(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114008
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】即湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20240816BHJP
F24H 15/156 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/174 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/335 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/254 20220101ALI20240816BHJP
F24H 15/258 20220101ALI20240816BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24H15/156
F24H15/174
F24H15/219
F24H15/335
F24H15/355
F24H15/281
F24H15/215
F24H15/254
F24H15/258
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019351
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西林 佑樹
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA13
3L073AD01
3L073AD07
3L073AE01
3L073AE04
(57)【要約】
【課題】使用者に不快感を与えることを回避しながらも、エネルギーの消費を抑制できる即湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】運転制御部Cが、湯水温度検出センサMが検出する即湯用循環回路J内の湯水の温度が設定目標温度になるように、循環ポンプ15及び即湯用加熱部Kを作動させる即湯用加熱処理を実行し、給湯栓1から給湯される湯水温度が低いことを示す指標を検出する指標検出部Fが設けられ、運転制御部Cが、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路から供給される水を加熱して給湯路に出湯する給湯用加熱部と、前記給湯路に接続される給湯栓と、少なくとも前記給湯路を含んで構成される即湯用循環回路と、運転制御部とが設けられ、
前記即湯用循環回路に、循環ポンプ、即湯用加熱部、湯水温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記湯水温度検出センサが検出する前記即湯用循環回路内の湯水の温度が設定目標温度になるように、前記循環ポンプ及び前記即湯用加熱部を作動させる即湯用加熱処理を実行する即湯式給湯装置であって、
前記給湯栓から給湯される湯水温度が低いことを示す指標を検出する指標検出部が設けられ、
前記運転制御部が、前記指標検出部にて検出される前記指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、前記即湯用加熱処理の実行を開始する即湯式給湯装置。
【請求項2】
前記即湯用加熱処理の実行を許可する運転時間帯を設定する運転時間帯設定部が設けられ、
前記運転制御部が、前記運転時間帯において、前記加熱必要状態であると判別した場合に前記即湯用加熱処理の実行を開始する請求項1に記載の即湯式給湯装置。
【請求項3】
前記運転制御部が、前記即湯用加熱処理の実行を開始した後において、前記指標検出部にて検出される前記指標に基づいて前記加熱必要状態でないと判別した場合には、前記即湯用加熱処理の実行を停止する請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【請求項4】
前記指標検出部が、前記指標として、前記給水路の給水温度又は外気温度又は前記給水温度及び前記外気温度を検出し、
前記運転制御部が、前記指標が前記給水温度の場合は前記給水温度が設定水温度以下であるときに、前記加熱必要状態であると判別し、又は、前記指標が前記外気温度の場合は前記外気温度が設定外気温度以下であるときに、前記加熱必要状態であると判別し、又は、前記指標が前記給水温度及び前記外気温度の場合は、前記給水温度が設定水温度以下であるか前記外気温度が設定外気温度以下であるかのうちの少なくとも一方が満たされた状態であるときに、前記加熱必要状態であると判別する請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【請求項5】
前記指標検出部が、前記指標として、外気温度及び外気湿度を検出し、
前記運転制御部が、前記外気温度及び前記外気湿度に基づいて求められる不快指数が設定値未満の場合には、前記加熱必要状態であると判別する請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【請求項6】
前記指標検出部が、前記指標として、室内温度及び室内湿度を検出し、
前記運転制御部が、前記室内温度及び前記室内湿度に基づいて求められる不快指数が設定値未満の場合には、前記加熱必要状態であると判別する請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【請求項7】
前記指標検出部が、前記指標として、前記室内温度及び前記室内湿度に加えて、前記給水路の給水温度を検出し、
前記運転制御部が、前記室内温度及び前記室内湿度に基づいて求められる不快指数が設定値以上の場合において、前記給水温度が設定水温度以下であるときには、前記加熱必要状態であると判別する請求項6に記載の即湯式給湯装置。
【請求項8】
前記即湯用循環回路が、前記給湯路の給湯栓側端部箇所と前記給湯路の上流側箇所とを接続する給湯側戻り路、及び、前記給湯路から構成され、
前記循環ポンプ及び前記即湯用加熱部が、前記給湯側戻り路に配設され、
前記湯水温度検出センサとして、前記給湯側戻り路に配置される戻り温度センサが設けられている請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【請求項9】
記即湯用循環回路が、前記給湯路、前記給湯用加熱部における前記給水路と前記給湯路とを接続する加熱用流路、及び、前記給湯路の給湯栓側端部箇所と前記給水路の下流側端部又は前記加熱用流路の上流側端部とを接続する給水側戻り路から構成され、
前記給湯用加熱部が、前記即湯用加熱部に兼用されている請求項1又は2に記載の即湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水路からの水を加熱して給湯路に出湯する給湯用加熱部と、前記給湯路に接続される給湯栓と、少なくとも前記給湯路を含んで構成される即湯用循環回路と、運転制御部とが設けられ、
