(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113993
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】メモリデバイス
(51)【国際特許分類】
G11C 11/22 20060101AFI20240816BHJP
H10B 51/20 20230101ALI20240816BHJP
【FI】
G11C11/22 240
G11C11/22 120
H10B51/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019325
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 玲華
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真澄
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FR06
5F083GA10
5F083GA21
5F083JA02
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083ZA21
(57)【要約】
【課題】メモリの信頼性を向上する。
【解決手段】実施形態のメモリは、第1及び第2トランジスタ間に接続され且つ強誘電体トランジスタを含む複数の第1メモリセルと、第3及び第4トランジスタ間に接続され且つ強誘電体トランジスタを含む複数の第2のメモリセルと、第1トランジスタに接続された第1セレクトゲート線と、第3トランジスタに接続された第2セレクトゲート線と、複数の第1及び第2メモリセルのゲートに接続された複数のワード線と、第1及び第2トランジスタの一端に接続されたビット線と、消去シーケンスを制御する回路と、を含み、回路は、正の電圧値の第1電圧をビット線に印加し、第1電圧より高い正の電圧値の第2電圧を第1及び第2セレクトゲート線に印加し、第1電圧より高い正の電圧値の第3電圧を非選択ワード線に印加し、第1電圧より低い第4電圧を選択ワード線に印加する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセレクトトランジスタと、第2のセレクトトランジスタと、前記第1のセレクトトランジスタと前記第2のセレクトトランジスタとの間に直列に接続され且つ第1の強誘電体トランジスタをそれぞれ含む複数の第1のメモリセルと、を含む第1のストリングと、
第3のセレクトトランジスタと、第4のセレクトトランジスタと、前記第3のセレクトトランジスタと前記第4のセレクトトランジスタとの間に直列に接続され且つ第2の強誘電体トランジスタをそれぞれ含む複数の第2のメモリセルと、を含む第2のストリングと、
前記第1のセレクトトランジスタのゲートに接続された第1のセレクトゲート線と、
前記第3のセレクトトランジスタのゲートに接続された第2のセレクトゲート線と、
前記複数の第1のメモリセルのゲートのそれぞれ、及び、前記複数の第2のメモリセルのゲートのそれぞれに接続された複数のワード線と、
前記第1のセレクトトランジスタの一端及び前記第3のセレクトトランジスタの一端に接続されたビット線と、
前記第2のセレクトトランジスタの一端及び前記第4のセレクトトランジスタの一端に接続されたソース線と、
消去シーケンスを制御する回路と、
を具備し、
前記回路は、前記消去シーケンスにおいて、
正の電圧値を有する第1の電圧を、前記ビット線に印加し、
前記第1の電圧より高い正の電圧値を有する第2の電圧を、前記第1のセレクトゲート線及び前記第2のセレクトゲート線のそれぞれに印加し、
前記第1の電圧より高い正の電圧値を有する第3の電圧を、前記複数のワード線のうち複数の第1の非選択ワード線に印加し、
前記第1の電圧より低い第4の電圧を、前記複数のワード線のうち第1の選択ワード線に印加する、
メモリデバイス。
【請求項2】
前記消去シーケンスにおいて、消去パルスが、前記第1の選択ワード線に接続された前記第1及び第2のメモリセルに、供給され、
前記消去パルスは、前記第1の電圧と前記第4の電圧との間の電位差に基づいた負の極性を有する、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記第1の選択ワード線に接続された第1及び第2のメモリセルのゲートの電位は、前記第1の選択ワード線に接続された前記第1及び第2のメモリセルのチャネル端の電位より低い、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記消去シーケンスにおいて、
前記第1のセレクトトランジスタのゲートの電位は、前記第1のセレクトトランジスタの前記一端の電位より高く、
前記第3のセレクトトランジスタのゲートの電位は、前記第3のセレクトトランジスタの前記一端の電位より高い、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記消去シーケンスにおいて、前記第1及び第3のセレクトトランジスタは、オンする、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記消去シーケンスにおいて、
前記複数の第1の非選択ワード線に接続された前記複数の第1及び第2のメモリセルのゲートの電位は、前記複数の第1の非選択ワード線に接続された前記複数の第1及び第2のメモリセルのチャネル端の電位より高い、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項7】
前記消去シーケンスにおいて、前記複数の第1の非選択ワード線に接続された前記複数の第1及び第2のメモリセルは、オンする、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記第3の電圧は、前記第2の電圧に等しい、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記第4の電圧は、グランド電圧である、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
前記第2及び第4のセレクトトランジスタのゲートに接続された第3のセレクトゲート線をさらに具備し、
前記回路は、前記消去シーケンスにおいて、
前記第1の電圧を、前記ソース線に印加し、
前記第2の電圧を、前記第3のセレクトゲート線に印加する、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項11】
前記回路は、書き込みシーケンスを制御し、
前記回路は、前記書き込みシーケンスにおいて、
書き込みデータに応じた電圧値を有する第5の電圧を、前記ビット線に印加し、
正の電圧値を有する第6の電圧を、前記第1のセレクトゲート線に印加し、
前記第6の電圧より低い第7の電圧を、前記第2のセレクトゲート線に印加し、
正の電圧値を有する第8の電圧を、前記複数のワード線のうち複数の第2の非選択ワード線に印加し、
前記第8の電圧より高い正の電圧値を有する第9の電圧を、前記複数のワード線のうち第2の選択ワード線に印加する、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項12】
前記第6の電圧は、前記第2の電圧より低い、
前記第8の電圧は、前記第3の電圧より低い、
請求項11に記載のメモリデバイス。
【請求項13】
前記第1及び第2の強誘電体トランジスタのそれぞれは、酸化ハフニウムを含む、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項14】
第1のセレクトトランジスタと、第2のセレクトトランジスタと、前記第1のセレクトトランジスタと前記第2のセレクトトランジスタとの間に直列に接続され且つ第1の強誘電体トランジスタをそれぞれ含む複数の第1のメモリセルと、を含む第1のストリングと、
第3のセレクトトランジスタと、第4のセレクトトランジスタと、前記第3のセレクトトランジスタと前記第4のセレクトトランジスタとの間に直列に接続され且つ第2の強誘電体トランジスタをそれぞれ含む複数の第2のメモリセルと、を含む第2のストリングと、
前記第1のセレクトトランジスタのゲートに接続された第1のセレクトゲート線と、
前記第3のセレクトトランジスタのゲートに接続された第2のセレクトゲート線と、
前記複数の第1のメモリセルのゲートのそれぞれ、及び、前記複数の第2のメモリセルのゲートのそれぞれに接続された複数のワード線と、
前記第1のセレクトトランジスタの一端及び前記第3のセレクトトランジスタの一端に接続されたビット線と、
前記第2のセレクトトランジスタの一端及び前記第4のセレクトトランジスタの一端に接続されたソース線と、
消去シーケンス及び書き込みシーケンスを制御する回路と、
を具備し、
前記回路は、前記消去シーケンスにおいて、
正の電圧値を有する第1の電圧を、前記ビット線に印加し、
前記第1の電圧より低い第2の電圧を、前記第1及び第2のセレクトゲート線に印加し、
前記第1の電圧より低く、前記第2の電圧より高い第3の電圧を、前記複数のワード線のうち複数の第1の非選択ワード線に印加し、
前記第3の電圧より低い第4の電圧を、前記複数のワード線のうち第1の選択ワード線に印加し、
前記回路は、前記書き込みシーケンスにおいて、
書き込みデータに応じた電圧値を有する第5の電圧を、前記ビット線に印加し、
正の電圧値を有する第6の電圧を、前記第1のセレクトゲート線に印加し、
前記第6の電圧より低い第7の電圧を、前記第2のセレクトゲート線に印加し、
前記第3の電圧より高い正の電圧値を有する第8の電圧を、前記複数のワード線のうち複数の第2の非選択ワード線に印加し、
前記第8の電圧より高い正の電圧値を有する第9の電圧を、前記複数のワード線のうち第2の選択ワード線に印加する、
メモリデバイス。
【請求項15】
前記消去シーケンスにおいて、消去パルスが、前記第1の選択ワード線に接続された前記第1及び第2のメモリセルに、供給され、
前記消去パルスは、前記第1の電圧と前記第4の電圧との間の電位差に基づいた負の極性を有し、
前記書き込みシーケンスにおいて、書き込みパルスが、前記第2の選択ワード線に接続された前記第1のメモリセルに、供給され、
前記書き込みパルスは、前記第5の電圧と前記第9の電圧との間の電位差に基づいた正の極性を有する、
請求項14に記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記消去シーケンスにおいて、
前記第1のセレクトトランジスタのゲートの電位は、前記第1のセレクトトランジスタの前記一端の電位より低く、
前記第3のセレクトトランジスタのゲートの電位は、前記第3のセレクトトランジスタの前記一端の電位より低い、
請求項14に記載のメモリデバイス。
【請求項17】
前記第2及び第4の電圧は、グランド電圧である、
請求項14に記載のメモリデバイス。
【請求項18】
前記第2及び第4のセレクトトランジスタのゲートに接続された第3のセレクトゲート線をさらに具備し、
前記回路は、前記消去シーケンスにおいて、
前記第1の電圧を、前記ソース線に印加し、
前記第2の電圧を、前記第3のセレクトゲート線に印加し、
前記回路は、前記書き込みシーケンスにおいて、
第10の電圧を、前記ソース線に印加し、
前記第7の電圧を、前記第3のセレクトゲート線に印加する、
請求項14に記載のメモリデバイス。
【請求項19】
前記第1及び第2の強誘電体トランジスタのそれぞれは、酸化ハフニウムを含む、
請求項14に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、メモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
