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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114029
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】プロテクタおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01R13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019388
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】平尾 充
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB14
5E021FB20
5E021FC36
5E021GA04
(57)【要約】
【課題】コネクタの抜けを抑制できるプロテクタおよびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】プロテクタ40は、ハウジング32とハウジング32の先端から第1方向X1に向かって突出するコネクタプラグ31とを有するコネクタ30と、ハウジング32の基端から引き出される電線21とを備えるコネクタ付き電線20に装着される。プロテクタ40は、コネクタ30を内部に収容した状態で保持する筒状のコネクタ保持部51と、電線21を内部に収容した状態で保持する筒状の電線保持部61とを備える。コネクタ保持部51と電線保持部61とがプロテクタ40の軸方向に沿って連続して形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと前記ハウジングの先端から第1方向に向かって突出するコネクタプラグとを有するコネクタと、前記ハウジングの基端から引き出される電線とを備えるコネクタ付き電線に装着されるプロテクタであって、
前記コネクタを内部に収容した状態で保持する筒状のコネクタ保持部と、
前記電線を内部に収容した状態で保持する筒状の電線保持部と、を備え、
前記コネクタ保持部と前記電線保持部とが前記プロテクタの軸方向に沿って連続して形成されている、プロテクタ。
【請求項2】
前記プロテクタは、第1分割体と、前記第1分割体に合体可能に形成された第2分割体とを有し、
前記プロテクタは、前記第1分割体と前記第2分割体とが合体されることにより、前記コネクタ付き電線の外周を包囲する筒状に形成される、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記第1分割体は、第1係合部を有し、
前記第2分割体は、前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、
前記プロテクタは、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合されて前記第1分割体と前記第2分割体との合体状態が維持される、請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記コネクタ保持部の外周面から前記コネクタ保持部の径方向外方に向かって突出する第1突起を含み、
前記第2係合部は、前記コネクタ保持部の外周面から前記第1突起に向かって突出するとともに、前記コネクタ保持部の径方向に弾性変形可能に形成された第1弾性片を含む、請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記第1係合部は、前記電線保持部の外周面から前記電線保持部の径方向外方に向かって突出する第2突起を含み、
前記第2係合部は、前記電線保持部の外周面から前記第2突起に向かって突出するとともに、前記電線保持部の径方向に弾性変形可能に形成された第2弾性片を含む、請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記第1分割体は、前記電線を経路規制した状態で固定する第1収容溝を有し、
前記第2分割体は、前記電線を経路規制した状態で固定する第2収容溝を有し、
前記電線保持部の内部空間は、前記第1収容溝と前記第2収容溝とが重ね合わされて構成されている、請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記電線保持部の内部空間は、前記コネクタ保持部から前記第1方向の反対方向である第1反対方向に沿って延びる直線部分と、前記直線部分の前記第1反対方向の端部に連なる屈曲部分とを有する、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項8】
前記電線保持部のうち軸方向の端部における開口端を画定する内面は、前記電線保持部の軸方向に平行な平面で前記電線保持部を切断した断面形状がR形状に形成されている、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項9】
前記コネクタ保持部は、前記第1方向の反対方向である第1反対方向への前記コネクタの移動を規制した状態で前記ハウジングを固定する、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項10】
前記電線保持部の内部空間は、前記ハウジングが挿入不能な大きさに形成されており、
前記電線保持部の前記第1方向の端面は、前記ハウジングと前記第1方向において係合する係合面を有する、請求項9に記載のプロテクタ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のプロテクタと、
前記プロテクタが装着される前記コネクタ付き電線と、を備える、ワイヤハーネス。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記コネクタプラグを保持するハウジング本体と、前記ハウジングの基端に設けられるとともに前記電線の外周を包囲する筒状のブーツとを有し、
前記ブーツは、前記ブーツの外周面に設けられた1以上の溝部を有し、
前記コネクタ保持部は、前記コネクタ保持部の内面から前記ブーツに向かって突出するとともに前記溝部に嵌合する突出片を有する、請求項11に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロテクタおよびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器同士を電気的に接続するワイヤハーネスとしては、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等のコネクタ付き電線を備えるものが知られている。この種のコネクタ付き電線では、電線の端部に設けられたUSBコネクタ等のコネクタが電子機器に設けられた相手コネクタに挿入されるようになっている。
【0003】
さらに、コネクタ付き電線の電線に意図せずに外力が加わった場合に、コネクタ付き電線のコネクタが相手コネクタから抜けることを防止する抜け防止装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。抜け防止装置は、電子機器の筐体に設けられるとともに、相手コネクタの近傍に設けられる。抜け防止装置は、相手コネクタに挿入されたコネクタから延びる電線を、相手コネクタからコネクタを離脱する離脱方向に対して直交する以上に曲げるようにガイドしている。このような抜け防止装置を設けることにより、電子機器から離れた位置で電線が離脱方向に引っ張られても、コネクタに離脱方向の力が加わることを抑制できる。これにより、相手コネクタからコネクタが抜けることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-274559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、コネクタと抜け防止装置との間に延びる電線に何かが引っ掛かってその電線が意図せずに離脱方向に引っ張られた場合には、相手コネクタからコネクタが抜けるという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、コネクタの抜けを抑制できるプロテクタおよびワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のプロテクタは、ハウジングと前記ハウジングの先端から第1方向に向かって突出するコネクタプラグとを有するコネクタと、前記ハウジングの基端から引き出される電線とを備えるコネクタ付き電線に装着されるプロテクタであって、前記コネクタを内部に収容した状態で保持する筒状のコネクタ保持部と、前記電線を内部に収容した状態で保持する筒状の電線保持部と、を備え、前記コネクタ保持部と前記電線保持部とが前記プロテクタの軸方向に沿って連続して形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示のプロテクタおよびワイヤハーネスによれば、コネクタの抜けを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略平面図である。
