(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114021
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20240816BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240816BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019378
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】有馬 亮介
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB04
3D038AC02
3D235AA16
3D235CC13
3D235HH02
(57)【要約】
【課題】吸気口からダクトの内部に侵入した異物がヒートシンクやファンに侵入することによって生じる冷却性能の低下を抑制する。
【解決手段】牽引車10は、車体11と、車体11に設けられるとともに空気が内部を流れるダクト30と、ダクト30の外部からダクト30の内部に空気を流入させるための吸気口と、ダクト30の内部からダクト30の外部に空気を排出するための排気口42と、ダクト30の内部の空気の流れを駆動によって生じさせるファン35と、ダクト30の内部を流れる空気を用いてモータドライバ23を冷却するヒートシンク34と、を備え、バッテリを動力源とする。車体11は、後輪19の上部に設けられるとともに後輪19を収容するタイヤハウスを構成するタイヤハウスカバーを備える。吸気口は、タイヤハウスカバーの上部に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に設けられるとともに空気が内部を流れるダクトと、
前記ダクトの外部から前記ダクトの内部に空気を流入させるための吸気口と、
前記ダクトの内部から前記ダクトの外部に空気を排出するための排気口と、
前記ダクトの内部の空気の流れを駆動によって生じさせるファンと、
前記ダクトの内部を流れる空気を用いて冷却対象を冷却するヒートシンクと、を備え、バッテリを動力源とする産業車両であって、
前記車体は、車輪の上部に設けられるとともに前記車輪を収容するタイヤハウスを構成するタイヤハウスカバーを備え、
前記吸気口は、前記タイヤハウスカバーの上部に位置することを特徴とする産業車両。
【請求項2】
前記産業車両は、コンタクタと、前記車体に設けられるとともに前記コンタクタを内部に収容するコンタクタカバーと、を備え、
前記コンタクタカバーの内部は、前記ダクトの内部と連通し、
前記吸気口は、前記コンタクタカバーに形成されている請求項1に記載の産業車両。
【請求項3】
前記コンタクタカバーは、前記コンタクタカバーの内部と外部とを連通させる開口部を備え、
前記ダクトは、前記開口部を囲むように設けられるとともに、前記開口部を介して前記コンタクタカバーの内部と連通するように前記車体に設けられ、
前記コンタクタカバーと前記ダクトとの間に介在するとともに押圧を受けて縮小変形する介在部材を備える請求項2に記載の産業車両。
【請求項4】
前記排気口は、前記車体を構成するハウジングに隣接するとともに、前記車体の下部に向けて開口する請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の産業車両。
【請求項5】
前記車体は、上方に開口するとともに収容空間を内部に区画形成するハウジングを備え、
前記バッテリ及び前記吸気口は、前記収容空間に設けられ、
前記ハウジングは、上方からバッテリフードによって塞がれている請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の産業車両。
【請求項6】
前記車輪を駆動させるモータと、前記モータを駆動させるモータドライバと、を備え、
前記冷却対象は、モータドライバである請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、産業車両の一例として牽引車が記載されている。特許文献1に記載の牽引車は、バッテリを動力源とするものである。牽引車の車輪は、タイヤハウスに収容されている。
【0003】
産業車両としては、産業車両に搭載された冷却対象を冷却するための機構を備えたものが知られている。こうした機構は、例えば、空気が内部を流れるダクトと、ダクトの外部からダクトの内部に空気を流入させるための吸気口と、ダクトの内部からダクトの外部に空気を排出するための排気口と、ファンと、ヒートシンクと、を備える。ファンの駆動によって、ダクトの内部に空気の流れが生じる。ヒートシンクは、ダクトの内部を流れる空気を用いて冷却対象を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