強誘電体の分極特性を利用してデータを記憶するメモリデバイスが、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリデバイスの信頼性を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のメモリデバイスは、第1のセレクトトランジスタと、第2のセレクトトランジスタと、前記第1のセレクトトランジスタと前記第2のセレクトトランジスタとの間に直列に接続され且つ第1の強誘電体トランジスタをそれぞれ含む複数の第1のメモリセルと、を含む第1のストリングと、第3のセレクトトランジスタと、第4のセレクトトランジスタと、前記第3のセレクトトランジスタと前記第4のセレクトトランジスタとの間に直列に接続され且つ第2の強誘電体トランジスタをそれぞれ含む複数の第2のメモリセルと、を含む第2のストリングと、前記第1のセレクトトランジスタのゲートに接続された第1のセレクトゲート線と、前記第3のセレクトトランジスタのゲートに接続された第2のセレクトゲート線と、前記複数の第1のメモリセルのゲートのそれぞれ、及び、前記複数の第2のメモリセルのゲートのそれぞれに接続された複数のワード線と、前記第1のセレクトトランジスタの一端及び前記第3のセレクトトランジスタの一端に接続されたビット線と、前記第2のセレクトトランジスタの一端及び前記第4のセレクトトランジスタの一端に接続されたソース線と、消去シーケンスを制御する回路と、含み、前記回路は、消去シーケンスにおいて、正の電圧値を有する第1の電圧を、前記ビット線に印加し、前記第1の電圧より高い正の電圧値を有する第2の電圧を、前記第1のセレクトゲート線及び前記第2のセレクトゲート線のそれぞれに印加し、前記第1の電圧より高い正の電圧値を有する第3の電圧を、前記複数のワード線のうち複数の第1の非選択ワード線に印加し、前記第1の電圧より低い第4の電圧を、前記複数のワード線のうち第1の選択ワード線に印加する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態のメモリデバイスの構成例を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態のメモリデバイスのメモリセルアレイの構成例を示す回路図。
【
図3】第1の実施形態のメモリデバイスのメモリセルアレイの構造例を示す断面図。
【
図4】第1の実施形態のメモリデバイスのメモリセルの構造例を示す上面図。
【
図5】第1の実施形態のメモリデバイスのメモリセルの構造例を示す断面図。
【
図6】第1の実施形態のメモリデバイスの動作原理を説明するための図。
【
図7】第1の実施形態のメモリデバイスの動作原理を説明するための図。
【
図8】第1の実施形態のメモリデバイスの動作原理を説明するための図。
【
図9】第1の実施形態のメモリデバイスの動作例を説明するための図。
【
図10】第1の実施形態のメモリデバイスの動作例を説明するための図。
【
図11】第1の実施形態のメモリデバイスの消去シーケンスを説明するための図。
【
図12】第1の実施形態のメモリデバイスの消去シーケンスを説明するための図。
【
図13】第1の実施形態のメモリデバイスの消去シーケンスを説明するための図。
【
図14】第1の実施形態のメモリデバイスの消去シーケンスを説明するための図。
【
図15】第1の実施形態のメモリデバイスの書き込みシーケンスを説明するための図。
【
図16】第1の実施形態のメモリデバイスの書き込みシーケンスを説明するための図。
【
図17】第1の実施形態のメモリデバイスの書き込みシーケンスを説明するための図。
【
図18】第1の実施形態のメモリデバイスの書き込みシーケンスを説明するための図。
【
図19】第2の実施形態のメモリデバイスの消去シーケンスを説明するための図。
【
図20】第2の実施形態のメモリデバイスの消去シーケンスを説明するための図。
【
図21】第2の実施形態のメモリデバイスの書き込みシーケンスを説明するための図。
【
図22】第2の実施形態のメモリデバイスの書き込みシーケンスを説明するための図。
【
図23】実施形態のメモリデバイスの変形例を説明するための図。
【
図24】実施形態のメモリデバイスの変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1乃至
図24を参照して、実施形態のメモリデバイスについて、説明する。
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付す。また、以下の各実施形態において、末尾に区別化のための数字/英字を伴った参照符号を付された構成要素(例えば、回路、配線、各種の電圧及び信号など)が、相互に区別されなくとも良い場合、末尾の数字/英字が省略された記載(参照符号)が用いられる。
【0009】
(実施形態)
(1)第1の実施形態
図1乃至
図18を参照して、第1の実施形態のメモリデバイスについて、説明する。
【0010】
(a)構成例
図1乃至
図5を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の構成例について、説明する。
【0011】
図1は、本実施形態のメモリデバイス1の構成例を説明するためのブロック図である。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態のメモリデバイス1は、メモリコントローラ2に電気的に結合される。
【0013】
メモリコントローラ2は、コマンドCMD、アドレスADD及び各種の制御信号CNTを本実施形態のメモリデバイス1に送る。
【0014】
メモリデバイス1は、コマンドCMD、アドレスADD及び各種の制御信号CNTを受ける。データDATは、メモリデバイス1とメモリコントローラ2との間で、転送される。以下において、書き込みシーケンス時に、メモリコントローラ2からメモリデバイス1に転送されるデータDATは、書き込みデータとよばれる。書き込みデータDATは、メモリデバイス1内に書き込まれる。読み出しシーケンス時に、メモリデバイス1からメモリコントローラ2に転送されるデータDATは、読み出しデータとよばれる。読み出しデータDATは、メモリデバイス1から読み出される。
【0015】
本実施形態のメモリデバイス1は、例えば、メモリセルアレイ100、コマンドレジスタ110、アドレスレジスタ120、ロウ制御回路140、センスアンプ回路150、ドライバ回路160、及びシーケンサ190を含む。
【0016】
メモリセルアレイ100は、データを記憶する。メモリセルアレイ100内に、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。メモリセルアレイ100は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、複数のメモリセルの集合である。各メモリセルは、1つのビット線と1つのワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ100の構成は後述される。
【0017】
コマンドレジスタ110は、メモリコントローラ2からのコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えば、シーケンサ190に読み出しシーケンス、書き込みシーケンス、及び消去シーケンス等を実行させる命令を含んでいる。
【0018】
アドレスレジスタ120は、メモリコントローラ2からのアドレスADDを保持する。アドレスADDは、例えば、ブロックアドレス、レイヤアドレス、ページアドレス、及びカラムアドレスを含んでいる。ブロックアドレス、レイヤアドレス、ページアドレス、及びカラムアドレスは、ブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択にそれぞれ使用される。以下において、アドレスADDに基づいて選択されたブロックは、選択ブロックとよばれる。アドレスADDに基づいて選択されたワード線は、選択ワード線とよばれる。
【0019】
ロウ制御回路140は、メモリセルアレイ100のロウに関する動作を制御する。ロウ制御回路140は、アドレスレジスタ120内のブロックアドレスに基づいて、メモリセルアレイ100内の1つのブロックBLKを選択する。ロウ制御回路140は、例えば、選択ワード線に対応する配線に印加された電圧を、選択ブロックBLK内の選択ワード線に転送する。
【0020】
センスアンプ回路150は、メモリセルアレイ100のカラムに関する動作を制御する。センスアンプ回路150は、書き込みシーケンスにおいて、書き込みデータDATを一時的に保持する。センスアンプ回路150は、メモリコントローラ2からの書き込みデータDATに応じて、メモリセルアレイ100内に設けられたビット線BLのそれぞれに電圧を印加する。センスアンプ回路150は、読み出しシーケンスにおいて、ビット線BLの電位(又は、電流の発生の有無)に基づいてメモリセルMCに記憶されたデータを判定する。センスアンプ回路150は、この判定結果に基づいたデータを、読み出しデータとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0021】
ドライバ回路160は、読み出しシーケンス、書き込みシーケンス、消去シーケンス等で使用される電圧を、メモリセルアレイ100に供給する。ドライバ回路160は、アドレスレジスタ120内のアドレスに基づいて、例えば、ワード線に対応する配線及びビット線に対応する配線などに所定の電圧を、印加する。ドライバ回路160は、実行される各動作シーケンスにおいて、読み出し回路(読み出しドライバともよばれる)、書き込み回路(書き込みドライバともよばれる)及び消去回路(消去ドライバともよばれる)として、機能する。
【0022】
シーケンサ190は、メモリデバイス1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ190は、コマンドレジスタ110内のコマンドCMDに基づいて各回路を制御する。
【0023】
例えば、メモリデバイス1とメモリコントローラ2との間の通信は、NANDインターフェイス規格によってサポートされている。
【0024】
尚、メモリデバイス1は、入出力回路(図示せず)及び電圧生成回路(図示せず)などをさらに含んでいてもよい。入出力回路は、メモリデバイス1とメモリコントローラ2との間における、メモリデバイス1側のインターフェイス回路として機能する。電圧生成回路は、メモリデバイス1の各種の動作のための複数の電圧を、生成する。
【0025】
<メモリセルアレイ>
図2は、本実施形態のメモリデバイスのメモリセルアレイの構成例を示す回路図である。
【0026】
図2において、メモリセルアレイ100に含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKが抽出されて示されている。
【0027】
図2に示されるように、ブロックBLKは、例えば、4つのストリングユニットSU<0>,SU<1>,SU<2>,SU<3>を含む。各ストリングユニットSU(SU<0>,SU<1>,SU<2>,SU<3>)は、複数のメモリセルストリングMSを含む。複数のメモリセルストリングMSのそれぞれは、複数のビット線BL<0>,BL<1>,・・・,BL<m-1>(mは1以上の整数)のうち対応する1つに接続されている。
【0028】
各メモリセルストリングMSは、複数のメモリセルMC<0>,MC<1>,・・・,MC<n-1>(nは1以上の整数)、及びセレクトトランジスタST1,ST2を含んでいる。例えば、n個のメモリセルMC(MC<0>,MC<1>,MC<2>,MC<3>,・・・,MC<n-2>,MC<n-1>)が、各メモリセルストリングMS内に設けられている。メモリセルMCは、1ビット以上のデータを実質的に不揮発に記憶できる。
【0029】
セレクトトランジスタST1,ST2のそれぞれは、各種の動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。例えば、各セレクトトランジスタST1は、1つ以上のトランジスタを含んでもよい。例えば、各セレクトトランジスタST2は、1つ以上のトランジスタを含んでもよい。
【0030】
各メモリセルストリングMSにおいて、複数のメモリセルMCは、セレクトトランジスタST1のソースとセレクトトランジスタST2のドレインとの間に直列接続される。同一のブロックBLK内の各メモリセルMC<0>,MC<1>,MC<2>,MC<3>,・・・,MC<n-2>,MC<n-1>のゲートは、複数のワード線WL<0>,WL<1>,WL<2>,WL<3>,・・・,WL<n-2>,WL<n-1>のうち対応する1つに接続される。
【0031】
各メモリセルストリングMSにおいて、セレクトトランジスタST1の一方の端子(ここでは、ドレイン)は、複数のビット線BL<0>,BL<1>,・・・,BL<m-1>のうち対応する1つに接続される。セレクトトランジスタST1の他方の端子(ここでは、ソース)は、直列接続された複数のメモリセルMCの一端に接続される。
