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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114051
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】長尺材敷設回収装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 57/28 20060101AFI20240816BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240816BHJP
   B65H 54/553 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B65H57/28
H02G1/06
B65H54/553
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019425
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】根立 敏
【テーマコード(参考)】
3F056
3F110
5G352
【Fターム(参考)】
3F056AA09
3F056AB01
3F056GB02
3F110BA09
3F110CA04
3F110DA07
3F110DB03
5G352CA09
5G352CJ03
(57)【要約】
【課題】長尺材の敷設回収作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】リール23cは、横方向Yに延びる軸(23c1)を中心にフレーム10に対して回転可能である。リール23cには、長尺材23dが巻かれる。トラバース装置40は、リール23cよりも前側X1に配置され、フレーム10に対して横方向Yに駆動可能であり、長尺材23dを横方向Yに移動させる。トラバース装置40リール23cよりも前側X1に配置され、フレーム10に対して上下方向Zに移動可能であり、長尺材23dを下側Z2から支持する。傾斜部57は、横方向Yの一方側(Yl)ほど上側Z1に配置されるように横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように配置される。傾斜部駆動部55は、フレーム10に対して傾斜部57を上下方向Zに駆動する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
横方向に延びる軸を中心に前記フレームに対して回転可能であり、長尺材が巻かれるリールと、
前記リールよりも前側に配置され、前記フレームに対して上下方向に移動可能であり、前記長尺材を下側から支持し、横方向の一方側ほど上側に配置されるように横方向に対して傾斜する方向に延びるように配置される傾斜部と、
前記フレームに対して前記傾斜部を上下方向に駆動する傾斜部駆動部と、
を備える、
長尺材敷設回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の長尺材敷設回収装置であって、
前記長尺材は、ホースである、
長尺材敷設回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載の長尺材敷設回収装置であって、
前記傾斜部と前後方向に並ぶように配置され、前記長尺材を下側から支持可能であり、横方向に延びるように配置される前部水平ガイド部を備え、
前記傾斜部は、前記フレームに対して上下方向に前記傾斜部が移動したときに、前側から見たときの前記前部水平ガイド部と前記傾斜部との交差部が横方向に移動するように構成される、
長尺材敷設回収装置。
【請求項4】
請求項1に記載の長尺材敷設回収装置であって、
前記リールよりも前側に配置され、前記フレームに対して上下方向に移動可能であり、前記長尺材を下側から支持し、横方向の前記一方側とは反対側ほど上側に配置されるように横方向に対して傾斜する方向に延びるように配置される反対側傾斜部と、
前記フレームに対して前記反対側傾斜部を上下方向に駆動する反対側傾斜部駆動部と、
を備え、
前記傾斜部および前記反対側傾斜部は、前記フレームに対して上下方向に前記傾斜部および前記反対側傾斜部の少なくともいずれかが移動したときに、前側から見たときの前記傾斜部と前記反対側傾斜部との交差部が横方向に移動するように構成される、
長尺材敷設回収装置。
【請求項5】
請求項1に記載の長尺材敷設回収装置であって、
前記リールよりも前側に配置され、前記傾斜部よりも後側に配置され、前記フレームに対して横方向に駆動可能であり、前記長尺材を横方向に移動させるトラバース装置を備える、
長尺材敷設回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺材の敷設および回収の少なくともいずれかを行う長尺材敷設回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、従来の長尺材敷設回収装置が記載されている。同文献に記載の長尺材敷設回収装置は、長尺材が巻かれるリールを備えている(同文献の[0017]、図1図2などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4476894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リールに対して、リールよりも前側の長尺材が横方向にずれる場合がある。このずれを減らすために、例えば作業者が長尺材を横方向に手作業で移動させるなど、手間のかかる作業が必要になる場合がある。そのため、長尺材の敷設回収作業を容易に行うことができる長尺材敷設回収装置が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、長尺材の敷設回収作業を容易に行うことができる長尺材敷設回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
長尺材敷設回収装置は、フレームと、リールと、傾斜部と、傾斜部駆動部と、を備える。前記リールは、横方向に延びる軸を中心に前記フレームに対して回転可能である。前記リールには、長尺材が巻かれる。前記傾斜部は、前記リールよりも前側に配置され、前記フレームに対して上下方向に移動可能であり、前記長尺材を下側から支持し、横方向の一方側ほど上側に配置されるように横方向に対して傾斜する方向に延びるように配置される。前記傾斜部駆動部は、前記フレームに対して前記傾斜部を上下方向に駆動する。
【発明の効果】
【0007】
上記の長尺材敷設回収装置は、長尺材の敷設回収作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の長尺材敷設回収装置1を横方向Yから見た図である。
図2図1に示す長尺材敷設回収装置1を上側Z1から見た図である。
図3図1に示す長尺材敷設回収装置1を前側X1から見た図である。
図4図2に示すトラバース装置40が、図2に示す状態よりも右側Yrに配置されたときの図2相当図である。
図5図4に示す長尺材敷設回収装置1を前側X1から見た図3相当図である。
図6図4に示すトラバース装置40が、図4に示す状態よりも右側Yrに配置されたときの図4相当図である。
図7図6に示す長尺材敷設回収装置1を前側X1から見た図5相当図である。
図8】第2実施形態の長尺材敷設回収装置201を横方向Yから見た図である。
図9】第3実施形態の長尺材敷設回収装置301を横方向Yから見た図である。
図10図9に示す長尺材敷設回収装置301を前側X1から見た図である。
図11図10に示す傾斜部357の傾斜角度θ357が図10に示す状態から変化したときの図10相当図である。
図12図11に示す傾斜部357の長さが図11に示す長さよりも長い場合の図11相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図7を参照して、第1実施形態の長尺材敷設回収装置1について説明する。
【0010】
長尺材敷設回収装置1は、図2に示す長尺材23d(図2参照、後述)の敷設、および、長尺材23dの回収、の少なくともいずれかを行う装置である。長尺材23dの「敷設」とは、長尺材23dをリール23c(後述)から送り出し(繰り出し)、長尺材23dを敷設面(例えば地面、例えば道路など)に敷くように設置することである。長尺材23dの「回収」とは、敷設面に敷設された長尺材23dをリール23cで巻き取り、回収することである。図1に示すように、長尺材敷設回収装置1は、フレーム10と、走行装置21と、リール装置23と、吊上装置25と、長尺材ガイド装置30と、を備える。
【0011】
