(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113963
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】排気部品
(51)【国際特許分類】
F01N 13/18 20100101AFI20240816BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F01N13/18
F01N3/28 301W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019274
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大嵜 辰俊
(72)【発明者】
【氏名】野村 樹
(72)【発明者】
【氏名】宮下 大志
【テーマコード(参考)】
3G004
3G091
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004CA00
3G004DA01
3G004DA11
3G004DA14
3G004GA06
3G091AA02
3G091AB02
3G091AB13
3G091BA39
3G091HA01
3G091HB01
(57)【要約】
【課題】溶接不良を低減する。
【解決手段】車両に搭載され、排気流路を形成する排気部品は、内側部材と、外側部材と、を備える。外側部材は、内側部材の外面を覆う部材であり、第1及び第2部材を含む複数の部材により構成される。第1部材の端部である第1端部と、第2部材の端部である第2端部とは溶接されている。第1端部は、第1突合せ部と、第1ラップ部と、を備える。第2端部は、第2突合せ部と、第2ラップ部と、を備える。第1及び第2突合せ部は、内側部材の外面に当接する。第1及び第2ラップ部は、内側部材の外面に当接しない。第1突合せ部の端面と、第2突合せ部の端面とは当接する。第1ラップ部は、第1突合せ部よりも第2端部側に突出しており、第2ラップ部の外側を覆う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、排気流路を形成する排気部品であって、
外面を有する内側部材と、
前記外面を覆う部材である外側部材と、
を備え、
前記外側部材は、
前記外面に当接する部位である接触部と、
前記接触部に隣接し、かつ、前記外面に当接しない部位である本体部と、
を有し、
前記外側部材は、第1部材及び第2部材を含む複数の部材により構成され、
前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ、前記接触部と前記本体部とに跨って設けられ、
前記第1部材の端部である第1端部と、前記第2部材の端部である第2端部とが溶接されており、
前記第1端部は、前記接触部に位置する第1突合せ部と、前記本体部に位置する第1ラップ部と、を備え、
前記第2端部は、前記接触部に位置する第2突合せ部と、前記本体部に位置する第2ラップ部と、を備え、
前記第1突合せ部の端面と、前記第2突合せ部の端面とが当接し、
前記第1ラップ部は、前記第1突合せ部よりも前記第2端部側に突出しており、前記第2ラップ部の外側を覆う、
排気部品。
【請求項2】
請求項1に記載の排気部品であって、
前記内側部材は、筒状の部材であり、
前記外面は、前記内側部材の外周面であり、
前記外側部材は、前記外周面を囲むように配置され、
前記接触部は、前記外周面を周回する部位である、
排気部品。
【請求項3】
請求項2に記載の排気部品であって、
前記外側部材には、当該外側部材の内部と外部とを連通する穴が設けられており、
前記内側部材は、前記穴を通過するように設けられており、
前記接触部は、前記穴を囲む縁部から外部に突出するように設けられており、
前記第2部材は、筒状の部材であり、
前記第1部材は、前記第2部材の端部に位置する開口を覆う部材であり、
前記第1部材は、前記開口に対面する部位である対面部と、前記対面部の縁部から前記第2部材に向かって突出し、前記対面部を囲む壁状の部位である側壁と、を有し、
前記第1端部は、前記側壁における前記第2部材側の端部であり、
前記第2端部は、前記開口を囲む端部である、
排気部品。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の排気部品であって、
前記排気部品は、排気を浄化する装置として構成される、
排気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は排気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、筒状シェルと、筒状シェルの開口を覆う蓋部材を備え、筒状シェルの内部に浄化部材が配置された排気浄化装置が知られている。蓋部材は、筒状シェルの開口に対面する対面部と、対面部の縁部から筒状シェル側に突出する側壁とを有し、側壁における筒状シェル側の端部と、筒状シェルにおける開口を囲む端部とが溶接されている。
