(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114041
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】界面活性剤を含有する組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/34 20170101AFI20240816BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240816BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240816BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20240816BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240816BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K31/045
A61P31/04
A61P31/12
A61K9/12
A61K8/89
A61K8/34
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019407
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】399101201
【氏名又は名称】健栄製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】沖見 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼石 美沙紀
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076BB31
4C076CC32
4C076CC35
4C076DD01F
4C076EE27F
4C076FF16
4C076FF17
4C076FF54
4C083AB051
4C083AC101
4C083AC102
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC02
4C083DD08
4C083EE12
4C206AA02
4C206CA03
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA33
4C206MA83
4C206NA05
4C206ZA89
4C206ZB33
4C206ZB35
(57)【要約】
【課題】新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)を提供する。
【解決手段】組成物を、シリコーン系界面活性剤(A)、低級アルコール及び水を含む組成物であって、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A1)及び(A2)から選択された少なくとも1種を充足し、低級アルコールの割合が40v/v%以上である、組成物とする。
(A1)濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.99以下
(A2)動粘度(25℃)500mm2/s以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン系界面活性剤(A)、低級アルコール及び水を含む組成物であって、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A1)を充足し、低級アルコールの割合が40v/v%以上である、組成物。
(A1)濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.99以下
【請求項2】
シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール及び水を含む組成物であって、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A2)を充足する、組成物。
(A2)動粘度(25℃)500mm2/s以上
【請求項3】
シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール及び水を含む組成物であって、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A1)及び(A2)を充足する、組成物。
(A1)濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.99以下
(A2)動粘度(25℃)500mm2/s以上
【請求項4】
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.98以下を充足する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
シリコーン系界面活性剤(A)が、動粘度(25℃)700mm2/s以上を充足する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.95以下、動粘度(25℃)800mm2/s以上を充足する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.7~0.94、動粘度(25℃)850~3200mm2/sを充足する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
pHが6以下である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
シリコーン系界面活性剤(A)、低級アルコール及び水を含む組成物であって、
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.7~0.94、動粘度(25℃)850~3200mm2/sを充足するジメチコンを含み、
シリコーン系界面活性剤(A)の割合が1.5w/v%以下であり、
低級アルコールの割合が40v/v%以上であり、
pHが3~5である、組成物。
【請求項10】
シリコーン系界面活性剤(A)が、PEG-ジメチコン、bis-PEG-ジメチコン、PEG/PPG-ジメチコン、bis-PEG/PPG-ジメチコンから選択された少なくとも1種を含む、請求項1~3、9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
起泡率が110%以上である、請求項1~3、9のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
50℃で4週間保存後の起泡率が125%以上である、請求項1~3、9のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
