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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113984
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019313
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】池添 祐基
(72)【発明者】
【氏名】梅津 尚広
(72)【発明者】
【氏名】水津 貴之
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA08
5D107AA14
5D107AA16
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】意図しない方向である上下方向への振動を抑制すること。
【解決手段】振動発生装置は、底面を有する固定体、底面の上側空間に配置される可動体と、固定体と可動体の間に介在して可動体を固定体に対して前後方向に振動可能に支持する弾性支持部材とを備え、弾性支持部材は、底面に固定される固定部、固定部から上方に延設された立設部、立設部から左右方向に延設された弾性変形部、弾性変形部から延設され可動体が取り付けられる可動体取付部を有し、弾性支持部材は、弾性変形部とは異なる位置において立設部から左右方向に延設された突設部を有し、突設部と固定体の間に緩衝部材を介在させた。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を有する固定体と、
前記底面の上側空間に配置される可動体と、
前記固定体と前記可動体の間に介在して前記可動体を前記固定体に対して前後方向に振動可能に支持する弾性支持部材とを備え、
前記弾性支持部材は、前記底面に固定される固定部、前記固定部から上方に延設された立設部、前記立設部から左右方向に延設された弾性変形部、前記弾性変形部から延設され前記可動体が取り付けられる可動体取付部を有し、
前記弾性支持部材は、前記弾性変形部とは異なる位置において前記立設部から左右方向に延設された突設部を有し、
前記突設部と前記固定体の間に緩衝部材を介在させたことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
前記突設部は、前記立設部の前記弾性変形部が延設された側と同じ側であって前記弾性変形部の下方に設けられたことを特徴とする請求項1記載の振動発生装置。
【請求項3】
前記弾性支持部材は、板状部材からなり、
前記突設部は、前記立設部から一体的に延設され上下方向および左右方向に延在する本体板部と、前記本体板部から折曲部を介して延設され前後方向および左右方向に沿って延在し前記緩衝部材に当接する当接板部を備えたことを特徴とする請求項1記載の振動発生装置。
【請求項4】
前記緩衝部材は、ゴム部材であることを特徴とする請求項1記載の振動発生装置。
【請求項5】
前記緩衝部材は、前記突設部から一体的に延設されたバネ部であることを特徴とする請求項1記載の振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯情報端末(例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末等)、ゲーム機、自動車等の車両に搭載された情報表示装置等の電子機器において、各種着信(例えば、通話着信、メール着信、SNS着信)の通知や、ユーザ操作に対するフィードバックを、ユーザに触覚的に与えるための振動を発生させることが可能な振動発生装置が用いられている。
【0003】
このような振動発生装置として、例えば、下記特許文献1には、腕時計などの携帯物に取り付けられる振動装置であって、コイルに対し、所定の周波数で電気信号が交互に供給されることによって、移動質量が所定の振動方向(左右方向)に振動するように構成された、振動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/133218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、所定の周波数による主振動によって左右方向(すなわち、振動装置の短手方向)に振動することを意図したものであるにも関わらず、所定の周波数以外の他の周波数で共振してしまう、いわゆる副共振によって、意図しない方向である上下方向(すなわち、振動装置の厚さ方向)に振動してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る振動発生装置は、底面を有する固定体、底面の上側空間に配置される可動体と、固定体と可動体の間に介在して可動体を固定体に対して前後方向に振動可能に支持する弾性支持部材とを備え、弾性支持部材は、底面に固定される固定部、固定部から上方に延設された立設部、立設部から左右方向に延設された弾性変形部、弾性変形部から延設され可動体が取り付けられる可動体取付部を有し、弾性支持部材は、弾性変形部とは異なる位置において立設部から左右方向に延設された突設部を有し、突設部と固定体の間に緩衝部材を介在させた。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態に係る振動発生装置によれば、意図しない方向である上下方向への振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る振動発生装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係る振動発生装置(上側ケースが取り外された状態)の外観斜視図