産業車両の走行時には、車輪の回転によって路面から車輪よりも上部に向けて異物が巻き上げられるおそれがある。こうした異物が吸気口からダクトの内部に侵入すると、異物がヒートシンクやファンに侵入することによって冷却性能が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する産業車両は、車体と、前記車体に設けられるとともに空気が内部を流れるダクトと、前記ダクトの外部から前記ダクトの内部に空気を流入させるための吸気口と、前記ダクトの内部から前記ダクトの外部に空気を排出するための排気口と、前記ダクトの内部の空気の流れを駆動によって生じさせるファンと、前記ダクトの内部を流れる空気を用いて冷却対象を冷却するヒートシンクと、を備え、バッテリを動力源とする産業車両であって、前記車体は、車輪の上部に設けられるとともに前記車輪を収容するタイヤハウスを構成するタイヤハウスカバーを備え、前記吸気口は、前記タイヤハウスカバーの上部に位置することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、産業車両の走行時に車輪の回転によって路面から車輪よりも上部に向けて異物が巻き上げられたとしても、異物がタイヤハウスカバーに衝突することで、タイヤハウスカバーよりも上部に位置する吸気口からダクトの内部に侵入しにくい。したがって、吸気口からダクトの内部に侵入した異物がヒートシンクやファンに侵入することによって生じる冷却性能の低下を抑制できる。
【0008】
産業車両において、前記産業車両は、コンタクタと、前記車体に設けられるとともに前記コンタクタを内部に収容するコンタクタカバーと、を備え、前記コンタクタカバーの内部は、前記ダクトの内部と連通し、前記吸気口は、前記コンタクタカバーに形成されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、吸気口の形成箇所としてコンタクタカバーを利用できるとともに、コンタクタカバーの内部を吸気口とダクトとを繋げる空気の流路として利用できる。したがって、吸気口および上記の流路を車体に別途設ける場合と比較して、産業車両の大型化を抑制できる。
【0010】
産業車両において、前記コンタクタカバーは、前記コンタクタカバーの内部と外部とを連通させる開口部を備え、前記ダクトは、前記開口部を囲むように設けられるとともに、前記開口部を介して前記コンタクタカバーの内部と連通するように前記車体に設けられ、前記コンタクタカバーと前記ダクトとの間に介在するとともに押圧を受けて縮小変形する介在部材を備えてもよい。
【0011】
上記構成によれば、コンタクタカバーおよびダクトにおける個体差によって、コンタクタカバーとダクトとの間の隙間の寸法が小さくなっても、その隙間の寸法に応じて介在部材が縮小変形する。したがって、コンタクタカバーとダクトとの間の隙間を好適に塞ぐことができる。
【0012】
産業車両において、前記排気口は、前記車体を構成するハウジングに隣接するとともに、前記車体の下部に向けて開口してもよい。
上記構成によれば、仮に排気口がハウジングに向けて開口する場合、排気口からの空気の排出を妨げないためにハウジングにおける排気口との対向部分に孔を設けることが考えられるが、上記構成ではそうした孔の形成が不要である。したがって、ハウジングへの孔の形成を省略できることによって、そうした孔の形成に伴って生じる車体の強度低下を抑制できる。
【0013】
産業車両において、前記車体は、上方に開口するとともに収容空間を内部に区画形成するハウジングを備え、前記バッテリ及び前記吸気口は、前記収容空間に設けられ、前記ハウジングは、上方からバッテリフードによって塞がれていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、吸気口はバッテリフードよりも下方に位置するため、吸気口はバッテリフードよりも上方に位置する場合よりも車輪により近い位置にある。こうした場合でも、吸気口がタイヤハウスカバーの上部に位置することにより、吸気口からダクトの内部への異物の侵入を抑制できる。
【0015】
産業車両において、前記車輪を駆動させるモータと、前記モータを駆動させるモータドライバと、を備え、前記冷却対象は、モータドライバであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、吸気口からダクトの内部に侵入した異物がヒートシンクやファンに侵入することによって生じる冷却性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、産業車両を牽引車に具体化した実施形態を図面にしたがって説明する。