長尺材敷設回収装置1に関する方向を、次のように定義する。図2に示すように、リール23cに対して長尺材23dが、巻き取り、および繰り出しされる方向を、前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、リール23cから長尺材23dが繰り出される側(向き)を前側X1とし、前側X1とは反対側を後側X2とする。フレーム10に対するリール23cの回転軸(後述するリール回転軸23c1)が延びる方向を、横方向Yとする。横方向Yにおける一方側を左側Ylとし、左側Ylとは反対側を右側Yrとする。例えば、左側Ylは、前側X1から見たときの左であり、右側Yrは、前側X1から見たときの右である。なお、左側Ylと右側Yrとは互いに逆でもよい。前後方向Xおよび横方向Yのそれぞれに直交する方向を、上下方向Zとする。上下方向Zは、長尺材敷設回収装置1が水平面上に置かれたときの鉛直方向である。図1に示すように、上下方向Zにおいて、長尺材敷設回収装置1が水平面上に置かれたときの鉛直上向きを上側Z1とし、上側Z1とは逆側を下側Z2とする。
【0012】
フレーム10は、例えば、走行装置21、リール装置23、吊上装置25、および長尺材ガイド装置30などの装置を支持する構造物である。フレーム10は、各装置を支持可能であれば、どのように構成されてもよい。フレーム10は、棒状の部材を組み合わせた枠状構造を備えてもよく、板状構造を備えてもよく、箱状構造を備えてもよく、ブロック状構造を備えてもよい。フレーム10は、中空構造を備えてもよく、中実構造を備えてもよい。例えば、フレーム10は、下部フレーム11と、中間部フレーム13と、前部フレーム15と、を備える。
【0013】
下部フレーム11は、長尺材敷設回収装置1の下側Z2部分に設けられる。
【0014】
中間部フレーム13は、長尺材敷設回収装置1の前後方向Xの中間部分に設けられる。中間部フレーム13は、前部フレーム15とリール装置23との前後方向Xにおける間(中間部)に設けられる。中間部フレーム13は、下部フレーム11に固定され、下部フレーム11から上側Z1に突出する。中間部フレーム13の内部に、後述する駆動源(発電機、圧源など)が配置されてもよい。
【0015】
前部フレーム15は、長尺材敷設回収装置1の前側X1部分に設けられる。前部フレーム15は、下部フレーム11に固定され、下部フレーム11から上側Z1に突出する。前部フレーム15は、傾斜ガイド装置50などを支持する。例えば、前部フレーム15は、前部フレーム鉛直部15aと、図5に示す前部フレーム中央水平部15cと、前部フレーム上部水平部15eと、を備える。
【0016】
前部フレーム鉛直部15aは、下部フレーム11から上側Z1に延びるように設けられる。前部フレーム鉛直部15aは、上下方向Zに延びるように設けられる。前部フレーム鉛直部15aは、例えば、前部フレーム上部水平部15eおよび傾斜ガイド装置50などを支持する支柱である。前部フレーム鉛直部15aは、図5に示す例では、4つ設けられ、傾斜部57よりも前側X1および後側X2のそれぞれに2つずつ設けられる(図1および図5参照)。なお、前部フレーム鉛直部15aの構成(形状、数など)は、様々に変更可能である(他の部分も同様)。
【0017】
前部フレーム中央水平部15cは、前部フレーム15の上下方向Z中央部に設けられる。前部フレーム中央水平部15cは、横方向Yに延びるように設けられる。前部フレーム中央水平部15cは、複数の前部フレーム鉛直部15aどうしを接続し、例えば、傾斜部57よりも後側X2の2つの前部フレーム鉛直部15a・15aどうしを接続する。
【0018】
前部フレーム上部水平部15eは、前部フレーム15の上側Z1部分に設けられる。前部フレーム上部水平部15eは、複数の前部フレーム鉛直部15aどうしを接続する。前部フレーム上部水平部15eは、図5に示す例では、4カ所に設けられる。図5に示す例では、前部フレーム上部水平部15eは、傾斜部57よりも前側X1および後側X2のそれぞれに1つずつ、横方向Yに延びるように設けられる。また、図2に示す例では、前部フレーム上部水平部15eは、前部フレーム15の上側Z1部分の左側Yl部分および右側Yr部分のそれぞれに、前後方向Xに延びるように設けられる。
【0019】
走行装置21は、図1に示す長尺材敷設回収装置1を走行させる。長尺材敷設回収装置1は、自走可能である。走行装置21は、長尺材敷設回収装置1の下側Z2部分に設けられる。走行装置21は、フレーム10(例えば、下部フレーム11)に設けられる。走行装置21は、走行駆動部21aと、走行操舵部21cと、を備える。
【0020】
走行駆動部21aは、長尺材敷設回収装置1を走行させる部分である。走行駆動部21aは、下部フレーム11から下側Z2に突出する(走行操舵部21cも同様)。走行駆動部21aは、車輪(駆動輪)を備えてもよく、無限軌道などを備えてもよい。走行駆動部21aは、モータなど(図示なし)により駆動される。このモータ、および、このモータの駆動源は、フレーム10に搭載される。このモータは、電動モータでもよく、流体圧モータでもよい。このモータが電動モータの場合、このモータの駆動源は、発電機(例えば発動発電機、例えばディーゼル発電機)を備えてもよく、バッテリを備えてもよい。このモータが流体圧モータの場合、このモータの駆動源は、例えば、流体圧の圧源(油圧ポンプ、エアーコンプレッサなど)を備える。
【0021】
走行操舵部21cは、長尺材敷設回収装置1の走行方向を変える部分である。図1に示す例では、走行駆動部21aは、下部フレーム11から後側X2および下側Z2に突出する。走行操舵部21cは、上下方向Zに延びる回転軸を中心として下部フレーム11に対して回転可能である。走行操舵部21cは、車輪(操舵輪)を備えてもよく、無限軌道などを備えてもよい。走行操舵部21cは、駆動しなくてもよく、長尺材敷設回収装置1の走行に伴って従動してもよい(例えば従動輪でもよい)。走行操舵部21cは、駆動してもよい(走行駆動部21aでもよい)。
【0022】
リール装置23は、長尺材23d(図2参照)の巻き取り、および繰り出しを行うことが可能な装置である。リール装置23は、リール支持部23aと、リール23cと、長尺材23d(図2参照)と、を備える。
【0023】
リール支持部23aは、フレーム10に対してリール23cを回転可能に支持する。リール支持部23aは、リール駆動部23a1と、リール従動部23a3と、リール軸支持部23a5と、を備える。
【0024】
リール駆動部23a1は、リール回転軸23c1(後述)を中心にリール23cを回転させる。リール駆動部23a1は、下部フレーム11に設けられる(リール従動部23a3も同様)。リール駆動部23a1は、リール23c(例えば後述するフランジ部23c5)を下側Z2から支持する(リール従動部23a3も同様)。リール駆動部23a1は、ローラなどであり、横方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能である(リール従動部23a3も同様)。リール駆動部23a1は、モータなどにより駆動する(モータの具体例は走行駆動部21aの説明を参照)。
【0025】
リール従動部23a3は、リール23cの回転に伴って回転(従動)する。リール従動部23a3は、リール駆動部23a1と前後方向Xに離れた位置に配置される。リール従動部23a3は、例えば、リール駆動部23a1よりも後側X2に配置される。
【0026】
リール軸支持部23a5は、フレーム10からリール23cが脱落するのを防ぐ。リール軸支持部23a5は、リール回転軸23c1(後述)を支持する。リール軸支持部23a5は、リール回転軸23c1とフレーム10(さらに詳しくは、下部フレーム11)とを接続する。リール軸支持部23a5は、図2に示す例では4つ設けられ、リール23cよりも右側Yrおよび左側Ylのそれぞれに2つずつ設けられる。
【0027】
リール23cは、長尺材23dを巻き取るものである。リール23cは、リール回転軸23c1を中心にフレーム10に対して回転可能である。リール回転軸23c1は、横方向Yに延びる。リール23cは、リール支持部23a(図1参照)に支持される。リール23cは、胴部23c3と、フランジ部23c5と、を備える。胴部23c3は、長尺材23dが巻かれる部分である。胴部23c3は、リール回転軸23c1を中心とする円筒または円柱状である。胴部23c3は、横方向Yから見たときに円形状または円環状である(フランジ部23c5も同様)。フランジ部23c5は、胴部23c3の横方向Y外側の両端部(左右両端部)から、胴部23c3の径方向外側に突出する。
【0028】
長尺材23dは、リール23cに巻かれる。長尺材23dは、リール23cに巻き取り可能であり、リール23cから繰り出し可能である。図1に示すように、長尺材23dは、リール23cに対して、巻取繰出位置P23dで、巻き取りまたは繰り出しされる。巻取繰出位置P23dは、長尺材23dのうち、リール回転軸23c1を中心に螺旋状に巻かれた部分と、リール23cから前側X1に略直線的に延びる部分と、の境界部分である。図2に示すように、長尺材23dは、細長い部材である。長尺材23dの長手方向の長さは、長尺材23dの幅方向の長さに比べて十分長い。例えば、長尺材23dは、流体を送るホースでもよい。この場合、長尺材23dは、液体(例えば水)を送るホースでもよい。具体的には、長尺材23dは、消防用ホースでもよい。長尺材23dは、気体を送るホースでもよい。長尺材23dは、ホースでなくてもよい。長尺材23dは、シートでもよく、線状部材(例えばロープ、ケーブルなど)でもよい。
【0029】
