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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114031
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】コンセント装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/05 20060101AFI20240816BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20240816BHJP
   H01R 25/00 20060101ALN20240816BHJP
【FI】
H02H3/05 L
H01R13/46 301M
H01R25/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019391
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】林 文移
【テーマコード(参考)】
5E087
5G142
【Fターム(参考)】
5E087EE10
5E087MM09
5E087PP08
5E087QQ03
5E087RR18
5E087RR22
5E087RR42
5E087RR43
5G142AB05
5G142AC01
5G142BB02
5G142DD02
5G142EE02
5G142FF24
5G142FF31
5G142GG09
(57)【要約】
【課題】 操作レバーの最初のオン操作するタイミング等、特定のタイミングで自動的にトラッキング検知機能のテストを実施する。
【解決手段】 トラッキング放電を検出するトラッキング電流検出部21と、コンセント口12への電路Lを遮断する遮断機構部11と、コンセント口12への電源供給を復帰操作する操作レバー4と、トラッキング放電を検出したら電路Lを遮断させるコンセントCPU28と、トラッキング放電を擬似発生させるテスト回路13とを有している。コンセントCPU28は、テスト回路12のオン動作によりトラッキング電流検出部21が検出動作したら電路Lを遮断する診断動作を実施し、操作レバー4が初めてオン操作されたらテスト回路13をオンさせて自己診断を実施する一方、操作レバー4の2回目以降のオン操作では自己診断を実施しない。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラッキング放電を検出するトラッキング検出部と、プラグが接続されるコンセント口への電源供給を停止する遮断手段と、前記コンセント口への電源供給を復帰操作する操作レバーと、トラッキング放電の検出を受けて前記遮断手段を遮断させる遮断制御部とを有するコンセント装置において、
前記トラッキング検出部を含むトラッキング検知機能、及び前記遮断手段を含む遮断機能を診断するためにトラッキング放電を擬似発生させるテスト回路と、
前記テスト回路をオンさせる診断制御部と、を有して、
前記遮断制御部は、前記テスト回路のオン動作により前記トラッキング検出部が検出動作したら、前記遮断手段を遮断操作する診断を実施する一方、
前記診断制御部は、前記操作レバーが初めてオン操作されたら前記テスト回路をオンさせて自己診断を実施し、前記操作レバーの2回目以降のオン操作では前記自己診断を実施しないことを特徴とするコンセント装置。
【請求項2】
前記テスト回路をオンさせた結果を通知する通知部を有し、
前記診断制御部は、前記テスト回路をオンさせても、前記トラッキング検出部が検出動作しなければそれを認識し、前記トラッキング検知機能に異常発生と判断して、異常発生を前記通知部に通知動作させることを特徴とする請求項1記載のコンセント装置。
【請求項3】
前記診断制御部は、前記テスト回路をオンさせた結果、前記トラッキング検出部が検出動作しても、前記遮断手段が遮断動作しなければそれを認識し、前記遮断機能に異常発生と判断して、前記通知部に通知動作させることを特徴とする請求項2記載のコンセント装置。
【請求項4】
トラッキング放電を検出するトラッキング検出部と、プラグが接続されるコンセント口への電源供給を停止する遮断手段と、前記コンセント口への電源供給を復帰操作する操作レバーと、トラッキング放電の検出を受けて前記遮断手段を遮断させる遮断制御部とを有するコンセント装置において、
前記トラッキング検出部を含むトラッキング検知機能を診断するためにトラッキング放電を擬似発生させるテスト回路と、
前記テスト回路をオンさせる診断制御部と、
前記テスト回路をオンさせた結果を通知する通知部と、
