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特開2024-114037表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114037
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/122 20060101AFI20240816BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240816BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240816BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K31/122
A61P17/00
A61P43/00 111
A61K8/35
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】61
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019399
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003557
【氏名又は名称】弁理士法人レクシード・テック
(72)【発明者】
【氏名】金井 杏子
(72)【発明者】
【氏名】小島 弘之
(72)【発明者】
【氏名】桝谷 晃明
【テーマコード(参考)】
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AC491
4C083AC492
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC06
4C083CC07
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC17
4C083CC18
4C083CC21
4C083CC23
4C083CC28
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC36
4C083CC37
4C083CC38
4C083CC39
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD14
4C083DD15
4C083DD16
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE13
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB28
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZC02
(57)【要約】
【課題】 表皮角化細胞の角化関連遺伝子の発現促進効果を誘導でき、主に、ヒトの皮膚に適用可能な新たな剤を提供する。
【解決手段】 本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤は、シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤。
【請求項2】
前記アセチルシコニンを含む、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、請求項1または2に記載の剤。
【請求項4】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有する、シコン抽出物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
【請求項7】
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、表皮角化細胞の角化促進に用いるための組成物。
【請求項8】
前記アセチルシコニンを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
【請求項12】
請求項7から10のいずれか一項に記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載の剤を含む、請求項7から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、トランスグルタミナーゼ1(Transglutaminase 1:TGM1)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
【請求項15】
前記アセチルシコニンを含む、請求項14に記載の剤。
【請求項16】
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンイソバレリルシコニンを含む、請求項14または15に記載の剤。
【請求項17】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有する、シコン抽出物を含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の剤。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか一項に記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
【請求項19】
請求項14から17のいずれか一項に記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
【請求項20】
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、TGM1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
【請求項21】
前記アセチルシコニンを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項23】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有する、シコン抽出物を含む、請求項20から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか一項に記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
【請求項25】
請求項20から23のいずれか一項に記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
【請求項26】
請求項14から19のいずれか一項に記載の剤を含む、請求項20から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、インボルクリン(Involucrin:IVL)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
【請求項28】
前記アセチルシコニンを含む、請求項27に記載の剤。
【請求項29】
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、請求項27または28に記載の剤。
【請求項30】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、請求項27から29のいずれか一項に記載の剤。
【請求項31】
請求項27から30のいずれか一項に記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
【請求項32】
請求項27から30のいずれか一項に記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
【請求項33】
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、インボルクリン(Involucrin:IVL)遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
【請求項34】
前記アセチルシコニンを含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、請求項33から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
請求項33から36のいずれか一項に記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
【請求項38】
請求項33から36のいずれか一項に記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
【請求項39】
請求項27から32のいずれか一項に記載の剤を含む、請求項33から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、フィラグリン(Filaggrin:FLG)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
【請求項41】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、請求項40に記載の剤。
【請求項42】
請求項40または41に記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
【請求項43】
請求項40または41に記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
【請求項44】
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、フィラグリン(Filaggrin:FLG)遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
【請求項45】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
請求項44または45に記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
【請求項47】
請求項44または45に記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
【請求項48】
請求項40から43のいずれか一項に記載の剤を含む、請求項44から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、セラミド合成酵素1(Ceramide Synthase 1:CERS1)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
【請求項50】
前記イソバレリルシコニンを含む、請求項49に記載の剤。
【請求項51】
前記α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む、請求項49または50に記載の剤。
【請求項52】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、請求項49から51のいずれか一項に記載の剤。
【請求項53】
請求項49から52のいずれか一項に記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
【請求項54】
請求項49から52のいずれか一項に記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
【請求項55】
