(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113979
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】胃瘻カテーテルキット
(51)【国際特許分類】
A61J 15/00 20060101AFI20240816BHJP
A61M 25/02 20060101ALI20240816BHJP
A61M 25/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61J15/00 Z
A61M25/02 504
A61M25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019303
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】有川 清貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
(72)【発明者】
【氏名】小城 康雅
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 寛満
【テーマコード(参考)】
4C047
4C267
【Fターム(参考)】
4C047BB03
4C047BB13
4C047BB17
4C047BB24
4C047BB26
4C047DD07
4C047NN16
4C267AA02
4C267AA09
4C267AA26
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB25
4C267BB26
4C267BB29
4C267BB32
4C267CC20
4C267DD10
4C267GG03
4C267GG04
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG22
4C267GG43
(57)【要約】
【課題】使用前の胃瘻カテーテルを良好に保持することが可能な胃瘻カテーテルキットを提供する。
【解決手段】胃瘻カテーテルキット400は、胃瘻カテーテル100と、ケース300と、を備え、胃瘻カテーテル100は、ルーメン11が設けられたシャフト10と体表当接部20とを有するカテーテル本体と、シャフト10の下端部に設けられていて胃内で拡張するバンパ50と、バンパ50を収縮状態に維持させるカプセルカバー60と、を備え、留置の際にカプセルカバー60がカテーテル本体1から離脱しバンパ50が拡張するように構成されており、ケース300は、シャフト10、バンパ50及びカプセルカバー60を収容する筒状の収容部310と、収容部310の一端側に配置されていて体表当接部20と嵌合する嵌合部330と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃瘻カテーテルと、前記胃瘻カテーテルを保持するケースと、を備える胃瘻カテーテルキットであって、
前記胃瘻カテーテルは、
ルーメンが設けられたシャフトと体表当接部とを有するカテーテル本体と、
前記シャフトの下端部に設けられていて胃内で拡張するバンパと、
前記バンパを収縮状態に維持させるカプセルカバーと、
を備え、
留置の際に前記カプセルカバーが前記カテーテル本体から離脱し前記バンパが拡張するように構成されており、
前記ケースは、
前記シャフト、前記バンパ及び前記カプセルカバーを収容する筒状の収容部と、
前記収容部の一端側に配置されていて前記体表当接部と嵌合する嵌合部と、
を備える胃瘻カテーテルキット。
【請求項2】
使用時に前記胃瘻カテーテルに対して装着されるオブチュレータを更に備え、
前記胃瘻カテーテルに対する前記オブチュレータの装着動作は、前記シャフトの軸周りにおける回転動作を含み、
前記体表当接部が前記嵌合部に対して嵌合した状態において、前記ケースに対する前記胃瘻カテーテルの回転が規制されている請求項1に記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項3】
前記嵌合部は、
前記体表当接部の一対の側面に沿って配置される一対の側壁部と、
前記体表当接部の下面に沿って配置される底面部と、
を有する請求項2に記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項4】
前記体表当接部が前記嵌合部に対して嵌合した状態において、前記シャフトの軸方向において前記嵌合部からの前記体表当接部の脱落が規制されている請求項1から3のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項5】
前記嵌合部は、前記体表当接部に対して係合する一対の爪部を有する請求項4に記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項6】
前記嵌合部は、前記一対の側壁部からそれぞれ上方に起立する一対の爪部を有し、
前記体表当接部が前記嵌合部に対して嵌合した状態において、前記一対の爪部が前記体表当接部の上面に対して係合し、前記シャフトの軸方向において前記嵌合部からの前記体表当接部の脱落が規制されている請求項3に記載の胃瘻カテーテルキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃瘻カテーテルキットに関する。
【背景技術】
【0002】
胃瘻カテーテルキットとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の胃瘻カテーテルキットの胃瘻カテーテルは、ルーメンが設けられたシャフトと体表当接部とを有するカテーテル本体と、シャフトの下端部に設けられていて胃内で拡張するバンパと、バンパを収縮状態に維持させるカプセルカバーと、を備える胃瘻カテーテルを有し、留置の際にカプセルカバーがカテーテル本体から離脱しバンパが拡張する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本願発明者らの検討によれば、使用前の胃瘻カテーテルを良好に保持することが可能な機器についてニーズがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、使用前の胃瘻カテーテルを良好に保持することが可能な胃瘻カテーテルキットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、胃瘻カテーテルと、前記胃瘻カテーテルを保持するケースと、を備える胃瘻カテーテルキットであって、