吊上装置25は、物を吊り上げる装置(クレーン)である。例えば、吊上装置25は、長尺材23dの少なくとも一部を吊り上げてもよい。吊上装置25は、長尺材23dの長手方向の端部(先端部)を吊り上げてもよい。長尺材23dがホースの場合、吊上装置25は、ホースの先端部の金具を吊り上げてもよい。吊上装置25は、長尺材23d以外の物を吊り上げてもよい。吊上装置25は、フレーム10に支持される。図2に示す例では、吊上装置25は、リール23cよりも前側X1に配置され、トラバース装置40よりも後側X2に配置される。吊上装置25は、リール23cよりも後側X2に配置されてもよく、トラバース装置40よりも前側X1(傾斜部57よりも後側X2または前側X1)に配置されてもよい。
【0030】
長尺材ガイド装置30は、長尺材23dをガイドする。長尺材ガイド装置30は、リール23cに対する長尺材23dの位置(例えば横方向Yおよび上下方向Zにおける位置)をガイドする。長尺材ガイド装置30は、水平ガイド部31と、鉛直ガイド部33と、トラバースガイド部37と、トラバース駆動部39と、トラバース装置40と、傾斜ガイド装置50と、を備える。
【0031】
水平ガイド部31は、図3に示すように、長尺材23dを下側Z2から支持可能である。水平ガイド部31は、長尺材23dの上下方向Zにおける位置(高さ)をガイド(制限)する。水平ガイド部31の上側Z1端部(長尺材23dを支持する部分)は、横方向Yに延びるように配置され、横方向Yと一致または略一致する方向に延びるように配置される。水平ガイド部31は、横方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能なローラ(水平ローラ)である。この場合、水平ガイド部31は、駆動されず、長尺材23dの前後方向Xへの移動に伴って回転(従動)する。水平ガイド部31は、駆動されてもよい。後述するニップローラ45は、水平ガイド部31に含まれてもよい。なお、水平ガイド部31は、ローラでなくてもよく、フレーム10に対して固定された(回転可能でない)部材でもよい。水平ガイド部31の位置および数は、様々に設定可能である。例えば、図2に示すように、水平ガイド部31は、後部水平ガイド部31aと、中間部水平ガイド部31cと、前部水平ガイド部31eと、を備える。
【0032】
後部水平ガイド部31aは、トラバース装置40よりも後側X2に配置される。後部水平ガイド部31aは、リール23cよりも前側X1に配置される。図2に示す例では、後部水平ガイド部31aは、2つ設けられ、前後方向Xに間隔をあけて2つ設けられる。
【0033】
中間部水平ガイド部31cは、トラバース装置40に設けられる。中間部水平ガイド部31cは、フレーム10に対して、ニップローラ45(後述)と一体的に横方向Yに移動可能である。中間部水平ガイド部31cの横方向Yにおける長さは、ニップローラ45の横方向Yにおける長さと同じまたは略同じである。図2に示す例では、中間部水平ガイド部31cは、2つ設けられ、ニップローラ45よりも前側X1および後側X2のそれぞれに1つずつ設けられる。
【0034】
前部水平ガイド部31eは、長尺材敷設回収装置1の前側X1部分に設けられる。前部水平ガイド部31eは、前部フレーム15に取り付けられる。前部水平ガイド部31eは、トラバース装置40よりも前側X1に配置される。前部水平ガイド部31eは、傾斜部57(後述)と前後方向Xに並ぶように配置される。図2に示す例では、前部水平ガイド部31eは、2つ設けられ、傾斜部57よりも前側X1および後側X2のそれぞれに1つずつ設けられる。図1に示すように、水平ガイド部31の各部(後部水平ガイド部31a、中間部水平ガイド部31c、および前部水平ガイド部31eのそれぞれ)の上側Z1端部の、上下方向Zにおける位置(高さ)は、互いに同じまたは略同じ位置である。なお、水平ガイド部31の各部の上下方向Zにおける位置は、相違してもよい。
【0035】
鉛直ガイド部33は、図3に示すように長尺材23dの横方向Yへの移動を制限する。鉛直ガイド部33は、長尺材23dよりも横方向Y外側の両側(左側Ylおよび右側Yr)に配置される。鉛直ガイド部33の横方向Y内側(長尺材23d側)の端部は、上下方向Zに延びるように配置され、上下方向Zと一致または略一致する方向に延びるように配置される。鉛直ガイド部33は、上下方向Zに延びる回転軸を中心に回転可能なローラ(鉛直ローラ)である。この場合、鉛直ガイド部33は、駆動されず、長尺材23dが鉛直ガイド部33に接触したときに、長尺材23dの前後方向Xへの移動に伴って回転(従動)する。鉛直ガイド部33は、駆動されてもよい。なお、鉛直ガイド部33は、ローラでなくてもよい。鉛直ガイド部33の位置および数は、様々に設定可能である。例えば、図2に示すように、鉛直ガイド部33は、中間部鉛直ガイド部33cと、前部鉛直ガイド部33eと、を備える。
【0036】
中間部鉛直ガイド部33cは、トラバース装置40に設けられる。中間部鉛直ガイド部33cは、フレーム10に対して、ニップローラ45(後述)と一体的に横方向Yに移動可能である。中間部鉛直ガイド部33cの横方向Yにおける位置は、ニップローラ45の横方向Y外側の両端部(左右両端部)の横方向Yにおける位置と、同じまたは略同じ位置である。図2に示す例では、中間部鉛直ガイド部33cは、8つ(4組)設けられる。この例では、中間部鉛直ガイド部33cは、ニップローラ45より前側X1および後側X2のそれぞれに2組ずつ設けられる。なお、図1では、中間部鉛直ガイド部33cのうち、ニップローラ45よりも前側X1の中間部鉛直ガイド部33cにのみ符号を付した。また、図2では、8つの中間部鉛直ガイド部33cのうち、ニップローラ45よりも前側X1、かつ、長尺材23dよりも左側Ylの、2つの中間部鉛直ガイド部33cにのみ符号を付した。
【0037】
前部鉛直ガイド部33eは、長尺材敷設回収装置1の前側X1部分に設けられる。前部鉛直ガイド部33eは、前部フレーム15に取り付けられる。前部鉛直ガイド部33eは、トラバース装置40よりも前側X1に配置される。前部鉛直ガイド部33eの横方向Yにおける位置は、前部水平ガイド部31eの横方向Y外側の両端部(左右両端部)の横方向Yにおける位置と、同じまたは略同じ位置である。図2に示す例では、前部鉛直ガイド部33eは、2つ(1組)設けられ、最も前側X1の前部水平ガイド部31eよりも前側X1に設けられる。なお、前部鉛直ガイド部33eは、設けられなくてもよい(図9参照)。
【0038】
トラバースガイド部37は、フレーム10に対してトラバース装置40を横方向Yに移動自在にガイド(支持)する。トラバースガイド部37は、フレーム10に対するトラバース装置40の横方向Y以外の方向(前後方向Xおよび上下方向Z)への移動を制限する。例えば、トラバースガイド部37は、横方向Yに延びるように設けられるレール(ガイドレール)などである。トラバースガイド部37は、フレーム10(さらに詳しくは中間部フレーム13)に固定される。図2に示す例では、トラバースガイド部37は、2つ設けられ、前後方向Xに間隔をあけて2つ設けられる。
【0039】
トラバース駆動部39は、フレーム10に対してトラバース装置40を横方向Yに移動させる(駆動する)。例えば、トラバース駆動部39は、モータを備える(モータの具体例は、走行駆動部21a(図3参照)の説明を参照)。トラバース駆動部39は、伸縮シリンダを備えてもよい(伸縮シリンダの具体例は、後述する傾斜部駆動部55(図3参照)の説明を参照)。
【0040】
トラバース装置40は、長尺材23dを横方向Yに移動させる。トラバース装置40は、リール23cよりも前側X1に配置される。トラバース装置40は、中間部フレーム13(例えば中間部フレーム13の上側Z1部分)に設けられる(図1参照)。トラバース装置40は、トラバース装置フレーム41と、ニップローラ駆動部43と、ニップローラ45と、を備える。
【0041】
トラバース装置フレーム41は、ニップローラ45を支持する。トラバース装置フレーム41は、フレーム10に対して横方向Yに可動である。トラバース装置フレーム41は、トラバースガイド部37に横方向Yに移動自在に取り付けられる。トラバース装置フレーム41は、トラバース駆動部39により、フレーム10に対して横方向Yに移動(駆動)させられる。図2に示す例では、トラバース装置フレーム41は、中間部水平ガイド部31cおよび中間部鉛直ガイド部33cを支持する。なお、中間部水平ガイド部31cおよび中間部鉛直ガイド部33cは、トラバース装置40に含まれてもよい。
【0042】
ニップローラ駆動部43は、ニップローラ45を回転駆動させる。ニップローラ駆動部43は、トラバース装置フレーム41に対してニップローラ45を回転駆動させる。図1に示すニップローラ駆動部43は、下部ニップローラ45a(後述)および上部ニップローラ45c(後述)を駆動する。ニップローラ駆動部43は、下部ニップローラ45aおよび上部ニップローラ45cのうち、一方のみを駆動してもよい。ニップローラ駆動部43は、トラバース装置フレーム41に設けられる(搭載される)。ニップローラ駆動部43は、例えばモータを備える(モータの具体例は、走行駆動部21aの説明を参照)。
【0043】