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、セラミド合成酵素1(Ceramide Synthase 1:CERS1)遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
【請求項56】
前記イソバレリルシコニンを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む、請求項55または56に記載の組成物。
【請求項58】
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、請求項55から57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
請求項55から58のいずれか一項に記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
【請求項60】
請求項55から58のいずれか一項に記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
【請求項61】
請求項49から54のいずれか一項に記載の剤を含む、請求項55から60のいずれか一項に記載の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ムラサキの根であるシコン(紫根)は、古くから、紫雲膏等の漢方薬、医薬品の原料、および天然染料として使用されている。シコンやその抽出物には、シコニンやシコニン誘導体(以下、「シコニン類」ともいう。)が含有されており、前記シコニン類が抗炎症作用や抗菌作用等の効果を有することが報告されている。このため、前記シコニン類に着目した、前記効果を有する化粧料や外用剤等が種々検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-075613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本開示は、例えば、表皮角化細胞の角化関連遺伝子の発現促進効果を誘導でき、主に、ヒトの皮膚に適用可能な新たな剤を提供すること等を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤(以下、「角化促進剤」ともいう。)は、シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む。
【0006】
本開示のトランスグルタミナーゼ1(Transglutaminase 1:TGM1)遺伝子の発現誘導に用いるための剤(以下、「TGM1遺伝子の発現促進剤」ともいう。)は、シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む。
【0007】
本開示のインボルクリン(Involucrin:IVL)遺伝子の発現誘導に用いるための剤(以下、「IVL遺伝子の発現促進剤」ともいう)は、シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む。
【0008】
本開示のフィラグリン(Filaggrin:FLG)遺伝子の発現誘導に用いるための剤(以下、「FLG遺伝子の発現促進剤」ともいう)は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む。
【0009】
本開示のセラミド合成酵素1(Ceramide Synthase 1:CERS1)遺伝子の発現誘導に用いるための剤(以下、「CERS1遺伝子の発現促進剤」ともいう)は、シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、表皮角化細胞の角化関連遺伝子の発現促進効果を誘導でき、主に、ヒトの皮膚に適用可能な新たな剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1における、NHEK細胞における、TGM1の遺伝子発現量を示すグラフである。
図2図2は、実施例1における、NHEK細胞における、IVLの遺伝子発現量を示すグラフである。
図3図3は、実施例1における、NHEK細胞における、FLGの遺伝子発現量を示すグラフである。
図4図4は、実施例1における、NHEK細胞における、CERS1の遺伝子発現量を示すグラフである。
図5図5は、実施例1における、NHEK細胞における、TGM1の遺伝子発現量を示すグラフである。
図6図6は、実施例1における、NHEK細胞における、IVLの遺伝子発現量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示について、例をあげて具体的に説明する。以下、特に言及しない限り、各開示は、他の開示の説明を援用できる。
【0013】
<表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤>
ある態様において、本開示は、表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤または組成物を提供する。本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤は、シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む。また、本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための組成物は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。以下の説明において、特に言及しない限り、本開示の各剤の説明は、対応する各組成物の説明に援用できる。
【0014】
本発明者らは、鋭意研究の結果、シコン(紫根)の抽出物に含まれるシコニン類の一種である、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、およびα-メチル-n-ブチリルシコニンが、表皮角化細胞において、角化に関連する遺伝子(角化関連遺伝子)の発現促進作用を示すことを見出し、本開示を確立するに至った。このため、本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤または組成物によれば、例えば、角化との関連性が示されている遺伝子の発現を促進できるため、皮膚における角化を促進できると期待される。
【0015】
本開示において、「シコニン類」は、ナフトキノンを骨格とするシコニン(下記式(1))、およびシコニンの側鎖の水酸基が有機基で置換された化合物であるシコニン誘導体を意味する。前記シコニン類は、例えば、ムラサキ科(Boraginaceae)植物ムラサキLithospermum erythrorhizon Siebold & Zuccarini等の根から採取されることが知られている。前記シコニン誘導体は、例えば、下記式(2)で表すことができる。下記式(2)において、Rは、酸素原子と併せてエステルを形成している。具体例として、前記シコニン誘導体は、例えば、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin、R=COCH2C(CH3)2OH)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin、R=COCH3)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin、R=COCH(CH3)2)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin、R=COCH=C(CH3)2)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin、R=COCH2CH(CH3)2)、およびα-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin、R=COCH(CH3)CH2CH3)等があげられる(式(3)~式(8))。前記シコニン類は、好ましくは、前記角化関連遺伝子の発現をより強く促進できることから、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、およびα-メチル-n-ブチリルシコニンであり、さらに好ましくは、アセチルシコニンおよびβ,β-ジメチルアクリルシコニンである。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0016】
前記シコニン類は、単離または精製された化合物でもよいし、人工的に合成された化合物でもよいし、シコニン類を含む組成物でもよい。また、前記シコニン類は、自家調整してもよいし、市販品を用いてもよい。前記シコニン類を含む組成物は、例えば、シコニン類を含む抽出物;前記抽出物の粗精製物、前記抽出物の乾燥物、前記抽出物の凍結乾燥物、スプレードライ等の前記抽出物の処理物;等があげられる。
【0017】
前記シコニン類を含む抽出物は、例えば、前記シコニン類を含む植物に対して溶媒抽出を実施することにより製造できる。前記シコニン類を含む植物は、例えば、ムラサキ科の植物(例えば、ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)、セイヨウムラサキ(Lithospermum officinale L.))等があげられる。前記植物は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。前記抽出に供する植物の材料は、植物個体でもよいし、植物の部分でもよい。前記植物の部分は、例えば、根、根茎またはこれらの混合物があげられる。前記材料は、採取した植物そのものでもよいし、乾燥および/または粉砕等を行なった加工品でもよい。
【0018】
前記シコニン類の抽出に用いる溶媒は、例えば、水、緩衝液等の水性溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコールまたは含水低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、グリセリン、ポリエチレングリコール(例えば、分子量100~10万)等の多価アルコールまたは含水多価アルコール;アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジオキサン、ヘキサン、アセトニトリル、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、フェノール、トルエン等の有機溶媒;適宜規定度を調製した酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等);等があげられる。前記溶媒は、好ましくは、エタノールもしくは1,3-ブチレングリコール、またはこれらの混合溶媒である。前記溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0019】
前記処理物における処理は、例えば、酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、有機酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)添加による分解;微生物による発酵または代謝変換;イオン交換樹脂、活性炭、ケイ藻土等による成分吸着;種々の分離モード(イオン交換、親水性吸着、疎水性吸着、サイズ排除、配位子交換、アフィニティー等)を有するクロマトグラフィーを用いた分画;濾紙、メンブランフィルター、または限外濾過膜等を用いた濾過;加圧または減圧;加温または冷却:乾燥または凍結乾燥;pH調整;脱臭;脱色;長時間の静置保管;等があげられる。前記処理は、1種類を単独で実施でもよいし、2種類以上を実施してもよい。