図2図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図4図4は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(図1における4-4線断面図)である。
図5図5は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(図1における5-5線断面図)である。
図6図6は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(図1における6-6線断面図)である。
図7図7は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(図1における7-7線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示のプロテクタは、ハウジングと前記ハウジングの先端から第1方向に向かって突出するコネクタプラグとを有するコネクタと、前記ハウジングの基端から引き出される電線とを備えるコネクタ付き電線に装着されるプロテクタであって、前記コネクタを内部に収容した状態で保持する筒状のコネクタ保持部と、前記電線を内部に収容した状態で保持する筒状の電線保持部と、を備え、前記コネクタ保持部と前記電線保持部とが前記プロテクタの軸方向に沿って連続して形成されている。
【0011】
この構成によれば、筒状のコネクタ保持部の内部に収容された状態でコネクタが保持されるとともに、筒状の電線保持部の内部に収容された状態で電線が保持される。このとき、コネクタ保持部と電線保持部とがプロテクタの軸方向に沿って連続して形成されている。このため、コネクタとそのコネクタの基端から引き出された直後の電線とをプロテクタの内部に収容した状態で保持することができる。したがって、コネクタに近い位置の電線に何かが引っ掛かることを好適に抑制できる。これにより、コネクタに近い位置の電線に対して、相手コネクタからコネクタを離脱する離脱方向に引っ張る力が加わることを好適に抑制できる。この結果、意図せずに相手コネクタからコネクタが抜けることを好適に抑制できる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記プロテクタは、第1分割体と、前記第1分割体に合体可能に形成された第2分割体とを有し、前記プロテクタは、前記第1分割体と前記第2分割体とが合体されることにより、前記コネクタ付き電線の外周を包囲する筒状に形成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、プロテクタが、第1分割体と第2分割体とによってコネクタ付き電線を包囲する筒状に形成されている。これにより、プロテクタを筒状としながらも、プロテクタが第1分割体と第2分割体とに分かれていることで、プロテクタをコネクタ付き電線に対して後付け可能となる。これにより、コネクタ付き電線に対するプロテクタの組み付け性を向上できる。
【0014】
[3]上記[2]において、前記第1分割体は、第1係合部を有し、前記第2分割体は、前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記プロテクタは、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合されて前記第1分割体と前記第2分割体との合体状態が維持されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1分割体の有する第1係合部と第2分割体の有する第2係合部とを互いに係合させることにより、第1分割体と第2分割体との合体状態を維持できる。このため、第1分割体および第2分割体とは別の部品を用いて第1分割体と第2分割体との合体状態を維持する場合に比べて、プロテクタの組立作業性を向上できる。
【0016】
[4]上記[3]において、前記第1係合部は、前記コネクタ保持部の外周面から前記コネクタ保持部の径方向外方に向かって突出する第1突起を含み、前記第2係合部は、前記コネクタ保持部の外周面から前記第1突起に向かって突出するとともに、前記コネクタ保持部の径方向に弾性変形可能に形成された第1弾性片を含んでもよい。
【0017】
この構成によれば、第1弾性片の弾性変形を利用したスナップフィット方式により、第1突起と第1弾性片とを係合させることができる。これにより、第1係合部と第2係合部とを簡易に係合させることができる。このため、第1分割体と第2分割体との合体状態を簡易に維持することができる。
【0018】
[5]上記[3]または[4]において、前記第1係合部は、前記電線保持部の外周面から前記電線保持部の径方向外方に向かって突出する第2突起を含み、前記第2係合部は、前記電線保持部の外周面から前記第2突起に向かって突出するとともに、前記電線保持部の径方向に弾性変形可能に形成された第2弾性片を含んでもよい。
【0019】
この構成によれば、第2弾性片の弾性変形を利用したスナップフィット方式により、第2突起と第2弾性片とを係合させることができる。これにより、第1係合部と第2係合部とを簡易に係合させることができる。このため、第1分割体と第2分割体との合体状態を簡易に維持することができる。
【0020】
[6]上記[2]から[5]のいずれかにおいて、前記第1分割体は、前記電線を経路規制した状態で固定する第1収容溝を有し、前記第2分割体は、前記電線を経路規制した状態で固定する第2収容溝を有し、前記電線保持部の内部空間は、前記第1収容溝と前記第2収容溝とが重ね合わされて構成されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、電線保持部の内部空間に電線を収容することにより、その電線を経路規制した状態で固定することができる。これにより、コネクタのハウジングから引き出された電線の経路を好適に規制することができる。
【0022】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記電線保持部の内部空間は、前記コネクタ保持部から前記第1方向の反対方向である第1反対方向に沿って延びる直線部分と、前記直線部分の前記第1反対方向の端部に連なる屈曲部分とを有してもよい。
【0023】
この構成によれば、電線保持部の内部空間に収容される電線の経路を、コネクタプラグが突出する第1方向の反対方向である第1反対方向、つまり相手コネクタからコネクタを離脱する離脱方向と交差する方向に曲げることができる。このため、プロテクタから露出する電線に対して、離脱方向に引っ張る力が加わった場合であっても、その離脱方向への力を屈曲部分で分散させることができる。これにより、コネクタに対して離脱方向への力が加わることを抑制できるため、相手コネクタからコネクタが抜けることを好適に抑制できる。
【0024】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記電線保持部のうち軸方向の端部における開口端を画定する内面は、前記電線保持部の軸方向に平行な平面で前記電線保持部を切断した断面形状がR形状に形成されていてもよい。
