(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114034
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】芯出し装置および芯出し方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/18 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B23Q3/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019394
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】九曜 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】末兼 勇汰
(72)【発明者】
【氏名】池田 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】森口 卓也
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016HB03
(57)【要約】
【課題】単純な構造で傾斜補正機能を有する芯出し装置を提供する。
【解決手段】芯出し装置10は、テーブルフレーム13と、支持軸15と、支持軸15に回転可能に支持される傾斜台17と、作用点35をテーブルフレーム13に対して持ち上げるジャッキ装置36と、鉛直方向に延びる回転軸1を中心に、傾斜台17に回転可能に支持される回転テーブル23と、回転テーブル23に配置されるテーブルリフター25と、テーブルリフター25の上方に載せられ、テーブルリフター25によってフロートテーブル27が上昇したときに、左右方向及び前後方向に自在に移動し、フロートテーブル27が下降したときに、移動が制限されるフロートテーブル27と、フロートテーブル27が上昇したときに、当接部64が回転面3aに当接して、中心軸3bを回転軸1に一致させる中心合わせ装置55と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転面と中心軸とを有するワークの芯出し装置であって、
テーブルフレームと、
前記テーブルフレームに配置される支持軸と、
前記支持軸に回転可能に支持される傾斜台と、
前記テーブルフレームに配置され、前記支持軸から離間した作用点を前記テーブルフレームに対して持ち上げるジャッキ装置と、
鉛直方向に延びる回転軸を中心に、前記傾斜台に回転可能に支持される回転テーブルと、
前記回転テーブルに配置されるテーブルリフターと、
前記テーブルリフターの上方に載せられ、前記ワークを載せられるフロートテーブルであって、前記テーブルリフターによって前記フロートテーブルが上昇したときに、左右方向及び前後方向に自在に移動し、前記フロートテーブルが下降したときに、移動が制限される、フロートテーブルと、
当接部を有し、前記フロートテーブルが上昇したときに、前記当接部が前記回転面に当接して、前記中心軸を前記回転軸に一致させる、中心合わせ装置と、
を有する芯出し装置。
【請求項2】
前記中心合わせ装置は、
前記支持軸と直交し、前記回転軸を通る第1平面に対して、対称に配置される一対のアームを有し、
前記各アームは、前記回転軸を通過し、前記支持軸に平行な第2平面に対して対称に、前記各アームの内側に配置された一対の当接部を有し、
前記一対のアームは、前記支持軸に沿って前記第1平面に対して対称な位置を保つように往復する、
請求項1に記載の芯出し装置。
【請求項3】
前記当接部は、鉛直軸を中心に回転するローラーである、
請求項1又は2に記載の芯出し装置。
【請求項4】
前記一対のアームは、第1アームと第2アームとを有し、
前記中心合わせ装置は、
フレームと、
前記第2平面に平行に延び、前記フレームに配置され、前記一対のアームを案内する直動ガイドと、
右ねじと左ねじとを有し、前記フレームに回転可能に支持されるアーム送りねじと、
前記第1アームに配置され、前記右ねじに組み合わされる右ナットと、
前記第2アームに配置され、前記左ねじに組み合わされる左ナットと、
を有する、
請求項2又は3に記載の芯出し装置。
【請求項5】
下方に伸縮するクランパを有し、前記回転テーブルに配置されたクランプ装置を更に有し、
前記回転テーブルは、前記回転テーブルの上方に配置された設置台を有し、
前記フロートテーブルは、前記クランパの下方に配置されるクランププレートであって、前記クランパが下方に伸びたときに、前記クランパによって下方に付勢されて、前記フロートテーブルが前記設置台と当接するクランププレートを有する、