50℃で4週間保存前の起泡率をB1、50℃で4週間保存後の起泡率をB2とするとき、B1及びB2がいずれも110%以上であり、B1-B2(%)の値が20%以下である、請求項1~3、9のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)等に関する。
【背景技術】
【0002】
手指消毒剤等の消毒剤としては、液状、ゲル状、泡状等の種々の形状の製剤が使用されているが、液だれがしにくく使用感が良い等の観点から、泡状製剤が好まれる場合がある。
泡状製剤には、使用時に起泡性を示す製剤が使用される。
また、消毒剤には、エタノール等のアルコールが広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
起泡性のアルコール含有製剤を得るべく、シリコーン系界面活性剤(ポリエーテル変性シリコーン等)の使用が検討されている(特許文献1等)。
しかし、本発明者の検討によれば、シリコーン系界面活性剤によっては、製剤に起泡性を付与できない(製剤の起泡性を改善できない)場合や、起泡性を維持できない(経時的に起泡性が大きく減少ないし消失する)場合があった。また、このような問題は、特に、酸性条件下等において確認できる場合もあった。
【0006】
本発明者は、このような問題を改善すべく検討したが、ポリエーテル変性の種類や比率(PEG、PPG、これらの組み合わせ、これらの比率等)が同様のシリコーン系界面活性剤(ポリエーテル変性シリコーン等)等であっても、起泡性の付与や維持の傾向が異なる場合があり、当該問題の要因の探索、ひいては、当該問題を解決しうるシリコーン系界面活性剤の選択は、困難を極めた。
【0007】
このような中、本発明者は、さらに鋭意検討を重ねた結果、ポリエーテル変性の種類や割合等とは異なる、特定の条件(指標)を充足するシリコーン系界面活性剤によれば、起泡性を付与できたり、起泡性を維持できること、特に、酸性条件等であっても、このような起泡性の維持を実現しうること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール(例えば、低級アルコール)及び水を含む組成物であって、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A1)を充足する(特に、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A1)を充足し、低級アルコールの割合が40v/v%以上である)、組成物。
(A1)濃度0.5w/v%(0.5w/v%の割合)で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.99以下
[2]
シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール及び水を含む組成物であって、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A2)を充足する、組成物。
(A2)動粘度(25℃)500mm2/s以上
[3]
シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール及び水を含む組成物であって、シリコーン系界面活性剤(A)が下記条件(A1)及び(A2)を充足する、組成物。
(A1)濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.99以下
(A2)動粘度(25℃)500mm2/s以上
[4]
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.98以下を充足する、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
シリコーン系界面活性剤(A)が、動粘度(25℃)700mm2/s以上を充足する、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.95以下、動粘度(25℃)800mm2/s以上を充足する、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.7~0.94、動粘度(25℃)850~3200mm2/sを充足する、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
シリコーン系界面活性剤(A)が、ポリエーテル変性シリコーンを含む[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
シリコーン系界面活性剤(A)の割合が0.01~10w/v%である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]
シリコーン系界面活性剤(A)の割合が1.5w/v%以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]
アルコール(例えば、低級アルコール)が、エタノール及びイソプロパノールから選択された少なくとも1種を含み、アルコールの割合が40v/v%以上である、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]
pHが6以下(例えば、3~5)である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]
シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール(例えば、低級アルコール)及び水を含む組成物であって、
シリコーン系界面活性剤(A)が、濃度0.5w/v%で消毒用エタノールに配合したとき、比表面張力が0.7~0.94、動粘度(25℃)850~3200mm2/sを充足するジメチコンを含み、
シリコーン系界面活性剤(A)の割合が1.5w/v%以下であり、
アルコール(例えば、低級アルコール)の割合が40v/v%以上であり、
pHが3~5である、組成物。
[14]
シリコーン系界面活性剤(A)が、PEG-ジメチコン、bis-PEG-ジメチコン、PEG/PPG-ジメチコン、bis-PEG/PPG-ジメチコンから選択された少なくとも1種を含む、[1]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]
さらに、pH調整剤、多価アルコール、脂肪酸エステル、及びシリコーン系界面活性剤(A)の範疇に属さない界面活性剤から選択された少なくとも1種を含む、[1]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]
さらに、多価アルコールを0.1w/v%以上の割合で含む、[1]~[15]のいずれかに記載の組成物。
[17]
起泡性である、[1]~[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]
