IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011399
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】複合フィルタおよび通信装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/46 20060101AFI20240118BHJP
   H03H 9/64 20060101ALI20240118BHJP
   H04B 1/52 20150101ALI20240118BHJP
【FI】
H03H7/46 A
H03H9/64 Z
H04B1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113344
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】奥道 武宏
【テーマコード(参考)】
5J097
5K011
【Fターム(参考)】
5J097AA16
5J097BB15
5J097CC05
5J097KK03
5J097KK04
5K011BA03
5K011DA01
5K011DA27
5K011KA05
(57)【要約】
【課題】複合フィルタの減衰特性を改善する。
【解決手段】複合フィルタは、直列腕に位置する第1弾性波共振子および第2弾性波共振子を有する弾性波フィルタと、前記第1弾性波共振子と前記第2弾性波共振子の間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタと、を有する。前記第1弾性波共振子の反共振周波数は、前記電磁気フィルタの共振周波数と前記複合フィルタの通過帯域との間に位置している。前記電磁気フィルタは、第1インダクタと、前記第1インダクタに対して並列に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、を含む、3以上の要素を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列腕に位置する第1弾性波共振子および第2弾性波共振子を有する弾性波フィルタと、
前記第1弾性波共振子と前記第2弾性波共振子の間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタと、
を有する複合フィルタであって、
前記第1弾性波共振子の反共振周波数は、前記電磁気フィルタの共振周波数と前記複合フィルタの通過帯域との間に位置しており、
前記電磁気フィルタは、第1インダクタと、前記第1インダクタに対して並列に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、を含む、3以上の要素を有する、
複合フィルタ。
【請求項2】
前記第2キャパシタは、前記第1インダクタと前記第1キャパシタとを含む並列ユニットに対して直列に接続されている、
請求項1に記載の複合フィルタ。
【請求項3】
前記電磁気フィルタは、前記3以上の要素として、第2インダクタをさらに含み、
前記第2インダクタは、前記第2キャパシタに対して直列に接続されている、
請求項2に記載の複合フィルタ。
【請求項4】
前記第2キャパシタは、(i)前記第1インダクタに対して直列に接続され、かつ、(ii)前記第1キャパシタに対して並列に接続されている、
請求項1に記載の複合フィルタ。
【請求項5】
前記電磁気フィルタは、前記3以上の要素として、第2インダクタをさらに含み、
前記第2インダクタは、(i)前記第1キャパシタに対して直列に接続されており、かつ、(ii)前記第1インダクタと前記第2キャパシタとを含む直列ユニットに対して並列に接続されている、
請求項4に記載の複合フィルタ。
【請求項6】
前記電磁気フィルタは、前記複合フィルタの前記通過帯域に対して低周波側に減衰極を有している、
請求項1から5のいずれか1項に記載の複合フィルタ。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の複合フィルタを有している、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性波フィルタと電磁気フィルタとを有する複合フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、複合フィルタの構成例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-190908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合フィルタの減衰特性を改善することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る複合フィルタは、直列腕に位置する第1弾性波共振子および第2弾性波共振子を有する弾性波フィルタと、前記第1弾性波共振子と前記第2弾性波共振子の間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタと、を有する複合フィルタであって、前記第1弾性波共振子の反共振周波数は、前記電磁気フィルタの共振周波数と前記複合フィルタの通過帯域の間に位置しており、前記電磁気フィルタは、第1インダクタと、前記第1インダクタに対して並列に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、を含む、3以上の要素を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、複合フィルタの減衰特性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1における非ハイブリッド型のフィルタ回路の一構成例を示す図である。
図2】実施形態1における非ハイブリッド型のフィルタ回路の別の構成例を示す図である。
図3】実施形態1における複合フィルタの一構成例を示す図である。
図4】実施形態1における複合フィルタの別の構成例を示す図である。
図5】実施形態1における各フィルタ回路の周波数特性を比較する図である。
図6図5における各周波数特性を個別に示す図である。
図7】実施形態1における複合フィルタのさらに別の構成例を示す図である。
図8】実施形態1における各フィルタ回路の周波数特性を比較する別の図である。
図9】実施形態1における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性を比較する図である。
図10】実施形態1における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性を比較する別の図である。
図11】実施形態1における複合フィルタの一変形例を示す図である。
図12図7および図11のそれぞれの複合フィルタの周波数特性を比較する図である。
図13】実施形態2における非ハイブリッド型のフィルタ回路の一構成例を示す図である。
図14】実施形態2における非ハイブリッド型のフィルタ回路の別の構成例を示す図である。
図15】実施形態2における複合フィルタの一構成例を示す図である。
図16】実施形態2における複合フィルタの別の構成例を示す図である。
図17】実施形態2における各フィルタ回路の周波数特性を比較する図である。
図18図17における各周波数特性を個別に示す図である。
図19】実施形態2における複合フィルタのさらに別の構成例を示す図である。
図20】実施形態2における各フィルタ回路の周波数特性を比較する別の図である。
図21】実施形態2における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性を比較する図である。
図22】実施形態2における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性を比較する別の図である。
図23】実施形態2における複合フィルタの一変形例を示す図である。
図24図19および図23のそれぞれの複合フィルタの周波数特性を比較する図である。
図25】実施形態3における3要素LC共振回路の等価回路表現を例示する図である。
図26】実施形態3における4要素LC共振回路の等価回路表現を例示する図である。