請求項1~4のいずれかに記載の芯出し装置。
【請求項6】
前記フロートテーブルの中心を前記回転テーブルの中心に一致させる、一組の調心装置を更に有する、
請求項1~5のいずれかに記載の芯出し装置。
【請求項7】
前記調心装置は、それぞれ、
前記回転テーブルの中心付近に、円周上に等間隔に配置された固定側ポストと、
前記フロートテーブルの周辺部に、円周上に等間隔に配置されたフロート側ポストと、
前記固定側ポストと前記フロート側ポストとの間に配置される弾性体と、
を有する、
請求項6に記載の芯出し装置。
【請求項8】
前記テーブルリフターは、エア駆動式リフターであり、
前記芯出し装置は、
スイベルジョイントであって、
エア源と接続される固定ポートを有し、前記傾斜台に、前記回転テーブルの中心に配置されるスイベルシャフトと、
回転ポートを有し、前記スイベルシャフトに回転可能に支持されるスイベルハウジングと、
前記固定ポートと前記回転ポートとを接続するスイベル流路と、
を有するスイベルジョイントと、
前記エア源と前記固定ポートとを接続する第1流路と、
前記テーブルリフターと前記回転ポートとを接続する第2流路と、
を更に有する、
請求項1~7のいずれかに記載の芯出し装置。
【請求項9】
前記ジャッキ装置は、
前記テーブルフレームに配置されるジャッキガイドと、
第1支点を有し、前記ジャッキガイドを往復する第1スライダーと、
前記作用点と前記第1支点を接続する第1アームと、
第2支点を有し、前記ジャッキガイドを往復する第2スライダーと、
前記作用点と前記第2支点を接続する第2アームと、
右ねじと左ねじとを有し、前記ジャッキガイドに沿って延びて、前記第1スライダーと前記第2スライダーを貫通するジャッキねじと、
前記第1スライダーに配置され、前記右ねじと組み合わされる右ナットと、
前記第2スライダーに配置され、前記左ねじと組み合わされる左ナットと、
前記ジャッキねじに接続されるジャッキモーターと、
を有する、
請求項1~8のいずれかに記載の芯出し装置。
【請求項10】
回転面と中心軸とを有するワークをフロートテーブルに載置し、
テーブルリフターが、前記フロートテーブルを回転テーブルから浮上させ、
前記ワークの中心を、前記回転テーブルの回転軸に一致させ、
前記テーブルリフターが、前記フロートテーブルを前記回転テーブルへ降下させ、
前記回転テーブルが回転し、
回転する前記回転面の母線の位置を、測長機が高さ方向の2点において測定し、前記回転軸の傾斜位相及び傾斜角度を決定し、
前記回転面の傾斜方向を、傾斜台の回転中心である支持軸と垂直かつ水平な方向に一致させ、
ジャッキ装置が前記傾斜台の作用点を上昇させて、前記回転面の中心軸を直立させる、
ワークの芯出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯出し装置および芯出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを載置する回転台と、回転台の傾斜手段と移動手段と、ワークの位置合わせ手段と、を有する芯出し装置が知られている(特許第4450468号。以下、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の芯出し装置は、複雑な構造を有する。また、ワークが回転台の上に載置されたときに、ワークの中心が回転台の中心に一致していないときには、ワークを回転台に対して移動させる必要がある。
【0004】
本発明は、単純な構造で、傾斜補正機能を有する芯出し装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、ワークの中心を容易に回転台の中心に一致させる芯出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点は、
回転面と中心軸とを有するワークの芯出し装置であって、
テーブルフレームと、
前記テーブルフレームに配置される支持軸と、
前記支持軸に回転可能に支持される傾斜台と、
前記テーブルフレームに配置され、前記支持軸から離間した作用点を前記テーブルフレームに対して持ち上げるジャッキ装置と、
鉛直方向に延びる回転軸を中心に、前記傾斜台に回転可能に支持される回転テーブルと、
前記回転テーブルに配置されるテーブルリフターと、
前記テーブルリフターの上方に載せられ、前記ワークを載せられるフロートテーブルであって、前記テーブルリフターによって前記フロートテーブルが上昇したときに、左右方向及び前後方向に自在に移動し、前記フロートテーブルが下降したときに、移動が制限される、フロートテーブルと、
