(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113981
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】光デバイス、光モジュール及び光トランシーバ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20240816BHJP
G02F 2/00 20060101ALI20240816BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240816BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20240816BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240816BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G02F1/035
G02F2/00
G02B6/42
G02B6/26
G02B6/12 301
G02B6/122 311
G02B6/12 363
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019308
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田村 宣明
(72)【発明者】
【氏名】高林 和雅
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AA01
2H137AA05
2H137AB09
2H137AB12
2H137BA36
2H137BA37
2H137BA53
2H137BA54
2H137BA59
2H137BB12
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2H137BC50
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2H147BB04
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2H147EA05A
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2K102AA21
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2K102BD01
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2K102DB05
2K102DB08
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2K102DD04
2K102DD05
2K102EA05
2K102EA17
2K102EA21
2K102EB10
2K102EB12
2K102EB16
2K102EB22
2K102EB25
2K102EB29
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】特性を改善しながら小型化を図る光デバイス等を提供する。
【解決手段】光デバイスは、光変調器素子と、光受信器素子とを有する。光変調器素子は、第1の端面に延びる第1の光導波路、第2の端面に延びる第1の素子間導波路、電気光学材料を有する光変調器を含む。光受信器素子は、第3の端面に延びる第2の光導波路、第4の端面に延びる第2の素子間導波路、光受信器及び偏波素子を含む。光デバイスは、前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とが互いに突合せて接合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端面に延びる第1の光導波路、第2の端面に延びる第1の素子間導波路、電気光学材料を有する光変調器を含む光変調器素子と、
第3の端面に延びる第2の光導波路、第4の端面に延びる第2の素子間導波路、光受信器及び偏波素子を含む光受信器素子と、を有し、
前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とが互いに突合せて接合されていることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記第1の端面と前記第3の端面とは、
同一面にあることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第1の端面に延びる前記第1の光導波路と局発用光ファイバとを互いに突き合わせて接合されていると共に、
前記第3の端面に延びる前記第2の光導波路と入力側光ファイバ及び出力側光ファイバとを互いに突き合わせて接合されていることを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記第1の端面に延びる前記第1の光導波路に対して局発用光ファイバ、入力側光ファイバ及び出力側光ファイバを互いに突き合わせて接合されていることを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記第3の端面に延びる前記第2の光導波路に対して局発用光ファイバ、入力側光ファイバ及び出力側光ファイバを互いに突き合わせて接合されていることを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記光変調器素子は、
信号光を位相変調する光位相変調部と、位相変調後の信号光の位相を調整する光位相調整部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記光変調器素子は、
信号光を位相変調する光位相変調部を有し、
前記光受信器素子は、
前記第1の素子間導波路及び前記第2の素子間導波路を通じて、前記光位相変調部からの位相変調後の信号光を入射し、入射した位相変調後の信号光の位相を調整する光位相調整部を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記第2の端面及び前記第4の端面の法線方向に対して傾いた状態で前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とが互いに突合せて接合されていることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とは、前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とを光学的に結合させるスポットサイズコンバータを有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項10】
第1の端面に延びる第1の光導波路、第2の端面に延びる第1の素子間導波路、電気光学材料を有する光変調器を含む光変調器素子と、
第3の端面に延びる第2の光導波路、第4の端面に延びる第2の素子間導波路、光受信器及び偏波素子を含む光受信器素子と、を有し、
前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とが互いに突合せて接合されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項11】
第1の端面に延びる第1の光導波路、第2の端面に延びる第1の素子間導波路、電気光学材料を有する光変調器を含む光変調器素子と、
第3の端面に延びる第2の光導波路、第4の端面に延びる第2の素子間導波路、光受信器及び偏波素子を含む光受信器素子と、
前記光変調器及び前記光受信器の信号処理を実行するプロセッサと、を有し、