【0003】
また、蓋部材の側壁の端部と筒状シェルの端部とには、それぞれ、円弧状に湾曲した溝部が設けられている。これらの溝部は対面するように配置されており、これにより、蓋部材の側壁と筒状シェルとの境界に穴部が形成されるとともに、これらの溝部により、該穴部を囲む縁部から外側に突出する折り返し部が形成される。そして、該穴部を通過するように、浄化部材に向けて排気を流入させる流路管が設けられており、折り返し部は流路管の外周面に溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、特許文献1の技術では、蓋部材と筒状シェルとの溶接部分は、蓋部材の側壁の端部が、筒状シェルの端部に外側から重なるように配置されたラップ構造を有する。そして、ラップ構造は折り返し部における蓋部材と筒状シェルとの溶接部分にも設けられている。このため、折り返し部では、ラップ構造により蓋部材及び筒状シェルと流路管との間に隙間が生じやすく、その結果、折り返し部を流路管に溶接する際に、溶接不良が生じるおそれがあった。
【0006】
本開示の一局面は、溶接不良を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両に搭載され、排気流路を形成する排気部品であって、内側部材と、外側部材と、を備える。内側部材は、外面を有する。外側部材は、内側部材の外面を覆う部材である。また、外側部材は、接触部と、本体部と、を有する。接触部は、内側部材の外面に当接する部位である。本体部は、接触部に隣接し、かつ、内側部材の外面に当接しない部位である。外側部材は、第1部材及び第2部材を含む複数の部材により構成される。第1部材及び第2部材は、それぞれ、接触部と本体部とに跨って設けられる。第1部材の端部である第1端部と、第2部材の端部である第2端部とが溶接されている。第1端部は、第1突合せ部と、第1ラップ部と、を備える。第1突合せ部は、接触部に位置する。第1ラップ部は、本体部に位置する。第2端部は、第2突合せ部と、第2ラップ部と、を備える。第2突合せ部は、接触部に位置する。第2ラップ部は、本体部に位置する。第1突合せ部の端面と、第2突合せ部の端面とが当接する。第1ラップ部は、第1突合せ部よりも第2端部側に突出しており、第2ラップ部の外側を覆う。
【0008】
このような構成によれば、接触部における第1端部及び第2端部は、互いの端面を当接するように配置される。このため、内側部材と第1部材及び第2部材との間に生じる隙間を低減することが可能となり、溶接不良を低減することができる。
【0009】
本開示の一態様では、内側部材は、筒状の部材であってもよい。内側部材の外面は、内側部材の外周面であってもよい。外側部材は、外周面を囲むように配置されてもよい。接触部は、外周面を周回する部位であってもよい。
【0010】
このような構成によれば、内側部材が筒状の部材である排気部品において、溶接不良を低減することができる。
本開示の一態様では、外側部材には、当該外側部材の内部と外部とを連通する穴が設けられていてもよい。内側部材は、穴を通過するように設けられていてもよい。接触部は、穴を囲む縁部から外部に突出するように設けられていてもよい。第2部材は、筒状の部材であってもよい。第1部材は、第2部材の端部に位置する開口を覆う部材であってもよい。また、第1部材は、対面部と、側壁と、を有してもよい。対面部は、開口に対面する部位である。側壁は、対面部の縁部から第2部材に向かって突出し、対面部を囲む壁状の部位である。第1端部は、側壁における第2部材側の端部であってもよい。第2端部は、開口を囲む端部であってもよい。
【0011】
このような構成によれば、第2部材が筒状の部材である排気部品において、溶接不良を低減することができる。
本開示の一態様は、上述した排気部品が、排気を浄化する装置として構成される。
【0012】
このような構成によれば、排気を浄化する装置において、溶接不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の排気部品の分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態の排気部品における、第1接触部の周辺の部分の拡大図である。
【
図3】第1実施形態の排気部品における、蓋側突合せ部及びシェル側突合せ部の周辺の部分の拡大図である。
【
図4】蓋側突合せ部、シェル側突合せ部、及びパイプにおける軸線Aと垂直な断面図である。
【
図5】蓋側ラップ部、シェル側ラップ部、及びパイプにおける軸線Aと垂直な断面図である。
【
図6】第2実施形態の排気部品における、第1接触部の周辺の部分の拡大図である。
【
図7】第2実施形態の排気部品における、蓋側突合せ部及びシェル側突合せ部の周辺の部分の拡大図である。
【