【0020】
前記「表皮角化」は、表皮において、基底細胞が有棘細胞、顆粒細胞、角層細胞と変わっていく過程のことである。前記表皮角化は、ケラチノサイト(表皮角化細胞または角化細胞)が基底層において細胞分裂し、一つは基底層にとどまり、もう一つは有棘(ゆうきょく)層、顆粒層を経て角層に至り、最終的には垢(あか)となってはがれ落ちる一連の過程をいう。前記「表皮角化細胞の角化促進」は、当該過程が促進されることである。前記表皮角化細胞の角化促進は、例えば、直接的または間接的に評価できる。前記直接的な評価の場合、前記表皮角化細胞の角化促進は、例えば、前記表皮角化細胞の角化を評価することにより実施できる。前記間接的な評価の場合、前記表皮角化細胞の角化促進は、例えば、角化関連遺伝子の発現の程度を測定することによって評価でき、具体的には、前記角化関連遺伝子の発現促進により評価できる。
【0021】
前記「表皮角化細胞」は、表皮の基底層細胞が分裂することにより生じる細胞を意味する。前記表皮角化細胞は、表皮を構成する基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞、および角質細胞に分化する能力を有する。前記表皮角化細胞は、前記表皮においてさらに分化し、最終的に角質層を形成する角質細胞へと分化することが知られており、この過程は角化と呼ばれる。
【0022】
前記「角化関連遺伝子」は、表皮角化細胞の分化等に寄与する遺伝子を意味する。前記角化関連遺伝子は、例えば、TGM1遺伝子、IVL遺伝子、FLG遺伝子、およびCERS1遺伝子等があげられる。
【0023】
前記「TGM1(トランスグルタミナーゼ1、Transglutaminase 1)」は、タンパク質架橋酵素の一種である。前記TGM1遺伝子は、角化扁平上皮の最終分化時に発現が誘発され、例えば、表皮の角化したエンベロープ(コーニファイドエンベロープ)の形成促進に寄与すること等が知られている。前記コーニファイドエンベロープは、角質層において強靭な裏打ち構造となることで、バリア機能を果たすと考えられている。また、バリア機能が低下しているアトピー性皮膚炎の肌等において、コーニファイドエンベロープの未熟な細胞が多数観察されることが知られている。このため、コーニファイドエンベロープの形成促進機能を有するTGM1遺伝子は、例えば、バリア機能の強化作用などに寄与するということができる。
【0024】
前記TGM1遺伝子の一例として、ヒトTGM1遺伝子がコードするmRNAは、例えば、Genbankにおいてアクセッション番号:NM_000359.3で登録されている塩基配列からなるポリヌクレオチド等があげられる。前記TGM1遺伝子の発現量としては、いずれか1または2つ以上のTGM1遺伝子のアイソフォームの発現量を測定してもよいし、全てのアイソフォームの発現を測定してもよい。
【0025】
前記「IVL(インボルクリン、Involucrin)」は、コーニファイドエンベロープを構成するタンパク質の一種である。前記IVL遺伝子は、表皮角化細胞の分化および成熟の初期において発現が誘発され、例えば、表皮角化細胞の分化に寄与すること等が知られている。また、前記IVLはコーニファイドエンベロープを構成するタンパク質の一種であるため、前記IVL遺伝子は、例えば、バリア機能の強化作用などに寄与するということができる。
【0026】
前記IVL遺伝子の一例として、ヒトIVL遺伝子がコードするmRNAは、例えば、Genbankにおいてアクセッション番号:NM_005547.4で登録されている塩基配列からなるポリヌクレオチド等があげられる。前記TGM1遺伝子の発現量としては、いずれか1または2つ以上のIVL遺伝子のアイソフォームの発現量を測定してもよいし、全てのアイソフォームの発現を測定してもよい。
【0027】
前記「FLG(フィラグリン、Filaggrin)」は、ケラチン線維に結合し凝縮させる線維間凝縮物質であり、後に分解され天然保湿因子となるタンパク質である。前記FLG遺伝子は、表皮角化細胞の分化および成熟時に発現する遺伝子であり、例えば、表皮角化細胞の角質化誘導、表皮角化細胞の成熟、およびバリア機能の強化作用等に寄与することが知られている。
【0028】
前記FLG遺伝子の一例として、ヒトFLG遺伝子がコードするmRNAは、例えば、Genbankにおいてアクセッション番号:NM_002016.2で登録されている塩基配列からなるポリヌクレオチド等があげられる。前記FLG遺伝子の発現量としては、いずれか1または2つ以上のFLG遺伝子のアイソフォームの発現量を測定してもよいし、全てのアイソフォームの発現を測定してもよい。
【0029】
前記「CERS1(セラミド合成酵素1、Ceramide Synthase 1」は、セラミドの合成を触媒する酵素である。前記CERS1遺伝子は、表皮角化細胞の分化初期において発現する遺伝子であり、例えば、セラミドを合成することにより、表皮角化細胞の分化、バリア機能の強化作用等に寄与することが知られている。
【0030】
前記CERS1遺伝子の一例として、ヒトCERS1遺伝子がコードするmRNAは、例えば、Genbankにおいてアクセッション番号:NM_021267.5で登録されている塩基配列からなるポリヌクレオチド等があげられる。前記CERS1遺伝子の発現量としては、いずれか1または2つ以上のCERS1遺伝子のアイソフォームの発現量を測定してもよいし、全てのアイソフォームの発現を測定してもよい。
【0031】
前記「遺伝子の発現促進」は、対象遺伝子の発現量が促進または増加することを意味し、前記対象遺伝子の発現がない状態から発現がある状態に変化することを意味してもよい。前記対象遺伝子の発現は、例えば、後述の実施例1に準じて、対象遺伝子のmRNAの発現量を、定量的PCRを用いて測定することによって評価できる。前記対象遺伝子が複数のアイソフォームを有する場合、前記対象遺伝子の発現量としては、いずれか1または2つ以上の対象遺伝子のアイソフォームの発現量を測定してもよいし、全てのアイソフォームの発現を測定してもよいが、好ましくは、後者である。
【0032】
前記「遺伝子」は、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。本明細書において、前記「遺伝子」は、非翻訳領域(UTR)の配列等の付加的な配列を含むものであってもよい。
【0033】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤は、例えば、投与対象に対して使用することにより、表皮角化細胞の角化を促進することができる。本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の使用条件(投与条件)は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類等に応じて、投与形態、投与時期、投与量等を適宜設定できる。
【0034】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤は、例えば、in vivoで使用してもよいし、in vitroで使用してもよい。
【0035】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の投与対象は、特に制限されない。本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤をin vivoで使用する場合、前記投与対象は、例えば、ヒト、またはヒトを除く非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ウマ、ネコ、ヤギ、サル、モルモット等の哺乳類、鳥類等があげられる。本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤をin vitroで使用する場合、前記投与対象は、例えば、細胞、組織、器官等があげられ、前記細胞は、例えば、生体から採取した細胞、培養細胞等があげられ、前記組織または器官は、例えば、生体から採取した組織(生体組織)または器官等があげられる。
【0036】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤を含む、下記皮膚外用剤(例えば、経皮投与もしくは皮膚への塗布剤または組成物)または下記経口投与剤もしくは経口投与組成物において、前記シコニン類の配合量は、表皮角化細胞の角化促進効果を奏する範囲、すなわち、有効量であればよい。前記シコニン類の配合量(上限と下限)は、例えば、以下である。下記配合量は、1種類のシコニン類の単独の配合量でもよいし、2種類以上のシコニン類の合計の配合量でもよい。なお、以下の例示において、上限値と下限値とは、任意に組合せ可能である。
・下限値:2.0×10-2μg/ml、好ましくは2.0×10-1μg/ml
・上限値:1.0×10μg/ml、好ましくは2.0×10μg/ml

前記配合量の具体例として、シコニックスリキッド(BG)(一丸ファルコス株式会社製)を1%(v/v)の濃度で用いる場合、前記シコニン類の配合量は、約20.32μg/mlであり、各シコニン類の配合量は、例えば、以下である。
・シコニン:0.39μg/ml
・β-ヒドロキシイソバレリルシコニン:3.75μg/ml
・アセチルシコニン:6.15μg/ml
・イソブチリルシコニン:3.53μg/ml
・β,β-ジメチルアクリルシコニン:0.66μg/ml
・イソバレリルシコニン:2.92μg/ml
・α-メチル-n-ブチリルシコニン:2.92μg/ml
【0037】
前記シコニン類がシコニンである場合、前記シコニンの配合量は、例えば、3ng/ml~15ng/ml、好ましくは、5ng/ml~13ng/ml、さらに好ましくは、5.9ng/ml~11.8ng/mlである。前記シコニン類がβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンである場合、前記β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの配合量は、例えば、40ng/ml~130ng/ml、好ましくは、50ng/ml~120ng/ml、さらに好ましくは、56.3ng/ml~112.6ng/mlである。前記シコニン類がアセチルシコニンである場合、前記アセチルシコニンの配合量は、例えば、80ng/ml~200ng/ml、好ましくは、90ng/ml~190ng/ml、さらに好ましくは、92.2ng/ml~184.4ng/mlである。前記シコニン類がイソブチリルシコニンである場合、前記イソブチリルシコニンの配合量は、例えば、40ng/ml~120ng/ml、好ましくは、50ng/ml~110ng/ml、さらに好ましくは、53ng/ml~106ng/mlである。前記シコニン類がβ,β-ジメチルアクリルシコニンである場合、前記β,β-ジメチルアクリルシコニンの配合量は、例えば、6ng/ml~25ng/ml、好ましくは、8ng/ml~21ng/ml、さらに好ましくは、9.9ng/ml~19.8ng/mlである。前記シコニン類がイソバレリルシコニンである場合、前記イソバレリルシコニンの配合量は、例えば、30ng/ml~100ng/ml、好ましくは、40ng/ml~90ng/ml、さらに好ましくは、43.8ng/ml~87.5ng/mlである。前記シコニン類がα-メチル-n-ブチリルシコニンである場合、前記α-メチル-n-ブチリルシコニンの配合量は、例えば、30ng/ml~100ng/ml、好ましくは、40ng/ml~90ng/ml、さらに好ましくは、43.8ng/ml~87.5ng/mlである。