前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とが互いに突合せて接合されていることを特徴とする光トランシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、光モジュール及び光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インターネットプロトコル(IP)データの通信量の急増により、光ネットワークの大容量化が求められている。加えて、空間的に光トランシーバ内部の収容効率を増やすために、光送受信器のさらなる小型化と集積化が望まれている。光送受信器に使用するシリコン(Si)導波路は光閉じ込めが強く、曲げ半径を10μm程度に低減できるため、Siフォトニクス素子が64Gボーレート/秒の光送信器や光受信器に適用され始めている。
【0003】
図14は、従来の光デバイス200の一例を示す平面模式図である。
図14に示す光デバイス200は、例えば、64Gボーレート/秒のDP-QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying:偏波多重直交位相偏移)方式の光デバイスである。光デバイス200は、光変調器素子210と、光受信器素子220とを有する。光変調器素子210及び光受信器素子220は、Siフォトニクス素子で構成している。光デバイス200は、送信用光導波路231と、局発用光導波路232と、受信用光導波路233とを有する。
【0004】
局発用光導波路232は、ガラスブロック234を介して局発用光ファイバF1とバットジョイント接合で光接続すると共に、局発光を導波する光導波路である。送信用光導波路231は、ガラスブロック234を介して出力側光ファイバF2とバットジョイント接合で光接続すると共に、送信光を導波する光導波路である。受信用光導波路233は、ガラスブロック234を介して入力側光ファイバF3とバットジョイント接合で光接続すると共に、受信光を導波する光導波路である。
【0005】
光受信器素子220は、PBS(Polarization Beam Splitter)222と、第1のPR(Polarization Rotator)223とを有する。光受信器素子220は、第1の光ハイブリッド回路224Aと、第2の光ハイブリッド回路224Bと、第1~第4のPD(Photo Diode)225とを有する。
【0006】
PBS222は、受信用光導波路233から入力した受信光を直交する2つの偏波状態、例えば、X偏波成分及びY偏波成分に分離する。尚、X偏波成分は水平偏波成分、Y偏波成分は垂直偏波成分である。PBS222は、分離したX偏波成分を第1の光ハイブリッド回路224Aに出力する。更に、第1のPR223は、PBS222からのY偏波成分を90度偏波回転し、偏波回転後のY偏波成分を第2の光ハイブリッド回路224Bに出力する。
【0007】
第1の光ハイブリッド回路224Aは、受信光のX偏波成分に局発光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。尚、I成分は同相軸成分、Q成分は直交軸成分である。第1の光ハイブリッド回路224Aは、X偏波成分の内、I成分の光信号を第1のPD225に出力する。第1の光ハイブリッド回路224Aは、X偏波成分の内、Q成分の光信号を第2のPD225に出力する。
【0008】
第2の光ハイブリッド回路224Bは、偏波回転後のY偏波成分に局発光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。第2の光ハイブリッド回路224Bは、Y偏波成分の内、I成分の光信号を第3のPD225に出力する。第2の光ハイブリッド回路224Bは、Y偏波成分の内、Q成分の光信号を第4のPD225に出力する。
【0009】
第1のPD225は、第1の光ハイブリッド回路224AからのX偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。第2のPD225は、第1の光ハイブリッド回路224AからのX偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。
【0010】
第3のPD225は、第2の光ハイブリッド回路224BからのY偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。第4のPD225は、第2の光ハイブリッド回路224BからのY偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。
【0011】
光変調器素子210は、第1の分岐部211と、X偏波変調部212と、Y偏波変調部213と、第2のPR214と、PBC(Polarization Beam Combiner)215と、を有する。第1の分岐部211は、局発光の光信号をX偏波変調部212及びY偏波変調部213に分岐出力する。
【0012】
X偏波変調部212は、第2の分岐部212Aと、2個のDC側子MZM(Mach-Zehnder Modulator)212Bと、1個のDC側親MZM212Cと、を有する。第2の分岐部212Aは、第1の分岐部211からの光信号をX偏波変調部212内の各DC側子MZM212Bに分岐出力する。X偏波変調部212内の一方のDC側子MZM212Bは、DC電極の電気信号に応じてX偏波のI成分の光信号を位相変調し、位相変調後のI成分の光信号をDC側親MZM212Cに出力する。更に、X偏波変調部212内の他方のDC側子MZM212Bは、DC電極の電気信号に応じてX偏波のQ成分の光信号を位相変調し、位相変調後のQ成分の光信号をDC側親MZM212Cに出力する。
【0013】
X偏波変調部212内のDC側親MZM212Cは、駆動電圧信号に応じて、位相変調後のX偏波のI成分の信号光を直交変調すると共に、位相変調後のX偏波のQ成分の信号光を直交変調する。更に、DC側親MZM212Cは、直交変調後のX偏波のI成分の信号光と、直交変調後のX偏波のQ成分の信号光とを得る。DC側親MZM212Cは、X偏波のI成分の光信号とX偏波のQ成分の光信号とを合波し、合波後のX偏波の光信号をPBC215に出力する。
【0014】
Y偏波変調部213は、第2の分岐部213Aと、2個のDC側子MZM213Bと、1個のDC側親MZM213Cと、を有する。第2の分岐部213Aは、第1の分岐部211からの光信号をY偏波変調部213内の各DC側子MZM213Bに分岐出力する。Y偏波変調部213内の一方のDC側子MZM213Bは、DC電極の電気信号に応じてY偏波のI成分の光信号を位相変調し、位相変調後のI成分の光信号をDC側親MZM213Cに出力する。更に、Y偏波変調部213内の他方のDC側子MZM213Bは、DC電極の電気信号に応じて光変調後のY偏波のQ成分の光信号を位相変調し、位相変調後のQ成分の光信号をY偏波変調部213内のDC側親MZM213Cに出力する。
【0015】
Y偏波変調部213内のDC側親MZM213Cは、駆動電圧信号に応じて、位相変調後のY偏波のI成分の信号光を直交変調すると共に、位相変調後のY偏波のQ成分の信号光を直交変調する。DC側親MZM213Cは、直交変調後のY偏波のI成分の信号光と、直交変調後のY偏波のQ成分の信号光とを得る。DC側親MZM213Cは、Y偏波のI成分の光信号とY偏波のQ成分の光信号とを合波し、合波後のY偏波の光信号を第2のPR214に出力する。
【0016】
第2のPR214は、Y偏波の光信号を90度の偏波回転することで偏波回転後のY偏波の光信号をPBC215に出力する。そして、PBC215は、X偏波変調部212内のDC側親MZM212CからX偏波の光信号と第2のPR214からの偏波回転後のY偏波の光信号とを合波し、合波後の光信号を送信用光導波路231から出力する。
【0017】
光デバイス200は、SOI(Silicon-On-Insulator)ウェハを用いて作製されたSi導波路で光回路を構成しているため、Siフォトニクス素子とも言われる。光デバイス200内の光変調器素子210と光受信器素子220との間を光導波路で接続する。Siフォトニクス素子は、Si電気半導体素子のプロセス技術やプロセス設備を活用し、例えば、8~12インチといった大面積のSiウェハを用いて、多数の素子を一括で作製できる点からスケールメリットが高く、低コストであるという利点がある。