【0032】
セレクトトランジスタST1のゲートのそれぞれは、複数のセレクトゲート線SGDのうち対応する1つに接続される。ストリングユニットSU0内のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD0に接続される。ストリングユニットSU1内のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD1に接続される。ストリングユニットSU2内のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD2に接続される。ストリングユニットSU3内のセレクトトランジスタST1のゲートは、セレクトゲート線SGD3にそれぞれ接続される。
【0033】
セレクトトランジスタST2の一方の端子(ここでは、ドレイン)は、直列接続された複数のメモリセルMCの他端に接続される。セレクトトランジスタST2の他方の端子(ここでは、ソース)は、ソース線SLに接続される。同一のブロックBLK内の複数のセレクトトランジスタST2のソースは、ソース線SLに共通に接続される。
【0034】
例えば、複数のセレクトトランジスタST2のゲートのそれぞれは、1つのセレクトゲート線SGSに共通に接続される。但し、複数のセレクトゲート線SGSが、ストリングユニットSU毎に独立に設けられてもよい。
【0035】
上述のメモリセルアレイ100の回路構成において、複数のブロックBLK間で同一カラムに対応するセレクトトランジスタST1のドレインは、同じビット線BLに接続される。ソース線SLは、例えば、複数のブロックBLK間で共通に接続される。
複数のストリングユニットSU間で同一のカラムに対応するセレクトトランジスタST1のドレインは、同じビット線BLに接続される。
【0036】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCは、例えば、セルユニットCU又はページとよばれる。
【0037】
例えば、1つのセルユニットCUは、メモリセルMCの各々が1ビットのデータを記憶する場合に、1ページ分のデータを記憶することが可能である。メモリセルMCの各々が2ビットのデータを記憶する場合に、1つのセルユニットCUは、2ページ分のデータを記憶することが可能である。
【0038】
本実施形態において、メモリセルMCは、強誘電体トランジスタ(FeFET:ferroelectric field effect transistor)である。強誘電体トランジスタの閾値電圧は、強誘電体トランジスタの強誘電体層の自発分極の向きに応じて、変化する。
【0039】
本実施形態のメモリデバイス1は、自発分極の向きに応じた強誘電体トランジスタMCの閾値電圧の変化とデータとの関連付けによって、データを記憶する。
【0040】
本実施形態において、メモリセルMCは、強誘電体トランジスタMCともよばれる。本実施形態において、強誘電体トランジスタをメモリセルMCに用いたメモリデバイスは、強誘電体メモリともよばれる。
【0041】
図3は、本実施形態のメモリデバイス1のメモリセルアレイ100の構造例を示す断面図である。
図3において、図示の明瞭化のため、基板の上面を覆う絶縁層(層間絶縁膜)は、省略されている。
【0042】
図3に示されるように、複数のメモリセルMCは、基板40の上面(X-Y面)上に、2次元に配列されている。複数のメモリセルMCは、基板40の上面に対して垂直な方向(Z方向)に、配列されている。このように、本実施形態において、メモリデバイス1は、3次元構造のメモリセルアレイ100を有する。
【0043】
例えば、基板40は、半導体基板(例えば、シリコン基板)である。基板40は、半導体層41を含む。
【0044】
半導体層41は、付与されるべき導電型に応じたドーパント(不純物)を含む。例えば、半導体層41は、p型の半導体層である。半導体層は、所定の濃度のp型ドーパント(例えば、ホウ素)を含む。半導体層41は、例えば、半導体基板40内に設けられたウェル領域である。
【0045】
複数の半導体領域44,45は、半導体層41内に設けられている。半導体領域44,45のそれぞれは、付与されるべき導電型に応じたn型又はp型のドーパント(不純物)を含む。
【0046】
例えば、半導体領域44は、n型の半導体領域(拡散層)である。n型の半導体領域44は、所定の濃度のn型ドーパント(例えば、リン又はヒ素)を含む。半導体領域44は、コンタクトプラグ70を介して、配線(例えば、金属層)71に接続されている。コンタクトプラグ70は、半導体領域44上に設けられている。コンタクトプラグ70は、Z方向に延びる。配線71は、Z方向における半導体層41の上方に設けられている。配線71は、ソース線SLとして機能する。
【0047】
例えば、半導体領域45は、p型の半導体領域(拡散層)である。p型の半導体領域45は、所定の濃度のp型ドーパントを含む。半導体領域45は、コンタクトプラグ74を介して、配線(例えば、金属層)75に接続されている。コンタクトプラグ74は、半導体領域45上に設けられている。コンタクトプラグ74は、Z方向に延びる。配線75は、Z方向における半導体層41の上方に設けられている。配線75は、ウェル配線CPWELLとして機能する。配線75を介した半導体層41に対する電圧の印加によって、半導体層41の電位が、制御され得る。
【0048】
複数の導電層51,53,55が、Z方向において半導体層41上に積層されている。絶縁層(図示せず)が、Z方向に隣り合う導電層51,53,55間に設けられている。
【0049】
導電層51は、Z方向における基板40の上方に配置されている。導電層51は、X-Y平面に広がる板状の構造を有する。導電層51は、ソース側セレクトゲート線SGSとして機能する。導電層51は、例えば、複数のストリングユニットSU(SU<0>,SU<1>,SU<2>,SU<3>)に共通化されている。
【0050】
複数の導電層55は、Z方向における導電層53の上方において、Y方向に配列されている。各導電層55は、X方向に延在する。各導電層55は、ドレイン側セレクトゲート線SGD(SGD<0>,SGD<1>,SGD<2>,SGD<3>)として機能する。各導電層55は、例えば、ストリングユニットSU(SU<0>,SU<1>,SU<2>,SU<3>)ごとに、互いに分離されている。
【0051】
複数の導電層53は、Z方向における基板40の上方に、積層されている。複数の導電層53は、Z方向における導電層51と導電層55との間の空間において、Z方向に並んでいる。各導電層53は、例えば、X-Y平面に広がる板状の構造を有する。各導電層53は、ワード線WLとして機能する。導電層53は、ブロックBLK内の複数のストリングユニットSUにまたがる。
【0052】
複数のピラー60が、導電層51,53,55(及び図示されない絶縁層)を含む積層体500内に、設けられている。各ピラー60は、Z方向に延びる。ピラー60は、複数の導電層51,53,55を貫通する。ピラー60の側面(Z方向に沿う面)は、各導電層51,53,55に対向する。
【0053】
ピラー60のZ方向における下端(底部)は、半導体層41に接触する。ピラー60のZ方向における上端(上部)は、コンタクトプラグ79を介して、配線(例えば、金属層)78に接続される。配線78は、Y方向に延びる。配線78は、ビット線BLとして機能する。例えば、Y方向に並ぶ複数のピラー60は、1つの配線(ビット線)78に共通に接続されている。
【0054】
ピラー60は、半導体層61、絶縁層63、強誘電体層65及びコア層69を含む。本実施形態において、強誘電体層65を含むピラー60は、メモリピラーとよばれる。
【0055】
コア層69は、Z方向に沿って延在する柱状の構造を有する。例えば、コア層69の上端は、最上層の配線78が設けられた領域と導電層55が設けられた領域との間の領域内に、配置されている。コア層69の下端は、半導体層61に接触する。コア層69は、例えば、二酸化シリコン(SiO2)等の絶縁体を含む。
【0056】
半導体層61は、コア層69と絶縁層63との間、及び、コア層69と半導体層41との間に設けられている。半導体層61の下端は、コア層69の下端と半導体層41の上面との間に設けられている。半導体層61は、半導体層41に直接接触した部分を有する。これによって、半導体層61は、半導体層41と電気的に接続される。例えば、半導体層61は、コア層69を覆っている。半導体層61は、円筒状(又は楕円筒状)の構造を有する。半導体層61は、例えば、シリコンを含む層(例えば、ポリシリコン層又はアモルファスシリコン層)である。
【0057】
絶縁層63は、強誘電体層65と半導体層61との間に設けられている。絶縁層63は、半導体層61の側面(Z方向に沿う面)を覆っている。絶縁層63は、例えば、酸化シリコンを含む層である。
【0058】
強誘電体層65は、導電層51,53,55と絶縁層63との間に設けられている。強誘電体層65の側面(Z方向に沿う面)は、導電層51,53,55に対向する。強誘電体層65は、例えば、酸化ハフニウムを含む層である。シリコン、アルミニウム、バリウム、ジルコニウム、ガドリニウム、ランタン、ストロンチウム及びイットリウムのうち少なくとも1つが添加された酸化ハフニウム層が、強誘電体層65に用いられてもよい。強誘電体層65は、自発分極特性を有する。
【0059】
導電層53とメモリピラー60との交差部における強誘電体層65を含む部分が、メモリセル(強誘電体トランジスタ)MCとして、機能する。
導電層51とメモリピラー60との交差部における部分が、セレクトトランジスタST2として、機能する。
導電層55とメモリピラー60との交差部における部分が、セレクトトランジスタST1として、機能する。
【0060】
図4及び
図5は、本実施形態のメモリデバイス1における、メモリセルMCの構造例を説明するための図である。
図4は、本実施形態における、メモリセルMCの平面構造を説明するための上面図である。
図5は、本実施形態における、メモリセルMCの断面構造を説明するための断面図である。
【0061】
図4及び
図5に示されるように、メモリピラー60は、円柱状(又は楕円柱状)の構造を有する。
コア層69は、Z方向に延びる円柱状(又は楕円柱状)の構造を有する。
【0062】
半導体層61は、Z方向に延在する円筒状(又は、楕円筒状)の構造を有する。
【0063】
絶縁層63は、導電層53と半導体層61との間に設けられている。絶縁層63は、円筒状(又は楕円筒状)の構造を有する。円筒状の絶縁層63は、半導体層61の側面(Z方向に沿う面)を覆う。
【0064】
強誘電体層65は、導電層53と絶縁層63との間に設けられている。強誘電体層65は、円筒状(又は、楕円筒状)の構造を有する。円柱状の強誘電体層65は、絶縁層63を介して、半導体層61の側面を覆う。
【0065】
上述のように、本実施形態において、メモリセルMCは、強誘電体トランジスタである。
絶縁層63及び強誘電体層65を含む積層膜は、強誘電体トランジスタMCのゲート絶縁膜として機能する。但し、絶縁層63のみがゲート絶縁膜として扱われ、強誘電体層65がメモリ層として扱われてもよい。絶縁層63は、異なる材料からなる複数の層を含む積層膜でもよいし、ある1つの材料の単層膜でもよい。絶縁層63は、界面層ともよばれる。
【0066】
導電層53は、強誘電体メモリ1のワード線WLであるとともに、強誘電体トランジスタMCのゲート電極として機能する。導電層53は、Z方向において絶縁層89間に設けられている。
導電層53は、例えば、金属層(例えば、タングステン層)と導電性化合物層(例えば、窒化チタン層)との積層膜である。この場合において、導電性化合物層(図示せず)が、金属層(図示せず)と絶縁層89との間、及び、金属層と強誘電体層65との間に設けられている。
【0067】
強誘電体トランジスタMCのチャネル領域CHN及びソース/ドレイン領域は、半導体層61内に設けられている。強誘電体トランジスタMCのチャネル領域CHNは、強誘電体層65及び絶縁層63を介して導電層53に対向する。強誘電体トランジスタMCの2つのソース/ドレイン領域(S/D)は、チャネル領域CHNを介して、Z方向に並ぶ。
【0068】