<牽引車の概要>
図1に示すように、産業車両としての牽引車10は、車体11を備える。牽引車10は、車体11の後部に台車などの牽引対象と連結される連結部11aを備える。牽引車10は、連結部11aに連結された牽引対象を牽引する。牽引対象は、例えば、搬送物を搭載可能な台車である。以下の説明においては、車体11の前後左右上下を、単に前後左右上下ともいう。左右方向を車幅方向ともいう。
【0019】
牽引車10は、運転席12と、バッテリハウジング13と、を備える。バッテリハウジング13は、車体11を構成するハウジングとして機能する。詳細には、バッテリハウジング13は、車体11の後部を構成する。バッテリハウジング13は、運転席12の下部と運転席12よりも後方とに設けられている。
【0020】
バッテリハウジング13は、上方に開口するとともに収容空間Sを内部に区画形成する。収容空間Sの前方、後方、左方、および右方にバッテリハウジング13が設けられることにより、収容空間Sが区画形成されている。バッテリハウジング13は、上方からバッテリフード14によって塞がれている。作業者がバッテリフード14を変位させることにより、バッテリハウジング13の上方への開口は開閉可能となっている。バッテリ15は、収容空間Sに設けられている。これにより、バッテリハウジング13の内部には、バッテリ15が収容されている。
【0021】
車体11は、タイヤハウスとしての第1タイヤハウス16と、タイヤハウスとしての第2タイヤハウス17と、を備える。第1タイヤハウス16及び第2タイヤハウス17の各々は、車体11の車幅方向の両側に設けられている。第1タイヤハウス16は、車体11の前下部に位置する。第2タイヤハウス17は、車体11の後下部に位置する。第1タイヤハウス16は、車輪としての前輪18を収容する。第2タイヤハウス17は、車輪としての後輪19を収容する。
【0022】
図2に示すように、車体11は、タイヤハウスカバー21を備える。タイヤハウスカバー21は、車輪としての後輪19の上部に設けられる。タイヤハウスカバー21は、後輪19の上部にて、後輪19から離れた位置で延びる板状である。タイヤハウスカバー21は、後輪19を収容するタイヤハウスとしての第2タイヤハウス17を構成する。収容空間Sは、タイヤハウスカバー21よりも上方に位置する。
【0023】
図示は省略しているが、タイヤハウスカバー21は、後輪19の上部に加えて、車輪としての前輪18の上部に設けられる。前輪18の上部に設けられるタイヤハウスカバー21は、前輪18を収容するタイヤハウスとしての第1タイヤハウス16を構成する。
【0024】
図1に示すように、牽引車10は、モータ22を備える。モータ22は、バッテリ15を電力源として駆動する。これにより、モータ22は、車輪としての後輪19を駆動させる。本実施形態における牽引車10は、バッテリ15を動力源とするものである。後輪19が駆動輪として機能する。なお、バッテリ15の電力は、モータ22や、後述するコンタクタ24、モータドライバ23、ファン35等の、電力を要する部品に供給される。
【0025】
図3に示すように、牽引車10は、モータ22を駆動させるモータドライバ23を備える。モータドライバ23は、モータ22の回転に関わる駆動を制御するための装置である。モータドライバ23は、収容空間Sに設けられている。
【0026】
<コンタクタ及びコンタクタカバー>
牽引車10は、コンタクタ24を備える。コンタクタ24は、電磁力を利用して接点を繋げたり離したりすることで電気回路の開閉を行うことにより、不図示の電気機器の起動や停止を行うものである。コンタクタ24は、電気機器と共に1枚のパネル25に搭載されている。コンタクタ24は、収容空間Sに設けられている。
【0027】
牽引車10は、コンタクタカバー26を備える。コンタクタカバー26は、車体11に設けられるとともにコンタクタ24を内部に収容する。詳細には、コンタクタカバー26は、コンタクタ24を含むパネル25を内部に収容する。コンタクタカバー26は、収容空間Sに設けられている。
【0028】
コンタクタカバー26は、例えば、上下方向に延びる矩形筒状の側壁部26aと、側壁部26aの上部の開口を塞ぐ天壁部26bと、側壁部26aの下部の開口を塞ぐ底壁部26cと、を備える。底壁部26cは、例えば車体11に取り付けられている。
【0029】