【0018】
また、96Gボーレート/秒以上の超高速用途を考えた場合、96Gボーレート/秒以上の広帯域なGeドープ型PDは学会等で多数報告されている。また、PBC、PBSやPR等の偏波素子はボーレートに依存せず、64Gボーレート/秒で既に実用化されている偏波素子を96Gボーレート/秒以上でも、そのまま使用できる。つまり、PDや偏波素子は、Siフォトニクス素子を96Gボーレート/秒以上の超高速用途の光デバイスにも使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平9-61652号公報
【特許文献2】特開2007-264470号公報
【特許文献3】米国特許第10684414号明細書
【特許文献4】米国特許第9780530号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、従来の光デバイス200内の光変調器素子210内のX偏波変調部212及びY偏波変調部213等のSi変調器では、金属電極の代わりに不純物をドープしたSi電極を用いるため金属電極より電気抵抗が高い。しかも、Si変調器内に使用する光導波路は、P/N接合構造のため容量が大きく、高周波損失が大きくなる。従って、実用的なドライバの駆動電圧(±2V又は4V以下)での駆動を前提とした場合、50GHz以上の広帯域化、96Gボーレート/秒以上の高速化は難しい。
【0021】
そこで、96Gボーレート/秒以上の高速化が可能とされるLiNbO3等の電気光学効果を有する電気光学材料をSiフォトニクス素子上に集積するという試みも学会等で多数報告されている。しかしながら、集積プロセスの技術的ハードルが極めて高く、実用化には至っていないのが実情である。
【0022】
図15は、従来の光変調器素子300の一例を示す模式図である。
図15に示す光変調器素子300は、電気光学効果を有するLiNbO
3を使用した光導波路を有する光変調器を有する。光変調器素子300は、光変調器310と出力側光ファイバF2との間に光部品320を配置している。光部品320は、2個のコリメートレンズ321と、PR322と、PBC323と、集光レンズ324と、ガラスブロック325と、を有する。光部品320は、2個のコリメートレンズ321及び集光レンズ324を使用して光変調器素子300内の光変調器310と出力側光ファイバF2との間を平行な光ビームで結合している。尚、光部品内のPR322及びPBC323はバルク型である。
【0023】
しかしながら、LiNbO3を使用した光導波路を有する光変調器310を有する光変調器素子300では、2個のコリメートレンズ321及び集光レンズ324を使用するため、光変調器素子300の小型化を阻害する要因となっている。従って、特性を改善する電気光学材料を使用した光変調器素子と、小型化に有利なSiフォトニクス素子の光受信器素子とを光接続する光デバイスが求められているのが実情である。
【0024】
一つの側面では、特性を改善しながら小型化を図る光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
一つの態様の光デバイスでは、光変調器素子と、光受信器素子とを有する。光変調器素子は、第1の端面に延びる第1の光導波路、第2の端面に延びる第1の素子間導波路、電気光学材料を有する光変調器を有する。光受信器素子は、光変調器素子と、第3の端面に延びる第2の光導波路、第4の端面に延びる第2の素子間導波路、光受信器及び偏波素子を含む。前記第1の素子間導波路と前記第2の素子間導波路とが互いに突合せて接合されている。
【発明の効果】
【0026】
一つの側面によれば、特性を改善しながら小型化を図る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施例1の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
【
図2】
図2は、光変調器素子と局発用光ファイバとを光接続する方法の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、光受信器素子と出力側光ファイバ及び入力側光ファイバとを光接続する方法の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、光変調器素子と光受信器素子とを光接続する方法の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、光受信器素子と出力側光ファイバ及び入力側光ファイバとを光接続する方法の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、光変調器素子内の素子間導波路と光受信器素子内の素子間導波路との接合部位の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、局発用光導波路と局発用光ファイバとの接合部位、送信用光導波路と出力側光ファイバとの接合部位及び、受信用光導波路と入力側光ファイバとの接合部位の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施例2の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
【
図9】
図9は、実施例3の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
【
図10】
図10は、光変調器素子と光ファイバアレイとを光接続する方法の一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、光変調器素子と光受信器素子とを光接続する方法の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、実施例4の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
【
図13】
図13は、本実施例の光トランシーバの一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、従来の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
【
図15】
図15は、従来の光変調器素子の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願が開示する光デバイス等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0029】
図1は、実施例1の光デバイスの一例を示す平面模式図である。
図1に示す光デバイス1は、例えば、96Gボーレート/秒のDP-QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying:偏波多重直交位相偏移)方式の光デバイスである。光デバイス1は、電気光学材料の光変調器素子2と、Siフォトニクス素子の光受信器素子3とを有する。光デバイス1は、局発用光導波路4と、送信用光導波路5と、受信用光導波路6と、ガラスブロック7A、7Bと、素子間導波路8と、を有する。
【0030】
局発用光導波路4は、ガラスブロック7Aを介して局発用光ファイバF1とバットジョイント接合で光接続すると共に、局発光を導波する光導波路である。送信用光導波路5は、ガラスブロック7Bを介して出力側光ファイバF2とバットジョイント接合で光接続すると共に、送信光を導波する光導波路である。受信用光導波路6は、ガラスブロック7Bを介して入力側光ファイバF3とバットジョイント接合で光接続すると共に、受信光を導波する光導波路である。素子間導波路8は、光変調器素子2と光受信器素子3との間をバットジョイント接合で光接続する光導波路である。