【0038】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の投与形態は、経口投与または非経口投与があげられる。前記非経口投与は、経皮投与、皮膚への塗布(接触)等があげられる。前記皮膚への塗布は、口腔粘膜への塗布、すなわち、口腔内の上皮細胞への塗布または接触の意味を含んでもよい。また、前記皮膚への塗布は、皮膚表面への塗布に加えてまたは代えて、前記皮膚表面を介した皮膚内または皮下への投与もしくは注入の意味を含んでもよい。前記皮膚表面を介した皮膚内への投与または注入は、例えば、マイクロニードルを用いて実施できる。
【0039】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の剤型は、特に制限されず、例えば、前記投与形態に応じて適宜決定できる。前記剤型は、例えば、液体状、固体状があげられる。前記投与形態が経口投与の場合、前記剤型は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等があげられる。
【0040】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤は、例えば、必要に応じて、添加剤を含んでもよく、組成物として使用する場合、前記添加剤は、薬学的に許容可能な添加剤または薬学的に許容可能な担体を含むことが好ましい。前記添加剤は、特に制限されず、例えば、基剤原料、賦形剤、着色剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、コーティング剤、保存剤、香料等の矯味矯臭剤等があげられる。本開示において、前記添加剤の配合量は、表皮角化細胞の角化促進効果を妨げるものでなければ、特に制限されない。
【0041】
前記賦形剤は、例えば、乳糖、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、αデンプン、デキストリン等のデンプン誘導体;結晶セルロース等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン等の有機系賦形剤;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩誘導体;リン酸水素カルシウム等のリン酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム等の硫酸塩等の無機系賦形剤があげられる。前記着色剤は、例えば、黄色三二酸化鉄等があげられる。前記滑沢剤は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;タルク;ポリエチレングリコール;シリカ;硬化植物油等があげられる。前記矯味矯臭剤は、例えば、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等の香料、甘味料、酸味料等があげられる。前記結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等があげられる。前記崩壊剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム等の化学修飾デンプンおよび化学修飾セルロース類等があげられる。前記安定化剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾール等のフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;ソルビン酸等があげられる。前記コーティング剤は、例えば、ヒプロメロース、マクロゴール6000等のマクロゴール、タルク、酸化チタン等があげられる。
【0042】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための組成物が経口投与組成物である場合、前記経口投与組成物の具体例は、例えば、飲料、食品、医薬品(類)、医薬部外品(類)等があげられる。
【0043】
本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤または組成物が経皮投与または皮膚への塗布に用いられるもの(以下、「皮膚外用剤」ともいう)である場合、前記皮膚外用剤の形態は、利用形態に応じて、アンプル、カプセル、粉末、顆粒、液体、ゲル、気泡、エマルジョン、シート、ミスト、スプレー剤等があげられる。前記利用形態は、例えば、医薬品(類);医薬部外品(類);局所用または全身用の皮膚外用剤類;頭皮・頭髪に適用する薬用および/または化粧用の製剤類;浴湯に投じて使用する浴用剤;その他製剤;等があげられる。前記局所用または全身用の皮膚外用剤類は、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、固形石鹸、液体ソープ、ハンドウォッシュ等の洗顔料または皮膚洗浄料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、除毛剤、脱毛剤、髭剃り処理料、アフターシェーブローション、プレショーブローション、シェービングクリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧料、香水類、美爪剤、美爪エナメル、美爪エナメル除去剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、貼付剤、エアゾール剤、歯磨きおよびマウスウォッシュ等の含嗽剤(がんそうざい)等があげられる。前記頭皮・頭髪に適用する薬用および/または化粧用の製剤類は、例えば、シャンプー剤、リンス剤、ヘアートリートメント剤、プレヘアートリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、エアゾール剤等があげられる。前記その他製剤は、例えば、腋臭防止剤または消臭剤、制汗剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等があげられる。
【0044】
前記皮膚外用剤は、必要に応じて、表皮角化細胞の角化促進効果を妨げない範囲で以下に例示する成分および/または添加剤を、任意に選択および/または併用して製造することができる。
【0045】
(1)各種油脂類
アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタンまたはこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)等。
【0046】
(2)ロウ類
ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス等。
【0047】
(3)鉱物油
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス等。
【0048】
(4)脂肪酸類
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸。
【0049】
(5)アルコール類
エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコール。
【0050】
(6)多価アルコール類
酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等。
【0051】
(7)エステル類
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等。
【0052】
(8)金属セッケン類
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等。
【0053】
(9)ガム質、糖類または水溶性高分子化合物
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖またはそのエステル、トレハロースまたはその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチンまたはキトサン、エチレンオキサイド等のアルキレン(C2~C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2~C4)キチンまたはキトサン、低分子キチンまたはキトサン、キトサン塩、硫酸化キチンまたはキトサン、リン酸化キチンまたはキトサン、アルギン酸またはその塩、ヒアルロン酸またはその塩、コンドロイチン硫酸またはその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドまたはその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等。
【0054】
(10)界面活性剤
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等。
【0055】
(11)各種ビタミン類
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸またはその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンEまたはその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等。
【0056】
(12)各種アミノ酸類
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体等。
【0057】
(13)添加物
前記皮膚外用剤は、さらに、動物または植物由来の各種添加物を添加してもよい。前記添加物は、例えば、添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工を行い、各種の素材から任意に選択して添加できる。前記加工は、例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色等を任意に選択および/または組み合わせた処理とできる。
【0058】
前記抽出に用いる溶媒は、供する製品の使用目的、種類、または後に行う加工処理等を考慮した上で選択できる。前記抽出溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコールもしくは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールもしくは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル等の各種有機溶媒の中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。ただし、前記抽出溶媒は、例えば、用途により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、もしくは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独または水との任意の混液で用いてもよく、または、搾取抽出したものを用いてもよい。
【0059】
前記植物または動物系原料由来の添加物を、全身用または局所用の外用剤、化粧品類に供する場合、前記皮膚外用剤は、例えば、皮膚や頭髪の保護をはじめ、保湿、感触・風合いの改善、柔軟性の付与、刺激の緩和、芳香によるストレスの緩和、細胞賦活(細胞老化防止)、炎症の抑制、肌質・髪質の改善、肌荒れ防止およびその改善、発毛、育毛、脱毛防止、光沢の付与、清浄効果、疲労の緩和、血流促進、温浴効果等の美容的効果のほか、香付け、消臭、増粘、防腐、緩衝等の効果も期待できる。
【0060】
前記皮膚外用剤は、例えば、さらにこの他にも、これまでに知られている各原料素材の様々な美容的、薬剤的効果を期待し、これらを組み合わせることによって、本開示の目的とする効果の増進を図り、多機能的な効果を期待した製品とすることも可能である。