図27】実施形態4における分波器の一構成例を示す図である。
図28】実施形態5における通信装置の概略的な構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
実施形態1について以下に説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明したコンポーネント(構成要素)と同じ機能を有するコンポーネントについては、以降の各実施形態では同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。簡潔化のため、公知の技術事項についても説明を適宜省略する。本明細書において述べる各コンポーネントおよび各数値は、特に矛盾のない限り、いずれも単なる一例である。それゆえ、例えば、特に矛盾のない限り、各コンポーネントの位置関係および接続関係は、各図の例に限定されない。また、各図は、必ずしもスケール通りに図示されていない。
【0009】
本明細書における複合フィルタは、フィルタ回路の一例である。当該複合フィルタは、例えば、(i)直列腕に位置する第1弾性波共振子および第2弾性波共振子を有する弾性波フィルタと、(ii)前記第1弾性波共振子と前記第2弾性波共振子との間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタと、を有していてよい。
【0010】
実施形態1の複合フィルタでは、第1弾性波共振子と第2弾性波共振子の間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタ(例:2段目の並列腕に位置する電磁気フィルタ)がLC共振回路である場合を例示する。加えて、実施形態1の複合フィルタでは、弾性波フィルタの各弾性波共振子がSAW(Surface Acoustic Wave,弾性表面波)素子である場合を例示する。言い換えれば、実施形態1の複合フィルタでは、弾性波フィルタがSAWフィルタである場合を例示する。これらのことから、実施形態1の複合フィルタは、LCハイブリッドSAWフィルタと称されてもよい。
【0011】
ただし、当業者であれば明らかである通り、本開示の一態様に係る弾性波共振子は、SAW素子に限定されない。例えば、本開示の一態様に係る弾性波共振子は、BAW(Bulk Acoustic Wave,バルク弾性波)素子であってもよい。したがって、本開示の一態様に係る弾性波フィルタは、BAWフィルタであってもよい。
【0012】
複合フィルタにおける前記電磁気フィルタは、(i)第1インダクタと、(ii)前記第1インダクタに対して並列に接続された第1キャパシタと、(iii)第2キャパシタと、を含む、3以上の要素を有していてよい。実施形態1では、複合フィルタの電磁気フィルタが、第1インダクタと第1キャパシタと第2キャパシタという3つの要素を有する構成を例示する。実施形態1では、当該複合フィルタとの対比のため、複合フィルタの電磁気フィルタが2つの要素(例:1つのインダクタおよび1つのキャパシタ)を有する構成についても例示する。
【0013】
(非ハイブリッド型のフィルタ回路の一構成例)
はじめに、実施形態1における複合フィルタとの対比のため、弾性波フィルタを有しないフィルタ回路(非ハイブリッド型フィルタ回路)の構成例について述べる。実施形態1では、4段構成のラダー型のフィルタ回路を主に例示する。
【0014】
図1のフィルタ回路90は、実施形態1における非ハイブリッド型のフィルタ回路の一構成例である。フィルタ回路90は、(i)直列腕SLに位置する電磁気フィルタ80と、(ii)並列腕PL-2(2段目の並列腕)に位置する電磁気フィルタ85-2と、(iii)並列腕PL-4(4段目の並列腕)に位置する電磁気フィルタ85-4と、を有していてよい。
【0015】
以下に述べるフィルタ回路90の各要素の回路定数は、フィルタ回路90に要求される周波数特性に応じて適宜設定されてよい。本明細書では、並列腕PL-2と並列腕PL-4とは、総称的に並列腕PLと称されてもよい。また、以下に述べる接地端子GND-2(2段目の接地端子)と接地端子GND-4(4段目の接地端子)とは、総称的に接地端子GNDと称されてもよい。
【0016】
直列腕PLは、入力端子Pinおよび出力端子Poutに接続されていてよい。実施形態1の例では、入力端子Pinから近い順に、小さい段数が付されている。したがって、1段目は入力端子Pinに最も近く、4段目は出力端子Poutに最も近い。
【0017】
電磁気フィルタ80は、1段目にキャパシタC1を、2段目にノードNN2を、3段目にキャパシタC3を、4段目にノードNN4を有していてよい。したがって、図1の例では、ノードNN2はキャパシタC1とキャパシタC3との間に位置しており、ノードNN4はキャパシタC3と出力端子Poutとの間に位置している。
【0018】
並列腕PL-2は、ノードNN2と接地端子GND-2とに接続されていてよい。並列腕PL-2は、キャパシタC1とキャパシタC3との間から延びる並列腕とも表現できる。電磁気フィルタ85-2は、インダクタL2およびキャパシタC2を有していてよい。キャパシタC2は、インダクタL2に対して直列に接続されていてよい。
【0019】
並列腕PL-4は、ノードNN4と接地端子GND-4とに接続されていてよい。並列腕PL-4は、キャパシタC3と出力端子Poutとの間から延びる並列腕とも表現できる。電磁気フィルタ85-4は、インダクタL4を有していてよい。
【0020】
図1のフィルタ回路90における電磁気フィルタ85-2(2段目の並列腕に位置する電磁気フィルタ)は、LC共振回路の一例である。このことから、実施形態1では、フィルタ回路90の構成を、「LC1」とも表記する。
【0021】
(非ハイブリッド型フィルタ回路の別の構成例)
図2のフィルタ回路90Aは、実施形態1における非ハイブリッド型のフィルタ回路の別の構成例である。フィルタ回路90Aは、図1のフィルタ回路90の電磁気フィルタ85-2を、電磁気フィルタ85A-2に置き換えることによって得られる。電磁気フィルタ85A-2は、2段目の並列腕に位置する電磁気フィルタの別の例である。
【0022】
電磁気フィルタ85A-2は、インダクタL2a、キャパシタC2a、およびキャパシタC2bを有していてよい。図2の例では、キャパシタC2bは、インダクタL2aに対して並列に接続されている。キャパシタC2aは、(i)インダクタL2aに対して直列に接続され、かつ、(ii)キャパシタC2bに対して並列に接続されている。
【0023】
当業者であれば明らかである通り、図1の電磁気フィルタ85-2と図2の電磁気フィルタ85A-2とは、互いに等価回路の関係を有しうる。したがって、電磁気フィルタ85A-2は、LC共振回路の別の例である。このことから、実施形態1では、フィルタ回路90Aの構成を、「LC2」とも表記する。
【0024】
(複合フィルタの一構成例)
図3の複合フィルタ100は、実施形態1におけるLCハイブリッドSAWフィルタの一構成例である。複合フィルタ100は、図1のフィルタ回路90における電磁気フィルタ80を、弾性波フィルタ81に置き換えることにより得られる。弾性波フィルタ81は、直列腕SLに位置する弾性波フィルタの一例である。
【0025】
弾性波フィルタ81は、1段目に弾性波共振子Reso1を、2段目にノードNN2を、3段目に弾性波共振子Reso3を、4段目にノードNN4を有していてよい。弾性波共振子Reso1および弾性波共振子Reso3はそれぞれ、第1弾性波共振子および第2弾性波共振子の一例である。
【0026】
図3の例における電磁気フィルタ85-2は、弾性波共振子Reso1(第1弾性波共振子)と弾性波共振子Reso3(第2弾性波共振子)との間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタの一例である。
【0027】
図3の複合フィルタ100は、図1のフィルタ回路90と同等の電磁気フィルタ85-2を有するLCハイブリッドSAWフィルタの一構成例である。このことから、実施形態1では、複合フィルタ100の構成を、「LC1+SAW」とも表記する。
【0028】
(複合フィルタの別の構成例)