前記即湯用循環回路に、循環ポンプ、即湯用加熱部、湯水温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記湯水温度検出センサが検出する前記即湯用循環回路内の湯水の温度が設定目標温度になるように、前記循環ポンプ及び前記即湯用加熱部を作動させる即湯用加熱処理を実行する即湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる即湯式給湯装置は、即湯用循環回路の湯水を設定目標温度に加熱しておくことにより、例えば、給湯用加熱部と給湯栓とが大きく離れている場合、つまり、給湯用加熱部と給湯栓との距離が長い場合等においても、給湯栓を開いたときに迅速に高温の湯を出湯できるようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ちなみに、設定目標温度としては、給湯栓から出湯する出湯温度(例えば、37℃)がリモコン等にて設定され、その設定された出湯温度が設定目標温度として設定される場合があるが、給湯栓として、高温(例えば、60℃)の湯水と常温の湯水を混合して目標とする温度の湯水を出湯する、いわゆる混合栓が用いられる場合等においては、設定目標温度として、高温(例えば、60℃)が適用される場合もある。
【0004】
特許文献1においては、即湯用加熱部として、給湯器から循環供給される熱媒と即湯用循環回路の湯水とを熱交換する液々熱交換器が適用される場合が記載されているが、即湯用加熱部として、電気ヒータが適用される場合がある(例えば、特許文献2参照)。さらに、給湯用加熱部を、即湯用加熱部として、兼用する形態もある(例えば、特許文献3参照)。
ちなみに、特許文献3には、給湯用加熱部としてガス燃焼部(バーナ)を備える形式が記載されている。
【0005】
即湯用加熱処理の具体的形態としては、一般には、循環ポンプ及び即湯用加熱部を停止させた状態において湯水温度検出センサにて検出される検出温度が設定目標温度よりも設定温度低い設定加熱開始温度以下に低下すると、循環ポンプ及び即湯用加熱部を作動させ、湯水温度検出センサが検出する即湯用循環回路内の湯水の温度が設定目標温度以上になると、循環ポンプ及び即湯用加熱部を停止させることを繰り返す形態が多い。
【0006】
尚、即湯用加熱処理の他の具体的形態としては、設定時間が経過する毎に、循環ポンプ及び即湯用加熱部を作動させ、湯水温度検出センサが検出する即湯用循環回路内の湯水の温度が設定目標温度以上になると、循環ポンプ及び即湯用加熱部を停止させることを繰り返す形態もある。
【0007】
特許文献1においては、即湯用加熱処理を実行するか否かをリモコンにて設定して、冬期等においては即湯用加熱処理を実行するように設定し、夏期においては即湯用加熱処理を実行しないように設定することが記載されている。
また、即湯用加熱処理を実行させるにあたり、即湯用加熱処理の実行を許可する時間帯をリモコンにて設定して、設定された時間帯において即湯用加熱処理を実行させるようにする形態もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-168191号公報
【特許文献2】特開2000-18626号公報
【特許文献3】特開2014-228174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
即湯用加熱処理を実行するか否かをリモコン等により設定する構成において、即湯用加熱処理を実行することが設定されると、即湯用加熱処理を実行しなくても、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことにより使用者に与える不快感がないと考えられる場合においても、不必要に即湯用加熱処理が実行されて、エネルギー(燃料ガス、電気)が無駄に消費される虞がある。
即湯用加熱処理の実行を許可する時間帯をリモコン等にて設定する場合においても、同様である。
【0010】
すなわち、例えば、給水路の給水温度が設定目標温度よりも低いものの、使用者に不快感を与えるほど低くない等、給水路の給水温度が極端に低くない場合等においては、即湯用加熱処理を実行しなくても、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことにより使用者に与える不快感がないと考えられる。しかしながら、従来では、そのような場合にも、不必要に即湯用加熱処理が実行されて、エネルギー(燃料ガス、電気)が無駄に消費される不都合があった。
【0011】
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者に不快感を与えることを回避しながらも、エネルギーの消費を抑制できる即湯式給湯装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の即湯式給湯装置は、給水路からの水を加熱して給湯路に出湯する給湯用加熱部と、前記給湯路に接続される給湯栓と、少なくとも前記給湯路を含んで構成される即湯用循環回路と、運転制御部とが設けられ、
前記即湯用循環回路に、循環ポンプ、即湯用加熱部、湯水温度検出センサが設けられ、
前記運転制御部が、前記湯水温度検出センサが検出する前記即湯用循環回路内の湯水の温度が設定目標温度になるように、前記循環ポンプ及び前記即湯用加熱部を作動させる即湯用加熱処理を実行するものであって、その特徴構成は、
前記給湯栓から給湯される湯水温度が低いことを示す指標を検出する指標検出部が設けられ、
前記運転制御部が、前記指標検出部にて検出される前記指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、前記即湯用加熱処理の実行を開始する点にある。
【0013】
すなわち、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことを示す指標が指標検出部にて検出される。
そして、運転制御部が、指標検出部にて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を開始することになる。
【0014】
したがって、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことにより使用者に不快感を与える可能性が高い場合には、即湯用加熱処理の実行が開始されて、使用者に不快感を与えることを回避することができる。
そして、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことにより使用者に不快感を与える可能性が低い場合には、即湯用加熱処理の実行が開始されないため、エネルギー(燃料ガス、電気)が無駄に消費されることを抑制できる。
【0015】
要するに、本発明の即湯式給湯装置の特徴構成によれば、使用者に不快感を与えることを回避しながらも、エネルギーの消費を抑制できる。