コンタクタ24を含むパネル25に雨水などの水がかかることを抑制するため、パネル25はコンタクタカバー26の内部に収容されている。パネル25に搭載されるコンタクタ24や電気機器に通電が行われるため、パネル25は、コンタクタカバー26の内部において、コンタクタカバー26の内面から離れた位置に設けられている。このため、コンタクタカバー26の内部には、パネル25の配置スペース以上の空間が区画形成されている。
【0030】
コンタクタカバー26は、開口部27を備える。開口部27は、コンタクタカバー26の内部と外部とを連通させる。開口部27は、例えば矩形状の孔である。本実施形態における開口部27は、底壁部26cを貫通する貫通孔である。開口部27は、コンタクタカバー26よりも下方に向けて開口する。
図3では、コンタクタカバー26を前後方向に沿って切断した断面図を示しているため、開口部27のうちの左方部分のみを図示している。
【0031】
<ダクト>
牽引車10は、ダクト30を備える。ダクト30は、車体11に設けられるとともに空気が内部を流れる。ダクト30は収容空間Sに設けられている。本実施形態におけるダクト30は、第1ダクト部31と、第2ダクト部32と、を備える。
【0032】
第1ダクト部31は、コンタクタカバー26よりも下方に設けられている。第1ダクト部31は、前後に延びる四角筒状の第1ダクト側壁部31aと、第1ダクト側壁部31aの前方の開口を塞ぐ第1ダクト閉塞壁部31bと、を有する。第1ダクト側壁部31aは、後方に向けて開口する。すなわち、第1ダクト側壁部31aは、後方に開口する第1開口端31cを有する。
【0033】
第1ダクト部31には、第1ダクト部31の内部と外部とを連通させる第1ダクト開口部31hが形成されている。第1ダクト開口部31hは、例えば矩形状の孔である。第1ダクト開口部31hは、第1ダクト側壁部31aを貫通する貫通孔である。第1ダクト開口部31hは、第1ダクト側壁部31aの上部に形成されている。これにより、第1ダクト開口部31hは、第1ダクト部31よりも上方に向けて開口する。
図3では、第1ダクト部31を前後方向に沿って切断した断面図を示しているため、第1ダクト部31のうちの左方部分のみと、第1ダクト開口部31hの左方部分のみと、を図示している。
【0034】
第1ダクト部31は、第1ダクト開口部31hとコンタクタカバー26の開口部27とが上下で連通するように設けられている。これにより、コンタクタカバー26の内部は、ダクト30の内部と連通している。ダクト30は、開口部27を囲むように設けられるとともに、開口部27を介してコンタクタカバー26の内部と連通するように車体11に設けられている。
【0035】
第2ダクト部32は、第1ダクト部31よりも後方に設けられている。第2ダクト部32は、前後に延びる四角筒状の第2ダクト側壁部32aと、第2ダクト側壁部32aの後方の開口を塞ぐ第2ダクト閉塞壁部32bと、を有する。第2ダクト側壁部32aは、前方に向けて開口する。すなわち、第2ダクト側壁部32aは、前方に開口する第2開口端32cを有する。
図3では、第2ダクト部32を前後方向に沿って切断した断面図を示しているため、第2ダクト部32のうちの左方部分のみを図示している。
【0036】
第2開口端32cの下方の一部は、第1ダクト部31の内部に設けられている。第2開口端32cの下方の一部と、第1開口端31cの下方の一部と、は上下方向において互いに重なっている。第2開口端32cの上方の一部は、コンタクタカバー26の側壁部26aの下部と前後方向において隣り合っている。
【0037】
第2ダクト部32には、第2ダクト部32の内部と外部とを連通させる第2ダクト開口部32hが形成されている。第2ダクト開口部32hは、例えば円形状の孔である。第2ダクト開口部32hは、第2ダクト側壁部32aを貫通する貫通孔である。第2ダクト開口部32hは、第2ダクト側壁部32aの下部に形成されている。これにより、第2ダクト開口部32hは、第2ダクト部32よりも下方に向けて開口する。第2ダクト開口部32hは、第2ダクト側壁部32aのうち、第2開口端32cから後方に離れた位置に設けられている。
【0038】
モータドライバ23は、第2ダクト部32の上方に設けられている。モータドライバ23は、第2ダクト側壁部32aの上面に接するように配置されている。
<介在部材>
牽引車10は、押圧を受けて縮小変形する介在部材33を備える。介在部材33は例えばスポンジ等の多孔質材や発泡材である。本実施形態における介在部材33は、第1介在部材33a、第2介在部材33b、および第3介在部材33cを含む。
【0039】