起泡率が110%以上である、[1]~[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]
50℃で4週間保存後の起泡率が110%(例えば、125%)以上である、[1]~[18]のいずれかに記載の組成物。
[20]
50℃で4週間保存前の起泡率(又は調製直後の起泡率)をB1、50℃で4週間保存後の起泡率をB2とするとき、B1及びB2がいずれも110%以上であり、B1-B2(%)の値が20%以下である、[1]~[19]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規な組成物(界面活性剤を含有する組成物)を提供できる。
このような組成物は、一態様では、起泡性を有する[良好な起泡性を有する(組成物に付与できる)]。特に、酸性条件下においてもこのような起泡性を実現できる。
【0010】
本発明の組成物の別の態様では、起泡性を維持しうる(長期保管後も起泡性を維持しうる)。特に、酸性条件下でさえも、このような起泡性の維持を実現できる。
【0011】
本発明の組成物のさらに別の態様では、起泡性の付与(良好な起泡性)と維持とを両立しうる。特に、酸性条件下でさえも、このような起泡性の付与と維持を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[組成物]
本発明の組成物(製剤)は、シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール及び水を少なくとも含有する。
【0013】
シリコーン系界面活性剤(A)
シリコーン系界面活性剤(A)は、特定の物性値(パラメータ)を充足する。
【0014】
具体的には、シリコーン系界面活性剤(A)は、下記条件(A1)及び(A2)から選択された少なくとも1つの条件を充足する。
【0015】
(A1)濃度0.5w/v%でエタノール(消毒用エタノール)に配合したとき、比表面張力が特定値
【0016】
(A2)動粘度(25℃)が特定値
【0017】
条件(A1)は、濃度0.5w/v%の割合で消毒用エタノールに配合(含有、溶解)させたときの比表面張力(消毒用エタノールの表面張力をX1、0.5w/v%の割合で含む消毒用エタノールの表面張力をX2とするとき、X2/X1で表される値)を規定するものである。
【0018】
条件(A1)において、特定値(比表面張力)としては、0.995以下等が挙げられ、通常、0.99以下(例えば、0.99未満)、好ましくは0.98以下(例えば、0.97以下、0.96以下)、さらに好ましくは0.95以下(例えば、0.95未満、0.945以下等)であってもよく、0.94以下(例えば、0.94未満、0.935以下、0.93以下、0.92以下、0.91以下、0.905以下、0.9以下、0.89以下、0.88以下、0.87以下、0.86以下、0.85以下、0.84以下、0.83以下、0.82以下等)等であってもよい。
【0019】
条件(A1)において、特定値の下限値としては、特に限定されないが、例えば、0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.68以上、0.69以上、0.7以上、0.71以上、0.72以上、0.73以上、0.74以上、0.75以上、0.76以上、0.77以上、0.78以上、0.79以上、0.8以上、0.81以上、0.82以上、0.83以上、0.84以上、0.85以上等であってもよい。
【0020】
なお、これらの範囲(上限値と下限値)を適宜組み合わせて範囲を選択してもよい(例えば、0.7~0.99等、以下、範囲の記載について同じ)。
【0021】
条件(A1)における特定値が、上記のような値であれば、組成物に起泡性を効率よく付与(特に良好ないし優れた起泡性を付与)しやすい。
【0022】
このような理由は定かではないが、例えば、上記のような比表面張力であれば、アルコール及び水を含む溶媒中において、界面活性能、ひいては、界面活性能にも関係する起泡性を発揮しうるものと考えられる。
【0023】
なお、表面張力(比表面張力)は、慣用の方法により測定(接触角計を用いた測定等)でき、例えば、後述の方法により測定してもよい。また、表面張力の測定条件は、特に限定されず、慣用の条件[例えば、常温や所定の温度(15~30℃、15~25℃、20℃、25℃等)等]で測定してもよい。
【0024】
条件(A2)は、25℃における動粘度を規定するものである。
【0025】
条件(A2)において、特定値[動粘度(動粘度(25℃))]としては、200mm2/s以上(例えば、250mm2/s以上)程度の範囲から選択でき、例えば、300mm2/s以上(例えば、400mm2/s以上)、好ましくは500mm2/s以上(例えば、600mm2/s以上)、さらに好ましくは700mm2/s以上(例えば、800mm2/s以上)であってもよく、850mm2/s以上(例えば、880mm2/s以上、900mm2/s以上、1000mm2/s以上、1200mm2/s以上、1500mm2/s以上等)等であってもよい。
【0026】
条件(A2)において、特定値の上限値としては、特に限定されないが、例えば、10000mm2/s以下、9000mm2/s以下、8000mm2/s以下、7000mm2/s以下、6000mm2/s以下、5000mm2/s以下、4000mm2/s以下、好ましくは3500mm2/s以下(例えば、3200mm2/s以下、3000mm2/s以下、2800mm2/s以下、2500mm2/s以下、2200mm2/s以下、2000mm2/s以下、1800mm2/s以下等)等であってもよく、取扱性等の観点からは大きすぎない(例えば、3000mm2/s以下等である)のが好ましい。
【0027】
条件(A1)における特定値が、上記のような値であれば、起泡性を効率よく維持(起泡安定性を改善ないし向上)しやすい。
【0028】
このような理由は定かではないが、次のようなことが想定される。起泡性の低下は、シリコーン系界面活性剤の経時的な分解(特に酸性条件等での分解)により生じやすいものと想定ないし推定されるが、動粘度が所定の大きさを有するものであれば、このような分解が元来、生じにくいか、又は生じたとしても界面活性剤としての機能(又は起泡性)を著しく低下させることなく比較的維持しやすいものと考えられる。動粘度は、分子の大きさに関係(分子の大きさを反映)しているものと思われ、仮に分解してもその分解断片が依然として所定の大きさを有していることで、界面活性能を依然として有している(残している)ことが想定されるためである。
【0029】
なお、動粘度は、慣用の方法により測定でき、例えば、第十八改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法(第1法 毛細管粘度計法)に従って、25℃における動粘度を測定してもよい。
【0030】