所定の時間間隔で前記診断制御部を動作させるためのタイマ部と、を有し、
前記診断制御部は、所定の時間間隔で前記テスト回路をオン動作させる自己診断を実施し、前記テスト回路がオン動作したにも関わらず前記トラッキング検出部が検出動作しなければそれを認識し、前記トラッキング検知機能に異常発生と判断して前記通知部に通知動作させることを特徴とするコンセント装置。
【請求項5】
トラッキング放電を検出するトラッキング検出部と、プラグが接続されるコンセント口への電源供給を停止する遮断手段と、前記コンセント口への電源供給を復帰操作する操作レバーと、トラッキング放電の検出を受けて前記遮断手段を遮断させる遮断制御部とを有するコンセント装置において、
前記トラッキング検出部を含むトラッキング検知機能を診断するためにトラッキング放電を擬似発生させるテスト回路と、
前記テスト回路をオンさせる診断制御部と、
前記診断制御部を動作させる診断スイッチと、
前記テスト回路をオンさせた結果を通知する通知部と、を有し、
前記診断スイッチは、前記プラグを前記コンセント口へ接続した際に、前記プラグが当接してオン動作するよう前記コンセント口の近傍に設置され、
前記診断制御部は、前記診断スイッチのオン動作を受けて前記テスト回路がオンしたにも関わらず、前記トラッキング検出部が検出動作しなければそれを認識し、前記トラッキング検知機能に異常発生と判断して前記通知部に通知動作させることを特徴とするコンセント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラッキング放電を検出したら電路を遮断する機能を備えたコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接続されたプラグから電気機器に電力を供給するために壁面に設置されたコンセント装置は、接続されたプラグの栓刃間でトラッキング放電が発生する問題がある。そのため、トラッキング検知機能を設けてトラッキング放電が発生したらそれを検出し、更にトラッキング放電の発生を受けて電路を遮断する機能を備えたものがある。
例えば特許文献1の電源コンセント(コンセント装置)では、トラッキング検出回路、報知部、電路を遮断する遮断回路を備え、トラッキング放電を検出したらトラッキング放電の発生を報知すると共に電路を遮断した。またテストボタンを設けて、トラッキング放電の検出が正常に行われるか診断(テスト)する機能が設けられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-140093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラッキング検知機能を備えた従来のコンセント装置は、トラッキング放電が発生したら電路が遮断されるため、危険な状態に至る前に対処でき火災発生防止等に有効であった。
しかしながら、トラッキング検知機能が正常に動作するよう設置されていなければ意味が無い。そのため、少なくともコンセント装置を設置した段階でテストボタンによるテストが欠かせないが、施工時に施工業者がテストを忘れて実施されない場合があったり、その後もテストボタンが操作されずに全くテストが成されない場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、操作レバーを最初にオン操作するタイミング等、特定のタイミングでトラッキング検知機能の診断を自動実施するコンセント装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の構成は、トラッキング放電を検出するトラッキング検出部と、プラグが接続されるコンセント口への電源供給を停止する遮断手段と、コンセント口への電源供給を復帰操作する操作レバーと、トラッキング放電の検出を受けて遮断手段を遮断させる遮断制御部とを有するコンセント装置において、トラッキング検出部を含むトラッキング検知機能、及び遮断手段を含む遮断機能を診断するためにトラッキング放電を擬似発生させるテスト回路と、テスト回路をオンさせる診断制御部と、を有して、遮断制御部は、テスト回路のオン動作によりトラッキング検出部が検出動作したら、遮断手段を遮断操作する診断を実施する一方、診断制御部は、操作レバーが初めてオン操作されたらテスト回路をオンさせて自己診断を実施し、操作レバーの2回目以降のオン操作では自己診断を実施しないことを特徴とする。