図8】第3実施形態の排気部品における、第1接触部の周辺の部分の拡大図である。
【
図9】第3実施形態の排気部品における、蓋側突合せ部及びシェル側突合せ部の周辺の部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
[1-1-1.全体構成]
図1に示す排気部品1は、車両に搭載され、車両の内燃機関から排出された排気を外部に排出するための排気流路の一部を構成する部品である。排気部品1は、内部で排気を浄化するように構成されている。
【0015】
排気部品1は、パイプ2と外側部材3とを備える。
パイプ2は、軸線Aの方向に沿って直線状に延びる円筒状の部材である。パイプ2における軸線Aに直交する断面(以下、パイプ2の断面と記載する。)は、一例として、円形となっている。
【0016】
外側部材3は、軸線Bの方向に沿って直線状に延びる円筒状の部材(後述するシェル5)と、外側部材3の第1端(換言すれば、シェル5の第1端)に位置する開口55を閉塞する部材(後述する蓋部材4)と、を有する部材である。外側部材3における軸線Bに直交する断面(以下、外側部材3の断面と記載する。)は、一例として、円形となっている。外側部材3の第2端(換言すれば、シェル5の第2端)に位置する開口は、排気部品1における排気の出口を形成し、排気流路を構成する他の部材に接続される。
【0017】
外側部材3の側面には、当該外側部材3の内部と外部とを連通する円形の第1穴33a及び第2穴33bが設けられている。第1穴33a及び第2穴33bは、外側部材3の第1端の付近に位置し、外側部材3の断面の中心を挟んで外側部材3の径方向に対面する。
【0018】
パイプ2は、第1穴33a及び第2穴33bを通過するように配置されており、パイプ2の第1端及び第2端は、それぞれ、第1穴33a及び第2穴33bから突出している。パイプ2の第1端に位置する開口は、排気部品1への排気の入口を形成し、排気流路を構成する他の部材に接続される。一方、パイプ2の第2端に位置する開口は、キャップ部材によって閉塞されている。外側部材3の内部に位置するパイプ2の側面には、多数の貫通孔21が設けられている。パイプ2の第1端の開口から流入する排気は、貫通孔21から外側部材3内に流出する。
【0019】
外側部材3の内部における排気流路の下流側には、浄化部材が配置される。浄化部材の一例として、触媒やフィルタ等が挙げられる。触媒の一例として、排気中の炭化水素を二酸化炭素と水に変化させ、一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に変化させる酸化触媒や、排気中の窒素酸化物の内、一酸化窒素を二酸化窒素に変化させる酸化触媒がある。フィルタの一例として、排気中のすすを捕捉して燃焼させるDPF(Diesel Particulate Filter)がある。
【0020】
外側部材3内に流入した排気は、浄化部材によって浄化され、排気流路の下流に流出する。
[1-1-2.外側部材の構成]
外側部材3は、第1接触部31aと、第2接触部31bと、本体部32と、を有する(
図1参照)。第1接触部31aは、第1穴33aを囲む縁部から外部に突出し、パイプ2の外周面に当接する部位である。第1接触部31aは、パイプ2の外周面を周回する。
【0021】
第2接触部31bは、第1接触部31aと同様に構成されており、第2穴33bを囲む縁部から外部に突出し、パイプ2の外周面を周回して当接する。
本体部32は、第1接触部31a及び第2接触部31bに隣接し、パイプ2の外周面に当接しない部位である。
【0022】
外側部材3は、円筒状の部材であるシェル5と、シェル5の第1端(以下、シェル側端部53という。)に位置する開口55を覆う部材である蓋部材4と、を備える。蓋部材4は、シェル5に比べて浅い形状である。すなわち、軸線Bの方向において、蓋部材4の長さはシェル5の長さよりも短い。シェル5の第2端は、外側部材3の第2端を形成する。外側部材3が備える浄化部材は、シェル5の内部に配置される。蓋部材4は、開口55に対面する部位である対面部45と、対面部45の縁部からシェル5に向かって突出し、対面部45を囲む壁状の部位である側壁46と、を備える。蓋部材4及びシェル5は、パイプ2を挟むように位置している。
【0023】
蓋部材4は、第1蓋側接触部41aと、第2蓋側接触部41bと、蓋側本体部42と、を有する。シェル5は、第1シェル側接触部51aと、第2シェル側接触部51bと、シェル側本体部52と、を有する。
【0024】
第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bは、側壁46における対面部45と反対側の端部(以下、蓋側端部43という。)に位置する。第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bは、シェル側端部53に位置する。第1蓋側接触部41a、第2蓋側接触部41b、第1シェル側接触部51a、及び第2シェル側接触部51bは、それぞれ円弧状に湾曲した壁状の部位である。
