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特開2024-11406化粧具用替え芯、及び、化粧具用替え芯の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011406
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】化粧具用替え芯、及び、化粧具用替え芯の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A45D40/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113354
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】522042751
【氏名又は名称】ナッチコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】城野 康浩
(57)【要約】
【課題】低コストで芯を保護することができる化粧具用替え芯、及び、化粧具用替え芯の製造方法を提供する。
【解決手段】棒状の芯4と、芯4の一方の端部が装着された芯つかみ部材8と、芯4とは反対側の芯つかみ部材8の端部から芯4の中心軸線方向に延びる進退棒9と、を有する芯チャック部材5と、筒状をして、中心軸線方向の一部が芯つかみ部材8に外嵌し、芯4を覆う保護カバー50と、を有するものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の芯と、
前記芯の一方の端部が装着された芯つかみ部材と、前記芯とは反対側の前記芯つかみ部材の端部から前記芯の中心軸線方向に延びる進退棒とを有する芯チャック部材と、
筒状をして、前記中心軸線方向の一部が前記芯つかみ部材に外嵌し、前記芯を覆う保護カバーと、を有する化粧具用替え芯。
【請求項2】
前記芯つかみ部材は、前記中心軸線方向において、前記進退棒の側に、基部を有し、
前記基部には、前記芯の中心軸線を中心とする円周方向に離隔して複数配置された凸部が形成され、
前記凸部は、前記化粧具に形成され前記中心軸線方向に延びる溝部に嵌合するように構成され、
前記中心軸線方向において前記進退棒側で、前記凸部の前記中心軸線方向の少なくとも一部は、前記保護カバーが外嵌せずに露出している請求項1に記載の化粧具用替え芯。
【請求項3】
前記保護カバーは、ポリプロピレンから形成されている請求項1又は2に記載の化粧具用替え芯。
【請求項4】
棒状の芯を製造するステップと、
前記芯の一方の端部が装着される芯つかみ部材と、前記芯が装着される側とは反対側の前記芯つかみ部材の端部から前記芯の中心軸線方向に延びる進退棒と、を有する芯チャック部材を製造するステップと、
筒状の保護カバーを製造するステップと、
前記芯の一方の端部を前記芯つかみ部材に装着した後に、前記中心軸線方向において前記進退棒側から前記芯チャック部材を前記保護カバー内に挿入し、前記保護カバーが前記芯を覆った状態で、前記保護カバーを前記芯つかみ部材に外嵌するステップと、を含む化粧具用替え芯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイブロウ、アイライナーなどの化粧具用替え芯に係り、特に、購入者自身で芯材を容易に交換でき、もって使い終わった容器を廃棄することなく繰り返し利用できる芯交換可能化粧具に用いる替え芯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧用具、例えば、アイライナーあるいはアイブロウなどにおいて、従来、使い捨てタイプ、すなわち、芯を使い終わったら、プラスチック製の化粧用容器自体を丸ごと廃棄し、新しい芯の入った化粧用具に買い替える使い捨てタイプが主流となっていた。
【0003】
ところが、近年においては、カーボンニュートラルに代表されるCO2の削減運動、プラスチック製品による海洋環境破壊の解消運動が世界的な潮流となっており、もって以前から使用されているプラスチック製品は、バイオマス製品やリサイクル製品に置き換える動きが徐々に増加している。
【0004】