【0031】
光受信器素子3は、光受信器10と、偏波素子20と、を有する。光受信器素子3は、Si基板90上に、例えば、SiやGeを含む導波路を有するSiフォトニクス素子で構成する。光受信器10は、第1の光ハイブリッド回路11Aと、第2の光ハイブリッド回路11Bと、第1~第4のPD(Photo Diode)12とを有する。偏波素子20は、PBS(Polarization Beam Splitter)21と、第1のPR(Polarization Rotator)22と、PBC(Polarization Beam Combiner)23と、第2のPR24と、を有する。光受信器素子3は、第3の端面3F1と、第4の端面3F2とを有する。光受信器素子3は、第3の端面3F1に延びる受信用光導波路6及び送信用光導波路5と、第4の端面3F2に延びる素子間導波路8とを有する。光受信器素子3内の素子間導波路8は、局発用素子間導波路81Bと、X偏波用素子間導波路82Bと、Y偏波用素子間導波路83Bとを有する、例えば、第2の素子間導波路である。
【0032】
入力側光ファイバF3及び出力側光ファイバF2を埋め込んだガラスブロック7Bを光受信器素子3の第3の端面3F1に接合する。その結果、受信用光導波路6は、受信光を入力する入力側光ファイバF3とバットジョイント接合で光接続する。送信用光導波路5は、送信光を出力する出力側光ファイバF2とバットジョイント接合で光接続する。
【0033】
局発用素子間導波路81Bは、光変調器素子2との間で局発光を導波する素子間導波路である。X偏波用素子間導波路82Bは、光変調器素子2との間でX偏波成分の信号光を導波する素子間導波路である。Y偏波用素子間導波路83Bは、光変調器素子2との間でY偏波成分の信号光を導波する素子間導波路である。
【0034】
PBS21は、受信用光導波路6から入力した受信光を直交する2つの偏波状態、例えば、X偏波成分及びY偏波成分の光信号に分離する。尚、X偏波成分は水平偏波成分、Y偏波成分は垂直偏波成分である。PBS21は、分離したX偏波成分の光信号を第1の光ハイブリッド回路11Aに出力する。更に、第1のPR22は、PBS21から分離したY偏波成分の光信号を90度偏波回転し、偏波回転後のY偏波成分の光信号に変換して第2の光ハイブリッド回路11Bに出力する。
【0035】
第1の光ハイブリッド回路11Aは、局発光を使用して光信号の位相状態を光強度に変換する。第1の光ハイブリッド回路11Aは、X偏波成分の光信号に局発光を干渉させてX偏波成分のI成分及びQ成分の光信号を取得する。尚、I成分は同相軸成分、Q成分は直交軸成分である。第1の光ハイブリッド回路11Aは、X偏波成分の内、I成分の光信号を第1のPD12に出力する。第1の光ハイブリッド回路11Aは、X偏波成分の内、Q成分の光信号を第2のPD12に出力する。
【0036】
第2の光ハイブリッド回路11Bは、局発光を使用して光信号の位相状態を光強度に変換する。第2の光ハイブリッド回路11Bは、偏波回転後のY偏波成分に局発光を干渉させてY偏波成分のI成分及びQ成分の光信号を取得する。第2の光ハイブリッド回路11Bは、Y偏波成分の内、I成分の光信号を第3のPD12に出力する。第2の光ハイブリッド回路11Bは、Y偏波成分の内、Q成分の光信号を第4のPD12に出力する。
【0037】
第1のPD12は、第1の光ハイブリッド回路11AからのX偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。第2のPD12は、第1の光ハイブリッド回路11AからのX偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。
【0038】
第3のPD12は、第2の光ハイブリッド回路11BからのY偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。第4のPD12は、第2の光ハイブリッド回路11BからのY偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を出力する。
【0039】
局発用素子間導波路81Bは、後述する光変調器素子2側の局発用素子間導波路81Aとバットジョイント接合で光接続する、局発光を導波する光受信器素子3側の素子間導波路である。X偏波用素子間導波路82Bは、後述する光変調器素子2側のX偏波用素子間導波路82Aとバットジョイント接合で光接続する、X偏波成分の光信号を導波する光受信器素子3側の素子間導波路である。Y偏波用素子間導波路83Bは、後述する光変調器素子2側のY偏波用素子間導波路83Aとバットジョイント接合で光接続する、Y偏波成分の光信号を導波する光受信器素子3側の素子間導波路である。
【0040】
第2のPR24は、Y偏波用素子間導波路83Bから受信した光変調器素子2からのY偏波の光信号を90度偏波回転し、偏波回転後のY偏波成分の光信号をPBC23に出力する。PBC23は、X偏波用素子間導波路82Bから受信した光変調器素子2からのX偏波成分の光信号と、第2のPR24からの90度偏波回転後のY偏波成分の光信号とを偏波多重し、偏波多重後の光信号を送信用光導波路5に出力する。
【0041】
光変調器素子2は、第1の分岐部31と、第2の分岐部32と、X偏波変調部33と、Y偏波変調部34と、を有する。光変調器素子2は、第1の端面2F1と、第2の端面2F2とを有する。光変調器素子2は、第1の端面2F1に延びる局発用光導波路4と、第2の端面2F2に延びる素子間導波路8とを有する。局発用光ファイバF1を埋め込んだガラスブロック7Aを光変調器素子2の第1の端面2F1に接合することで、局発用光導波路4は、局発用光ファイバF1とバットジョイント接合で光接続する。光変調器素子2内の素子間導波路8は、局発用素子間導波路81Aと、X偏波用素子間導波路82Aと、Y偏波用素子間導波路83Aとを有する、例えば、第1の素子間導波路である。
【0042】
局発用素子間導波路81Aは、光受信器素子3側の局発用素子間導波路81Bとバットジョイント接合で光接続する、局発光を導波する光変調器素子2側の素子間導波路である。X偏波用素子間導波路82Aは、光受信器素子3側のX偏波用素子間導波路82Bとバットジョイント接合で光接続する、X偏波成分の光信号を導波する光変調器素子2側の素子間導波路である。Y偏波用素子間導波路83Aは、光受信器素子3側のY偏波用素子間導波路83Bとバットジョイント接合で光接続する、Y偏波成分の光信号を導波する光変調器素子2側の素子間導波路である。
【0043】
第1の分岐部31は、局発用光導波路4からの局発光の光信号を第2の分岐部32及び局発用素子間導波路81Aに分岐出力する。第2の分岐部32は、第1の分岐部31からの局発光をX偏波変調部33及びY偏波変調部34に分岐出力する。
【0044】
X偏波変調部33は、2個のRF側MZM33Aと、2個のDC側子MZM33Bと、1個のDC側親MZM33Cと、を有する、例えば、光変調器である。RF側MZM33Aは、信号光を位相変調する、例えば、光位相変調部である。DC側子MZM33B及びDC側親MZM33Cは、位相変調後の信号光の位相を調整する、例えば、光位相調整部である。X偏波変調部33内の一方のRF側MZM33Aは、RF電極の電気信号に応じて光信号のX偏波のI成分を光変調する。X偏波変調部33内の一方のDC側子MZM33Bは、DC電極の電気信号に応じて光変調後のI成分の光信号を位相変調し、位相変調後のI成分の光信号をDC側親MZM33Cに出力する。
【0045】
X偏波変調部33内の他方のRF側MZM33Aは、RF電極の電気信号に応じて光信号のX偏波のQ成分を光変調する。更に、X偏波変調部33内の他方のDC側子MZM33Bは、DC電極の電気信号に応じて光変調後のQ成分の光信号を位相変調し、位相変調後のQ成分の光信号をDC側親MZM33Cに出力する。
【0046】