シリコーン系界面活性剤(A)は、前記のように、条件(A1)及び(A2)から選択された少なくとも1つの条件を充足すればよく、いずれか一方又はその両方(条件(A1)及び条件(A2))を充足してもよい。特に、シリコーン系界面活性剤(A)は、少なくとも条件(A1)を充足してもよく、条件(A1)及び(A2)を充足するのがより好ましい。
【0031】
シリコーン系界面活性剤(A)は、上記物性を充足する限り、その構造等は特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性シリコーン(ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤)であってもよい。
【0032】
代表的には、シリコーン系界面活性剤(A)は、ジメチコン[ポリエーテル変性ジメチコン、ポリエーテル基を有するジメチコン)]であってもよい。
【0033】
このようなジメチコン(ジメチルポリシロキサン)は、例えば、ジメチルシロキサン単位(―[Si(CH3)2―O]―単位)と、オキシアルキレン単位(ポリオキシアルキレン単位、(ポリ)アルキレングリコール単位)[代表的には、オキシエチレン単位(ポリオキシエチレン単位、(ポリ)エチレングリコール単位、以下、単に「PEG単位」ともいう。)及び/又はオキシプロピレン単位(ポリオキシプロピレン単位、(ポリ)プロピレングリコール単位、以下、単に「PPG単位」ともいう。)]とを有していてもよい。
【0034】
ジメチコンにおいて、各単位の結合形態や結合部位は特に限定されず、例えば、PEG単位やPPG単位等は、ジメチルシロキサン単位(例えば、ジメチルシロキサン単位のメチル基)に結合して(又は、置換されて)いてもよく、ジメチコンの末端に結合して(又は、置換されて)いてもよい。
【0035】
なお、オキシアルキレン単位は、ジメチルシロキサン単位とジメチコンの末端の両方に結合して(又は、置換されて)いてもよく、いずれか一方に結合して(又は、置換されて)いてもよい。
【0036】
オキシアルキレン単位がジメチコンの末端に結合している場合、どの程度末端に結合しているかは問われず、例えば、ジメチコンの片末端に結合していてもよく、両末端に結合していてもよい。
【0037】
オキシアルキレン単位が、ジメチルシロキサン単位に結合している場合、ジメチルシロキサン単位の(側鎖)メチル基の水素に置換されていてもよい。
【0038】
オキシアルキレン単位が、ジメチコンの末端に結合している場合、例えば、(末端)メチル基の水素に置換されていてもよく、他の基の一部に置換されていてもよい。
【0039】
オキシアルキレン単位は、ジメチルシロキサン単位やジメチコンの末端に直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。
【0040】
オキシアルキレン単位が連結基を介して結合している場合、連結基としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素基や、エーテル結合、エーテル結合を有する基等であってもよい。
【0041】
炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基{例えば、アルキレン基[例えば、鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等のC1-20アルキレン基)]等の飽和脂肪族炭化水素基;アルケニレン基[例えば、鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)アルケニレン基(例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等のC2-20アルケニレン基)]等の不飽和脂肪族炭化水素基}等が挙げられ、好ましくは飽和脂肪族炭化水素基等であってもよく、より好ましくは鎖状アルキレン基(例えば、C1-10アルキレン基、C1-5アルキレン基等)等であってもよい。
【0042】
ジメチコンは、好ましくは、PEG単位及びPPG単位を有するもの、PEG単位を有するもの等であってもよい。代表的には、PEG-ジメチコン、bis-PEG-ジメチコン、PEG/PPG-ジメチコン、bis-PEG/PPG-ジメチコン等が挙げられる。
【0043】
ジメチコンにおいて、オキシアルキレン単位の大きさは、特に限定されない。例えば、PEG-xジメチコン、PEG/PPG-x/yジメチコンは、ジメチコンのジメチルシロキサン単位及び/又は末端に、PEG単位、又はPEG単位とPPG単位とが結合したものであり、xはPEG単位の重合度(平均重合度)、yはPPG単位の重合度(平均重合度)を示す。
【0044】
なお、上記のように、x、yは、特に限定されるものではないが、例えば、PEG-xジメチコン(PEG-ジメチコン、bis-PEG-ジメチコン等)において、xとしては、2以上[例えば、2~100、4~50、6~30、8以上(例えば、8~50、10~40、10~30)、10以上(例えば、10~70、15~65、15~60)、15以上(例えば、15~70、18~65、18~60)等]等であってもよい。
【0045】
また、PEG/PPG-x/yジメチコン(PEG/PPG-ジメチコン、bis-PEG/PPG-ジメチコン)において、xとしては、2以上[例えば、2~100、4~50、6~30、8以上(例えば、8~50、10~40、10~30)、10以上(例えば、10~70、15~65、15~60)、15以上(例えば、15~70、18~65、18~60)等]等であってもよく、yとしては、2以上[例えば、2~100、4~50、6~30、8以上(例えば、8~50、10~40、10~30)、10以上(例えば、10~70、15~65、15~60)、15以上(例えば、15~70、18~65、18~60)等]であってもよい。
【0046】
シリコーン系界面活性剤(A)のHLB値は、特に限定されない。シリコーン系界面活性剤(A)のHLB値は、例えば、2以上、3以上等であってもよく、20以下、15以下等であってもよい。
【0047】
なお、HLB値は、例えば、実測値であってもよく、グリフィン法、デイビス法、アトラス法、川上法等の公知の方法に基づいて決定(算出)してもよい。
【0048】
シリコーン系界面活性剤(A)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0049】
2種以上組み合わせる場合、各シリコーン系界面活性剤(A)の条件(A1)及び/又は(A2)の充足の形態(態様)は、同一又は異なっていてもよい。
【0050】
例えば、シリコーン系界面活性剤(A)が、シリコーン系界面活性剤(a1)、シリコーン系界面活性剤(a2)の2種である場合、これらの組み合わせの態様としては、次のようなものが挙げられる。
【0051】
・シリコーン系界面活性剤(a1)及びシリコーン系界面活性剤(a2)が、いずれも、条件(A1)のみを充足し、比表面張力が同一又は異なる値である場合