しかしながら、前記プラスチック製品の置き換えの動きに際しては、製品コストがアップする、あるいは機能性低下があるなどの課題があり、業界においても前記置き換えに関し決して急速な進展が見られるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-159119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の課題に対処すべく創案されたものであり、例えば、化粧用繰り出し式ペンシルなどにおいても、芯を使い終わった後、化粧用容器を丸ごと廃棄し、新しいものに買い替えることなく芯を簡易に交換でき、化粧用具はそのまま継続使用が出来る芯交換可能化粧具を提供することを目的とするものである。
【0007】
すなわち、本発明は、4R(Refuse、Reduce、Reuse、Recycle)の概念の中で特に、Reduce(排出抑制)とReuse(繰り返し使える)に焦点を当てたものといえる。そして、エシカル消費(倫理的な消費行動)も浸透しており、環境に配慮し、なおかつ経済性の高い本発明はユーザーにとって大変大きなメリットとなると考えられる。
【0008】
ここで、アイブロウやアイライナーに使用される芯は、樹脂と煉り合せた硬い文具の芯とは異なり、オイルとワックスを基材として化粧材用ペンシル芯を構成しており、該化粧材用ペンシル芯は柔らかいため、芯が折れるおそれがある。また、化粧具であるため、衛生的に取り扱われる必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、低コストで芯を保護することができる化粧具用替え芯、及び、化粧具用替え芯の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
化粧具用替え芯において、
棒状の芯と、
前記芯の一方の端部が装着された芯つかみ部材と、前記芯とは反対側の前記芯つかみ部材の端部から前記芯の中心軸線方向に延びる進退棒とを有する芯チャック部材と、
筒状をして、前記中心軸線方向の一部が前記芯つかみ部材に外嵌し、前記芯を覆う保護カバーと、を有するものとする。
【0011】
また、化粧具用替え芯の製造方法において、
棒状の芯を製造するステップと、
前記芯の一方の端部が装着される芯つかみ部材と、前記芯が装着される側とは反対側の前記芯つかみ部材の端部から前記芯の中心軸線方向に延びる進退棒と、を有する芯チャック部材を製造するステップと、
筒状の保護カバーを製造するステップと、
前記芯の一方の端部を前記芯つかみ部材に装着した後に、前記中心軸線方向において前記進退棒側から前記芯チャック部材を前記保護カバー内に挿入し、前記保護カバーが前記芯を覆った状態で、前記保護カバーを前記芯つかみ部材に外嵌するステップと、を含むものとする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低コストで芯を保護することができる化粧具用替え芯、及び、化粧具用替え芯の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願の実施形態に係る化粧具用替え芯の側面図である。
図2】本願の実施形態に係る化粧具用替え芯の製造方法を示す側面図である。
図3】本発明の構成を説明する構成説明図(1)である。
図4】本発明の構成を説明する構成説明図(2)である。
図5】本発明の要部の拡大図である。
図6】芯付き芯チャック部材を別売する状態を説明する説明図である。
図7】螺旋杵の先端開口を上方から説明した概略説明図である。
図8】螺旋杵の内周面の状態を展開して説明した概略説明図である。
図9】芯チャック部材を基杵の先端開口から挿入する状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願の実施形態について説明する。図3及び図4に本願の実施形態に係る芯交換可能化粧具1を示す。なお、本願において、上下を言うときは、特別な記載が無い限り、化粧具の先端を重力方向の上側に向けた状態における上下を意味するものとする。
【0015】
芯交換可能化粧具1は、棒状の芯4、芯4を装着する芯チャック部材5、芯チャック部材5を長手方向に移動可能に取り付ける螺旋杵7及び芯チャック部材5が取り付けられた螺旋杵7を組み込む基杵18を有し、これらが組み立てられて基本的な芯交換可能化粧具1が構成される。さらに、前記の組み立てた基本形の芯交換可能化粧具1を例えば円筒状の化粧用具本体及び円筒状のキャップに入れて各種デザインが施された芯交換可能化粧具1として販売するものとしている。なお、芯4の形状は、円柱状に限らず、中心軸線方向に垂直に切断した断面が楕円形状、四角形状など、あらゆる形状とすることができる。