ニップローラ45(ニップ装置)は、図2に示すように、長尺材23dを前後方向Xに移動させる(送る)。長尺材23dの回収時(リール23cに長尺材23dが巻き取られる時)には、ニップローラ45は、長尺材23dをリール23c側(後側X2)に送る。長尺材23dの敷設時(リール23cから長尺材23dが繰り出される時)には、ニップローラ45は、長尺材23dを前側X1(リール23cとは反対側)に送る。図1に示すように、ニップローラ45は、長尺材23d(図2参照)を上下方向Zから挟むように配置される。図5に示すように、ニップローラ45は、下部ニップローラ45aと、上部ニップローラ45cと、を備える。
【0044】
下部ニップローラ45aは、横方向Yに延びるように設けられるローラである(上部ニップローラ45cも同様)。下部ニップローラ45aは、トラバース装置フレーム41(図1参照)に回転可能に支持される(上部ニップローラ45cも同様)。下部ニップローラ45aは、トラバース装置フレーム41に対して、横方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能である(上部ニップローラ45cも同様)。
【0045】
上部ニップローラ45cは、下部ニップローラ45aの真上(下部ニップローラ45aよりも上側Z1、かつ、下部ニップローラ45aと上下方向Zに対向する位置)に配置される。上部ニップローラ45cは、下部ニップローラ45aに対して開閉可能である。この開閉により、上部ニップローラ45cと下部ニップローラ45aとの間(「ニップローラ45間」ともいう)に長尺材23dを着脱することができる。上部ニップローラ45cの横方向Yの一方の端部(例えば右側Yr端部)は、トラバース装置フレーム41(図1参照)に対して、前後方向Xに延びる軸を中心に回転可能である。上部ニップローラ45cの横方向Yの他方の端部(例えば左側Yl端部)は、トラバース装置フレーム41に着脱可能である。ニップローラ45間の上下方向Zにおける位置(高さ)(下部ニップローラ45aの上面の高さ)は、水平ガイド部31(例えば前部水平ガイド部31eなど)の上側Z1端部の上下方向Zにおける位置と、同じまたは略同じ位置である。
【0046】
傾斜ガイド装置50は、長尺材23dの横方向Yにおける位置をガイドする。傾斜ガイド装置50は、トラバース装置40よりも前側X1に配置される(図1参照)。傾斜ガイド装置50は、傾斜部支持部51と、傾斜部ガイド部53と、傾斜部駆動部55と、傾斜部57と、を備える。
【0047】
傾斜部支持部51は、フレーム10に対して傾斜部57を支持する。傾斜部支持部51は、フレーム10に対して可動である(可動フレームである)。傾斜部支持部51の構成(形状、数など)は、フレーム10と同様に様々に設定可能である。例えば、傾斜部支持部51は、支持部鉛直部51aと、支持部連結部51cと、を備える。
【0048】
支持部鉛直部51aは、上下方向Zに延びるように設けられる。支持部鉛直部51aは、例えば、支持部連結部51cおよび傾斜部57を支持する支柱である。支持部鉛直部51aは、前部フレーム鉛直部15aに沿うように配置される。支持部鉛直部51aは、前部フレーム鉛直部15aと前後方向Xに対向するように配置される。図5に示す例では、支持部鉛直部51aは、傾斜部57よりも後側X2の前部フレーム鉛直部15aに沿うように配置される。この例では、支持部鉛直部51aは、横方向Yに間隔をあけて2つ設けられる。
【0049】
支持部連結部51cは、支持部鉛直部51aと傾斜部57とを連結する。支持部連結部51cは、2つの(左右の)支持部鉛直部51a・51aの上側Z1端部に接続される。支持部連結部51cは、傾斜部57に沿うように配置され、傾斜部57と平行に配置される。支持部連結部51cは、傾斜部57の真下(傾斜部57よりも下側Z2、かつ、傾斜部57と上下方向Zに対向する位置)に配置される。支持部連結部51cは、傾斜部支持部51に対して(支持部連結部51cに対して)傾斜部57が回転可能となるように、傾斜部57を支持する。支持部連結部51cは、傾斜部57の長手方向の両端部(左右両端部)を支持する。
【0050】
傾斜部ガイド部53は、フレーム10(さらに詳しくは前部フレーム15)に対して、傾斜部57を移動自在にガイド(支持)する。傾斜部ガイド部53は、フレーム10に対して、傾斜部57を上下方向Zに移動自在にガイドする。傾斜部ガイド部53は、フレーム10に対して傾斜部支持部51(例えば支持部鉛直部51a)を上下方向Zに移動自在にガイドすることで、フレーム10に対して傾斜部57を上下方向Zに移動自在にガイドする。傾斜部ガイド部53は、フレーム10に対する傾斜部57の、上下方向Z以外の方向(前後方向Xおよび横方向Y)への移動を制限する。傾斜部ガイド部53は、例えば、上下方向Zに延びるように設けられるレール(ガイドレール)などである。図5に示す例では、傾斜部ガイド部53は、2つ設けられ、横方向Yに間隔をあけて2つ設けられる。この例では、傾斜部ガイド部53は、前部フレーム15に設けられ、さらに詳しくは、左右両側の前部フレーム鉛直部15a・15aに設けられる。この例では、傾斜部ガイド部53は、左右両側の支持部鉛直部51a・51aを上下方向Zに移動自在にガイドする。この例では、傾斜部ガイド部53の上側Z1端部は、前部フレーム上部水平部15eに設けられ、さらに詳しくは、傾斜部57よりも後側X2の前部フレーム上部水平部15eに設けられる。
【0051】
傾斜部駆動部55(傾斜部昇降機)は、フレーム10に対して傾斜部57を上下方向Zに駆動する(昇降させる)。傾斜部駆動部55は、フレーム10に対して傾斜部支持部51を上下方向Zに駆動することで、フレーム10に対して傾斜部57を上下方向Zに駆動する。傾斜部駆動部55は、例えば、伸縮可能なシリンダ(伸縮シリンダ)を備える。この伸縮シリンダは、流体圧シリンダでもよく、例えば、エアシリンダ(空圧シリンダ)でもよく、油圧シリンダでもよい。傾斜部駆動部55は、モータを備えてもよい(図10に示す第3実施形態の傾斜部駆動部355を参照)。図5に示す例では、傾斜部駆動部55は、長尺材敷設回収装置1の横方向Y中央部に配置される。傾斜部駆動部55は、支持部連結部51cの横方向Y中央部の真下に配置される。以下では、傾斜部駆動部55が伸縮シリンダである場合について説明する。傾斜部駆動部55は、チューブ55aと、ロッド55cと、を備える。
【0052】
チューブ55aは、フレーム10に固定される。例えば、チューブ55aは、下部フレーム11および前部フレーム中央水平部15cに固定される。ロッド55cは、チューブ55aに対して上下方向Zに移動(駆動)可能である。ロッド55cは、傾斜部支持部51に接続される。例えば、ロッド55cは、支持部連結部51cに接続され、支持部連結部51cの横方向Y中央部に接続される。
【0053】
傾斜部57は、長尺材23dの横方向Yにおける位置をガイドする。傾斜部57は、長尺材23dを下側Z2から支持する。図1に示すように、傾斜部57は、リール23cよりも前側X1に配置される。傾斜部57は、トラバース装置40よりも前側X1に配置される。傾斜部57は、前部フレーム15の近傍に配置される。傾斜部57は、前部水平ガイド部31eの近傍に配置される。例えば、図2に示すように、傾斜部57は、2つの前部水平ガイド部31e・31eの前後方向Xにおける間に配置される。図5に示すように、傾斜部57の横方向Y外側の両端部(左右両端部)の横方向Yにおける位置は、前部水平ガイド部31eの左右両端部の横方向Yにおける位置と、同じまたは略同じ位置である。傾斜部57の左右両端部の横方向Yにおける位置は、左右の前部鉛直ガイド部33e・33eの横方向Yにおける位置と、同じまたは略同じ位置である。
【0054】
この傾斜部57は、横方向Yの一方側(例えば左側Yl)ほど上側Z1に配置されるように、横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように配置される。さらに詳しくは、傾斜部57の上面(上側Z1を向く面)は、左側Ylほど上側Z1に配置されるように、横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように配置される。傾斜部57が延びる方向(さらに詳しくは傾斜部57の上面が延びる方向)を、「傾斜方向」とする。傾斜部57の傾斜方向は、一定(固定)でもよく、可変でもよい(第3実施形態を参照)。
【0055】
この傾斜部57は、傾斜方向に延びる回転軸を中心に回転可能なローラ(傾斜ローラ)である。この場合、傾斜部57は、駆動しなくてもよく、長尺材23dの前後方向Xへの移動に伴って回転(従動)してもよい。傾斜部57は、駆動してもよい。傾斜部57は、ローラでなくてもよい。傾斜部57は、傾斜部支持部51に対して固定された(回転可能でない)部材でもよい。
【0056】
この傾斜部57は、フレーム10に対して上下方向Zに移動可能である(図3図5、および図7参照)。例えば、図5に示す傾斜部支持部51が上下方向Zに移動可能である結果、傾斜部57は、上下方向Zに移動可能である。傾斜部57の全体が、上下方向Zに移動可能でもよい。傾斜部57の一部が、上下方向Zに移動可能でもよい(第3実施形態を参照)。
【0057】