・シリコーン系界面活性剤(a1)及びシリコーン系界面活性剤(a2)が、いずれも、条件(A2)のみを充足し、動粘度が同一又は異なる値である場合
・シリコーン系界面活性剤(a1)が条件(A1)のみを充足し、シリコーン系界面活性剤(a2)が条件(A2)のみを充足する場合
・シリコーン系界面活性剤(a1)が条件(A2)のみを充足し、シリコーン系界面活性剤(a2)が条件(A1)のみを充足する場合
・シリコーン系界面活性剤(a1)及びシリコーン系界面活性剤(a2)が、いずれも、条件(A1)及び(A2)を充足し、比表面張力及び動粘度が、それぞれ、同一又は異なる値である場合
【0052】
特に、シリコーン系界面活性剤(A)が2種以上である場合、少なくともいずれか1つのシリコーン系界面活性剤(A)が少なくとも条件(A1)を充足してもよく、条件(A1)及び(A2)を充足するのがより好ましい[例えば、前述の例では、シリコーン系界面活性剤(a1)が、条件(A1)及び(A2)を充足し、シリコーン系界面活性剤(a2)が、少なくとも条件(A1)(特に条件(A1)及び(A2))を充足する等が好ましい]。
【0053】
上記のことは、各シリコーン系界面活性剤(A)の条件(A1)及び(A2)以外の形態(態様)についても同様である。例えば、シリコーン系界面活性剤(a1)及びシリコーン系界面活性剤(a2)は、互いに、オキシアルキレン単位の種類や、x、yの値において同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0054】
シリコーン系界面活性剤(A)の割合(組成物全体に対する割合)は、例えば、0.001w/v%以上(例えば、0.005w/v%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.01w/v%以上(例えば、0.03w/v%以上)、好ましくは0.05w/v%以上(例えば、0.07w/v%以上)、さらに好ましくは0.1w/v%以上(例えば、0.02w/v%以上、0.03w/v%以上、0.4w/v%以上、0.45w/v%以上、0.5w/v%以上等)であってもよい。
【0055】
シリコーン系界面活性剤(A)の割合(組成物全体に対する割合)の上限値は、例えば、20w/v%以下(例えば15w/v%以下)程度の範囲から選択してもよく、10w/v%以下(例えば、8w/v%以下)、好ましくは5w/v%以下(例えば、3w/v%以下)、さらに好ましくは2w/v%以下(例えば、2w/v%未満、1.9w/v%以下、1.8w/v%以下、1.7w/v%以下、1.6w/v%以下、1.5w/v%以下、1.4w/v%以下、1.3w/v%以下、1.2w/v%以下、1.1w/v%以下、1w/v%以下、0.9w/v%以下、0.8w/v%以下、0.7w/v%以下、0.6w/v%以下、0.55w/v%以下、0.5w/v%以下等)であってもよい。
【0056】
シリコーン系界面活性剤(A)は、前記条件(A1)や(A2)を充足するため、少ない割合であっても、効率よく起泡性の付与や維持を実現しうる。
【0057】
アルコール
アルコールとしては、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のC1-4アルカノール)が挙げられる。
【0058】
代表的なアルコールとしては、エタノール、イソプロパノール(特にエタノール)が挙げられる。
【0059】
アルコールは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0060】
なお、アルコールの濃度は、特に限定されないが、通常、高濃度(例えば、50v/v%以上、60v/v%以上、70v/v%以上等)のものを使用してもよい。このようなアルコール(高濃度のアルコール)は、アルコールの種類に応じて選択してもよく、
例えば、エタノールについては、95v/v%のエタノール(エタノール(95))や消毒用エタノールを使用してもよく、イソプロパノールについては70v/v%のイソプロパノールや消毒用イソプロパノールを使用してもよい。
【0061】
アルコールは、市販品を使用してもよい。
【0062】
アルコール(特に低級アルコール)の割合(組成物全体に対する割合)は、10v/v%以上(例えば、20v/v%以上、30v/v%以上)程度の範囲から選択してもよく、消毒効果等の観点から、例えば、40v/v%以上(例えば、45v/v%以上、60v/v%以上、65v/v%以上等)であってもよく、例えば、100v/v%未満(例えば、99v/v%以下、95v/v%以下、90v/v%以下、85v/v%以下、80v/v%以下、75v/v%以下、70v/v%以下等)であってもよい。
【0063】
シリコーン系界面活性剤(A)とアルコールの比率は、特に限定されないが、シリコーン系界面活性剤(A):アルコールの質量比が、例えば、1:1~1:300(例えば、1:3~1:200)、好ましくは1:5~1:150(例えば、1:10~1:120)、さらに好ましくは1:15~1:100(例えば、1:20~1:80、1:25~1:60、1:30~1:50、1:30~1:40、1:30~1:35)等であってもよい。
【0064】
なお、アルコールの割合やシリコーン系界面活性剤(A)とアルコールの比率は、アルコールの種類(さらにはシリコーン系界面活性剤(A)の種類やその組み合わせ)によって選択してもよい。
【0065】
水
水としては、特に限定されず、例えば、水道水、精製水、イオン交換水等であってよい。
【0066】
水の割合(組成物全体に対する割合)は、例えば、1w/v%以上(例えば、3w/v%以上、5w/v%以上、10w/v%以上、15w/v%以上、20w/v%以上、25w/v%以上等)であってもよく、例えば、80w/v%以下(例えば、70w/v%以下、60w/v%以下55w/v%以下、50w/v%以下、45w/v%以下、40w/v%以下等)であってもよい。
【0067】
他の成分
組成物は、シリコーン系界面活性剤(A)、アルコール及び水以外の他の成分を含有していてもよい。
【0068】
他の成分としては、特に限定されず、組成物の用途(例えば、消毒剤やフォーム製剤等)等に応じて適宜選択してもよい。
【0069】
他の成分としては、例えば、pH調整剤、シリコーン系界面活性剤(A)の範疇に属さない界面活性剤(非シリコーン系界面活性剤、前記条件(A1)及び(A2)のいずれも充足しないシリコーン系界面活性剤等)、アルコール以外の非水溶媒、消毒剤(抗菌剤、除菌剤、殺菌剤)、粘稠剤(粘度調整剤、高分子増粘剤等の増粘剤)、起泡剤、防腐剤、消臭剤、香料、安定(化)剤、改良剤、可塑剤、可溶(化)剤、還元剤、緩衝剤、揮発補助剤、懸濁(化)剤、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、着香剤、着色剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、発泡剤、皮膚保護剤、浮遊剤、分散剤、噴射剤、芳香剤、防錆剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤等が挙げられる。