【0016】
図1に示すように、芯チャック部材5は、螺旋杵7の長手方向に回転しながら移動可能とされた棒状の進退棒9を有し、進退棒9の先端には芯つかみ部材8が設けられている。芯つかみ部材8は、図5に示すように、芯4を掴んで保持する複数個の芯つかみ片10によって構成された芯つかみ片部12を有して構成されている。芯つかみ片10は、円柱状の基部11から上方に延びている。芯つかみ片10は、それぞれ、基部11の外周面において、周方向に離隔し、径方向外側に突出した凸部41と一体に形成されている。なお、芯つかみ片10と凸部41は一体に形成されていることが好ましいが、別体としても良い。
【0017】
進退棒9は略円柱状をなしており、その長手方向後端部外周面には例えば略丸玉突起状になって外側に張り出すガイド突起15(嵌合部)が設けられている。尚、進退棒9の長手方向後端部において、該後端部の外周面からやや外側にはみ出した状態でかつ下側に突出する状態で、円状外周方向に間隔をおいてガイド片を少なくとも2個設け、このガイド片の外側に前記形状のガイド突起15を設けてもかまわない。しかし、前記ガイド片を設けることなく進退棒9の後端部外周面に直接ガイド突起15を設けるタイプでも構わない。ガイド突起15の形状は図に示すものに限られず、螺旋溝と嵌合する種々の形状とすることができる。
【0018】
図2は、保護カバー40が取り付けられた状態の化粧具用替え芯50を示している。保護カバー40は、図1に示すように、筒状をしている。保護カバー40を筒状とすることで、成形が容易となり、製造コストを抑えることができる。保護カバー40の材料としてはポリプロピレンが好ましく、例えば、0.1mmなどの薄肉に形成することが好ましい。ポリプロピレンは変形しやすいため、保護カバー40は、様々な形状や大きさの芯4に対応することができる。また、ポリプロピレンは透光性があるため、薄肉とすることで、使用者は保護カバー40を通じて芯4の色を確認することができる。保護カバー40は、図2に示すように、中心軸線方向において芯4とは反対側で、凸部41を露出するように芯つかみ部材8に外嵌することが好ましい。これにより、後述するように、保護カバー40を取り外すことなく、保護カバー40が取り付けられた状態で、スムーズに芯の交換を行うことができるようになる。
【0019】
化粧具用替え芯50の製造においては、図1に示すように、芯つかみ部材8に芯4を装着した後に、進退棒9側から芯チャック部材を保護カバー40内に挿入することが好ましい。これにより、保護カバー40が進退棒9及び芯つかみ部材8によって案内され、芯4に触れることなく、保護カバー40を取り付けることができる。
【0020】
図3に示すように、螺旋杵7は、略円筒状に構成され、内部の中空部には、中空部の内周面から中空部の軸芯に向かって突出する突条として形成され、中空部の長手方向に向かって螺旋状に繋がって形成された螺旋突条29が設けられている。
【0021】
ここで、螺旋突条29によって構成される螺旋溝始まり部30は螺旋杵7における中空部の上端部位置に形成されず、中空部の上端部より奥に進入した位置に設けられている。螺旋溝始まり部30を中空部の上端部位置に設けず、中空部の上端部から奥に進入した位置に設けているのは、螺旋杵7の中空部上端部から奥に進入した位置まで進退棒9の後端側を螺旋杵7の中空部内に進入させることが出来、これによって芯チャック部材5の螺旋杵7への当初の取り付け安定性を向上させることが出来るからである。
【0022】
尚、図7に示すように、螺旋溝始まり部30は略円筒状をなす螺旋杵7の先端側中空部の内周面において円周方向に間隔をおいて4つ設けられている。図8はその展開図であり、図8に示すように、螺旋溝始まり部30は円周方向に4つ設けられ、各々の螺旋溝始まり部30から各々の螺旋突条29が繋がって形成され、これによって螺旋溝6が螺旋状に螺旋杵7の奥に延出するよう構成されている。
【0023】
この実施形態では、螺旋溝始まり部30は4つ設けられ、それぞれの螺旋溝始まり部30から繋がってそれぞれ螺旋突条29が設けられているが、かかる実施形態に限定されるものではなく螺旋溝始まり部30が2つ以上であれば構わない。
