(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113991
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】亜酸化窒素分解構造体
(51)【国際特許分類】
B01J 23/78 20060101AFI20240816BHJP
B01J 35/56 20240101ALI20240816BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20240816BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B01J23/78 A
B01J35/04 331A
B01D53/86 222
B01D53/86 ZAB
B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019323
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】細江 晃久
(72)【発明者】
【氏名】俵山 博匡
(72)【発明者】
【氏名】奥野 一樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 康誠
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA07
4D148AB03
4D148BA14X
4D148BA37X
4D148BA41X
4D148BB09
4D148DA03
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4G169AA03
4G169BA17
4G169BB02B
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4G169EB14Y
4G169EB15Y
4G169EB17X
4G169EB17Y
4G169EC30
4G169FA04
4G169FB15
4G169FB19
4G169FB30
4G169FC08
(57)【要約】
【課題】優れた亜酸化窒素の分解率を有する亜酸化窒素分解構造体を提供する。
【解決手段】亜酸化窒素分解構造体は、三次元網目状構造を有する金属多孔体と、前記金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備え、前記三次元網目状構造は、複数の支柱部と、複数の前記支柱部を繋ぐノード部と、を有し、前記亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルトと、カリウムと、を含み、前記亜酸化窒素分解触媒において、四酸化三コバルトの含有量Aおよびカリウムの含有量Bの合計(A+B)に対する、前記四酸化三コバルトの含有量Aの質量基準の百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.90%以下であり、前記四酸化三コバルトの格子歪は、0.15%以下である。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元網目状構造を有する金属多孔体と、前記金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備え、
前記三次元網目状構造は、複数の支柱部と、複数の前記支柱部を繋ぐノード部と、を有し、
前記亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルトと、カリウムと、を含み、
前記亜酸化窒素分解触媒において、四酸化三コバルトの含有量Aおよびカリウムの含有量Bの合計(A+B)に対する、前記四酸化三コバルトの含有量Aの質量基準の百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.90%以下であり、
前記四酸化三コバルトの格子歪は、0.15%以下である、亜酸化窒素分解構造体。
【請求項2】
前記亜酸化窒素分解構造体の光透過率は、3%以上15%以下であり、
前記亜酸化窒素分解構造体の光透過率の測定方法は、
前記亜酸化窒素分解構造体からなり、第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する板状の測定用試料を準備する第1工程と、
前記第1の主面側から前記測定用試料に光を照射した状態で、前記第2の主面側から前記測定用試料をマイクロスコープを用いて観察倍率100倍で観察して観察像を得る第2工程と、
前記観察像に対して明度に基づく画像抽出処理を行うことにより、光が透過する領域S1が抽出された画像抽出処理像を得る第3工程と、
前記画像抽出処理像において、前記画像抽出処理像の全体の面積S2に対する前記領域S1の面積の百分率(S1/S2)×100を算出することにより、亜酸化窒素分解構造体の光透過率を得る第4工程と、を含む、請求項1に記載の亜酸化窒素分解構造体。
【請求項3】
前記亜酸化窒素分解構造体の圧力損失は、3Pa以上50Pa以下であり、
前記圧力損失は、前記亜酸化窒素分解構造体の厚さ方向に空気を流速0.41m/秒で通過させて測定され、
前記金属多孔体の平均気孔径は、250μm以上1000μm以下である、請求項1または請求項2に記載の亜酸化窒素分解構造体。
【請求項4】
前記亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量は、18mg/cm3以上250mg/cm3以下である、請求項1または請求項2に記載の亜酸化窒素分解構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、亜酸化窒素分解構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
亜酸化窒素(N2O)は、温室効果ガスの1種であり、地球温暖化係数が二酸化炭素(CO2)の約300倍と高く、わずかな量でも地球温暖化に影響を与えるとされている。
【0003】
焼却炉、化学工場および自動車などから排出される排気ガスに含まれる亜酸化窒素を除去するため、亜酸化窒素を分解する触媒が用いられている。
【0004】
特許文献1には、基材として金属メッシュ様構造を用い、基材上に配置された窒素酸化物変換触媒を用いて、流体から窒素酸化物を除去する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の観点から、地球温暖化対策への注目がますます高まっている。触媒を用いた亜酸化窒素を分解する技術においては、亜酸化窒素の分解率のさらなる向上が求められている。
【0007】
そこで、本開示は、優れた亜酸化窒素の分解率を有する亜酸化窒素分解構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の亜酸化窒素分解構造体は、三次元網目状構造を有する金属多孔体と、前記金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備え、
前記三次元網目状構造は、複数の支柱部と、複数の前記支柱部を繋ぐノード部と、を有し、