【0025】
この構成によれば、電線保持部のうち電線が引き出される部分の開口端を画定する内面がR形状に形成される。このため、電線保持部から引き出された電線に対して電線保持部の軸方向と交差する方向に引っ張る力が加わった場合であっても、電線保持部の開口端により電線が損傷することを好適に抑制できる。
【0026】
[9]上記[1]から[8]のいずれかにおいて、前記コネクタ保持部は、前記第1方向の反対方向である第1反対方向への前記コネクタの移動を規制した状態で前記ハウジングを固定してもよい。
【0027】
この構成によれば、コネクタ保持部の内部空間にコネクタのハウジングを収容することにより、そのハウジングの第1反対方向への移動、つまりハウジングの離脱方向への移動を規制することができる。これにより、コネクタの離脱方向への移動を規制できるため、相手コネクタからコネクタが抜けることを好適に抑制できる。
【0028】
[10]上記[9]において、前記電線保持部の内部空間は、前記ハウジングが挿入不能な大きさに形成されており、前記電線保持部の前記第1方向の端面は、前記第1方向において前記ハウジングと係合する係合面を有してもよい。
【0029】
この構成によれば、電線保持部の係合面にハウジングが係合することにより、ハウジングの第1反対方向への移動を好適に規制することができる。これにより、コネクタの離脱方向への移動を規制できるため、相手コネクタからコネクタが抜けることを好適に抑制できる。
【0030】
[11]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[10]のいずれかに記載のプロテクタと、前記プロテクタが装着される前記コネクタ付き電線と、を備える。
この構成によれば、上記[1]のプロテクタと同様の効果を得ることができる。
【0031】
[12]上記[11]において、前記ハウジングは、前記コネクタプラグを保持するハウジング本体と、前記ハウジングの基端に設けられるとともに前記電線の外周を包囲する筒状のブーツとを有し、前記ブーツは、前記ブーツの外周面に設けられた1以上の溝部を有し、前記コネクタ保持部は、前記コネクタ保持部の内面から前記ブーツに向かって突出するとともに前記溝部に嵌合する突出片を有してもよい。
【0032】
この構成によれば、ブーツの溝部にコネクタ保持部の突出片が嵌合することにより、ブーツの第1反対方向への移動を好適に規制することができる。これにより、コネクタの離脱方向への移動を規制できるため、相手コネクタからコネクタが抜けることを好適に抑制できる。
【0033】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のプロテクタおよびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0034】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載されるものである。ワイヤハーネス10は、2個以上の電子機器同士を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、コネクタ付き電線20と、コネクタ付き電線20に装着されたプロテクタ40とを備える。コネクタ付き電線20は、機器100に接続される。機器100は、例えば、車載機器である。機器100としては、例えば、ECU(Electronic Control Unit)や、ECUに接続される車載カメラ等の電子機器が挙げられる。
【0035】
(コネクタ付き電線20の構成)
図2に示すように、コネクタ付き電線20は、電線21と、電線21の軸方向(長さ方向)の端部に取り付けられたコネクタ30とを備える。本実施形態のコネクタ30は、電線21の第1方向X1の端部に接続されている。コネクタ付き電線20は、例えば、電線21とコネクタ30とが着脱不能に一体に形成されている。コネクタ30は、例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタである。コネクタ付き電線20は、例えば、USBケーブルである。
【0036】
以下の説明では、ワイヤハーネス10の各構成要素の位置関係を説明する際には、第1方向X1の反対方向を第1反対方向X2と称する。また、第1方向X1と直交する方向のうち図2において右方に向かう方向を第2方向Y1と称し、第2方向Y1の反対方向を第2反対方向Y2と称する。第1方向X1および第2方向Y1の双方と直交する方向のうち図2において上方に向かう方向を第3方向Z1と称し、第3方向Z1の反対方向を第3反対方向Z2と称する。また、以下の説明では、コネクタ30の長さ方向の端部のうち電線21と接続される端部、つまり第1反対方向X2の端部を基端と称し、その基端とコネクタ30の長さ方向において反対側に設けられた端部、つまり第1方向X1の端部を先端と称する。
【0037】
(電線21の構成)
電線21は、例えば、複数本の被覆電線が絶縁性を有するシースにより被覆された構造を有している。電線21は、例えば、二次元的または三次元的に屈曲されている。
【0038】
(コネクタ30の構成)
図2および図3に示すように、コネクタ30は、例えば、金属等の導体からなるコネクタプラグ31と、コネクタプラグ31を保持するハウジング32とを備える。ハウジング32は、ハウジング本体33と、ブーツ34とを備える。ハウジング32は、例えば、ハウジング本体33とブーツ34とが連続して一体に形成されている。ハウジング32は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂にて形成されている。ハウジング32は、例えば、モールド成形により形成される。
【0039】
図1に示すように、コネクタプラグ31は、挿入方向D1に沿って、機器100に設けられた相手コネクタ101に挿入される。相手コネクタ101は、例えば、メスコネクタである。相手コネクタ101は、例えば、USBコネクタである。コネクタプラグ31は、例えば、金属からなるアース電位部である。本実施形態の挿入方向D1は、第1方向X1と一致している。なお、以下の説明では、相手コネクタ101からコネクタ30を離脱する方向を離脱方向D2と称する。離脱方向D2は、挿入方向D1の反対方向である。本実施形態の離脱方向D2は、第1反対方向X2と一致している。
【0040】
図2に示すように、コネクタプラグ31は、コネクタ30の先端において、ハウジング32から露出する状態で設けられている。コネクタプラグ31の一部、つまりコネクタプラグ31の第1方向X1の端部は、ハウジング32の先端から第1方向X1に向かって突出している。すなわち、ハウジング32の先端から突出するコネクタプラグ31の突出方向は、挿入方向D1と一致している。
【0041】
コネクタプラグ31は、例えば、筒状に形成されている。コネクタプラグ31は、例えば、第1方向X1から見た平面形状が、第2方向Y1に長い長方形に形成されている。コネクタプラグ31の内部には、例えば、電線21に電気的に接続された図示しない端子が設けられている。コネクタプラグ31が図1に示した機器100の相手コネクタ101に挿入されることにより、コネクタ30と機器100との電気的な導通がなされる。
【0042】
ハウジング本体33は、コネクタ30の基端において、コネクタプラグ31を保持している。ハウジング本体33は、例えば、コネクタプラグ31の第1反対方向X2の端部を被覆するように形成されている。換言すると、コネクタプラグ31の第1反対方向X2の端部は、ハウジング本体33に埋設されている。ハウジング本体33は、例えば、全体として直方体状に形成されている。ハウジング本体33は、第1方向X1から見た平面形状が、第2方向Y1に長い長方形に形成されている。ここで、電線21は、ハウジング本体33の第1反対方向X2の端部(つまり、基端)から第1反対方向X2に沿って引き出されている。
【0043】