前記胃瘻カテーテルは、
ルーメンが設けられたシャフトと体表当接部とを有するカテーテル本体と、
前記シャフトの下端部に設けられていて胃内で拡張するバンパと、
前記バンパを収縮状態に維持させるカプセルカバーと、
を備え、
留置の際に前記カプセルカバーが前記カテーテル本体から離脱し前記バンパが拡張するように構成されており、
前記ケースは、
前記シャフト、前記バンパ及び前記カプセルカバーを収容する筒状の収容部と、
前記収容部の一端側に配置されていて前記体表当接部と嵌合する嵌合部と、
を備える胃瘻カテーテルキットが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用前の胃瘻カテーテルをケースによって良好に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る胃瘻カテーテルキットの正面図である。
【
図2】実施形態に係る胃瘻カテーテルキットの縦断面図である。
【
図3】
図3(a)は実施形態に係る胃瘻カテーテルキットの平面図であり、
図3(b)は実施形態におけるケースの平面図である。
【
図4】実施形態における胃瘻カテーテルの斜視図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は実施形態におけるオブチュレータの連結部及びその周辺構造を示す図であり、このうち
図6(a)は連結部を下方から視た斜視図、
図6(b)は底面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は実施形態におけるオブチュレータの連結部及び胃瘻カテーテルの被連結部とその周辺構造を示す断面図であり、このうち
図7(a)は爪部が凹部の他端部に位置している状態を示し、
図7(b)は
図7(a)に示す状態から連結部を被連結部に対して回転させた状態を示す。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は実施形態に係る胃瘻カテーテルキットの動作を説明するための図であり、このうち
図8(a)は胃瘻カテーテルがケースに保持されている状態を示し、
図8(b)はオブチュレータが胃瘻カテーテルに装着された状態を示す。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は実施形態に係る胃瘻カテーテルキットの動作を説明するための図であり、このうち
図9(a)はオブチュレータ及び胃瘻カテーテルをケースから抜去した状態を示し、
図9(b)はオブチュレータが装着された胃瘻カテーテルが瘻孔に挿入された状態を示す。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は実施形態に係る胃瘻カテーテルキットの動作を説明するための図であり、このうち
図10(a)はオブチュレータの内管部が外管部に対して相対的に下方に押し込まれた状態を示し、
図10(b)はオブチュレータが胃瘻カテーテルから抜去された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図10(b)を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。なお、
図2は、
図3(a)に示すA-A線に沿った断面図であり、
図7(a)及び
図7(b)は、
図1に示すA-A線に沿った断面図である。また、
図8(a)から
図10(b)は、
図3(a)に示すA-A線に相当する位置での断面図である。
また、本発明の胃瘻カテーテルキット400の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
また、以下の説明では、
図1及び
図2における下方向が下方、上方向が上方であるものとする。また、
図1及び
図2における左側が左方、右側が右方であるものとし、
図3(a)及び
図3(b)における下方向が前方(前側)、上方向が後方(後側)であるものとする。また、カテーテル本体1の軸方向を単に軸方向と称し、カテーテル本体1の径方向を単に径方向と称する場合がある。更に、カテーテル本体1の周方向を単に周方向と称する場合がある。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る胃瘻カテーテルキット400は、胃瘻カテーテル100と、胃瘻カテーテル100を保持するケース300と、を備える。
胃瘻カテーテル100は、ルーメン11が設けられたシャフト10と体表当接部20とを有するカテーテル本体1と、シャフト10の下端部に設けられていて胃内で拡張するバンパ50と、バンパ50を収縮状態に維持させるカプセルカバー60と、を備えている。留置の際にカプセルカバー60がカテーテル本体1から離脱しバンパ50が拡張するように構成されている(
図10(a)及び
図10(b)参照)。
図5に示すように、ケース300は、シャフト10、バンパ50及びカプセルカバー60を収容する筒状の収容部310と、収容部310の一端側に配置されていて体表当接部20と嵌合する嵌合部330と、を備える。
【0011】
本実施形態によれば、胃瘻カテーテルキット400は、胃瘻カテーテル100を保持するケース300を備えている。このため、使用前の胃瘻カテーテル100をケース300によって良好に保持することができる。
更には、胃瘻カテーテル100を保持するケース300は、胃瘻カテーテル100の体表当接部20と嵌合する嵌合部330を備えている。
これにより、意図しないタイミングで、胃瘻カテーテル100がケース300から脱落してしまうことを抑制できる。
【0012】
図1及び
図2に示すように、胃瘻カテーテルキット400は、使用時に胃瘻カテーテル100に対して装着されるオブチュレータ200を更に備えている。
オブチュレータ200は、胃瘻カテーテル100のバンパ50及びシャフト10を、瘻孔530(
図9(b)等参照)に挿入し留置するのに用いられる挿入治具である。より詳細には、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に装着した状態で、当該胃瘻カテーテル100を、腹壁510及び胃壁520を貫通して形成される瘻孔530に挿入する。この状態で、オブチュレータ200の下端部によってカプセルカバー60を下方に押圧すると、当該カプセルカバー60がバンパ50から脱離され、当該バンパ50が拡張される。これにより、バンパ50が胃壁520に対して係止され、胃瘻カテーテル100が留置される。この状態において、胃瘻カテーテル100は、胃内と生体の外部とを相互に連通しており、胃瘻カテーテル100を介して、栄養剤などの液体が胃内に注入される。