図4の複合フィルタ100Aは、実施形態1におけるLCハイブリッドSAWフィルタの別の構成例である。複合フィルタ100は、図2のフィルタ回路90Aにおける電磁気フィルタ80を、弾性波フィルタ81に置き換えることにより得られる。
【0029】
図4の例における電磁気フィルタ85A-2は、弾性波共振子Reso1(第1弾性波共振子)と弾性波共振子Reso3(第2弾性波共振子)との間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタの別の例である。
【0030】
図4の例におけるインダクタL2aは、本開示の一態様に係る複合フィルタにおける第1インダクタの一例である。図4の例では、キャパシタC2bは、インダクタL2aに対して並列に接続されている。したがって、図4の例におけるキャパシタC2bは、本開示の一態様に係る複合フィルタにおける第1キャパシタの一例である。
【0031】
図4の例におけるキャパシタC2aは、本開示の一態様に係る複合フィルタにおける第2キャパシタの一例である。図4に示す通り、本開示の一態様に係る複合フィルタにおいて、第2キャパシタ(キャパシタC2a)は、(i)第1インダクタ(インダクタL2a)に対して直列に接続され、かつ、(ii)第1キャパシタ(キャパシタC2b)に対して並列に接続されていてよい。
【0032】
図4の複合フィルタ100Aは、図2のフィルタ回路90Aと同等の電磁気フィルタ85A-2を有するLCハイブリッドSAWフィルタの一構成例である。このことから、実施形態1では、複合フィルタ100Aの構成を、「LC2+SAW」とも表記する。
【0033】
(各フィルタ回路の周波数特性の例)
図5は、実施形態1における各フィルタ回路の周波数特性(より具体的には、減衰特性)を比較する図である。図5の符号500Aのグラフには、LC1、LC1+SAW、およびLC2+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。図5の符号500Bのグラフには、LC1およびLC2のそれぞれの周波数特性が示されている。
【0034】
図5の各グラフにおいて、横軸(Frequency)は周波数(単位:GHz)を示し、縦軸(Transmission)は減衰量(単位:dB)を示す。減衰量は、通過量に読み換えることもできる。このため、減衰特性は、通過特性に読み換えることもできる。実施形態1の例では、規格によって予め指定されている各フィルタ回路の通過帯域(指定通過帯域)は、5.15~5.925GHzであるものとする。したがって、各フィルタ回路は、通過帯域内に指定通過帯域を含むように設計されている。
【0035】
本明細書では、フィルタ回路の通過帯域とは、低周波側カットオフ周波数から高周波側カットオフ周波数までの周波数帯域を指す。フィルタ回路の減衰特性では、最小減衰量0dBにおける周波数を示すピーク周波数に対して、低周波側および高周波側のそれぞれに-3dB減衰点が存在する。
【0036】
高周波側カットオフ周波数は、フィルタ回路の通過帯域の高周波側における-3dB減衰点の周波数である。高周波側カットオフ周波数は、当該通過帯域の高周波側の端の周波数とも表現できる。低周波側カットオフ周波数は、当該通過帯域の低周波側における-3dB減衰点の周波数である。低周波側カットオフ周波数は、当該通過帯域の低周波側の端の周波数とも表現できる。
【0037】
図6では、図5における各周波数特性が個別に示されている。図6において、符号600AのグラフにはLC1の周波数特性が、符号600BのグラフにはLC1+SAWの周波数特性が、符号600CのグラフにはLC2+SAWの周波数特性が、それぞれ示されている。
【0038】
図5および図6に示す通り、LC1+SAWによれば、LC1に比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。このことは、直列腕に弾性波フィルタを位置させることにより、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できることを裏付けている。
【0039】
さらに、LC2+SAWによれば、LC1+SAWに比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。このことは、複合フィルタ内の1つの電磁気フィルタが有する要素数を増加させることにより、当該電磁気フィルタの周波数特性に関する設計の自由度を高めることができることに由来している。
【0040】
電磁気フィルタの周波数特性に関する設計の自由度向上による利点は、図5の符号500Bのグラフからも理解することができる。当該グラフに示す通り、LC2によれば、LC1に比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。このことは、電磁気フィルタ85A-2が有する要素数(3)が、電磁気フィルタ85-2が有する要の数(2)よりも多いことに由来している。当業者であれば明らかである通り、電磁気フィルタ85A-2は、周波数特性に関して、電磁気フィルタ85-2に比べて高い設計の自由度を有しうる。
【0041】
(複合フィルタのさらに別の構成例)
図7の複合フィルタ100Bは、実施形態1におけるLCハイブリッドSAWフィルタのさらに別の構成例である。複合フィルタ100Bは、図4の複合フィルタ100Aにおける電磁気フィルタ85-4を、電磁気フィルタ85A-4に置き換えることによって得られる。実施形態1では、複合フィルタ100Bの構成を、「LC3+SAW」とも表記する。
【0042】
電磁気フィルタ85A-4は、4段目の並列腕に位置する電磁気フィルタの別の例である。図7に示す通り、電磁気フィルタ85A-4は、インダクタL4に加えて、キャパシタC4をさらに有していてよい。キャパシタC4は、インダクタL4に対して並列に接続されていてよい。
【0043】
(各フィルタ回路の周波数特性の別の例)
図8は、実施形態1における各フィルタ回路の周波数特性を比較する別の図である。図8の符号800Aのグラフには、LC1、LC1+SAW、およびLC2+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。当該グラフは、図5の符号500Aのグラフと同等である。
【0044】
図8の符号800Bのグラフには、LC2+SAWおよびLC3+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。図8の符号800Cのグラフには、LC3+SAWの周波数特性のみが示されている。
【0045】
符号800Bのグラフに示す通り、LC3+SAWによれば、LC2+SAWに比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。このことは、電磁気フィルタ85A-4が有する要素数(2つ)が、電磁気フィルタ85-4が有する要素数(1つ)よりも多いことに由来している。当業者であれば明らかである通り、電磁気フィルタ85A-4は、周波数特性に関して、電磁気フィルタ85-4に比べて高い設計の自由度を有しうる。
【0046】
(各複合フィルタにおけるアドミタンス・インピーダンス特性の例)
図9は、実施形態1における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性(アドミタンス特性およびインピーダンス特性)を比較する図である。図9の符号900Aのグラフには、LC1+SAWのアドミタンス・インピーダンス特性が示されている。図9の符号900Bのグラフには、LC2+SAWのアドミタンス・インピーダンス特性が示されている。図9の各グラフにおいて、横軸は周波数(単位:GHz)を示し、左側の縦軸はアドミタンスの大きさ(単位:S)を示し、右側の縦軸はインピーダンスの大きさ(単位:Ω)を示す。
【0047】
本明細書では、アドミタンスの大きさ(絶対値)を|Y|と表記し、当該アドミタンスに対応するインピーダンスの大きさを|Z|と表記する。当業者であれば明らかである通り、|Y|=|Z|-1である。したがって、例えば、|Y|が最大値をとる場合には、|Z|が最小値をとる。そして、|Y|が最小値をとる場合には、|Z|が最大値をとる。以下の説明では、特に矛盾のない限り、アドミタンスの大きさを、単にアドミタンスと略記する。また、インピーダンスの大きさを、単にインピーダンスと略記する。
【0048】