【0061】
<TGM1遺伝子の発現誘導に用いるための剤または組成物>
別の態様において、本開示は、TGM1遺伝子を発現誘導可能な剤または組成物を提供する。本開示のTGM1遺伝子の発現抑制に用いるための剤は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のTGM1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のTGM1遺伝子の発現誘導剤または組成物によれば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。
【0062】
前記「TGM1遺伝子の発現誘導」は、前記TGM1遺伝子の発現量が促進または増加することを意味し、前記TGM1遺伝子の発現がない状態から発現がある状態への変化することを意味してもよい。前記TGM1遺伝子の発現は、例えば、後述の実施例1に準じて、TGM1遺伝子のmRNAの発現量を測定することに評価できる。
【0063】
本開示のTGM1遺伝子の発現誘導剤は、例えば、投与対象に対して使用することにより、TGM1遺伝子の発現を促進することができる。これにより、本開示のTGM1遺伝子の発現促進剤は、例えば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。本開示のTGM1遺伝子の発現誘導剤の使用条件(投与条件)は、前記本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の使用条件の説明を援用できる。
【0064】
<IVL遺伝子の発現誘導に用いるための剤または組成物>
別の態様において、本開示は、IVL遺伝子を発現誘導可能な剤または組成物を提供する。本開示のIVL遺伝子の発現抑制に用いるための剤は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のIVL遺伝子の発現誘導に用いるための組成物は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のIVL遺伝子の発現誘導剤または組成物によれば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。
【0065】
前記「IVL遺伝子の発現誘導」は、前記IVL遺伝子の発現量が促進または増加することを意味し、前記IVL遺伝子の発現がない状態から発現がある状態への変化することを意味してもよい。前記IVL遺伝子の発現は、例えば、後述の実施例1に準じて、IVL遺伝子のmRNAの発現量を測定することに評価できる。
【0066】
本開示のIVL遺伝子の発現誘導剤は、例えば、投与対象に対して使用することにより、IVL遺伝子の発現を促進することができる。これにより、本開示のIVL遺伝子の発現促進剤は、例えば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。本開示のIVL遺伝子の発現誘導剤の使用条件(投与条件)は、前記本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の使用条件の説明を援用できる。
【0067】
<FLG遺伝子の発現誘導に用いるための剤または組成物>
別の態様において、本開示は、FLG遺伝子を発現誘導可能な剤または組成物を提供する。本開示のFLG遺伝子の発現抑制に用いるための剤は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のFLG遺伝子の発現誘導に用いるための組成物は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のFLG遺伝子の発現誘導剤または組成物によれば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。
【0068】
前記「FLG遺伝子の発現誘導」は、前記FLG遺伝子の発現量が促進または増加することを意味し、前記FLG遺伝子の発現がない状態から発現がある状態への変化することを意味してもよい。前記FLG遺伝子の発現は、例えば、後述の実施例1に準じて、FLG遺伝子のmRNAの発現量を測定することに評価できる。
【0069】
本開示のFLG遺伝子の発現誘導剤は、例えば、投与対象に対して使用することにより、FLG遺伝子の発現を促進することができる。これにより、本開示のFLG遺伝子の発現促進剤は、例えば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。本開示のFLG遺伝子の発現誘導剤の使用条件(投与条件)は、前記本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の使用条件の説明を援用できる。
【0070】
<CERS1遺伝子の発現誘導に用いるための剤または組成物>
別の態様において、本開示は、CERS1遺伝子を発現誘導可能な剤または組成物を提供する。本開示のCERS1遺伝子の発現抑制に用いるための剤は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のCERS1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物は、シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む。本開示のCERS1遺伝子の発現誘導剤または組成物によれば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。
【0071】
前記「CERS1遺伝子の発現誘導」は、前記CERS1遺伝子の発現量が促進または増加することを意味し、前記CERS1遺伝子の発現がない状態から発現がある状態への変化することを意味してもよい。前記CERS1遺伝子の発現は、例えば、後述の実施例1に準じて、CERS1遺伝子のmRNAの発現量を測定することに評価できる。
【0072】
本開示のCERS1遺伝子の発現誘導剤は、例えば、投与対象に対して使用することにより、CERS1遺伝子の発現を促進することができる。これにより、本開示のCERS1遺伝子の発現促進剤は、例えば、表皮角化細胞の角化促進効果を得ることができる。本開示のCERS1遺伝子の発現誘導剤の使用条件(投与条件)は、前記本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤の使用条件の説明を援用できる。
【0073】
<表皮角化細胞の角化促進方法>
別の態様において、本開示は、表皮角化細胞の角化を促進可能な方法を開示する。本開示の表皮角化細胞の角化促進方法は、前記本開示の表皮角化細胞の角化促進剤および/または組成物を使用する。本開示の表皮角化細胞の角化促進方法によれば、例えば、表皮角化細胞の角化促進効果が得られると期待される。
【0074】
本開示の表皮角化細胞の角化促進方法は、対象に、前記本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤および/または組成物を使用する使用工程を含む。前記使用は、例えば、皮膚等への接触でもよいし、投与でもよい。
【0075】
本開示の表皮角化細胞の角化促進方法において、前記使用工程は、例えば、in vitroまたはin vivoで行なってもよい。本開示の表皮角化細胞の角化促進方法の対象(投与対象)および投与条件は、例えば、本開示の表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤および/または組成物における投与対象および投与条件の説明を援用できる。
【0076】
<TGM1遺伝子の発現誘導方法>
別の態様において、本開示は、TGM1遺伝子の発現誘導可能な方法を開示する。本開示のTGM1遺伝子の発現誘導方法は、前記本開示のTGM1遺伝子の発現誘導剤および/または組成物を使用する。本開示のTGM1遺伝子の発現誘導方法によれば、例えば、TGM1遺伝子の発現誘導効果が得られると期待される。
【0077】
本開示のTGM1遺伝子の発現誘導方法は、対象に、前記本開示のTGM1遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物を使用する使用工程を含む。前記使用は、例えば、皮膚等への接触でもよいし、投与でもよい。
【0078】
本開示のTGM1遺伝子の発現誘導方法において、前記使用工程は、例えば、in vitroまたはin vivoで行なってもよい。本開示のTGM1遺伝子の発現誘導方法の対象(投与対象)および投与条件は、例えば、本開示のTGM1遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物における投与対象および投与条件の説明を援用できる。
【0079】
<IVL遺伝子の発現誘導方法>
別の態様において、本開示は、IVL遺伝子の発現誘導可能な方法を開示する。本開示のIVL遺伝子の発現誘導方法は、前記本開示のIVL遺伝子の発現誘導剤および/または組成物を使用する。本開示のIVL遺伝子の発現誘導方法によれば、例えば、IVL遺伝子の発現誘導効果が得られると期待される。
【0080】
本開示のIVL遺伝子の発現誘導方法は、対象に、前記本開示のIVL遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物を使用する使用工程を含む。前記使用は、例えば、皮膚等への接触でもよいし、投与でもよい。
【0081】
本開示のIVL遺伝子の発現誘導方法において、前記使用工程は、例えば、in vitroまたはin vivoで行なってもよい。本開示のIVL遺伝子の発現誘導方法の対象(投与対象)および投与条件は、例えば、本開示のIVL遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物における投与対象および投与条件の説明を援用できる。
【0082】
<FLG遺伝子の発現誘導方法>
別の態様において、本開示は、FLG遺伝子の発現誘導可能な方法を開示する。本開示のFLG遺伝子の発現誘導方法は、前記本開示のFLG遺伝子の発現誘導剤および/または組成物を使用する。本開示のFLG遺伝子の発現誘導方法によれば、例えば、FLG遺伝子の発現誘導効果が得られると期待される。
【0083】
本開示のFLG遺伝子の発現誘導方法は、対象に、前記本開示のFLG遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物を使用する使用工程を含む。前記使用は、例えば、皮膚等への接触でもよいし、投与でもよい。
【0084】
本開示のFLG遺伝子の発現誘導方法において、前記使用工程は、例えば、in vitroまたはin vivoで行なってもよい。本開示のFLG遺伝子の発現誘導方法の対象(投与対象)および投与条件は、例えば、本開示のFLG遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物における投与対象および投与条件の説明を援用できる。
【0085】
<CERS1遺伝子の発現誘導方法>
別の態様において、本開示は、CERS1遺伝子の発現誘導可能な方法を開示する。本開示のCERS1遺伝子の発現誘導方法は、前記本開示のCERS1遺伝子の発現誘導剤および/または組成物を使用する。本開示のCERS1遺伝子の発現誘導方法によれば、例えば、CERS1遺伝子の発現誘導効果が得られると期待される。
【0086】
本開示のCERS1遺伝子の発現誘導方法は、対象に、前記本開示のCERS1遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物を使用する使用工程を含む。前記使用は、例えば、皮膚等への接触でもよいし、投与でもよい。