【0025】
第1蓋側接触部41aと第1シェル側接触部51aとが対面して配置されることにより、円形の第1穴33aが形成される。また、第1蓋側接触部41aの周方向の両端は、それぞれ第1シェル側接触部51aの周方向の両端に当接するように配置され、このように配置された第1蓋側接触部41a及び第1シェル側接触部51aにより、第1接触部31aが形成される。
【0026】
第2接触部31bも第1接触部31aと同様に形成される。すなわち、第2蓋側接触部41bと第2シェル側接触部51bとが対面して配置されることにより、円形の第2穴33bが形成される。また、第2蓋側接触部41bの周方向の両端は、それぞれ第2シェル側接触部51bの周方向の両端に当接するように配置され、このように配置された第2蓋側接触部41b及び第2シェル側接触部51bにより、第2接触部31bが形成される。
【0027】
蓋側本体部42は、第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bに隣接し、パイプ2の外周面に当接しない部位である。シェル側本体部52は、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bに隣接し、パイプ2の外周面に当接しない部位である。
【0028】
[1-1-3.蓋側端部及びシェル側端部の付近の構成]
図2及び
図3に示すように、蓋側端部43は、蓋側突合せ部43aと、蓋側ラップ部43bとを有する。蓋側突合せ部43aは、第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bの各々における周方向の両端に位置し、第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bの各々における頂部から軸線Aの方向に延びる。蓋側ラップ部43bは、蓋側本体部42に位置し、第1蓋側接触部41aから第2蓋側接触部41bにわたって延びる。また、蓋側ラップ部43bと蓋側突合せ部43aとの境界には、段差が設けられており、蓋側ラップ部43bは、蓋側突合せ部43aよりもシェル側端部53側に突出する。
【0029】
なお、蓋側突合せ部43aは、第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bから蓋側本体部42にはみ出すように設けられることはない。一方、蓋側ラップ部43bは、第1蓋側接触部41a又は第2蓋側接触部41bに若干はみ出すように設けられていてもよい。
【0030】
また、シェル側端部53は、シェル側突合せ部53aと、シェル側ラップ部53bとを有する。シェル側突合せ部53aは、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bの各々における周方向の両端に位置し、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bの各々における頂部から軸線Aの方向に延びる。シェル側ラップ部53bは、シェル側本体部52に位置し、第1シェル側接触部51aから第2シェル側接触部51bにわたって延びる。なお、シェル側突合せ部53aとシェル側ラップ部53bとの境界には、段差が形成されておらず、シェル側突合せ部53a及びシェル側ラップ部53bは、シェル5の開口55を含む平面に沿って延びている。
【0031】
なお、シェル側突合せ部53aは、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bからシェル側本体部52にはみ出すように設けられることはない。一方、シェル側ラップ部53bは、第1シェル側接触部51a又は第2シェル側接触部51bに若干はみ出すように設けられていてもよい。
【0032】
第1接触部31a及び第2接触部31bにおいて、蓋側突合せ部43aの端面と、シェル側突合せ部53aの端面とは、互いに当接している。
また、本体部32においては、蓋側ラップ部43bとシェル側ラップ部53bとが当接している。すなわち、蓋側ラップ部43bは、シェル側ラップ部53bよりも外側部材3の径方向外側に膨らんでおり、シェル側ラップ部53bの外側を覆っている。蓋側ラップ部43bとシェル側ラップ部53bとは、外側部材3の径方向に対面し、蓋側ラップ部43bの内周面とシェル側ラップ部53bの外周面とが当接する。
【0033】
[1-1-4.蓋側縁部及びシェル側縁部の付近の構成]
第1蓋側接触部41aの頂部を形成する第1蓋側接触部41aの端面、及び、第2蓋側接触部41bの頂部を形成する第2蓋側接触部41bの端面を、蓋側縁部44とする。また、第1シェル側接触部51aにおける第1接触部31aの頂部を形成する端面、及び、第2シェル側接触部51bにおける第2接触部31bの頂部を形成する端面を、シェル側縁部54とする(