図3】一実施形態に係る振動発生装置の分解斜視図
図4】一実施形態に係る振動体およびコイルアセンブリの分解斜視図
図5】一実施形態に係る振動体およびコイルアセンブリの後方から視た側面図
図6】一実施形態に係る振動体およびコイルアセンブリの右方から視た側面図
図7】一実施形態に係る弾性支持部材の外観斜視図
図8】一実施形態に係る弾性支持部材の後方から視た側面図
図9】一実施形態に係る弾性支持部材(下側ケースに固定された状態)の外観斜視図
図10】一実施形態に係る弾性支持部材(下側ケースに固定された状態)の後方から視た側面図
図11】一実施形態に係る弾性支持部材が備える弾性腕部の構成の第1変形例を模式的に示す図
図12】一実施形態に係る弾性支持部材が備える弾性腕部の構成の第2変形例を模式的に示す図
図13】一実施形態に係る弾性支持部材が備える弾性腕部の構成の第3変形例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0010】
(振動発生装置10の構成)
図1は、一実施形態に係る振動発生装置10の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る振動発生装置10(上側ケース112が取り外された状態)の外観斜視図である。図3は、一実施形態に係る振動発生装置10の分解斜視図である。
【0011】
なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を上下方向とし、X軸方向を左右方向とし、Y軸方向を前後方向とする。但し、Z軸正方向を上方向とし、X軸正方向を右方向とし、Y軸正方向を前方向とする。
【0012】
図1図3に示す振動発生装置10は、例えば、携帯情報端末(例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末等)、ゲーム機、自動車等の車両に搭載された情報表示装置等の電子機器に搭載される装置である。この振動発生装置10は、例えば、各種着信(例えば、通話着信、メール着信、SNS着信)を通知するための振動や、ユーザ操作に対するフィードバックをユーザに触覚的に与えるための振動等を発生させるために用いられる。
【0013】
振動発生装置10は、当該振動発生装置10が搭載される電子機器における省スペース化のために、小型且つ薄型に形成されている。振動発生装置10は、筐体110の内部に設けられている振動体120が、所定の周波数の交流駆動電流で駆動されることにより、前後方向(Y軸方向)に振動するように構成されている。
【0014】
図1図3に示すように、振動発生装置10は、筐体110、振動体120、コイルアセンブリ130、弾性支持部材140、および緩衝部材150を備える。
【0015】
筐体110は、金属板を加工することにより形成されており、概ね薄型の直方体をなす箱状の部材である。筐体110は、互いに分離可能な、下側ケース111および上側ケース112を有する。上側ケース112は、下部が開口された容器状(概ね薄型の直方体形状)の部材である。上側ケース112の内部には、その他の各構成部品(振動体120および弾性支持部材140)が組み込まれる。下側ケース111は、水平な平板状の部材であり、上側ケース112の下部開口に取り付けられることにより、上側ケース112の下部開口を閉塞する。なお、筐体110は、「固定体」の一例である。また、下側ケース111は、「固定体の底面」の一例である。
【0016】
振動体120は、「底面の上側空間に配置される可動体」の一例である。振動体120は、下側ケース111の上側(Z軸正側)の空間(すなわち、上側ケース112の内部)に配置される。振動体120は、コイルアセンブリ130が発生する電磁力の反作用により、前後方向(Y軸方向)に振動する。なお、振動体120の詳細な構成および動作については、図4図6を用いて後述する。
【0017】
コイルアセンブリ130は、振動体120とともに、下側ケース111の上側(Z軸正側)の空間(すなわち、上側ケース112の内部)に配置される。コイルアセンブリ130は、所定の周波数の交流駆動電流で駆動されることにより、電磁力を発生し、当該電磁力の反作用により、振動体120を前後方向(Y軸方向)に振動させる。なお、コイルアセンブリ130の詳細な構成および動作については、図4図6を用いて後述する。
【0018】
弾性支持部材140は、金属板を加工することにより形成されており、筐体110(固定体)と振動体120(可動体)の間に介在して、振動体120を筐体110に対して前後方向(Y軸方向)に振動可能に支持する。具体的には、弾性支持部材140は、水平な平板状の可動体取付部141を有しており、当該可動体取付部141の上側に振動体120が取り付けられることにより、振動体120を筐体110に対して前後方向(Y軸方向)に振動可能に支持する。なお、弾性支持部材140の詳細な構成については、図7図10を用いて後述する。
【0019】
緩衝部材150は、弾性支持部材140が有する突設部142Fと、下側ケース111の上面111Aとの間に、介在して設けられている。緩衝部材150は、振動体120が意図しない方向である上下方向へ振動してしまうことを抑制するために設けられている。
【0020】
このように構成された振動発生装置10は、外部回路(図示省略)からFPC(図示省略)を介して、コイルアセンブリ130に交流駆動電流が供給されることにより、弾性支持部材140を弾性変形させつつ、弾性支持部材140によって保持された振動体120を、前後方向(Y軸方向)に振動させることができる。