【0087】
本開示のCERS1遺伝子の発現誘導方法において、前記使用工程は、例えば、in vitroまたはin vivoで行なってもよい。本開示のCERS1遺伝子の発現誘導方法の対象(投与対象)および投与条件は、例えば、本開示のCERS1遺伝子の発現誘導に用いるための剤および/または組成物における投与対象および投与条件の説明を援用できる。
【0088】
<使用>
本開示は、表皮角化細胞の角化促進に用いるための、表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤および/または組成物の使用である。本開示は、TGM1遺伝子の発現の誘導に用いるための、TGM1遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。本開示は、IVL遺伝子の発現の誘導に用いるための、IVL遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。本開示は、FLG遺伝子の発現の誘導に用いるための、FLG遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。本開示は、CERS1遺伝子の発現の誘導に用いるための、CERS1遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。
【0089】
本開示は、表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤、または表皮角化細胞の角化促進に用いるための組成物を製造するための、表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤および/または組成物の使用である。本開示は、TGM1遺伝子の発現誘導に用いるための剤、またはTGM1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物を製造するための、TGM1遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。本開示は、IVL遺伝子の発現誘導に用いるための剤、またはIVL遺伝子の発現誘導に用いるための組成物を製造するための、IVL遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。本開示は、FLG遺伝子の発現誘導に用いるための剤、またはFLG遺伝子の発現誘導に用いるための組成物を製造するための、FLG遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。本開示は、CERS1遺伝子の発現誘導に用いるための剤、またはCERS1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物を製造するための、CERS1遺伝子の発現誘導剤および/または組成物の使用である。
【実施例0090】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。なお、「mol/l」は、「M」と標記することもある。
【0091】
[実施例1]
本開示のシコニン類が、表皮角化細胞の角化促進効果を示すことを確認した。
【0092】
(1)シコニン類の成分定量
シコニン抽出物における、各シコニン類の含有量について検討した。具体的には、前記検討は、HPLC分析によって行った。0.015%または0.03%(v/v、以下、同様。)のシコニックスリキッド(BG)(一丸ファルコス製)を、エタノールを用いて調製した。前記調製後、以下のHPLCの測定条件で、HPLC分析を行った。前記分析後、アセチルシコニンの検量線を基に、各シコニン類の分子量比によって換算し、各シコニン類の定量値を算出した。0.015%または0.03%のシコニックスリキッド(BG)における、前記算出された各シコニン類の含有量を表1に示す。なお、「シコニックスリキッド(BG)」は、シコニン抽出物であって、ムラサキ Lithospermum erythrorhizon Siebold & Zucc.(Boraginaceae)の根のエタノールおよび1,3-ブチレングリコールの混液の微アルカリ性溶液による抽出液である。
【0093】
(HPLCの測定条件)
HPLCシステム:LC-20シリーズ(島津製作所社製)
カラム:Mightysil RP-18 GP 5μm 250X4.6mm(関東化学株式会社製)
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:520nm、島津製作所製、SPD-M20A)
移動相:0分→30分 アセトニトリル/0.1%リン酸溶液の混液(50:50)→(100:0)
【0094】
【表1】
【0095】
(2)シコニン類による角化関連遺伝子の発現量試験
12ウェルプレートに、ヒト角化細胞であるNHEK細胞(KK-4009、凍結NHEK(NB)、新生児由来、クラボウ社製)を播種した。培地は、0.06mmol/lカルシウムを含有したKGM(商標)Gold Keratinocyte Growth Medium BulletKit(商標)培地(Lonza社製)からトランスフェリン、ハイドロコルチゾン、およびエピネフリンを除去した培地(KGM Tfn-/HC-/Epfn-、実施例において以下同じ)を使用した。前記播種後、前記NHEK細胞が100%コンフルエントになるまで培養した。前記培養後、各ウェルの培地を、シコニックスリキッド(BG)、またはシコニックスリキッド(BG)中に含有される濃度の各種シコニン類を添加したKGM Tfn-/HC-/Epfn-培地に交換した。ポジティブコントロール群では、1mmol/l Ca2+を添加したKGM Tfn-/HC-/Epfn-培地に交換した。前記交換後、前記NHEK細胞を6時間または16時間培養した。前記培養後、RNeasy mini kit(QIAGEN社製)を用いて、添付のプロトコルに従ってトータルRNAを抽出した。前記抽出後、測定したトータルRNAの濃度値に基づきReverTra Ace(登録商標)qPCR RT Master Mix(TOYOBO社製)を用いて、cDNAを合成した。前記合成後、合成したcDNAからTHUNDERBIRD(登録商標)Next SYBR(登録商標)qPCR Mix(TOYOBO社製)を用いて、リアルタイムPCRによる遺伝子発現量の定量解析を行った。前記リアルタイムPCRでは、各遺伝子のプライマーセットとして、下記TGM1遺伝子用プライマーセット、IVL遺伝子用プライマーセット、FLG遺伝子プライマーセット、CERS1遺伝子プライマーセット、およびRSP18遺伝子用プライマーセット(フォワードプライマー:配列番号1、リバースプライマー:配列番号2)を用いた。PCR装置としては、Thermal Cycler Dice(登録商標)Real Time System(タカラバイオ社製)を用いた。データの解析は、付属のソフトウェアを用いた。統計解析は、JMP8を用い、Dunnett検定により実施した。これらの結果を図1図4に示す。
【0096】
図1は、NHEK細胞における、TGM1の遺伝子発現量を示すグラフである。図1において、縦軸は、TGM1遺伝子発現量の相対値を示し、横軸は、試料の種類を示す。なお、試料の種類には、シコニックスリキッド(BG)は0.015%(データの左)および0.03%(データの右)の2群を使用し、各種シコニン類はシコニックスリキッド(BG) 0.015%相当(データの左)およびシコニックスリキッド(BG) 0.03%相当(データの右)の各種シコニン類濃度の2群を使用した。
図1における縦軸の数値は、negative control(NC)群の値を1.0(1.00)として、各群の値を示している。
図1の縦軸の数値は、以下の通りである。

・NC群:1.0、シコニックスリキッド(BG) 0.015%群:1.22、シコニックスリキッド(BG)0.03%群:1.19、アセチルシコニン(Acetyl shikonin) 0.015%相当群:1.04、アセチルシコニン(Acetyl shikonin) 0.03%相当群:1.20、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.015%相当群:1.20、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.03%相当群:1.04、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.015%相当群:1.22、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.03%相当群:1.19、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin) 0.015%相当群:1.25、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin) 0.03%相当群:1.25、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.015%相当群:1.30、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.03%相当群:1.28、PC群:2.86

図1に示すように、アセチルシコニン群、イソブチリルシコニン群、β,β-ジメチルアクリルシコニン群、イソバレリルシコニン群、またはα-メチル-n-ブチリルシコニン群では、NC(ネガティブコントロール)群と比べ、TGM1遺伝子の発現量が増加した。これらの結果から、表皮角化細胞において、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、およびα-メチル-n-ブチリルシコニンが、TGM1産生を促進することがわかった。
【0097】
図2は、NHEK細胞における、IVLの遺伝子発現量を示すグラフである。図2において、縦軸は、IVL遺伝子発現量の相対値を示し、横軸は、試料の種類を示す。なお、試料の種類には、シコニックスリキッド(BG)は0.015%(データの左)および0.03%(データの右)の2群を使用し、各種シコニン類はシコニックスリキッド(BG) 0.015%相当(データの左)およびシコニックスリキッド(BG) 0.03%相当(データの右)の各種シコニン類濃度の2群を使用した。
図2における縦軸の数値は、negative control(NC)群の値を1.0(1.00)として、各群の値を示している。
図2の縦軸の数値は、以下の通りである。

・NC群:1.0、シコニックスリキッド(BG) 0.015%群:1.39、シコニックスリキッド(BG) 0.03%群:1.39、アセチルシコニン(Acetyl shikonin) 0.015%相当群:1.12、アセチルシコニン(Acetyl shikonin) 0.03%相当群:1.51、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.015%相当群:1.57、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.03%相当群:1.12、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.015%相当群:1.06、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.03%相当群:1.43、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin) 0.015%相当群:1.47、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin) 0.03%相当群:1.52、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.015%相当群:1.49、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.03%相当群:1.59、PC群:2.21