ここで、胃瘻カテーテル100は、オブチュレータ200が装着される前の状態においてケース300によって保持されている。そして、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に対して装着する際には、先ず、オブチュレータ200を、ケース300によって保持された胃瘻カテーテル100のルーメン11に挿入する。これにより、オブチュレータ200は、胃瘻カテーテル100ひいてはケース300に挿入された状態となる。この際に、片方の手でオブチュレータ200を把持し、もう片方の手でケース300を介して間接的に胃瘻カテーテル100を把持するようにできる。すなわち、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に装着する際に、使用者の手がカプセルカバー60に触れないようにできる。更には、シャフト10ひいてはカプセルカバー60が収容部310によって位置決めされているので、オブチュレータ200をシャフト10及びカプセルカバー60と同軸となるように挿入することが容易となる。
そして、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に対して装着(連結)し、当該オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100ごとケース300から抜去する。
【0013】
ここで、本実施形態の場合、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、胃瘻カテーテル100に対するオブチュレータ200の装着動作は、シャフト10の軸周りにおける回転動作(詳細後述)を含む。
そして、体表当接部20が嵌合部330に対して嵌合した状態において、ケース300に対する胃瘻カテーテル100の回転が規制されている。
このような構成によれば、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に対して装着するための回転動作の際に、胃瘻カテーテル100が、オブチュレータ200とともにケース300に対して相対的に回転してしまうことを抑制できる。よって、胃瘻カテーテル100に対するオブチュレータ200の装着動作(回転動作)を容易に行うことができる。
【0014】
以下、胃瘻カテーテル100についてより詳細に説明する。
本実施形態の場合、シャフト10の内腔がルーメン11を構成している。
図2に示すように、シャフト10は、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。シャフト10の下端部の外径は、例えば、下方に向けて2段階に縮径している。シャフト10の上端部の外径は、シャフト10におけるその他の部分よりも相対的に大径となっている。シャフト10の上端部には、被連結部30が装着されている。
【0015】
体表当接部20は、胃瘻カテーテル100が留置されている状態において、生体の体表に露出する部位であり、体表当接部20の下面は、腹壁510の外表面と対向している。体表当接部20は、例えば、シャフト10の上端部の外周面から径方向における一方に張り出している第1張出部21と、当該外周面から径方向における他方に向けて張り出している第2張出部22と、を含む。第1張出部21及び第2張出部22の各々の下面は、平坦に形成されている。
より詳細には、本実施形態の場合、第2張出部22は、前後一対の側面を含む略平板状に形成されており、後述する嵌合部330の一対の側壁部332は、当該前後一対の側面に沿って配置される。
体表当接部20の第2張出部22には、例えば、栓部材80(
図4参照)が形成されている。栓部材80は、被連結部30の上端側の開口31を閉塞することが可能となっている。
【0016】
シャフト10及び体表当接部20は、例えば、樹脂材料によって一体成形されている。樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はシリコンゴムその他のゴム材料等であることが挙げられる。
【0017】
カプセルカバー60は、例えば、上下方向を軸方向とする有底の筒状に形成されている。
図2に示すように、カプセルカバー60は、シャフト10の下端部に装着されており、胃瘻カテーテル100が留置される前の状態において、バンパ50は、カプセルカバー60の内部に収縮状態で収容されている。
カプセルカバー60の底部には、ガイドワイヤ(不図示)を挿通可能な挿入孔61が形成されている。
カプセルカバー60を構成している材料は、特に限定されないが、例えば、セルロース系若しくはゼラチン系の食用の材料や、ポリ乳酸等の体内で分解される材料等であることが挙げられる。
【0018】
バンパ50は、可撓性のものであり、径方向に拡張可能となっている。バンパ50の内部には不図示のワイヤの一部分がとぐろを巻くように配設されている。ワイヤは、その一端側の部分は、シャフト10に形成されているワイヤルーメン12(
図2等参照)を介してバンパ50の内部に導入されており、その他の部分はワイヤルーメン12を介してバンパ50の外部に導かれている。なお、
図2、
図8(a)~
図9(b)においては、収縮状態のバンパ50を二点鎖線で示している。
図10(a)に示すように、カプセルカバー60がバンパ50から脱離されると、バンパ50は、ワイヤの弾性復元力によって径方向に拡張し、胃壁520に対して係止される。そして、この状態から、バンパ50の内部のワイヤが当該バンパ50から取り除かれることによって、バンパ50は径方向に収縮し、胃壁520に対するバンパ50の係止が解除される。
【0019】
本実施形態の場合、胃瘻カテーテル100は、オブチュレータ200の連結部240(詳細後述)に対して連結される被連結部30を更に備えている。
図2及び
図4に示すように、被連結部30は、例えば、軸方向の寸法が径方向の寸法よりも小さい扁平な筒状に形成されている。被連結部30は、円筒状の本体部30bと、本体部30bの上端から径方向内側に張り出している内フランジ部30aと、を含む。内フランジ部30aの内周縁が、被連結部30の上端側の開口31を画定している。