はじめに、符号900Aのグラフについて説明する。当該グラフには、LC1+SAWの奇数段における|Y|が示されている。本明細書において、ある段における|Y|は、同段に位置する要素の合成アドミタンスを表す。したがって、符号900Aのグラフにおいて、1段目の|Y|は、弾性波共振子Reso1(第1弾性波共振子)のアドミタンスを表す。3段目の|Y|は、弾性波共振子Reso3(第2弾性波共振子)のアドミタンスを表す。
【0049】
加えて、符号900Aのグラフには、LC1+SAWの偶数段における|Z|が示されている。本明細書において、ある段における|Z|は、同段に位置する要素のインピーダンスを表す。したがって、符号900Aのグラフにおいて、2段目の|Z|は、電磁気フィルタ85-2のインピーダンスを表す。具体的には、2段目の|Z|は、インダクタL2とキャパシタC2との合成インピーダンスを表す。4段目の|Z|は、電磁気フィルタ85-4のインピーダンスを表す。具体的には、4段目の|Z|は、インダクタL4のインピーダンスを表す。
【0050】
本明細書において、ある段に位置する要素の共振周波数は、同段における|Z|が最小値をとる周波数として与えられる。言い換えれば、ある段に位置する要素の共振周波数は、同段における|Y|が最大値をとる周波数として与えられてもよい。
【0051】
これに対し、ある段に位置する要素の反共振周波数は、同段における|Z|が最大値をとる周波数として与えられる。言い換えれば、ある段に位置する要素の反共振周波数は、同段における|Y|が最小値をとる周波数として与えられてもよい。本明細書において、反共振周波数は、減衰極と言い換えられてもよい。
【0052】
符号900Aのグラフにおいて、周波数fr_Ef2は、LC1+SAWの2段目の要素である電磁気フィルタ85-2(LC共振回路)の共振周波数を表す。すなわち、fr_Ef2は、2段目における|Z|が最小値をとる周波数を表す。周波数fa_Reso1は、1段目の要素である弾性波共振子Reso1の反共振周波数を表す。すなわち、fa_Reso1は、1段目における|Y|が最小値をとる周波数を表す。周波数fa_Reso3は、3段目の要素である弾性波共振子Reso3の反共振周波数を表す。すなわち、fa_Reso3は、3段目における|Y|が最小値をとる周波数を表す。
【0053】
符号900Aのグラフに示す通り、LC1+SAW(複合フィルタ100)では、
3GHz<fr_Ef2<fa_Reso1<fa_Reso3<5GHz
である。このように、LC1+SAWでは、fa_Reso1(第1弾性波共振子の反共振周波数)は、fr_Ef2(2つの要素を含むLC共振回路である電磁気フィルタ85-2の共振周波数)とLC1+SAWの通過帯域との間に位置しうる。また、電磁気フィルタ85-2は、LC1+SAWの通過帯域に対して低周波側に減衰極を有しうる。
【0054】
続いて、符号900Bのグラフについて説明する。当該グラフには、(i)LC2+SAWの奇数段における|Y|と、(ii)LC2+SAWの偶数段における|Z|と、が示されている。上述の図3および図4の回路構成から明らかである通り、符号900Bのグラフにおける1段目の|Y|、3段目の|Y|、および4段目の|Z|は、符号900Aのグラフの例と同等となりうる。
【0055】
符号900Bのグラフにおいて、周波数fr_Ef2は、LC1+SAWの2段目の要素である電磁気フィルタ85A-2(LC共振回路)の共振周波数を表す。符号900Bのグラフにおける周波数fr_Ef2は、符号900Aのグラフの例と同等である。符号900Bのグラフに示す通り、LC2+SAW(複合フィルタ100A)においても、
3GHz<fr_Ef2<fa_Reso1<fa_Reso3<5GHz
である。
【0056】
このように、LC2+SAWでは、fa_Reso1(第1弾性波共振子の反共振周波数)は、fr_Ef2(3つの要素を含むLC共振回路である電磁気フィルタ85A-2の共振周波数)とLC2+SAWの通過帯域との間に位置しうる。また、電磁気フィルタ85A-2は、LC2+SAWの通過帯域に対して低周波側に減衰極を有しうる。
【0057】
上述の通り、LC2+SAWにおけるfr_Ef2は、LC1+SAWにおけるfr_Ef2と同等である。ただし、図9に示す通り、LC2+SAWでは、2段目における|Z|の最小値が、LC1+SAWに比べてさらに小さくなっている。このことは、電磁気フィルタ85A-2が、周波数特性に関して、電磁気フィルタ85-2に比べて高い設計の自由度を有していることに由来している。
【0058】
図9の丸囲み部の周波数帯域は、各複合フィルタの通過帯域に属する。電磁気フィルタ85A-2では、通過帯域の少なくとも一部における|Z|の周波数変化率を、電磁気フィルタ85-2に比べて大きく設定できる。このように、より大きい|Z|の周波数変化率を有するように電磁気フィルタ85A-2を設計することにより、2段目における|Z|の最小値をより小さくできる。
【0059】
(各複合フィルタにおけるアドミタンス・インピーダンス特性の別の例)
図10は、実施形態1における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性を比較する別の図である。図10の符号1000Aのグラフには、LC2+SAWのアドミタンス・インピーダンス特性が示されている。当該グラフは、図9の符号900Bのグラフと同等である。これに対し、図10の符号1000Bのグラフには、LC3+SAWのアドミタンス・インピーダンス特性が示されている。
【0060】
符号1000Bのグラフには、(i)LC3+SAWの奇数段における|Y|と、(ii)LC3+SAWの偶数段における|Z|と、が示されている。符号1000Bのグラフに示す通り、LC3+SAW(複合フィルタ100B)においても、
3GHz<fr_Ef2<fa_Reso1<fa_Reso3<5GHz
である。
【0061】
このように、LC3+SAWにおいても、fa_Reso1(第1弾性波共振子の反共振周波数)は、fr_Ef2(3つの要素を含むLC共振回路である電磁気フィルタ85A-2の共振周波数)とLC3+SAWの通過帯域との間に位置しうる。また、電磁気フィルタ85A-2は、LC3+SAWの通過帯域に対して低周波側に減衰極を有しうる。
【0062】
図10に示す通り、LC3+SAWにおけるfr_Ef2は、LC2+SAWにおけるfr_Ef2と同等である。加えて、LC3+SAWの2段目における|Z|の最小値は、LC2+SAWの2段目における|Z|の最小値と同等である。図10の丸囲み部の周波数帯域は、各複合フィルタの通過帯域に属する。LC3+SAWでは、通過帯域の少なくとも一部における|Z|の周波数変化率が、LC2+SAWに比べて小さい。
【0063】
このことは、電磁気フィルタ85A-4が、周波数特性に関して、電磁気フィルタ85-4に比べて高い設計の自由度を有していることに由来している。例えば、電磁気フィルタ85A-2の周波数特性を補償するように電磁気フィルタ85A-4の周波数特性を設定することにより、符号1000Bのグラフに示す周波数特性を有する電磁気フィルタ85A-2を実現できる。
【0064】
(本開示の一態様に係る複合フィルタの効果)
以上の通り、本開示の一態様に係る複合フィルタにおいて、第1弾性波共振子の反共振周波数は、電磁気フィルタの共振周波数と複合フィルタの通過帯域の間に位置していてよい。これにより、例えば、複合フィルタの通過帯域に対する低周波側において、複合フィルタの急峻な減衰特性を実現できる。
【0065】
加えて、本開示の一態様に係る複合フィルタにおける電磁気フィルタは、第1インダクタと、前記第1インダクタに対して並列に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、を含む、3以上の要素を有していてよい。これにより、当該電磁気フィルタを、設計の自由度が高いLC共振回路として具現化できる。それゆえ、例えば、複合フィルタの通過帯域に対する低周波側における減衰を大きくすることが可能となる。以上の通り、本開示の一態様に係る複合フィルタによれば、複合フィルタの減衰特性を改善できる。
【0066】
〔変形例〕