この傾斜部57は、交差部C1ができるように配置される(図5および図7参照)。図5に示す交差部C1は、前側X1から見たときに、前部水平ガイド部31eと、傾斜部57と、が交差する部分である。さらに詳しくは、交差部C1は、前側X1から見たときに、前部水平ガイド部31eの上面(例えば直線)と、傾斜部57の上面(例えば直線)と、が交差する部分(点)である。交差部C1は、長尺材23dの横方向Yへの移動を抑制する(後述)。傾斜部57が上下方向Zに移動したときに、交差部C1は、横方向Yに移動する(図5および図7参照)。具体的には、傾斜部57が上側Z1に移動すると、交差部C1が右側Yrに移動する。傾斜部57が下側Z2に移動すると、交差部C1が左側Ylに移動する。図3に示すように、前側X1から見たときに、前部水平ガイド部31eと、傾斜部57と、が交差部C1(図5参照)を形成しない場合があってもよい。具体的には例えば、傾斜部57が下側Z2の位置(例えば上下方向Zの移動可能範囲のうち最も下側Z2の位置)に配置されている場合などには、交差部C1が形成されなくてもよい。
【0058】
なお、反対側傾斜ガイド装置70が設けられてもよい。反対側傾斜ガイド装置70は、傾斜ガイド装置50と略同様に構成され、傾斜ガイド装置50とは横方向Yにおいて反対側又は略反対側(左右逆または略左右逆)の構成を備える。反対側傾斜ガイド装置70は、反対側傾斜部77を備える。反対側傾斜部77は、傾斜部57の傾斜とは横方向Yにおいて反対側に(左右逆に)傾斜する。例えば、傾斜部57が左上がりに配置される場合、反対側傾斜部77は、右上がりに配置される。なお、反対側傾斜ガイド装置70の詳細は、第3実施形態で説明する。
【0059】
(操作)
図1に示す長尺材敷設回収装置1は、駆動部分を操作するための操作部(図示なし)を備えてもよい。上記「駆動部分」は、例えば、走行駆動部21a、リール駆動部23a1、および傾斜部駆動部55(図3参照)の少なくともいずれかである。この操作部は、作業者に手動操作(例えばスイッチ操作など)されるものである。この操作部は、フレーム10など(長尺材敷設回収装置1の本体部分)から離れた位置で操作可能でもよい(リモートコントローラでもよい)。この操作部は、フレーム10に搭載されてもよい。なお、長尺材敷設回収装置1は、駆動部分を自動制御(自動操作)するコントローラ(図示なし)を備えてもよい。
【0060】
操作部による操作には、例えば、走行駆動部21aの操作と、リール駆動部23a1の操作と、傾斜部駆動部55の操作と、が含まれる。走行駆動部21aの操作には、長尺材敷設回収装置1の走行および停止の操作が含まれる。走行操舵部21cの操作には、長尺材敷設回収装置1の走行方向を変える(操舵する)操作が含まれる。リール駆動部23a1の操作には、長尺材23dをリール23cで巻き取る向き、および、長尺材23dをリール23cから繰り出す向きに、リール23cを回転させる操作が含まれる。リール駆動部23a1の操作には、リール23cの回転を停止させる操作が含まれる。図3に示す傾斜部駆動部55の操作には、傾斜部57を上側Z1および下側Z2に移動させる操作、および、傾斜部57の上下方向Zへの移動を停止させる操作が含まれる。
【0061】
なお、図2に示すトラバース駆動部39およびニップローラ駆動部43は、リール23cの回転に応じて自動的に作動してもよい。なお、トラバース駆動部39およびニップローラ駆動部43の少なくともいずれかは、作業者に手動操作される場合があってもよい。
【0062】
(作動)
長尺材敷設回収装置1は、以下のように作動するように構成される。
【0063】
(回収作業)
長尺材敷設回収装置1が長尺材23dを回収する作業について説明する。この例では、回収作業の開始前には、長尺材23dが、敷設面(例えば地面)に敷設され、リール23cに巻かれていない状態である。この状態で、吊上装置25が、長尺材23dの先端部(例えば金具)を吊り上げる。吊り上げられた長尺材23dの先端部が、リール23cに取り付けられる。
【0064】
図1に示す上部ニップローラ45cが、下部ニップローラ45aに対して開いた状態とされる。この状態で、長尺材23d(図2参照)が、下部ニップローラ45aに載せられ、上部ニップローラ45cが、下部ニップローラ45aに対して閉じられる。これにより、長尺材23dが、下部ニップローラ45aと上部ニップローラ45cとに挟まれ、ニップローラ45間に配置される。
【0065】
図2に示すリール駆動部23a1が、長尺材23dを巻き取る向きにリール23cを回転(駆動)させる。リール23cの回転に応じて、ニップローラ駆動部43が、長尺材23dを後側X2(リール23c側)に送る向きにニップローラ45を回転(駆動)させる。このとき、主にリール23cが長尺材23dを巻き取り、さらに、ニップローラ45が長尺材23dをリール23c側に送る。この場合、ニップローラ45が駆動されない場合に比べ、スムーズに(小さい力で)リール23cが長尺材23dを巻き取ることができる。なお、ニップローラ45は、駆動されなくてもよい。
【0066】
また、リール23cの回転に応じて、トラバース装置40が、ニップローラ45を横方向Yに往復移動させることで、長尺材23dを横方向Yに往復移動させる(図2図4、および図6参照)。これにより、トラバース装置40は、横方向Yに偏って胴部23c3に長尺材23dが巻き取られることを抑制する。
【0067】
リール23cに長尺材23dが巻かれるときに、長尺材23dが、水平ガイド部31に下側Z2から支持され、また、鉛直ガイド部33に横方向Y外側から(左右から)支持される。
【0068】
(回収作業時の問題)
図4に示すように、リール23cよりも前側X1の(例えば長尺材敷設回収装置1よりも前側X1の)、敷設されている長尺材23dと、巻取繰出位置P23dの長尺材23dと、の横方向Yのズレが大きい場合が想定される。例えば、道路の曲がり角に沿って長尺材23dが敷設されているときに、長尺材敷設回収装置1がこの長尺材23dを回収する場合などには、上記のズレが大きくなる場合がある。ここで、リール23cよりも前側X1の(リール23cの手前の)長尺材23dと、巻取繰出位置P23dの長尺材23dと、の横方向Yにおけるズレを「長尺材23dの横ズレ」という。この長尺材23dの横ズレが大きい場合、リール23cの近傍で、長尺材23dが横方向Yに折れ曲がったり、長尺材23dにシワが発生したりする場合がある。リール23cよりも前側X1の長尺材23dが、フランジ部23c5よりも横方向Y外側にある場合には、長尺材23dがリール23cのフランジ部23c5・23c5間にスムーズに入らない場合がある。
【0069】
例えば、長尺材敷設回収装置1にトラバース装置40が設けられる場合に、長尺材23dの横ズレが大きい場合は、次の問題が生じ得る。この場合、トラバース装置40よりも前側X1の(例えば長尺材敷設回収装置1よりも前側X1の)、敷設されている長尺材23dと、トラバース装置40と、の横方向Yのズレが大きくなることが想定される。この場合、ニップローラ45間に入ろうとしている、ニップローラ45よりも前側X1の(ニップローラ45の手前の)長尺材23dと、ニップローラ45と、の横方向Yのズレが大きくなる。この場合、長尺材23dがニップローラ45間にスムーズに入らない場合がある。この場合、例えば、ニップローラ45の近傍で、長尺材23dが横方向Yに折れ曲がったり、長尺材23dにシワが発生したりする場合がある。
【0070】
従来、長尺材23dの横ズレを減らすために、作業者(補助者)が、手作業で(人力で)長尺材23dを横方向Yに移動させていた。この場合、この手作業に手間がかかり、長尺材23dの回収作業の作業性が悪い。また、長尺材23dの回収作業を一時停止させた状態で、この手作業が行われる場合があった。この場合、長尺材敷設回収装置1が長尺材23dを連続的に回収できず、長尺材23dの回収作業の作業性が悪い。また、長尺材敷設回収装置1を操作する操作者が、この手作業も行うのは困難である。そのため、長尺材敷設回収装置1を操作する操作者とは別に、この手作業を行う補助者が必要になる。
【0071】
長尺材23dが、液体を送るホースである場合は、次の問題があった。長尺材23dの内部(内部空間、ホース内)に液体が残っている場合は、液体および長尺材23dの質量が大きいため、作業者が手作業で長尺材23dを横方向Yに移動させるのは不可能または非常に困難(例えば複数人の作業者が必要)である。そのため、この手作業の前に、長尺材23dの内部の液体を長尺材23dから排出する作業が必要であり、この作業に手間がかかり、回収作業の作業性が悪い。また、長尺材23dの回収作業を一時停止させた状態で、長尺材23dから液体を排出する作業が行われる場合があった。この場合、長尺材敷設回収装置1が長尺材23dを連続的に回収できず、長尺材23dの回収作業の作業性が悪い。
【0072】
(傾斜部の作動)
そこで、長尺材敷設回収装置1は、長尺材23dの横ズレを減らすための傾斜部57などを備える。傾斜部57などは、次のように作動するように構成される。
【0073】
図3に示すように、傾斜部57の全体または略全体が、前部水平ガイド部31eの上面よりも下側Z2に配置される場合がある。例えば、傾斜部57の上下方向Zへの移動可能範囲のうち最も下側Z2または略最も下側Z2に、傾斜部57が配置されているときに、傾斜部57はこの配置となる。このとき、長尺材23dは、前部水平ガイド部31eに下側Z2から支持され、傾斜部57には支持されない(または、ほとんど支持されない)。
【0074】