ここで、例えば、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、被連結部30の本体部30bの外周面には、一対の凹部32が形成されており、各凹部32に対してそれぞれ対応する爪部246(詳細後述)が係合することによって、被連結部30に対して連結部240が掛止される。
一対の凹部32の各々は、径方向内側に向けて窪んでおり、周方向に延在している。一対の凹部32は、例えば、被連結部30の軸心を基準として、互いに180度回転対称の位置に配置されているとともに、互いに回転対称形となっている。
【0020】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、各凹部32は、例えば、周方向に延在している溝である。各凹部32の周方向における一端部には、上方に向けて開口している開口部32aが形成されている。
また、被連結部30の上端部において、各凹部32を画定しており、且つ、開口部32aの非形成領域となっている部分は、それぞれ対応する爪部246が当接する脱落規制部34となっている。脱落規制部34の下面は凹部32の天面となっている。
また、凹部32には、当該凹部32の外側面から径方向外側に向けて凸の係止突起33(
図7(a)等参照)が形成されている。
【0021】
更に、被連結部30は、例えば、逆止弁40(
図2等参照)を備えており、当該逆止弁40は、体外から胃内に栄養剤が通ることを許容する一方で、胃の内容物が胃内から体外へ逆流してしまうことを規制する。
本実施形態の場合、逆止弁40は、一例として、ダックビル弁である。
逆止弁40は、例えば、ルーメン11の上端部の内腔に対して嵌入している。
逆止弁40は、通常状態においては、ルーメン11の上端側の開口を閉塞しており、胃瘻カテーテル100を介して胃内に栄養剤等を注入する際には、ルーメン11と体外とを相互に連通させる。
なお、連結部240が被連結部30に対して係止されている状態においては、
図2に示すように、第2筒状部236が、逆止弁40を上下に貫通して挿通されており、逆止弁40の内腔に対して上下に摺動可能となっている。
【0022】
次に、ケース300についてより詳細に説明する。
図1及び
図5に示すように、ケース300は、例えば、上述の収容部310及び嵌合部330に加えて、収容部310の外周面から径方向外方(本実施形態の場合、左右方向)に向けてそれぞれ張り出している一対の板状部320と、収容部310の他端側(軸方向において嵌合部330とは反対側)に配置されていて当該収容部310を自立可能に支持している支持部340と、を備えている。
収容部310は、例えば、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。収容部310の内径及び外径は、例えば、軸方向における位置にかかわらず略一定となっている。ただし、収容部310の上端の内径は、上方に向けて僅かに拡径している。
一対の板状部320の各々は、平板状に形成されており、その板面は前後方向を向いている。一対の板状部320の各々は、例えば、収容部310の軸心を基準として、互いに180度回転対称の位置に配置されているとともに、互いに回転対称形となっている。
図1に示すように、一対の板状部320の各々は、正面視において、上下方向に長尺な略長方形状に形成されている。
一対の板状部320の各々の上端部は、収容部310の上端よりも上方に突出している。また、一対の板状部320の各々の上端部は、当該板状部320におけるその他の部位よりも幅狭となっている。より詳細には、一対の板状部320の各々の上端部の内側縁は、当該板状部320におけるその他の部位の内側縁よりも径方向外側に配置されている。
上下方向において、一対の板状部320の各々の下端は、収容部310の下端と同等の高さ位置に配置されている。
支持部340は、収容部310の下端側に配置されている主面部341と、主面部341の外周縁から下方に周回状に垂下している側周壁部342と、を含む。
主面部341は、上下方向を向いた平板状に形成されている。主面部341の平面形状は、例えば、一対の板状部320の張出方向(本実施形態の場合、左右方向)において長尺な角丸の略長方形状に形成されている。一対の板状部320の各々の下端及び収容部310の下端は、主面部341の上面に接続されており当該主面部341によって自立可能に支持されている。平面視において、収容部310及び一対の板状部320は、主面部341の外形線よりも内側の領域に配置されている。
側周壁部342の下端面は、平坦に形成されており、当該側周壁部342の下端面によってケース300の底面が構成されている。ケース300は、側周壁部342の下端面が水平な載置面に載置された状態で自立可能となっている。
平面視において、支持部340の中央は、収容部310の軸心と一致している。
なお、
図2に示すように、支持部340の中央部には、当該支持部340を上下に貫通する貫通孔344が形成されている。本発明において、例えば、貫通孔344には位置決め用のピン(不図示)が挿入され、当該位置決め用のピンをカプセルカバー60の挿入孔61に挿入することによって当該カプセルカバー60の径方向における変位を規制していてもよい。
【0023】
図3(a)及び
図5等に示すように、嵌合部330は、例えば、体表当接部20の一対の側面23に沿って配置される一対の側壁部332と、体表当接部20の下面に沿って配置される底面部(本実施形態の場合、一対の底面部336)と、を有する。
このような構成によれば、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に対して装着するための回転動作の際に、一対の側壁部332によって、胃瘻カテーテル100がオブチュレータ200とともにケース300に対して相対的に回転してしまうことをより確実に抑制できる。更には、底面部(一対の底面部336)によって、上下方向におけるケース300に対する胃瘻カテーテル100の位置も定めた状態でオブチュレータ200を装着できる。
【0024】
また、本実施形態の場合、体表当接部20が嵌合部330に対して嵌合した状態において、シャフト10の軸方向において嵌合部330からの体表当接部20の脱落が規制されている。なお、ここでいう「規制」とは、ケース300の自重などによって自然に体表当接部20が嵌合部330から脱落しない一方で、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に装着した状態で当該オブチュレータ200をケース300から引き抜く操作の際には嵌合部330に対する被連結部30の嵌合がスムーズに解除される程度の「規制」を意味している。