【0016】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記即湯用加熱処理の実行を許可する運転時間帯を設定する運転時間帯設定部が設けられ、
前記運転制御部が、前記運転時間帯において、前記加熱必要状態であると判別した場合に前記即湯用加熱処理の実行を開始する点にある。
【0017】
すなわち、給湯栓からの湯水を使用することになる時間帯を運転時間帯として運転時間帯設定部にて設定しておくことにより、その運転時間帯において、加熱必要状態であると判別された場合には即湯用加熱処理の実行が開始されることになる。
そして、運転時間帯設定部にて運転時間帯として設定されていない時間帯においては、即湯用加熱処理の実行が開始されないものとなる。
【0018】
従って、給湯栓からの湯水を使用しない時間帯(例えば、夜中)に、不必要に即湯用加熱処理の実行が開始されることを抑制して、エネルギーの消費を一層適切に抑制できる。
【0019】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記運転制御部が、前記即湯用加熱処理の実行を開始した後において、前記指標検出部にて検出される前記指標に基づいて前記加熱必要状態でないと判別した場合には、前記即湯用加熱処理の実行を停止する点にある。
【0020】
すなわち、即湯用加熱処理の実行を開始した後において、指標検出部にて検出される指標に基づいて加熱必要状態でないと判別された場合には、即湯用加熱処理の実行が停止される。
つまり、即湯用加熱処理の実行を開始した後において、例えば、給水路の給水温度が上昇する等により、加熱必要状態でなくなる場合があるが、そのような場合には、即湯用加熱処理の実行が停止される。
【0021】
従って、即湯用加熱処理を実行する必要がないときに、不必要に即湯用加熱処理の実行が継続されることを抑制して、エネルギーの消費を一層適切に抑制できる。
【0022】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記指標検出部が、前記指標として、前記給水路の給水温度又は外気温度又は前記給水温度及び前記外気温度を検出し、
前記運転制御部が、前記指標が前記給水温度の場合は前記給水温度が設定水温度以下であるときに、前記加熱必要状態であると判別し、又は、前記指標が前記外気温度の場合は前記外気温度が設定外気温度以下であるときに、前記加熱必要状態であると判別し、又は、前記指標が前記給水温度及び前記外気温度の場合は、前記給水温度が設定水温度以下であるか前記外気温度が設定外気温度以下であるかのうちの一方が満たされた状態であるときに、前記加熱必要状態であると判別する点にある。
【0023】
すなわち、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことを示す指標として、給水路の給水温度又は外気温度又は給水温度及び外気温度が検出されることになる。
【0024】
そして、指標が給水温度の場合には、給水温度が設定水温度以下であるときに加熱必要状態であると判別される。
また、指標が外気温度の場合は、外気温度が設定外気温度以下であるときに加熱必要状態であると判別される。
【0025】
また、指標が給水温度及び外気温度の場合は、給水温度が設定水温度以下であるか外気温度が設定外気温度以下であるかのうちの少なくとも一方が満たされた状態であるとき、もしくは、給水温度が設定水温度以下でかつ外気温度が設定外気温度以下であるときに、加熱必要状態であると判別される。
【0026】
つまり、給水温度が低い場合には、給湯路中の湯水の温度が低くて、給湯の開始時には給湯栓から給湯される湯水温度が低くなるため、使用者に不快感を与える状態に相当すると考えられる。
また、外気温度が低い場合には、給湯路中の湯水の温度が低くなる傾向であり、しかも、使用者が寒く感じている可能性が高い状況であるため、給湯の開始時には給湯栓から給湯される湯水温度が低いことにより、使用者に不快感を与える状態に相当すると考えられる。
したがって、そのような状態のときには、加熱必要状態であると適切に判別することができることになり、その結果、即湯用加熱処理を適切に実行させることができる。
【0027】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記指標検出部が、前記指標として、外気温度及び外気湿度を検出し、
前記運転制御部が、前記外気温度及び前記外気湿度に基づいて求められる不快指数が設定値未満の場合には、前記加熱必要状態であると判別する点にある。
【0028】
すなわち、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことを示す指標として、外気温度及び外気湿度が検出される。
そして、家屋内の室内環境も外気環境と同様の傾向となるため、外気温度及び外気湿度に基づいて求められる不快指数が設定値未満の場合は、家屋内に存在する使用者が寒いと感じている可能性が高く、給湯の開始時に給湯栓から給湯される湯水温度が低いと、寒いと感じている使用者に大きな不快感を与える可能性が高い状態に相当すると考えられる。
【0029】
したがって、そのような状態のときには、加熱必要状態であると適切に判別することができることになり、その結果、即湯用加熱処理を適切に実行させることができる。
【0030】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記指標検出部が、前記指標として、室内温度及び室内湿度を検出し、
前記運転制御部が、前記室内温度及び前記室内湿度に基づいて求められる不快指数が設定値未満の場合には、前記加熱必要状態であると判別する点にある。
【0031】
すなわち、給湯栓から給湯される湯水温度が低いことを示す指標として、室内温度及び室内湿度が検出される。
そして、室内温度及び室内湿度に基づいて求められる不快指数が設定値未満の場合は、家屋内に存在する使用者が寒いと感じている可能性が高いことを、家屋内の室内温度及び室内湿度に基づいて的確に判別することができる。
【0032】
そして、家屋内に存在する使用者が寒いと感じているため、給湯の開始時に給湯栓から給湯される湯水温度が低いと、寒いと感じている使用者に大きな不快感を与える可能性が高い状態に相当すると考えられる。
【0033】
したがって、そのような状態のときには、加熱必要状態であると適切に判別することができることになり、その結果、即湯用加熱処理を適切に実行させることができる。
【0034】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記指標検出部が、前記指標として、前記室内温度及び前記室内湿度に加えて、前記給水路の給水温度を検出し、
前記運転制御部が、前記室内温度及び前記室内湿度に基づいて求められる不快指数が設定値以上の場合において、前記給水温度が設定水温度以下であるときには、前記加熱必要状態であると判別する点にある。
【0035】