前記亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルトと、カリウムと、を含み、
前記亜酸化窒素分解触媒において、四酸化三コバルトの含有量Aおよびカリウムの含有量Bの合計(A+B)に対する、前記四酸化三コバルトの含有量Aの質量基準の百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.90%以下であり、
前記四酸化三コバルトの格子歪は、0.15%以下である、亜酸化窒素分解構造体。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、優れた亜酸化窒素の分解率を有する亜酸化窒素分解構造体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1の三次元網目状構造を有する金属多孔体におけるセル部の1つに着目した拡大模式図である。
【
図2】
図2は、セル部の形状の一態様を示す模式図である。
【
図3】
図3は、セル部の形状の他の態様を示す模式図である。
【
図4】
図4は、セル部の形状の他の態様を示す模式図である。
【
図5】
図5は、接合した2つのセル部の態様を示す模式図である。
【
図6】
図6は、接合した6つのセル部の態様を示す模式図である。
【
図7】
図7は、複数のセル部が接合することによって形成された三次元網目状構造の一態様を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る亜酸化窒素分解構造体の表面の走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)像の一例である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る亜酸化窒素分解構造体の断面のSEM像の一例である。
【
図11】
図11は、亜酸化窒素分解構造体の光透過率の測定方法のフローチャートである。
【
図12】
図12は、亜酸化窒素分解構造体の光透過率の測定で用いられる測定用試料の模式図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の亜酸化窒素分解構造体から取得された測定用試料の観察像に対して画像抽出処理を行った画像抽出処理像の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、亜酸化窒素分解構造体の圧力損失の測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の亜酸化窒素分解構造体は、三次元網目状構造を有する金属多孔体と、前記金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備え、
前記三次元網目状構造は、複数の支柱部と、複数の前記支柱部を繋ぐノード部と、を有し、
前記亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルトと、カリウムと、を含み、
前記亜酸化窒素分解触媒において、四酸化三コバルトの含有量Aおよびカリウムの含有量Bの合計(A+B)に対する、前記四酸化三コバルトの含有量Aの質量基準の百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.90%以下であり、
前記四酸化三コバルトの格子歪は、0.15%以下である、亜酸化窒素分解構造体である。
【0012】
本開示によれば、優れた亜酸化窒素の分解率を有する亜酸化窒素分解構造体を提供することが可能となる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記亜酸化窒素分解構造体の光透過率は、3%以上15%以下であってもよく、
前記亜酸化窒素分解構造体の光透過率の測定方法は、
前記亜酸化窒素分解構造体からなり、第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する板状の測定用試料を準備する第1工程と、
前記第1の主面側から前記測定用試料に光を照射した状態で、前記第2の主面側から前記測定用試料をマイクロスコープを用いて観察倍率100倍で観察して観察像を得る第2工程と、
前記観察像に対して明度に基づく画像抽出処理を行うことにより、光が透過する領域S1が抽出された画像抽出処理像を得る第3工程と、
前記画像抽出処理像において、前記画像抽出処理像の全体の面積S2に対する前記領域S1の面積の百分率(S1/S2)×100を算出することにより、亜酸化窒素分解構造体の光透過率を得る第4工程と、を含む。
【0014】
これによると、亜酸化窒素分解構造体に亜酸化窒素を含む流体を通過させたときに生じる圧力損失を低減でき、かつ、亜酸化窒素の分解率を向上することができる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において、前記亜酸化窒素分解構造体の圧力損失は、3Pa以上50Pa以下であり、
前記圧力損失は、前記亜酸化窒素分解構造体の厚さ方向に空気を流速0.41m/秒で通過させて測定され、
前記金属多孔体の平均気孔径は、250μm以上1000μm以下であってもよい。
【0016】
これによると、亜酸化窒素分解構造体を通過する亜酸化窒素を含む流体の流れを乱すことが可能となり触媒と流体との接触頻度を上げることができる。さらに、亜酸化窒素分解構造体に流体を通過させる際に必要なエネルギーを低減することができる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量は、18mg/cm3以上250mg/cm3以下であってもよい。
【0018】
これによると、亜酸化窒素の分解率を向上することができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の亜酸化窒素分解構造体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。
【0020】
本明細書において「A~B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
【0021】
本明細書において化合物などを化学式で表す場合、原子比を特に限定しないときは従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるべきではない。
【0022】
本開示において、数値範囲下限及び上限として、それぞれ1つ以上の数値が記載されている場合は、下限に記載されている任意の1つの数値と、上限に記載されている任意の1つの数値との組み合わせも開示されているものとする。例えば、下限として、a1以上、b1以上、c1以上が記載され、上限としてa2以下、b2以下、c2以下が記載されている場合は、a1以上a2以下、a1以上b2以下、a1以上c2以下、b1以上a2以下、b1以上b2以下、b1以上c2以下、c1以上a2以下、c1以上b2以下、c1以上c2以下が開示されているものとする。
【0023】
[実施形態1:亜酸化窒素分解構造体]