【0070】
なお、他の成分は、複数の機能を兼ね備えていてもよい。
【0071】
このような他の成分の一例(具体例)としては、例えば、pH調整剤[例えば、無機酸(リン酸、塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム及びそれらの水和物等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等]、界面活性剤{例えば、非イオン界面活性剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、PEG[ポリエチレングリコール又はポリオキシエチレン(POE)]水添ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)、POEヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(POP)グリコール、POEアルキルエーテル類、POE-POPアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル等]、両性界面活性剤[例えば、カルボキシベタイン型(例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン)、スルホベタイン型(例えば、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン)、イミダゾリン系ベタイン型(例えば、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)等のベタイン型両性界面活性剤]、カチオン性界面活性剤(例えば、セチルピリジニウム塩化物、塩化ベンゼトニウム塩化物、デカリニウム塩化物、ジデシルジメチルアンモニウム塩化物、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩等)等}、多価アルコール[例えば、アルキレングリコール(又はアルカンジオール、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール等)、ポリアルキレングリコール(又はポリオキシアルキレングリコール、例えば、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等)、3以上のヒドロキシ基を有するポリオール(多価アルコール、例えば、グリセリン等のアルカンポリオール)等]、多糖類又はその誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム等)、消毒剤(抗菌剤、除菌剤、殺菌剤)(例えば、オラネキシジン、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、アルキルリン酸ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、安息香酸、ヨウ素剤、 次亜塩素酸ナトリウム、クロル石灰、グルコン酸クロルヘキシジン、アクリノール、アルコール類、過酸化水素水、フェノール類等)等が挙げられる。
【0072】
これらの中でも、特に、pH調整剤、多価アルコール、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル等)、界面活性剤(乳化剤)等を、好適に使用してもよい。そのため、組成物は、pH調整剤、多価アルコール及び界面活性剤から選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0073】
なお、多価アルコールや脂肪酸エステルは、例えば、湿潤剤(保湿剤)や乳化剤等として使用してもよい。
【0074】
本発明の組成物では、シリコーン系界面活性剤(A)を使用することで、このような他の成分を含んでいても、起泡性の付与や維持を効率よく実現しうる。そのため、本発明の組成物では、起泡性の付与や維持と、他の成分に由来する機能(例えば、多価アルコールによる湿潤ないし保湿機能等)とを両立して実現しうる。
【0075】
他の成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0076】
組成物が他の成分を含有する場合、組成物中の他の成分の割合は、その種類や使用目的等に応じて適宜選択できる。
【0077】
組成物における他の成分(の総量)の割合(組成物全体に対する割合)は、例えば、50w/v%以下(例えば、40w/v%以下、30w/v%以下、25w/v%以下、20w/v%以下、15w/v%以下、10w/v%以下、5w/v%以下、3w/v%以下、2w/v%以下、1w/v%以下、0.5w/v%以下)であってもよく、例えば、0.001w/v%以上(例えば、0.01w/v%以上、0.1w/v%以上)であってもよい。
【0078】
組成物が、多価アルコールを含有する場合、多価アルコールの割合(組成物全体に対する割合)は、例えば、0.001w/v%以上(例えば、0.005w/v%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.01w/v%以上(例えば、0.03w/v%以上)、好ましくは0.05w/v%以上(例えば、0.07w/v%以上)、さらに好ましくは0.1w/v%以上(例えば、0.02w/v%以上、0.03w/v%以上、0.4w/v%以上、0.45w/v%以上、0.5w/v%以上等)であってもよい。
【0079】
多価アルコールの割合(組成物全体に対する割合)の上限値は、例えば、40w/v%以下(例えば、30w/v%以下)程度の範囲から選択してもよく、25w/v%以下(例えば、20w/v%以下)、好ましくは15w/v%以下(例えば、12w/v%以下)、さらに好ましくは10w/v%以下(例えば、8w/v%以下、5w/v%以下、3w/v%以下、2.5w/v%以下、2w/v%以下、1.5w/v%以下、1.2w/v%以下、1w/v%以下等)であってもよい。
【0080】
組成物が脂肪酸エステルを含む場合、界面活性剤の割合(組成物全体に対する割合)は、例えば、0.001w/v%以上(例えば、0.005w/v%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.01w/v%以上(例えば、0.03w/v%以上)、好ましくは0.05w/v%以上(例えば、0.07w/v%以上)、さらに好ましくは0.1w/v%以上(例えば、0.02w/v%以上、0.03w/v%以上、0.4w/v%以上、0.45w/v%以上、0.5w/v%以上等)であってもよい。
【0081】