当接部を有し、前記フロートテーブルが上昇したときに、前記当接部が前記回転面に当接して、前記中心軸を前記回転軸に一致させる、中心合わせ装置と、
を有する芯出し装置である。
【0006】
本発明の第2の観点は、
回転面と中心軸とを有するワークをフロートテーブルに載置し、
テーブルリフターが、前記フロートテーブルを回転テーブルから浮上させ、
前記ワークの中心を、前記回転テーブルの回転軸に一致させ、
前記テーブルリフターが、前記フロートテーブルを前記回転テーブルへ降下させ、
前記回転テーブルが回転し、
回転する前記回転面の母線の位置を、測長機が高さ方向の2点において測定し、前記回転軸の傾斜位相及び傾斜角度を決定し、
前記回転面の傾斜方向を、傾斜台の回転中心である支持軸と垂直かつ水平な方向に一致させ、
ジャッキ装置が前記傾斜台の作用点を上昇させて、前記回転面の中心軸を直立させる、
ワークの芯出し方法である。
【0007】
テーブルリフターは、例えば、ボールリフター、ローラーリフター、エアーリフターである。
【0008】
中心合わせ装置は、例えば、回転面の周縁部を撮像する撮像装置と、回転面の周縁部の像から回転面の中心を算出する演算装置と、回転面の中心を回転軸に合わせてワークをフロートテーブルに設置するロボットの組合せである。また、中心合わせ装置は、例えば、中心に向かって径方向に押圧し、移動する複数の爪を有する、調心機能を有するチャックでもよい。
【0009】
アームねじは、支持軸と平行に配置される。
【0010】
調心装置は、例えば、フロートテーブルの中心から均等距離にフロートテーブルに配置された磁石と、回転軸から均等距離に配置された磁石との組合せである。また、調心装置は、回転テーブルとフロートテーブルを結ぶ、径方向に延びる複数の弾性体でもよい。
【0011】
同数の固定側ポストとフロート側ポストを有しても良い。弾性体は、例えば、引張ばね、圧縮ばね、ゴム紐、ダンパー、である。圧縮ばねは、ガイドと共に使用される。
【0012】
クランプ装置は、エアシリンダを有して良い。エアシリンダは、単動式シリンダでも良い。スイベルシャフトは、第2固定ポートを有して良い。スイベルハウジングは、第2回転ポートを有して良い。スイベルジョイントは、第2固定ポートと第2回転ポートを接続する第2スイベル流路を有して良い。芯出し装置は、エア源と第2固定ポートとを接続する第3流路と、エアシリンダと第2回転ポートとを接続する第4流路と、を有しても良い。
【0013】
作用点は、支持軸と平行に延びる軸でも良い。ジャッキガイドと、ジャッキねじは、水平に延びる。ジャッキガイドと、ジャッキねじは、支持軸と垂直方向に延びてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単純な構造で、傾斜補正機能を有する芯出し装置を提供できる。また、本発明によれば、ワークの中心を容易に回転台の中心に一致させる芯出し装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6A】実施形態の芯出し方法における傾斜角度の決定方法を示す断面図
【
図6B】実施形態の芯出し方法における傾斜角度の決定方法を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の芯出し装置10は、テーブルフレーム13と、支持軸15と、傾斜台17と、回転テーブル23と、テーブルリフター25と、フロートテーブル27と、ジャッキ装置36と、中心合わせ装置55と、を有する。芯出し装置10は、フレームガイド11と、スイベルジョイント53と、テーブル回転モータ19と、原動歯車21と、クランプ装置28と、測長機51と、エア源71(
図3参照)と、を有しても良い。
【0017】
図1の上方向は、+Z方向である。
図2の右方向は、+Y方向、
図2の下方向は+X方向である。
図1は、
図2のI-I線断面図である。ただし、
図1において、傾斜台17と、ジャッキ装置36と、テーブルフレーム13は、YZ平面による断面を示す。
【0018】
ワーク3は、フロートテーブル27に設置される。ワーク3は、回転面3aと中心軸3bとを有する。ワーク3は、中心軸3bを中心とする回転体である。中心軸3bは、フロートテーブル27の設置面に直交する線に対して傾斜することがある。芯出し装置10は、中心軸3bが鉛直になるようにワーク3の姿勢を矯正する。芯出し装置10は、例えば、特許文献1のリム切断装置に適用される。
【0019】