この構成によれば、最初の操作レバーのオン操作でトラッキング検知機能の診断が実施されるため、コンセント装置の施工完了を受けて確実に診断を実施でき、トラッキング検知機能が正常な状態で使用を開始できる。また、自己診断によりトラッキング検知機能及び遮断機能が正常であったらコンセント口への電源が遮断されるため、遮断動作により正常に機能することを認識できる。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、テスト回路をオンさせた結果を通知する通知部を有し、診断制御部は、テスト回路をオンさせても、トラッキング検出部が検出動作しなければそれを認識し、トラッキング検知機能に異常発生と判断して、異常発生を通知部に通知動作させることを特徴とする。
この構成によれば、トラッキング検知機能に異常が発生したら通知部が通知動作するため、利用者は遮断動作しない原因がトラッキング検知機能の異常にあることを認識でき、対処し易い。
【0008】
本発明の別の態様は、上記構成において、診断制御部は、テスト回路をオンさせた結果、トラッキング検出部が検出動作しても、遮断手段が遮断動作しなければそれを認識し、遮断機能に異常発生と判断して、通知部に通知動作させることを特徴とする。
この構成によれば、遮断機能に異常が発生したら通知部が通知動作するため、利用者は遮断動作しない原因が遮断機能の異常にあることを認識でき、対処し易い。
【0009】
本発明の第2の構成は、トラッキング放電を検出するトラッキング検出部と、プラグが接続されるコンセント口への電源供給を停止する遮断手段と、コンセント口への電源供給を復帰操作する操作レバーと、トラッキング放電の検出を受けて遮断手段を遮断させる遮断制御部とを有するコンセント装置において、トラッキング検出部を含むトラッキング検知機能を診断するためにトラッキング放電を擬似発生させるテスト回路と、テスト回路をオンさせる診断制御部と、テスト回路をオンさせた結果を通知する通知部と、所定の時間間隔で診断制御部を動作させるためのタイマ部と、を有し、診断制御部は、所定の時間間隔でテスト回路をオン動作させる自己診断を実施し、テスト回路がオン動作したのも関わらずトラッキング検出部が検出動作しなければそれを認識し、トラッキング検知機能に異常発生と判断して通知部に通知動作させることを特徴とする。
この構成によれば、トラッキング検知機能のテストが定期的に実施されるため、正常でない状態のまま使用され続けるようなことがない。そして、トラッキング検知機能に異常が発生したら、通知動作からそれを認識できるため、確実に認識できる。
【0010】
本発明の第3の構成は、トラッキング放電を検出するトラッキング検出部と、プラグが接続されるコンセント口への電源供給を停止する遮断手段と、コンセント口への電源供給を復帰操作する操作レバーと、トラッキング放電の検出を受けて遮断手段を遮断させる遮断制御部とを有するコンセント装置において、トラッキング検出部を含むトラッキング検知機能を診断するためにトラッキング放電を擬似発生させるテスト回路と、テスト回路をオンさせる診断制御部と、診断制御部を動作させる診断スイッチと、テスト回路をオンさせた結果を通知する通知部と、を有し、診断スイッチは、プラグをコンセント口へ接続した際に、プラグが当接してオン動作するようコンセント口の近傍に設置され、診断制御部は、診断スイッチのオン動作を受けてテスト回路がオンしたにも関わらず、トラッキング検出部が検出動作しなければそれを認識し、トラッキング検知機能に異常発生と判断して通知部に通知動作させることを特徴とする。
この構成によれば、コンセント口へのプラグの挿入を受けてトラッキング検知機能のテストが実施されるため、コンセントを使用する際にコンセントの状態を認識できる。そして、トラッキング検知機能に異常が発生したら、通知動作からそれを認識できるため、不良状態が放置される事態を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、最初の操作レバーのオン操作でトラッキング検知機能の診断が実施されるため、コンセント装置の施工完了を受けて確実に診断を実施でき、トラッキング検知機能が正常な状態で使用を開始できる。また、トラッキング検知機能が正常であったら電路が遮断されるため、遮断動作により正常に機能することを認識できる。
第2の構成によれば、トラッキング検知機能のテストが定期的に実施されるため、正常でない状態のまま使用され続けるようなことがない。そして、トラッキング検知機能に異常が発生したら、通知動作からそれを認識できるため、確実に認識できる。
第3の構成によれば、コンセント口へのプラグの挿入を受けてトラッキング検知機能のテストが実施されるため、コンセントを使用する際にコンセントの状態を認識できる。そして、トラッキング検知機能に異常が発生したら、通知動作からそれを認識できるため、不良状態が放置される事態を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るコンセント装置の一例を示す回路ブロック図である。