図3参照)。
【0034】
蓋側縁部44はシェル側縁部54よりも高い位置にある。すなわち、蓋側縁部44は、軸線Aの方向に対し、シェル側縁部54よりも本体部32から離れた位置にある。また、蓋側縁部44における周方向の両端には、周方向に対する勾配47が形成されている。勾配47は、蓋側縁部44の端部からシェル側縁部54の端部まで延びる。
【0035】
[1-1-5.溶接]
蓋側突合せ部43aの端面とシェル側突合せ部53aの端面とは、溶接されている。これにより、第1蓋側接触部41aと第1シェル側接触部51aとが接合され、第1接触部31aが形成される。また、第2蓋側接触部41bと第2シェル側接触部51bとが接合され、第2接触部31bが形成される。さらに、蓋側ラップ部43bとシェル側ラップ部53bとは、溶接されている。以上の溶接により、蓋部材4とシェル5とが接合され、外側部材3が形成される。
【0036】
蓋側縁部44及びシェル側縁部54は、全周溶接によりパイプ2と接合されている。これにより、パイプ2と外側部材3とが接合され、排気部品1が形成される。
なお、蓋側縁部44と勾配47とが成す角度は、蓋側縁部44及びシェル側縁部54とパイプ2とを全周溶接する場合の溶接線を急激に変化させないように定められる。
【0037】
[1-2.作用、効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の作用及び効果が得られる。
(1a)
図4に示すように、蓋側突合せ部43a及びシェル側突合せ部53aは、パイプ2の外周面に当接しているとともに、それぞれの端面が互いに当接している。
【0038】
このような構成によれば、蓋側突合せ部43a及びシェル側突合せ部53aとパイプ2との間に隙間が生じにくくなる。このため、蓋側突合せ部43a及びシェル側突合せ部53aを溶接するときに溶け落ち等の溶接不良の発生を低減できる。
また、蓋側突合せ部43aの端面とシェル側突合せ部53aの端面との間に隙間が生じた場合でも、蓋側突合せ部43a及びシェル側突合せ部53aと当接するパイプ2の外周面により、溶け落ち等の溶接不良の発生を低減できる。
【0039】
(1b)
図5に示すように、蓋側ラップ部43b及びシェル側ラップ部53bは、パイプ2に当接していないが、蓋側ラップ部43bがシェル側ラップ部53bの外側を覆うようになっている。
【0040】
このような構成によれば、蓋側ラップ部43bとシェル側ラップ部53bとを溶接する際に、溶け落ち等の溶接不良の発生を低減できる。
(1c)蓋側ラップ部43bは、蓋側本体部42に位置し、第1蓋側接触部41aから第2蓋側接触部41bにわたって延びている。また、シェル側ラップ部53bは、シェル側本体部52に位置し、第1シェル側接触部51aから第2シェル側接触部51bにわたって延びている。
【0041】
一方、蓋側突合せ部43aは、第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bから蓋側本体部42にはみ出すように設けられることはない。また、シェル側突合せ部53aは、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bからシェル側本体部52にはみ出すように設けられることはない。
【0042】
このような構成によれば、パイプ2の外周面に当接しない蓋側本体部42及びシェル側本体部52には、蓋側突合せ部43a及びシェル側突合せ部53aのいずれも位置することはなく、蓋側ラップ部43b又はシェル側ラップ部53bが位置する。このため、蓋側本体部42とシェル側本体部52との溶接において、溶け落ち等の溶接不良の発生を低減できる。
【0043】
(1d)蓋側ラップ部43bが第1蓋側接触部41a又は第2蓋側接触部41bに若干はみ出すように設けられる場合がある。この場合、蓋側突合せ部43aと蓋側ラップ部43bとの境界は、第1蓋側接触部41a又は第2蓋側接触部41bに位置し、かつ、蓋側本体部42の付近に位置する。
【0044】
このような構成によれば、蓋側突合せ部43aとシェル側突合せ部53aとを溶接するのに必要な溶接代を確保でき、溶接不良を低減できる。例えば、当該溶接代を、溶接不良の低減を可能にする必要最低限の長さに設定することができる。
また、蓋側本体部42には、必ず蓋側ラップ部43bが位置するため、蓋側本体部42とシェル側本体部52とを溶接する際に溶け落ち等の溶接不良の発生を低減できる。
【0045】
(1e)シェル5は、軸線Bの方向に長い形状であるため、成形や加工等が難しい。一方、蓋部材4は、シェル5に比べて浅い形状であり、成形や加工等が容易である。これに対し、本実施形態では、蓋側ラップ部43bが蓋側突合せ部43aよりもシェル側端部53側に突出しており、蓋側ラップ部43bがシェル側ラップ部53bよりも外側部材3の径方向外側に膨らんでいる。つまり、成形や加工等を困難にする構造が、蓋部材4に集約されている。このため、シェル5の成形や加工等を容易にすることが可能となる。