この状態から、傾斜部駆動部55が、傾斜部57を上側Z1に移動させる(駆動する)。図5に示すように、傾斜部57は、長尺材23dを下側Z2から支持しながら、長尺材23dを上側Z1に移動させる(持ち上げる)。このとき、長尺材23dの少なくとも一部が、前部水平ガイド部31eの上面よりも上側Z1に移動する。このとき、長尺材23dは、傾斜部57と長尺材23dとの摩擦力により、傾斜部57に持ち上げられる。
【0075】
傾斜部57が上側Z1に移動すると、長尺材23dが、長尺材23dの自重により、傾斜部57に沿って横方向Yに移動する(滑り降りる)。このように傾斜部57に沿って長尺材23dが滑り降りることができるように、傾斜部57の表面の滑らかさ(粗さ)が設定される。
【0076】
長尺材23dが傾斜部57に沿って滑り降りると、長尺材23dは、交差部C1の位置または交差部C1の近傍に移動する。[例1]例えば、長尺材23dが傾斜部57に沿って滑り降りると、長尺材23dの滑り降りた向き(図5では右側Yr)の端部かつ下側Z2端部が、交差部C1の位置または交差部C1の近傍に移動する(図5および図7参照)。この状態(この位置)で、長尺材23dが、傾斜部57および前部水平ガイド部31eに支持(保持)される。これにより、長尺材23dの横方向Yへの移動が制限される。[例2]また、例えば、長尺材23dが液体(例えば水)の入ったホースである場合など、長尺材23dの質量が大きい場合がある。長尺材23dの質量によっては、長尺材23dが傾斜部57に沿って滑り降り、長尺材23dの滑り降りた向き(図5では右側Yr)の端部が、交差部C1を越えて横方向Y(図5では右側Yr)に移動する(例えば、長尺材23dが傾斜部57からずれ落ちる)。この場合、長尺材23dの下側Z2の面が(例えばこの面の全体または大部分が)、交差部C1の近傍の位置で、前部水平ガイド部31eに支持される(図示なし)。このとき、交差部C1近傍の傾斜部57は、長尺材23dが滑り降りた向きとは反対向き(図5では左側Yl)への長尺材23dの移動を制限する。
【0077】
傾斜部57が上下方向Zに移動すると、交差部C1が、横方向Yに移動する。長尺材23dは、移動後の交差部C1の位置または交差部C1の近傍に移動する(滑り降りる)。交差部C1の横方向Yにおける位置が調整されることで、長尺材23dの横方向Yにおける位置が調整される。例えば、作業者(操作者)が、傾斜部57の上下方向Zの位置を操作(調整)することで、交差部C1の横方向Yにおける位置を調整することができ、長尺材23dの横方向Yにおける位置を調整することができる。
【0078】
このとき、長尺材23dの横ズレが抑制される(減るまたは無くなる)ように、傾斜部57の上下方向Zの位置が調整(例えば微調整)され、交差部C1の横方向Yの位置が調整されることが好ましい。例えば、上記の[例1]、[例2]のように傾斜部57を滑り降りた(またはずれ落ちた)長尺材23dの横方向Yの位置が、ニップローラ45間の横方向Yにおける範囲と重なるように、傾斜部57の上下方向Zの位置が調整されることが好ましい。例えば、交差部C1の横方向Yの位置が、ニップローラ45間の横方向Yにおける範囲内(または略範囲内)に収まるように、調整されることが好ましい。長尺材23dの横ズレが抑制されることで、長尺材23dがニップローラ45間にスムーズに誘導される(スムーズに入る)。図4および図6に示すように、長尺材23dは、傾斜部57から、ニップローラ45間を介して、リール23cまでの間で、前後方向Xに真っ直ぐまたは略真っ直ぐに(直線的に)延びるように配置されることが好ましい。
【0079】
具体的には例えば、図5に示す長尺材23dが、長尺材敷設回収装置1の左側Yl部分の前方の敷設面(例えば道路の曲がり角など)に敷設されているとする。また、ニップローラ45が、長尺材敷設回収装置1の横方向Yにおける左側Yl部分よりも右側Yrに配置されているとする。このとき、図3に示すように、前部水平ガイド部31eの上面よりも下側Z2に傾斜部57が配置された状態であれば、図5に示すニップローラ45よりも前側X1の長尺材23dは、ニップローラ45に対して左側Ylにずれることが想定される。そこで、傾斜部57が、上側Z1に移動させられる。すると、傾斜部57に支持されている長尺材23dが右側Yrに移動し、長尺材23dの横ズレが抑制される。
【0080】
このように、長尺材敷設回収装置1では、傾斜部57が上下方向Zに移動(駆動)することで、長尺材23dの横ズレが抑制される。よって、長尺材23dの横ズレを抑制するために、作業者(補助者)が手作業で長尺材23dを横方向Yに移動させる作業が不要である。よって、この手作業を行う作業者(補助者)が不要である。また、この手作業を行うために、長尺材23dの回収作業を一時停止する必要はない。よって、長尺材敷設回収装置1は、連続的に長尺材23dを回収できる。
【0081】
(長尺材23dの内部の液体の排出)
上記のように、傾斜部57が、長尺材23dを上側Z1に移動させる(持ち上げる)。よって、長尺材23dが液体を送るホースの場合、長尺材23dの内部(中空部分)に残っている液体(例えば水)を、長尺材23dから排出(例えば排水)することができる。このとき、この液体を、図4に示すリール23cとは反対側の長尺材23dの先端部から排出することができる。よって、傾斜部57を上側Z1に移動させることで、長尺材23dを横方向Yに移動させることができ、さらに(同時に)、長尺材23dの内部の液体を長尺材23dから排出することができる。このとき、長尺材23dから液体を排出する作業のために、長尺材23dの回収作業を一時停止する必要はない。よって、長尺材敷設回収装置1は、連続的に長尺材23dを回収できる。
【0082】
(敷設作業)
長尺材敷設回収装置1は、上記の長尺材23dの回収作業とは逆の作動により、長尺材23dの敷設作業を行うことができる。よって、長尺材敷設回収装置1と、長尺材23dを敷設しようとする位置と、の横方向Yのズレが大きい場合(例えば道路の曲がり角に長尺材23dを敷設する場合など)でも、スムーズに長尺材23dを敷設することができる。なお、長尺材23dが液体を送るホースである場合の、長尺材23dの内部の液体を排出する効果は、長尺材23dの敷設時には得られなくてもよい。
【0083】
(第1の発明の効果)
図1に示す長尺材敷設回収装置1による効果は、次の通りである。長尺材敷設回収装置1は、フレーム10と、リール23cと、傾斜部57と、傾斜部駆動部55(図5参照)と、を備える。リール23cは、横方向Yに延びる軸(リール回転軸23c1)を中心にフレーム10に対して回転可能である。図2に示すように、リール23cには、長尺材23dが巻かれる。
【0084】
[構成1]傾斜部57は、リール23cよりも前側X1に配置される。図5に示すように、傾斜部57は、フレーム10に対して上下方向Zに移動可能である。傾斜部57は、長尺材23dを下側Z2から支持する。傾斜部57は、横方向Yの一方側(例えば左側Yl)ほど上側Z1に配置されるように横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように配置される。傾斜部駆動部55は、フレーム10に対して傾斜部57を上下方向Zに駆動する。
【0085】
長尺材敷設回収装置1は、上記[構成1]を備える。よって、傾斜部駆動部55が傾斜部57を上下方向Zに駆動することで、長尺材23dを傾斜部57に沿って横方向Yに移動させることができる。よって、傾斜部57が長尺材23dを横方向Yに移動させるので、作業者(補助者)が手作業で長尺材23dを横方向Yに移動させる必要はない(手作業の具体例は上記)。よって、長尺材敷設回収装置1により、長尺材23dの敷設回収作業(敷設または回収の作業)を容易に行うことができる。
【0086】
(第2の発明の効果)
[構成2]長尺材23dは、ホースである。
【0087】
上記[構成2]により、次の効果が得られる。上記[構成1]では、傾斜部駆動部55は、傾斜部57を上側Z1に駆動することができる。よって、傾斜部57は、長尺材23dを上側Z1に移動させる(持ち上げる)ことができる。よって、傾斜部57を上側Z1に駆動することで、長尺材23dの内部に液体が入っている場合に、この液体を、長尺材23dから排出することができる。
【0088】
(第3の発明の効果)
[構成3]長尺材敷設回収装置1は、前部水平ガイド部31eを備える。図1に示すように、前部水平ガイド部31eは、傾斜部57と前後方向Xに並ぶように配置される。図3に示すように、前部水平ガイド部31eは、長尺材23dを下側Z2から支持可能であり、横方向Yに延びるように配置される。図5に示すように、傾斜部57は、フレーム10に対して上下方向Zに傾斜部57が移動したときに、交差部C1が横方向Yに移動するように構成される。交差部C1は、前側X1から見たときの前部水平ガイド部31eと傾斜部57との交差する部分である。
【0089】
上記[構成3]では、前部水平ガイド部31eと傾斜部57とで交差部C1を形成する(つくる)ことができる。よって、交差部C1またはその近傍に長尺材23dを配置することができる。このとき、交差部C1は、長尺材23dの横方向Yへの移動を抑制するように、長尺材23dを確実に保持することができる。よって、交差部C1は、長尺材23dの横方向Yにおける位置を確実に設定できる。また、上記[構成3]では、傾斜部57を上下方向Zに移動させることで、交差部C1を横方向Yに移動させることができる。よって、交差部C1が長尺材23dを確実に保持した状態で、交差部C1の横方向Yにおける位置を調整することができる。よって、長尺材23dの横方向Yにおける位置を様々な位置に確実に調整することができる。