図2に示すように、アセチルシコニン群、イソブチリルシコニン群、β,β-ジメチルアクリルシコニン群、イソバレリルシコニン群、またはα-メチル-n-ブチリルシコニン群では、NC(ネガティブコントロール)群と比べ、TGM1遺伝子の発現量が増加した。これらの結果から、表皮角化細胞において、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、およびα-メチル-n-ブチリルシコニンが、IVL産生を促進することがわかった。
【0098】
図3は、NHEK細胞における、FLGの遺伝子発現量を示すグラフである。図3において、縦軸は、FLG遺伝子発現量の相対値を示し、横軸は、試料の種類を示す。なお、試料の種類には、シコニックスリキッド(BG)は0.015%(データの左)および0.03%(データの右)の2群を使用し、各種シコニン類はシコニックスリキッド(BG) 0.015%相当(データの左)およびシコニックスリキッド(BG) 0.03%相当(データの右)の各種シコニン類濃度の2群を使用した。
図3における縦軸の数値は、negative control(NC)群の値を1.0(1.00)として、各群の値を示している。
図3の縦軸の数値は、以下の通りである。

・NC群:1.0、シコニックスリキッド(BG) 0.015%群:1.00、シコニックスリキッド(BG) 0.03%群:1.11、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin) 0.015%相当群:1.11、アセチルシコニン(Acetyl shikonin) 0.015%相当群:1.18、アセチルシコニン(Acetyl shikonin) 0.03%相当群:1.13、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.015%相当群:1.18、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.03%相当群:1.08、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.015%相当群:1.21、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.03%相当群:1.23、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin) 0.015%相当群:1.13、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.015%相当群:1.66、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.03%相当群:1.52、PC群:1.10

図3に示すように、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン群、アセチルシコニン群、イソブチリルシコニン群、β,β-ジメチルアクリルシコニン群、イソバレリルシコニン群、またはα-メチル-n-ブチリルシコニン群では、NC(ネガティブコントロール)群と比べ、FLG遺伝子の発現量が増加した。これらの結果から、表皮角化細胞において、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンが、FLG産生を促進することがわかった。
【0099】
図4は、NHEK細胞における、CERS1の遺伝子発現量を示すグラフである。図4において、縦軸は、CERS1遺伝子発現量の相対値を示し、横軸は、試料の種類を示す。なお、試料の種類には、シコニックスリキッド(BG)は0.015%(データの左)および0.03%(データの右)の2群を使用し、各種シコニン類はシコニックスリキッド(BG) 0.015%相当(データの左)およびシコニックスリキッド(BG) 0.03%相当(データの右)の各種シコニン類濃度の2群を使用した。
図4における縦軸の数値は、negative control(NC)群の値を1.0(1.00)として、各群の値を示している。
図4の縦軸の数値は、以下の通りである。

・NC群:1.0、シコニックスリキッド(BG) 0.015%群:1.17、シコニックスリキッド(BG) 0.03%群:1.56、シコニン(Shikonin) 0.015%相当群:1.41、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.015%相当群:1.25、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin) 0.03%相当群:1.14、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.015%相当群:1.02、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin) 0.03%相当群:1.20、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin) 0.015%相当群:1.53、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin) 0.03%相当群:1.22、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.015%相当群:1.67、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin) 0.03%相当群:1.27、PC群:1.08

図4に示すように、シコニン群、イソブチリルシコニン群、β,β-ジメチルアクリルシコニン群、イソバレリルシコニン群、またはα-メチル-n-ブチリルシコニン群では、NC(ネガティブコントロール)群と比べ、CERS1遺伝子の発現量が増加した。これらの結果から、表皮角化細胞において、シコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンが、CERS1産生を促進することがわかった。
【0100】
(3)シコニン類混合物によるTGM1遺伝子およびIVL遺伝子の発現量試験
つぎに、シコニン類を組み合わせた場合においても、表皮角化細胞の角化促進効果を示すか検討した。前記検討は、TGM1遺伝子およびIVL遺伝子の発現量を測定することによって、検討した。具体的には、シコニックスリキッド(BG)の濃度の変更、および各種シコニン類からシコニン類の混合物への変更以外、実施例1(2)と同様の方法で行った。前記シコニン類の混合物は、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、およびイソバレリルシコニンを混合した混合物A(Mixture of shikonin derivative A)、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、およびα-メチル-n-ブチリルシコニンの混合物B(Mixture of shikonin derivative B)を使用した。これらの結果を図5図6に示す。
【0101】
図5は、NHEK細胞における、TGM1の遺伝子発現量を示すグラフである。図5において、縦軸は、TGM1遺伝子発現量の相対値を示し、横軸は、試料の種類を示す。
図5における縦軸の数値は、negative control(NC)群の値を1.0(1.00)として、各群の値を示している。
図5の縦軸の数値は、以下の通りである。

・NC群:1.0、混合物A(Mixture of shikonin derivative A)群:1.28、混合物B(Mixture of shikonin derivative B)群:1.17、シコニックスリキッド(BG) 0.001%群:1.09、シコニックスリキッド(BG) 0.003%群:1.19、シコニックスリキッド(BG) 0.01%群:1.28、シコニックスリキッド(BG) 0.03%群:1.30、PC群:1.86

図5に示すように、混合物A群および混合物B群では、NC(ネガティブコントロール)群と比べ、TGM1遺伝子の発現量が増加した。これらの結果から、表皮角化細胞において、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、およびα-メチル-n-ブチリルシコニンが、TGM1産生を促進することがわかった。なお、図5のシコニックスリキッド(BG)群に示すように、シコニックスリキッド(BG)は、分化促進を阻害する物質を含有しないことも示唆された。
【0102】
図6は、NHEK細胞における、IVLの遺伝子発現量を示すグラフである。図6において、縦軸は、IVL遺伝子発現量の相対値を示し、横軸は、試料の種類を示す。
図6における縦軸の数値は、negative control(NC)群の値を1.0(1.00)として、各群の値を示している。
図6の縦軸の数値は、以下の通りである。

・NC群:1.0、混合物A(Mixture of shikonin derivative A)群:1.40、混合物B(Mixture of shikonin derivative B)群:1.15、シコニックスリキッド(BG) 0.001%群:1.24、シコニックスリキッド(BG) 0.003%群:1.11、シコニックスリキッド(BG) 0.01%群:1.41、シコニックスリキッド(BG) 0.03%群:1.53、PC群:0.96

図6に示すように、混合物A群および混合物B群では、NC(ネガティブコントロール)群と比べ、IVL遺伝子の発現量が増加した。これらの結果から、表皮角化細胞において、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、およびα-メチル-n-ブチリルシコニンが、IVL産生を促進することがわかった。図6のシコニックスリキッド(BG)群に示すように、シコニックスリキッド(BG)は、分化促進を阻害する物質を含有しないことも示唆された。
【0103】
なお、上述の実施例1で用いたプライマーの配列等情報を下記表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
以上、実施形態および実施例を参照して本開示を説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0106】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
<表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤>
(付記1)
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、表皮角化細胞の角化促進に用いるための剤。
(付記2)
前記アセチルシコニンを含む、付記1に記載の剤。
(付記3)
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、付記1または2に記載の剤。
(付記4)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有する、シコン抽出物を含む、付記1から3のいずれかに記載の剤。
(付記5)