【0024】
螺旋溝始まり部30の数が少なければ、それに繋がる螺旋突条29の数も少なくなるため、上下の螺旋突条29で構成される螺旋溝6の溝幅は広くなってしまう。また、螺旋溝始まり部30の数が多ければ、それに繋がる螺旋突条29の数も多くなるため、上下の螺旋突条29で構成される螺旋溝6の溝幅は狭くなる。
【0025】
本実施形態では、芯チャック部材5の進退棒9に設けられたガイド突起15がスムーズに螺旋回転できて、螺旋杵7内を移動できる最適なケースとして、螺旋溝始まり部30を4つ設け、もって最適な溝幅の螺旋溝6を形成したものである。
【0026】
従って、螺旋杵7の長さが長くなったり、ガイド突起15の大きさが大きくなった場合には、芯チャック部材5が最適な状態でスムーズに螺旋状に回転できて、螺旋杵7内を移動できるよう、螺旋溝始まり部30の数を変更し、溝幅が変更した螺旋溝6を形成することになる。
【0027】
図5に示すように、基杵18の中空部内には、凸部41、芯つかみ片10及び突起13が挿入される複数の溝部42が形成されていることが好ましい。これにより、中心軸線を中心として螺旋杵7と基杵18を相対回転させたときに、螺旋杵7と芯チャック部材5が共回りするのを防ぎ、芯チャック部材5を中心軸線方向にスムーズに移動させることができる。また、基杵18の内周面のうち溝部42以外の部分(溝部42の間の部分)を芯4に接触して芯4を保持する構成とすることができ、芯4の折れを防止し、使用時に芯4が中心軸線方向に垂直な方向に動くのを防止することができる。
【0028】
芯チャック部材5の螺旋杵7への取り付けは、まず、螺旋杵7を略垂直方向に立てて保持する。次いで、芯つかみ片10側を先端側にし、進退棒9の後端部のガイド突起15側を後端側にして芯チャック部材5を前記垂直方向に立設した螺旋杵7の先端開口から中空部内に挿入する。すると、例えば少なくとも2個以上のガイド突起15を有する芯チャック部材5はその自重により螺旋杵7の中空部内に落下する。そして、ガイド突起15は、螺旋溝始まり部30に遊篏し、そこで係止する。
【0029】
ガイド突起15が螺旋溝始まり部30に係止している状態で螺旋杵7の後端つまみ16などを使用して螺旋杵7を回転させると、ガイド突起15は螺旋溝始まり部30に繋がっている螺旋溝6内をスムーズに螺旋状に落下移動して、螺旋杵7の内部に進入する。そして、さらに回転作業を行うことで螺旋杵7の奥側まで進退棒9、芯チャック部材5を進入させることができる。この時、凸部41が溝部42内に配置されていることで、螺旋杵7と芯チャック部材5が共回りするのを防ぐことができる。
【0030】
すなわち、螺旋杵7を回転させることにより進退棒9に設けられたガイド突起15は、螺旋杵7の中空部内周面に設けられた螺旋溝6内を遊篏して螺旋状に落下移動し、中空部の奥側に移動できるのである。ガイド突起15が螺旋溝6内を螺旋状に落下移動することにより進退棒9が、ひいては芯チャック部材5が螺旋杵7に対して相対回転しながら螺旋杵7の奥側に移動出来るものとなっている。
【0031】
尚、前述したように、略丸玉突起状に張り出すガイド突起15は、進退棒9の円状をなす後端部において、あるいは後端部に設けられたガイド片において、各々対向するよう設けるなど少なくと、2個以上設けることが好ましいが2個以上複数個設けても構わない。
【0032】
また、螺旋杵7の中空部先端開口は進退棒9の後端部に設けられたガイド突起15が簡単に挿入出来る構成にしても構わない。すなわち、螺旋杵7の中空部先端開口は、ガイド突起15が螺旋突条29内に容易に挿入できるよう若干外側に広げられた誘導面を設け、該誘導面の存在により進退棒9の後端部が螺旋杵7の中空部に入りやすい構成にしても構わない。
【0033】
しかして、ガイド突起15を螺旋溝始まり部30内に遊篏させ、係止させ、その状態で螺旋杵7を回転させると、ガイド突起15はスムーズに下側の螺旋突条29上を摺動して螺旋溝6内を移動するものとなる。
【0034】
すなわち、螺旋杵7の後端部に設けられた後端つまみ16あるいは後端つまみ16に連動するよう構成された化粧用具本体などを用いて螺旋杵7を回転することにより進退棒9を有する芯チャック部材5を螺旋杵7の中空部奥側に進入させることが出来、また螺旋杵7の先端側にまで引き戻しさせることができる構成としたのである。