【0021】
(振動体120およびコイルアセンブリ130の構成)
図4は、一実施形態に係る振動体120およびコイルアセンブリ130の分解斜視図である。図5は、一実施形態に係る振動体120およびコイルアセンブリ130の後方から視た側面図である。図6は、一実施形態に係る振動体120およびコイルアセンブリ130の右方から視た側面図である。
【0022】
図4に示すように、コイルアセンブリ130は、3つのコイル131-1,131-2,131-3と、コイルホルダ132とを備える。
【0023】
3つのコイル131-1,131-2,131-3は、前後方向(Y軸方向)に並べて設けられている。3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々は、上方(Z軸正方向)から視て、左右方向(X軸方向)を長手方向とする長円環状を有しており、当該円環状をなすように、電線(例えば、絶縁体で被覆された銅線)が多重に巻かれることによって形成される。また、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々は、上下方向(Z軸方向)の厚さに関しては、比較的薄く形成されている。
【0024】
なお、3つのコイル131-1,131-2,131-3のは、上方から平面視したときに、後述する4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4のうちの、前後方向(Y軸方向)に隣り合う2つの上側に磁石に跨って設けられている。
【0025】
また、3つのコイル131-1,131-2,131-3のは、上方から平面視したときに、後述する4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4のうちの、前後方向(Y軸方向)に隣り合う2つの上側に磁石に跨って設けられている。
【0026】
コイルホルダ132は、金属板を加工することにより形成されており、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々を、所定の位置に保持する部材である。具体的には、コイルホルダ132は、コイル保持部132Aと、4つの脚部132Bとを有する。
【0027】
コイル保持部132Aは、上方から視て概ね長方形状を有する、水平な平板状の部分である。コイル保持部132Aは、当該コイル保持部132Aの下面において、3つのコイル131-1,131-2,131-3を保持する。
【0028】
4つの脚部132Bの各々は、コイル保持部132Aの概ね4つの角部の各々に設けられており、コイル保持部132Aから下方(Z軸負方向)に垂下して設けられた、垂直な壁状の部分である。
【0029】
4つの脚部132Bの各々は、その下端部が直角に折り曲げられており、当該下端部において、下側ケース111の上面111Aに固定される。これにより、4つの脚部132Bの各々は、コイル保持部132Aが下側ケース111に対して所定の高さ位置に位置するように、コイル保持部132Aを支持する。
【0030】
一方、図4図6に示すように、振動体120は、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4と、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4と、上側ヨーク125と、下側ヨーク126とを備える。
【0031】
4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4は、3つのコイル131-1,131-2,131-3の上側において、3つのコイル131-1,131-2,131-3から上方(Z軸正方向)に所定距離離間して設けられており、且つ、前後方向(Y軸方向)に並べて設けられている。
【0032】
4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4の各々は、上方(Z軸正方向)から視て左右方向(X軸方向)を長手方向とする長方形状を有する、平板状の永久磁石である。
【0033】
4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4の各々は、上側半分がN極およびS極のうちの一方の極に着磁されており、下側半分がN極およびS極のうちの他方の極に着磁されている。但し、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4のうち、隣り合う2つの上側磁石の間においては、上側半分および下側半分のいずれも、互いに異なる極に着磁されている。
【0034】
4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4は、3つのコイル131-1,131-2,131-3の下側において、3つのコイル131-1,131-2,131-3から下方(Z軸負方向)に所定距離離間して設けられており、且つ、前後方向(Y軸方向)に並べて設けられている。
【0035】
4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の各々は、上方(Z軸正方向)から視て左右方向(X軸方向)を長手方向とする長方形状を有する、平板状の永久磁石である。
【0036】
4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の各々は、上側半分がN極およびS極のうちの一方の極に着磁されており、下側半分がN極およびS極のうちの他方の極に着磁されている。但し、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4のうち、隣り合う2つの下側磁石の間においては、上側半分および下側半分のいずれも、互いに異なる極に着磁されている。