図2図1の回路を備えたコンセント装置の斜視図である。
図3図1のコンセント装置の自己診断の流れを示すフローチャートである。
図4】コンセント装置の他の形態を示す回路ブロック図である。
図5図4の回路を備えたコンセント装置の正面図である。
図6図4のコンセント装置の自己診断の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1,2は本発明に係るコンセント装置1の一例を示し、図1は回路ブロック図、図2図1の回路が組み込まれたコンセント装置の斜視図である。
図1に示すように、コンセント装置1は、プラグ3が接続されるコンセント口12に至る電路Lに、電路Lを開閉する接点部(図示せず)が設けられ、この接点部を開操作してコンセント口12への電路を遮断する遮断機構部(遮断手段)11が設けられている。
コンセント口12には、トラッキング放電を検出するトラッキング検出部を構成する電極12aが配置され、この電極12aにトラッキング放電の電流が流れ込むことで、トラッキング放電の発生が検知される。また、トラッキング放電を擬似発生させるテスト回路13、トラッキング放電の発生を判断して、電路Lの遮断、通知等の制御を行う制御部2が設けられている。
【0014】
制御部2は、電極12aに流れ込んだトラッキング放電の電流を計測するトラッキング電流検出部(トラッキング検出部)21、遮断機構部11を遮断動作させる遮断出力部23、トラッキング放電を検知する機能(トラッキング検知機能)及びトラッキング放電の発生を受けて電路を遮断する機能(遮断機能)をテストするテストスイッチ24、異常発生を通知する通知部22、通知部22の通知動作をリセットするリセットスイッチ25、後述する自己診断のトリガーを生成するタイマ部26、制御部2を制御するコンセントCPU28、制御部2を駆動する電源回路30等を備えている。
【0015】
尚、コンセントCPU28は、電路Lの遮断を制御する遮断制御部、後述するトラッキング検知機能の診断を実施する診断制御部としての機能を有している。また、遮断機構部11には、遮断動作した際にオン動作する第1スイッチ11aが配置されており、コンセントCPU28はこの第1スイッチ11aのオン/オフ信号により遮断機構部11の動作を認識する。
【0016】
電極12aは、放電検出路L1を介してトラッキング電流検出部21に接続されており、トラッキング放電により電極12a流れ込んだ電流をトラッキング電流検出部21が検出する。
【0017】
テスト回路13は、コンセント口12に挿入したプラグ3の栓刃3aの間で発生するトラッキング放電を擬似発生させる回路である。具体的に、トラッキング放電の発生を受けて電極12aに流れ込む電流(擬似トラッキング電流)を発生させる。この電流により、トラッキング電流検出部21が検知動作する。
【0018】
通知部22は、LED(表示部)22a及びブザー(報音部)22bにより構成されている。表示部22aはカラー表示するLEDを有し、正常/異常を発光色を変えて発光させ、更に発生した異常の種類を発光形態や発行色の変化で表示する。報音部22bは異常発生を受けて発報動作する。
【0019】
そして図2に示すように、電極12aは1組の栓刃挿入口から成るコンセント口12の中央に配置されている。結果、栓刃3aの間で発生するトラッキング放電は電極12aを含むエリアで発生し、電極12aにトラッキング放電の放電電流が流れ込み、トラッキング電流検出部21で検出される。
また、電路Lをオン/オフ操作すると共に、遮断動作した遮断機構部11を復帰操作する操作レバー4が設けられている。
尚、ここでは、コンセント口12を2組備えたコンセント装置1を示し、31はアース端子である。
【0020】
上記の如く構成されたコンセント装置1のトラッキング検知機能をテストする自己診断は次のように行われる。
図3は、自己診断の流れを示すフローチャートであり、図3を参照して説明する。コンセント装置1は、施工が完了、即ち壁面等への取り付けが完了すると、コンセント口12への通電を開始するために操作レバー4がオン操作される(S1)。操作レバー4がオン操作されると、遮断機構部11が遮断状態にあった電路Lを接続し、第1スイッチ11aがオンする。コンセントCPU28がこれを認識し、初回の電源オン操作であると判断したら(S2でYES)、テスト回路13をオン操作する(S3)。
【0021】