このように、強誘電体トランジスタMCは、縦型トランジスタである。それゆえ、メモリセルとしての強誘電体トランジスタMCの電流経路は、Z方向に沿う。
【0069】
セレクトトランジスタST(ST1,ST2)は、強誘電体トランジスタMCと実質的に同じ構造を有する。但し、セレクトトランジスタSTの構造は、強誘電体トランジスタMCの構造と異なってもよい。例えば、セレクトトランジスタSTは、強誘電体層(メモリ層)を有さない構造でもよい。
【0070】
尚、
図3の構造のメモリセルアレイ100は、周知の技術の製造方法によって、形成される。
【0071】
<メモリセルの動作原理>
図6乃至
図8を参照して、強誘電体トランジスタMCのメモリセルとしての動作原理を説明する。
【0072】
本実施形態のメモリデバイス1において、強誘電体トランジスタの分極特性によって、強誘電体トランジスタMCが、メモリセルMCとして用いられる。
【0073】
図6及び
図7は、メモリセルとしての強誘電体トランジスタMCの特性を説明するための模式図である。
図6は、強誘電体トランジスタMCの分極特性を示すグラフである。
図6のグラフの横軸は、強誘電体トランジスタMCのゲート-ソース間の電圧Vgを示す。
図6のグラフの縦軸は、強誘電体トランジスタMCの強誘電体層65の自発分極率Pを示す。
図7は、強誘電体層65の自発分極の状態に応じた、強誘電体トランジスタMCの状態を模式的に示す図である。
【0074】
図6に示されるように、電圧Vgと自発分極率Pとの関係において、強誘電体層65は、ヒステリシス曲線で示される特性を有する。
【0075】
電圧Vgが強誘電体トランジスタMCのゲート(ワード線)に印加された場合、電界が強誘電体層65内に発生する。発生した電界の影響によって、強誘電体層65内の結晶格子内に配置されたイオンの位置が変化する。これによって、分極が、強誘電体層65内に発生する。
【0076】
自発分極率(分極量ともよばれる)は、強誘電体層65の自発分極の度合いを示す。自発分極率は、強誘電体層65と強誘電体層65に接する他の層(ここでは、絶縁層63)との境界領域において、強誘電体層65に発生する単位面積当たりの表面電荷量のうち、自発分極に由来する電荷の量に応じる。
【0077】
例えば、電圧Vgが0Vであり、強誘電体層65の自発分極率が負の値Paである場合(
図6の“Q0”における状態)、
図7の(a)に示されるように、自発分極plz1における正の自発分極電荷が、導電層(ゲート)53側に発生し、負の自発分極電荷が、半導体層61(チャネル領域)側に発生する。以下において、正の自発分極電荷が導電層側に発生している状態は、アップ状態とよばれる。
【0078】
強誘電体層65が負の自発分極率を有している状態で、強誘電体トランジスタMCに印加される電圧Vgが0Vから或る正の電圧値“V1”に増加された場合(
図6の“Q1”における状態)、強誘電体層65の自発分極は、ほとんど反転しない。この場合において、強誘電体層65の自発分極率Pの大きさは、ほとんど変化しない。
【0079】
電圧Vgの電圧値が、V1から正の電圧値“V2”に増加された場合(
図6の“Q2”における状態)、
図7の(b)に示されるように、強誘電体層65の自発分極plz2の向きが、負の自発分極(以下では、負の自発分極状態ともよばれる)plz1に対して、部分的に反転する。これによって、強誘電体層65の自発分極率Pが、ある値P1まで急峻に増加する。
【0080】
尚、自発分極の向きが一度反転すると、自発分極の向きが反転した状態は、電圧Vgの電圧値がV2から0Vに戻されたとしても、維持される。それゆえ、電圧Vgが、状態Q2における電圧値V2から0Vに低下されたとしても、状態Qaのように、自発分極率Pは、値Paより高い値Pbとなる。
【0081】
電圧Vgの電圧値が、V2から正の電圧値“V3”に増加された場合(
図6の“Q3”における状態)、強誘電体層65の自発分極の反転が進行し、自発分極率Pは、負の値P1から正の値P2まで増加する。
【0082】
上述のように、自発分極の反転状態は、維持される。それゆえ、電圧Vgの電圧値が、状態Q3におけるV3から0Vに低下された場合(
図6の“Qb”における状態)、自発分極率Pは、値Pbより高い値Pcとなる。
【0083】
電圧Vgの電圧値が、V3から正の電圧値V4に増加された場合(
図6の“Q4”における状態)、
図7の(c)に示されるように、強誘電体層65の自発分極plz2の向きは、ほぼすべて反転する。この場合において、自発分極率Pは、正の値P3まで増加し、例えば、飽和状態となる。
電圧Vgの電圧値がV4から0Vまで低下された場合、電圧Vgが0Vであったとしても、強誘電体層65は、正の値Pdの自発分極率を有し、正の自発分極率を有する状態Qcを維持する。
【0084】
自発分極plz2において、負の自発分極電荷が、導電層(ゲート)53側に発生し、正の自発分極電荷が、半導体層61(チャネル領域)側に発生する。以下において、負の自発電極電荷が導電層側に発生している状態は、ダウン状態とよばれる。
【0085】
このように、正の電圧値を有する電圧Vgが、負の自発分極率を有する強誘電体層65に対して印加された場合、強誘電体層65の自発分極率は、負の値から正の値側へ変わる。
【0086】
強誘電体層65が正の自発分極率を有する場合、正の自発分極率に応じた大きさの正の電圧が、強誘電体トランジスタMCのゲート(導電層53)とチャネル領域(半導体層61)との間に印加された状態となる。
この結果として、強誘電体層65が正の自発分極率を有する場合の強誘電体トランジスタMCの閾値電圧の値は、強誘電体層65が負の自発分極率を有する場合の強誘電体トランジスタMCの閾値電圧の値に比較して、低下する。
【0087】
電圧Vgの電圧値が、0Vから負の電圧値“V5”まで低下された場合(
図6の“Q5”における状態)、強誘電体層65の自発分極の向きは、正の分極方向から負の分極方向に反転する。
【0088】
これによって、強誘電体トランジスタMCの強誘電体層65の自発分極率は、正の値から負の値に変わる。この時、強誘電体層65の自発分極率は、負の値で飽和する。
このように、強誘電体トランジスタMCに対する負の極性の電圧Vgの印加によって、強誘電体層65の自発分極率は、正の値から負の値に変わる。
【0089】
強誘電体層65の自発分極率が正の値から負の値に変化した後、電圧Vgの電圧値がV5から0Vまで増加された場合、強誘電体層65の自発分極率は、負の値(例えば、分極率Pa)を維持する。
【0090】
以上のように、強誘電体層65の自発分極率の変化に応じて、強誘電体トランジスタMCの閾値電圧は、変化する。変化された閾値電圧の大きさは、強誘電体層65の自発分極の方向を変える電圧値を有する電圧の印加まで、維持される。
【0091】
強誘電体トランジスタがメモリセルMCとして用いられる場合、自発分極率に応じて変化する強誘電体トランジスタMCの複数の閾値電圧を記憶すべきデータと関連付けることができる。
【0092】
それゆえ、強誘電体トランジスタMCは、データを不揮発に記憶するメモリセルMCとして、メモリデバイス1に適用され得る。
【0093】
<閾値電圧とデータとの関係>
図8は、メモリセルMCとしての強誘電体トランジスタMCの閾値電圧とデータとの関係を説明するための図である。
図8の(a)及び(b)のそれぞれにおいて、グラフの横軸は、強誘電体トランジスタMCの閾値電圧Vthに対応し、グラフの縦軸は、強誘電体トランジスタMCの存在確率に対応する。
【0094】
図8の(a)は、メモリセルMCとしての強誘電体トランジスタMCが1ビットのデータを記憶する場合における、“0”及び“1”データと強誘電体トランジスタMCの閾値電圧Vthとの関係を示すグラフである。1ビットのデータを記憶するメモリセル(強誘電体トランジスタ)MCは、SLC(Single level cell)とよばれる。
【0095】
図8の(a)の場合、例えば、或る電圧レベルVRより高い電圧値の閾値電圧を有する強誘電体トランジスタMCの状態(データ保持状態)は、消去状態(又はEr状態)とよばれる。或る電圧レベルVRより低い電圧値の閾値電圧を有する強誘電体トランジスタMCの状態は、プログラム状態(又はA状態)とよばれる。
【0096】
例えば、強誘電体トランジスタMCの消去状態は、強誘電体トランジスタMCの強誘電体層65の自発分極率が負の値を有する状態(例えば、
図6の“Q0”の状態)に相当する。強誘電体トランジスタMCのプログラム状態は、強誘電体トランジスタMCの強誘電体層65の自発分極率が正の値を有する状態(例えば、
図6の“Qc”の状態)に相当する。
【0097】
この場合において、例えば、Er状態の閾値電圧分布D1aは、
図6の自発分極率Paの強誘電体層65を含む強誘電体トランジスタMCの集合に相当する。A状態の閾値電圧分布D2aは、
図6の自発分極率Pdの強誘電体層65を含む強誘電体トランジスタMCの集合に相当する。
【0098】
例えば、“0”データが、閾値電圧分布D1aに属するEr状態の強誘電体トランジスタMCに関連づけられる。“1”データが、閾値電圧分布D2bに属するA状態の強誘電体トランジスタMCに関連付けられる。
【0099】
上述のように、負の電圧値(例えば、電圧V5)のゲート-ソース間電圧VgがメモリセルMCに印加された場合、メモリセルとしての強誘電体トランジスタMCは、消去状態に設定される。正の電圧値(例えば、電圧V4)のゲート-ソース間電圧VgがメモリセルMCに印加された場合、メモリセルとしての強誘電体トランジスタMCは、プログラム状態に設定される。
【0100】
以下において、強誘電体トランジスタMCのデータ保持状態を消去状態に設定するための電圧パルスは、消去パルスとよばれる。消去パルスは、負の電圧値を有する。
【0101】
強誘電体トランジスタMCのデータ保持状態をプログラム状態に設定するための電圧パルスは、書き込みパルス(又はプログラムパルス)とよばれる。書き込みパルスは、正の電圧値を有する。
【0102】
複数の閾値電圧分布を区別するために、隣り合う閾値電圧分布D1a,D2a間に設けられた電圧値(例えば、
図8の(a)の電圧レベルVR)は、読み出しレベルとよばれる。
【0103】
1つ以上の読み出しレベルVRを含む読み出しパルスが、強誘電体トランジスタMCに記憶されたデータの読み出し時に、強誘電体トランジスタMCのゲートに印加される。
【0104】
読み出しレベルVRの印加によって、強誘電体トランジスタMCがオンした場合、強誘電体トランジスタMCは、読み出しレベルVR以下の閾値電圧を有する。読み出しレベルVRの印加によって、強誘電体トランジスタMCがオフした場合、強誘電体トランジスタMCは、読み出しレベルVRより高い閾値電圧を有する。
強誘電体トランジスタMCのオン/オフに応じた信号の検知によって、強誘電体トランジスタMCが記憶しているデータが、読み出される。
【0105】
電圧レベル(以下では、読み出しパス電圧とよばれる)VREADが、消去状態の閾値電圧分布D1aより高い電圧レベルに、設けられている。強誘電体トランジスタMCに対する電圧レベルVREADの印加によって、強誘電体トランジスタMCは、記憶しているデータに依存せずに、オンする。
【0106】
図8の(b)は、メモリセルMCが2ビットのデータを記憶する場合における、“00”、“01”、“10”及び“11”のデータと、強誘電体トランジスタMCの閾値電圧との関係を示すグラフである。2ビットのデータを記憶するメモリセルMCは、MLC(Multi level cell)とよばれる。
【0107】
図8の(b)の場合、2ビットデータを記憶する強誘電体トランジスタMCは、記憶するデータに応じて、1つの消去状態(Er状態)及び3つのプログラム状態(A状態、B状態及びC状態)のうちいずれか1つの状態を有し得る。
【0108】
例えば、Er状態の閾値電圧分布D1bは、
図6の自発分極率Paの強誘電体層65を含む強誘電体トランジスタMCの集合に相当する。A状態の閾値電圧分布D2bは、
図6の自発分極率Pbの強誘電体層65を含む強誘電体トランジスタMCの集合に相当する。B状態の閾値電圧分布D3bは、
図6の自発分極率Pcの強誘電体層65を含む強誘電体トランジスタMCの集合に相当する。C状態の閾値電圧分布D4bは、
図6の自発分極率Pdの強誘電体層65を含む強誘電体トランジスタMCの集合に相当する。
【0109】