【0037】
さらに、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の各々の上側半分は、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4の各々の下側半分と対向しており、且つ、互いに異なる極に着磁されている。
【0038】
例えば、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4の各々の下側半分が、N極,S極,N極,S極の順に着磁されている場合、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の各々の上側半分は、S極,N極,S極,N極の順に着磁されている。
【0039】
上側ヨーク125および下側ヨーク126は、磁性体(例えば、純鉄、低炭素鋼、等)が用いられて形成される。
【0040】
上側ヨーク125は、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4の上側に設けられており、上方からの平面視にて概ね長方形状を有する、平板状の部材である。上側ヨーク125の下面は、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4の各々の上面に密着している。上側ヨーク125は、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4を保持し、且つ、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4の各々の磁気吸着力を増幅させる。
【0041】
下側ヨーク126は、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の下側に設けられている。下側ヨーク126は、底板部126Aと、一対の壁部126Bとを有する。
【0042】
底板部126Aは、上方からの平面視にて概ね長方形状を有する、平板状の部分である。底板部126Aの上面は、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の各々の下面に密着している。下側ヨーク126は、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4を保持し、且つ、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の各々の磁気吸着力を増幅させる。
【0043】
一対の壁部126Bの各々は、底板部126Aの左右両方の端部の各々に設けられている。一対の壁部126Bの各々は、底板部126Aの端部から垂直に立設された壁状の部分である。なお、一対の壁部126Bの各々は、底板部126Aの端部において、前後方向(Y軸方向)における中央部に設けられており、且つ、前後方向(Y軸方向)に一定の幅を有する。
【0044】
下側ヨーク126は、一対の壁部126Bの各々の上端部に、上側ヨーク125の左右両端部の各々が取り付けられることにより、上側ヨーク125を所定の高さ位置で支持する。これにより、下側ヨーク126の底板部126Aと、上側ヨーク125との間には、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4、
コイルアセンブリ130、および4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4を配置可能な空間が形成される。
【0045】
(振動体120およびコイルアセンブリ130の動作)
上記のように構成されたコイルアセンブリ130では、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々に対し、第1の方向の駆動電流を流すことにより、フレミングの左手の法則により、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々に対し、前方(Y軸正方向)への力(電磁力)が働く。
【0046】
反対に、コイルアセンブリ130では、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々に対し、第1の方向とは逆方向である第2の方向の駆動電流を流すことにより、フレミングの左手の法則により、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々に対し、後方(Y軸負方向)への力(電磁力)が働く。
【0047】
このため、コイルアセンブリ130では、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々に対し、交流駆動電流を供給することにより、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々に、前方(Y軸正方向)への力(電磁力)と、後方(Y軸負方向)への力(電磁力)とが、交互に働く。
【0048】
この際、作用と反作用との関係により、4つの上側磁石123-1,123-2,123-3,123-4、および、4つの下側磁石124-1,124-2,124-3,124-4の各々に対し、3つのコイル131-1,131-2,131-3とは逆方向の力が交互に働く。
【0049】