X偏波変調部33内のDC側親MZM33Cは、駆動電圧信号に応じて、位相変調後のX偏波のI成分の信号光を直交変調すると共に、位相変調後のX偏波のQ成分の信号光を直交変調する。DC側親MZM33Cは、直交変調後のX偏波のI成分の信号光と、直交変調後のX偏波のQ成分の信号光とを得る。DC側親MZM33Cは、X偏波のI成分の光信号とX偏波のQ成分の光信号とを合波し、合波後のX偏波の光信号をX偏波用素子間導波路82Aに出力する。そして、X偏波成分の光信号は、X偏波用素子間導波路82Bを経て、光受信器素子3内のPBC23に入力することになる。
【0047】
Y偏波変調部34は、2個のRF側MZM34Aと、2個のDC側子MZM34Bと、1個のDC側親MZM34Cと、を有する、例えば、光変調部である。RF側MZM34Aは、信号光を位相変調する、例えば、光位相変調部である。DC側子MZM34B及びDC側親MZM34Cは、位相変調後の信号光の位相を調整する、例えば、光位相調整部である。Y偏波変調部34内の一方のRF側MZM34Aは、RF電極の電気信号に応じて光信号のY偏波のI成分を光変調する。Y偏波変調部34内の一方のDC側子MZM34Bは、DC電極の電気信号に応じて光変調後のI成分の光信号を位相変調し、位相変調後のI成分の光信号をDC側親MZM34Cに出力する。
【0048】
Y偏波変調部34内の他方のRF側MZM34Aは、RF電極の電気信号に応じて光信号のY偏波のQ成分を光変調する。更に、Y偏波変調部34内の他方のDC側子MZM34Bは、DC電極の電気信号に応じて光変調後のQ成分の光信号を位相変調し、位相変調後のQ成分の光信号をY偏波変調部34内のDC側親MZM34Cに出力する。
【0049】
Y偏波変調部34内のDC側親MZM34Cは、駆動電圧信号に応じて、位相変調後のY偏波のI成分の信号光を直交変調すると共に、位相変調後のY偏波のQ成分の信号光を直交変調する。DC側親MZM34Cは、直交変調後のY偏波のI成分の信号光と、位相変調後のY偏波のQ成分の信号光を直交変調して直交変調後のY偏波のQ成分の信号光とを得る。DC側親MZM34Cは、Y偏波のI成分の光信号とY偏波のQ成分の光信号とを合波し、合波後のY偏波の光信号をY偏波用素子間導波路83Bに出力する。そして、Y偏波成分の光信号は、Y偏波用素子間導波路83Bを経て、光受信器素子3内の第2のPR24に入力することになる。
【0050】
光受信器素子3の第3の端面3F1とガラスブロック7Bと接合することで、入力側光ファイバF3と受信用光導波路6との間をバットジョイント接合で光接続すると共に、出力側光ファイバF2と送信用光導波路5との間をバットジョイント接合で光接続する。光変調器素子2の第1の端面2F1とガラスブロック7Aとを接合することで、局発用光ファイバF1と局発用光導波路4との間をバットジョイント接合で光接続する。
【0051】
更に、光変調器素子2の第2の端面2F2と光受信器素子3の第4の端面3F2との間は、局発用素子間導波路81A、81B同士、X偏波用素子間導波路82A,82B同士、Y偏波用素子間導波路83A、83B同士を夫々バットジョイント接合で光接続する。光変調器素子2と光受信器素子3との光接続した状態では、第1の端面2F1と第3の端面3F1とが面一となる。
【0052】
光変調器素子2の電気光学材料としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物を用いる。ペロブスカイト型酸化物としては、例えば、(Pb)(Zr,Ti)O3(以下、PZT)、(Pb,La)(Zr,Ti)03、(以下、PLZT)、BaTiO3(以下、BTO)、(Sr,Ba)TiO3(以下、SBT)、LiNbO3(以下、LN)等を用いる。しかしながら、その他の電気光学効果を有するペロブスカイト型酸化物を用いてもよい。光変調器素子2に使用する基板には、制約はないが、光受信器素子3と同じSi基板90を使用した場合、光変調器素子2及び光受信器素子3の熱膨張係数が同じとなるため、バットジョイント後の温度による挿入損失等の特性変化を抑制できる。
【0053】
次に、実施例1の光デバイス1の製造方法について説明する。先ずは、光変調器素子2と局発用光ファイバF1とを光接続する方法について説明する。
図2は、光変調器素子2と局発用光ファイバF1とを光接続する方法の一例を示す説明図である。光変調器素子2の第2の端面2F2側にある局発用素子間導波路81A、X偏波用素子間導波路82A及びY偏波用素子間導波路83A上にヤトイY1を接着して配置する。更に、光変調器素子2の第1の端面2F1側にある局発用光導波路4上にヤトイY3を接着して配置する。そして、光変調器素子2の第1の端面2F1及び第2の端面2F2を切断及び端面研磨することで、局発用素子間導波路81A、X偏波用素子間導波路82A、Y偏波用素子間導波路83A及び局発用光導波路4の各端面を光学面とする。更に、局発用光ファイバF1を埋め込んだガラスブロック7Aの端面を研磨して局発用光ファイバF1の端面を光学面とする。
【0054】
次に、光変調器素子2の局発用素子間導波路81Aの端面の近傍に、局発用素子間導波路81Aの端面から出射される光を集光、かつ、受光するレンズ付き大口径の光パワーメータM1を設置する。次に、光変調器素子2の局発用光導波路4と、局発用光ファイバF1を埋め込んだガラスブロック7Aの端面との間にUV接着剤X1を塗布して第1の端面2F1に対してガラスブロック7Aを当接させる。そして、局発用光ファイバF1から局発光を入力しつつ、光パワーメータM1の光入力パワーが最大となるように、局発用光ファイバF1を光軸調芯する。そして、光軸調芯後、UV接着剤X1にUV光を照射することで局発用光ファイバF1と光変調器素子2の局発用光導波路4とを光接続し、かつ、接着固定することになる。
【0055】
次に、光受信器素子3と入力側光ファイバF3及び出力側光ファイバF2とを光接続する方法について説明する。
図3は、光受信器素子3と出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3とを光接続する方法の一例を示す説明図である。光受信器素子3の第4の端面3F2側にある局発用素子間導波路81B、X偏波用素子間導波路82B及びY偏波用素子間導波路83B上にヤトイY2を接着して配置する。更に、光受信器素子3の第3の端面3F1側にある送信用光導波路5及び受信用光導波路6上にヤトイY4を接着して配置する。そして、光受信器素子3の第3の端面3F1及び第4の端面3F2を切断及び端面研磨することで、局発用素子間導波路81B、X偏波用素子間導波路82B、Y偏波用素子間導波路83B、送信用光導波路5及び受信用光導波路6の各端面を光学面とする。更に、出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3を埋め込んだガラスブロック7Bの端面を研磨して出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3の端面を光学面とする。尚、ガラスブロック7Bは、送信用光導波路5と出力側光ファイバF2とが光接続すると共に、受信用光導波路6と入力側光ファイバF3とが光接続する位置に、出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3が埋め込まれているものとする。
【0056】