尚、初回のオン操作でなければ(S2でNO)、コンセントCPU28はそれを認識してテスト回路13をオンさせない。コンセントCPU28は、操作レバー4の最初のオン操作を受けてフラグを立てて記憶し、以後操作レバー4がオン操作されてもテスト回路13をオンさせる制御は行わない。代わりにタイマ部26をオンさせて、定期的に診断を行うためのタイマ部26をスタートさせる(S9)。
【0022】
テスト回路13がオンすると、テスト回路13から放電検出路L1に擬似トラッキング電流が流れ出る。この電流をトラッキング電流検出部21が検出し、検出した電流情報をコンセントCPU28に通知する。
こうして、トラッキング電流の発生を認識したコンセントCPU28は、トラッキング検知機能が正常であると判断(S4でYES)し、遮断機能の判断(S6)に進む。
【0023】
但し、テスト回路13がオンしたにも関わらず、トラッキング電流検出部21がトラッキング電流を検知しなければ、コンセントCPU28がそれを認識してトラッキング検知機能に異常発生と判断(S4でNO)し、通知部22をその旨の通知動作を行わせる(S5)。例えば、表示部22aが黄色で点滅する。
【0024】
一方、トラッキング電流検出部21の検知動作を受けて遮断出力部23に動作信号を出力したにも関わらず、遮断機構部11が遮断動作しなければ、コンセントCPU28は、第1スイッチ11aの状態からそれを認識し、遮断機能に異常発生と判断(S6でNO)して、その旨を通知部22から通知させる(S8)。例えば、表示部22aが赤色で点滅する。また、報音部22bがブザー音を鳴動する。
尚、遮断機構部11が遮断動作すると、操作レバー4はオン状態から遮断動作位置(トリップ位置)或いはオフ位置に移動する。
【0025】
そして、遮断出力部23の動作信号により遮断機構部11が遮断動作したら、遮断機能が正常であると判断(S6でYES)し、表示部22aに遮断機能が正常である旨の表示を行わせる(S7)。例えば、表示部22aが緑色で点灯する。
【0026】
次に、操作レバー4のオン操作が2回目以降の場合を説明する。操作レバー4がオン操作(S1)され、それが2回目以降のオン操作である(S2でNO)と、タイマ部26が設定された時間のカウントを開始する(S9)。
タイマ部26は、例えば1000時間のカウント時間が設定されており、コンセントCPU28はタイマ部26のカウントアップをトリガー(S10)として、テスト回路13を動作させる(S11)。そして、タイマ部26はカウントを継続して、1000時間が経過する毎にテスト回路13が起動してトラッキング検知機能の診断が実施される。
【0027】
テスト回路13のオンによる動作は、上記操作レバー4の初回オン操作の場合と同様であり、トラッキング電流検出部21がテスト回路13により生成されたトラッキング電流を検出すると、コンセントCPU28が正常に機能していると判断(S12でYES)して、通知部22を正常である旨の通知動作を実施させる(S14)。
トラッキング電流検出部21がトラッキング電流を検知しなければ(S12でNO)、異常発生と判断して、その旨を通知部22から通知させる(S13)。
そして、正常と判断した場合は、タイマ部26をリセットしてカウントを再開して診断制御を継続する。一方、異常発生と判断した場合は、診断制御を終了して操作レバー4のオフ操作等の操作を待つ。
【0028】
このように、最初の操作レバー4のオン操作でトラッキング電流検出部21を含むトラッキング検知機能、及び遮断機構部11を含む遮断機能の診断が実施されるため、コンセント装置1の施工完了を受けて確実に診断を実施でき、トラッキング検知機能及び遮断機能が正常な状態で使用を開始できる。
そして、トラッキング検知機能及び遮断機能が正常であったら電路Lが遮断されて、コンセント口12への電源供給が停止されるため、遮断動作によりトラッキングに関する機能が正常に動作していることを認識できる。
また、トラッキング検知機能に異常が発生したら通知部22が通知動作するため、利用者は遮断動作しない原因がトラッキング検知機能にあることを認識でき、対処し易い。
更に、遮断機能に異常が発生したら通知部22が通知動作するため、利用者は遮断動作しない原因が遮断機能の異常にあることを認識でき、対処し易い。
加えて、トラッキング検知機能のテストが定期的に実施されるため、正常でない状態のまま使用され続けるようなことがない。そして、トラッキング検知機能に異常が発生したら、通知部22の通知動作からそれを認識できるため、確実に認識できる。
【0029】
尚、トラッキング検知機能とは、トラッキング電流検出部21を中心として電極12a、放電検出路L1等を含む回路で構成される機能部分を示している。また、遮断機能とは、遮断機構部11を中心として遮断出力部23等を含む回路で構成される機能部分を示している。