例えば、“00”データが、消去状態の閾値電圧分布(Er状態の分布)D1bの強誘電体トランジスタMCに関連付けられる。 “10”データが、4つの閾値電圧分布のうち最も低い閾値電圧分布(C状態の分布)D4bの強誘電体トランジスタMCに関連付けられる。“01”データが、消去状態の閾値電圧分布D1bの隣りの閾値電圧分布(A状態の分布)D2bの強誘電体トランジスタMCに関連付けられる。“11”データが、閾値電圧分布D4bと閾値電圧分布D2bとの間の閾値電圧分布(B状態の分布)D3bの強誘電体トランジスタMCに関連付けられている。
【0110】
隣り合う2つの閾値電圧分布間のそれぞれに、読み出しレベルVAR,VBR,VCRが設けられている。
【0111】
読み出しレベルVARの印加によって、強誘電体トランジスタMCの閾値電圧が、消去状態(Er状態)に属する値であるかプログラム状態(A状態、B状態及びC状態)に属する値であるか判別される。
読み出しレベルVCRの印加によって、強誘電体トランジスタMCの閾値電圧が、C状態に属する値であるか、B状態、A状態又はEr状態に属する値であるか判別される。
読み出しレベルVBRの印加によって、強誘電体トランジスタMCの閾値電圧が、A状態又はEr状態に属する値であるか、B状態又はC状態に属する値であるか判別される。
【0112】
例えば、読み出しレベルVAR,VCRの印加によって、2ビットのデータのうち下位ビットのデータが読み出される。例えば、読み出しレベルVBRの印加によって、2ビットのデータのうち上位ビットのデータが読み出される。
【0113】
このように、強誘電体トランジスタが、メモリセルMCとして、メモリデバイス1に適用され得る。これによって、強誘電体メモリが、提供される。
【0114】
(b)動作例
図9乃至
図12を参照して、本実施形態のメモリデバイス(強誘電体メモリ)1の動作例について、説明する。
【0115】
以下において、動作の対象のメモリセル(強誘電体トランジスタ)MCは、選択セルとよばれる。選択セルを含むメモリセルストリング(動作の対象のメモリセルストリング)は、選択ストリングとよばれる。選択ストリングを含むストリングユニット(動作の対象のストリングユニット)は、選択ストリングユニットとよばれる。選択ストリングユニットを含むブロック(動作の対象のブロック)は、選択ブロックとよばれる。選択セルを含むレイヤは、選択レイヤとよばれる。
【0116】
また、選択セル以外のメモリセルは、非選択セルとよばれる。選択ストリング以外のメモリセルストリングは、非選択ストリングとよばれる。選択ストリングユニット以外のストリングユニットは、非選択ストリングユニットとよばれる。選択ブロック以外のブロックは、非選択ブロックとよばれる。
【0117】
本実施形態において、説明の簡略化のため、1ビットのデータを記憶するメモリセル(SLC)に対する各種の動作シーケンスが、例示されている。
【0118】
(b-1) 各シーケンスの選択領域
図9及び
図10を参照して、本実施形態のメモリデバイス1における、各シーケンスに用いられる選択領域について、説明する。
【0119】
図9は、本実施形態のメモリデバイス1における、書き込みシーケンスに用いられる選択領域を示す模式図である。
【0120】
図9に示されるように、本実施形態において、ページPGが、書き込みシーケンスの選択領域として用いられる。
【0121】
ページPGは、選択ブロックBLKにおける1つのワード線WL-Sに接続された複数のメモリセルMCのうち1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルMC-Sの集合である。
【0122】
書き込みシーケンスにおいて、複数のブロックBLKのうち、アドレスに対応する1つのブロック(選択ブロック)BLKが、選択される。
【0123】
選択ブロックBLK内において、複数のセレクトゲート線SGDのうち1つのセレクトゲート線SGD-Sが、アドレスADDに基づいて、選択される。複数のセレクトゲート線SGDのうち残りのセレクトゲート線SGD-Uは、選択されない。これによって、1つのストリングユニットSU-Sが、選択状態に設定され、残りの他のストリングユニットSU-Uが、非選択状態に設定される。ストリングユニットSU-Sは、活性化される。ストリングユニットSU-Uは、非活性化される。
【0124】
複数のワード線WLのうち1つのワード線(選択ワード線)WL-Sが、アドレスADDに基づいて選択される。
【0125】
これによって、選択ストリングユニットSU-S内の選択ワード線WL-Sに接続された複数のメモリセルMCが、ページPGの単位において、書き込みシーケンスの対象として選択される。
【0126】
このように、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスは、ページPGの単位で、実行される。
【0127】
本実施形態のメモリデバイス1の読み出しシーケンスも、書き込みシーケンスと同様に、ページPGが、読み出しシーケンスの選択領域に用いられる。
【0128】
図10は、本実施形態のメモリデバイスにおける、消去シーケンスに用いられる選択領域を示す模式図である。
【0129】
図10に示されるように、本実施形態において、レイヤLYが、消去シーケンスの選択領域として用いられる。
【0130】
レイヤLYは、選択ブロックBLKにおける、全てのストリングユニットSUのそれぞれに属し且つ1つのワード線WL-Sに接続された複数のメモリセルの集合である。
【0131】
レイヤLYは、ブロックBLKより小さく、ページPGより大きい領域である。例えば、レイヤLYは、サブブロック(1つ以上のストリングユニットを含む制御単位)より小さい領域である。
【0132】
消去シーケンスにおいて、選択ブロックBLK内において、複数のセレクトゲート線SGD-Sの全てが、アドレスADDに基づいて、選択される。これによって、選択ブロックBLK内の全てのストリングユニットSU-Sが、選択状態に設定される。
【0133】
複数のワード線WLのうち1つのワード線(選択ワード線)WL-Sが、アドレスADDに基づいて選択される。
【0134】
これによって、全てのストリングユニットSU-Sの選択ワード線WL-Sに接続された複数のメモリセル(全てのメモリセル)MCが、レイヤLYの単位において、消去シーケンスの対象として選択される。
【0135】
このように、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスは、ページPGの単位で、実行される。
【0136】
以上のように、本実施形態のメモリデバイス1において、消去シーケンスの選択領域(選択されるメモリセルの個数)は、書き込みシーケンスの選択領域と異なる。
【0137】
(b-2)消去シーケンス
図11、
図12、
図13及び
図14を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスについて、説明する。
【0138】
図11は、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスに用いられる、消去パルス(消去電圧)を示す波形図である。
図11において、グラフの横軸は時間に対応し、グラフの縦軸は電圧値に対応する。
【0139】
図11に示されるように、消去パルスVERAは、負の極性の電圧である。例えば、消去パルスVERAは、四角形状のパルス波形を有する。消去パルスVERAは、負の電圧値Vaを有する。消去パルスVERAは、或る大きさのパルス幅を有する。
【0140】
消去パルスVERAのような、強誘電体トランジスタMCに対する負の極性の電圧は、強誘電体トランジスタMCのチャネル領域(半導体層61)側の電位が、強誘電体トランジスタMCのゲート電極(導電層53)側の電位より高くなる状態の電圧である。負の極性の電圧が、選択ワード線WL-Sに接続された選択セルMC-Sに印加される場合、ドライバ回路160は、メモリピラー60の電位を、選択ワード線WL-Sの電位より高くする。
【0141】
図12は、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスにおける、選択ブロックBLK内の各配線の電位状態(印加電圧)を説明するための模式図である。
図13は、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスにおける、選択ブロックBLK内の各配線の電位の遷移の一例を示すタイミングチャートである。
図14は、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスの動作例を説明するための模式図である。
【0142】
消去シーケンスの実行時、メモリコントローラ2は、メモリデバイス1に、消去コマンドCMD及びアドレス(選択アドレス)ADDを送る。或るタイミング(例えば、
図13の時刻t10)において、メモリデバイス1は、消去コマンドCMD及びアドレスADDを受ける。
【0143】
本実施形態のメモリデバイス1は、消去コマンドCMDに基づいて、アドレスADDに示されるメモリセルアレイ100内の領域に対して、消去シーケンスを実行する。
【0144】
消去シーケンス時において、データの消去対象のメモリセルMCを含む、ブロックBLK、ストリングユニットSU及びワード線WLが、選択状態にそれぞれ設定される。
【0145】
本実施形態のメモリデバイス1は、消去シーケンスにおける消去動作を、1つのレイヤLYの単位で実行する。レイヤ単位の消去シーケンスにおいて、選択された1つのブロックBLK内の複数のストリングユニットSUが選択され、複数のストリングユニットSUに共有される1つのワード線WLが、選択される。
【0146】
レイヤ単位の消去シーケンス時において、ドライバ回路160は、シーケンサ190の制御によって、各種の電圧を、メモリセルアレイ100内の複数の配線WL,SGS,SGD,BL,SLのそれぞれに、供給する。
【0147】
図12乃至
図14に示されるように、時刻t11において、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスにおいて、ドライバ回路160は、正の電圧値を有する電圧VSGD1,VSGS1を、セレクトゲート線SGD,SGSのそれぞれに印加する。以下において、セレクトゲート線SGD,SGSのそれぞれに印加される電圧は、セレクトゲート線電圧とよばれる。例えば、本実施形態の消去シーケンスにおいて、セレクトゲート線電圧VSGD1,VSGS1は、7.5V程度である。
【0148】
ドライバ回路160は、正の電圧値を有する非選択電圧VUSEL1を、ロウ制御回路140を介して、複数の非選択ワード線WL-Uに印加する。例えば、非選択電圧VUSEL1は、+7.5V程度である。尚、非選択電圧VUSEL1は、セレクトゲート線電圧VSGD1,VSGS1の印加と異なるタイミングにおいて、非選択ワード線WL-Uに印加されてもよい。
【0149】
時刻t12において、ドライバ回路160は、正の電圧値を有する電圧VBL1,VSL1を、センスアンプ回路150及びロウ制御回路140を介して、ビット線BL及びソース線SLに印加する。以下において、ビット線BLに印加された電圧は、ビット線電圧とよばれ、ソース線SLに印加された電圧は、ソース線電圧とよばれる。ビット線電圧VBL1は、セレクトゲート線電圧VSGD1,VSGS1より小さい正の電圧である。ソース線電圧VSL1は、セレクトゲート線電圧VSGD1,VSGS1より小さい正の電圧である。本実施形態の消去シーケンスにおいて、ビット線電圧VBL1及びソース線電圧VSL1は、例えば、+5V程度である。
【0150】
尚、ビット線電圧VBL1及びソース線電圧VSL1が、ビット線BL及びソース線SLにそれぞれ印加された後に、セレクトゲート線電圧VSGD1,VSGS1が、セレクトゲート線SGD-S,SGSにそれぞれ印加されてもよい。
【0151】
本実施形態において、セレクトゲート線SGDとビット線BLとの間の電位差、及び、セレクトゲート線SGSとソース線SLとの間の電位差は、セレクトトランジスタSTの閾値電圧以上の正の電圧値を有する。例えば、セレクトトランジスタST(ST1,ST2)のゲートとチャネル領域との間に印加される電圧は、例えば、+2.5Vである。
【0152】
それゆえ、消去シーケンスにおいて、各セレクトトランジスタST1,ST2は、オンする。オン状態のセレクトトランジスタST1,ST2は、電子(e-)を、メモリピラー60内に供給する。