【0090】
(第5の発明の効果)
[構成5]図4に示すように、長尺材敷設回収装置1は、トラバース装置40を備える。トラバース装置40は、リール23cよりも前側X1に配置され、傾斜部57よりも後側X2に配置される。トラバース装置40は、フレーム10に対して横方向Yに駆動可能であり、長尺材23dを横方向Yに移動させる。
【0091】
上記[構成5]により、次の効果が得られる。傾斜部57を上下方向Zに駆動することで、長尺材23dを横方向Yに移動させることができる(上記[構成1]を参照)。よって、傾斜部57を上下方向Zに駆動することで、トラバース装置40よりも前側X1の長尺材23dと、トラバース装置40と、の横方向Yのズレを抑制することができる。
【0092】
(第2実施形態)
図8を参照して、第2実施形態の長尺材敷設回収装置201について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第2実施形態の長尺材敷設回収装置201のうち、第1実施形態との共通点については、説明を省略する。共通点の説明を省略することについては、後述する第3実施形態の説明も同様である。
【0093】
図1に示す例では、長尺材敷設回収装置1は、走行装置21を備え、自走可能である。一方、図8に示す長尺材敷設回収装置201は、走行装置21(図1参照)を備えず、自走不可能である。長尺材敷設回収装置201のフレーム10(さらに詳しくは下部フレーム11)は、輸送車Tに搭載される。輸送車Tは、荷台Taを有する車両であり、例えばトラックなどである。長尺材敷設回収装置201は、荷台Taに搭載される。なお、輸送車Tは、長尺材敷設回収装置201の構成要素でもよく、走行装置21(図1参照)でもよい。
【0094】
(第3実施形態)
図9図12を参照して、第3実施形態の長尺材敷設回収装置301について、第1実施形態との相違点を説明する。相違点は、図9に示す傾斜部357および傾斜部357の周辺の構造である。図10に示すように、長尺材敷設回収装置301は、前部フレーム315と、傾斜ガイド装置350と、反対側傾斜ガイド装置370と、を備える。長尺材敷設回収装置301は、図3に示す前部水平ガイド部31eおよび前部鉛直ガイド部33eを備えなくてもよい(備えてもよい)。
【0095】
前部フレーム315(図10参照)は、図3に示す前部フレーム15と略同様に構成される。例えば、図10に示すように、前部フレーム315は、前部フレーム鉛直部315aと、前部フレーム中央水平部315cと、前部フレーム上部水平部315eと、を備える。前部フレーム鉛直部315aは、前部フレーム315の横方向Y外側の両側部分(左右)に設けられる。前部フレーム中央水平部315cは、左右の前部フレーム鉛直部315a・315aの上下方向Z中央部どうしを接続する。前部フレーム上部水平部315eは、左右の前部フレーム鉛直部315a・315aの上側Z1部分どうしを接続する。前部フレーム上部水平部315eは、横方向Yに延びるように設けられる。
【0096】
傾斜ガイド装置350は、傾斜部支持部351と、傾斜部ガイド部353と、傾斜部駆動部355と、傾斜部357と、センサ360と、を備える。
【0097】
傾斜部支持部351は、支持部鉛直部51a(図5参照)を備えなくてもよい。傾斜部支持部351は、支持部下部351gを備える。支持部下部351gは、支持部連結部51cの下側Z2かつ右側Yr(横方向Y内側)端部が回転可能に取り付けられる部分である。支持部下部351gは、傾斜部ガイド部353にガイドされる。
【0098】
傾斜部ガイド部353は、フレーム10に対して傾斜部支持部351を移動自在にガイドする(傾斜部ガイド部53(図5参照)と同様)。傾斜部ガイド部353は、支持部下部351gを、フレーム10に対して横方向Yに移動自在にガイド(支持)する。傾斜部ガイド部353は、フレーム10に対する支持部下部351gの横方向Y以外の方向(前後方向Xおよび上下方向Z)の移動を制限する。傾斜部ガイド部353は、横方向Yに延びるように配置されるレール(ガイドレール)などである。図10に示す例では、傾斜部ガイド部353は、前部フレーム中央水平部315cに設けられる。この例では、傾斜部ガイド部353は、前部フレーム中央水平部315cの上側Z1部分に設けられる。なお、後述する傾斜部駆動部355は、フレーム10に対する傾斜部支持部351の移動をガイドするものであるため、「傾斜部ガイド部353」に含まれてもよい。
【0099】
傾斜部駆動部355は、フレーム10に設けられる(傾斜部駆動部55(図5参照)と同様)。傾斜部駆動部355は、前部フレーム鉛直部315aに設けられる。傾斜部駆動部355は、傾斜部駆動モータ355eと、傾斜部駆動ねじ軸部355gと、傾斜部駆動ナット部355iと、を備える。
【0100】
傾斜部駆動モータ355eは、傾斜部駆動ねじ軸部355gを回転させるモータである(モータの具体例は走行駆動部21aの説明を参照)。図10に示す例では、傾斜部駆動モータ355eは、前部フレーム鉛直部315a(さらに詳しくは、前部フレーム鉛直部315aの上側Z1部分)に設けられる(取り付けられる)。
【0101】
傾斜部駆動ねじ軸部355gは、傾斜部駆動モータ355eに回転させられる。傾斜部駆動ねじ軸部355gは、上下方向Zに延びるように設けられる。傾斜部駆動ねじ軸部355gは、フレーム10に(さらに詳しくは、前部フレーム鉛直部315aに)回転可能に支持される。傾斜部駆動ねじ軸部355gは、上下方向Zに延びる回転軸を中心に回転可能である。例えば、傾斜部駆動ねじ軸部355gは、おねじを有する。
【0102】
傾斜部駆動ナット部355iは、フレーム10(さらに詳しくは、前部フレーム鉛直部315a)に上下方向Zに移動可能に取り付けられる。傾斜部駆動ナット部355iは、図示しないガイド部材(例えば、ガイドレールなど)を介して、前部フレーム鉛直部315aに上下方向Zに移動自在にガイド(支持)される。傾斜部駆動ナット部355iは、傾斜部駆動ねじ軸部355gに取り付けられる。例えば、傾斜部駆動ナット部355iは、めねじを有し、傾斜部駆動ねじ軸部355gのおねじと結合する。傾斜部駆動ナット部355iは、傾斜部駆動ねじ軸部355gが回転することで、上下方向Zに移動する。傾斜部駆動ナット部355iは、傾斜部支持部351(例えば支持部連結部51c)を介して、傾斜部357に取り付けられる。傾斜部駆動ナット部355iは、傾斜部357の横方向Y外側(左側Yl)部分に取り付けられる。
【0103】
傾斜部357は、横方向Yの一方側(例えば左側Yl)ほど上側Z1に配置されるように横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように配置される(図3に示す傾斜部57と同様)。傾斜部357は、例えば左上がりに配置される左側ローラである。傾斜部357は、横方向Yに対して傾斜しない場合があってもよい(後述)。
【0104】
この傾斜部357の傾斜方向は、可変である。傾斜部357の右側Yr(横方向Y内側)部分は、フレーム10に対して横方向Yに移動可能である。例えば、傾斜部357の右側Yr部分は、傾斜部支持部351(さらに詳しくは支持部下部351g)を介してフレーム10に横方向Yに移動可能に取り付けられる。傾斜部357の左側Yl(横方向Y外側)部分は、フレーム10に対して上下方向Zに駆動可能である。例えば、傾斜部357の左側Yl部分は、傾斜部支持部351および傾斜部駆動部355を介して、フレーム10に対して上下方向Zに駆動可能である。
【0105】
この傾斜部357の左側Yl部分が、傾斜部駆動部355に上下方向Zに移動(駆動)させられると、傾斜部357の右側Yr部分は、横方向Yに移動する。その結果、傾斜部357の傾斜方向が変化する。具体的には例えば、図10および図11に示すように、傾斜部357の左側Yl部分が下側Z2に移動すると、傾斜部357の右側Yr部分が右側Yrに移動する。この場合、傾斜部357の傾斜角度θ357が小さくなり、傾斜部357の傾斜方向が水平に近づく。傾斜角度θ357は、横方向Yと、傾斜部357の傾斜方向と、がなす角度である。一方、傾斜部357の左側Yl部分が上側Z1に移動すると、傾斜部357の右側Yr部分が左側Ylに移動する。この場合、傾斜部357の傾斜角度θ357が大きくなる。傾斜角度θ357の最小値は、様々に設定可能であり、図11に示す例では0°である。傾斜角度θ357が0°の場合、傾斜部357の配置は、図5に示す前部水平ガイド部31eと同様の配置になってもよい。なお、図11に示す傾斜角度θ357の最小値は、0°よりも大きくてもよい。傾斜角度θ357の最大値は、様々に設定可能であり、具体的には例えば、図10に示す例では約45°であり、図12に示す例では約30°である。
【0106】
(傾斜方向の変化の変形例)