本開示の一実施形態(以下、「実施形態1」とも記す。)に係る亜酸化窒素分解構造体は、三次元網目状構造を有する金属多孔体と、金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備え、
三次元網目状構造は、複数の支柱部と、複数の前記支柱部を繋ぐノード部と、を有し、
亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルトと、カリウムと、を含み、
亜酸化窒素分解触媒において、四酸化三コバルトの含有量Aおよびカリウムの含有量Bの合計(A+B)に対する、四酸化三コバルトの含有量Aの質量基準の百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.90%以下であり、
四酸化三コバルトの格子歪は、0.15%以下である、亜酸化窒素分解構造体である。
【0024】
<金属多孔体>
実施形態1において、金属多孔体は三次元網目状構造を形成する骨格を有する。本開示において、三次元網目状構造とは、構成する固体成分が立体的に網目状に広がっている構造を意味する。ここで、固体成分とは金属などである。
【0025】
以下では、三次元網目状構造の理解を容易にするため、三次元網目状構造の構成単位をセル部20と表現して説明する。
図1は、実施形態1における金属多孔体の三次元網目状構造を構成する1つのセル部の拡大模式図である。
図7に示されるように、三次元網目状構造30は、複数のセル部が接合することによって形成されている。
【0026】
図1および
図2に示されるように、三次元網目状構造の構成単位であるセル部20は、複数の支柱部5と複数の支柱部5を繋ぐノード部6とから構成される。したがって、三次元網目状構造は、複数の支柱部5と複数の支柱部5を繋ぐノード部6とから構成されると表現することができる。以下では、支柱部5とノード部6とを分けて説明するが、両者の明確な境界はなく、複数の支柱部5と複数のノード部6とが一体となって三次元網目状構造を構成している。以下では、支柱部5とノード部6とから構成される三次元網目状構造を骨格とも記す。以下では、理解を容易にするため、
図1のセル部の形状を、
図2に示される正十二面体と見做して説明する。
【0027】
複数の支柱部5および複数のノード部6は、平面状の多角形構造体であるフレーム部10を形成する。ここで、平面状の多角形とは、平面的に見た場合に多角形であることを意味する。
図2では平面状の多角形構造体は正五角形であるが、平面状の多角形構造体の形状は正五角形に限定されない。平面状の多角形構造体は、三角形、四角形、六角形等、他の多角形であってもよい。フレーム部10は、複数の支柱部5と複数のノード部6とにより平面状の多角形状の孔を形成する。
【0028】
複数のフレーム部10が組み合わされて、立体状の多面体構造体であるセル部20を形成する。1個の支柱部5および1個のノード部6は、複数のフレーム部10で共有されている。ノード部6の形状は、頂点を有するようなシャープエッジの形状であってもよいし、頂点が面取りされているような平面状であってもよいし、頂点にアールが付与されたような曲面状であってもよい。
図2では、立体状の多面体構造体は、十二面体であるが、立方体、二十面体(
図3)、切頂二十面体(
図4)等、他の多面体であってもよい。セル部20は、複数のフレーム部10のそれぞれによって規定される仮想平面Aにより囲まれた立体状の空間を形成する。
【0029】
図5、
図6および
図7に示されるように、複数のセル部20が組み合わせられることによって三次元網目状構造30が形成される。フレーム部10は複数のセル部20で共有されている。フレーム部10は2つのセル部20で共有されていてもよい。三次元網目状構造30は、複数のフレーム部10からなると表現することもできる。三次元網目状構造30は、複数のセル部20からなると表現することもできる。本開示の金属多孔体は、三次元網目状構造30を有することから、連通気孔を有することができる。
【0030】
本開示の金属多孔体は、フレーム部により形成される平面状の多角形状の孔と、セル部により形成される立体状の空間とから構成される三次元網目状構造を有している。本開示の金属多孔体は、平面状の孔のみを有するパンチングメタルおよび焼き網等の二次元網目状構造体とは明確に区別できる。本開示の金属多孔体は、複数の支柱部と複数のノード部とが一体となって三次元網目状構造を形成している。そのため、構成単位である繊維同士が絡み合わされて形成された不織布等のような構造体とは明確に区別できる。
【0031】
本開示の三次元網目状構造は、上述の構造に限定されない。例えば、セル部20は、大きさ、平面的形状がそれぞれ異なる複数のフレーム部10によって形成されていてもよい。三次元網目状構造は、大きさ、立体的形状がそれぞれ異なる複数のセル部20によって形成されていてもよい。三次元網目状構造は、平面多角形状の孔が形成されていないフレーム部10を一部に含んでいてもよいし、立体状の空間が形成されておらず、内部が中実であるセル部20を一部に含んでいてもよい。
【0032】
金属多孔体の気孔率(以下「第1気孔率」とも記す。)は、30%以上98%以下でもよく、40%以上97%以下でもよく、50%以上96%以下でもよい。金属多孔体の第1気孔率が30%以上であることにより、金属多孔体を非常に軽量なものとすることができ、且つ金属多孔体の表面積を大きくすることができる。金属多孔体の第1気孔率が98%以下であることにより、金属多孔体の強度を十分なものとすることができる。
【0033】
本開示において、金属多孔体の第1気孔率は次式で定義される。
第1気孔率[%]=(金属多孔体の気孔の体積[cm3]/金属多孔体の体積[cm3])×100
上記式において、金属多孔体の体積とは、金属多孔体の外観形状の体積である。
【0034】
金属多孔体の気孔の体積および金属多孔体の体積の測定方法は、以下の通りである。金属多孔体の外縁からの距離が2mm以上の領域内で、X線CTにより金属多孔体の三次元データを取得し、三次元データに基づき金属多孔体の気孔の体積および金属多孔体の体積を求める。X線CTの測定領域全体の体積が上記式における金属多孔体の体積に該当する。X線CTの測定領域の大きさは、2mm3以上とする。測定領域の大きさは、測定対象の大きさに応じて適宜設定することができる。
【0035】
得られた金属多孔体の気孔の体積および金属多孔体の体積を上記式に代入することにより、金属多孔体の第1気孔率を算出する。1つの測定対象である金属多孔体に対して、互いに重複しない3箇所の測定領域を設定する。3箇所の測定領域のそれぞれにおいて、金属多孔体の気孔の体積および金属多孔体の体積を求め、金属多孔体の気孔率を算出する。3箇所の測定領域の金属多孔体の気孔率の平均を算出する。本開示において、3箇所の測定領域の金属多孔体の気孔率の平均が、金属多孔体の第1気孔率に該当する。
【0036】
金属多孔体の平均気孔径(以下「第1平均気孔径」とも記す。)は、250μm以上3500μm以下でもよく、250μm以上1000μm以下でもよく、250μm以上850μm以下でもよい。金属多孔体の気孔径とは、骨格の外表面により規定される立体状の空間の孔径を意味する。金属多孔体の第1平均気孔径が250μm以上であることにより、金属多孔体の強度を高めることができる。金属多孔体の第1平均気孔径が3500μm以下であることにより、金属多孔体の曲げ性を高めることができる。金属多孔体の第1平均気孔径が250μm以上1000μm以下であると、亜酸化窒素の分解率が向上する。