【0153】
本実施形態において、非選択ワード線WL-Uとビット線BLとの間の電位差、及び、非選択ワード線WL-Uとソース線SLとの間の電位差は、正の電圧値を有する。正の極性を有する電圧が、非選択セルMC-Uのゲートとチャネル領域との間に、印加される。強誘電体トランジスタMCに対する正の極性の電圧は、強誘電体トランジスタMCのゲート電極(導電層53)側の電位が、強誘電体トランジスタMCのチャネル領域(半導体層61)側の電位より高くなる状態の電圧である。例えば、非選択セルMC-Uのゲートとチャネル領域との間に印加される電圧は、例えば、+2.5Vである。これによって、非選択セルMC-Uは、オンする。
【0154】
電子が、オン状態のセレクトトランジスタST1,ST2を介して、非選択セルMC-Uのチャネル領域に供給される。これによって、電子に起因するチャネルが、非選択セルMC-Uのチャネル領域内に形成される。
【0155】
ドライバ回路160は、
図11の消去パルスVERAを、選択レイヤLYに対応する選択ワード線WL-Sに接続されたメモリセルMCに供給する。
【0156】
負の極性の電圧がメモリセルMCに印加される場合、ドライバ回路160は、メモリピラー60の電位をワード線WL(導電層53)の電位より高くする。
【0157】
上述のように、ビット線BL及びソース線SLに、正の電圧値を有する電圧VBL1,VSL1が、それぞれ印加されている。ドライバ回路160は、選択レイヤLYに対応する選択ワード線WL-Sに、電圧VSSを有する選択ワード線電圧VWLERAを、印加する。例えば、選択ワード線電圧VWLERAは、グランド電圧である。より具体的な一例は、選択ワード線電圧VWLERAは、0Vである。
【0158】
これによって、選択セルMC-Sのチャネル領域(メモリピラー60)の電位が、選択セルMC-Sのゲートの電位より高くなる。
【0159】
したがって、負の極性の消去パルスVERAが、選択ワード線WL-Sに接続された選択セルMC-Sのそれぞれに印加される。例えば、消去パルスVERAは、選択ワード線WL-Sとビット線BLとの間の電位差、又は、選択ワード線WL-Sとソース線SLとの間の電位差に応じた電圧値を有する。例えば、消去パルスVERAの電圧値は、-5V程度である。
【0160】
ドライバ回路160は、ビット線電圧VBL1、ソース線電圧VSL1及び選択ワード線電圧VWLERAの供給期間の制御によって、消去パルスVERAのパルス幅(電圧供給期間)を制御する。
【0161】
本実施形態において、消去パルスVERAは、選択セルMC-Sのチャネルエッジ(メモリセルのチャネル領域-ドレイン間の領域)において、GIDL(Gate induced drain leakage)を発生させ得る電圧値を有する。
【0162】
上述のように、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスにおいて、正の極性の電圧が、セレクトトランジスタSTのゲートとチャネル領域との間に、印加される。したがって、セレクトトランジスタSTのチャネルエッジにおいてGIDLは、発生しない。ビット線BL及びソース線SLの正の電位が、オン状態のセレクトトランジスタST及び非選択セルMC-Uを介して、選択セルMC-Sの近傍に転送される。
【0163】
図14に示されるように、本実施形態において、GIDLは、選択セルMC-Sのチャネルエッジで、発生する。選択セルMCのチャネルエッジにおいて発生したGIDLによる正孔(h+)が、選択セルMC-Sの消去動作に、作用する。発生した正孔によって、正孔に起因したチャネルが、選択セルMC-Sのチャネル領域内に形成される。これによって、選択セルMC-Sのチャネル領域の電位は、上昇する。例えば、消去パルスVERAの電圧値は、例えば、-5V程度である。
【0164】
消去パルスVERAの供給によって、選択セルMC-Sである強誘電体トランジスタMCは、消去状態に設定される。
【0165】
尚、選択セルMC-SのチャネルエッジでGIDLが発生する電圧であれば、選択ワード線電圧VWLERAは、正の電圧値を有していてもよいし、負の電圧値を有していてもよい。
【0166】
この後、消去パルスVERAの供給が、停止される。
【0167】
時刻t13において、ドライバ回路160は、ビット線BL及びソース線SLの電位を下げる。ドライバ回路160は、0Vの電圧VSSを、ビット線BL及びソース線SLに印加する。ドライバ回路160は、選択ワード線WL-Sに、0Vの電圧VSSを印加する。
【0168】
消去パルスVERAの供給が停止された後、時刻t14において、ドライバ回路160は、0Vの電圧VSSを、セレクトゲート線SGD-S,SGSに印加される。これによって、セレクトトランジスタST1,ST2は、オフする。
【0169】
ドライバ回路160は、0Vの電圧VSSを、非選択ワード線WL-Uに印加する。これによって、非選択セルMC-Uは、オフする。
【0170】
尚、電圧VSSが、ワード線WL-S,WL-U及びセレクトゲート線SGD-S,SGSに印加された後、電圧VSSが、ビット線BL及びソース線SLに印加されてもよい。
【0171】
以上のように、本実施形態のメモリデバイス1において、消去シーケンスが、完了する。
【0172】
本実施形態において、消去シーケンス時、非選択セルMC-Uは、メモリセルMCのゲート電圧が、チャネル領域(メモリピラー)の電位より高い。消去シーケンス時、正の極性を有する電圧が、非選択セルMC-Uに印加されている。これによって、非選択セルMC-Uにおける消去ディスターブの発生は、抑制される。尚、消去ディスターブは、消去シーケンスにおける非選択セルの閾値電圧の値が意図せずに消去状態側にシフトする不良のことである。
【0173】
本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスにおいて、消去パルスVERAの供給の後に、消去ベリファイが、実行されてもよい。尚、消去シーケンスは、複数のレイヤLYに対して、同時に又は連続して実行されてもよい。
【0174】
(b-3)書き込みシーケンス
図15、
図16、
図17及び
図18を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスについて、説明する。
【0175】
図15は、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスに用いられる、書き込みパルス(書き込み電圧)を示す波形図である。
図15において、グラフの横軸は時間に対応し、グラフの縦軸は電圧値に対応する。
【0176】
図15に示されるように、書き込みパルスVWRは、正の極性の電圧である。例えば、書き込みパルスVWRは、四角形状のパルス波形を有する。書き込みパルスVWRは、正の電圧値Vbを有する。書き込みパルスVWRは、或る大きさのパルス幅を有する。
【0177】
書き込みシーケンスにおいて、書き込みパルスVWRをメモリセル(強誘電体トランジスタ)MCに供給する動作は、プログラム動作とよばれる。
【0178】
書き込みパルスVWRのような、強誘電体トランジスタMCに対する正の極性の電圧は、強誘電体トランジスタMCのゲート電極(導電層53)側の電位が、強誘電体トランジスタMCのチャネル領域(半導体層61)側の電位より高くなる状態の電圧である。正の極性の電圧が、選択ワード線WL-Sに接続された選択セルMC-Sに印加される場合、ドライバ回路160は、選択ワード線WL-Sの電位を、メモリピラー60の電位より高くする。
【0179】
例えば、書き込みシーケンスにおいて、書き込みパルスVWRの供給によるプログラム動作の後、データの書き込みのベリファイ動作が、実行される。
【0180】
ベリファイ動作において、正の極性のベリファイパルスVVFYが、強誘電体トランジスタMCに供給される。ベリファイパルスVVFYは、四角形状のパルス波形を有する。ベリファイパルスVVFYは、正の電圧値Vcを有する。電圧値Vcは、電圧値Vbより小さい。尚、電圧値Vcは、メモリセルMCの強誘電体層の分極の変化が生じる電圧値より小さい。電圧値Vcは、隣り合う2つの閾値分布間の電圧値に設定される。例えば、電圧値Vcは、プログラム状態の閾値分布の上限値に対応する。
【0181】
ベリファイ動作の実行によって、データの書き込み対象のメモリセルMCの閾値電圧が、書き込むべきデータに対応した閾値電圧(閾値分布)に達したか否か、ベリファイされる。
【0182】
強誘電体トランジスタMCの閾値電圧が、書き込むべきデータに対応した閾値電圧に達している場合、ベリファイパルスVVFYが印加された強誘電体トランジスタMCは、オンする。強誘電体トランジスタMCの閾値電圧が、書き込むべきデータに対応した閾値電圧に達していない場合、ベリファイパルスVVFYが印加された強誘電体トランジスタMCは、オフする。この結果として、データの書き込み(プログラム動作)の成否が、判断され得る。
【0183】
図16は、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスにおける、各配線の電位状態(印加電圧)を説明するための模式図である。
図17は、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスにおける、各配線の電位の遷移を示すタイミングチャートである。
図18は、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスにおける、書き込みシーケンス時の選択ブロックBLK内の状態を模式的に説明するための図である。
【0184】
例えば、書き込みシーケンスは、上述の消去シーケンスが実行された後に、消去状態のメモリセルMCに対して、実行される。
【0185】
書き込みシーケンスの実行時、メモリコントローラ2は、メモリデバイス1に、書き込みコマンドCMD、アドレスADD及び書き込みデータDATを送る。例えば、
図17の時刻t20において、メモリデバイス1は、書き込みコマンドCMD、アドレスADD及び書き込みデータDATを受ける。
【0186】
本実施形態のメモリデバイス1は、書き込みコマンドCMDに基づいて、アドレスADDに示されるメモリセルアレイ100内の領域に対して、書き込みシーケンスを実行する。
【0187】
書き込みシーケンス時において、データの書き込み対象のメモリセル(選択セル)MC-Sを含むストリングユニットSU及びブロックBLKが、選択状態にそれぞれ設定される。
【0188】
本実施形態において、書き込みシーケンスにおけるプログラム動作は、ページPGの単位で実行される。ページ単位のプログラム動作において、選択ブロックBLK内の複数のストリングユニットSUのうち1つのストリングユニットSU-Sが選択され、複数のワード線WLのうち1つのワード線WL-Sが、選択される。書き込みシーケンスにおいて、1つの選択ストリングユニットSU-S以外のストリングユニットSU-Uは、選択されない。
【0189】
図12の例において、第1のストリングユニットSU<0>が選択され、ワード線WL<i>が選択される。これによって、選択ワード線WL-Sに接続された複数のメモリセルMCのうち、選択された第1のストリングユニットSU<0>に属する複数のメモリセルMC(セルユニット)が、プログラム対象に選択される。
【0190】
尚、書き込みシーケンスにおける選択ワード線WL-Sのアドレスは、書き込みシーケンスの直前に実行された消去シーケンスにおける選択ワード線WL-Sのアドレスと同じ場合もあるし、異なる場合もある。
【0191】
書き込みシーケンス時において、ドライバ回路160は、シーケンサ190の制御によって、各種の電圧を、メモリセルアレイ100内の複数の配線WL,SGD,SGS,BL,SLのそれぞれに、供給する。
【0192】
図16乃至
図18に示されるように、時刻t21において、ドライバ回路160は、或る電圧値の電圧を、センスアンプ回路150及びロウ制御回路140を介して、ビット線BL及びソース線SLに印加する。
【0193】
0Vの電圧VSSが、ソース線SLに印加される。尚、書き込みシーケンスにおいて、正の電圧値を有する電圧が、ソース線SLに印加されてもよい。
【0194】