すなわち、室内温度及び室内湿度に基づいて求められる不快指数が設定値以上の場合は、例えば、家屋内が暖房されている等により、家屋内に存在する使用者が室内環境にては寒くないと感じているものの、このような使用者にとっても、給湯路中の湯水の温度が低くて、給湯の開始時に給湯栓から給湯される湯水温度が低いと、不快感を与える可能性が高い状態に相当すると考えられる。
【0036】
したがって、そのような状態のときには、加熱必要状態であると適切に判別することができることになり、その結果、即湯用加熱処理を適切に実行させることができる。
【0037】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記即湯用循環回路が、前記給湯路の給湯栓側端部箇所と前記給湯路の上流側端部箇所とを接続する給湯側戻り路、及び、前記給湯路から構成され、
前記循環ポンプ及び前記即湯用加熱部が、前記給湯側戻り路に配設され、
前記湯水温度検出センサとして、前記給湯側戻り路に配置される戻り温度センサが設けられている点にある。
【0038】
すなわち、即湯用循環回路が、給湯路の給湯栓側端部箇所と給湯路における上流側端部箇所とを接続する給湯側戻り路、及び、給湯路から構成されるものであるから、即湯用循環回路を、給湯用加熱部に湯水を供給する給水路とは切り離した状態で構成できる。
【0039】
そして、循環ポンプ及び即湯用加熱部を、給湯側戻り路に配設し、加えて、湯水温度検出センサとして、給湯側戻り路に配置される戻り温度センサを設けるものであるから、即湯用加熱処理を、給湯用加熱部の加熱作動とは切り離した状態で行うことができる。
【0040】
従って、給湯用加熱部にて加熱された湯水の給湯形態に多様性を持たせることができるものとなる。つまり、例えば、浴槽等の別の給湯箇所に給湯する分岐路が給湯路における給湯側戻り路の接続箇所よりも上流側箇所から分岐されて、給湯路からの湯水が給湯栓に加えて、浴槽等の別の給湯箇所に給湯される場合において、給湯用加熱部にて加熱された湯水を浴槽等の別の箇所に給湯しながら、即湯用加熱処理を行わせることができる等、給湯用加熱部にて加熱された湯水の給湯形態に多様性を持たせることができる。
【0041】
本発明の即湯式給湯装置の更なる特徴構成は、前記即湯用循環回路が、前記給湯路、前記給湯用加熱部における前記給水路と前記給湯路とを接続する加熱用流路、及び、前記給湯路の給湯栓側端部箇所と前記給水路の下流側端部又は前記加熱用流路の上流側端部とを接続する給水側戻り路から構成され、
前記給湯用加熱部が、前記即湯用加熱部に兼用されている点にある。
【0042】
すなわち、即湯用加熱部として、給湯用加熱部を利用し、即湯用循環回路を、給湯用加熱部にて加熱された湯水を給湯栓に導く給湯路、給湯用加熱部における給水路と給湯路とを接続する加熱用流路、及び、給湯路の給湯栓側端部箇所と給水路の下流側端部又は加熱用流路の上流側端部とを接続する給水側戻り路から構成する。
【0043】
このように、即湯用加熱部として、給湯用加熱部を利用するものであるから、給湯栓に給湯するための構成を利用した簡素な構成にて、即湯用加熱処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図3】別実施形態の即湯式給湯装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(即湯式給湯装置の全体構成)
図1に示すように、即湯式給湯装置は、台所や洗面所の給湯栓1に給湯する給湯器G及び即湯ユニットHを備えている。給湯器Gは、屋外に設置され、即湯ユニットHは、屋外又は屋内に設置される。
本実施形態においては、給湯栓1は、湯と水とを混合する混合栓式の給湯栓である。
尚、給湯器Gは、給湯栓1に加えて浴槽(図示せず)に給湯する機能を備えることになるが、本実施形態においては、浴槽に給湯する構成についての詳細を省略する。
【0046】
給湯器Gは、当該給湯器Gの運転を制御する給湯側制御部Cgを備え、即湯ユニットHは、当該即湯ユニットHの運転を制御するユニット側制御部Chを備えている。そして、給湯側制御部Cgとユニット側制御部Chとが通信線Dにて各種情報を通信自在に接続されている。
本実施形態では、給湯側制御部Cgとユニット側制御部Chとから、後述する即湯用加熱処理及び実行牽制処理を実行する運転制御部Cが構成されている。
【0047】
給湯側制御部Cgに対して各種制御指令を指令する手動操作式指令部としてのリモコンRが設けられている。ちなみに、リモコンRとしては、台所などに設置されるメインリモコンや浴室に設置される浴室リモコンが存在する。
リモコンRには、給湯器G及び即湯ユニットHの運転の開始と停止を指令する運転スイッチ、出湯する湯水の設定目標温度を設定する目標温度設定部、後述する即湯用加熱処理の開始と停止を指令する即湯スイッチ等の各種の指令を行う指令スイッチ類、及び、即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令された場合において、即湯用加熱処理の実行を許可する運転時間帯を設定する運転時間帯設定部T、設定目標温度や運転時間帯等の各種情報を表示する表示部等が設けられている。
さらに、リモコンRには、後述する即湯用加熱処理において湯水を加熱する設定目標温度を設定する即湯用温度設定部が設けられている。
【0048】
図1に示すように、給湯器Gには、一般家庭用の水道管に接続された給水路2からの水を加熱して、加熱後の湯水を給湯路3に出湯する給湯用加熱部Aが設けられ、給湯路3における下流側端部に、給湯栓1が接続されている。
また、給水路2から分岐する分岐給水路4が、給湯栓1に接続されている。
【0049】
(給湯用加熱部の構成)
給湯用加熱部Aは、入口側に給水路2が接続され且つ出口側に給湯路3が接続される加熱用流路5aの途中に配設される給湯用熱交換器5、当該給湯用熱交換器5を加熱する給湯バーナ6、及び、当該給湯バーナ6に燃焼用空気を供給する給湯用送風ファン7を備えて、加熱用流路5aを流動する湯水を給湯バーナ6の燃焼ガスにて加熱するように構成されている。
ちなみに、
図1において、Z1は給水路2と加熱用流路5aとの接続箇所を示し、Z2は給湯路3と加熱用流路5aとの接続箇所を示す。
【0050】
給湯用加熱部Aに装備された給湯バーナ6には、都市ガス等の燃料ガスを供給する給湯側ガス供給路8が接続されている。
給湯側ガス供給路8には、燃料ガス供給量を調整する電磁式のガス比例弁9、燃料ガスの供給を断続する断続弁10が設けられている。
尚、図示を省略するが、給湯バーナ6の近くには、点火用のイグナイタ及び着火を検出するフレームロッドが設けられることになる。
【0051】
(一般給湯用構成)
加熱用流路5aにおける給湯用熱交換器5よりも給水路2の存在側の流路部分には、給水温度を検出する給水サーミスタ11(給水温度センサの一例)と給水量を検出する水量センサ12とが設けられている。
また、加熱用流路5aにおける給湯用熱交換器5よりも給湯路3の存在側の流路部分には、湯水の温度を検出する給湯サーミスタ13(給湯温度センサの一例)が設けられている。
