容器を収容して梱包し、実施例1と同様にして保冷性能を評価した。結果は、
図17(B)及び表16に示すとおりであった。
【0081】
【0082】
表16に示す実施例1~5と比較例1~5をそれぞれ比較すると、表面に凹凸形状を有する紙材を含む断熱部材を用いた実施例の方が、表面に凹凸形状を有しない断熱部材を用いた比較例よりも、保冷性能に優れることが確認された。いずれの実施例も、段ボールを用いた比較例6よりも保冷性能に優れ、発泡スチロールを用いた比較例7と遜色ない保冷性能を有していた。
10…内蓋部材、13…上面、20…封止部材、23…下面、24…開口、30…袋体、32…折り畳み部、40…内箱、41…側壁部材、42…底部材、50,50A…断熱部材、51A…積層体、51B…ロール体、53…紙材、53a…凸部、53b…凹部、54…空隙部、58…収納体、60…外箱、61…蓋部材、64…側壁、66…テープ、70…被梱包物、72…収容部、75…冷却材、90…封止構造、100…保冷容器、200…梱包体。