ブーツ34は、例えば、ハウジング32の基端に設けられている。ブーツ34は、例えば、ハウジング本体33よりも可撓性および柔軟性に優れている。ブーツ34の第1方向X1の端部の一部は、例えば、ハウジング本体33の第1反対方向X2の端部に埋まるように設けられている。換言すると、ブーツ34の第1方向X1の端部の外周面は、その一部がハウジング本体33により被覆されている。ブーツ34の第1反対方向X2の端部は、例えば、ハウジング本体33の第1反対方向X2の端部から第1反対方向X2に向かって突出している。ブーツ34は、例えば、電線21の長さ方向の端部が貫通する筒状に形成されている。ブーツ34は、例えば、電線21の外周を周方向全周にわたって被覆している。本実施形態のブーツ34は、円筒状に形成されている。ブーツ34は、例えば、電線21に加わる応力を低減するためのストレインリリーフである。
【0044】
ブーツ34の外周面は、1つまたは複数の溝部35を有している。複数の溝部35は、例えば、ハウジング本体33の第1反対方向X2の端部から突出した部分におけるブーツ34の外周面に設けられている。各溝部35は、ブーツ34の外周面からブーツ34の径方向内方に向かって凹むように形成されている。各溝部35は、例えば、ブーツ34の周方向に沿って延びている。複数の溝部35は、例えば、ブーツ34の軸方向(ここでは、第1方向X1)に沿って間隔を空けて設けられている。ブーツ34の軸方向において隣り合う2つの溝部35は、例えば、ブーツ34の周方向において互いに異なる位置に設けられている。ブーツ34の第1反対方向X2の端部は、例えば、溝部35を有することにより、ブーツ34の第1方向X1の端部よりも可撓性に優れている。
【0045】
第3方向Z1に沿うブーツ34の長さ寸法は、例えば、第3方向Z1に沿うハウジング本体33の長さ寸法よりも大きい。ブーツ34は、ハウジング本体33の第3方向Z1の端面よりも第3方向Z1に突出するとともに、ハウジング本体33の第3反対方向Z2の端面よりも第3反対方向Z2に突出している。
【0046】
(プロテクタ40の構成)
図2および図3に示すように、プロテクタ40は、例えば、コネクタ付き電線20に対して着脱可能に構成されている。プロテクタ40は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂にて形成されている。プロテクタ40は、コネクタ30の外周を被覆するとともに、コネクタ30のハウジング32から引き出された電線21の外周を被覆している。プロテクタ40は、コネクタ付き電線20の長さ方向において、コネクタ30の外周と電線21の外周とを連続して被覆している。プロテクタ40は、全体として筒状に形成されている。プロテクタ40は、例えば、コネクタ30の外周を周方向全周にわたって被覆するとともに、電線21の外周を周方向全周にわたって被覆している。
【0047】
プロテクタ40は、コネクタ30を内部に収容した状態で保持するコネクタ保持部51と、電線21を内部に収容した状態で保持する電線保持部61とを有している。プロテクタ40では、コネクタ保持部51と電線保持部61とがプロテクタ40の軸方向に沿って連続して形成されている。
【0048】
コネクタ保持部51は、例えば、筒状に形成されている。コネクタ保持部51の内部空間には、コネクタ30が収容される。コネクタ保持部51の内部空間には、例えば、コネクタ30のうちハウジング32のみが収容されている。コネクタ保持部51は、例えば、第1反対方向X2へのコネクタ30の移動を規制した状態でハウジング32を固定している。コネクタ保持部51の内部空間には、例えば、ハウジング32の先端から突出するコネクタプラグ31が収容されていない。換言すると、コネクタ30は、ハウジング32から突出したコネクタプラグ31がプロテクタ40から露出された状態で保持されている。
【0049】
電線保持部61は、例えば、筒状に形成されている。電線保持部61の内部空間には、電線21が収容される。電線保持部61は、例えば、電線21を経路規制した状態で固定している。コネクタ保持部51の内部空間と電線保持部61の内部空間とは、互いに直接連通するように形成されている。電線保持部61の内部空間は、コネクタ30が挿入不能な大きさに形成されている。
【0050】
プロテクタ40は、例えば、複数(本実施形態では、2つ)の分割体、つまり第1分割体50Aおよび第2分割体50Bにより構成されている。第1分割体50Aと第2分割体50Bとは、例えば、別部品である。第1分割体50Aと第2分割体50Bとは、互いに合体可能に形成されている。第1分割体50Aと第2分割体50Bとは、例えば、互いに着脱可能に形成されている。第1分割体50Aは、例えば、分割コネクタ保持部51Aと、分割電線保持部61Aと、係合部71Aと、係合部72Aと、係合部73Aと、係合部74Aとを備えている。図3に示すように、第2分割体50Bは、例えば、分割コネクタ保持部51Bと、分割電線保持部61Bと、係合部71Bと、係合部72Bと、係合部73Bと、係合部74Bとを備えている。プロテクタ40は、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体されることにより、コネクタ30の外周と電線21の外周とを包囲する筒状に形成されている。第1分割体50Aと第2分割体50Bとを合体させた状態では、分割コネクタ保持部51Aと分割コネクタ保持部51Bとによりコネクタ保持部51が構成されている。第1分割体50Aと第2分割体50Bとを合体させた状態では、分割電線保持部61Aと分割電線保持部61Bとにより電線保持部61が構成されている。
【0051】
(第1分割体50Aの構成)
第1分割体50Aは、例えば、全体として半割筒状に形成されている。第1分割体50Aは、例えば、第3方向Z1から見た平面視において、屈曲形状を有する形状に形成されている。
【0052】
(分割コネクタ保持部51Aの構成)
図2に示すように、分割コネクタ保持部51Aは、例えば、プロテクタ40の軸方向の端部、ここでは第1方向X1の端部に設けられている。分割コネクタ保持部51Aは、例えば、ハウジング32の周方向の一部においてハウジング32の外周を被覆する半割筒状をなしている。分割コネクタ保持部51Aの横断面形状は、全体としてU字状をなしている。分割コネクタ保持部51Aは、一方向に直線状に延びる形状に形成されている。すなわち、筒状をなす分割コネクタ保持部51Aの軸方向は、一方向に直線状に延びている。
【0053】
分割コネクタ保持部51Aは、例えば、第2分割体50Bと対向する底壁52Aと、底壁52Aの両側縁から第2分割体50Bに向かって突出する2つの側壁53A,54Aとを有している。底壁52Aは、例えば、第1方向X1に沿って直線状に延びている。底壁52Aは、板状に形成されている。底壁52Aは、第3方向Z1に厚みを有し、第1方向X1および第2方向Y1に広がるように形成されている。
【0054】
各側壁53A,54Aは、底壁52Aと連続して一体に形成されている。各側壁53A,54Aは、例えば、底壁52Aの幅方向(ここでは、第2方向Y1)の両端縁のそれぞれから第3方向Z1に向かって突出している。側壁53Aは、底壁52Aの第2方向Y1の端縁に設けられている。側壁54Aは、底壁52Aの第2反対方向Y2の端縁に設けられている。2つの側壁53A,54Aは、例えば、底壁52Aの幅方向において互いに対向している。各側壁53A,54Aは、板状に形成されている。各側壁53A,54Aは、第3方向Z1に沿って直線状に延びるとともに、第1方向X1に沿って直線状に延びている。各側壁53A,54Aは、第2方向Y1に厚みを有し、第1方向X1および第3方向Z1に広がるように形成されている。各側壁53A,54Aは、第1方向X1に沿って底壁52Aの長さ方向の全長にわたって延びている。
【0055】
分割コネクタ保持部51Aは、収容凹部55Aを有している。収容凹部55Aは、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態において、コネクタ保持部51の内部空間を構成する。収容凹部55Aは、例えば、分割コネクタ保持部51Aの第3方向Z1の端面から底壁52Aに向かって凹むように形成されている。収容凹部55Aは、例えば、第1方向X1に開口するとともに、第3方向Z1に開口している。収容凹部55Aは、例えば、プロテクタ40の第1方向X1の端部から第1反対方向X2に沿って延びている。収容凹部55Aは、例えば、分割コネクタ保持部51Aの軸方向に沿って分割コネクタ保持部51Aの軸方向の全長にわたって延びている。収容凹部55Aは、例えば、底壁52Aの内面と2つの側壁53A,54Aの内面とによって画定されている。収容凹部55Aは、例えば、ハウジング32の全体を収容可能な大きさに形成されている。