したがって、振動体120は、3つのコイル131-1,131-2,131-3の各々に対し、振動体120の共振周波数f1と同じ周波数の交流駆動電流を供給することにより、当該振動体120が共振して、前後方向(Y軸方向)に振動することができる。
【0050】
特に、振動体120は、3つのコイル131-1,131-2,131-3を、前後方向(Y軸方向)に並べて設けたことにより、2つ以下のコイルを設ける構成と比較して、より大きく前後方向(Y軸方向)に振動することができる。但し、振動体120は、2つ以下のコイルが設けられてもよく、4つ以上のコイルが設けられてもよい。
【0051】
(弾性支持部材140の構成)
図7は、一実施形態に係る弾性支持部材140の外観斜視図である。図8は、一実施形態に係る弾性支持部材140の後方から視た側面図である。
【0052】
図7および図8に示すように、弾性支持部材140は、振動体120が取り付けられる水平な平板状の可動体取付部141と、可動体取付部141の後端部(Y軸負側の端部)から延設された弾性腕部142-1と、可動体取付部141の前端部(Y軸正側の端部)から延設された弾性腕部142-2とを有する。
【0053】
図7および図8に示すように、弾性支持部材140の弾性腕部142-1は、固定部142A、立設部142B、弾性変形部142C、折り返し部142D、および接続部142Eを有する。
【0054】
固定部142Aは、弾性腕部142-1の先端(右端部(X軸正側の端部)且つ下端部(Z軸負側の端部))に設けられており、下側ケース111(「固定体の底面」の一例)に固定される水平な部分である。
【0055】
立設部142Bは、固定部142Aから上方(Z軸正方向)に延設された垂直な部分である。
【0056】
弾性変形部142Cは、立設部142Bの上端部から左方向(X軸負方向)に直線状に延設された垂直な部分である。
【0057】
折り返し部142Dは、弾性変形部142Cの左端部(X軸負側の端部)からさらに左方向(X軸負方向)に延設された後に、右方向(X軸正方向)に延設されるように折り返される、垂直、且つ、後方から視て曲線状(C字状)を有する部分である。
【0058】
接続部142Eは、折り返し部142Dの端部と、可動体取付部141の後端部(Y軸負側の端部)とを接続する、垂直な部分である。
【0059】
なお、弾性支持部材140は、点対称形状を有する。このため、弾性腕部142-2は、弾性腕部142-1と左右反転して設けられている点を除き、弾性腕部142-1と同形状を有する。このため、弾性腕部142-1の各構成部は、弾性腕部142-1の各構成部と同一の符号を付して、説明を省略する。
【0060】
(弾性支持部材140の固定方法)
図9は、一実施形態に係る弾性支持部材140(下側ケース111に固定された状態)の外観斜視図である。図10は、一実施形態に係る弾性支持部材140(下側ケース111に固定された状態)の後方から視た側面図である。
【0061】
図7および図8で説明したように構成された弾性支持部材140は、図9および図10に示すように、弾性腕部142-1が有する固定部142Aと、弾性腕部142-2が有する固定部142Aとの各々が、下側ケース111の上面111Aに溶接によって固定される。
【0062】
これにより、弾性支持部材140は、可動体取付部141が、水平な状態、且つ、下側ケース111から僅かに上方(Z軸正方向)に離間した状態で、弾性腕部142-1と弾性腕部142-2とによって支持される。
【0063】
そして、弾性支持部材140は、可動体取付部141に取り付けられている振動体120からの前後方向(Y軸方向)への振動力を受けて、弾性腕部142-1および弾性腕部142-2の各々において、固定部142Aが支点となって、主に、比較的前後方向(Y軸方向)に対する剛性が弱い部分である、弾性変形部142Cが、前後方向(Y軸方向)に弾性変形しつつ揺動する。これにより、弾性支持部材140は、弾性腕部142-1および弾性腕部142-2によって支持されている可動体取付部141を、前後方向(Y軸方向)に振動させることができる。
【0064】
この際、弾性腕部142-1および弾性腕部142-2の各々は、固定部142Aから最も離れている部分が振動量が最も大きくなり、この固定部142Aから最も離れている部分の近傍に、可動体取付部141が接続されているため、可動体取付部141を、前後方向(Y軸方向)に比較的大きく振動させることができる。
【0065】
ここで、図7図10に示すように、弾性支持部材140の弾性腕部142-1は、立設部142Bの下端部(Z軸負側の端部)の近傍位置(すなわち、弾性変形部142Cとは異なる位置)において、立設部142Bから左右方向(弾性腕部142-1の場合、X軸負方向)に延設された突設部142Fを有する。
【0066】
そして、図2図3図9,および図10に示すように、一実施形態に係る振動発生装置10は、弾性腕部142-1の突設部142Fと、下側ケース111の上面111Aとの間に、緩衝部材150を介在させている。
【0067】
これにより、一実施形態に係る振動発生装置10は、弾性腕部142-1の上下方向への揺動を緩衝部材150によって吸収することができ、すなわち、振動体120において、いわゆる副共振によって、意図しない方向である上下方向(Z軸方向)への振動が発生した場合であっても、緩衝部材150において、この上下方向(Z軸方向)への振動を吸収することで、この上下方向(Z軸方向)への振動を抑制することができる。
【0068】
特に、一実施形態に係る振動発生装置10は、緩衝部材150として、ゴム部材を用いている。
【0069】
これにより、一実施形態に係る振動発生装置10は、振動体120において発生した上下方向(Z軸方向)への振動を好適に抑制することができる。