なお、オブチュレータ200をケース300から引き抜く操作の際に嵌合部330から被連結部30を外すのに要する力の大きさは、例えば、0.3N以上20N以下であることが好ましく、より好ましくは0.5N以上10N以下である。
【0025】
図2、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、嵌合部330は、例えば、体表当接部20に対して係合する一対の爪部334を有する。
このような構成によれば、一対の爪部334によって、意図しないタイミングでの嵌合部330からの体表当接部20の脱落をより確実に規制することができる。
【0026】
より詳細には、
図2に示すように、嵌合部330は、底面部として、一対の底面部336を有する。一対の底面部336のうちの一方の底面部336aの下面は、例えば、一方の板状部320の上端と接続されており、一対の底面部336のうちの他方の底面部336bの下面は、例えば、他方の板状部320の上端と接続されている。
一対の底面部336の各々は、平板状に形成されており、その板面は上下方向を向いている。一対の底面部336の各々は、収容部310の軸心を基準として、180度回転対称の位置に配置されているとともに、互いに回転対称形となっている。
一対の底面部336の各々の平面形状は、例えば、略正方形状に形成されており、4つの角部のうち、径方向外側に位置する2つの角部は角丸となっている。
図1に示すように、一方の底面部336aと一方の板状部320との境界部と、他方の底面部336bと他方の板状部320との境界部には、対応する底面部336を支持する前後一対の第1補強部338及び前後一対の第2補強部339がそれぞれ形成されている。
前後一対の第1補強部338の各々は、例えば、板状部320を基準として互いに前後対称形となっている。
より詳細には、前後一対の第1補強部338の各々は、それぞれ平板状に形成されており、その板面は左右方向を向いている。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、左右方向に視た前後一対の第1補強部338の各々の形状は、例えば、略直角三角形状に形成されている。略直角三角形の前後一対の第1補強部338の各々は、その直角部分が底面部336と板状部320とがなす角部にフィットするように配置されている。より詳細には、前側の第1補強部338の後縁は、対応する板状部320の前面と接続されており、当該第1補強部338の上縁は、対応する底面部336の下面と接続されている。同様に、後側の第1補強部338の前縁は、対応する板状部320の背面と接続されており、当該第1補強部338の上縁は、対応する底面部336の下面と接続されている。
前後一対の第2補強部339の各々は、例えば、前後一対の第1補強部338の各々と同一形状に形成されており、その直角部分が底面部336と板状部320とがなす角部にフィットするように配置されている。ただし、前後一対の第2補強部339の各々は、前後一対の第1補強部338の各々よりも一回り小さい外形寸法に設定されている。
図1に示すように、前後一対の第1補強部338の各々は、前後一対の第2補強部339の各々よりも径方向内側に配置されている。
【0027】
本実施形態の場合、一方の底面部336aが、体表当接部20の第1張出部21の下面に沿って配置され、他方の底面部336bが、体表当接部20の第2張出部22の下面に沿って配置される。そして、一対の底面部336のうち、第2張出部22の下面に沿って配置されている他方の底面部336bに一対の側壁部332が形成されている。
図5に示すように、一対の側壁部332は、例えば、底面部336bの上面から上方に起立している。一対の側壁部332は、周方向の成分を含む方向(本実施形態の場合、前後方向)において互いに対向しており、一対の側壁部332どうしの間には間隙332aが形成されている。より詳細には、一対の側壁部332のうちの一方の側壁部332は、他方の底面部336bの前縁部に沿って形成されており、一対の側壁部332のうちの他方の側壁部332は、当該他方の底面部336bの後縁部に沿って形成されている。
一対の側壁部332の各々は、収容部310の軸心を基準として、前後対称形となっている。一対の側壁部332の各々は、正面視において、左右方向に長尺な略長方形状に形成されている。一対の側壁部332の各々の左側端面は、例えば、他方の底面部336bの左側端面と面一に配置されており、一対の側壁部332の各々の右側端面は、例えば、他方の底面部336bの右側端面よりも内方に配置されている。
【0028】
図5に示すように、一対の爪部334の各々は、例えば、一対の側壁部332からそれぞれ上方に起立している。
体表当接部20が嵌合部330に対して嵌合した状態において、一対の爪部334が体表当接部20の上面に対して係合し、シャフト10の軸方向において嵌合部330からの体表当接部20の脱落が規制されている。
より詳細には、一対の爪部334の各々は、例えば、一対の側壁部332の上端面からそれぞれ上方に起立し、更にその先端部334aは互いに対向する方向における内側に向けて僅かに突出している。
一対の爪部334の各々は、収容部310の軸心を基準として、前後対称形となっている。更に詳細には、一対の爪部334のうちの一方の爪部334の先端部334a(突出方向における先端)は、後方に向けて僅かに突出しており、一対の爪部334のうちの他方の爪部334の先端部334a(同上)は、前方に向けて僅かに突出している。
爪部334の先端部334aの突出方向に沿った断面(例えば、
図7(a)及び
図7(b)参照)において、先端部334aの先端面は内方に向けて凸の円弧状に形成されている。
また、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、一対の爪部334の各々は、例えば、一対の側壁部332の左端部に形成されている。
【0029】
収容部310の内径は、例えば、シャフト10の外径よりも大きく、カプセルカバー60の外径と略同等又は当該外径よりも僅かに大きい寸法に設定されている。
前後方向において、一対の側壁部332の間隙332aの幅寸法は、例えば、第2張出部22の幅寸法と略同等又は当該幅寸法よりも僅かに大きい寸法に設定されている。
【0030】