実施形態1では、2つの弾性波共振子を有する弾性波フィルタを含む、4段構成の複合フィルタを例示した。ただし、当業者であれば明らかである通り、2つの弾性波共振子を有する弾性波フィルタを含む複合フィルタの段数は、上記の例に限定されない。図11の複合フィルタ100Vは、実施形態1における複合フィルタの一変形例である。複合フィルタ100Vは、7段構成の複合フィルタの一例である。実施形態1における変形例では、複合フィルタ100Vの構成を、「LC4+SAW」とも表記する。
【0067】
複合フィルタ100Vは、(i)直列腕SLに位置する弾性波フィルタ81Vと、(ii)並列腕PL-2に位置する電磁気フィルタ85A-2と、(iii)並列腕PL-4に位置する電磁気フィルタ85A-4と、(iv)並列腕PL-6(6段目の並列腕)に位置する電磁気フィルタ85A-6と、を有していてよい。
【0068】
弾性波フィルタ81Vは、1段目~4段目については、実施形態1における弾性波フィルタ81と同等の構成を有していてよい。そして、弾性波フィルタ81Vは、5段目にインダクタL5を、6段目にノードNN6を、7段目にインダクタL7を有していてよい。このように、本開示の一態様に係る弾性波フィルタは、弾性波共振子以外の電磁的要素(例:インダクタおよびキャパシタの少なくとも一方)を含んでいてよい。
【0069】
図11の例における並列腕PL-4は、弾性波共振子Reso3とインダクタL5との間から延びる並列腕であってよい。並列腕PL-6は、ノードNN6と接地端子GND-6(6段目の接地端子)とに接続されていてよい。並列腕PL-6は、インダクタL5とインダクタL7との間から延びる並列腕とも表現できる。電磁気フィルタ85A-6は、キャパシタC6を有していてよい。
【0070】
図12は、実施形態1における複合フィルタ100B(LC3+SAW)の周波数特性と本変形例における複合フィルタ100V(LC4+SAW)の周波数特性とを比較する図である。図10の符号1200Aのグラフおよび符号1200Bのグラフには、LC3+SAWおよびLC4+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。具体的には、符号1200Bのグラフでは、符号1200Aのグラフに比べて広い周波数スケールによって各周波数特性が示されている。
【0071】
符号1200Aのグラフに示す通り、LC4+SAWによれば、LC3+SAWに比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。さらに、符号1200Bのグラフに示す通り、LC4+SAWによれば、LC3+SAWに比べて、通過帯域に対する高周波側での減衰特性を改善することもできる。
【0072】
上述の説明から明らかである通り、複合フィルタ内の電磁的要素の総数を増やすことにより、当該複合フィルタの周波数特性に関する設計の自由度を高めることができる。したがって、例えば、複合フィルタ内の電磁的要素の総数を増やすことにより、当該複合フィルタの減衰特性をより一層改善できる。このことは、以下に述べる実施形態2によっても裏付けられている。
【0073】
〔実施形態2〕
(実施形態2における非ハイブリッド型のフィルタ回路の一構成例)
図13のフィルタ回路190は、実施形態2における非ハイブリッド型のフィルタ回路の一構成例である。実施形態2では、6段構成のフィルタ回路を主に例示する。フィルタ回路190は、(i)直列腕SLに位置する電磁気フィルタ180と、(ii)並列腕PL-2に位置する電磁気フィルタ185-2と、(iii)並列腕PL-4に位置する電磁気フィルタ185-4と、(iv)並列腕PL-6に位置する電磁気フィルタ185-6と、を有していてよい。実施形態2では、フィルタ回路190の構成を、「LC1」とも表記する。
【0074】
電磁気フィルタ180は、1段目にキャパシタC1を、2段目にノードNN2を、3段目にキャパシタC3を、4段目にノードNN4を、5段目にキャパシタC5を、6段目にノードNN6を有していてよい。したがって、図13の例では、ノードNN2はキャパシタC1とキャパシタC3との間に位置しており、ノードNN4はキャパシタC3とキャパシタC5との間に位置しており、ノードNN6はキャパシタC5と出力端子Poutとの間に位置している。
【0075】
図13の例において、並列腕PL-2は、キャパシタC1とキャパシタC3との間から延びる並列腕であってよい。電磁気フィルタ185-2は、インダクタL2およびキャパシタC2を有していてよい。キャパシタC2は、インダクタL2に対して直列に接続されていてよい。
【0076】
並列腕PL-4は、キャパシタC3とキャパシタC5との間から延びる並列腕であってよい。電磁気フィルタ185-4は、インダクタL4およびキャパシタC4を有していてよい。キャパシタC4は、インダクタL4に対して直列に接続されていてよい。
【0077】
並列腕PL-6は、キャパシタC5と出力端子Poutとの間から延びる並列腕であってよい。電磁気フィルタ185-6は、インダクタL6を有していてよい。
【0078】
(実施形態2における非ハイブリッド型フィルタ回路の別の構成例)
図14のフィルタ回路190Aは、実施形態2における非ハイブリッド型のフィルタ回路の別の構成例である。フィルタ回路190Aは、図13のフィルタ回路190の電磁気フィルタ185-2および185-4をそれぞれ、電磁気フィルタ185A-2および185-4に置き換えることによって得られる。実施形態2では、フィルタ回路190Aの構成を、「LC2」とも表記する。
【0079】
電磁気フィルタ185A-2は、2段目の並列腕に位置する電磁気フィルタの別の例である。電磁気フィルタ185A-2は、インダクタL2a、キャパシタC2a、およびキャパシタC2bを有していてよい。図14に示す通り、キャパシタC2bは、インダクタL2aに対して並列に接続されていてよい。キャパシタC2aは、(i)インダクタL2aに対して直列に接続され、かつ、(ii)キャパシタC2bに対して並列に接続されていてよい。
【0080】
電磁気フィルタ185A-4は、4段目の並列腕に位置する電磁気フィルタの別の例である。電磁気フィルタ185A-4は、インダクタL4a、キャパシタC4a、およびキャパシタC4bを有していてよい。図14に示す通り、キャパシタC4bは、インダクタL4aに対して並列に接続されていてよい。キャパシタC24は、(i)インダクタL4aに対して直列に接続され、かつ、(ii)キャパシタC4bに対して並列に接続されていてよい。
【0081】
(実施形態2における複合フィルタの一構成例)
図15の複合フィルタ200は、実施形態2におけるLCハイブリッドSAWフィルタの一構成例である。複合フィルタ200は、図13のフィルタ回路190における電磁気フィルタ180を、弾性波フィルタ181に置き換えることにより得られる。実施形態2では、複合フィルタ200の構成を、「LC1+SAW」とも表記する。
【0082】
弾性波フィルタ181は、1段目に弾性波共振子Reso1を、2段目にノードNN2を、3段目に弾性波共振子Reso3を、4段目にノードNN4を、5段目に弾性波共振子Reso5を、6段目にノードNN6を有していてよい。このように、実施形態2における弾性波フィルタ181は、3つの弾性波共振子を有していてよい。弾性波共振子Reso5は、第3弾性波共振子と称されてもよい。
【0083】
図15における電磁気フィルタ185-2は、第1弾性波共振子(弾性波共振子Reso1)と第2弾性波共振子(弾性波共振子Reso3)との間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタの一例である。
【0084】
(実施形態2における複合フィルタの別の構成例)
図16の複合フィルタ200Aは、実施形態2におけるLCハイブリッドSAWフィルタの別の構成例である。複合フィルタ200は、図14のフィルタ回路190Aにおける電磁気フィルタ180を、弾性波フィルタ181に置き換えることにより得られる。実施形態2では、複合フィルタ200Aの構成を、「LC2+SAW」とも表記する。
【0085】
図16における電磁気フィルタ185A-2は、第1弾性波共振子(弾性波共振子Reso1)と第2弾性波共振子(弾性波共振子Reso3)との間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタの別の例である。
【0086】