【0056】
図4に示すように、収容凹部55Aを画定する底壁52Aおよび側壁53A,54Aの内面は、例えば、ハウジング本体33の外周面に沿った形状に形成されている。本実施形態の底壁52Aおよび側壁53A,54Aの内面に沿った横断面形状は、全体としてU字状に形成されている。底壁52Aの内面には、ハウジング本体33の第3反対方向Z2の端面が接触されている。
【0057】
図5に示すように、底壁52Aは、例えば、ブーツ34が嵌合される凹部56Aを有している。凹部56Aは、底壁52Aの内面からコネクタ保持部51の径方向外方(ここでは、第3反対方向Z2)に向かって凹むように形成されている。凹部56Aは、例えば、底壁52Aを貫通しないように形成されている。凹部56Aは、分割コネクタ保持部51Aの第1反対方向X2の端部から第1方向X1に沿って分割コネクタ保持部51Aの長さ方向の中間部まで延びている。凹部56Aには、ブーツ34のうちハウジング本体33の第3反対方向Z2の端面よりも第3反対方向Z2に突出した部分が嵌合されている。
【0058】
図2に示すように、凹部56Aを画定する内面は、例えば、ブーツ34の外周面に沿った形状に形成されている。凹部56Aを画定する内面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。
【0059】
分割コネクタ保持部51Aは、例えば、底壁52Aの内面から第3方向Z1に突出する1つまたは複数(本実施形態では、2つ)の突出片57Aを有している。各突出片57Aは、例えば、ブーツ34の溝部35に嵌合するように設けられている。各突出片57Aは、例えば、板状に形成されている。各突出片57Aは、例えば、第1方向X1に厚みを有し、第2方向Y1および第3方向Z1に広がるように形成されている。各突出片57Aは、例えば、分割コネクタ保持部51Aの幅方向(ここでは、第2方向Y1)の全長にわたって延びている。各突出片57Aは、例えば、第3方向Z1に沿って分割コネクタ保持部51Aの高さ方向(ここでは、第3方向Z1)の中間部まで延びている。
【0060】
各突出片57Aの一部は、例えば、凹部56Aの底面から第3方向Z1に向かって突出している。各突出片57Aの先端面には、窪み58Aが設けられている。窪み58Aは、各突出片57Aの先端面から底壁52Aに向かって凹むように形成されている。窪み58Aは、例えば、突出片57Aのうち凹部56Aの底面から突出して設けられた部分の先端面に設けられている。窪み58Aを画定する内面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。
【0061】
(分割電線保持部61Aの構成)
分割電線保持部61Aは、プロテクタ40の軸方向において、分割コネクタ保持部51Aと連続して一体に形成されている。分割電線保持部61Aは、例えば、電線21の周方向の一部において電線21の外周を被覆する半割筒状をなしている。分割電線保持部61Aの横断面形状は、全体としてU字状をなしている。分割電線保持部61Aは、例えば、第3方向Z1から見た平面視において、所定の曲げ角度で屈曲する屈曲形状に形成されている。
【0062】
分割電線保持部61Aは、例えば、第2分割体50Bと対向する底壁62Aと、底壁62Aの両側縁から第2分割体50Bに向かって突出する2つの側壁63A,64Aとを有している。底壁62Aおよび側壁63A,64Aの各々は、第3方向Z1から見た平面視において、所定の曲げ角度で屈曲する屈曲形状に形成されている。底壁62Aおよび側壁63A,64Aの各々は、例えば、第3方向Z1から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。
【0063】
底壁62Aは、分割コネクタ保持部51Aの底壁52Aと連続して一体に形成されている。底壁62Aは、例えば、第3方向Z1に厚みを有している。第3方向Z1に沿う底壁62Aの長さ寸法、つまり底壁62Aの厚み寸法は、底壁52Aの厚み寸法よりも大きい。
【0064】
各側壁63A,64Aは、底壁62Aと連続して一体に形成されている。各側壁63A,64Aは、例えば、底壁62Aの幅方向の両端縁のそれぞれから第3方向Z1に向かって突出している。側壁63Aは、分割コネクタ保持部51Aの側壁53Aと連続して一体に形成されている。側壁64Aは、分割コネクタ保持部51Aの側壁54Aと連続して一体に形成されている。2つの側壁63A,64Aは、例えば、底壁62Aの幅方向において互いに対向している。各側壁63A,64Aは、例えば、底壁62Aの幅方向に厚みを有している。側壁63Aの厚み寸法は、例えば、側壁53Aの厚み寸法よりも大きい。側壁64Aの厚み寸法は、例えば、側壁54Aの厚み寸法よりも大きい。
【0065】
分割電線保持部61Aは、収容溝65Aを有している。収容溝65Aは、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態において、電線保持部61の内部空間を構成する。収容溝65Aは、電線21を経路規制した状態で固定している。収容溝65Aは、例えば、分割電線保持部61Aの第3方向Z1の端面から底壁62Aに向かって凹むように形成されている。収容溝65Aは、例えば、分割電線保持部61Aの軸方向の両端に開口するとともに、第3方向Z1に開口している。収容溝65Aは、収容凹部55Aと直接連通している。
【0066】
収容溝65Aは、例えば、第3方向Z1から見た平面視において、所定の曲げ角度で屈曲する屈曲形状に形成されている。収容溝65Aは、例えば、第3方向Z1から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。収容溝65Aは、分割コネクタ保持部51Aから第1反対方向X2に沿って延びる直線部分A1と、直線部分A1の第1反対方向X2の端部に連なる屈曲部分A2と、屈曲部分A2から第2方向Y1に沿って延びる直線部分A3とを有している。屈曲部分A2は、例えば、収容溝65Aの軸方向を所定の曲げ角度で屈曲させるように形成されている。ここで、曲げ角度は、直線部分A1の中心軸線と直線部分A3の中心軸線とがなす角度である。本実施形態の屈曲部分A2は、曲げ角度が90°になるように収容溝65Aの軸方向を屈曲させている。収容溝65Aは、例えば、分割電線保持部61Aの軸方向に沿って分割電線保持部61Aの軸方向の全長にわたって延びている。図3に示すように、収容溝65Aに電線21が収容されると、電線21の経路が収容溝65Aの直線部分A1、屈曲部分A2および直線部分A3に沿った経路に規制される。
【0067】
図2に示すように、収容溝65Aは、例えば、底壁62Aの内面と2つの側壁63A,64Aの内面とによって画定されている。収容溝65Aは、電線21を収容可能な大きさに形成されている。収容溝65Aには、収容溝65Aの軸方向の全長にわたって電線21が収容されている。すなわち、電線21は、屈曲形状を有する状態で収容溝65Aに収容されている。収容溝65Aは、コネクタ30のハウジング32が挿入不能な大きさに形成されている。収容溝65Aは、例えば、ハウジング32のブーツ34が挿入不能な大きさに形成されている。換言すると、分割電線保持部61Aは、ハウジング32とプロテクタ40の軸方向において係合可能な係合面66Aを有している。係合面66Aは、分割電線保持部61Aの軸方向の端部、ここでは第1方向X1の端部に設けられている。換言すると、分割電線保持部61Aの第1方向X1の端面は、係合面66Aを有している。係合面66Aは、例えば、分割コネクタ保持部51Aの内面よりもプロテクタ40の径方向内方に向かって突出するように形成されている。
【0068】
図6に示すように、収容溝65Aを画定する底壁62Aおよび側壁63A,64Aの内面は、電線21の外周面に沿った形状に形成されている。底壁62Aおよび側壁63A,64Aの内面は、円弧状に湾曲する曲面に形成されている。本実施形態の底壁62Aおよび側壁63A,64Aの内面に沿った横断面形状は、全体として半円弧状に形成されている。
【0069】