【0052】
(一般給湯運転)
運転制御部Cにおける給湯側制御部Cgは、運転スイッチが入り操作されると制御可能な状態になり、給湯栓1が開操作されると給湯栓1から湯水を給湯する給湯運転を実行する。
すなわち、給湯側制御部Cgは、水量センサ12による検出水量が点火用所定量以上になると、給湯運転を実行する。
【0053】
給湯運転においては、給湯用加熱部Aにおける給湯用送風ファン7を駆動した後、断続弁10を開弁してイグナイタにより給湯バーナ6に点火し、目標温度設定部により設定された設定目標温度、水量センサ12の検出水量、給水サーミスタ11の検出される給水温度及び給湯サーミスタ13にて検出される出湯温度に基づいて、給湯サーミスタ13にて検出される出湯温度が目標温度設定部にて設定された設定目標温度になるように、ガス比例弁9の開度を調節する処理が実行される。
そして、水量センサ12により通水が検出されなくなると、断続弁10を閉弁して給湯バーナ6の燃焼を停止し、給湯用送風ファン7を停止して、給湯運転が終了されることになる。
【0054】
(熱媒供給構成)
図1に示すように、給湯器Gは、床暖房用装置や浴室暖房乾燥機等の熱消費端末に循環供給する熱媒を加熱する熱媒用加熱部Bを備え、即湯ユニットHには、即湯用加熱部Kとして、熱媒用加熱部Bにて加熱された熱媒が循環供給される液々熱交換器21が設けられている。
給湯器Gには、熱媒用加熱部Bを経由して熱媒を循環させるための熱媒循環回路Lと、当該熱媒循環回路Lを通して熱媒を循環させる熱媒循環ポンプ22とが設けられている。
【0055】
熱媒用加熱部Bは、熱媒循環回路Lの途中に配設される熱媒加熱用熱交換器25、当該熱媒加熱用熱交換器25を加熱する熱媒加熱バーナ26、及び、当該熱媒加熱バーナ26に燃焼用空気を供給する熱媒用送風ファン27を備えて、熱媒循環回路Lを流動する熱媒を熱媒加熱バーナ26の燃焼ガスにて加熱するように構成されている。
ちなみに、熱媒加熱用熱交換器25には、熱媒循環回路Lの熱媒戻り路23が入口側に接続され且つ熱媒循環回路Lの熱媒往き路24が出口側に接続されている。
【0056】
熱媒用加熱部Bに装備された熱媒加熱バーナ26には、都市ガス等の燃料ガスを供給する熱媒側ガス供給路28が接続されている。
熱媒側ガス供給路28には、燃料ガス供給量を調整する電磁式の熱媒側ガス比例弁29、燃料ガスの供給を断続する熱媒側断続弁30が設けられている。
尚、図示を省略するが、熱媒加熱バーナ26の近くには、点火用のイグナイタ及び着火を検出するフレームロッドが設けられている。
【0057】
熱媒戻り路23の入口側端部には熱媒戻りヘッダ31が設けられ、熱媒往き路24の出口側端部には、熱媒往きヘッダ32が設けられている。そして、熱媒往きヘッダ32からの熱媒を液々熱交換器21に供給する熱媒端末往き路33が設けられ、液々熱交換器21からの熱媒を熱媒戻りヘッダ31に供給する熱媒端末戻り路34が設けられている。
熱媒端末往き路33には、熱媒の供給を断続する熱動弁35が設けられている。
【0058】
熱媒戻り路23には、膨張タンク36及び上述した熱媒循環ポンプ22が配設され、熱媒往き路24には、供給される熱媒の温度を検出する熱媒サーミスタ37が設けられている。
ちなみに、熱媒往きヘッダ32と熱媒戻りヘッダ31との間には、他の熱消費端末との間で熱媒を循環させる熱媒端末往き路33や熱媒端末戻り路34が設けられることになるが、本実施形態では詳細な説明を省略する。
また、熱動弁35を閉じたときに、熱媒往き路24の熱媒を熱媒戻り路23に短絡して流動させるための接続路が設けられることになるが、本実施形態では記載を省略する。
【0059】
(端末加熱運転)
給湯側制御部Cgは、リモコンRにて端末加熱運転の開始が指令されると、端末加熱運転を実行する。本実施形態では、給湯側制御部Cgは、即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令されているときに、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯である場合においても端末加熱運転を実行する。
端末加熱運転においては、熱媒循環ポンプ22を作動させて熱媒を循環させ、かつ、熱媒用送風ファン27を作動させながら熱媒加熱バーナ26を燃焼させることになり、加えて、熱媒サーミスタ37の検出温度が熱媒用供給温度(例えば、65℃)になるように、熱媒側ガス比例弁29の開度を調整することになる。
【0060】
ちなみに、給湯側制御部Cgは、後述する即湯用加熱処理において液々熱交換器21を加熱作動させる際には、熱動弁35を開いて、熱媒を液々熱交換器21に循環供給することになる。
また、給湯側制御部Cgは、後述する即湯用加熱処理の実行を開始する際には、ユニット側制御部Chに開始指令を指令することになり、ユニット側制御部Chは、後述する即湯用加熱処理において、後述する循環ポンプ15を作動させることになる。
【0061】
(即湯用構成)
少なくとも給湯路3を含んで構成される即湯用循環回路Jが設けられている。本実施形態においては、即湯用循環回路Jが、給湯路3の給湯栓側端部箇所(給湯栓1の近くに位置する箇所、つまり、給湯路3の下流側端部箇所)と給湯路3における上流側箇所(給湯路3と加熱用流路5aとの接続箇所Z2の近くに位置する箇所、つまり、給湯路3の上流側端部箇所)とを接続する給湯側戻り路38、及び、給湯路3から構成されている。
本実施形態においては、給湯側戻り路38が、即湯ユニットHの内部を通過する状態で設けられている。
ちなみに、給湯路3における給湯側戻り路38の接続箇所よりも上流側箇所には、逆流を防止する給湯側逆止弁39が設けられている。
【0062】
即湯用循環回路Jの湯水を循環させる循環ポンプ15、及び、即湯用循環回路Jの湯水を加熱する即湯用加熱部Kとしての液々熱交換器21が、給湯側戻り路38における即湯ユニットHの内部に位置する部分に配設されている。
また、湯水温度検出センサMとして、給湯側戻り路38における即湯ユニットHの内部に位置する部分に配置される戻り温度センサ40が設けられている。
【0063】
つまり、即湯用循環回路Jに、循環ポンプ15、即湯用加熱部K、湯水温度検出センサMが設けられている。
また、即湯ユニットHの内部に位置する給水側戻り路14における循環ポンプ15の下流側箇所に、逆流防止用のユニット側逆止弁16が設けられている。
【0064】
尚、給湯側戻り路38における給湯側端部箇所と循環ポンプ15との間に相当する流路部分に、空気放出弁17及び湯水の膨張を吸収するアキュームレータ18が設けられている。
【0065】
従って、運転制御部Cは、循環ポンプ15を作動させて、即湯用循環回路Jの内部の湯水を循環させた状態において、即湯用加熱部K(液々熱交換器21)を加熱作動させることにより、即湯用循環回路Jの内部の湯水を設定目標温度(例えば、60℃)に昇温させることができるように構成されている。
【0066】
(即湯用加熱処理)