ビット線BLの電位は、選択セルMC-Sに書き込まれるデータに応じて、設定される。0Vの電圧VSSが、メモリセルMCの閾値電圧の大きさをシフトさせるメモリセル(以下では、プログラム対象セルとよばれる)に接続されたビット線BLに印加される。正の電圧値を有する電圧VBL0が、メモリセルMCの閾値電圧の大きさをシフトさせないメモリセル(以下では、プログラム禁止セルとよばれる)に接続されたビット線BLに印加される。
【0195】
時刻t22において、ドライバ回路160は、選択されたセレクトゲート線SGD<0>に、ロウ制御回路140を介して、正の電圧値を有するセレクトゲート線電圧VSGD0を印加する。電圧VSGD0は、消去シーケンスにおける電圧VSGD1より低い。例えば、電圧VSGD0の電圧値は、+2.5V程度である。
【0196】
セレクトゲート線SGD<0>とビット線BLとの間の電位差に応じて、選択されたセレクトゲート線SGDに接続されたセレクトトランジスタST1は、オン又はオフする。
【0197】
ドライバ回路160は、非選択のセレクトゲート線SGD<1>,・・・,SGD<3>に、ロウ制御回路140を介して、或る電圧値を有する電圧VUSGDを印加する。例えば、電圧VUSGDは、例えば、グランド電圧VSSである。これによって、非選択のセレクトゲート線SGDに接続されたセレクトトランジスタST1は、オフする。非選択ストリングユニットSU-Uの複数のメモリセルストリング(非選択ストリング)MSのそれぞれは、オフ状態のセレクトトランジスタST1によって、ビット線BLから電気的に分離される。
【0198】
ドライバ回路160は、選択ブロックBLK内のセレクトゲート線SGSに、ロウ制御回路140を介して、0V又は正の電圧値を有する電圧VSGS0を印加する。例えば、セレクトトランジスタST2は、オフする。これによって、選択ブロックBLK内の複数のメモリセルストリング(選択及び非選択ストリング)MSは、ソース線SLから電気的に分離される。非選択ストリングMSのメモリピラー60は、電気的にフローティングな状態になる。
【0199】
ドライバ回路160は、正の電圧値を有する電圧(非選択電圧又は書き込みパス電圧とよばれる)VUSEL0を、ロウ制御回路140を介して、非選択の複数のワード線WL-Uに印加する。書き込みパス電圧VUSEL0は、消去シーケンス時の非選択電圧VUSEL1より低い。例えば、書き込みパス電圧VUSEL0は、+2.5V程度の電圧である。
【0200】
時刻t23において、ドライバ回路160は、
図15の書き込みパルスVWRを、選択ワード線WLに接続されたメモリセルMCに供給する。
【0201】
上述のように、選択セルMC-Sに書き込まれるデータに応じて、0V又は正の電圧値のビット線電圧VBLが、ビット線BLに印加されている。電圧VSSが、ビット線BLに印加されている場合、0Vの電圧VSSが、オン状態のセレクトトランジスタST1を介して、メモリピラー60に印加される。正の電圧VBL0が、ビット線BLに印加されている場合、電圧VSGD0が印加されているセレクトトランジスタST1は、カットオフする。それゆえ、選択セルMC-Sが設けられているメモリピラー60は、カットオフ状態のセレクトトランジスタST1によって、ビット線BLから電気的に分離される。プログラム禁止の選択セルMC-Sが設けられているメモリピラー60は、電気的にフローティングな状態になる。
【0202】
ドライバ回路160は、正の電圧値の電圧VWLPGMを、選択ワード線WL-Sに印加する。電圧VWLPGMは、例えば、+5V程度の電圧である。
【0203】
これによって、正の極性の書き込みパルスVWRが、プログラム対象の選択セルMC-Sのそれぞれに印加される。書き込みパルスVWRは、ワード線WL-Sとプログラム対象に選択されたビット線BLとの間の電位差に応じた電圧値Vbを有する。
【0204】
例えば、ドライバ回路160は、ワード線WLに対する電圧の供給期間の制御によって、書き込みパルスVWRのパルス幅(電圧供給期間)を制御する。
【0205】
これによって、プログラム対象の選択セルMC-Sの閾値電圧は、プログラム状態の閾値電圧に対応する値にシフトする。
【0206】
ビット線電圧VBL0が正の電圧値を有する場合、プログラム禁止セルの選択セルMC-Sのゲートとチャネル領域との間に印加される電圧は、フローティング状態のメモリピラー60内のチャネルブーストによって、書き込みパルスVWRより小さくなる。この場合において、プログラム禁止の選択セルMC-Sは、書き込みパルスVWRが印加される前の状態(例えば、消去状態)を維持する。
【0207】
この後、書き込みパルスVWRの供給が、停止される。時刻t24において、ドライバ回路160は、選択ワード線WLの電圧を、電圧VWLPGMから0Vに下げる。
【0208】
書き込みパルスVWRの供給が停止された後、時刻t25において、ドライバ回路160は、複数の非選択ワード線WL-Uに、0Vの電圧を印加する。0Vの電圧VSSが、選択されたセレクトゲート線SGD-S(及びセレクトゲート線SGS)に印加される。これによって、セレクトトランジスタST1は、オフする。
【0209】
時刻t26において、ドライバ回路160は、ビット線BL(及びソース線SL)に、0Vの電圧を印加する。
【0210】
以上のように、書き込みシーケンスのプログラム動作が、終了する。
【0211】
例えば、ドライバ回路160は、プログラム動作後において、書き込みシーケンスのベリファイ動作を行う。ベリファイ動作によって、プログラム動作後の選択セルMCの閾値電圧の大きさが、ベリファイされる。
【0212】
図15に示されるように、正の極性(正の電圧値)を有する電圧(ベリファイパルス)VVFYが、選択セルMCに供給される。
【0213】
ドライバ回路160は、正の電圧値を有する電圧を、ビット線BLに印加する。ドライバ回路160は、正の電圧値を有する電圧を、選択されたセレクトゲート線SGD,SGSに印加する。これによって、セレクトトランジスタST1,ST2は、オンする。
【0214】
ベリファイ動作時において、ドライバ回路160は、正の電圧値を有する電圧(非選択電圧)VREADを、非選択ワード線WL-Uに印加する。これによって、非選択セルMC-Uは、オンする。
【0215】
ドライバ回路160は、正の電圧値を有する電圧を、選択ワード線WL-Sに印加する。これによって、ベリファイパルスVVFYが、選択セルMC-Sのゲート-チャネル間に、印加される。
【0216】
ベリファイパルスVVFYの印加時、選択セルMCの閾値電圧がベリファイパルスVVFYの電圧値より大きいか否かに応じて、選択セルMC-Sは、オン又はオフする。選択セルMC-Sがオンした場合、電流(以下では、セル電流ともよばれる)が、ビット線BLからソース線SLへ流れる。選択セルMC-Sがオフした場合、セル電流は、発生しない。この結果として、ベリファイパルスVVFYの印加に対する選択セルMC-Sのオン/オフの結果に基づいて、選択セルMC-Sが、記憶すべきデータに応じた閾値電圧を有しているか否か判定される。
【0217】
この後、ベリファイパルスVVFYの供給が、停止される。ドライバ回路160は、複数のワード線WLに、0Vの電圧を印加する。
【0218】
ベリファイパルスVVFYの供給が停止された後、0Vの電圧が、選択されたセレクトゲート線SGD,SGSに印加される。これによって、セレクトトランジスタST1,ST2は、オフする。ドライバ回路160は、ビット線BL及びソース線SLに、0Vの電圧を印加する。
【0219】
ベリファイ動作の結果に基づいて、書き込みパルスVWRが再度印加されるべきか否かが、決定される。例えば、選択セルMCの閾値電圧が、記憶すべきデータに応じた値に達するまで、プログラム動作及びベリファイ動作が、繰り返し実行される。ベリファイ動作によって、選択セルの閾値電圧が記憶すべきデータに応じた値に達したと判定された場合、書き込みシーケンスは、完了する。
【0220】
以上のように、本実施形態のメモリデバイス1において、書き込みシーケンスが、完了する。
【0221】
本実施形態において、消去ディスターブの発生は、抑制される。したがって、本実施形態のメモリデバイス1は、消去ディスターブの影響がないメモリセルに対して、データを書き込むことができる。この結果として、本実施形態のメモリデバイス1は、データの書き込みエラーを低減できる。
【0222】
尚、本実施形態のメモリデバイス1の読み出しシーケンスは、周知の技術によって実行される。
【0223】
例えば、読み出しシーケンスにおいて、選択ブロックBLK内の1つのストリングユニットSU及び1つのワード線WLが、選択される。これによって、1つのページ(セルユニット)が、選択される。正の電圧が、ビット線BLに印加される。正の電圧が、選択されたセレクトゲート線SGD及びセレクトゲート線SGSに印加される。非選択電圧VREADが、非選択の複数のワード線WLに印加される。或る読み出しレベル(読み出し電圧)が、選択ワード線WLに印加される。
【0224】
読み出しシーケンスにおいて、選択ワード線に接続された選択セルのオン/オフに応じて、選択セル内のデータが、判別される。選択セルの閾値電圧が、読み出しレベルより高い場合、選択セルは、オフする。選択セルがオフした場合、ビット線BLの電位は、維持される。選択セルの閾値電圧が、読み出しレベル以下である場合、選択セルは、オンする。選択セルがオンした場合、ビット線BLの放電によって、電流がビット線BLとソース線SLとの間に発生し、ビット線の電位は下がる。
【0225】
ビット線BLの放電電流又はビット線の電位の変化の検知に基づいて、選択セルのデータが、“0”データであるか“1”データであるか判別される。
【0226】
このように、本実施形態のメモリデバイス1において、読み出しシーケンスによって、選択セルのデータが、読み出される。
【0227】
(c)まとめ
強誘電体メモリの動作特性の向上のために、レイヤ単位の消去シーケンスが、強誘電体メモリに用いられる場合がある。
【0228】
一般的な強誘電体メモリにおいて、レイヤ単位の消去シーケンスは、消去ディスターブが発生しやすい。このため、レイヤ単位の消去シーケンスを実行する一般的な強誘電体メモリは、データの消去に関するスペックを満たさない可能性がある。
【0229】
一般的な強誘電体メモリにおいて、プログラムディスターブが発生したとしても、データのプログラムに関するスペックは、比較的容易に満たされる。尚、プログラムディスターブは、書き込みシーケンスにおける非選択セルの閾値電圧の値が意図せずにプログラム状態側にシフトする不良である。
【0230】
本実施形態のメモリデバイス1は、レイヤ単位の消去シーケンス時、オン状態のセレクトトランジスタSTを介して非選択セルMC-Uのチャネル領域に電子を供給した状態で、選択セルMC-Sの近傍においてGIDLによる正孔を発生させる。
【0231】
これによって、本実施形態において、選択レイヤLY内の選択セルMC-Sを消去状態に設定しつつ、非選択セルMC-Uにおいて発生し得る消去ディスターブは、抑制され得る。
【0232】
したがって、本実施形態のメモリデバイス1は、消去ディスターブに起因するエラーを低減できる。
【0233】
以上のように、本実施形態のメモリデバイス1は、信頼性を向上できる。
【0234】
(2)第2の実施形態
図19乃至
図22を参照して、第2の実施形態のメモリデバイスについて、説明する。
【0235】
本実施形態のメモリデバイス1は、書き込みシーケンスにおいて非選択ワード線WL-Uに印加される非選択電圧は、消去シーケンスにおいて非選択ワード線WL-Uに印加される非選択電圧より高い。これによって、消去シーケンス時に生じ得る消去ディスターブの影響が、書き込みシーケンス時におけるメモリセルMCの閾値電圧の制御によって、相殺される。
【0236】
以下のように、本実施形態のメモリデバイス1は、消去シーケンス及び書き込みシーケンスを実行する。
【0237】
<消去シーケンス>
図19及び
図20を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスについて説明する。
【0238】
図19は、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスにおける、選択ブロックBLK内の各配線の電位の遷移を示すタイミングチャートである。
図20は、本実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスを説明するための模式図である。
【0239】