介在部材33としての第1介在部材33aは、コンタクタカバー26とダクト30との間に介在する。詳細には、第1介在部材33aは、コンタクタカバー26の底壁部26cにおける開口部27の周りと、第1ダクト側壁部31aにおける第1ダクト開口部31hの周りと、の間に介在している。第1介在部材33aは、開口部27および第1ダクト開口部31hの周りで延びる矩形筒状である。
【0040】
第2介在部材33bは、第2ダクト部32と第1ダクト部31との間に介在する。詳細には、第2介在部材33bは、第2ダクト部32における第2開口端32cの下方の一部と、第1ダクト部31における第1開口端31cの下方の一部と、の間に介在している。
【0041】
第3介在部材33cは、第2ダクト部32とコンタクタカバー26との間に介在する。詳細には、第3介在部材33cは、第2ダクト部32における第2開口端32cの上方の一部と、コンタクタカバー26の側壁部26aの下部と、の間に介在している。
【0042】
車体11にコンタクタカバー26および第1ダクト部31を配置する際に、第1介在部材33aがコンタクタカバー26と第1ダクト部31との間に介在される。車体11に第1ダクト部31および第2ダクト部32を配置する際に、第2介在部材33bが第1ダクト部31と第2ダクト部32との間に介在される。車体11にコンタクタカバー26および第2ダクト部32を配置する際に、第3介在部材33cがコンタクタカバー26と第2ダクト部32との間に介在される。
【0043】
コンタクタカバー26、第1ダクト部31、および第2ダクト部32には個体差が生じるおそれがある。上記の個体差によってコンタクタカバー26と第1ダクト部31との間の隙間の寸法が小さくなっても、その隙間の寸法に応じて第1介在部材33aが縮小変形する。これにより、コンタクタカバー26と第1ダクト部31との間の隙間が第1介在部材33aによって好適に塞がれる。上記の個体差によって第1ダクト部31と第2ダクト部32との間の隙間の寸法が小さくなっても、その隙間の寸法に応じて第2介在部材33bが縮小変形する。これにより、第1ダクト部31と第2ダクト部32との間の隙間が第2介在部材33bによって好適に塞がれる。上記の個体差によってコンタクタカバー26と第2ダクト部32との間の隙間の寸法が小さくなっても、その隙間の寸法に応じて第3介在部材33cが縮小変形する。これにより、コンタクタカバー26と第2ダクト部32との間の隙間が第3介在部材33cによって好適に塞がれる。
【0044】
<ヒートシンク>
牽引車10は、ヒートシンク34を備える。本実施形態におけるヒートシンク34は、第2ダクト部32の内部に設けられている。ヒートシンク34は、例えば、複数の隔壁34aと外周部34bとを有する。複数の隔壁34aの各々は、車幅方向において互いに離れて並んでいる。隔壁34aは、車幅方向に直交するように延びる矩形平板状である。外周部34bは、前後方向に延びる矩形筒状である。複数の隔壁34aは、外周部34bの内部に設けられている。外周部34bの内部においては、複数の隔壁34a同士の間に前後方向に延びる流路が形成されている。
【0045】
ヒートシンク34においては、上記の流路を空気が流れることによって、冷却対象を冷却する。第1ダクト部31から第2ダクト部32に流れる空気が、外周部34bの前方の開口端から上記の流路に流れる。上記の流路を前方から後方に流れることによって、空気は第2ダクト部32の内部を流れる。上記の流路を流れた空気は、外周部34bの後方の開口端から第2ダクト部32の内部に流れる。こうして、ヒートシンク34は、ダクト30の内部を流れる空気を用いて冷却対象を冷却する。
【0046】
ヒートシンク34は、モータドライバ23よりも下方に設けられている。ヒートシンク34とモータドライバ23とは、第2ダクト部32における第2ダクト側壁部32aを介して上下に重なっている。ヒートシンク34の内部を空気が流れると、この空気とモータドライバ23とが第2ダクト部32及びヒートシンク34を介して熱交換することによって、モータドライバ23が冷却される。したがって、本実施形態における冷却対象は、モータドライバ23である。
【0047】
<ファン>
牽引車10は、ファン35を備える。ファン35は、羽部35aと羽部35aを収容する収容部35bと、を有する。羽部35aは、不図示の駆動モータによって駆動されることにより回転する。ファン35は、第2ダクト部32よりも下方に設けられている。収容部35bは、上下に延びる円筒状である。収容部35bにおける上方の開口端は、第2ダクト部32における第2ダクト開口部32hと繋がっている。収容部35bが第2ダクト開口部32hから下方に延びているため、収容部35bにおける下方の開口端は第2ダクト部32に対して下方に離れて位置している。
【0048】