フレームガイド11は、Y方向に延びる。フレームガイド11は、固定される。フレームガイド11は、直動ガイドである。
【0020】
テーブルフレーム13は、フレームガイド11に配置される。テーブルフレーム13は、Y方向に往復する。テーブルフレーム13は、直動システム(不図示)によって制御されて良い。直動システムは、例えば、ラック・ピニオン機構、ボールねじ・サーボモータ機構である。
テーブルフレーム13は、クレビス台13aと、モータブラケット13bと、軸受台13cと、を有する。クレビス台13aは、支持軸15を支持する。支持軸15は、X方向に延びる。
【0021】
傾斜台17は、クレビス17aと、固定軸17bと、作用ピン(作用点)35と、を有する。クレビス17aは、傾斜台17の下面に配置される。クレビス17aは、支持軸15に回転可能に支持される。固定軸17bは、中空円筒である。固定軸17bは、傾斜台17の上面に垂直に、上方に延びる。作用ピン35は、支持軸15と離間して、X軸に平行に配置される。作用ピン35は、傾斜台17の下面に配置される。
【0022】
回転テーブル23は、回転テーブル板23aと、回転軸23bと、支持台23cと、設置台23dと、従動歯車23eと、を有する。回転テーブル板23aは、円板状である。回転テーブル板23aの中央は、くり抜かれても良い。回転軸23bは、中空円筒であり、回転テーブル板23aの下方に配置される。回転軸23bは、テーブル軸受24を介して、固定軸17bに支持される。回転テーブル23は、回転軸1を中心に回転する。複数の支持台23cは、回転テーブル板23aの上面の周縁部に、等間隔に配置される。支持台23cは、設置台23dを支持する。設置台23dは、リング状である。設置台23dの上面は、回転軸23bに垂直な平面である。従動歯車23eは、回転軸23bの外周に配置される。
【0023】
テーブル回転モータ19は、傾斜台17に配置される。原動歯車21は、テーブル回転モータ19の出力軸に締結される。原動歯車21は、従動歯車23eに噛み合う。
【0024】
テーブルリフター25は、エア式ボールリフターである。複数のテーブルリフター25が、回転テーブル板23aの上面に、円周上に等間隔に配置される。各テーブルリフター25は、径方向に延びる。圧縮空気がテーブルリフター25に供給されると、ボール25a(
図2参照)が上昇し、ボール25aが自由に転動する。このとき、ボール25aは、フロートテーブル27を持ち上げる。
テーブルリフター25は、内部にクランプ機構を有しても良い。
【0025】
複数(
図2では3つ)のクランプ装置28は、回転テーブル23に配置される。クランプ装置28は、クランプシリンダ28b(
図3参照)を有する。クランプシリンダ28bは、単動エアシリンダである。クランプ装置28は、クランパ28aを有する。複数のクランプ装置28は、円周上に等間隔に配置される。クランプ装置28は、設置台23dの下面に配置される。クランプ装置28に圧縮空気が供給されたときに、クランパ28aが下方に延びて、クランププレート27cに当接し、付勢する。このとき、フロートテーブル板27aは、設置台23dに押し付けられて、クランプされる。
なお、ワーク3が十分な質量を有するときは、クランプ装置28は、省いて良い。
【0026】
フロートテーブル27は、フロートテーブル板27aと、側面ブラケット27bと、クランププレート27cと、載置台27dと、下部カバー27eと、を有する。フロートテーブル板27aは、円板である。フロートテーブル板27aは、設置台23dの上面に配置される。側面ブラケット27bは、フロートテーブル板27aの周縁部に配置され、下方に延びる。側面ブラケット27bは、フロートテーブル27の側面全周を覆って良い。クランププレート27cは、リング状の平板であり、側面ブラケット27bに支持される。クランププレート27cは、フロートテーブル板27aの下方に配置される。下部カバー27eは、側面ブラケットの下方に更に延びて、傾斜台17や、テーブルフレーム13や、ジャッキ装置36の上方を覆う。
【0027】
調心装置29は、複数(
図2では6個)の固定側ポスト29aと、複数(
図2では6個)のフロート側ポスト29bと、複数(
図2では6個)の引張ばね(弾性体)29cと、を有する。
複数の固定側ポスト29aは、回転テーブル板23aの中央部に、回転軸1を中心とする円周上に等間隔に配置される。各固定側ポスト29aは、円柱状であり、回転テーブル板23aの上面から上方に延びる。各固定側ポスト29aは、貫通穴29a1を有する。