【0046】
(1f)蓋側縁部44における周方向の両端には、周方向に対する勾配47が形成されている。勾配47は、蓋側縁部44の端部からシェル側縁部54の端部まで延びる。
このような構成によれば、蓋側縁部44及びシェル側縁部54とパイプ2とを全周溶接する場合、溶接線の急激な変化を抑制できるため、溶接不良を低減できる。
【0047】
(1g)蓋側縁部44における勾配47以外の部分は、シェル側縁部54よりも、本体部32から離れた位置にある。
このような構成によれば、外側部材3を軸線Bの方向に長くすることを抑制しつつ、蓋部材4側で外側部材3の容積を増やすことができる。これにより、排気部品1の車両への搭載が困難になることを抑制しつつ、外側部材3の容積を増加できる。このため、例えば、排気部品1が尿素噴霧SCR(Selective Catalytic Reduction)として用いられる場合、尿素と排気との混合による排気の浄化が促進される。
【0048】
加えて、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bの高さを抑えることができるため、シェル5の成形や加工等を行う際に、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bが割れることを抑制できる。
【0049】
なお、第1実施形態では、パイプ2が内側部材に相当し、蓋部材4が第1部材に相当し、蓋側端部43が第1端部に相当し、蓋側突合せ部43aが第1突合せ部に相当し、蓋側ラップ部43bが第1ラップ部に相当する。また、シェル5が第2部材に相当し、シェル側端部53が第2端部に相当し、シェル側突合せ部53aが第2突合せ部に相当し、シェル側ラップ部53bが第2ラップ部に相当する。
【0050】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0051】
上述した第1実施形態では、蓋側縁部44の両端に勾配47が設けられていた。これに対し、第2実施形態では、勾配47が設けられていない点で、第1実施形態と相違する(
図6、
図7参照)。また、第1接触部31a及び第2接触部31bの各々において、蓋側縁部44と、シェル側縁部54とは、軸線Aに垂直な同一平面に沿って延びる。
【0052】
[2-2.作用、効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、第2実施形態によれば、以下の作用及び効果が得られる。
【0053】
(2a)上述のような構成によれば、蓋側縁部44及びシェル側縁部54とパイプ2とを全周溶接する場合、溶接線が直線状となるため、溶接不良をより低減できる。
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
第3実施形態は、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1及び第2実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0054】
上述した第2実施形態では、第1接触部31a及び第2接触部31bの各々において、蓋側縁部44と、シェル側縁部54とは、軸線Aに垂直な同一平面に沿って延びていた。これに対し、第3実施形態では、第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bにおける周方向の両端に、軸線Aの方向に突出した部位である蓋側タブ63が設けられている(
図8、
図9参照)。同様に、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bにおける周方向の両端に、軸線Aの方向に突出した部位であるシェル側タブ73が設けられている。
【0055】
蓋側タブ63は、蓋側タブ縁部64と、蓋側勾配67と、を有する。シェル側タブ73は、シェル側タブ縁部74と、シェル側勾配77と、を有する。
第1接触部31a及び第2接触部31bの各々において、蓋側タブ63及びシェル側タブ73は、互いに周方向に当接している。この当接する部分の付近において、蓋側縁部44のうち蓋側タブ63の頂部を形成する端面を蓋側タブ縁部64とし、シェル側縁部54のうちシェル側タブ73の頂部を形成する端面をシェル側タブ縁部74とする。蓋側タブ縁部64とシェル側タブ縁部74とは、軸線Aに垂直な同一平面に沿って延びている。また、蓋側縁部44において、蓋側タブ縁部64と隣接する部分には、蓋側タブ縁部64を軸線Aの方向に延出させるように、周方向に対する勾配である蓋側勾配67が形成されている。同様に、シェル側縁部54において、シェル側タブ縁部74と隣接する部分には、シェル側タブ縁部74を軸線Aの方向に延出させるように、周方向に対する勾配であるシェル側勾配77が形成されている。
【0056】