以下、ケース300が胃瘻カテーテル100を保持している状態についてより詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、胃瘻カテーテル100のシャフト10(ただし上端部を除く)、カプセルカバー60、及びバンパ50は、収容部310内に当該収容部310の上端側の開口を介して収容されている。
より詳細には、シャフト10は、収容部310と同軸となるように当該収容部310に収容されている。また、シャフト10の外周面と収容部310の内周面との間には間隙が形成されている。カプセルカバー60の外周面は、例えば、収容部310の内周面に対して面接触している。
一方、体表当接部20及びシャフト10の上端部は、収容部310の上端側の開口から外部に露出している。
より詳細には、
図2に示すように、体表当接部20の第1張出部21は、一方の底面部336aの上面上に配置されており、当該体表当接部20の第2張出部22は、他方の底面部336bの上面上に配置されている。
また、
図7(a)に示すように、体表当接部20の第2張出部22は、一対の側壁部332どうしの対向方向(前後方向)において、当該一対の側壁部332どうしの間の間隙332aに収容される。より詳細には、第2張出部22の前側面は、一対の側壁部332のうちの前側の側壁部332の背面に沿って配置され、第2張出部22の後側面は、一対の側壁部332のうちの後側の側壁部332の前面に沿って配置される。
図3(a)に示すように、平面視において、一対の爪部334の各々の先端部334aは、第2張出部22の上面と重なっている。また、一対の爪部334の各々は、第2張出部22におけるシャフト10側の部分(本実施形態の場合、左端部)に対して係合している。
なお、本発明において、一対の爪部334の少なくとも一部分が、平面視において体表当接部20の上面と重なっていればよく、
図7(a)に示すように体表当接部20の一対の側面23(本実施形態の場合、上述の第2張出部22の前後一対の側面)は、対応する側壁部332に対して面接触していてもよいし、当該側壁部332から僅かに離間していてもよい。
【0031】
このような構成によれば、体表当接部20の第2張出部22の上面に対して一対の爪部334の先端部334aが係合するため、自重などによって意図せず胃瘻カテーテル100がケース300から脱落してしまうことを規制できる。一方、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100とともにケース300から上方に引き抜く際には、体表当接部20の第2張出部22は円弧状の先端部334aを上方に向けてスムーズに乗り越え、当該第2張出部22に対する一対の爪部334の係合がすみやかに解除されるようにできる。
【0032】
本実施形態の場合、収容部310の長さ寸法(軸方向における寸法)は、一例として、15mm以上110mm以下であることが好ましく、より好ましくは25mm以上85mm以下である。
収容部310の長さ寸法が、15mm以上であることによって、胃瘻カテーテル100のシャフト10を収容部310内に良好に収容することができる。一方、収容部310の長さ寸法が、110mm以下であることによって、胃瘻カテーテル100をケース300から引き抜く際に、収容部310の内周面とカプセルカバー60の外周面との間に生じる摩擦抵抗によってカプセルカバー60がシャフト10から脱落してしまうことを抑制できる。
【0033】
次に、オブチュレータ200についてより詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、オブチュレータ200は、上下に延在する管状本体210と、管状本体210に設けられており、体表当接部20の上端部に形成されている被連結部30に対して着脱可能に掛止される連結部240と、を備えている。
管状本体210は、例えば、シャフト10の上端部に対して着脱可能に連結される連結部240を有する外管部220と、外管部220に対して上下に摺動可能に挿通されている内管部230と、を備えている。
外管部220は、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。
外管部220の上端部には、使用者の指が掛けられる指掛け部225が形成されている。指掛け部225は、例えば、外管部220の上端部の外周面から径方向外側に向けて周回状に張り出している平板状に形成されており、その板面は軸方向に対して直交している。指掛け部225の平面形状は、例えば、略円形状となっている。
【0034】
ここで、本実施形態の場合、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、連結部240は、例えば、管状本体210から側方に張り出している一対の張出部242と、一対の張出部242の先端部からそれぞれ下方に突出している一対の下方突出部244と、一対の下方突出部244の下端部からそれぞれ径方向内向きに突出している一対の爪部246と、を有する。
より詳細には、本実施形態の場合、連結部240は、外管部220の下端部に形成されており、一対の張出部242は、外管部220の下端部から側方に張り出している。なお、ここでいう側方とは、軸方向に対して直交する方向、すなわち径方向を意味している。
本実施形態の場合、一対の張出部242は、例えば、外管部220の軸心を基準として、互いに180度回転対称の位置に配置されている。同様に、一対の下方突出部244は、外管部220の軸心を基準として、互いに180度回転対称の位置に配置されており、一対の爪部246も、外管部220の軸心を基準として、互いに180度回転対称の位置に配置されている。
また、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、下方突出部244の下端部から、ひとつずつの爪部246が径方向内向きに突出している。
更に、連結部240は、外管部220の下端部から下方に突出している円筒状の円筒部241を有する。円筒部241の外径は、外管部220の内径と略同等に設定されている。
【0035】
図2に示すように、内管部230は、例えば、外管部220に対して上下に摺動可能に挿通されている第1筒状部231と、第1筒状部231の下端側の開口から下方に突出している第2筒状部236と、を有する。
連結部240が被連結部30に対して連結されている状態において、第2筒状部236における外管部220の下端側の開口から突出している部分は、ルーメン11及びカプセルカバー60の内腔に挿入されている。そして、第2筒状部236の下端部がカプセルカバー60を下方に押圧し、当該カプセルカバー60をバンパ50から脱離させることによって、当該バンパ50を拡張させることが可能である。