図7に示すように、分割電線保持部61Aは、収容溝65Aの軸方向の端部、ここでは第2方向Y1の端部における開口端を画定する内面67Aを有している。内面67Aは、例えば、収容溝65Aの軸方向において、分割電線保持部61Aの第2方向Y1の端面に近づくに連れて、収容溝65Aの径方向外方に向かって傾斜している。内面67Aは、例えば、分割電線保持部61Aの軸方向と平行な平面で分割電線保持部61Aを切断した断面形状がR形状、つまり円弧状に湾曲した曲面に形成されている。例えば、内面67Aは、収容溝65Aを画定する底壁62Aおよび側壁63A,64Aの内面と分割電線保持部61Aの第2方向Y1の端面との角部をR面取りした形状に形成されている。
【0070】
図5に示すように、分割電線保持部61Aは、収容溝65Aの軸方向の端部、ここでは第1方向X1の端部における開口端を画定する内面68Aを有している。内面68Aは、例えば、収容溝65Aの軸方向において、分割電線保持部61Aの第1方向X1の端面に近づくに連れて、収容溝65Aの径方向外方に向かって傾斜している。内面68Aは、例えば、分割電線保持部61Aの軸方向と平行な平面で分割電線保持部61Aを切断した断面形状がR形状に形成されている。例えば、内面68Aは、収容溝65Aを画定する底壁62Aおよび側壁63A,64Aの内面と分割電線保持部61Aの第1方向X1の端面(つまり、係合面66A)との角部をR面取りした形状に形成されている。
【0071】
(係合部71A,72Aの構成)
図2に示すように、第1分割体50Aは、1つまたは複数(本実施形態では、1つ)の係合部71Aと、1つまたは複数(本実施形態では、2つ)の係合部72Aとを有している。1つの係合部71Aと2つの係合部72Aとは、プロテクタ40の軸方向に沿って間隔を空けて設けられている。係合部71Aは、例えば、第2分割体50Bに設けられた係合部73Bに対向して設けられている。係合部71Aは、例えば、側壁53Aの外面から外方に突出するように形成されている。係合部71Aは、例えば、分割コネクタ保持部51Aの外周面からコネクタ保持部51の径方向外方に向かって突出する第1突起である。係合部71Aは、例えば、第2分割体50Bの係合部73Bに係合される。係合部71Aと係合部73Bとは、例えば、スナップフィット方式により互いに係合される。
【0072】
2つの係合部72Aは、例えば、第2分割体50Bに設けられた2つの係合部74Bにそれぞれ対向して設けられている。各係合部72Aは、例えば、側壁63Aの外面から外方に突出するように形成されている。各係合部72Aは、例えば、分割電線保持部61Aの外周面から電線保持部61の径方向外方に向かって突出する第2突起である。各係合部72Aは、例えば、第2分割体50Bの各係合部74Bに係合される。各係合部72Aと各係合部74Bとは、例えば、スナップフィット方式により互いに係合される。
【0073】
(係合部73A,74Aの構成)
図3に示すように、第1分割体50Aは、1つまたは複数(本実施形態では、1つ)の係合部73Aと、1つまたは複数(本実施形態では、2つ)の係合部74Aとを有している。1つの係合部73Aと2つの係合部74Aとは、プロテクタ40の軸方向に沿って間隔を空けて設けられている。係合部73Aは、例えば、第2分割体50Bに設けられた係合部71Bに対向して設けられている。係合部73Aは、例えば、側壁54Aの外面から外方に突出するように形成されている。係合部73Aは、例えば、側壁54Aの第3方向Z1の端面よりも第3方向Z1に突出するように形成されている。係合部73Aは、例えば、弾性変形によるプロテクタ40の幅方向への撓みが可能に構成されている。係合部73Aは、例えば、分割コネクタ保持部51Aの外周面から係合部71Bに向かって突出するとともに、コネクタ保持部51の径方向に弾性変形可能に形成された弾性片である。図2に示すように、係合部73Aは、例えば、係合枠部である。係合部73Aは、例えば、矩形の枠体に形成されており、その枠体の中央に係合部71B(図3参照)と係合可能な係合孔75Aを有している。係合部73Aと係合部71Bとは、例えば、スナップフィット方式により互いに係合される。
【0074】
図3に示すように、2つの係合部74Aは、例えば、第2分割体50Bに設けられた2つの係合部72Bにそれぞれ対向して設けられている。各係合部74Aは、例えば、側壁64Aの外面から外方に突出するように形成されている。各係合部74Aは、例えば、側壁64Aの第3方向Z1の端面よりも第3方向Z1に突出するように形成されている。各係合部74Aは、例えば、弾性変形によるプロテクタ40の幅方向への撓みが可能に構成されている。各係合部74Aは、例えば、分割電線保持部61Aの外周面から係合部72Bに向かって突出するとともに、電線保持部61の径方向に弾性変形可能に形成された弾性片である。各係合部74Aは、例えば、係合部73Aと同様に、係合枠部に形成されている。各係合部74Aは、例えば、矩形の枠体に形成されており、その枠体の中央に係合部72Bと係合可能な係合孔75Aを有している。係合部74Aと係合部72Bとは、例えば、スナップフィット方式により互いに係合される。
【0075】
(第2分割体50Bの構成)
図3に示すように、第2分割体50Bは、例えば、全体として半割筒状に形成されている。第2分割体50Bは、例えば、第1分割体50Aと同様の構造を有している。このため、第2分割体50Bのうち第1分割体50Aと共通の構造を有する部分については、第1分割体50Aの対応する構成の符号の末尾の「A」を「B」に変更した符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0076】
分割コネクタ保持部51Bは、第1分割体50Aと対向する底壁52Bと、底壁52Bの両側縁から第1分割体50Aに向かって突出する2つの側壁53B,54Bとを有している。分割コネクタ保持部51Bは、底壁52Bの内面と2つの側壁53B,54Bの内面とにより画定される収容凹部55Bを有している。図4に示すように、収容凹部55Bは、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態において、コネクタ保持部51の内部空間を構成する。すなわち、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態では、収容凹部55Aと収容凹部55Bとが重ね合わされることにより、ハウジング32が収容されるコネクタ保持部51の内部空間が形成されている。第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態では、側壁53A,54Aの第3方向Z1の端面と側壁53B,54Bの第3反対方向Z2の端面とが互いに接触される。
【0077】
図3に示すように、分割コネクタ保持部51Bは、底壁52Bの内面に設けられた凹部56Bと、底壁52Bの内面に設けられた1つまたは複数(本実施形態では、2つ)の突出片57Bとを有している。
【0078】
分割電線保持部61Bは、第1分割体50Aと対向する底壁62Bと、底壁62Bの両側縁から第1分割体50Aに向かって突出する2つの側壁63B,64Bとを有している。分割電線保持部61Bは、底壁62Bの内面と2つの側壁63B,64Bの内面とにより画定される収容溝65Bを有している。図6に示すように、収容溝65Bは、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態において、電線保持部61の内部空間を構成する。すなわち、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態では、収容溝65Aと収容溝65Bとが重ね合わされることにより、電線21が収容される電線保持部61の内部空間が形成されている。第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態では、側壁63A,64Aの第3方向Z1の端面と側壁63B,64Bの第3反対方向Z2の端面とが互いに接触される。
【0079】