ファン35における羽部35aの回転により、第1ダクト部31から第2ダクト部32に流れる空気の流れが発生する。こうして、ファン35は、ダクト30の内部の空気の流れを駆動によって生じさせる。本実施形態におけるファン35はプル式である。
【0049】
第2ダクト部32を流れた空気は、第2ダクト部32から収容部35bの内部に流れる。空気は、収容部35bにおける上方から下方に向けて収容部35bの内部を流れる。収容部35bの下方の開口端から収容部35bの外部に空気が流れる。本実施形態においては、収容部35bにおける下方の開口端が排気口42として機能する。すなわち、牽引車10は、ダクト30の内部からダクト30の外部に空気を排出するための排気口42を備える。
【0050】
排気口42は、車体11を構成するハウジングとしてのバッテリハウジング13に隣接するとともに、車体11の下部に向けて開口する。本実施形態における排気口42は、バッテリハウジング13よりも前方に設けられるとともに、前後方向においてバッテリハウジング13と隣接している。
【0051】
<吸気口>
図2に示すように、牽引車10は、吸気口41を備える。吸気口41は、収容空間Sに設けられている。吸気口41は、コンタクタカバー26に形成されている。詳細には、吸気口41は、側壁部26aの左方の一部を貫通する貫通孔である。これにより、吸気口41は、コンタクタカバー26の内部から左方に向けて開口している。吸気口41を介して、コンタクタカバー26の内部と外部とが連通している。コンタクタカバー26がタイヤハウスカバー21よりも上部に設けられているため、吸気口41は、タイヤハウスカバー21の上部に位置する。
【0052】
<空気の流れ>
図2および
図3において、空気の流れを白抜きの矢印で示す。
図2および
図3に示すように、ファン35の駆動によって、ダクト30の内部で吸気口41から排気口42に向かう空気の流れが生じる。これにより、吸気口41を介して、コンタクタカバー26の外部から内部へと空気が流れる。空気は、コンタクタカバー26の内部から開口部27および第1ダクト開口部31hを介して第1ダクト部31の内部に流れる。このように、吸気口41は、ダクト30の外部からダクト30の内部に空気を流入させるためのものである。
【0053】
空気は、第1ダクト部31の内部から第2ダクト部32の内部に流れる。第2ダクト部32の内部を流れる空気は、ヒートシンク34の内部を流れる。第2ダクト部32の内部において、空気は第2開口端32cから第2ダクト開口部32hに向けて流れる。第2ダクト部32の内部を流れた空気は、第2ダクト開口部32hおよび収容部35bの内部を介して排気口42から排出される。
【0054】
[実施形態の作用]
実施形態の作用について説明する。
牽引車10の走行時、車輪としての後輪19の回転によって路面から後輪19よりも上部に向けて異物が巻き上げられるおそれがある。異物は、例えば路面上の砂である。本実施形態における吸気口41は、タイヤハウスカバー21の上部に位置する。そのため、上記の異物は、タイヤハウスカバー21に衝突することで、タイヤハウスカバー21よりも上部に位置する吸気口41からダクト30の内部に侵入しにくい。
【0055】
[実施形態の効果]
実施形態の効果について説明する。
(1)吸気口41は、タイヤハウスカバー21の上部に位置する。したがって、吸気口41からダクト30の内部に侵入した異物がヒートシンク34やファン35に侵入することによって生じる冷却性能の低下を抑制できる。
【0056】
(2)牽引車10は、コンタクタ24と、車体11に設けられるとともにコンタクタ24を内部に収容するコンタクタカバー26と、を備える。コンタクタカバー26の内部は、ダクト30の内部と連通している。吸気口41は、コンタクタカバー26に形成されている。そのため、吸気口41の形成箇所としてコンタクタカバー26を利用できるとともに、コンタクタカバー26の内部を吸気口41とダクト30とを繋げる空気の流路として利用できる。したがって、吸気口41および上記の流路を車体11に別途設ける場合と比較して、牽引車10の大型化を抑制できる。
【0057】
(3)牽引車10は、コンタクタカバー26とダクト30との間に介在するとともに押圧を受けて縮小変形する介在部材33としての第1介在部材33aを備える。そのため、コンタクタカバー26およびダクト30における個体差によって、コンタクタカバー26とダクト30との間の隙間の寸法が小さくなっても、その隙間の寸法に応じて第1介在部材33aが縮小変形する。したがって、コンタクタカバー26とダクト30との間の隙間を好適に塞ぐことができる。
【0058】