第1筒状部231及び第2筒状部236の各々は、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。第1筒状部231の内腔と第2筒状部236の内腔とは相互に連通しており、内管部230の管腔を構成している。
第2筒状部236の上端部は、第1筒状部231の下端部の内腔に嵌入されており、第1筒状部231及び第2筒状部236は、互いに一体的に外管部220の内腔に対して摺動可能に挿通されている。
【0036】
ここで、第1筒状部231の上端部には、使用者により下方に押圧される押圧部238が形成されている。押圧部238が下方に押圧されることによって、内管部230(第1筒状部231及び第2筒状部236)が外管部220に対して相対的に下方に押し込まれるようになっている。また、押し込み操作の際には、押圧部238の下面が指掛け部225の上面に対して当接することによって、外管部220に対する内管部230の更なる下降が規制される。
【0037】
外管部220及び第1筒状部231は、例えば、それぞれ硬質の樹脂材料によってその全体が一体形成されている。硬質の樹脂材料は、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどであることが挙げられる。
第2筒状部236は、例えば、ステンレス鋼(SUS)などの金属材料によって構成されている。
なお、内管部230は、例えば、全体が一体成形されていてもよい。また、外管部220は、例えば、個別に成形された複数の部材を組み付けることによって構成されていてもよい。
【0038】
更に、本実施形態の場合、オブチュレータ200は、外管部220及び内管部230に対して着脱可能に装着されているロック部材260(
図2等参照)を備えている。
ロック部材260は、外管部220及び内管部230に対して装着された状態では、外管部220に対する内管部230の上下動が規制された状態に維持させる。
また、内管部230は、例えば、ロック部材260と係合する括れ部233(
図2参照)を有し、括れ部233に対してロック部材260が係合することによって、外管部220に対する内管部230の上下動が規制された状態となる。
【0039】
ここで、上述のように、本実施形態の場合、胃瘻カテーテル100に対するオブチュレータ200の装着動作は、シャフト10の軸周りにおける回転動作を含む。
より詳細には、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、例えば、一対の爪部246を被連結部30に対して上方から挿入し、管状本体210及び連結部240を軸周りにおいて一方向に回転させることによって、一対の爪部246が被連結部30に対して上方への脱落が規制された状態で、連結部240が被連結部30に対して掛止される。
【0040】
更に詳細には、被連結部30に対して連結部240を掛止するには、先ず、一対の爪部246を被連結部30に対して上方から挿入するとともに、被連結部30の開口31を介して、連結部240の円筒部241を逆止弁40の内腔に挿入する。この際に、
図7(a)に示すように、各爪部246は、対応する凹部32の開口部32aから、当該凹部32の内部に挿入され、凹部32の一端部に配置される。
次に、連結部240を被連結部30に対して軸周りにおいて相対的に回転させる。例えば、連結部240を
図7(b)に示す矢印の方向(一例として、時計回り)に回転操作すると、各爪部246は、凹部32により案内されて、凹部32の一端部側から他端部側に移動する。そして、各爪部246が対応する係止突起33を乗り越えた状態となるまで、この回転操作を行う(
図7(b)参照)。この状態において、各爪部246の上端面は、対応する脱落規制部34の下面に対して当接している。これにより、一対の爪部246が被連結部30に対して上方への脱落が規制された状態で、連結部240が被連結部30に対して掛止され、オブチュレータ200が胃瘻カテーテル100に装着される。
【0041】
ここで、上述のように、体表当接部20がケース300の嵌合部330に対して嵌合した状態において、ケース300に対する胃瘻カテーテル100の回転が規制されている。より詳細には、体表当接部20の第2張出部22は、周方向の成分を含む方向において互いに対向している一対の側壁部332のどうしの間(間隙332a)に収容されている。このため、連結部240とともに被連結部30が軸回りに回転しようとしても、第2張出部22が一対の側壁部332のうちのいずれか一方に当接することによって当該回転が規制される。すなわち、ケース300に対する胃瘻カテーテル100の回転方向への相対的な変位が規制される。よって、オブチュレータ200(連結部240)を胃瘻カテーテル100(被連結部30)に対して軸回りに相対的に回転させることが容易となる。
【0042】
また、連結部240を被連結部30から分離するには、連結部240が被連結部30に対して掛止された状態から、管状本体210及び連結部240を軸周りにおいて一方向に対する反対方向に回転させて、一対の爪部246を被連結部30から上方に引き抜く。これにより、連結部240が被連結部30から分離される。
【0043】
より詳細には、一対の爪部246が被連結部30に対して上方への脱落が規制された状態(
図7(b)に示す状態)から、連結部240を
図7(b)に示す矢印の逆方向(一例として、反時計回り)に回転操作することによって、各爪部246は、凹部32により案内されて、凹部32の他端部側から一端部側に移動する。そして、各爪部246が開口部32aと対応する位置に移動するまで、この回転操作を行う。この状態において、一対の爪部246を被連結部30から上方に引き抜くことによって、連結部240が被連結部30から分離され、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100から抜去することができる。
【0044】
以下、
図8(a)から
図10(b)を用いて、胃瘻カテーテル100及びオブチュレータ200を含む胃瘻カテーテルキット400の使用方法の一例について説明する。なお、胃瘻カテーテル100が挿入される瘻孔530が、腹壁510及び胃壁520を貫通して形成され、且つ、ガイドワイヤ(不図示)が、当該瘻孔530に挿通されている状態から説明する。