脂肪酸エステルの割合(組成物全体に対する割合)の上限値は、例えば、20w/v%以下(例えば15w/v%以下)程度の範囲から選択してもよく、10w/v%以下(例えば、8w/v%以下)、好ましくは5w/v%以下(例えば、3w/v%以下)、さらに好ましくは2w/v%以下(例えば、2w/v%未満、1.9w/v%以下、1.8w/v%以下、1.7w/v%以下、1.6w/v%以下、1.5w/v%以下、1.4w/v%以下、1.3w/v%以下、1.2w/v%以下、1.1w/v%以下、1w/v%以下、0.9w/v%以下、0.8w/v%以下、0.7w/v%以下、0.6w/v%以下、0.55w/v%以下、0.5w/v%以下等)であってもよい。
【0082】
組成物が界面活性剤(シリコーン系界面活性剤(A)の範疇に属さない界面活性剤)を含む場合、界面活性剤の割合(組成物全体に対する割合)は、例えば、0.001w/v%以上(例えば、0.005w/v%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.01w/v%以上(例えば、0.03w/v%以上)、好ましくは0.05w/v%以上(例えば、0.07w/v%以上)、さらに好ましくは0.1w/v%以上(例えば、0.02w/v%以上、0.03w/v%以上、0.4w/v%以上、0.45w/v%以上、0.5w/v%以上等)であってもよい。
【0083】
界面活性剤(シリコーン系界面活性剤(A)の範疇に属さない界面活性剤)の割合(組成物全体に対する割合)の上限値は、例えば、20w/v%以下(例えば15w/v%以下)程度の範囲から選択してもよく、10w/v%以下(例えば、8w/v%以下)、好ましくは5w/v%以下(例えば、3w/v%以下)、さらに好ましくは2w/v%以下(例えば、2w/v%未満、1.9w/v%以下、1.8w/v%以下、1.7w/v%以下、1.6w/v%以下、1.5w/v%以下、1.4w/v%以下、1.3w/v%以下、1.2w/v%以下、1.1w/v%以下、1w/v%以下、0.9w/v%以下、0.8w/v%以下、0.7w/v%以下、0.6w/v%以下、0.55w/v%以下、0.5w/v%以下等)であってもよい。
【0084】
組成物は、特に限定されず、酸性、中性、塩基性(アルカリ性)のいずれであってもよい。本発明の組成物では、酸性、中性等にかかわらず、起泡性の付与や維持を効率よく実現しうる。特に、酸性条件は、所望の機能(例えば、消毒、抗菌ないし除菌性能等)の観点では好ましい場合があるものの、起泡性の維持がされにくい(例えば、シリコーン系界面活性剤の分解に伴う起泡性の低下等)ことも予想されるが、本発明の組成物では、酸性条件であっても、起泡性の維持を効率よく実現しうる。
【0085】
このような観点から、組成物は、酸性[例えば、pH6.5以下(例えば、6以下、5.5以下、5以下、4.5以下、4以下、4未満、1~6、1.5~5、2~6、2~5、2.2~4.5、3~5等)]であってもよい。
【0086】
[形態・製造方法等]
本発明の組成物の形態(性状)は、特に限定されないが、通常、液状であってよい。液状の組成物は、組成物の成分等により、溶液、懸濁液、乳化物等であってもよい。
液状の組成物は、組成物を構成する成分が、溶解状態にある又は分離していないものであってもよい。
【0087】
組成物(使用時の組成物)は、フォーム(泡)状、霧状等であってよい。すなわち、組成物は、起泡性であってよく、容器からの吐出により泡状又は霧状となるものであってよい。
【0088】
本発明の組成物は、シリコーン系界面活性剤(A)の態様などにもよるが、良好な起泡性や起泡性の維持を実現しうる。
【0089】
例えば、組成物(起泡性の組成物)において、起泡率は、100%超であればよく、例えば、105%以上、好ましくは110%以上、さらに好ましくは120%以上(例えば、125%以上)であってもよく、128%以上(例えば、130%以上、132%以上、135%以上、138%以上、140%以上)であってもよい。
【0090】
このような組成物において、起泡率の上限値は、例えば、300%以下、250%以下、200%以下、180%以下、170%以下、160%以下、155%以下、150%以下、145%以下等であってもよい。
【0091】
また、組成物(起泡性の組成物)において、50℃で4週間保存後の起泡率は、例えば、100%超、105%以上、好ましくは110%以上、さらに好ましくは120%以上(例えば、125%以上)であってもよく、128%以上(例えば、130%以上、132%以上、135%以上、138%以上、140%以上)であってもよい。
【0092】
このような組成物において、50℃で4週間保存後の起泡率の上限値は、例えば、300%以下、250%以下、200%以下、180%以下、170%以下、160%以下、155%以下、150%以下、145%以下等であってもよい。
【0093】
組成物において、50℃で4週間保存前の起泡率(又は調製直後の起泡率)をB1、50℃で4週間保存後の起泡率をB2とするとき、B1-B2(%)の値は、0であってもよく、比較的少ない値(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、5%以下、3%以下等)であってもよい。
【0094】
起泡率は、起泡させていない状態の組成物の体積をV1、起泡させた状態の組成物の体積をV2とするとき、値V2/V1×100(%)として求めることができる。
【0095】
具体的には、後述の方法により、起泡率を求めてもよい。
【0096】
組成物は、各成分を混合することより得ることができる。混合は、各成分を全て一度に混合してもよいし、予め調製した2種以上の成分を混合した後に、残りの成分を混合してもよい。混合方法(製造方法)は、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。
【0097】
[用途]
本発明の組成物の用途は、特に限定されないが、例えば、消毒剤、抗菌剤、除菌剤、殺菌剤、殺ウィルス(ノンエンベロープウィルス等を含む)剤、医薬品等として使用されうる。また、本発明の組成物は、ポンプ式フォーム製剤用、スクイズ式フォーム製剤用、エアゾール式フォーム製剤用等に好適に使用することができる。
【0098】
[使用方法]
本発明の組成物の使用形態(適用方法)は、組成物の使用目的等によって適宜選択でき、例えば、対象(適用)部位に適用することで使用できる。
【0099】
具体的な適用方法としては、対象部位への塗布(付着)が挙げられる。
例えば、組成物を容器から吐出させ、泡状として塗布してもよい。
なお、組成物は、適当な容器に収容されていてもよい。容器は、適用方法に合わせて選択することができる。
【0100】
例えば、組成物を、泡を形成可能な容器(例えば、泡ボトル、スクイズ式ボトル等)に収容し、当該容器から吐出させることにより、泡状として適用してもよい。
あるいは、組成物を噴射剤(例えば、LPG等の圧縮ガス)と共にスプレー容器(スプレーボトル)に収容し、当該容器から噴霧(噴射)又は吐出させることにより、霧状又は泡状として適用してもよい。
【0101】
組成物の適用量(使用量)は、使用対象の箇所、使用対象の皮膚の状態、年齢によって異なるが、例えば、手指消毒の場合、1回当たりの使用量は、1~10mL程度であってもよい。