実施形態1における説明から明らかである通り、図16におけるインダクタL2aは、本開示の一態様に係る複合フィルタにおける第1インダクタの一例である。C2bは、本開示の一態様に係る複合フィルタにおける第1キャパシタの一例である。キャパシタC2aは、本開示の一態様に係る複合フィルタにおける第2キャパシタの一例である。
【0087】
(実施形態2における各フィルタ回路の周波数特性の例)
図17は、実施形態2における各フィルタ回路の周波数特性を比較する図である。図17の符号1700Aのグラフには、実施形態2におけるLC1、LC1+SAW、およびLC2+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。図17の符号1700Bのグラフには、LC1およびLC2のそれぞれの周波数特性が示されている。
【0088】
図18では、図17における各周波数特性が個別に示されている。図18において、符号1800AのグラフにはLC1の周波数特性が、符号1800BのグラフにはLC1+SAWの周波数特性が、符号1800CのグラフにはLC2+SAWの周波数特性が、それぞれ示されている。
【0089】
図17および図18に示す通り、実施形態2における各フィルタ回路によれば、実施形態1における対応する各フィルタ回路に比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる(上述の図5および図6も参照)。
【0090】
実施形態2においても、LC2によれば、LC1に比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。そして、LC1+SAWによれば、LC1に比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。さらに、LC2+SAWによれば、LC1+SAWに比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。
【0091】
(実施形態2における複合フィルタのさらに別の構成例)
図19の複合フィルタ200Bは、実施形態2におけるLCハイブリッドSAWフィルタのさらに別の構成例である。複合フィルタ200Bは、図16の複合フィルタ200Aにおける電磁気フィルタ185-6を、電磁気フィルタ185A-6に置き換えることによって得られる。実施形態2では、複合フィルタ200Bの構成を、「LC3+SAW」とも表記する。
【0092】
電磁気フィルタ185A-6は、6段目の並列腕に位置する電磁気フィルタの別の例である。図19に示す通り、電磁気フィルタ185A-6は、インダクタL6に加えて、キャパシタC6をさらに有していてよい。キャパシタC6は、インダクタL6に対して並列に接続されていてよい。
【0093】
(実施形態2における各フィルタ回路の周波数特性の別の例)
図20は、実施形態2における各フィルタ回路の周波数特性を比較する別の図である。図20の符号2000Aのグラフには、LC1、LC1+SAW、およびLC2+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。当該グラフは、図17の符号1700Aのグラフと同等である。
【0094】
図20の符号2000Bのグラフには、LC2+SAWおよびLC3+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。図20の符号2000Cのグラフには、LC3+SAWの周波数特性のみが示されている。符号2000Bのグラフに示す通り、実施形態2では、LC3+SAWの減衰特性は、LC2+SAWの減衰特性はほぼ同等である。
【0095】
(実施形態2における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性の例)
図21は、実施形態2における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性を比較する図である。図21の符号2100Aのグラフには、実施形態2におけるLC1+SAWのアドミタンス・インピーダンス特性が示されている。図21の符号2100Bのグラフには、実施形態2におけるLC2+SAWのアドミタンス・インピーダンス特性が示されている。
【0096】
符号2100Aのグラフには、(i)LC1+SAWの奇数段における|Y|と、(ii)LC1+SAWの偶数段における|Z|と、が示されている。したがって、符号2100Aのグラフにおいて、1段目の|Y|は、弾性波共振子Reso1のアドミタンスを表す。3段目の|Y|は、弾性波共振子Reso3のアドミタンスを表す。5段目の|Y|は、弾性波共振子Reso3のアドミタンスを表す。
【0097】
また、符号2100Aのグラフにおいて、2段目の|Z|は、電磁気フィルタ185-2のインピーダンスを表す。具体的には、2段目の|Z|は、インダクタL2とキャパシタC2との合成インピーダンスを表す。4段目の|Z|は、電磁気フィルタ185-4のインピーダンスを表す。具体的には、4段目の|Z|は、インダクタL4とキャパシタC4との合成インピーダンスを表す。6段目の|Z|は、電磁気フィルタ185-6のインピーダンスを表す。具体的には、6段目の|Z|は、インダクタL6のインピーダンスを表す。
【0098】
符号2100Aのグラフにおいて、周波数fr_Ef2は、LC1+SAWの2段目の要素である電磁気フィルタ185-2の共振周波数を表す。周波数fr_Ef4は、LC1+SAWの4段目の要素である電磁気フィルタ185-4の共振周波数を表す。周波数fa_Reso1は、1段目の要素である弾性波共振子Reso1の反共振周波数を表す。周波数fa_Reso3は、3段目の要素である弾性波共振子Reso3の反共振周波数を表す。周波数fa_Reso5は、5段目の要素である弾性波共振子Reso5の反共振周波数を表す。
【0099】
符号2100Aのグラフに示す通り、実施形態2のLC1+SAW(複合フィルタ200)では、
3GHz<fr_Ef2<fa_Reso1<fa_Reso3<fr_Ef4<fa_Reso5<5GHz
である。
【0100】
このように、実施形態2においても、fa_Reso1(第1弾性波共振子の反共振周波数)は、fr_Ef2(2つの要素を含むLC共振回路である電磁気フィルタ185-2の共振周波数)とLC1+SAWの通過帯域との間に位置しうる。また、電磁気フィルタ185-2は、LC1+SAWの通過帯域に対して低周波側に減衰極を有しうる。
【0101】
符号2100Bのグラフには、(i)LC2+SAWの奇数段における|Y|と、(ii)LC2+SAWの偶数段における|Z|と、が示されている。上述の図15および図16の回路構成から明らかである通り、符号2100Bのグラフにおける1段目の|Y|、3段目の|Y|、5段目の|Y|、および6段目の|Z|は、符号2100Aのグラフの例と同等となりうる。
【0102】
符号2100Bのグラフに示す通り、実施形態2のLC2+SAW(複合フィルタ200A)においても、
3GHz<fr_Ef2<fa_Reso1<fa_Reso3<fr_Ef4<fa_Reso5<5GHz
である。
【0103】
このように、実施形態2のLC2+SAWにおいても、fa_Reso1(第1弾性波共振子の反共振周波数)は、fr_Ef2(3つの要素を含むLC共振回路である電磁気フィルタ185A-2の共振周波数)とLC2+SAWの通過帯域との間に位置しうる。また、電磁気フィルタ185A-2は、LC2+SAWの通過帯域に対して低周波側に減衰極を有しうる。
【0104】
図21に示す通り、LC2+SAWにおけるfr_Ef2は、LC1+SAWにおけるfr_Ef2と同等である。ただし、LC2+SAWでは、2段目における|Z|の最小値が、LC1+SAWに比べてさらに小さくなっている。
【0105】
(実施形態2における各複合フィルタのアドミタンス・インピーダンス特性の別の例)
図22は、実施形態2における各複合フィルタのアドミタンス特性およびインピーダンス特性を比較する別の図である。図22の符号2200Aのグラフには、実施形態2におけるLC2+SAWのアドミタンス特性およびインピーダンス特性が示されている。当該グラフは、図21の符号2100Bのグラフと同等である。これに対し、図22の符号2200Bのグラフには、実施形態2におけるLC3+SAWのアドミタンス特性およびインピーダンス特性が示されている。