【0037】
金属多孔体の第1平均気孔径の測定方法は以下の通りである。金属多孔体の外縁からの距離が2mm以上の領域内で、X線CTにより金属多孔体の三次元データを取得する。X線CTの測定領域の大きさは、2mm3以上とする。測定領域の大きさは、測定対象の大きさに応じて適宜設定することができる。三次元データに基づき、測定領域内の全ての金属多孔体の気孔径を求める。ここで、金属多孔体の気孔径とは、気孔の等体積球相当径を意味する。気孔の一部が測定視野の外側に位置する場合、該気孔は測定から除外する。測定領域内のすべての気孔の平均気孔径の平均(以下「第1A平均気孔径」とも記す。)を算出する。
【0038】
上記の測定を、金属多孔体に設定された任意の3つの測定領域で行う。3つの測定領域のそれぞれにおいて第1A平均気孔径を算出し、これらの平均である第1平均気孔径を算出する。本開示において、第1平均気孔径が金属多孔体の平均気孔径に該当する。
【0039】
同一の金属多孔体で測定する限り、3つの測定領域の位置を任意に選択して、測定を複数回行っても、測定結果にほとんどばらつきがないことが確認されている。
【0040】
実施形態1において、金属多孔体の平均厚さは特に制限されない。金属多孔体の平均厚さは、0.1mm以上5mm以下でもよく、0.5mm以上3mm以下でもよく、0.1mm以上2.2mm以下でもよく、0.1mm以上1mm以下でもよい。
【0041】
金属多孔体の平均厚さは、デジタルシックネスゲージによって測定する。厚さの測定は、金属多孔体の外縁からの距離が2mm以上の領域内に任意に設定された3箇所で行う。3箇所の厚さの平均を算出する。本開示において、3箇所の厚さの平均が、金属多孔体の平均厚さに該当する。
【0042】
実施形態1において、金属多孔体の骨格の組成は特に制限されず、触媒の種類や、亜酸化窒素分解構造体の用途によって適宜選択される。骨格の組成としては、例えば、ニッケル、ニッケル-クロム、ニッケル-コバルト、ニッケル-スズ、銅、アルミニウムが挙げられる。
【0043】
<亜酸化窒素分解触媒>
実施形態1において、亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルト(Co3O4)と、カリウム(K)と、を含む。亜酸化窒素分解触媒において、四酸化三コバルトの含有量A(g)およびカリウムの含有量B(g)の合計(A+B)(g)に対する、四酸化三コバルトの含有量A(g)の質量基準の百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.90%以下である。四酸化三コバルトの格子歪は、0.15%以下である。これによると、亜酸化窒素分解触媒は、低温でも、亜酸化窒素を効率的に分解することができる。低温とは、例えば350℃以下を意味する。
【0044】
百分率{A/(A+B)}×100の下限は、亜酸化窒素分解率の向上の観点から、99.50%以上であり、99.52%以上でもよく、99.60%以上でもよく、99.62%以上でもよい。百分率{A/(A+B)}×100の上限は、亜酸化窒素分解率の向上の観点から、99.90%以下であり、99.80%以下でもよい。百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.90%以下であり、99.52%以上99.90%以下でもよく、99.60%以上99.90%以下でもよく、99.52%以上99.80%以下でもよく、99.60%以上99.80%以下でもよい。
【0045】
本開示において、百分率{A/(A+B)}×100は以下の手順で測定される。亜酸化窒素分解構造体をプレスすることにより、亜酸化窒素分解構造体から亜酸化窒素分解触媒を脱落させて、亜酸化窒素分解触媒のみを取り出す。取り出された亜酸化窒素分解触媒を50℃の0.1M硝酸溶液に60分間浸漬して、亜酸化窒素分解触媒を溶解させた溶解液を得る。硝酸溶液に溶解させる亜酸化窒素分解触媒の質量M1は、例えば、0.04g以上とする。本開示において、亜酸化窒素分解触媒を50℃の0.1M硝酸溶液に60分間浸漬して、亜酸化窒素分解触媒を溶解させた溶解液を第1溶解液とも記す。
【0046】
第1溶解液に対してICP(Inductively Coupled Plasma、高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析を行い、第1溶解液中のコバルト(Co)含有量(g)およびカリウム(K)含有量(g)を測定する。コバルト含有量(g)に基づき、四酸化三コバルトとしての含有量A(g)を算出する。得られた四酸化三コバルトの含有量A(g)およびカリウムの含有量B(g)に基づき、百分率{A/(A+B)}×100を算出する。
【0047】
硝酸溶液に溶解させた亜酸化窒素分解触媒の質量M1および得られた四酸化三コバルトの含有量Aおよびカリウムの含有量Bに基づき、亜酸化窒素分解触媒中の四酸化三コバルトの含有率、および、亜酸化窒素分解触媒中のカリウムの含有率を算出することができる。
【0048】
亜酸化窒素分解触媒中のすべてのコバルトが、四酸化三コバルトとして存在していることは、以下の手順で確認される。亜酸化窒素分解触媒のX線回折分析を行い、X線回折スペクトルを取得する。X線回折分析は、測定装置としてパナリティカル社製の「EMPYREAN」を用いる。測定条件は以下の通りである。
<X回折分析測定条件>
X線回折法:θ-2θ法
測定範囲:2θ=10°~80°
積算時間:197.111sec
特性X線:Cu-Ka
管電圧:45kV
管電流:200mA
光学系:集中法
X線回折装置のスキャンスピード:1.5°/分
ステップ幅:0.03゜
【0049】
得られたX線回折スペクトルにおいて、四酸化三コバルトに帰属する回折ピークが存在し、他のコバルト化合物に帰属するピークが存在しない場合、亜酸化窒素分解触媒中のすべてのコバルトが、四酸化三コバルトとして存在していることが確認される。
【0050】
亜酸化窒素分解触媒において、コバルトの含有量C(g)およびカリウムの含有量B(g)の合計(C+B)(g)に対するコバルトの含有量C(g)の質量基準の百分率{C/(C+B)}×100は、99.3%以上99.9%以下でもよく、99.4%以上99.8%以下でもよい。
【0051】
亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルトおよびカリウムに加えて、他の成分を含むことができる。他の成分としては、ケイ素、アルミニウム、ニッケル、鉄、錫、銅、亜鉛、ナトリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられる。亜酸化窒素分解触媒の他の成分の合計含有率は、20質量%以下とすることができる。亜酸化窒素分解触媒の他の成分の合計含有量は、第1溶解液に対してICP発光分光分析を行うことにより測定される。
【0052】