先ず、連結部240を被連結部30に対して連結することによって、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に対して装着する。より詳細には、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、ケース300によって保持されている胃瘻カテーテル100のルーメン11に、オブチュレータ200を被連結部30の上端側の開口から挿入する。この状態において、オブチュレータ200、シャフト10及びカプセルカバー60は、互いに同軸に配置される。続いて、オブチュレータ200の管状本体210及び連結部240を軸周りにおいて一方向に回転させることによって、連結部240を被連結部30に対して掛止させる。この際、上述のようにケース300に対する胃瘻カテーテル100の回転が規制されているので、胃瘻カテーテル100が、オブチュレータ200とともにケース300に対して相対的に回転してしまうことを抑制できる。
このようにして、オブチュレータ200は胃瘻カテーテル100に対して装着される。そして、片方の手でケース300を把持した状態で、もう片方の手によってオブチュレータ200を胃瘻カテーテル100ごとケース300から上方に引き抜く(
図9(a)参照)。このとき、上述のようにオブチュレータ200を胃瘻カテーテル100に装着した状態で当該オブチュレータ200をケース300から引き抜く際には、嵌合部330に対する被連結部30の嵌合はスムーズに解除される。
【0045】
次に、
図9(b)に示すように、ガイドワイヤに沿って、瘻孔530の内腔にシャフト10及び第2筒状部236の下端部を挿入し、胃内にバンパ50を配置する。この状態において、胃瘻カテーテル100における体表当接部20及び当該体表当接部20よりも上側の部分は、体表面に沿って配置されている。
次に、
図10(a)に示すように、ロック部材260を外管部220及び内管部230から取り外す。そして、内管部230を外管部220に対して相対的に下方に押し込む。これにより、第2筒状部236の下端部がカプセルカバー60を下方に押圧すると、当該カプセルカバー60がバンパ50から脱離され、当該バンパ50が拡張される。これにより、バンパ50が胃壁520に対して係止され、胃瘻カテーテル100が留置される。
なお、バンパ50から離脱されたカプセルカバー60は、上記のように食用の材料又は体内で分解される材料であるため、胃内容物とともに排泄されるか、又は胃内において溶解される。
胃瘻カテーテル100を留置したら、
図10(b)に示すように、被連結部30に対する連結部240の連結を解除し、オブチュレータ200を胃瘻カテーテル100から抜去する。そして、栓部材80を、逆止弁40の上端部に挿入し被連結部30の上端側の開口31を閉塞する。
【0046】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0047】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)胃瘻カテーテルと、前記胃瘻カテーテルを保持するケースと、を備える胃瘻カテーテルキットであって、
前記胃瘻カテーテルは、
ルーメンが設けられたシャフトと体表当接部とを有するカテーテル本体と、
前記シャフトの下端部に設けられていて胃内で拡張するバンパと、
前記バンパを収縮状態に維持させるカプセルカバーと、
を備え、
留置の際に前記カプセルカバーが前記カテーテル本体から離脱し前記バンパが拡張するように構成されており、
前記ケースは、
前記シャフト、前記バンパ及び前記カプセルカバーを収容する筒状の収容部と、
前記収容部の一端側に配置されていて前記体表当接部と嵌合する嵌合部と、
を備える胃瘻カテーテルキット。
(2)使用時に前記胃瘻カテーテルに対して装着されるオブチュレータを更に備え、
前記胃瘻カテーテルに対する前記オブチュレータの装着動作は、前記シャフトの軸周りにおける回転動作を含み、
前記体表当接部が前記嵌合部に対して嵌合した状態において、前記ケースに対する前記胃瘻カテーテルの回転が規制されている(1)に記載の胃瘻カテーテルキット。
(3)前記嵌合部は、
前記体表当接部の一対の側面に沿って配置される一対の側壁部と、
前記体表当接部の下面に沿って配置される底面部と、
を有する(2)に記載の胃瘻カテーテルキット。
(4)前記体表当接部が前記嵌合部に対して嵌合した状態において、前記シャフトの軸方向において前記嵌合部からの前記体表当接部の脱落が規制されている(1)から(3)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルキット。
(5)前記嵌合部は、前記体表当接部に対して係合する一対の爪部を有する(1)から(4)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルキット。
(6)前記嵌合部は、前記一対の側壁部からそれぞれ上方に起立する一対の爪部を有し、
前記体表当接部が前記嵌合部に対して嵌合した状態において、前記一対の爪部が前記体表当接部の上面に対して係合し、前記シャフトの軸方向において前記嵌合部からの前記体表当接部の脱落が規制されている(1)から(5)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルキット。
【符号の説明】
【0048】
1 カテーテル本体
10 シャフト
11 ルーメン
12 ワイヤルーメン
20 体表当接部
21 第1張出部
22 第2張出部
23 一対の側面
30 被連結部
30a 内フランジ部
30b 本体部
31 開口
32 凹部
32a 開口部
33 係止突起
34 脱落規制部
40 逆止弁
50 バンパ
60 カプセルカバー
61 挿入孔
80 栓部材
100 胃瘻カテーテル
200 オブチュレータ
210 管状本体
220 外管部
225 指掛け部
230 内管部
231 第1筒状部
233 括れ部
236 第2筒状部
238 押圧部
240 連結部
241 円筒部(本体部)
242 一対の張出部
244 一対の下方突出部
246 一対の爪部
260 ロック部材
300 ケース
310 収容部
320 一対の板状部
330 嵌合部
332 一対の側壁部
332a 間隙
334 一対の爪部
334a 先端部
336 一対の底面部(底面部)
336a 一方の底面部
336b 他方の底面部
338 前後一対の第1補強部
339 前後一対の第2補強部
340 支持部
341 主面部
342 側周壁部
344 貫通孔
400 胃瘻カテーテルキット
510 腹壁
520 胃壁
530 瘻孔