(4)排気口42は、車体11を構成するハウジングとしてのバッテリハウジング13に隣接するとともに、車体11の下部に向けて開口する。そのため、仮に排気口42がバッテリハウジング13に向けて開口する場合、排気口42からの空気の排出を妨げないためにバッテリハウジング13における排気口42との対向部分に孔を設けることが考えられるが、実施形態ではそうした孔の形成が不要である。したがって、バッテリハウジング13への孔の形成を省略できることによって、そうした孔の形成に伴って生じる車体11の強度低下を抑制できる。
【0059】
(5)車体11は、上方に開口するとともに内部に収容空間Sが区画形成されたハウジングとしてのバッテリハウジング13を備える。バッテリ15及び吸気口41は、収容空間Sに設けられている。バッテリハウジング13は、上方からバッテリフード14によって塞がれている。そのため、吸気口41はバッテリフード14よりも下方に位置するため、吸気口41はバッテリフード14よりも上方に位置する場合よりも車輪としての後輪19により近い位置にある。こうした場合でも、吸気口41がタイヤハウスカバー21の上部に位置することにより、吸気口41からダクト30の内部への異物の侵入を抑制できる。
【0060】
(6)仮に、吸気口41の大きさを小さくすれば吸気口41からの異物の混入を抑制できるが、吸気口41からダクト30への空気の流入量が低下するおそれがある。上記実施形態によれば、そうした吸気口41の大きさを小さくすることを行わなくても、吸気口41からダクト30内部への異物の侵入を抑制できるため、吸気口41からダクト30への空気の流入量が低下することによる冷却性能の低下を抑制できる。
【0061】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0062】
○ ファン35は、プッシュ式でもよい。この場合のファン35は、例えばダクト30における上流部分に設けられる。
○ 冷却対象はモータドライバ23に限らない。例えば、冷却対象は、モータ22、センサ、およびコントローラの少なくとも1つであってもよい。また、冷却対象は、複数の部材であってもよい。
【0063】
○ 吸気口41は、収容空間S以外の箇所に設けられてもよい。
○ 排気口42は、下部以外に向けて開口してもよい。例えば、排気口42は、車体11を構成するハウジングに向けて開口してもよい。
【0064】
○ 排気口42は、牽引車10におけるファン35以外の部分に設けられてもよい。例えば、排気口42は、ダクト30に設けられてもよい。
○ 第1介在部材33a、第2介在部材33b、および第3介在部材33cのうち、少なくとも1つの介在部材33を牽引車10から省略してもよい。この場合、省略した介在部材33が設けられていた隙間には、介在部材とは異なる部材を設けてもよいし、接着剤を設けて隙間を埋めてもよい。
【0065】
○ ダクト30は、第1ダクト部31および第2ダクト部32に加えて、1つ以上の部材から構成されていてもよい。ダクト30は、全体が1つの部材から構成されていてもよい。
【0066】
○ 開口部27は、コンタクタカバー26における底壁部26c以外の部分に設けられてもよい。
○ 吸気口41は、牽引車10におけるコンタクタカバー26以外の部分に設けられてもよい。例えば、吸気口41は、ダクト30に設けられてもよい。
【0067】
○ 吸気口41は、左方以外の方向に向けて開口してもよい。例えば、吸気口41を車幅方向の右側に設け、右方に向けて開口してもよい。
○ 牽引車10は、前輪18を駆動輪とするものであってもよい。
【0068】
○ 実施形態では、車幅方向の左側および右側の各々に、前輪18および後輪19を備える四輪の産業車両に適用するとして説明したが、これに限らない。前輪18又は後輪19の一方を単一の車輪として車幅方向の中央に配置した三輪の産業車両に適用してもよく、前輪18又は後輪19の一方を車幅方向の中央に一対隣接して配置した四輪の産業車両に適用してもよい。
【0069】
○ 吸気口41は、前輪18の上部に設けられたタイヤハウスカバー21よりも上部に位置してもよい。
○ 産業車両は、牽引車10以外の車両であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
S…収容空間、10…産業車両としての牽引車、11…車体、13…ハウジングとしてのバッテリハウジング、14…バッテリフード、15…バッテリ、16…タイヤハウスとしての第1タイヤハウス、17…タイヤハウスとしての第2タイヤハウス、18…車輪としての前輪、19…車輪としての後輪、21…タイヤハウスカバー、22…モータ、23…冷却対象としてのモータドライバ、24…コンタクタ、26…コンタクタカバー、27…開口部、30…ダクト、33…介在部材、34…ヒートシンク、35…ファン、41…吸気口、42…排気口。