図3に示すように、分割電線保持部61Bは、ハウジング32とプロテクタ40の軸方向において係合可能な係合面66Bを有している。図7に示すように、分割電線保持部61Bは、収容溝65Bの第2方向Y1の端部における開口端を画定する内面67Bを有している。内面67Bは、例えば、分割電線保持部61Bの軸方向と平行な平面で分割電線保持部61Bを切断した断面形状がR形状に形成されている。図5に示すように、分割電線保持部61Bは、収容溝65Bの第1方向X1の端部における開口端を画定する内面68Bを有している。内面68Bは、例えば、分割電線保持部61Bの軸方向と平行な平面で分割電線保持部61Bを切断した断面形状がR形状に形成されている。
【0080】
図3に示すように、第2分割体50Bは、1つまたは複数(本実施形態では、1つ)の係合部71Bと、1つまたは複数(本実施形態では、2つ)の係合部72Bとを有している。係合部71Bは、例えば、側壁54Bに設けられている。2つの係合部72Bは、例えば、側壁64Bに設けられている。係合部71Bは、例えば、分割コネクタ保持部51Bの外周面からコネクタ保持部51の径方向外方に向かって突出する突起である。各係合部72Bは、例えば、分割電線保持部61Bの外周面から電線保持部61の径方向外方に向かって突出する突起である。
【0081】
第2分割体50Bは、1つまたは複数(本実施形態では、1つ)の係合部73Bと、1つまたは複数(本実施形態では、2つ)の係合部74Bとを有している。係合部73Bは、例えば、側壁53Bに設けられている。2つの係合部74Bは、例えば、側壁63Bに設けられている。係合部73B,74Bは、第1分割体50Aの係合部71A,72Aとそれぞれ係合可能に形成された係合孔75Bを有している。係合部73Bは、例えば、分割コネクタ保持部51Bの外周面から係合部71A(第1突起)に向かって突出するとともに、コネクタ保持部51の径方向に弾性変形可能に形成された第1弾性片である。各係合部72Bは、例えば、分割電線保持部61Bの外周面から係合部72A(第2突起)に向かって突出するとともに、電線保持部61の径方向に弾性変形可能に形成された第2弾性片である。
【0082】
図2に示すように、第1分割体50Aと第2分割体50Bとは、例えば、収容凹部55A,55B同士、収容溝65A,65B同士を重ね合わせるようにして合体される。第1分割体50Aと第2分割体50Bとは、コネクタ付き電線20を間に挟んだ状態で合体される。図4に示すように、第1分割体50Aと第2分割体50Bとは、係合部71Aと係合部73Bとが互いに係合されるとともに、係合部73Aと係合部71Bとが互いに係合されるように合体されている。また、図6に示すように、第1分割体50Aと第2分割体50Bとは、係合部72Aと係合部74Bとが互いに係合されるとともに、係合部74Aと係合部72Bとが互いに係合されるように合体されている。これら係合部71A,73Bの係合、係合部73A,71Bの係合、係合部72A,74Bの係合、および係合部74A,72Bの係合により、第1分割体50Aと第2分割体50Bとの合体状態が維持される。第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態では、第1分割体50Aと第2分割体50Bとにより筒体が形成されている。さらに、図5に示すように、第1分割体50Aと第2分割体50Bとが合体した状態では、収容凹部55Aと収容凹部55Bとにより構成されるコネクタ保持部51の内部空間にコネクタ30のハウジング32が収容される。このとき、ハウジング32は、離脱方向D2に向かう移動が係合面66A,66Bによって規制される。
【0083】
図1に示すように、コネクタ付き電線20は、第1分割体50Aと第2分割体50Bとにより構成されるプロテクタ40が装着された状態で、挿入方向D1に沿って、機器100の相手コネクタ101に挿入される。この状態では、コネクタ30のハウジング32と、そのハウジング32から引き出された電線21とが連続してプロテクタ40により被覆される。このため、コネクタプラグ31に近い位置の電線21、例えばハウジング32から引き出された直後の電線21に何かが引っ掛かることを抑制できる。これにより、コネクタプラグ31に近い位置の電線21に離脱方向D2に引っ張る力が加わることを抑制できる。
【0084】
なお、コネクタ付き電線20は、例えば、機器100と、図示しない第2の車載機器とを電気的に接続する。機器100がECUである場合、上記第2の車載機器は、例えば、車載カメラ等の電気機器である。コネクタ付き電線20において、例えば、コネクタ30とは反対側の端部にもコネクタ30と同様のコネクタが設けられ、そのコネクタが上記第2の車載機器に接続される場合がある。この場合、第2の車載機器に接続されるコネクタにおいてもプロテクタ40が取り付けられていてもよい。
【0085】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)プロテクタ40は、ハウジング32とハウジング32の先端から第1方向X1に向かって突出するコネクタプラグ31とを有するコネクタ30と、ハウジング32の基端から引き出される電線21とを備えるコネクタ付き電線20に装着される。プロテクタ40は、コネクタ30を内部に収容した状態で保持する筒状のコネクタ保持部51と、電線21を内部に収容した状態で保持する筒状の電線保持部61とを備える。コネクタ保持部51と電線保持部61とがプロテクタ40の軸方向に沿って連続して形成されている。
【0086】
この構成によれば、筒状のコネクタ保持部51の内部に収容された状態でコネクタ30が保持されるとともに、筒状の電線保持部61の内部に収容された状態で電線21が保持される。このとき、コネクタ保持部51と電線保持部61とがプロテクタ40の軸方向に沿って連続して形成されている。このため、コネクタ30とそのコネクタ30の基端から引き出された直後の電線21とをプロテクタ40の内部に収容した状態で保持することができる。したがって、コネクタ30に近い位置の電線21に何かが引っ掛かることを好適に抑制できる。これにより、コネクタ30に近い位置の電線21に対して、離脱方向D2に引っ張る力が加わることを好適に抑制できる。この結果、意図せずに相手コネクタ101からコネクタ30が抜けることを好適に抑制できる。
【0087】
(2)プロテクタ40は、第1分割体50Aと第2分割体50Bとによってコネクタ付き電線20を包囲する筒状に形成されている。これにより、プロテクタ40を筒状としながらも、プロテクタ40が第1分割体50Aと第2分割体50Bとに分かれていることで、プロテクタ40をコネクタ付き電線20に対して後付け可能となる。これにより、コネクタ付き電線20に対するプロテクタ40の組み付け性を向上できる。
【0088】
(3)第1分割体50Aは、係合部71A,72A,73A,74Aを有する。第2分割体50Bは、係合部73Aと係合する係合部71Bと、係合部74Aと係合する係合部72Bと、係合部71Aと係合する係合部73Bと、係合部72Aと係合する係合部74Bとを有する。第1分割体50Aの係合部71A,72A,73A,74Aと第2分割体50Bの係合部73B,74B,71B,72Bとを互いに係合させることにより、第1分割体50Aと第2分割体50Bとの合体状態を維持できる。このため、第1分割体50Aおよび第2分割体50Bとは別の部品を用いて第1分割体50Aと第2分割体50Bとの合体状態を維持する場合に比べて、プロテクタ40の組立作業性を向上できる。
【0089】
(4)係合部73A,74A,73B,74Bの弾性変形を利用したスナップフィット方式により、第1分割体50Aの係合部71A,72A,73A,74Aと第2分割体50Bの係合部73B,74B,71B,72Bとが互いに係合される。これにより、係合部71A,72A,73A,74Aと係合部73B,74B,71B,72Bとを簡易に係合させることができる。このため、第1分割体50Aと第2分割体50Bとの合体状態を簡易に維持することができる。
【0090】
(5)第1分割体50Aは、電線21を経路規制した状態で固定する収容溝65Aを有する。第2分割体50Bは、電線21を経路規制した状態で固定する収容溝65Bを有する。電線保持部61の内部空間は、収容溝65Aと収容溝65Bとが重ね合わされて構成されている。この構成によれば、電線保持部61の内部空間に電線21を収容することにより、その電線21を経路規制した状態で固定することができる。これにより、コネクタ30のハウジング32から引き出された電線21の経路を好適に規制することができる。