運転制御部Cは、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令されると、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯において、即湯用加熱処理を実行することが可能となるように構成されている。
【0067】
本実施形態においては、即湯用加熱処理として、循環ポンプ15を停止しかつ液々熱交換器21の加熱作動を停止した状態において、戻り温度センサ40にて検出される検出温度が設定目標温度(例えば、60℃)より設定温度(例えば、5℃)低い設定加熱開始温度以下に低下すると、循環ポンプ15を作動させ且つ液々熱交換器21を加熱作動させ、その後、戻り温度センサ40にて検出される即湯用循環回路J内の湯水の温度が設定目標温度(例えば、60℃)になると、循環ポンプ15の作動を停止且つ液々熱交換器21の加熱作動を停止する処理を繰り返し実行することになる。
【0068】
ちなみに、運転制御部Cは、上述の如く、水量センサ12による検出水量が点火用所定量以上になることにより給湯運転を実行するときに、即湯用加熱処理を実行中の場合には、給湯運転を終了するまで、その即湯用加熱処理を中断し、また、給湯運転の実行中においては、即湯用加熱処理の実行を開始しないことになる。
【0069】
(実行牽制処理)
本実施形態では、給湯栓1から給湯される湯水温度が低いことを示す指標を検出する指標検出部Fが設けられている。
そして、運転制御部Cが、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を開始する実行牽制処理を実行するように構成されている。
【0070】
すなわち、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令され、加えて、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯であるときに、運転制御部Cが、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を開始するように構成されている。
つまり、運転制御部Cが、即湯用加熱処理の実行を停止しているときに、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別しない場合には、即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令され、加えて、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯であっても、即湯用加熱処理の実行を開始しないように構成されている。
【0071】
また、運転制御部Cが、即湯用加熱処理の実行を開始した後において、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態でないと判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を停止するように構成されている。
【0072】
本実施形態においては、指標検出部Fが、指標として、給水路2の給水温度及び外気温度を検出するように構成されている。具体的には、本実施形態では、上述した給水サーミスタ11の検出温度を給水路2の給水温度として用い、そして、給湯器Gの内部における外部と連通する箇所に、外気温度を検出する外気温度センサNが設けられている(
図1参照)。
【0073】
そして、運転制御部Cが、給水温度が設定水温度以下(例えば、10℃以下)であるか外気温度が設定外気温度以下(例えば、15℃以下)であるかのうちの少なくともいずれか一方が満たされた状態であるとき、加熱必要状態であると判別するように構成されている。
ちなみに、例えば、設定水温度及び設定外気温度をリモコンRにて変更設定できるようにする等、設定水温度及び設定外気温度を使用者にて変更設定できるようにするとよい。
【0074】
(実行牽制処理の詳細)
次に、実行牽制処理における運転制御部Cの制御作動について、
図2のフローチャートに基づいて説明を加える。
先ず、即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令されているか否か、つまり、即湯スイッチがONであるか否かが判別され(#1)、即湯スイッチがONである場合には、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯であるか否かが判別され(#2)、運転時間帯である場合には、加熱必要状態であるか否かが判別される(#3)。
【0075】
#1の処理にて即湯スイッチがONでないと判別された場合には、即湯スイッチがONになるまで待機することになり、#2にて運転時間帯でないと判別された場合には、#1の処理に移行することになり、#3にて加熱必要状態でないと判別された場合には、#1の処理に移行することになる。
【0076】
そして、#3の処理にて、加熱必要状態であると判別された場合には、即湯用加熱処理の実行が開始される(#4)。
その後、即湯スイッチがONであるか否かが判別され(#5)、即湯スイッチがONでないと判別した場合には、即湯用加熱処理の実行が停止される(#8)。
【0077】
#5の処理にて、即湯スイッチがONであると判別された場合には、次に、運転時間帯であるか否かが判別され(#6)、運転時間でないと判別された場合には、#8の処理に移行して、即湯用加熱処理の実行が停止される。
【0078】
#6の処理にて、運転時間であると判別された場合には、続いて、加熱必要状態であるか否かが判別され(#7)、加熱必要状態であると判別された場合には、#5の処理に移行し、加熱必要状態でない判別された場合には、#8の処理に移行して、即湯用加熱処理の実行が停止される。
そして、#8の処理を実行した後は、#1の処理に移行することになる。
【0079】
〔別実施形態〕
次に、
図3に基づいて別実施形態を説明するが、この別実施形態は、給湯器Gに、上記実施形態において説明した給湯用加熱部Aが備えられるが、上記実施形態において説明した熱媒用加熱部Bが省略される場合を例示するものであって、上記実施形態と同様な構成については、上記実施形態と同様な符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0080】
(即湯用構成)
少なくとも給湯路3を含んで構成される即湯用循環回路Jが設けられている。本実施形態においては、即湯用循環回路Jが、給湯路3、給湯用加熱部Aにおける給水路2と給湯路3とを接続する加熱用流路5a、給湯路3の給湯栓側端部箇所(給湯栓1の近くに位置する箇所、つまり、給湯路3の下流側端部箇所)と給水路2の下流側端部箇所(給水路3における加熱用流路5aに接続される箇所の近く)とを接続する給水側戻り路14から構成されている。
本実施形態においては、給水側戻り路14が、即湯ユニットHの内部を通過する状態で設けられている。
【0081】