【0035】
上記説明したように、芯チャック部材5を螺旋杵7内に進入可能、引き戻し可能にすることは、進退棒9の後端部に例えば2個設けられたガイド突起15を螺旋杵7の中空部に設けられた螺旋溝始まり部30内及びそれに繋がる螺旋溝6内に容易に遊篏させ、係止させ、螺旋状に摺動移動できる構成にしたことにより達成できるものとなった。
【0036】
さらに、本発明使用時、すなわちアイブロウ、アイライナーなどとしての使用時には、芯4が装着された芯チャック部材5は、ガイド突起15が上側の螺旋突条29と下側の螺旋突条29とによって構成された螺旋溝6に留まっているため、上下の螺旋突条29に阻止されて螺旋杵7の長手方向に勝手に移動することがない。これも本実施形態の大きな特徴である。
【0037】
次に、基杵18の中空部内に芯4付きの芯チャック部材5が装着された螺旋杵7を挿入して取り付ける方法につき述べる。
【0038】
図3図4において、符号14は螺旋杵7の後端側外周面に設けられ、外側に向かってリング状に張り出す係止突条を示す。螺旋杵7は基杵18の後端開口から基杵18の中空部内に押し込むよう挿入し、前記リング状に張り出す係止突条14が基杵18の中空部内に設けられたリング状凹部に嵌め込まれることにより基杵18と螺旋杵7は一体化され、容易に螺旋杵7を基杵18から抜出出来ない構成となる。そして、基杵18の外周面を保持した状態で螺旋杵7は係止突条14と基杵18の中空部内に設けられたリング状凹部との嵌合状態によって基杵18の軸芯方向を回転軸として容易に回転できる構成とされる。これにより本発明による基本形としての芯交換可能化粧具1が組み立てられるが、それを円筒状の化粧用具本体及び円筒状のキャップに差し込んで各種デザインが施された芯交換可能化粧具1とすることが出来る。そして、螺旋杵7を取り付けた化粧用具本体については、螺旋杵7の後端つまみ16と連動するよう構成してあり、もって化粧用具本体を回転すると、螺旋杵7が回転するよう構成されている。
【0039】
ここで、本発明による芯交換可能化粧具1を組み立てた後は、化粧用具本体の軸芯方向を回転軸として、先端側に露出している基杵18外周面を保持しながら、化粧用具本体を回転させる。すると、螺旋杵7を回転出来る構成となっており、この回転によって芯チャック部材5に装着された芯4をスムーズに基杵18の先端開口から突出させたり、基杵18内部に退出させることが出来る。
【0040】
尚、本発明では、基杵18の先端開口から芯4を突出させるべく螺旋杵7の回転が継続されたとき、図2に示すように、芯チャック部材5自体は基杵18の先端開口から大幅に飛び出ないように構成されている。すなわち、ガイド突起15は螺旋溝始まり部30の箇所に留まり、該螺旋溝始まり部30の箇所でガイド突起15が回転動作を繰り返すからである。このように、ガイド突起15と芯チャック部材5は回転を繰り返すのみで基杵18の先端開口からそれ以上飛び出すことがないのである。
【0041】
ところで、芯チャック部材5を構成する芯つかみ部材8は、例えば進退棒9の側に基部11を有し、該基部11の先端面外周端から円周方向に間隔をあけ、かつ上方に向けて立設された複数個の芯つかみ片10を有して構成される。
【0042】
さらに図5から理解されるように、前記複数個の芯つかみ片10の先端側が外側に反り返った形状に構成されると共に、先端側に向かって芯つかみ片10の内周面が削られ薄くなった形状とされて、この箇所が複数個の芯つかみ片10で囲まれて構成された芯挿入空間に特に柔らかい芯4が差し込みやすい差し込みガイドロ17として構成した。
【0043】
よって、柔らかい芯4を該差し込みガイドロ17に挿入するとき、柔らかい芯4を傷つけずに基部11の上面に接するまで押し込むことが出来るものとなっている。また、複数個の芯つかみ片10の間には所定の間隔が設けてあり、もってそれぞれの芯つかみ片10が独立して立設されている。
【0044】
芯つかみ片10は前記挿入空間の内側及び外側に容易に曲がるよう柔軟性を持って立設されるものとなっており、この柔軟性を有する芯つかみ片10の構成によっても特に柔らかい芯4を装着する場合には、該柔らかい芯を傷つけることがなく装着できるよう構成されている。
【0045】