【0091】
(6)電線保持部61の内部空間は、コネクタ保持部51から第1反対方向X2に沿って延びる直線部分A1と、直線部分A1の第1反対方向X2の端部に連なる屈曲部分A2とを有する。この構成によれば、電線保持部61の内部空間に収容される電線21の経路を、離脱方向D2と交差する方向に曲げることができる。このため、プロテクタ40から露出する電線21に対して、離脱方向D2に引っ張る力が加わった場合であっても、その離脱方向D2への力を屈曲部分A2で分散させることができる。これにより、コネクタ30に対して離脱方向D2への力が加わることを抑制できる。また、電線21が振動する場合であっても、コネクタ30に対して離脱方向D2への力が加わることを抑制できる。したがって、相手コネクタ101からコネクタ30が抜けることを好適に抑制できる。
【0092】
(7)電線保持部61のうち電線21が引き出される部分の開口端を画定する内面67A,67BがR形状に形成される。このため、電線保持部61から引き出された電線21に対して電線保持部61の軸方向と交差する方向に引っ張る力が加わった場合であっても、電線保持部61の開口端により電線21が損傷することを好適に抑制できる。
【0093】
(8)コネクタ保持部51は、第1反対方向X2へのコネクタ30の移動を規制した状態でハウジング32を固定する。この構成によれば、コネクタ保持部51の内部空間にハウジング32を収容することにより、そのハウジング32の第1反対方向X2への移動、つまりハウジング32の離脱方向D2への移動を規制することができる。これにより、コネクタ30の離脱方向D2への移動を規制できるため、相手コネクタ101からコネクタ30が抜けることを好適に抑制できる。
【0094】
(9)電線保持部61の第1方向X1の端面は、ハウジング32と第1方向X1において係合する係合面66A,66Bを有する。この構成によれば、電線保持部61の係合面66A,66Bにハウジング32が係合することにより、ハウジング32の第1反対方向X2への移動を好適に規制することができる。これにより、コネクタ30の離脱方向D2への移動を規制できるため、相手コネクタ101からコネクタ30が抜けることを好適に抑制できる。
【0095】
(10)コネクタ保持部51は、コネクタ保持部51の内面からハウジング32のブーツ34に向かって突出するとともにブーツ34の溝部35に嵌合する突出片57A,57Bを有する。この構成によれば、ブーツ34の溝部35にコネクタ保持部51の突出片57A,57Bが嵌合することにより、ブーツ34の第1反対方向X2への移動を好適に規制することができる。これにより、コネクタ30の離脱方向D2への移動を規制できるため、相手コネクタ101からコネクタ30が抜けることを好適に抑制できる。
【0096】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0097】
・上記実施形態のプロテクタ40の構造は適宜変更することができる。例えば、プロテクタ40は、プロテクタ40の軸方向に沿って連続して形成されたコネクタ保持部51および電線保持部61を有していれば、その他の構造は特に限定されない。
【0098】
・上記実施形態のコネクタ保持部51の構造は適宜変更することができる。例えば、突出片57A,57Bを省略してもよい。例えば、凹部56A,56Bを省略してもよい。
・上記実施形態の電線保持部61の構造は適宜変更することができる。例えば、電線保持部61の屈曲部分A2における曲げ角度は、90°に限定されるものではなく、90°以外の角度に変更してもよい。例えば、電線保持部61の屈曲部分A2における曲げ方向を適宜変更してもよい。例えば、電線保持部61における屈曲部分A2および直線部分A3を省略してもよい。この場合の電線保持部61の内部空間は、第1方向X1に沿って直線状に延びている。
【0099】
・上記実施形態の第1分割体50Aにおける係合部71A,72Aの個数は適宜変更することができる。なお、係合部71A,72Aの個数に合わせて、第2分割体50Bの係合部73B,74Bの個数も変更することができる。
【0100】
・上記実施形態の第1分割体50Aにおける係合部73A,74Aの個数は適宜変更することができる。なお、係合部73A,74Aの個数に合わせて、第2分割体50Bの係合部71B,72Bの個数も変更することができる。
【0101】
・上記実施形態のプロテクタ40における係合部71A,72A,71B,72Bおよび係合部73A,74A,73B,74Bの構造は適宜変更することができる。
・上記実施形態のプロテクタ40では、第1分割体50Aと第2分割体50Bとの合体状態を、係合部71A,72A,73A,74Aと係合部73B,74B,71B,72Bとの係合により維持するようにしたが、これに限定されない。例えば、第1分割体50Aの外周と第2分割体50Bの外周とに粘着テープを巻き付けることにより、第1分割体50Aと第2分割体50Bとの合体状態を維持するようにしてもよい。例えば、接着剤を用いて第1分割体50Aと第2分割体50Bとを互いに接着することにより、第1分割体50Aと第2分割体50Bとの合体状態を維持するようにしてもよい。
【0102】
・上記実施形態のプロテクタ40では、第1分割体50Aと第2分割体50Bとを別部品で構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、第1分割体50Aと第2分割体50Bとをヒンジ等を介して一体に形成するようにしてもよい。
【0103】
・上記実施形態のプロテクタ40では、コネクタ30のハウジング32の外周を周方向全周にわたって包囲するとともに、電線21の外周を周方向全周にわたって包囲するようにしたが、これに限定されない。例えば、プロテクタ40の周方向の一部に、ハウジング32の外周または電線21の外周を露出するスリットを設けるようにしてもよい。
【0104】
・上記実施形態のプロテクタ40は、コネクタ付き電線20に対して取り外し不能に構成されていてもよい。
・上記実施形態のコネクタ付き電線20の構造は適宜変更することができる。例えば、ハウジング32のブーツ34を省略してもよい。コネクタ付き電線20は、USBケーブルに限定されるものではなく、USBケーブル以外の仕様のケーブルであってもよい。例えば、コネクタ付き電線20は、HDMI(登録商標)ケーブルであってもよい。
【0105】
・上記実施形態の機器100の筐体に、プロテクタ40を保持する保持構造を設けるようにしてもよい。このような保持構造を機器100に設けることにより、プロテクタ40が装着されたコネクタ付き電線20が機器100から抜けることをより好適に抑制できる。
【0106】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
10 ワイヤハーネス
20 コネクタ付き電線
21 電線
30 コネクタ
31 コネクタプラグ
32 ハウジング
33 ハウジング本体
34 ブーツ
35 溝部
40 プロテクタ
50A 第1分割体
50B 第2分割体
51 コネクタ保持部
51A,51B 分割コネクタ保持部
52A,52B 底壁
53A,53B,54A,54B 側壁
55A,55B 収容凹部
56A,56B 凹部
57A,57B 突出片
58A 窪み
61 電線保持部
61A,61B 分割電線保持部
62A,62B 底壁
63A,63B,64A,64B 側壁
65A 収容溝(第1収容溝)
65B 収容溝(第2収容溝)
66A,66B 係合面
67A,67B 内面
68A,68B 内面
71A 係合部(第1係合部、第1突起)
72A 係合部(第1係合部、第2突起)
73A 係合部(第1係合部)
74A 係合部(第1係合部)
71B 係合部(第2係合部)
72B 係合部(第2係合部)
73B 係合部(第2係合部、第1弾性片)
74B 係合部(第2係合部、第2弾性片)
75A,75B 係合孔
100 機器
101 相手コネクタ
A1 直線部分
A2 屈曲部分
A3 直線部分
D1 挿入方向
D2 離脱方向
X1 第1方向
X2 第1反対方向
Y1 第2方向
Y2 第2反対方向
Z1 第3方向
Z2 第3反対方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7