複数のフロート側ポスト29bは、フロートテーブル板27aの周縁部に、フロートテーブル板27aと同心円の円周上に等間隔に配置される。各フロート側ポスト29bは、円柱状であり、フロートテーブル板27aの下面から下方に延びる。各フロート側ポスト29bは、貫通穴29b1を有する。
各引張ばね29cは、貫通穴29a1と貫通穴29b1に掛けられる。
【0028】
ジャッキ装置36は、ジャッキガイド37と、第1スライダ39と、第2スライダ43と、ジャッキねじ45と、右ナット38と、左ナット47と、第1アーム42と、第2アーム44と、軸受46と、カップリング50と、ジャッキモーター49と、を有する。ジャッキ装置36は、作用ピン35を昇降して、傾斜台17を傾斜させる。
【0029】
ジャッキガイド37は、直動ガイドであり、テーブルフレーム13に配置される。ジャッキガイド37は、Y方向に延びる。
第1スライダ39は、第1ピン(第1支点)41を有する。第1スライダ39は、ジャッキガイド37に案内されて、Y方向に往復する。第1ピン41は、X方向に延びる。
第2スライダ43は、第2ピン(第2支点)48を有する。第2スライダ43は、ジャッキガイド37に案内されて、Y方向に往復する。第2ピン48は、X方向に延びる。
【0030】
第1アーム42は、作用ピン35と第1ピン41とを接続する。第1アーム42は、作用ピン35や第1ピン41に対して自在に回転する。第2アーム44は、作用ピン35と第2ピン48とを接続する。第2アーム44は、作用ピン35や第2ピン48に対して自在に回転する。
【0031】
ジャッキねじ45は、右ねじ45aと、左ねじ45bと、を有する。右ねじ45aと左ねじ45bは、同一のピッチを有し、同軸に接続される。ジャッキねじ45は、軸受46によって、軸受台13cに支持される。ジャッキねじ45は、第1スライダ39と第2スライダ43とを貫通する。右ナット38は、右ねじ45aに組み合わされて、第1スライダ39に締結される。左ナット47は、左ねじ45bに組み合わされて、第2スライダ43に締結される。
ジャッキモーター49は、モータブラケット13bに配置される。ジャッキモーター49の出力軸は、カップリング50でジャッキねじ45と締結される。
【0032】
ジャッキモーター49がジャッキねじ45を回転すると、第1スライダ39と第2スライダ43は、互いに近接し、又は離間する。そして、第1アーム42は、作用ピン35と第1ピン41を中心に回転する。また、第2アーム44は、作用ピン35と第2ピン48を中心に回転する。これにより、作用ピン35が昇降する。
【0033】
測長機51は、例えば、レーザー測長機である。一対の測長機51は、Z方向に並んで配置される。一対の測長機51のZ方向における距離をL3とする。一対の測長機51は、平面4(
図2参照)上に、回転軸1から等距離に配置される。ここで、回転軸1と測長機51を結ぶ軸をY1とすると、平面4は、回転軸1を通るZY1平面である。測長機51は、平面4上における、測長機51と回転面3aとの距離を測定する。すなわち、測長機51は、回転面3aの母線の位置を高さ方向の2点において測定する。
【0034】
図1及び
図3に示すように、スイベルジョイント53は、スイベルシャフト53aと、スイベルハウジング53bと、第1スイベル流路53cと、第2スイベル流路53dと、を有する。スイベルシャフト53aは、傾斜台17に配置される。スイベルシャフト53aは、回転軸1を中心に配置される。スイベルシャフト53aは、第1固定ポート53a1と、第2固定ポート53a2と、を有する。スイベルハウジング53bは、スイベルシャフト53aに回転可能に支持される。スイベルハウジング53bは、第1回転ポート53b1と、第2回転ポート53b2と、を有する。第1スイベル流路53cは、第1固定ポート53a1と第1回転ポート53b1とを接続する。第2スイベル流路53dは、第2固定ポート53a2と、第2回転ポート53b2とを接続する。
【0035】
エア源71は、例えば、コンプレッサである。エア源71は、芯出し装置10の外部に配置されても良い。エア源71は、圧縮空気を芯出し装置10に供給する。
【0036】
芯出し装置10は、第1流路72と、第2流路73と、第1弁74と、第3流路77と、第4流路78と、第2弁79と、を有する。第1流路72は、エア源71と第1固定ポート53a1とを接続する。第2流路73は、第1回転ポート53b1とテーブルリフター25とを接続する。第1弁74は、第1流路72に配置される。第1弁74は、例えば、2ポート弁である。第3流路77は、エア源71と第2固定ポート53a2とを接続する。第4流路78は、第2回転ポート53b2とクランプシリンダ28bとを接続する。第2弁79は、第3流路77に配置される。
【0037】