そして、即湯用循環回路Jに、循環ポンプ15、即湯用加熱部K、湯水温度検出センサMが設けられている。
本実施形態では、即湯用加熱部Kが給湯用加熱部Aを兼用して構成され、湯水温度検出センサMが、加熱用流路5aにおける給湯用熱交換器5よりも給水路2の存在側の流路部分に配設される給水サーミスタ11を兼用して構成されている。
本実施形態では、循環ポンプ15が即湯ユニットHの内部に配置され、又、即湯ユニットHの内部に位置する給水側戻り路14における循環ポンプ15の下流側箇所に、逆流防止用のユニット側逆止弁16が設けられている。
【0082】
また、給水側戻り路14における給湯側端部箇所と循環ポンプ15との間に相当する流路部分に、空気放出弁17及び湯水の膨張を吸収するアキュームレータ18が設けられている。
さらに、給水路2における分岐給水路4の分岐箇所と給水側戻り路14の接続箇所との間に相当する流路部分に、逆流防止用の給水路側逆止弁19が設けられている。
【0083】
従って、循環ポンプ15を作動させて、即湯用循環回路Jの内部の湯水を循環させた状態において、給湯用加熱部Aを加熱作動させることにより、即湯用循環回路Jの内部の湯水を設定目標温度(例えば、60℃)に昇温させることができるように構成されている。
【0084】
(一般給湯運転)
給湯側制御部Cg(運転制御部C)は、運転スイッチが入り操作されると制御可能な状態になり、給湯栓1が開操作されると給湯栓1から湯水を給湯する給湯運転を実行することになる。
すなわち、給湯側制御部Cgは、即湯用加熱処理を実行していないときに、水量センサ12による検出水量が点火用所定量以上になると、給湯運転を実行する。これは、上記実施形態と同様である。
【0085】
また、運転制御部Cにおける給湯側制御部Cgは、後述の如く、循環ポンプ15が作動されて、即湯用加熱処理を実行しているときには、水量センサ12による検出水量が点火用所定量に設定増加量を加えた設定判別量以上になると、給湯運転を実行する。ちなみに、給湯側制御部Cgは、給湯運転を実行するときには、ユニット側制御部Chに給湯信号を送信して、循環ポンプ15を停止させて、即湯用加熱処理を停止することになる。
【0086】
つまり、運転制御部Cは、即湯用加熱処理においては、循環ポンプ15を作動させて、水量センサ12による検出水量が点火用所定量になる状態で湯水を循環させることになるが、その循環状態において、水量センサ12による検出水量が点火用所定量に設定増加量を加えた設定判別量以上になる場合には、給湯栓1が開操作された状態であるとして、循環ポンプ15を停止させて、給湯運転を実行することになる。
給湯運転の詳細は、上記実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0087】
(即湯用加熱処理)
運転制御部Cは、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令されると、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯において、即湯用加熱処理を実行することが可能となるように構成されている。
【0088】
本実施形態においては、即湯用加熱処理として、循環ポンプ15を停止しかつ給湯用加熱部Aの加熱作動を停止した状態において、給水サーミスタ11にて検出される給水温度が設定目標温度(例えば、60℃)より設定温度(例えば、5℃)低い設定加熱開始温度下に低下すると、循環ポンプ15を作動させ且つ給湯用加熱部Aを加熱作動させて、循環される湯水を設定目標温度(例えば、60℃)に昇温し、その後、給水サーミスタ11にて検出される即湯用循環回路J内を循環される湯水の温度が設定目標温度(例えば、60℃)になると、循環ポンプ15の作動を停止し且つ給湯用加熱部Aの加熱作動を停止する処理を繰り返し実行することになる。
【0089】
ちなみに、運転制御部Cは、上述の如く、給湯運転を実行するときに、即湯用加熱処理を実行中の場合には、給湯運転を終了するまで、その即湯用加熱処理を中断することになる。
【0090】
(実行牽制処理)
本実施形態では、給湯栓1から給湯される湯水温度が低いことにより使用者に与える不快感を示す指標を検出する指標検出部Fが設けられている。
そして、運転制御部Cが、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を開始する実行牽制処理を実行するように構成されている。
【0091】
すなわち、運転スイッチが入り操作された状態で即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令され、加えて、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯であるときに、運転制御部Cが、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を開始するように構成されている。
つまり、運転制御部Cが、即湯用加熱処理の実行を停止しているときに、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であると判別しない場合には、即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令され、加えて、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯であっても、即湯用加熱処理の実行を開始しないように構成されている。
【0092】
また、運転制御部Cが、即湯用加熱処理の実行を開始した後において、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態でないと判別した場合には、即湯用加熱処理の実行を停止するように構成されている。
【0093】
本実施形態においては、指標検出部Fが、指標として、外気温度及び外気湿度を検出するように構成されている。具体的には、本実施形態では、給湯器Gの内部における外部と連通する箇所に、外気温度Na(℃)を検出する外気温度センサN及び外気湿度(相対湿度)Rh(%)を検出する外気湿度センサOが設けられている(
図4参照)。
【0094】
そして、運転制御部Cが、例えば、10分間隔など、定期的に外気温度Na(℃)及び外気湿度Rh(%)を読み込み、外気温度Na(℃)及び外気湿度Rh(%)に基づいて、下記式(1)にて求められる不快指数THが設定値60未満の場合には、加熱必要状態であると判別するように構成されている。
TH=0.81Na+0.01Rh(0.99Na-14.3)+46.3---(1)
ちなみに、不快指数THを求めるにあたり、外気湿度Rh(%)として相対湿度を用いるに代えて、絶対湿度を用いるようにしてもよい。
【0095】
尚、例えば、不快指数THの設定値をリモコンRにて変更設定できるようにする等、不快指数THの設定値を使用者にて変更設定できるようにするとよい。
【0096】
〔その他の別実施形態〕
次にその他の別実施形態を説明する。