【0102】
組成物の適用対象は、健常人であってもよいし、種々の疾患(又は症状)を有する人であってもよい。
【実施例0103】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0104】
試料
下記の界面活性剤(ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤)を使用した。
PEG-10ジメチコン(製品名KF-6017P、信越化学工業株式会社、HLB4.5)
PEG-10ジメチコン(製品名KF-6043、信越化学工業株式会社、HLB14.5)
bis-PEG-10ジメチコン(製品名Silsoft 860、モメンティブ社、HLB13~17)
PEG-32メチルエーテルジメチコン(製品名KF-6004、信越化学工業株式会社、HLB9.0)
PEG-10ジメチコン(製品名DOWSIL ES-5612 Formulation Aid、ダウ・東レ株式会社、HLB4)
PEG-12ジメチコン(製品名DOWSIL SH3775 M Fluid、ダウ・東レ株式会社、HLB5)
PEG/PPG-20/15ジメチコン(製品名SF1188A、モメンティブ社、HLB9~12)
PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン(製品名KF-6012、信越化学工業株式会社、HLB7.0)
PEG/PPG-ジメチコン(製品名DBP-534、Gelest社)
PEG/PPG-ジメチコン(製品名DBP-732、Gelest社)
PEG-ジメチコン(製品名DBE-224、Gelest社)
PEG-ジメチコン(製品名DBE-621、Gelest社)
PEG-ジメチコン(製品名DBE-821、Gelest社)
bis-PEG-15ジメチコン(製品名BELSIL DMC 6038、旭化成ワッカーシリコーン)
【0105】
(動粘度の測定)
表1に示す界面活性剤について、第十八改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法(第1法 毛細管粘度計法)に従い、25℃の動粘度を測定した。
【0106】
結果を表1に示す。
【0107】
【0108】
(起泡率の測定)
常温(15~25℃)において、10mL丸底スピッツ(FQ1100、栄研化学)に被検試料2mLをとり、10秒間激しく振り混ぜ、15秒間静置した後の体積(液体+泡)を目盛りから読み取り、供試量に対する起泡率を求めた。
【0109】
例:15秒間静置した後の体積(液体+泡)が3.0mLの場合、起泡率は下記の通り。
起泡率=(3.0mL÷2mL)×100=150%
【0110】
(比表面張力の測定)
接触角計として協和界面科学株式会社製(DropMaster DM500)を用いた。懸滴法により被験試料[消毒用エタノールに0.5w/w%の濃度で界面活性剤を混合(配合、添加)した試料]、及び被検試料溶媒(消毒用エタノール)の表面張力を常温(15~25℃)で測定し、比表面張力(被験試料溶媒の表面張力に対する、被検試料の表面張力の比)を求めた。
【0111】
例:被検試料の表面張力が25.9mN/m、被検試料溶媒の表面張力が30.2mN/mの場合、比表面張力は下記の通り。
比表面張力=25.9mN/m÷30.2mN/m=0.858
【0112】
(pHの測定)
pHメータとして株式会社堀場製作所製(F-22)を用いた。pH標準液でpHメータを校正してpHを測定した。
【0113】
試験例1.起泡性
表2に示す界面活性剤について、前述の方法により、比表面張力を測定した。
【0114】
そして、表2に示す処方で各成分[界面活性剤0.5g、95体積(v/v)%エタノール(エタノール(95))83mL及び水(残分)]を混合し、組成物(全量100mL)を得た。次いで、前述の方法により、起泡率(調製直後)を測定した。
【0115】
結果を表2に示す。
【0116】
【0117】
試験例2.起泡安定性(起泡の維持)
表3に示す処方で各成分[界面活性剤0.5g、エタノール(95)83mL、リン酸(適量)、水(残分)]を混合し、組成物(全量100mL)を得た。次いで、前述の方法により、起泡率(調製直後)及びpHを測定した。また、組成物を保管し、前述の方法により、保管後(2週、4週)の起泡率を測定した。
【0118】
結果を表3に示す。なお、表3には、試験例2で測定した比表面張力も合わせて記載している。
【0119】
【0120】
試験例3.処方の変更1
表4~5に示す処方で各成分[界面活性剤0.5g、エタノール(95)83mL、pH調整剤(適量、表4ではすべてリン酸を使用)、水(残分)]を混合し、組成物(全量100mL)を得た。次いで、前述の方法により、起泡率(調製直後)及びpHを測定した。また、組成物を保管し、前述の方法により、保管後(2週、4週)の起泡率を測定した。
【0121】
結果を表4~5に示す。なお、表4~5には、試験例2で測定した比表面張力も合わせて記載している。
【0122】
【0123】
【0124】
試験例4.処方の変更2
表6に示す処方で各成分[界面活性剤(種類:DBP-732)、エタノール(95)83mL、リン酸(適量)、水(残分)]を混合し、組成物(全量100mL)を得た。次いで、前述の方法により、起泡率(調製直後)及びpHを測定した。また、組成物を保管し、前述の方法により、保管後(4週)の起泡率を測定した。
【0125】
結果を表6に示す。なお、表6には、試験例2で測定した比表面張力も合わせて記載している。
【0126】
【0127】
試験例5.処方の変更3
表7に示す処方で各成分[界面活性剤(種類:DBP-732)0.5g、エタノール(95)83mL、リン酸(適量)、他の成分1g、水(残分)]を混合し、組成物(全量100mL)を得た。次いで、前述の方法により、起泡率(調製直後)及びpHを測定した。また、組成物を保管し、前述の方法により、保管後(2週、4週)の起泡率を測定した。
【0128】
結果を表7に示す。なお、表7には、試験例2で測定した比表面張力も合わせて記載している。
【0129】
【0130】
試験例6.処方の変更4
表8に示す処方で各成分[界面活性剤(種類:DBP-732)0.5g、イソプロパノール60mL、リン酸(適量)、水(残分)]を混合し、組成物(全量100mL)を得た。次いで、前述の方法により、起泡率(調製直後)及びpHを測定した。また、組成物を保管し、前述の方法により、保管後(2週、4週)の起泡率を測定した。
【0131】
結果を表8に示す。なお、表8には、試験例2で測定した比表面張力も合わせて記載している。
【0132】
【0133】
試験例7.処方の変更5
表9に示す処方で各成分[界面活性剤(種類:DBP-732)、エタノール(95)83mL、他の成分、及び水(残分)]を混合し、組成物(全量100mL)を得た。次いで、前述の方法により、起泡率(調製直後)を測定した。
【0134】
結果を表9に示す。なお、表9には、試験例2で測定した比表面張力も合わせて記載している。
【0135】