上述の実施形態と同様に、本実施形態のメモリデバイス1は、レイヤ単位の消去シーケンスを実行する。
【0240】
図19及び
図20に示されるように、消去シーケンスにおいて、ドライバ回路160は、シーケンサ190の制御によって、各種の電圧を、メモリセルアレイ100内の複数の配線WL,SGS,SGD,BL,SLのそれぞれに、供給する。
【0241】
時刻t11において、ドライバ回路160は、正の電圧値を有する非選択電圧VUSEL2を、複数の非選択ワード線WL-Uに印加する。例えば、非選択電圧VUSEL2は、+2.5V程度である。これによって、非選択ワード線WL-Uに接続されたメモリセルMC-Uは、非選択状態に設定される。
【0242】
時刻t12において、ドライバ回路160は、選択ブロックBLKの複数のビット線BLに、正の電圧値を有するビット線電圧VBL2を印加する。ドライバ回路160は、選択ブロックBLKのソース線SLに、正の電圧値を有するソース線電圧VSL2を印加する。ビット線電圧VBL2及びソース線電圧VSL2のそれぞれは、例えば、非選択電圧VUSEL2より高い。ビット線電圧VBL2及びソース線電圧VSL2のそれぞれは、例えば、+5V程度である。
【0243】
ドライバ回路160は、或る電圧値を有するセレクトゲート線電圧VSGD2,VSGS2を、セレクトゲート線SGD,SGSのそれぞれに印加する。例えば、セレクトゲート線電圧VSGD2,VSGS2は、0V程度の電圧VSSである。
【0244】
これによって、セレクトゲート線SGDとビット線BLとの間の電位差、及び、セレクトゲート線SGSとソース線SLとの間の電位差に応じて、セレクトトランジスタSTのゲートの電位は、セレクトトランジスタSTのチャネル領域のエッジの電位より低くなる。
【0245】
ドライバ回路160は、
図11の消去パルスVERAを、選択レイヤLYに対応する選択ワード線WL-Sに接続されたメモリセルMCに供給する。
【0246】
上述のように、ビット線BL及びソース線SLに、正の電圧値を有する電圧VBL2,VSL2が、それぞれ印加されている。この状態において、ドライバ回路160は、選択レイヤLYに対応する選択ワード線WL-Sに、0Vの電圧VSSを有する選択ワード線電圧VWLERAを、印加する。
【0247】
本実施形態において、GIDLは、ビット線BLとセレクトトランジスタST1のゲートとの電位差、及び、ソース線SLとセレクトトランジスタST2との電位差に応じて、セレクトトランジスタST1,ST2のチャネルエッジで発生する。
【0248】
発生したGIDLに起因する正孔は、非選択セルMC-Uのチャネル領域を経由して、セレクトトランジスタST1,ST2の近傍から選択セルMC-Sへ移動する。これによって、選択セルMC-Sのチャネル領域の電位は、正の電位になる。
【0249】
この結果として、選択セルMC-Sのチャネル領域(メモリピラー60)の電位が、供給された正孔によって、選択セルMC-Sのゲートの電位より高くなる。
【0250】
したがって、負の極性の消去パルスVERAが、選択ワード線WL-Sに接続された選択セルMC-Sのそれぞれに印加される。例えば、消去パルスVERAの電圧値は、-5V程度である。
【0251】
上述のように、ドライバ回路160は、ビット線電圧VBL2、ソース線電圧VSL2及び選択ワード線電圧VWLERAの供給期間の制御によって、消去パルスVERAのパルス幅(電圧供給期間)を制御する。
【0252】
これによって、選択レイヤLY内の選択セルMC-Sは、消去状態に設定される。
【0253】
この後、ドライバ回路160は、シーケンサ190の制御に基づいて、時刻t13においてビット線電圧VBL2、ソース線電圧VSL2を電圧VSSとすることにより、消去パルスVERAの印加を停止する。その後、時刻t14において非選択電圧VUSEL2の印加を停止する。
【0254】
以上のように、本実施形態のメモリデバイス1において、消去シーケンスが、完了する。
【0255】
尚、本実施形態の消去シーケンスにおいて、-2.5Vの電位差(負極性の電圧)が、非選択セルMC-Uのゲートとチャネルとの間に印加される。このため、消去ディスターブが、非選択セルMC-Uに発生する可能性がある。但し、非選択セルMC-Uに印加される負極性の電圧の絶対値は、消去パルスVERAの絶対値より小さい。
【0256】
<書き込みシーケンス>
図21及び
図22を参照して、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスについて説明する。
【0257】
図21は、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスにおける、選択ブロックBLK内の各配線の電位の遷移を示すタイミングチャートである。
図22は、本実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスを説明するための模式図である。上述の実施形態と同様に、本実施形態のメモリデバイス1は、ページ単位の書き込みシーケンスを実行する。
【0258】
書き込みシーケンス時において、ドライバ回路160は、シーケンサ190の制御によって、各種の電圧を、メモリセルアレイ100内の複数の配線WL,SGD,SGS,BL,SLのそれぞれに、供給する。
【0259】
図21及び
図22に示されるように、ドライバ回路160は、書き込みデータに応じた電圧値を有するビット線電圧VBL0を、複数のビット線BLのそれぞれに印加する。ドライバ回路160は、電圧VSSのソース線電圧VSL0を、ソース線SLに印加する。尚、書き込みシーケンスにおいて、正の電圧値を有する電圧VSL0が、ソース線SLに印加されてもよい。
【0260】
ドライバ回路160は、選択されたセレクトゲート線SGD-Sに、正の電圧値を有する電圧VSGD0を、印加する。電圧VSGD0は、+2.5V程度である。選択セレクトゲート線SGDに接続されたセレクトトランジスタST1は、ビット線BLの電圧に応じて、オン又はオフする。
【0261】
ドライバ回路160は、非選択のセレクトゲート線SGD-Uに、電圧VUSGDを印加する。電圧VUSGDは、例えば、0Vの電圧VSSである。これによって、非選択のセレクトゲート線SGD-Uに接続されたセレクトトランジスタST1は、オフする。非選択ストリングユニットSU-Uの複数のメモリセルストリング(非選択ストリング)MSのそれぞれは、オフ状態のセレクトトランジスタST1によって、ビット線BLから電気的に分離される。
【0262】
ドライバ回路160は、選択ブロックBLK内のセレクトゲート線SGSに、0V又は正の電圧値を有する電圧VSGS0を印加する。例えば、セレクトトランジスタST2は、オフする。これによって、選択ストリングユニットSU-Sのメモリセルストリング(選択ストリング)MSは、ソース線SLから電気的に分離される。
【0263】
非選択ストリングMSは、ソース線SL及びビット線BLから電気的に分離される。この結果として、非選択ストリングMSのメモリピラー60は、電気的にフローティングな状態になる。
【0264】
ドライバ回路160は、書き込みパス電圧(非選択電圧)VUSEL3を、非選択の複数のワード線WL-Uに印加する。本実施形態において、書き込みパス電圧VUSEL3は、消去シーケンス時の非選択電圧VUSEL2より高い。書き込みパス電圧VUSEL3は、選択ワード線電圧VWLPGMより低い。例えば、書き込みパス電圧VUSEL3は、+3V程度の電圧である。
【0265】
ドライバ回路160は、正の電圧値の選択ワード線電圧VWLPGMを、選択ワード線WL-Sに印加する。これによって、正の極性(正の電圧値Vb)を有する書き込みパルスVWRが、プログラム対象の選択セルMC-Sのそれぞれに印加される。
【0266】
書き込みパルスVWRの供給によって、選択セルMC-Sの閾値電圧は、書き込みデータに応じた電圧値に設定され得る。
【0267】
非選択ストリングMSにおいて、フローティング状態のメモリピラー60の電位は、選択ワード線WL-Sに印加された電圧及び非選択ワード線WL-Uに印加された電圧に応じて、上昇する。例えば、非選択ストリングMS-U内のフローティング状態のメモリピラー60の電位は、+3V程度である。
【0268】
書き込みパルスVWRの供給の後、ベリファイ動作が、選択セルMC-Sに対して実行される。ベリファイ動作の結果に基づいて、書き込みパルスVWRの印加又は書き込みシーケンスの終了が、決定される。
【0269】
以上の動作によって、書き込みシーケンスが、完了する。
【0270】
<まとめ>
本実施形態のメモリデバイス1において、
図19及び
図20の消去シーケンスにおいて、消去ディスターブが、非選択セルMC-Uに発生する可能性がある。
【0271】
図21及び
図22の書き込みシーケンスが実行された場合、非選択セルMC-Uは、ゲートとチャネル領域との間に、非選択電圧VUSEL3に起因する正の極性の電圧が印加される。これによって、非選択セルMC-Uの閾値電圧の値は、プログラム状態に対応する値側に少しシフトする。
【0272】
この結果として、消去ディスターブが生じた非選択セルMC-Uの閾値電圧は、非選択電圧VUSEL3の印加によって、プログラム状態に対応する電圧値側にシフトする。
【0273】
それゆえ、
図19及び
図20の消去シーケンスが実行された場合、消去シーケンス時にメモリセル(例えば、非選択セル)に発生する消去ディスターブの影響は、
図21及び
図22の書き込みシーケンスの実行によるメモリセル(非選択セル)の閾値電圧の値のプログラム状態側へのシフトによって、相殺できる。
【0274】
したがって、本実施形態のメモリデバイスは、信頼性を向上できる。
【0275】
(3)変形例
図23及び
図24を参照して、実施形態のメモリデバイスの変形例について、説明する。
【0276】
図23は、第1の実施形態のメモリデバイス1の変形例を説明するための図である。
図23において、第1の実施形態のメモリデバイス1の消去シーケンスにおける、メモリセルアレイ100内の各配線の電位の状態が、示されている。
【0277】
図23に示されるように、消去シーケンスにおいて、0Vの電圧VSSが、セレクトゲート線SGSに印加されてもよい。セレクトトランジスタST2は、オフする。この場合において、ソース線電圧VSLは、0Vでもよい。
【0278】
尚、正の電圧VSGD1が、セレクトゲート線SGSに印加され、0Vの電圧VSSが、複数のセレクトゲート線SGDに印加されてもよい。この場合において、ビット線電圧VBLは、0Vでもよい。
【0279】
メモリセルストリングのソース側のセレクトトランジスタST2(又はドレイン側のセレクトトランジスタST1)がオフ状態であっても、
図23の変形例のメモリデバイス1は、第1の実施形態において説明された効果を得ることができる。
【0280】
図24は、第2の実施形態のメモリデバイス1の変形例を説明するための図である。
図24において、第2の実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスにおける、メモリセルアレイ内の各配線の電位の状態が、示されている。
【0281】
図24に示されるように、書き込みシーケンスにおいて、正の電圧値を有する電圧VSGSxが、セレクトゲート線SGSに印加されてもよい。0Vの電圧VSSが、ソース線SLに印加される。セレクトゲート線SGSとソース線SLとの電位差に応じて、セレクトトランジスタST2は、動作する。例えば、セレクトゲート線SGSに接続されたセレクトトランジスタST2は、オンする。
【0282】
正の電圧VSGSxが、書き込みシーケンス中にセレクトゲート線SGSに印加されている場合であっても、
図24の変形例のメモリデバイス1は、第2の実施形態において説明された効果を得ることができる。
【0283】
尚、第1の実施形態のメモリデバイス1の書き込みシーケンスにおいて、電圧SGSxが、セレクトゲート線SGSに印加されてもよい。
【0284】
以上のように、変形例のメモリデバイス1は、メモリデバイスの信頼性を向上できる。
【0285】
(4) その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0286】
1:メモリデバイス、MC:強誘電体トランジスタ(メモリセル)、55:導電層、60:ピラー、61:半導体層、63:絶縁層、65:強誘電体層、160:ドライバ回路。