亜酸化窒素分解触媒が四酸化三コバルトおよびカリウムに加えて、他の成分を含む場合においても、四酸化三コバルトの含有量A(g)およびカリウムの含有量B(g)の合計(A+B)(g)に対する、四酸化三コバルトの含有量A(g)の質量基準の百分率{A/(A+B)}×100は、99.50%以上99.9%以下でもよく、99.60%以上99.80%以下でもよく、99.70%以上99.80%以下でもよい。
【0053】
実施形態1において、四酸化三コバルトの格子歪は、亜酸化窒素分解率の向上の観点から、0.15%以下である。四酸化三コバルトの格子歪は、小さいほど亜酸化窒素分解率が向上する。四酸化三コバルトの格子歪は、0%以上0.15%以下でもよく、0%以上0.14以下でもよく、0.01%以上0.15%以下でもよく、0.01%以上0.14%以下でもよい。
【0054】
本開示において、四酸化三コバルトの格子歪は以下の手順で測定される。亜酸化窒素分解構造体のX線回折測定を行う。X線回折測定は、測定装置としてパナリティカル社製の「EMPYREAN」(商標)、および、解析ソフトとしてリガク社製の「PDXL2」(商標)を用いて行われる。X線回折測定は亜酸化窒素分解構造体に含まれる四酸化三コバルトからの回折線を観測できるように実施する。測定条件は以下の通りである。
【0055】
<X回折測定条件>
X線回折法:θ-2θ法
測定範囲:2θ=10°~80°
積算時間:197.111sec
特性X線:Cu-Ka
管電圧:45kV
管電流:200mA
光学系:集中法
X線回折装置のスキャンスピード:1.5°/分
ステップ幅:0.03゜
【0056】
X線回折測定を用いて得られるデータに対して、Williamson-Hall法に基づくデータプロットを行って歪の値を算出する。格子歪は、下記式(1)に示すWilliamson-Hall法を用いて導出される。式(1)において、Sは格子歪を表し、βは回折線の半値幅(ラジアン)を表し、λは測定X線の波長(×10-1nm)を示し、θは回折線のブラッグ角(ラジアン)を表し、無次元数であるεは定数を表す。
【0057】
【0058】
<亜酸化窒素分解構造体>
実施形態1の亜酸化窒素分解構造体は、三次元網目状構造を有する金属多孔体と、金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備える。亜酸化窒素分解構造体が金属多孔体と、金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備えることは、SEMを用いて倍率45~5000倍で観察することにより確認することができる。
図8は、実施形態1に係る亜酸化窒素分解構造体の表面のSEM像の一例である。
図9は、実施形態1に係る亜酸化窒素分解構造体の断面のSEM像の一例である。
図10は、
図9の一部を拡大して示す図である。
図9および
図10に示されるように、亜酸化窒素分解構造体では、金属多孔体1の表面に、亜酸化窒素分解触媒2が配置されている。亜酸化窒素分解触媒2は金属多孔体1の表面に担持されているため、一般的な条件で亜酸化窒素分解構造体を亜酸化窒素の分解に用いる状態では、亜酸化窒素分解触媒2が金属多孔体1の表面から剥離することはほとんどない。
【0059】
実施形態1の亜酸化窒素分解構造体の光透過率の下限は、亜酸化窒素分解構造体に亜酸化窒素を含む流体を通過させたときに生じる圧力損失を低減させる観点から、3%以上でもよく、3.5%以上でもよく、6%以上でもよい。亜酸化窒素分解構造体の光透過率の上限は、亜酸化窒素分解率の向上の観点から、17%以下でもよく、15%以下でもよく、13%以下でもよい。亜酸化窒素分解構造体の光透過率は、3%以上17%以下でもよく、3%以上15%以下でもよく、3.5%以上15%以下でもよく、6%以上13%以下でもよい。
【0060】
本開示において、亜酸化窒素分解構造体の光透過率の測定方法は、
図11に示されるように、以下の第1工程~第4工程を含む。
【0061】
≪第1工程≫
図12に示されるように、亜酸化窒素分解構造体からなり、第1の主面7aおよび第1の主面7aと反対側の第2の主面7bを有する板状の第1測定用試料7を準備する第1工程を行う。
【0062】
第1測定用試料7は、亜酸化窒素分解構造体の外縁からの距離が2mm以上の領域内で取得する。亜酸化窒素分解構造体の製造方法によっては、亜酸化窒素分解触媒の量が、亜酸化窒素分解構造体の主面内でばらついている場合がある。このような場合は、亜酸化窒素分解構造体のうち、実際に使用される領域内から第1測定用試料7を得る。亜酸化窒素分解構造体が折りたたまれていたり、巻き回しされていたりする場合は、亜酸化窒素分解構造体を平板に戻した後に第1測定用試料7を準備する。
【0063】
≪第2工程≫
次に、第1の主面側7aから第1測定用試料7に光を照射した状態で、第2の主面7b側から第1測定用試料7をマイクロスコープで観察倍率100倍で観察して観察像を得る第2工程を行う。マイクロスコープは、KEYENCE社製の「VHX-7000」(商標)を用いる。
【0064】
≪第3工程≫
次に、観察像に対して明度に基づく画像抽出処理を行うことにより、光が透過する領域S1が抽出された画像抽出処理像を得る第3工程を行う。画像抽出処理は、マイクロスコープに付属のソフトウエアを用いて行う。画像抽出処理は、観察像の全体について行う。画像抽出処理の際の明度は、公差を20、レンジを150~255に設定する。画像抽出されるレンジ150~255の範囲に入る領域が、光が透過する領域S1に該当する。実施形態1の亜酸化窒素分解構造体から取得された測定用試料の観察像に対して画像抽出処理を行った画像抽出処理像の一例を
図13に示す。
図13では、灰色で示される領域が、光が透過する領域S1に該当する。
【0065】
≪第4工程≫
次に、画像抽出処理像において、画像抽出処理像の全体の面積S2に対する領域S1の面積の百分率(S1/S2)×100を算出することにより、亜酸化窒素分解構造体の光透過率を得る第4工程を行う。百分率(S1/S2)×100は、本開示における亜酸化窒素分解構造体の光透過率に該当する。
【0066】
第2工程の観察像を互いに重複しない5箇所で取得し、それぞれの観察像に基づき、第3工程および第4工程を行い、亜酸化窒素分解構造体の光透過率を得る。5箇所の光透過率の平均を算出する。本開示において、5箇所の光透過率の平均が亜酸化窒素分解構造体の光透過率に該当する。
【0067】
実施形態1において、亜酸化窒素分解構造体の圧力損失の下限は3Pa以上でもよく、7Pa以上でもよく、10Pa以上でもよく、20Pa以上でもよく、23Pa以上でもよい。亜酸化窒素分解構造体の圧力損失が3Pa以上であると、亜酸化窒素分解構造体を通過する亜酸化窒素を含む流体の流れを乱すことが可能となり触媒と流体との接触頻度を上げることができる。亜酸化窒素分解構造体の圧力損失の上限は、亜酸化窒素分解構造体に流体を通過させる際に必要なエネルギーの低減の観点から、50Pa以下でもよく、45Pa以下でもよい。亜酸化窒素分解構造体の圧力損失は、3Pa以上50Pa以下でもよく、7Pa以上50Pa以下でもよく、10Pa以上50Pa以下でもよく、20Pa以上50Pa以下でもよく、23Pa以上50Pa以下でもよい。
【0068】
亜酸化窒素分解構造体の圧力損失は、亜酸化窒素分解構造体の厚さ方向に空気を流速0.41m/秒で通過させて測定される。具体的な測定方法を