図4に示すように、中心合わせ装置55は、アーム送りねじ61と、右ナット65と、左ナット66と、直動ガイド59と、一対のアーム63と、を有する。中心合わせ装置55は、フレーム57と、アーム駆動モータ69と、カップリング70と、軸受62と、を有して良い。
ここで、IV-IV面は、直動ガイド59とアーム送りねじ61の中心を通る。
【0038】
フレーム57は、フレームベース57aと、一対の共通ブラケット57bと、モータブラケット57cと、を有する。共通ブラケット57bは、フレームベース57aのX方向の両端部に配置される。モータブラケット57cは、フレームベース57aの-X端に配置される。
【0039】
直動ガイド59は、スプライン軸59aと、スプラインガイド59bと、を有する。スプライン軸59aは、X軸に平行にフレーム57に配置される。スプライン軸59aの両端は、共通ブラケット57bに支持される。スプラインガイド59bは、スプライン軸59aに組付けられ、X方向に往復する。スプラインガイド59bは、アーム63に締結される。好ましくは、中心合わせ装置55は、一対の直動ガイド59を有する。各アーム63は、直動ガイド59に案内されて、X方向に往復する。
なお、直動ガイド59は、ボールスプライン、直動ガイドであって良い。
【0040】
アーム63は、ローラー64(当接部)を有する。アーム63は、Y方向に延びる。一対のアーム63は、第1平面5について対称に配置される。ここで、第1平面5は、回転軸1を通るYZ平面である。各アーム63は、一対のローラー64を有する。ローラー64は、Z方向を中心に回転する。ローラー64は、例えばキャスターである。一対のローラー64は、第2平面6について対称に配置される。ここで、第2平面6は、回転軸1を通るZX平面である。つまり、2対のローラー64は、第1平面5と第2平面6に対称に位置する。
【0041】
アーム送りねじ61は、右ねじ61aと、左ねじ61bを有する。右ねじ61aと左ねじ61bは、同一のピッチを有し、同軸に配置される。アーム送りねじ61の両端は、軸受62を介して、共通ブラケット57bに支持される。アーム送りねじ61は、一対のアーム63を貫通する。右ナット65は、右ねじ61aに組み合わされ、一方(
図4の下方)のアーム63に締結される。左ナット66は、左ねじ61bに組み合わされ、他方(
図4の上方)のアーム63に締結される。アーム駆動モータ69は、モータブラケット57cに配置される。アーム駆動モータ69の出力軸は、カップリング70によってアーム送りねじ61と接続される。
【0042】
図5を参照して、本実施形態の芯出し装置10の使用方法を説明する。まず、作業者やロボットがワーク3をフロートテーブル27に載置する(ステップS1)。テーブルリフター25がフロートテーブル27を浮上させる(ステップS2)。中心合わせ装置55は、アーム63を互いに接近する方向に移動させて、ワーク3の中心3cを回転軸1に合わせる(ステップS3)。テーブルリフター25がフロートテーブル27を降下させる(ステップS4)。クランプ装置28がフロートテーブル27をクランプする(ステップS5)。中心合わせ装置55は、アーム63をワーク3から離間する(ステップS6)。テーブル回転モータ19が回転テーブル23を回転する(ステップS7)。測長機51によって、中心軸3bの傾斜位相2aを決定する(ステップS8)。測長機51によって、傾斜角度θを決定する(ステップS9)。テーブル回転モータ19が回転テーブル23を回転し、傾斜方向2をY方向に一致させる(ステップS10)。ジャッキ装置36が傾斜台17を昇降して、中心軸3bをZ軸に平行にする(ステップS11)。
なお、ステップS5は、省いても良い。
【0043】
次いで、各ステップの詳細を説明する。ステップS1において、ワーク3を載置台27dに載置すると、中心軸3bは、Z方向から傾斜している(
図6A参照)。また、中心軸3bは、回転軸1から偏心している。なお、便宜上、
図6A及び
図6Bでは、中心軸3bは、回転軸1に一致して作図している。
【0044】
ステップS2において、まず、テーブルリフター25をアンクランプする。次いで、第1弁74を開ける。エア源71は、第1弁74と第1流路72とスイベルジョイント53と第2流路73を介して、テーブルリフター25へ圧縮空気を供給する。テーブルリフター25は、ボール25aを上昇させ、フロートテーブル27を浮上させる。
【0045】
ステップS3において、アーム駆動モータ69が正回転する。すると、一対のアーム63が第1平面5に対称に、ワーク3に近づく。4つのローラー64が回転面3aに接触してアーム63が狭まると、回転面3aのアーム63を通るXY平面における中心3c(