(1)上記実施形態及び別実施形態においては、運転制御部Cが、給湯側制御部Cgとユニット側制御部Chとから構成される場合を例示したが、ユニット側制御部Chを省略して、給湯側制御部Cgにて運転制御部Cを構成する形態で実施してもよい。
つまり、給湯側制御部Cgが、循環ポンプ15の作動を直接制御するようにする等、ユニット側制御部Chを省略する形態で実施してもよい。
【0097】
(2)上記実施形態においては、給水温度が設定水温度以下であるか外気温度が設定外気温度以下であるかのうちの少なくとも一方が満たされた状態であるとき、加熱必要状態であると判別する場合を例示したが、給水温度が設定水温度以下であり且つ外気温度が設定外気温度以下であるときに、加熱必要状態であると判別する形態で実施してもよい。
【0098】
(3)上記実施形態においては、指標検出部Fが、指標として、給水温度及び外気温度を検出する場合を例示したが、指標検出部Fが、指標として、給水温度又は外気温度を検出する形態で実施してもよい。
そして、運転制御部Cが、指標が給水温度の場合は給水温度が設定水温度以下であるときに、加熱必要状態であると判別するように構成し、又は、指標が外気温度の場合は外気温度が設定外気温度以下であるときに、加熱必要状態であると判別するように構成してもよい。
【0099】
(4)上記実施形態及びその他の別の実施形態において説明した加熱必要状態を判別する構成は、上記別実施形態において加熱必要状態を判別する構成として用いてもよく、また、上記別実施形態において説明した加熱必要状態を判別する構成は、上記実施形態において加熱必要状態を判別する構成として用いてもよい。
【0100】
(5)加熱必要状態を判別する構成としては、上述の構成に代えて、下記の構成を適用することができる。
すなわち、指標検出部Fが、指標として、室内温度及び室内湿度を検出するように構成されている。例えば、
図4に示す如く、室内のリモコンRに、室内温度Pa(℃)を検出する室内温度センサP及び室内湿度(相対湿度)Qh(%)を検出する室内湿度センサQが設けられている。
【0101】
そして、運転制御部Cが、例えば、10分間隔など、定期的に室内温度Pa(℃)及び室内湿度Qh(%)を読み込み、室内温度Pa(℃)及び室内湿度Qh(%)に基づいて、下記式(2)にて求められる不快指数THが設定値60未満の場合には、加熱必要状態であると判別するように構成されている。
TH=0.81Pa+0.01Qh(0.99Pa-14.3)+46.3---(2)
ちなみに、不快指数THを求めるにあたり、室内湿度Qh(%)として相対湿度を用いるに代えて、絶対湿度を用いるようにしてもよい。
【0102】
このように、室内温度Pa(℃)及び室内湿度Qh(%)に基づいて求められる不快指数THにて、加熱必要状態であることを判別する場合には、上記指標として、室内温度及び室内湿度に加えて、給水温度を検出するようにしてもよい。例えば、
図4に示す如く、給水サーミスタ11の検出情報を運転制御部Cに入力する。
そして、
図5の表に示す如く、運転制御部Cが、不快指数THが設定値60以上であっても、給水温度が設定温度(7℃)未満の場合には、加熱必要状態であると判別するように構成してもよい。
このように構成することにより、暖房などにより室内温度Paが高いが、給水温度が低い場合において、加熱必要状態であると判別させることができるものとなる。
尚、例えば、不快指数THの設定値や給水温度の設定水温度をリモコンRにて変更設定できるようにする等、不快指数THの設定値を使用者にて変更設定できるようにするとよい。
【0103】
(6)上記実施形態及び別の実施形態では、即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令され、加えて、運転時間帯設定部Tにて設定される運転時間帯であるときに、運転制御部Cが、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であることを判別する形態を例示したが、運転時間帯を設定する運転時間帯設定部Tを省略して、即湯スイッチにて即湯用加熱処理の開始が指令された状態において、運転制御部Cが、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であることを判別する形態で実施してもよい。
また、即湯スイッチを省略して、運転スイッチが入り操作されて、運転制御部Cが制御可能な状態なったときに、指標検出部Fにて検出される指標に基づいて加熱必要状態であることを判別すると、即湯用加熱処理の実行を開始する形態で実施してもよい。
【0104】
(7)本発明を実施するにあたり、即湯用加熱処理を強制的に開始させることを指令する強制スイッチを設けて、加熱必要状態であることが判別されていなくても、使用者が、強制スイッチを操作して、即湯用加熱処理の実行を強制的に開始させるようにするようにしてもよい。
この場合、強制スイッチによる即湯用加熱処理の実行を強制的に開始させる指令が解除されると、即湯用加熱処理の実行を停止させるようにするとよい。
【0105】
(8)上記別実施形態では、熱媒が循環供給される液々熱交換器21を即湯用加熱部Kとして設ける場合を例示したが、液々熱交換器21に代えて、電気ヒータにて加熱されるヒータ式加熱部などの適宜の加熱部を即湯用加熱部Kとして設ける形態で実施してもよい。
【0106】
(9)上記別実施形態では、給水側戻り路14を、給湯路3の給湯栓側端部箇所と給水路2の下流側端部とを接続する形態で設けるようにしたが、これに代えて、給水側戻り路14を、給湯路3の給湯栓側端部箇所と加熱用流路5aの上流側端部とを接続する形態で設けるようにしてもよい。
【0107】
(10)上記実施形態及び別実施形態においては、給湯栓1として、混合栓式の給湯栓を例示したが、給湯栓1として、単に、給湯路3からの湯水を給湯する給湯栓を適用してもよい。この場合には、即湯用加熱処理において、給湯栓1から給湯する温度(例えば、40℃)を設定目標温度として、即湯用循環回路Jの内部の湯水を加熱することになる。
【0108】
(11)本発明を実施するにあたり、即湯用加熱処理の具体的形態として、設定時間が経過する毎に、循環ポンプ15及び即湯用加熱部Kを作動させ、湯水温度検出センサMが検出する即湯用循環回路内の湯水の温度が設定目標温度以上になると、循環ポンプ15及び即湯用加熱部Kを停止させることを繰り返す形態を採用してもよい。
【0109】
(12)上記実施形態及び別実施形態においては、即湯ユニットHを給湯器Gの外部に設ける形態を例示したが、即湯ユニットHを給湯器Gの内部に設けるようにしてもよい。
【0110】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 給湯栓
3 給湯路
4 給水路
14 給水側戻り路
15 循環ポンプ
38 給湯側戻り路
40 戻り温度センサ
A 給湯用加熱部
C 運転制御部
F 指標検出部
K 即湯用加熱部
M 温水温度検出センサ
J 即湯用循環回路
T 運転時間帯設定部