付記1から4のいずれかに記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
(付記6)
付記1から4のいずれかに記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
<表皮角化細胞の角化促進に用いるための組成物>
(付記7)
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、表皮角化細胞の角化促進に用いるための組成物。
(付記8)
前記アセチルシコニンを含む、付記7に記載の組成物。
(付記9)
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、付記7または8に記載の組成物。
(付記10)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、付記7から9のいずれかに記載の組成物。
(付記11)
付記7から10のいずれかに記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
(付記12)
付記7から10のいずれかに記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
(付記13)
付記1から6のいずれかに記載の剤を含む、付記7から12のいずれかに記載の組成物。
<TGM1遺伝子の発現誘導に用いるための剤>
(付記14)
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、トランスグルタミナーゼ1(Transglutaminase 1:TGM1)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
(付記15)
前記アセチルシコニンを含む、付記14に記載の剤。
(付記16)
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンイソバレリルシコニンを含む、付記14または15に記載の剤。
(付記17)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有する、シコン抽出物を含む、付記14から16のいずれかに記載の剤。
(付記18)
付記14から17のいずれかに記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
(付記19)
付記14から17のいずれかに記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
<TGM1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物>
(付記20)
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、TGM1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
(付記21)
前記アセチルシコニンを含む、付記20に記載の組成物。
(付記22)
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、付記20または21に記載の組成物。
(付記23)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有する、シコン抽出物を含む、付記20から22のいずれかに記載の組成物。
(付記24)
付記20から23のいずれかに記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
(付記25)
付記20から23のいずれかに記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
(付記26)
付記14から19のいずれかに記載の剤を含む、付記20から25のいずれかに記載の組成物。
<IVL遺伝子の発現誘導に用いるための剤>
(付記27)
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、インボルクリン(Involucrin:IVL)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
(付記28)
前記アセチルシコニンを含む、付記27に記載の剤。
(付記29)
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、付記27または28に記載の剤。
(付記30)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、付記27から29のいずれかに記載の剤。
(付記31)
付記27から30のいずれかに記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
(付記32)
付記27から30のいずれかに記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
<IVL遺伝子の発現誘導に用いるための組成物>
(付記33)
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、インボルクリン(Involucrin:IVL)遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
(付記34)
前記アセチルシコニンを含む、付記33に記載の組成物。
(付記35)
前記β,β-ジメチルアクリルシコニンを含む、付記33または34に記載の組成物。
(付記36)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、付記33から35のいずれかに記載の組成物。
(付記37)
付記33から36のいずれかに記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
(付記38)
付記33から36のいずれかに記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
(付記39)
付記27から32のいずれかに記載の剤を含む、付記33から38のいずれかに記載の組成物。
<FLG遺伝子の発現誘導に用いるための剤>
(付記40)
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、フィラグリン(Filaggrin:FLG)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
(付記41)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、付記40に記載の剤。
(付記42)
付記40または41に記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
(付記43)
付記40または41に記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
<FLG遺伝子の発現誘導に用いるための組成物>
(付記44)
シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(β-Hydroxy isovaleryl shikonin)、アセチルシコニン(Acetyl shikonin)、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、フィラグリン(Filaggrin:FLG)遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
(付記45)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、付記44に記載の組成物。
(付記46)
付記44または45に記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
(付記47)
付記44または45に記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
(付記48)
付記40から43のいずれかに記載の剤を含む、付記44から47のいずれかに記載の組成物。
<CERS1遺伝子の発現誘導に用いるための剤>
(付記49)
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、セラミド合成酵素1(Ceramide Synthase 1:CERS1)遺伝子の発現誘導に用いるための剤。
(付記50)
前記イソバレリルシコニンを含む、付記49に記載の剤。
(付記51)
前記α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む、付記49または50に記載の剤。
(付記52)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、付記49から51のいずれかに記載の剤。
(付記53)
付記49から52のいずれかに記載の剤を含む、皮膚に塗布するための剤。
(付記54)
付記49から52のいずれかに記載の剤を含む、経口投与に用いるための剤。
<CERS1遺伝子の発現誘導に用いるための組成物>
(付記55)
シコニン(Shikonin)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン(Isobutyryl shikonin)、β,β-ジメチルアクリルシコニン(β, β-Dimethyl acryl shikonin)、イソバレリルシコニン(Isovaleryl shikonin)、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニン(α-Methyl-n-butyryl shikonin)を含む、セラミド合成酵素1(Ceramide Synthase 1:CERS1)遺伝子の発現誘導に用いるための組成物。
(付記56)
前記イソバレリルシコニンを含む、付記5に記載の組成物。
(付記57)
前記α-メチル-n-ブチリルシコニンを含む、付記55または56に記載の組成物。
(付記58)
前記シコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、アセチルシコニン、イソブチリルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、イソバレリルシコニン、および/または、α-メチル-n-ブチリルシコニンを含有するシコン抽出物を含む、付記55から57のいずれかに記載の組成物。
(付記59)
付記55から58のいずれかに記載の組成物を含む、皮膚に塗布するための組成物。
(付記60)
付記55から58のいずれかに記載の組成物を含む、経口投与に用いるための組成物。
(付記61)
付記49から54のいずれか記載の剤を含む、付記55から60のいずれかに記載の組成物。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上説明したように、本開示によれば、表皮角化細胞の角化関連遺伝子の発現促進効果を誘導でき、主に、ヒトの皮膚等に適用可能な剤を提供できる。このため、本発明は、例えば、医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤等の分野において、極めて有用といえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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