【0070】
さらに、一実施形態に係る振動発生装置10は、弾性支持部材140の弾性腕部142-1において、突設部142Fが、立設部142Bの弾性変形部142Cが延設された側と同じ側(すなわち、X軸負側)であって弾性変形部142Cの下方に設けられている。
【0071】
これにより、一実施形態に係る振動発生装置10は、弾性腕部142-1の揺動の支点となる固定部142Aに近い位置で、緩衝部材150によって弾性腕部142-1の揺動を吸収できるため、振動体120の上下方向(Z軸方向)への振動の抑制効果を高めることができる。
【0072】
加えて、一実施形態に係る振動発生装置10は、弾性腕部142-1の揺動の支点となる固定部142Aに近い位置で、緩衝部材150が弾性腕部142-1の突設部142Fに当接するため、緩衝部材150から弾性腕部142-1に加わる摩擦力を小さくすることができ、当該摩擦力による、振動体120の前後方向(Y軸方向)の振動への影響を抑制することができる。
【0073】
また、一実施形態に係る振動発生装置10において、弾性支持部材140は、板状部材からなり、弾性支持部材140の弾性腕部142-1において、突設部142Fは、立設部142Bから一体的に延設され上下方向(Z軸方向)および左右方向(X軸方向)に延在する本体板部142Faと、本体板部142Faから折曲部142Fbを介して延設され前後方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)に沿って延在し緩衝部材150に当接する当接板部142Fcとを備える。
【0074】
これにより、一実施形態に係る振動発生装置10は、板状部材に対して、突設部142Fを立設部142Bと一体的に形成し、さらに、板状部材を折曲部142Fbにおいて折り曲げることにより、比較的広い面積で緩衝部材150に当接する当接板部142Fcを有する突設部142Fを、立設部142Bの近傍に、且つ、立設部142Bと一体的に、容易に設けることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、弾性腕部142-1の突設部142Fと、下側ケース111の上面111Aとの間に、緩衝部材150を介在させており、弾性腕部142-2の突設部142Fと、下側ケース111の上面111Aとの間に、緩衝部材150を介在させていないが、これに限らない。例えば、弾性腕部142-1の突設部142Fと、下側ケース111の上面111Aとの間に、緩衝部材150を介在させて、弾性腕部142-2の突設部142Fと、下側ケース111の上面111Aとの間に、緩衝部材150を介在させてもよい。
【0076】
(弾性腕部142-1の構成の変形例)
図11は、一実施形態に係る弾性支持部材140が備える弾性腕部142-1の構成の第1変形例を模式的に示す図である。図12は、一実施形態に係る弾性支持部材140が備える弾性腕部142-1の構成の第2変形例を模式的に示す図である。図13は、一実施形態に係る弾性支持部材140が備える弾性腕部142-1の構成の第3変形例を模式的に示す図である。
【0077】
なお、図11図13では、弾性支持部材140が備える弾性腕部142-1の形状を簡略化して図示しており、さらに、弾性腕部142-1の先端部(Y軸負側の端部)に振動体120が接続されている様子を簡略的に図示している。
【0078】
図7図10に示す例では、弾性腕部142-1において、突設部142Fが、立設部142Bから弾性変形部142C側が延設されている側と同じ側(すなわち、X軸負側)に延設されているが、これに限らない。
【0079】
例えば、図11および図12に示すように、弾性腕部142-1において、突設部142Fは、立設部142Bから弾性変形部142C側が延設されている側と反対側(すなわち、X軸正側)に延設されてもよい。
【0080】
この場合、図11に示すように、突設部142Fが最終的に下方(Z軸負方向)に向かって延設されることによって、緩衝部材150は、突設部142Fと下側ケース111の上面111Aとの間に介在してもよい。
【0081】
または、図12に示すように、突設部142Fが最終的にX軸正方向に向かって延設されることによって、緩衝部材150は、突設部142Fと下側ケース111の上面111Aから垂直に立設された壁面111Bとの間に介在してもよい。
【0082】
また、図7図10に示す例では、緩衝部材150が、弾性腕部142-1の突設部142Fとは別部材のものであるが、これに限らない。
【0083】
例えば、図13に示すように、緩衝部材150は、弾性腕部142-1の突設部142Fから一体に延設されたバネ部142Gであってもよい。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 振動発生装置
110 筐体
111 下側ケース
111A 上面
111B 壁面
112 上側ケース
120 振動体
123-1,123-2,123-3,123-4 上側磁石
124-1,124-2,124-3,124-4 下側磁石
125 上側ヨーク
126 下側ヨーク
126A 底板部
126B 壁部
130 コイルアセンブリ
131-1,131-2,131-3 コイル
132 コイルホルダ
140 弾性支持部材
141 可動体取付部
142-1 弾性腕部
142-2 弾性腕部
142A 固定部
142B 立設部
142C 弾性変形部
142D 折り返し部
142E 接続部
142F 突設部
142G バネ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13