なお、蓋側縁部44と蓋側勾配67とが成す角度、及び、シェル側縁部54とシェル側勾配77とがなす角度は、蓋側縁部44及びシェル側縁部54とパイプ2とを全周溶接する場合の溶接線を急激に変化させないように定められる。
【0057】
[3-2.作用、効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、第3実施形態によれば、以下の作用及び効果が得られる。
【0058】
(3a)第1接触部31a及び第2接触部31b全体が高くなるように成形や加工等を行う場合、第1接触部31a及び第2接触部31bが割れやすくなるため、成形や加工等が難しい。これに対し、本実施形態では、第1蓋側接触部41a及び第2蓋側接触部41bにおける周方向の両端に、軸線Aの方向に突出した部位である蓋側タブ63が設けられている。同様に、第1シェル側接触部51a及び第2シェル側接触部51bにおける周方向の両端に、軸線Aの方向に突出した部位であるシェル側タブ73が設けられている。蓋側タブ縁部64とシェル側タブ縁部74とは、軸線Aに垂直な同一平面に沿って延びている。
【0059】
このような構成によれば、第1接触部31a及び第2接触部31bの全体を高くすることなく、蓋側突合せ部43aとシェル側突合せ部53aとを溶接するための溶接代を、蓋側タブ63及びシェル側タブ73がない場合よりも多く確保できる。このため、成形や加工等が容易になるとともに、蓋側突合せ部43a及びシェル側突合せ部53aにおける溶接不良をより低減できる。
【0060】
また、第1接触部31a及び第2接触部31bがパイプ2に当接する部分が増えるため、溶接時の熱量を吸収する吸収代をより確保できる。このため、溶接不良をより低減できる。
(3b)蓋側縁部44において、蓋側タブ縁部64と隣接する部分には、蓋側勾配67が形成されている。同様に、シェル側縁部54において、シェル側タブ縁部74と隣接する部分には、シェル側勾配77が形成されている。
【0061】
このような構成によれば、蓋側縁部44及びシェル側縁部54とパイプ2とを全周溶接する場合、溶接線の急激な変化を抑制できるため、溶接不良を低減できる。
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0062】
(4a)上記実施形態では、外側部材3の側面には、当該外側部材3の内部と外部とを連通する第1穴33a及び第2穴33bが設けられ、パイプ2は第1穴33a及び第2穴33bを通過するように配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、第2穴33bが設けられず、パイプ2の第2端が外側部材3の内部に位置していてもよい。このとき、パイプ2の第2端の開口は、閉塞されていなくてもよい。パイプ2の第2端の開口が閉塞されていないとき、外側部材3の内部に位置するパイプ2の側面の貫通孔21は設けられていなくてもよい。
【0063】
(4b)上記実施形態では、パイプ2及び外側部材3はいずれも円筒状の部材であり、第1穴33a及び第2穴33bは円形の穴であるが、これに限定されるものではない。例えば、パイプ2及び外側部材3の少なくとも一方の断面が楕円状であってもよい。また、パイプ2又は外側部材3が角柱状の部材であってもよい。これらの場合、第1穴33a及び第2穴33bは、パイプ2の断面形状の穴であってもよい。
【0064】
(4c)上記実施形態において、例えば、パイプ2の第1端に位置する開口にフランジを設け、該フランジにより、パイプ2を、排気流路を構成する他の部材に接合してもよい。また、例えば、パイプ2の第1端に位置する開口に別のパイプを接続し、該別のパイプに設けられたフランジを他の部材に接合してもよい。
【0065】
(4d)上記実施形態では、パイプ2の外周面に接合される、筒状の外側部材3の第1接触部31a及び第2接触部31bにて、蓋側突合せ部43a及びシェル側突合せ部53aを含む突合せ構造が形成される。また、外側部材3には、突合せ構造に隣接して、蓋側ラップ部43b及びシェル側ラップ部53bを含むラップ構造が設けられる。しかし、パイプとは異なる構造の部材の外面を覆う外側部材に、上記実施形態と同様の突合せ構造及びラップ構造が設けられていてもよい。また、筒状ではない構成の外側部材に、上記実施形態と同様の突合せ構造及びラップ構造が設けられていてもよい。
【0066】
(4e)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…排気部品、2…パイプ、3…外側部材、4…蓋部材、5…シェル、31a…第1接触部、31b…第2接触部、32…本体部、41a…第1蓋側接触部、41b…第2蓋側接触部、42…蓋側本体部、43…蓋側端部、43a…蓋側突合せ部、43b…蓋側ラップ部、51a…第1シェル側接触部、51b…第2シェル側接触部、52…シェル側本体部、53…シェル側端部、53a…シェル側突合せ部、53b…シェル側ラップ部。