次に、光受信器素子3のX偏波用素子間導波路82Bの端面の近傍に、X偏波用素子間導波路82Bの端面から出射される光を集光、かつ、受光するレンズ付き大口径の光パワーメータM2を設置する。次に、光受信器素子3の送信用光導波路5及び受信用光導波路6と、出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3を埋め込んだガラスブロック7Bの端面との間にUV接着剤X2を塗布する。そして、送信用光導波路5及び受信用光導波路6に対してガラスブロック7Bを当接させる。そして、出力側光ファイバF2から適切な偏波の光を入力しつつ、光パワーメータM2の光入力パワーが最大となるように、出力側光ファイバF2を光軸調芯する。同時に、入力側光ファイバF3から適切な偏波の光を入力しつつ、第1~第4のPD12の光電流が最大となるように、入力側光ファイバF3を光軸調芯する。そして、光軸調芯後、UV接着剤X2にUV光を照射することで、入力側光ファイバF3と受信用光導波路6との間、出力側光ファイバF2と送信用光導波路5との間をバットジョイント接合で光接続し、かつ、接着固定することになる。尚、説明の便宜上、光受信器素子3のX偏波用素子間導波路82Bの端面の近傍に、X偏波用素子間導波路82Bの端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM2を設置する場合を例示した。しかしながら、光受信器素子3のY偏波用素子間導波路83Bの端面の近傍に、Y偏波用素子間導波路83Bの端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM2を設置しても良い。
【0057】
次に、光変調器素子2と光受信器素子3とを光接続する方法について説明する。
図4は、光変調器素子2と光受信器素子3とを光接続する方法の一例を説明図である。局発用光ファイバF1を光接続した光変調器素子2と、入力側光ファイバF3及び出力側光ファイバF2を光接続した光受信器素子3とを準備する。
【0058】
光変調器素子2の第2の端面2F2と、光受信器素子3の第4の端面3F2との間にUV接着剤X3を塗布する。そして、局発用素子間導波路81A、81Bの端面同士、X偏波用素子間導波路82A、82Bの端面同士及びY偏波用素子間導波路83A、83Bの端面同士が接続するように第2の端面2F2と第4の端面3F2とを当接させる。第2の端面2F2と第4の端面3F2との間を当接させた後、光変調器素子2に光接続された局発用光ファイバF1から適切な局発光を入力する。そして、局発光を入力しながら、光受信器素子3の出力側光ファイバF2からの光パワーが最大となるように、光変調器素子2又は光受信器素子3の少なくともいずれか一方を光軸調芯する。同時に、第1~第4のPD12の光電流が最大となるように、光変調器素子2又は光受信器素子3の少なくとも何れか一方を光軸調芯する。
【0059】
光軸調芯後に、第2の端面2F2と第4の端面3F2との間に塗布されたUV接着剤X3にUV光を照射する。その結果、局発用素子間導波路81A、81Bの端面同士、X偏波用素子間導波路82A、82Bの端面同士及びY偏波用素子間導波路83A、83Bの端面同士をバットジョイント接合で光接続し、かつ、接着固定することになる。
【0060】
尚、実施例1の光デバイス1では、光変調器素子2の電気光学材料として原理的にDCドリフトを有するペロブスカイト型酸化物を用いているので、DCドリフト補償のために必要なDC電圧を供給するDC電源を必要とする。
【0061】
実施例1の光デバイス1では、光変調器として超高速変調向けの設計が可能な電気光学材料からなる光変調器素子2、かつ、超高速受信の設計が可能なSiフォトニクス素子の光受信器素子3を使用する。例えば、96Gボーレート/秒以上の超高速用途に適用することが可能である。しかも、既に実用化されているSiフォトニクス素子の光受信器10及び偏波素子20を光受信器素子3に一体化しているので、従来のバルク型の偏波素子に比べて小型化が可能となる。更に、光変調器素子2の素子間導波路8と、偏波素子20を実装した光受信器素子3の素子間導波路8とを互いにバットジョイント接合で光接続する。その結果、電気光学効果を有する電気光学材料をSiフォトニクス素子上に集積するような特殊な集積プロセスを必要とせず、容易に作製が可能である。しかも、光デバイス1は、特性を改善する電気光学材料を使用した光変調器素子2と、小型化に有利なSiフォトニクス素子の光受信器素子3とを光接続するため、特性の改善及び小型化を図ることができる。
【0062】
尚、光変調器素子2と光受信器素子3との接着固定を補強する目的で、光変調器素子2と光受信器素子3とを比較的柔らかい接着剤でSi等の基板に接着固定しても良く、適宜変更可能である。また、光デバイス1では、ヤトイY1、Y2を使用することで、光変調器素子2と光受信器素子3との間のバットジョイント接合を容易にしている。尚、ヤトイY1、Y2がなくても良く、適宜変更可能である。
【0063】
尚、説明の便宜上、光受信器素子3のX偏波用素子間導波路82Bの端面の近傍に、X偏波用素子間導波路82Bの端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM2を設置する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図5は、光受信器素子3Aと出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3とを光接続する方法の一例を示す説明図である。
図5に示す光受信器素子3Aは、X偏波用素子間導波路82B上に配置された光分岐部41と、光分岐部41に接続するモニタPD42とを有する。モニタPD42は、Si及びGeを含むPDである。
【0064】
次に、光受信器素子3Aの送信用光導波路5及び受信用光導波路6と、出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3を埋め込んだガラスブロック7Bの端面との間にUV接着剤X2を塗布する。そして、送信用光導波路5及び受信用光導波路6にガラスブロック7Bを当接させる。そして、出力側光ファイバF2から適切な偏波の光を入力しつつ、モニタPD42を用いて光分岐部41で分岐した信号光のパワーを検出する。そして、信号光の光電流が最大となるように出力側光ファイバF2を光軸調芯する。同時に、入力側光ファイバF3から適切な偏波の光を入力しつつ、第1~第4のPD12の光電流が最大となるように、入力側光ファイバF3を光軸調芯する。そして、光軸調芯後、UV接着剤X2にUV光を照射することで、入力側光ファイバF3と受信用光導波路6との間、出力側光ファイバF2と送信用光導波路5との間をバットジョイント接合で光接続し、かつ、接着固定することになる。
図5の場合、光パワーメータM2を使用しなくても、入力側光ファイバF3と受信用光導波路6との間、出力側光ファイバF2と送信用光導波路5との間の光軸調芯が可能になる。
【0065】
図6は、光変調器素子2内の素子間導波路8と光受信器素子3内の素子間導波路8との接合部位の一例を示す説明図である。光変調器素子2側の局発用素子間導波路81A1の端面と光受信器素子3側の局発用素子間導波路81B1の端面とは、第2の端面2F2及び第4の端面3F2の法線に対して5~15度程度斜めにバットジョイント接合で光接続しても良い。この場合、局発用素子間導波路81A1、81B1間の端面で発生する反射光が局発用素子間導波路81A1を導波する局発光に光結合する事態を低減できる。
【0066】
光変調器素子2側のX偏波用素子間導波路82A1の端面と光受信器素子3側のX偏波用素子間導波路82B1の端面とは、第2の端面2F2及び第4の端面3F2の法線に対して5~15度程度斜めにバットジョイント接合で光接続しても良い。この場合、X偏波用素子間導波路82A1、82B1間の端面で発生する反射光がX偏波用素子間導波路82A1を導波するX偏波成分の信号光に光結合する事態を低減できる。
【0067】
光変調器素子2側のY偏波用素子間導波路の83A1端面と光受信器素子3側のY偏波用素子間導波路83B1の端面とは、第2の端面2F2及び第4の端面3F2の法線に対して5~15度程度斜めにバットジョイント接合で光接続しても良い。この場合、Y偏波用素子間導波路83A1、83B1間の端面で発生する反射光がY偏波用素子間導波路83A1を導波するY偏波成分の信号光に光結合する事態を低減できる。
【0068】
尚、
図6に示す光デバイス1では、局発用素子間導波路81A1、81B1の端面同士、X偏波用素子間導波路82A1、82B1の端面同士及びY偏波用素子間導波路83A1、83B1の端面同士を法線に対して斜めに光接続する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0069】