また上記形態では、初回電源オンを受けての自己診断と、タイマ部26の動作による所定時間の計時間隔での自己診断を組み合わせているが、初回電源オン時のみ実施しても良く、その後はテストスイッチ24を使用した利用者による診断としても良い。また、タイマ部26を利用した所定時間間隔の自己診断のみでも良い。
【0030】
次に、コンセント装置1の他の形態を説明する。
図4,5は、コンセント装置1の他の形態を示し、図4は回路ブロック図、図5はコンセント装置の正面図である。上記形態とは、操作レバー4が診断に関与せず、コンセント口12の近傍に第2スイッチ(診断スイッチ)32を配置し、この第2スイッチ32のオン動作で自己診断を実施する点が相違している。第2スイッチ32のオン動作をトリガーとして自己診断が実施される。尚、上記実施形態と共通する構成要素は同一の符号を付与して説明を省略する。
図5に示すように、第2スイッチ32は栓刃挿入口に近接させた部位に配置され、プラグ3をコンセント口12に接続した際に、プラグ3の先端面が第2スイッチ32を押下して第2スイッチ32がオンするよう構成されている。即ち、プラグ3がコンセント口12に接続された際に自己診断が実施されるよう構成されている。
【0031】
具体的に、自己診断は以下のように行われる。
図6は、自己診断の流れを示すフローチャートであり、この図6を参照して説明する。
プラグ3がコンセント口12に接続されると、第2スイッチ32がオン(S21)して、テスト回路13が起動(S22)し、擬似トラッキング電流が放電検出路L1に流れる。この電流をトラッキング電流検出部21が検出し、コンセントCPU28に通知される。コンセントCPU28は、この通知を受けてトラッキング検知機能が正常であると判断(S23でYES)して、表示部22aにトラッキング検知機能が正常である旨の表示を行わせる(S24)。例えば、表示部22aが緑色で点灯する。
【0032】
テスト回路13が起動したにも関わらず、トラッキング電流検出部21から電流情報の通知を受けなければ、コンセントCPU28はトラッキング検知機能に異常発生と判断(S23でNO)して、通知部22にトラッキング検知機能に異常が発生した旨の通知動作を行わせ(S30)、診断制御を終了する。例えば、表示部22aが赤色で点滅し、報音部22bがブザー音を鳴動して異常発生を通知する。
【0033】
コンセントCPU28は、トラッキング検知機能が正常であると判断したら(S23でYES)、タイマ部26が起動(S25)して、その後は定期的に自己診断が行われる。具体的に、タイマ部26が1000時間等の所定時間のカウントを開始し、この所定時間の経過をトリガ(S26)としてテスト回路13がオン(S27)し、擬似トラッキング電流が放電検出路L1に流れる。
こうして診断が実施され、トラッキング電流検出部21が擬似トラッキング電流を検出したら、トラッキング検知機能が正常であると判断(S28でYES)され、正常である旨が表示部22aに表示される(S29)。こうして、正常と判断された場合は、タイマ部26をリセットしてカウントを再開して診断制御が継続される。
【0034】
一方、異常発生と判断(S28でNO)した場合は、通知部22からトラッキング検知機能に異常が発生した旨の通知が行われ(S30)、診断制御を終了する。
尚、トラッキング検知機能に異常が発生したと判断したら、異常発生の通知と共に電路を遮断しても良い。
【0035】
このように、コンセント口12へのプラグ3の挿入を受けてトラッキング検知機能のテストが実施されるため、コンセントを使用する際にコンセントの状態を認識できる。そして、異常が発生したら、通知動作からそれを認識できるため、不良状態が放置される事態を防止できる。
【0036】
尚、上記形態では、プラグ3の挿入時に加えて、タイマ機能を使用してその後も定期的に自己診断を行っているが、プラグ3の挿入時のみ自己診断を実施しても良い。
【符号の説明】
【0037】
1・・コンセント装置、2・・制御部、3・・プラグ、4・・操作レバー、3a・・栓刃、11・・遮断機構部(遮断手段)、12・・コンセント口、12a・・電極(トラッキング検出部)、21・・トラッキング電流検出部(トラッキング検出部)、22・・通知部、22a・・表示部、22b・・報音部、23・・遮断出力部、24・・テストスイッチ、26・・タイマ部、28・・コンセントCPU(遮断制御部、診断制御部)、32・・第2スイッチ(診断スイッチ)、L・・電路、L1・・放電検出路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6