図14を用いて説明する。亜酸化窒素分解構造体を、主面の法線方向に打ち抜くことにより、第2測定用試料9を作製する。第2測定用試料9の大きさおよび形状は、後述のポリ塩化ビニル管8の内径に応じて調整する。具体的には、第2測定用試料9の第21主面9aおよび第21主面9aと反対側の第22主面9bの外縁の全てが、ポリ塩化ビニル管8の内壁8aと接するように調整する。例えば、第2測定用試料9の第21主面9aおよび第22主面9bの大きさおよび形状が、ポリ塩化ビニル管8の軸を法線とする断面におけるポリ塩化ビニル管8の内部空間の大きさおよび形状と略同一の場合、第2測定用試料9の第21主面9aおよび第22主面9bの外縁の全てが、ポリ塩化ビニル管8の内壁8aと接することができる。ポリ塩化ビニル管8の内径は、10mm以上とする。亜酸化窒素分解構造体の製造方法によっては、亜酸化窒素分解構造体の主面の面内において亜酸化窒素分解触媒の量にばらつきが生じていることがある。このような場合は、亜酸化窒素分解構造体のうち、実際に使用される領域内で、亜酸化窒素分解構造体を主面の法線方向に打ち抜くことにより、第2測定用試料9を作製する。
【0069】
図14に示されるように、第2測定用試料9を、ポリ塩化ビニル管8のいずれかの第1端部8b側からポリ塩化ビニル管8の内部に、第2測定用試料9の第21主面9aおよび第22主面9bの外縁の全てが、ポリ塩化ビニル管8の内壁8aと接するように挿入する。ポリ塩化ビニル管8の内部空間での第2測定用試料9の位置は、第2測定用試料9のポリ塩化ビニル管8の第1端部8b側の第21主面9aから、ポリ塩化ビニル管の第1端部8bまでの距離が、第2測定用試料9の第22主面9bから、第1端部8bと反対側の第2端部8cまでの距離よりも短くなるように調整する。第2測定用試料9を挿入したポリ塩化ビニル管8を縦に設置する。この時、第2測定用試料9が落ちないよう、ポリ塩化ビニル管の下端にはφ0.4mmの針金を十字に張っておく。ポリ塩化ビニル管8の第1端部8bと反対側の第2端部8c側から空気を流速0.41m/秒で導入する。第2測定用試料9のポリ塩化ビニル管8の第2端部8c側の圧力P1(単位:Pa)を差圧計で測定する。ポリ塩化ビニル管8から第2測定用試料9を外し、ポリ塩化ビニル管8の第2端部8c側から空気を流速0.41m/秒で導入して、ポリ塩化ビニル管8の第2端部8c側の圧力P2(単位:Pa)を差圧計で測定する。本開示において、P1とP2との差を亜酸化窒素分解構造体の圧力損失(単位:Pa)とする。
【0070】
上記の測定を、5つの測定用試料で行う。5つの測定用試料のそれぞれの圧力損失の平均を算出する。本開示において、5つの測定用試料のそれぞれの圧力損失の平均が、亜酸化窒素分解構造体の圧力損失に該当する。
【0071】
同一の亜酸化窒素分解構造体において、亜酸化窒素分解構造体の打ち抜き位置を上記の通り設定して測定用試料を作製する限り、測定を複数回行っても、測定結果にほとんどばらつきがないことが確認されている。
【0072】
亜酸化窒素分解構造体の気孔率(以下「第2気孔率」とも記す。)は、30%以上98%以下でもよく、40%以上95%以下でもよく、50%以上90%以下でもよい。亜酸化窒素分解構造体の第2気孔率が30%以上であることにより、圧力損失を低減することができ、且つ亜酸化窒素分解構造体の表面積を大きくすることができる。亜酸化窒素分解構造体の第2気孔率が98%以下であることにより、亜酸化窒素分解構造体の強度を十分なものとすることができる。
【0073】
本開示において、亜酸化窒素分解構造体の第2気孔率は次式で定義される。
第2気孔率[%]=(亜酸化窒素分解構造体の気孔の体積[cm3]/亜酸化窒素分解構造体の体積[cm3])×100
上記式において、亜酸化窒素分解構造体の体積とは、亜酸化窒素分解構造体の外観形状の体積である。
【0074】
亜酸化窒素分解構造体の気孔の体積および亜酸化窒素分解構造体の体積の測定方法は、以下の通りである。亜酸化窒素分解構造体の外縁からの距離が2mm以上の領域内で、X線CTにより亜酸化窒素分解構造体の三次元データを取得し、三次元データに基づき亜酸化窒素分解構造体の気孔の体積および亜酸化窒素分解構造体の体積を求める。X線CTの測定領域全体の体積が上記式における亜酸化窒素分解構造体の体積に該当する。X線CTの測定領域の大きさは、2mm3以上とする。測定領域の大きさは、測定対象の大きさに応じて適宜設定することができる。亜酸化窒素分解構造体の製造方法によっては、亜酸化窒素分解触媒の量が、亜酸化窒素分解構造体の主面内でばらついている場合がある。このような場合は、亜酸化窒素分解構造体のうち、実際に使用される領域内で三次元データを取得する。
【0075】
得られた亜酸化窒素分解構造体の気孔の体積および亜酸化窒素分解構造体の体積を上記式に代入することにより、亜酸化窒素分解構造体の第2気孔率を算出する。1つの測定対象である亜酸化窒素分解構造体に対して、互いに重複しない3箇所の測定領域を設定する。3箇所の測定領域のそれぞれにおいて、亜酸化窒素分解構造体の気孔の体積および亜酸化窒素分解構造体の体積を求め、亜酸化窒素分解構造体の気孔率を算出する。3箇所の測定領域の亜酸化窒素分解構造体の気孔率の平均を算出する。本開示において、3箇所の測定領域の亜酸化窒素分解構造体の気孔率の平均が、亜酸化窒素分解構造体の第2気孔率に該当する。
【0076】
亜酸化窒素分解構造体の平均気孔径(以下「第2平均気孔径」とも記す。)は、250μm以上3500μm以下でもよく、250μm以上1000μm以下でもよく、250μm以上850μm以下でもよい。亜酸化窒素分解構造体の気孔径とは、金属多孔体およびその表面に配置された亜酸化窒素分解触媒により規定される立体状の空間の孔径を意味する。亜酸化窒素分解構造体の第2平均気孔径が250μm以上であることにより、亜酸化窒素分解構造体の強度を高めることができる。亜酸化窒素分解構造体の第2平均気孔径が3500μm以下であることにより、亜酸化窒素分解構造体の曲げ性を高めることができる。亜酸化窒素分解構造体の第2平均気孔径が250μm以上1000μm以下であると、亜酸化窒素の分解率が向上する。
【0077】
亜酸化窒素分解構造体の第2平均気孔径の測定方法は以下の通りである。亜酸化窒素分解構造体の外縁からの距離が2mm以上の領域内で、X線CTにより金属多孔体の三次元データを取得する。X線CTの測定領域の大きさは、2mm3以上とする。測定領域の大きさは、測定対象の大きさに応じて適宜設定することができる。三次元データに基づき、測定領域内の全ての亜酸化窒素分解構造体の気孔径を求める。ここで、亜酸化窒素分解構造体の気孔径とは、気孔の等体積球相当径を意味する。気孔の一部が測定視野の外側に位置する場合、該気孔は測定から除外する。測定領域内のすべての気孔の平均気孔径の平均(以下「第2A平均気孔径」とも記す。)を算出する。
【0078】
上記の測定を、亜酸化窒素分解構造体に設定された任意の3つの測定領域で行う。3つの測定領域のそれぞれにおいて第2A平均気孔径を算出し、これらの平均である第2平均気孔径を算出する。本開示において、第2平均気孔径が亜酸化窒素分解構造体の平均気孔径に該当する。
【0079】