【0106】
符号22000Bのグラフには、(i)LC3+SAWの奇数段における|Y|と、(ii)LC3+SAWの偶数段における|Z|と、が示されている。符号2200Bのグラフに示す通り、実施形態2のLC3+SAW(複合フィルタ200B)においても、
3GHz<fr_Ef2<fa_Reso1<fa_Reso3<fr_Ef4<fa_Reso5<5GHz
である。
【0107】
このように、実施形態2のLC3+SAWにおいても、fa_Reso1(第1弾性波共振子の反共振周波数)は、fr_Ef2(3つの要素を含むLC共振回路である電磁気フィルタ185A-2の共振周波数)とLC3+SAWの通過帯域との間に位置しうる。また、電磁気フィルタ185A-2は、LC3+SAWの通過帯域に対して低周波側に減衰極を有しうる。
【0108】
図22に示す通り、LC3+SAWにおけるfr_Ef2は、LC2+SAWにおけるfr_Ef2と同等である。加えて、LC3+SAWの2段目における|Z|の最小値は、LC2+SAWの2段目における|Z|の最小値と同等である。図22の丸囲み部の周波数帯域は、各複合フィルタの通過帯域に属する。LC3+SAWでは、通過帯域の少なくとも一部における|Z|の周波数変化率が、LC2+SAWに比べて小さい。
【0109】
〔変形例〕
実施形態2では、3つの弾性波共振子を有する弾性波フィルタを含む、6段構成の複合フィルタを例示した。ただし、当業者であれば明らかである通り、3つの弾性波共振子を有する弾性波フィルタを含む複合フィルタの段数は、上記の例に限定されない。図23の複合フィルタ200Vは、実施形態2における複合フィルタの一変形例である。複合フィルタ200Vは、9段構成の複合フィルタの一例である。実施形態2における変形例では、複合フィルタ200Vの構成を、「LC4+SAW」とも表記する。
【0110】
複合フィルタ200Vは、(i)直列腕SLに位置する弾性波フィルタ181Vと、(ii)並列腕PL-2に位置する電磁気フィルタ185A-2と、(iii)並列腕PL-4に位置する電磁気フィルタ185A-4と、(iv)並列腕PL-6に位置する電磁気フィルタ185A-6と、(v)並列腕PL-8(8段目の並列腕)に位置する電磁気フィルタ185-8と、を有していてよい。
【0111】
弾性波フィルタ181Vは、1段目~6段目については、実施形態2における弾性波フィルタ181と同等の構成を有していてよい。そして、弾性波フィルタ181Vは、7段目にインダクタL7を、8段目にノードNN8を、9段目にインダクタL9を有していてよい。
【0112】
図23の例において、並列腕PL-6は、弾性波共振子Reso5とインダクタL7との間から延びる並列腕であってよい。並列腕PL-8は、インダクタL7とインダクタL9との間から延びる並列腕であってよい。並列腕PL-8は、ノードNN8と接地端子GND-8(8段目の接地端子)とに接続されていてよい。電磁気フィルタ185A-8は、キャパシタC8を有していてよい。
【0113】
図24は、実施形態2における複合フィルタ200B(LC3+SAW)の周波数特性と本変形例における複合フィルタ200V(LC4+SAW)の周波数特性とを比較する図である。図24の符号2400Aのグラフおよび符号2400Bのグラフには、LC3+SAWおよびLC4+SAWのそれぞれの周波数特性が示されている。具体的には、符号2400Bのグラフでは、符号2400Aのグラフに比べて広い周波数スケールによって各周波数特性が示されている。
【0114】
符号2400Aのグラフに示す通り、LC4+SAWによれば、LC3+SAWに比べて、通過帯域に対する低周波側での減衰特性を改善できる。さらに、符号2400Bのグラフに示す通り、LC4+SAWによれば、LC3+SAWに比べて、通過帯域に対する高周波側での減衰特性を改善することもできる。
【0115】
〔実施形態3〕
(3要素LC共振回路の等価回路表現)
上述の通り、本開示の一態様に係る電磁気フィルタは、第1インダクタと、前記第1インダクタに対して並列に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、を含む、3以上の要素を有していてよい。したがって、例えば、当該電磁気フィルタは、3要素LC共振回路(3つの要素から成るLC共振回路)を含みうる。
【0116】
図25は、3要素LC共振回路の等価回路表現を例示する。当業者であれば明らかである通り、図25に示す「タイプ1の3要素LC共振回路」と「タイプ2の3要素LC共振回路」とは、互いに等価回路の関係を有しうる。したがって、本開示の一態様に係る電磁気フィルタは、タイプ1の3要素LC共振回路を含んでいてもよいし、タイプ2の3要素LC共振回路を含んでいてもよい。
【0117】
タイプ1の3要素LC共振回路は、キャパシタCpとインダクタLpとキャパシタCqとを有していてよい。図25の例において、キャパシタCpは、インダクタLpに対して並列に接続されている。したがって、キャパシタCpは第1キャパシタの一例であり、インダクタLpは第1インダクタの一例であり、キャパシタCqは第2キャパシタの一例である。
【0118】
図25に示す通り、タイプ1の3要素LC共振回路は、インダクタLpとキャパシタCpとを含む並列ユニットUnpを有していてよい。キャパシタCqは、並列ユニットUnpに対して直列に接続されていてよい。
【0119】
タイプ2の3要素LC共振回路は、キャパシタCxとインダクタLxとキャパシタCyとを有していてよい。図25の例において、キャパシタCxは、インダクタLxに対して並列に接続されている。したがって、キャパシタCxは第1キャパシタの別の例であり、インダクタLxは第1インダクタの別の例であり、キャパシタCyは第2キャパシタの別の例である。
【0120】
タイプ2の3要素LC共振回路では、キャパシタCyは、(i)インダクタLxに対して直列に接続され、かつ、(ii)キャパシタCxに対して並列に接続されていてよい。図25に示す通り、タイプ2の3要素LC共振回路は、インダクタLxとキャパシタCyとを含む直列ユニットUnsを有していてよい。
【0121】
上述の電磁気フィルタ85A-2および電磁気フィルタ185A-2はいずれも、タイプ2の3要素LC共振回路の例である。当該電磁気フィルタでは、キャパシタC2bが第1キャパシタであり、インダクタL2aが第1インダクタであり、キャパシタC2aが第2キャパシタである。
【0122】
実施形態1および2における各例では、タイプ2の3要素LC共振回路によって複合フィルタの減衰特性を改善できることが裏付けられている。したがって、当業者であれば明らかである通り、タイプ1の3要素LC共振回路によって複合フィルタの減衰特性を改善することもできる。
【0123】
(4要素LC共振回路の等価回路表現)
本開示の一態様に係る電磁気フィルタは、3以上の要素として、第2インダクタをさらに含んでいてもよい。したがって、例えば、本開示の一態様に係る電磁気フィルタは、4要素LC回路(4つの要素から成るLC回路)を含みうる。
【0124】
図26は、4要素LC共振回路の等価回路表現を例示する。図26に示す「タイプ1の4要素LC共振回路」と「タイプ2の4要素LC共振回路」とは、互いに等価回路の関係を有しうる。したがって、本開示の一態様に係る電磁気フィルタは、タイプ1の4要素LC共振回路を含んでいてもよいし、タイプ2の4要素LC共振回路を含んでいてもよい。
【0125】
図26に示す通り、タイプ1の4要素LC共振回路は、上述のタイプ1の3要素LC共振回路にインダクタLqを付加することによって構成されてよい。インダクタLqは、第2インダクタの一例である。タイプ1の4要素LC共振回路では、インダクタLqは、キャパシタCqに対して直列に接続されていてよい。
【0126】
タイプ2の4要素LC回路は、上述のタイプ2の3要素LC共振回路にインダクタLyを付加することによって構成されてよい。インダクタLyは、第2インダクタの別の例である。タイプ2の4要素LC共振回路では、インダクタLyは、キャパシタCxに対して直列に接続されていてよい。そして、インダクタLyは、直列ユニットUnsに対して並列に接続されていてよい。
【0127】
4要素LC共振回路は、3要素LC共振回路に比べて、高い設計自由度を有しうる。したがって、4要素LC共振回路によれば、複合フィルタの減衰特性をより一層改善しうる。