更に、光デバイス1では、素子間導波路8の端面同士を法線に対して5~15度程度斜めにバットジョイント接合で光接続することで、端面で発生する反射光の影響を抑制する場合を例示した。しかしながら、各局発用素子間導波路81A、81Bの端面、各X偏波用素子間導波路82A、82Bの端面及び各Y偏波用素子間導波路83A、83Bの端面にスポットサイズコンバータ(SSC:Spot Size Converter)を配置しても良い。SSCは、光モードフィールド径を拡大する。
【0070】
各局発用素子間導波路81A、81Bの端面に配置するSSCは、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に広くなるアップテーパ型、又は、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に狭くなるダウンテーパ型のいずれでも良い。尚、ダウンテーパ型の場合、導波路から光がはみ出すようにSSCを設計することで光モードフィールド径が拡大できる。その結果、局発用素子間導波路81A、81B同士のバットジョイント接合時の光結合損失を低減しながら、バットジョイント接合時の導波路の位置トレランスを拡大できる。
【0071】
各X偏波用素子間導波路82A、82Bの端面に配置するSSCは、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に広くなるアップテーパ型、又は、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に狭くなるダウンテーパ型のいずれでも良い。その結果、X偏波用素子間導波路82A、82B同士のバットジョイント接合時の光結合損失を低減しながら、バットジョイント接合時の導波路の位置トレランスを拡大できる。
【0072】
各Y偏波用素子間導波路83A、83Bの端面に配置するSSCは、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に広くなるアップテーパ型、又は、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に狭くなるダウンテーパ型のいずれでも良い。その結果、Y偏波用素子間導波路83A、83B同士のバットジョイント接合時の光結合損失を低減しながら、バットジョイント接合時の導波路の位置トレランスを拡大できる。
【0073】
図7は、局発用光導波路4Aと局発用光ファイバF1との接合部位、送信用光導波路5Aと出力側光ファイバF2との接合部位及び、受信用光導波路6Aと入力側光ファイバF3との接合部位の一例を示す説明図である。光変調器素子2の局発用光導波路4Aと局発用光ファイバF1とは、光変調器素子2の第1の端面2F1及びガラスブロック7Aの端面の法線に対して5~15度程度斜めにバットジョイント接合で光接続しても良い。この場合、局発用光導波路4Aと局発用光ファイバF1との接合面間で発生する反射光が導波する局発光に光結合するような事態を低減できる。
【0074】
光受信器素子3の送信用光導波路5Aと出力側光ファイバF2とは、光受信器素子3の第3の端面3F1及びガラスブロック7Bの端面の法線に対して5~15度程度斜めにバットジョイント接合で光接続しても良い。この場合、送信用光導波路5Aと出力側光ファイバF2との接合面間で発生する反射光が導波する送信光に光結合するような事態を低減できる。
【0075】
光受信器素子3の受信用光導波路6Aと入力側光ファイバF3とは、光受信器素子3の第3の端面3F1及びガラスブロック7Bの端面の法線に対して5~15度程度斜めにバットジョイント接合で光接続しても良い。この場合、受信用光導波路6Aと入力側光ファイバF3との接合面間で発生する反射光が導波する受信光に光結合するような事態を低減できる。
【0076】
尚、
図7に示す光デバイス1では、局発用光導波路4Aと局発用光ファイバF1との間、送信用光導波路5Aと出力側光ファイバF2との間、受信用光導波路6Aと入力側光ファイバF3との間を法線に対して斜めに光接続する場合を例示した。しかしながら、局発用光導波路4と局発用光ファイバF1との間、送信用光導波路5と出力側光ファイバF2との間、受信用光導波路6と入力側光ファイバF3との間にSSCを配置しても良い。
【0077】
局発用光導波路4と局発用光ファイバF1との間のSSCは、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に広くなるアップテーパ型、又は、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に狭くなるダウンテーパ型のいずれでも良い。その結果、局発用光導波路4と局発用光ファイバF1との間のバットジョイント接合時の光結合損失を低減しながら、バットジョイント接合時の導波路の位置トレランスを拡大できる。
【0078】
送信用光導波路5と出力側光ファイバF2との間のSSCは、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に広くなるアップテーパ型、又は、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に狭くなるダウンテーパ型のいずれでも良い。その結果、送信用光導波路5と出力側光ファイバF2との間のバットジョイント接合時の光結合損失を低減しながら、バットジョイント接合時の導波路の位置トレランスを拡大できる。
【0079】
受信用光導波路6と入力側光ファイバF3との間のSSCは、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に広くなるアップテーパ型、又は、端面に向けて光導波路の幅や厚みが徐々に狭くなるダウンテーパ型のいずれでも良い。その結果、受信用光導波路6と入力側光ファイバF3との間のバットジョイント接合時の光結合損失を低減しながら、バットジョイント接合時の導波路の位置トレランスを拡大できる。
【0080】
尚、実施例1の光デバイス1では、光変調器素子2内に4個のRF側MZM33A,34A、4個のDC側子MZM33B,34B及び2個のDC側親MZM33C、34Cを内蔵する場合を例示した。しかしながら、4個のRF側MZM33A、34Aを電気光学材料で構成すると共に、4個のDC側子MZM33B,34B及び2個のDC側親MZM33C、34CをSiフォトニクス素子で構成することも可能である。そこで、このような実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
光受信器素子3Aは、1本のX偏波用素子間導波路82Bに代わる4本のX偏波用素子間導波路82B1と、1本のY偏波用素子間導波路83Bに代わる4本のY偏波用素子間導波路83B1と、を有する。更に、光受信器素子3Aは、4個のDC側子MZ33B1、34B1と、DC側子MZM33B1、34B1と接続する2個のDC側親MZM33C1、34C1とを有する。
4個のDC側子MZM33B1、34B1は、4本のX偏波用素子間導波路82B1と接続するX偏波変調部33内の2個のDC側子MZM33B1を有する。更に、4個のDC側子MZM33B1、34B1は、4本のY偏波用素子間導波路83B1と接続するY偏波変調部34内の2個のDC側子MZM34B1を有する。2個のDC側親MZM33C1、34C1は、X偏波変調部33内のDC側親MZM33C1と、Y偏波変調部34内のDC側親MZM34C1とを有する。
光受信器素子3Aは、X偏波変調部33内のDC側親MZM33C1とPBC23とを接続すると共に、Y偏波変調部34内のDC側親MZM34C1と第2のPR24とを接続する。