同一の亜酸化窒素分解構造体で測定する限り、3つの測定領域の位置を任意に選択して、測定を複数回行っても、測定結果にほとんどばらつきがないことが確認されている。
【0080】
実施形態1の亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量は、18mg/cm3以上250mg/cm3以下であってもよい。これによると、亜酸化窒素分解構造体は高い亜酸化窒素の分解能を示すことが可能である。本開示において、亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量とは、亜酸化窒素分解構造体の外観の単位体積(cm3)当たりのコバルトの含有量(mg)を意味する。亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量の下限は、18mg/cm3以上でもよく、40mg/cm3以上でもよく、50mg/cm3以上でもよく、75mg/cm3以上でもよく、100mg/cm3以上でもよい。亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量の上限は、200mg/cm3以下でもよく、150mg/cm3以下でもよい。亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量は、50mg/cm3以上200mg/cm3以下でもよく、100mg/cm3以上150mg/cm3以下でもよい。
【0081】
本開示において、亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量は以下の手順で測定される。亜酸化窒素分解構造体を切り出して測定用試料を作製し、測定用試料を50℃の0.1M硝酸溶液に60分間浸漬して、亜酸化窒素分解触媒を溶解させた溶解液を得る。測定用試料の外観の体積は0.1cm3以上とする。本開示において、測定用試料を50℃の0.1M硝酸溶液に60分間浸漬して、亜酸化窒素分解触媒を溶解させた溶解液を「第2溶解液」とも記す。得られた第2溶解液に対してICP発光分光分析を行い、溶解液中のコバルト(Co)の含有量(mg)を測定する。コバルトの含有量(mg)を測定用試料の外観の体積(cm3)で割ることにより、亜酸化窒素分解構造体に含まれるコバルトの含有量(mg/cm3)を得る。
【0082】
<亜酸化窒素分解構造体の製造方法>
実施形態1の亜酸化窒素分解構造体の製造方法は、亜酸化窒素分解触媒を準備する工程と、金属多孔体を準備する工程と、金属多孔体の表面に亜酸化窒素分解触媒を配置させて亜酸化窒素分解構造体を得る工程と、を備えることができる。
【0083】
≪亜酸化窒素分解触媒を準備する工程≫
塩基性炭酸コバルト粉末を準備する。塩基性炭酸コバルト粉末の平均粒径は、0.1~5μmとすることができる。塩基性炭酸コバルト粉末と、8M水酸化カリウム(KOH)溶液と水(H2O)とを混合して混合液を得る。混合液中の塩基性炭酸コバルト粉末と、KOH溶液と、水との配合比は、質量基準で塩基性炭酸コバルト粉末:KOH溶液:水=500:2.4~8.4:100~1000とすることができる。
【0084】
混合液をホットプレート上にのせて乾燥させて乾燥粉末を得る。乾燥粉末を目開き355μmの篩にかけたのち、アルミナ容器に入れて、電気炉で加熱する。加熱は大気中、400℃で8~12時間行う。上記工程により、実施形態1で用いられる亜酸化窒素分解触媒を得ることができる。
【0085】
≪金属多孔体を準備する工程≫
金属多孔体を準備する。金属多孔体としては、住友電気工業株式会社製の「セルメット(登録商標)」などの市販の金属多孔体を用いることができる。
【0086】
金属多孔体を市場から入手することができない場合には、以下の方法によって金属多孔体を製造してもよい。三次元網目状構造を有する樹脂成形体のシートを用意する。樹脂成形体としては、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。続いて、樹脂成形体の表面に導電層を形成する導電化処理工程を行なう。導電化処理は、例えば、カーボン、導電性セラミック等の導電性粒子を含有した導電性塗料を塗布したり、無電解めっき法によってニッケルおよび銅等の導電性金属による層を形成したり、蒸着法またはスパッタリング法によって導電性金属による層を形成したりすることによって行なうことができる。続いて、表面に導電層を形成した樹脂成形体を基材として用いて、ニッケルなどの金属を電気めっきするめっき工程を行なう。電気めっきは公知の手法によって行なえばよい。
【0087】
最後に、熱処理等により、基材として用いた樹脂成形体を除去する除去工程を行なうことにより、三次元網目状構造を有する金属多孔体を得ることができる。
【0088】
≪亜酸化窒素分解構造体を得る工程≫
亜酸化窒素分解触媒を、バインダーおよび分散剤などと混合して、触媒含有スラリーを準備する。バインダーとしては日産化学社製の「スノーテックスST-N」(商標)、分散剤としては日油社製の「マリアリム」(商標)を用いることができる。亜酸化窒素分解触媒とバインダーと分散剤との混合比は、質量基準で5~10:1~5:0.1~2とすることができる。その他、消泡剤や増粘剤等、適宜添加することができる。
【0089】
金属多孔体を触媒含有スラリーに1~60分間浸漬した後に引き上げる。必要に応じて、表面に触媒含有スラリーが付着した金属多孔体を、例えば20m/sの風量で1分間ブローしたのち、150℃で15分間熱処理を行うことにより、亜酸化窒素分解構造体を得ることができる。ブローの際は、金属多孔体とブロワのノズルとの間の距離を5cmとすることができる。必要に応じて、上記の金属多孔体の触媒含有スラリーへの浸漬、ブローおよび熱処理を繰り返し行う。
【0090】
必要に応じて、上記のブローおよび熱処理に代えて、表面に触媒含有スラリーが付着した金属多孔体を、水平または垂直に保持した状態で自然乾燥させたのちに、150℃で15分間熱処理を行うことにより、亜酸化窒素分解構造体を得ることができる。必要に応じて、上記の金属多孔体の触媒含有スラリーへの浸漬および熱処理を繰り返し行う。
【0091】
[付記1]
本開示は、三次元網目状構造を有する金属多孔体と、前記金属多孔体の表面に配置された亜酸化窒素分解触媒と、を備え、
前記三次元網目状構造は、複数の支柱部と、複数の前記支柱部を繋ぐノード部と、を有し、
前記亜酸化窒素分解触媒は、四酸化三コバルトと、カリウムと、を含み、
前記亜酸化窒素分解触媒において、コバルトの含有量C(g)およびカリウムの含有量B(g)の合計(C+B)(g)に対するコバルトの含有量C(g)の質量基準の百分率{C/(C+B)}×100は、99.3%以上99.9%以下であり、
前記四酸化三コバルトの格子歪は、0.15%以下である、亜酸化窒素分解構造体である。
【実施例0092】
本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本実施の形態が限定されるものではない。
【0093】
[亜酸化窒素分解構造体の作製]
各試料の亜酸化窒素分解構造体を以下の手順で作製した。
【0094】
≪亜酸化窒素分解触媒を準備する工程≫