【0128】
一例として、本開示の一態様に係る複合フィルタでは、第1キャパシタおよび第2キャパシタの少なくとも一方は、ディスクリート部品によって具現化されていてよい。別の例として、弾性波フィルタの圧電基板上に位置するIDT(Interdigital Transduce)電極によって、第1キャパシタおよび第2キャパシタの少なくとも一方が具現化されていてもよい。
【0129】
さらに別の例として、弾性波フィルタは、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics,低温同時焼成セラミックス)多層基板を有していてもよい。この場合、LTCC基板によって、第1キャパシタおよび第2キャパシタの少なくとも一方が具現化されていてもよい。
【0130】
〔実施形態4〕
図27は、実施形態4における分波器800の一構成例を示す図である。分波器は、マルチプレクサとも称される。図27に示す通り、分波器800は、複合フィルタ300を有していてよい。複合フィルタ300は、弾性波フィルタ280と電磁気フィルタ285を有していてよい。
【0131】
図27の例では、複合フィルタ300は、4つの電磁気フィルタ285を有している。そして、複合フィルタ300における弾性波フィルタ280は、4つの弾性波共振子を有している。図27の例では、1つの電磁気フィルタ285が1つの弾性波共振子と対応している。
【0132】
図27に示す通り、出力端子Pout1は、複合フィルタ300に接続されていてよい。出力端子Pout2は、複合フィルタ300とは別のフィルタ回路350に接続されていてよい。図27の例における入力端子Pinは、複合フィルタ300とフィルタ回路350との間において共通の入力端子である。入力端子Pinは、後述のアンテナ端子であってよい。
【0133】
〔実施形態5〕
図28は、実施形態5における通信装置900の概略的な構成を例示する。通信装置900は、本開示の一態様に係る弾性波フィルタの一適用例であり、電波を利用した無線通信を行う。通信装置900は、送信フィルタ109としての1つの分波器800と、受信フィルタ111としての別の1つの分波器800とを含んでいてよい。このように、通信装置900は、本開示の一態様に係る複合フィルタを含んでいてよい。
【0134】
通信装置900において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF-IC(Radio Frequency-Integrated Circuit)153によって変調および周波数の引き上げ(搬送波周波数を有する高周波信号への変換)がなされ、送信信号TSへと変換されてよい。バンドパスフィルタ155は、TSについて、送信用の通過帯以外の不要成分を除去してよい。次いで、不要成分除去後のTSは、増幅器157によって増幅されて、送信フィルタ109に入力されてよい。
【0135】
送信フィルタ109は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯以外の不要成分を除去してよい。送信フィルタ109は、アンテナ端子を介して、不要成分除去後のTSをアンテナ159に出力してよい。アンテナ159は、自身に入力された電気信号であるTSを、無線信号としての電波に変換し、当該電波を通信装置900の外部に送信してよい。
【0136】
また、アンテナ159は、受信した外部からの電波を、電気信号である受信信号RSに変換し、アンテナ端子を介して当該RSを受信フィルタ111に入力してよい。受信フィルタ111は、入力されたRSから受信用の通過帯以外の不要成分を除去してよい。受信フィルタ111は、不要成分除去後の受信信号RSを増幅器161へ出力してよい。出力されたRSは、増幅器161によって増幅されてよい。バンドパスフィルタ163は、増幅後のRSについて、受信用の通過帯以外の不要成分を除去してよい。不要成分除去後のRSは、RF-IC153によって周波数の引き下げおよび復調がなされ、受信情報信号RISへと変換されてよい。
【0137】
TISおよびRISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)であってよい。例えば、TISおよびRISは、アナログ音声信号であってもよいし、あるいはデジタル化された音声信号であってよい。無線信号の通過帯は、適宜に設定されてよく、公知の各種の規格に準拠してよい。
【0138】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る複合フィルタは、直列腕に位置する第1弾性波共振子および第2弾性波共振子を有する弾性波フィルタと、前記第1弾性波共振子と前記第2弾性波共振子の間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタと、を有する複合フィルタであって、前記第1弾性波共振子の反共振周波数は、前記電磁気フィルタの共振周波数と前記複合フィルタの通過帯域の間に位置しており、前記電磁気フィルタは、第1インダクタと、前記第1インダクタに対して並列に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、を含む、3以上の要素を有していてよい。
【0139】
本開示の態様2に係る複合フィルタでは、前記態様1において、前記第2キャパシタは、前記第1インダクタと前記第1キャパシタとを含む並列ユニットに対して直列に接続されていてよい。
【0140】
本開示の態様3に係る複合フィルタでは、前記態様2において、前記電磁気フィルタは、前記3以上の要素として、第2インダクタをさらに含み、前記第2インダクタは、前記第2キャパシタに対して直列に接続されていてよい。
【0141】
本開示の態様4に係る複合フィルタでは、前記態様1において、前記第2キャパシタは、(i)前記第1インダクタに対して直列に接続されており、かつ、(ii)前記第1キャパシタに対して並列に接続されていてよい。
【0142】
本開示の態様5に係る複合フィルタでは、前記態様4において、前記電磁気フィルタは、前記3以上の要素として、第2インダクタをさらに含み、前記第2インダクタは、(i)前記第1キャパシタに対して直列に接続されており、かつ、(ii)前記第1インダクタと前記第2キャパシタとを含む直列ユニットに対して並列に接続されていてよい。
【0143】
本開示の態様6に係る複合フィルタでは、前記態様1から5のいずれか1つにおいて、前記電磁気フィルタは、前記複合フィルタの前記通過帯域に対して低周波側に減衰極を有していてよい。
【0144】
本開示の態様7に係る通信装置は、前記態様1から6のいずれか1つに係る複合フィルタを有していてよい。
【0145】
〔付記事項〕
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0146】
100A~100V、200A~200V、300 複合フィルタ
81、81V、181、181V、280 弾性波フィルタ
85A-2、185A-2、285 電磁気フィルタ(第1弾性波共振子と第2弾性波共振子の間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタ)
SL 直列腕
PL 並列腕
Reso1 弾性波共振子(第1弾性波共振子の例)
Reso3 弾性波共振子(第2弾性波共振子の例)
L2a インダクタ(第1インダクタの一例)
C2b キャパシタ(第1キャパシタの一例)
C2a キャパシタ(第2キャパシタの一例)
fa_Reso1 第1弾性波共振子の反共振周波数
fr_Ef2 第1弾性波共振子と第2弾性波共振子の間から延びる並列腕に位置する電磁気フィルタの共振周波数
Lp インダクタ(第1インダクタの別の例)
Cp キャパシタ(第1キャパシタの別の例)
Cq キャパシタ(第2キャパシタの別の例)
Lq インダクタ(第2インダクタの例)
Lx インダクタ(第1インダクタのさらに別の例)
Cx キャパシタ(第1キャパシタのさらに別の例)
Cy キャパシタ(第2キャパシタのさらに別の例)
Ly インダクタ(第2インダクタの別の例)
Unp 並列ユニット
Uns 直列ユニット
900 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28