複数個の芯つかみ片10の外周面側には外側に突出する突起13が各々設けられており、複数個の芯つかみ片10が基杵18の中空部内に進入したとき、該突起13が基杵18の中空部内に形成された溝部42内に挿入され、溝部42の底面によって軸芯側に押圧される。すると、各々の芯つかみ片10は内側に窄み、掴んである芯4をさらに強固に嵌着できるように構成されている。
【0046】
さらに、各々の芯つかみ片10の内周面には芯抜け防止用の例えば芯つかみ片10の長手方向に延びるリブ26が突設されており、該リブ26によって掴んである芯4をさらに強固に嵌着し、柔らかい芯4を痛めることなくその抜けを防止している。以上の芯つかみ片10による芯4の装着に関する説明は、保護カバー40を取り付けた状態においても同様である。つまり、保護カバー40は、芯つかみ片10を芯4側に弾性変形させることにより、輸送中の振動や衝撃により芯4が芯つかみ片10から離脱することを防止する。尚、前記説明した突起13とリブ26については設けない場合も想定されている。なお、芯つかみ部材8には予め芯4を装着しておくものとする。
【0047】
そして、すでに述べたように、芯4が装着された芯チャック部材5を螺旋杵7に挿入した後、この芯チャック部材5付き螺旋杵7を基杵18の中空部内に嵌め込み、それを基本形の芯交換可能化粧具とし、該基本形の芯交換可能化粧具に前記化粧用具本体及び円筒状のキャップを取り付けて各種のデザインが施された芯交換可能化粧具1の組み立てが終了するのである。
【0048】
次に、本発明の化粧用具における替えの芯4の交換方法につき述べる。図3に示すように芯交換可能化粧具1を略垂直方向に立てて保持する。そして、螺旋杵7の後端つまみ16と連動するよう構成された化粧用具本体を回転させる。すると、基杵18の先端開口箇所に、図3に示す如く芯つかみ部材8における芯つかみ片部12の基部11が露出するまで突出させることが出来る。
【0049】
尚、上記の箇所まで芯つかみ片部12の基部11が露出した後、化粧用具本体をさらに回転させたとしても、芯つかみ片部12の基部11がさらに飛び出ることはない。前述したようにガイド突起15が螺旋溝始まり部30の箇所で回転摺動するのみで、それ以上螺旋杵7の中空部で上昇しないからである。このように突出させ露出させて芯つかみ片部12から短くなった芯4を取り除く。短くなった芯4を取り除いた後、替えの芯4を挿入する。すると、芯4は芯つかみ片部12内にスムーズに嵌入される。
【0050】
上記の様に芯つかみ片部12内に芯4を嵌入して取り付け、後端つまみ16と連動させた化粧用具本体を逆回転させる。すると、螺旋溝6内をガイド突起15が移動して芯つかみ部材8は螺旋杵7の奥側に退出するものとなる。そして、使用に際しては、芯4をペン先となる基杵18の先端開口から適宜の長さに突出させてアイブロウ、アイライナーなどとして使用する。
【0051】
前述したようにアイブロウ、アイライナーなどとしての使用中は、芯4を装着した芯チャック部材5は芯チャック部材5の長手方向に揺動しない。使用中に芯4が動くと化粧が出来ない。本実施形態では、使用中は、芯チャック部材5のガイド突起15が上の螺旋突条29と下の螺旋突条29で構成された螺旋溝6内に常に位置しており、芯チャック部材5の長手方向への移動が阻止されるからである。
【0052】
ところで、使用により、芯4が短くなり、交換しなくてはならない場合、芯4のみを交換する場合には、前述したように、本化粧具を略垂直方向に立て、基杵18の先端開口から、図1に示すように、芯つかみ部材8における芯つかみ片部12の基部11まで露出させる。このようにして突出させた芯つかみ片部12内の短くなった芯4を取り出していた。しかしながら、この芯4を取り出す際には、露出している芯つかみ片部12や基部11の上面を掃除して、芯4の残滓部分を取り払う必要があった。かかる課題をも本発明は解決した。すなわち、上記では芯4のみを交換する例につき説明したが、本発明それに限定されないのである。
【0053】
図6に示すように、替えの芯4は予め芯チャック部材5に装着した状態で販売するものとしている。替えの芯4のみを販売し、需要者に替えの芯4のみの交換をさせることは需要者の大きな負担となると考えたからである。
【0054】