なお、図10に示す傾斜部357の傾斜方向が可変である場合の、傾斜方向の変え方は、様々に変形できる。例えば、図10に示す例では、傾斜部駆動部355は、ねじ(傾斜部駆動ねじ軸部355g)とナット(傾斜部駆動ナット部355i)とを備えた。一方、傾斜部駆動部355は、図5に示す傾斜部駆動部55と同様の伸縮シリンダを備えてもよい。また、傾斜部357(図10参照)は、伸縮シリンダ(さらに詳しくはロッド55c)に対して、前後方向Xに延びる軸を中心に回転可能でもよい。この場合、傾斜部357を回転駆動させるモータが、ロッド55cの先端などに設けられてもよい。図10に示す例では、傾斜部357の下側Z2部分(右側Yr部分)の、フレーム10に対する上下方向Zにおける位置(高さ)は、一定である。一方、傾斜部357の下側Z2部分のフレーム10に対する高さは可変でもよい。例えば、傾斜部ガイド部353の高さは、フレーム10に対して可変でもよい。例えば、前部フレーム15の一部(例えば前部フレーム中央水平部315cおよび前部フレーム中央水平部315cよりも上側Z1の部分)が、下部フレーム11に対して上下方向Zに移動可能でもよい。
【0107】
センサ360は、傾斜部357の位置を検出する。例えば、センサ360は、傾斜部357の左側Yl部分の上下方向Zにおける位置(高さ)を検出する。例えば、センサ360は、傾斜部駆動ナット部355iの高さを検出することで、傾斜部357の左側Yl部分の高さを検出する。センサ360は、傾斜部357が上限位置または下限位置にあることを検出可能でもよい。上限位置は、傾斜部357が移動可能な上下方向Zの範囲の最も上側Z1の位置である。下限位置は、傾斜部357が移動可能な上下方向Zの範囲の最も下側Z2の位置である。センサ360は、傾斜部357が上限位置と下限位置との間の位置(中間位置)にあるときの傾斜部357の位置を検出可能でもよい。センサ360は、傾斜部357の傾斜角度θ357を検出可能でもよい。センサ360は、接触センサでもよく、非接触センサでもよい。センサ360は、傾斜部駆動部355の状態(例えば傾斜部駆動モータ355eの回転数など)に基づいて、傾斜部357の位置を検出してもよい。センサ360は、傾斜部357の右側Yr部分の横方向Yにおける位置を検出してもよい。センサ360は、図3に示す傾斜部57の上下方向Zにおける位置を検出可能でもよい。例えば、図10に示すように、センサ360は、上限センサ361と、下限センサ363と、を備える。
【0108】
上限センサ361は、傾斜部357(例えば左側Yl部分)が上限位置にあるか否かを検出する。下限センサ363は、傾斜部357(例えば左側Yl部分)が下限位置にあるか否かを検出する。
【0109】
反対側傾斜ガイド装置370は、傾斜ガイド装置350と略同様の構成を備える。反対側傾斜ガイド装置370は、傾斜ガイド装置350とは横方向Yにおいて反対側または略反対側(左右逆または略左右逆)の構成を備える。反対側傾斜ガイド装置370は、反対側傾斜部支持部371と、反対側傾斜部ガイド部373と、反対側傾斜部駆動部375と、反対側傾斜部377と、反対側センサ380(センサ360に対応)と、を備える。
【0110】
反対側傾斜部支持部371は、傾斜部支持部351に対応する部分であり、フレーム10に対して反対側傾斜部377を支持する。反対側傾斜部ガイド部373は、傾斜部ガイド部353に対応する部分であり、フレーム10に対して、反対側傾斜部支持部371を移動自在にガイドする。反対側傾斜部駆動部375は、傾斜部駆動部355に対応する部分であり、フレーム10に対して反対側傾斜部377を上下方向Zに駆動する。
【0111】
反対側傾斜部377は、傾斜部357に対応する部分である。反対側傾斜部377は、横方向Yの一方側(左側Yl)とは反対側(右側Yr)ほど上側Z1に配置されるように、横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように配置される。傾斜部357が左上がりに配置される場合(例えば、左側ローラの場合)、反対側傾斜部377は、右上がりに配置される(例えば、右側ローラである)。
【0112】
図5に示す例では、傾斜部57および前部水平ガイド部31eは、交差部C1ができるように配置された。一方、図10に示す例では、傾斜部357および反対側傾斜部377は、交差部C3ができるように配置される。
【0113】
交差部C3は、前側X1から見たときに傾斜部357と反対側傾斜部377とが交差する部分である。さらに詳しくは、交差部C3は、前側X1から見たときに、傾斜部357の上面(例えば直線)と、反対側傾斜部377の上面(例えば直線)と、が交差する部分(点)である。交差部C3は、傾斜部357および反対側傾斜部377の少なくともいずれかが、フレーム10に対して移動したときに、横方向Yに移動する。なお、傾斜部357と反対側傾斜部377とが設けられる場合に、前部水平ガイド部31e(図5参照)が設けられてもよい。この場合、傾斜部357と前部水平ガイド部31eとの交差部C1(図5参照)があってもよく、反対側傾斜部377と前部水平ガイド部31eとが交差する部分があってもよい。
【0114】
傾斜部357および反対側傾斜部377のそれぞれの、取りうる傾斜の角度、および長さなどは、様々に設定可能である。図10に示す例では、傾斜部357の傾斜角度θ357と反対側傾斜部377の傾斜角度θ377とが等しい、または略等しい。このとき、交差部C3の横方向Yにおける位置は、傾斜部357の左側Ylの端と、反対側傾斜部377の右側Yrの端と、の横方向Yにおける中央の位置である。また、このとき、交差部C3の上下方向Zにおける位置(高さ)は、ニップローラ45間の高さ(下部ニップローラ45aの上面の高さ)と略同じである。なお、このときの交差部C3の上下方向Zにおける位置は、ニップローラ45間よりも上側Z1でも下側Z2でもよい。
【0115】
図12に示す例では、傾斜部357の傾斜角度θ357が0°のときの、傾斜部357の右側Yr端部の横方向Yにおける位置は、トラバース装置40が最も右側Yrに配置されたときのニップローラ45間の横方向Yにおける位置と略同じ位置である。この例では、傾斜部357の長さは、左右の前部フレーム鉛直部315a・315aの横方向Yにおける間隔と略同じである。なお、図12では、反対側傾斜ガイド装置370(図11参照)の一部を省略した。
【0116】
(第4の発明の効果)
図10に示す長尺材敷設回収装置301による効果は、次の通りである。
【0117】
[構成4]長尺材敷設回収装置301は、反対側傾斜部377と、反対側傾斜部駆動部375と、を備える。反対側傾斜部377は、リール23c(図9参照)よりも前側X1に配置される。反対側傾斜部377は、フレーム10に対して上下方向Zに移動可能である。反対側傾斜部377は、長尺材23dを下側Z2から支持する。反対側傾斜部377は、横方向Yの一方側(左側Yl)とは反対側(右側Yr)ほど上側Z1に配置されるように、横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように配置される。反対側傾斜部駆動部375は、フレーム10に対して反対側傾斜部377を上下方向Zに駆動する。傾斜部357および反対側傾斜部377は、フレーム10に対して上下方向Zに傾斜部357および反対側傾斜部377の少なくともいずれかが移動したときに、交差部C3が横方向Yに移動するように構成される。交差部C3は、前側X1から見たときの傾斜部357と反対側傾斜部377との交差する部分である。
【0118】
上記[構成4]では、傾斜部357および反対側傾斜部377の少なくともいずれかを上下方向Zに移動させることで、交差部C3を横方向Yに移動させ、交差部C3またはその近傍に長尺材23dを配置することができる。よって、交差部C3の横方向Yにおける位置を調整することで、長尺材23dの横方向Yにおける位置を様々な位置に調整することができる。
【0119】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態の構成要素(変形例を含む)どうしが組み合わされてもよい。例えば、上記実施形態の構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。具体的には例えば、トラバース装置40は設けられなくてもよい。例えば、上記実施形態の変形例どうしが様々に組み合わされてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、構成要素の配置は変更されてもよい。例えば、構成要素の包含関係は様々に変更されてもよい。例えば、ある上位の構成要素に含まれる下位の構成要素として説明したものが、この上位の構成要素に含まれなくてもよく、他の構成要素に含まれてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、作動など)の一部のみを有してもよい。
【符号の説明】
【0120】
1、201、301 長尺材敷設回収装置
10 フレーム
23c リール
23d 長尺材
31e 前部水平ガイド部
375 反対側傾斜部駆動部
40 トラバース装置
55、355 傾斜部駆動部
57、357 傾斜部
77、377 反対側傾斜部
C1、C3 交差部
X 前後方向
X1 前側
Y 横方向
Yl 左側(横方向の一方側)
Yr 右側(横方向の一方側とは反対側)
Z 上下方向
Z2 下側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12