図4参照)は、次第に回転軸1に近づく。ここで、望ましくは、ローラー64の位置が回転面3aに近接するまでの間、アーム63は早送りで送られる。望ましくは、ローラー64が回転面3aに近接し、回転面3aに接触しようとするとき、又は、ローラー64が回転面3aに接触しているときは、アーム63は、一定の速度で移動する。望ましくは、アーム駆動モータ69が終了トルクに到達したときに、アーム駆動モータ69が停止する。このとき、アーム63が停止する。このとき、フロートテーブル27は、回転軸1から偏心しているが、ワーク3の中心3cは、回転軸1と実質的に同一に位置する。
【0046】
ステップS4において、第1弁74を閉じる。すると、テーブルリフター25への圧縮空気の供給が終了し、フロートテーブル27が降下する。フロートテーブル27は、設置台23dに当接し、ワーク3に作用する重力によって、XY方向へのフロートテーブル27の移動が抑制される。
【0047】
ステップS5において、第2弁79を開ける。エア源71は、第2弁79と第3流路77とスイベルジョイント53と第4流路78を介して、クランプ装置28へ圧縮空気を供給する。クランプ装置28は、フロートテーブル27をクランプする。
【0048】
ステップS6において、アーム駆動モータ69が逆回転する。すると、アーム63は開き、ワーク3から離間する。
ステップS7において、回転テーブル23とフロートテーブル27とワーク3は、一体に回転する。
【0049】
ステップS8において、測長機51は、回転面3aと、一対の測長機51との距離L1、L2(
図6A参照)をそれぞれ計測する。ワーク3の回転に伴って、距離差ΔL=(L2-L1)が変化する。距離差ΔLが最大になる方向2の原点からの角度を、傾斜位相2aとして決定する。
【0050】
図6Aは、中心軸3bが、平面4上の測長機51に向かって傾いた状態におけるVI矢視図(
図2参照)を示す。
図6Bは、中心軸3bが、平面4上の測長機51の反対側に向かって傾いた状態におけるVI矢視図を示す。
図6A及び
図6Bを参照して、ステップS9において、測長機51は、
図6Aの状態における距離差ΔL1=L21-L11を測定する。距離差ΔL1は、ΔLの最大値である。また、測長機51は、
図6Bの状態における距離差ΔL2=L22-L12を測定する。距離差ΔL2は、ΔLの最小値である。
図6Bに示す例では、距離差ΔL2は、負の値となる。回転面3aが円柱、直円柱、又は、直円錐の一部であるときは、測長機51は、次式に従って、中心軸3bの傾斜角度θを決定する。
θ=(tan
-1(ΔL1/L3)+tan
-1(ΔL2/L3))/2
【0051】
ステップS10において、テーブル回転モータ19は、傾斜方向2を+Y方向に一致させるように、回転テーブル23を回転させる。
ステップS11において、ジャッキ装置36は、ジャッキモーター49を回転して、作用ピン35を昇降して、傾斜台17を傾斜角度θだけ傾斜させる。すると、中心軸3bが実質的に直立する。
【0052】
本実施形態の中心合わせ装置55は、ワーク3の中心3cを、X方向の中心に位置決めする。傾斜台17は、X方向を中心として揺動する。したがって、傾斜台17の揺動に伴って、ワーク3の中心3cは、Y方向に沿って前後に変位する。中心3cは、X方向には変位しない。したがって、芯出し装置10がワーク3の芯出しを行った後に、中心3cは、回転軸1を通過するZY平面上に位置する。
テーブルフレーム13は、フレームガイド11に沿って、Y方向に移動できる。傾斜台17がX方向を中心に揺動し、テーブルフレーム13がY方向に移動できるため、傾斜台17が傾動して、中心軸3bが直立したときに、中心軸3bは、特定のXY位置に位置決めできる。すなわち、本実施形態の芯出し装置10を特許文献1のリム切断装置に適用したときに、ワーク3の中心軸3bを、容易にチャック装置の中心軸に一致させることができる。
【0053】
図7に示すように、本実施形態の変形例の中心合わせ装置155は、一対のアーム163を有する。各アーム163は、当接V面(当接面)164を有する。当接V面164は、第2平面6に対称に配置され、第2平面6に近づくにつれて第1平面5から遠ざかる2つの平面で構成される。
【0054】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
3 ワーク
10 芯出し装置
13 テーブルフレーム
15 支持軸
17 傾斜台
23 回転テーブル
25 テーブルリフター
27 フロートテーブル
36 ジャッキ装置
55、155 中心合わせ装置