第1の問題は需要者の手指を汚すことになる。替えの芯4自体を直接手で掴み、交換作業をしなければならないからである。第2に短くなった芯4を取り除いた後、芯つかみ片部12や基部11の上面を掃除して、芯4の残滓部分を取り払う必要がある。その掃除作業を需要者自身が行わなければならないからである。そして、芯4の残滓部分を取り払う際には例えば爪楊枝などの道具を使用しなければならない。すると、その爪楊枝などの器具で芯つかみ片部12を破損する恐れがあるからである。
【0055】
そこで本発明者は芯チャック部材5に予め替えの芯4を装着した状態で替えの芯4の交換セットを用意し、別販売するものとした。そして、本発明の芯交換可能化粧具1では、需要者であっても短くなった芯4が取り付けられた芯チャック部材5自体を簡単に取り外しできる構造とし、かつ替えの芯4が予め装着された芯チャック部材5自体を簡単に交換できる構造としたのである。
【0056】
その交換方法を説明する。まず、本発明の芯交換可能化粧具1を略垂直に立てて保持する。当然の如くペン先となる基杵18の先端開口は先端側になる。
【0057】
芯4が短くなった芯チャック部材5については、回転操作により、ガイド突起15を螺旋突条29から螺旋溝始まり部30の箇所に位置するまで螺旋移動させておく。そうすれば、ガイド突起15と上下に位置する螺旋突条29で構成される螺旋溝6との嵌合状態がなくなる。すなわち、ガイド突起15の上側に位置する螺旋突条29もなくなるのでガイド突起15を螺旋杵7から上に向かって引き抜くことを阻止できない。よって、芯チャック部材5を螺旋杵7から容易に取り外すことが出来る。
【0058】
もって短くなった芯4に直接触れることなく芯4が短くなった芯チャック部材5自体を掴んでスムーズに螺旋杵7さらには基杵18から取り出すことが出来ることとなる。
【0059】
この様に、需要者は芯4に触れる恐れがないため手を汚すことがない。また、芯つかみ部材8から芯4の残滓部分を取り除く清掃も全くする必要がない。芯チャック部材5も交換するからである。
【0060】
ここで、替えの芯4のみのセット販売と替えの芯4が装着された芯チャック部材5のセット販売についてであるが、芯チャック部材5自体は極めて安価なコストで製造、販売出来るので価格は替えの芯4のみで販売する場合と変わらない。
【0061】
需要者は予め別売で購入した替えの芯4が装着された芯チャック部材5を取り出し、該芯交換可能化粧具1を略垂直方向に保持し、基杵18の先端関口から替えの芯4が装着された芯チャック部材5を落として挿入する。該挿入はガイド突起15が設けられた側から挿入する(図9参照)。
【0062】
挿入すると、替えの芯4が装着された芯チャック部材5は、その自重によって前記ガイド凹溝に沿って基杵18の中空部内を落下し、通過して螺旋杵7の中空部内に入り、螺旋杵7の上端部からやや下側の位置に設けられた螺旋溝始まり部30にガイド突起15が遊篏して、係止する。それにより替えの芯4が装着された芯チャック部材5が螺旋杵7内に保持される。
【0063】
その状態で螺旋杵7側を回転させると、芯チャック部材5のガイド突起15は回転しながら、螺旋溝始まり部30に繋がる螺旋溝6内をスムーズに螺旋摺動して移動し、螺旋杵7内で螺旋回転しながら螺旋杵7の奥側まで移動する。この際、保護カバー40は、その端面が基杵18の先端に押されて芯4の先端側から外れる。なお、保護カバー40は、使用者が先端部をつかんで取り外すこともできる。
【0064】
芯チャック部材5が基杵18内に充分収納されれば、新しい芯4が取り付けられた芯交換可能化粧具となって、再び新品同様の使用が出来るのものとなる。このように、保護カバー40は、使用直前まで芯4を保護することができる。つまり、保護カバー40により、保管時や輸送時において、芯4の折れや離脱を防止するとともに、細かな塵や埃が芯4に付着することを防止し、見た目にも衛生的なものとすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 芯交換可能化粧具
4 芯
5 芯チャック部材
6 螺旋溝
7 螺旋杵
8 芯つかみ部材
9 進退棒
10 芯つかみ片
11 基部
12 芯つかみ片部
13 突起
14 係止突起
15 ガイド突起
16 後端つまみ
18 基杵
26 リブ
29 螺旋突条
30 螺旋溝始まり部
40 保護カバー
41 凸部
42 溝部
50 化粧具用替え芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9