塩基性炭酸コバルト粉末を準備した。塩基性炭酸コバルト粉末の平均粒径は、3.4μmであった。塩基性炭酸コバルト粉末と、8M水酸化カリウム(KOH)溶液と水(H2O)とを混合して混合液を得た。塩基性炭酸コバルト粉末、KOH溶液および水の質量基準の混合比は、表1の「混合溶液の混合比」欄に示される通りである。例えば、試料1では、塩基性炭酸コバルト粉末:KOH溶液:水=500:8.4:250(質量比)で混合した。
【0095】
混合液をホットプレート上にのせて乾燥させて乾燥粉末を得た。乾燥粉末を目開き355μmの篩にかけたのち、アルミナ容器に入れて、電気炉で加熱した。アルミナ容器(体積:L)への乾燥粉末の充填量(単位:g)は150g/Lとした。加熱は大気中、400℃でおこなった。各試料の加熱時間は表1の「加熱時間」欄に記載の通りである。以上の工程により、各試料の亜酸化窒素分解触媒を得た。
【0096】
≪金属多孔体を準備する工程≫
各試料の金属多孔体の骨格として、住友電気工業株式会社製のNiセルメットを準備した。各試料で用いたNiセルメットの平均気孔径および厚さは表1の「金属多孔体」の「平均気孔径」および「厚さ」欄に示される通りである。
【0097】
≪亜酸化窒素分解構造体を得る工程≫
亜酸化窒素分解触媒を、バインダー、分散剤および水と混合して、触媒含有スラリーを準備した。バインダーとしては日産化学社製の「スノーテックスST-N」(商標)、分散剤としては日油社製の「マリアリム」(商標)を用いた。亜酸化窒素分解触媒とバインダーと分散剤と水との質量基準の混合比は、以下の通りである。試料1~試料10、試料12、試料1-1~試料1-3では、亜酸化窒素分解触媒:バインダー:分散剤:水=10:5:1:10である。試料11では、亜酸化窒素分解触媒:バインダー:分散剤:水=10:5:1:15である。
【0098】
金属多孔体を触媒含有スラリーに浸漬した後に引き上げる。浸漬時間は表1の「浸漬時間」欄に記載の通りである。
【0099】
表1の「ブロー」欄に「有」と記載された試料は、表面に触媒含有スラリーが付着した金属多孔体を、20m/sの風量で1分間ブローしたのち、150℃で15分間熱処理を行った。上記の金属多孔体の触媒含有スラリーへの浸漬、ブローおよび熱処理を表1の「実施回数」欄に記載の回数行うことにより、亜酸化窒素分解構造体を得た。「実施回数」が「2」と記載されている場合は、金属多孔体の触媒含有スラリーへの浸漬、ブローおよび熱処理を2回行ったことを意味する。
【0100】
試料4では、表面に触媒含有スラリーが付着した金属多孔体に対してブローを行わずに、金属多孔体を垂直に保持した状態で乾燥させたのち、150℃で15分間熱処理を行うことにより、亜酸化窒素分解構造体を得た。試料4では、金属多孔体の下方にスラリーが溜まるため、金属多孔体を垂直に保持した状態で上部に位置する8割の部分を後述の評価に用いた。
【0101】
試料5では、金属多孔体を触媒含有スラリーに浸漬せずに、触媒含有スラリーを厚さ500μm程度に薄く広げ、その上に金属多孔体を1分間置いたのちに、引き上げた。その後、150℃で15分間熱処理を行うことにより、亜酸化窒素分解構造体を得た。
【0102】
【0103】
[評価]
<亜酸化窒素分解触媒の組成>
各試料の亜酸化窒素分解触媒において、四酸化三コバルト(Co3O4)の含有率、カリウム(K)の含有率および四酸化三コバルトの含有量A(g)およびカリウムの含有量B(g)の合計(A+B)(g)に対する、四酸化三コバルトの含有量A(g)の質量基準の百分率{A/(A+B)}×100を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載の通りである。結果を表2の「亜酸化窒素分解触媒」の「Co3O4」、「K」および「{A/(A+B)}×100」欄に示す。
【0104】
<四酸化三コバルトの格子歪>
各試料の亜酸化窒素分解に含まれる四酸化三コバルトの格子歪を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載の通りである。結果を表2の「亜酸化窒素分解触媒」の「Co3O4格子歪」欄に示す。
【0105】
<亜酸化窒素分解構造体の光透過率>
各試料の亜酸化窒素分解構造体の光透過率を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載の通りである。結果を表2の「亜酸化窒素分解構造体」の「光透過率」欄に示す。
【0106】
<亜酸化窒素分解構造体の圧力損失>
各試料の亜酸化窒素分解構造体の圧力損失を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載の通りである。結果を表2の「亜酸化窒素分解構造体」の「圧力損失」欄に示す。
【0107】
<亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量>
各試料の亜酸化窒素分解構造体のコバルトの含有量を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載の通りである。結果を表2の「亜酸化窒素分解構造体」の「Co含有量」欄に示す。
【0108】
<亜酸化窒素分解構造体の気孔率>
各試料の亜酸化窒素分解構造体の気孔率を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載の通りである。結果を表2の「亜酸化窒素分解構造体」の「気孔率」欄に示す。
【0109】
<亜酸化窒素分解率の測定>
各試料の亜酸化窒素分解構造体を径16mmの板状に打ち抜き、円板状の試験片を準備した。各試料において、試験片を表2の「積層体」の「積層数」欄に記載の数で準備した。複数の試験片を、主面同士が対向するように重ねて、評価用試料である積層体を作製した。例えば、試料1では、4枚の試験片を重ねて積層体を作製した。
【0110】
流路管として、石英管を準備した。石英管の内部空間の径は16mmである。流路管の内部空間に、積層体を、その積層方向が流路管の軸に沿うように挿入した。流路管内で積層体を固定するために、積層体の両端にガラスウールを配置した。積層体を挿入した石英管を管状炉にセットし、350℃に加熱した。
【0111】
反応ガスとして、N2O含有率が10000ppmである、N2Oとヘリウム(He)との混合ガスを、流路管の一方の開口側から空間速度10,000/hで導入して、N2O分解率を測定した。
【0112】
N2O分解率は、積層体を通過後のガスの組成をガスクロマトグラフを用いて分析することにより、算出した。結果を表2の「評価」の「N2O分解率」欄に示す。「N2O分解率」の数値が大きいほど、亜酸化窒素分解構造体の亜酸化窒素の分解率が高いことを示す。
【0113】
【0114】
[考察]
試料1~試料12の亜酸化窒素分解構造体は実施例に該当する。試料1-1~試料1-3の亜酸化窒素分解構造体は比較例に該当する。試料1~試料12の亜酸化窒素分解構造体は、試料1-1~試料1-3の亜酸化窒素分解構造体に比べて亜酸化窒素の分解率が高いことが確認された。
【0115】
以上のように本開示の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形することも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。