前述した実施例1のDC側子MZM33B、34B及びDC側親MZM33C、34Cは、電気光学材料で形成しているので、電圧印加による屈折率を変化させる電気光学効果を用いて位相調整を実行する。しかしながら、実施例2のDC側子MZM33B1、34B1及びDC側親MZM33C1、34C1は、Siフォトニクス素子で形成しているので、温度変化による屈折率を変化させる熱光学効果を用いて位相調整を実行する。従って、DC側子MZM33B1、34B1及びDC側親MZM33C1,34C1の光導波路近傍の表面には、例えば、TiやTiN等のヒータ(不図示)が形成されており、ヒータに電流を流すことにより、温度が上昇し、屈折率、すなわち位相を調整する。
次に、実施例2の光デバイス1Aの製造方法について説明する。先ずは、光変調器素子2Bに局発用光ファイバF1を接合する際の製造方法について説明する。光変調器素子2Bの第2の端面2F2側にある局発用素子間導波路81A、4本のX偏波用素子間導波路82A1及び4本のY偏波用素子間導波路83A1上にヤトイY1を接着して配置する。そして、光変調器素子2Bの第1の端面2F1及び第2の端面2F2を切断及び端面研磨することで、局発用素子間導波路81A、4本のX偏波用素子間導波路82A1、4本のY偏波用素子間導波路83A1及び局発用光導波路4の各端面を光学面とする。
次に、光変調器素子2Bの局発用素子間導波路81Aの端面の近傍に、局発用素子間導波路81Aの端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM1を設置する。次に、光変調器素子2Bの局発用光導波路4と、局発用光ファイバF1を埋め込んだガラスブロック7Aの端面との間にUV接着剤X1を塗布して局発用光導波路4にガラスブロック7Aを当接させる。そして、局発用光ファイバF1から光を入力しつつ、光パワーメータM1の光入力パワーが最大となるように、局発用光ファイバF1を光軸調芯し、光軸調芯後、UV接着剤X1にUV光を照射する。その結果、局発用光ファイバF1と光変調器素子2Bの局発用光導波路4との間をバットジョイント接合で光接続し、かつ、接着固定することになる。
次に、光受信器素子3Aに入力側光ファイバF3及び出力側光ファイバF2を接合する際の製造方法について説明する。光受信器素子3Aの第4の端面3F2側にある局発用素子間導波路81B、4本のX偏波用素子間導波路82B1及び4本のY偏波用素子間導波路83B1上にヤトイY2を接着して配置する。そして、光受信器素子3Aの第3の端面3F1及び第4の端面3F2を切断及び端面研磨する。そして、局発用素子間導波路81B、4本のX偏波用素子間導波路82B1、4本のY偏波用素子間導波路83B1、送信用光導波路5及び受信用光導波路6の各端面を光学面とする。
次に、光受信器素子3Aの4本のX偏波用素子間導波路82B1の端面の近傍に、4本のX偏波用素子間導波路82B1の端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM2を設置する。光受信器素子3Aの送信用光導波路5及び受信用光導波路6と、出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3を埋め込んだガラスブロック7Bの端面との間にUV接着剤X2を塗布して送信用光導波路5及び受信用光導波路6にガラスブロック7Bを当接する。そして、出力側光ファイバF2から適切な偏波の光を入力しつつ、光パワーメータM2の光入力パワーが最大となるように、出力側光ファイバF2を光軸調芯する。同時に、入力側光ファイバF3から適切な偏波の光を入力しつつ、第1~第4のPD12の光電流が最大となるように、入力側光ファイバF3を光軸調芯する。そして、光軸調芯後、UV接着剤X2にUV光を照射することで入力側光ファイバF3と受信用光導波路6との間、出力側光ファイバF2と送信用光導波路5との間をバットジョイント接合で光接続し、かつ、接着固定することになる。尚、説明の便宜上、光受信器素子3Aの4本のX偏波用素子間導波路82B1の端面の近傍に、4本のX偏波用素子間導波路82B1の端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM2を設置する場合を例示した。しかしながら、光受信器素子3Aの4本のY偏波用素子間導波路83B1の端面の近傍に、4本のY偏波用素子間導波路83B1の端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM2を設置しても良い。
また、説明の便宜上、光受信器素子3AのX偏波用素子間導波路82B1の端面の近傍に、X偏波用素子間導波路82B1の端面から出射される光を集光、かつ、受光する光パワーメータM2を設置する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
次に、光変調器素子2Bと光受信器素子3Aとの間を光接続する際の製造方法について説明する。局発用光ファイバF1を光接続した光変調器素子2Bと、入力側光ファイバF3及び出力側光ファイバF2を光接続した光受信器素子3Aとを準備する。
光変調器素子2Bの第2の端面2F2と、光受信器素子3Aの第4の端面3F2との間にUV接着剤X3を塗布する。そして、局発用素子間導波路81A、81Bの端面同士、4本のX偏波用素子間導波路82A1、82B1の端面同士及び4本のY偏波用素子間導波路83A1、83B1の端面同士が接続するように第2の端面2F2と第4の端面3F2とを当接させる。第2の端面2F2と第4の端面3F2との間を当接させた後、光変調器素子2Bにバットジョイント接合で光接続された局発用光ファイバF1から適切な局発光を入力する。そして、局発光を入力しながら、光受信器素子3Bの出力側光ファイバF2からの光パワーが最大となるように、光変調器素子2B又は光受信器素子3Aの少なくともいずれか一方を光軸調芯する。同時に、第1~第4のPD12の光電流が最大となるように、光変調器素子2B又は光受信器素子3Aの少なくとも何れか一方を光軸調芯する。
光軸調芯後に、第2の端面2F2と第4の端面3F2との間に塗布されたUV接着剤X3にUV光を照射する。そして、局発用素子間導波路81A、81Bの端面同士、4本のX偏波用素子間導波路82A1、82B1の端面同士及び4本のY偏波用素子間導波路83A1,83B1の端面同士をバットジョイント接合で光接続し、かつ、接着固定することになる。
実施例2の光デバイス1Aでは、4個のRF側MZM33A、34Aを電気光学材料で構成する光変調器素子2Bと、4個のDC側子MZM33B,34B及び2個のDC側親MZM33C、34CをSiフォトニクス素子で構成する光受信器素子3Aとを有する。そして、光デバイス1Aは、局発用素子間導波路81A、81Bの端面同士、4本のX偏波用素子間導波路82A1、82B1の端面同士及び4本のY偏波用素子間導波路83A1,83B1の端面同士をバットジョイント接合で光接続する。その結果、特性の改善及び小型化を図ることができる。
また、実施例2の光デバイス1Aでは、光変調器素子2Bの電気光学材料として原理的にDCドリフトを有するペロブスカイト型酸化物を使用したとしても、RF側MZM33A1及び34A1にはRF電圧しか印加されず、DC電圧が印加されない。従って、DCドリフトが原理的に発生しない。また、Si導波路とヒータとで構成するDC側子MZM33B1、34B1及びDC側親MZM33C1、34C1もDCドリフトが原理的に発生しない。従って、例えば、LiNbO3のようなDCドリフトが比較的大きなペロブスカイト型酸化物を光変調器素子2Bに使用したとしても、DCドリフト補償のために必要なDC電圧を供給するDC電源を必要としない。つまり、実施例2の光デバイス1Aは、実施例1の光デバイス1に比較しても有利である。
尚、実施例1の光デバイス1では、光変調器素子2内の局発用光導波路4と局発用光ファイバF1との間を光接続する。更に、光デバイス1では、光受信器素子3内の送信用光導波路5と出力側光ファイバF2との間及び、光受信器素子3内の受信用光導波路6と入力側光ファイバF3との間を光接続する場合を例示した。しかしながら、局発用光ファイバF1、出力側光ファイバF2及び入力側光ファイバF3を含む光ファイバアレイとしても良く、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。