(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114062
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】二方枠の施工用構造体及び施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/52 20060101AFI20240816BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E06B1/52
E06B1/56 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019444
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】河合 厚
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011EA01
2E011EA02
2E011EA03
2E011EB01
2E011ED01
2E011ED03
2E011EE00
2E011EF00
(57)【要約】
【課題】床面から天井面に亘る開口に二方枠を容易に施工できるようにする。
【解決手段】室内の壁Wに形成された床面Fsから天井面Csに至る開口Oに二方枠10を施工するための施工用構造体Aは、二方枠10となる一対の縦枠11,11と、一対の縦枠11,11の少なくとも上端部を縦勝ちに連結する連結部材14とを備えている。上記施工用構造体Aにおいて、連結部材14は、各縦枠11に取り外し可能に固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工するための二方枠の施工用構造体であって、
上記二方枠となる一対の縦枠と、
上記一対の縦枠の少なくとも上端部を縦勝ちに連結する連結部材とを備え、
上記連結部材は、上記各縦枠に取り外し可能に固定されている
ことを特徴とする二方枠の施工用構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の二方枠の施工用構造体において、
上記一対の縦枠の互いに対向する内面には、戸当たりを設けるための溝が形成され、
上記連結部材は、上記一対の縦枠の一方の上記縦枠の上記溝内から他方の上記縦枠の上記溝内に亘るように延び、上記各縦枠に取り外し可能に固定されている
ことを特徴とする二方枠の施工用構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の二方枠の施工用構造体において、
上記連結部材は、上記一対の縦枠によって挟まれる空間側から上記溝の内面に向かって上記連結部材を貫通するように打ち込まれた釘状部材により、上記各縦枠に取り外し可能に固定されている
ことを特徴とする二方枠の施工用構造体。
【請求項4】
請求項2に記載の二方枠の施工用構造体において、
上記連結部材は、上記一対の縦枠の上端部及び下端部のそれぞれを連結するように設けられている
ことを特徴とする二方枠の施工用構造体。
【請求項5】
室内の壁の2本の柱間に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工する二方枠の施工方法であって、
請求項1に記載の施工用構造体を、上記開口内の所定の施工位置に配置して、上記一対の縦枠を、上記開口の両側に設置された上記2本の柱に固定する固定工程と、
上記2本の柱に固定された上記施工用構造体から上記連結部材を取り外す取り外し工程とを備えている
ことを特徴とする二方枠の施工方法。
【請求項6】
室内の壁の2本の柱間に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工する二方枠の施工方法であって、
請求項2~4のいずれか1つに記載の施工用構造体を、上記開口内の所定の施工位置に配置して、上記一対の縦枠を、上記開口の両側に設置された上記2本の柱に固定する固定工程と、
上記2本の柱に固定された上記施工用構造体から上記連結部材を取り外す取り外し工程と、
上記一対の縦枠の上記溝内に上記戸当たりをそれぞれ設ける戸当たり施工工程とを備えている
ことを特徴とする二方枠の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の壁に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工するための二方枠の施工用構造体及び施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物において、開口に下がり壁を設けず、床面から天井面に達する開口を開閉する建具装置(所謂、ハイドア)が多く用いられている。また、この種の建具装置を見た目良く仕上げるために、三方枠の上枠を天井内に埋め込むように施工することで、あたかも二方枠が施工されたように見せるものがある(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示された建具装置では、天井材の施工前に、三方枠を組み立てて開口内に固定し、その後、天井材の下面が上枠の下面と面一になるように天井材を施工している。特許文献1に開示された建具装置では、このように三方枠を上枠が天井内に埋設されるように施工することにより、上枠のない二方枠が施工されたように見せている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の建具装置の構成では、上枠のないすっきりとした見た目の二方枠を施工したように見せることはできるものの、天井材と上枠の下面が面一となるように位置調整しながら天井材を固定する作業は容易ではなく、位置調整用の部材を別途施工する必要もあり、施工作業が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、床面から天井面に亘る開口に二方枠を容易に施工できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、二方枠となる一対の縦枠に少なくとも上端部を縦勝ちに連結する連結部材を取り外し可能に固定した施工用構造体を構成することとした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、室内の壁に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工するための二方枠の施工用構造体であって、上記二方枠となる一対の縦枠と、上記一対の縦枠の少なくとも上端部を縦勝ちに連結する連結部材とを備え、上記連結部材は、上記各縦枠に取り外し可能に固定されていることを特徴とするものである。
【0009】
第1の発明では、上枠のない見た目のよい二方枠を施工するために、二方枠となる一対の縦枠に少なくとも上端部を縦勝ちに連結する連結部材を取り外し可能に固定した施工用構造体を用いることとしている。このような施工用構造体によれば、室内の壁に形成された床面から天井面に至る開口に、施工用構造体を嵌め込み、一対の縦枠を固定した後、連結部材を取り外すだけで、複雑な位置合わせを行うことなく、上枠のない見た目のよい二方枠を容易に開口内に施工することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記一対の縦枠の互いに対向する内面には、戸当たりを設けるための溝が形成され、上記連結部材は、上記一対の縦枠の一方の上記縦枠の上記溝内から他方の上記縦枠の上記溝内に亘るように延び、上記各縦枠に取り外し可能に固定されていることを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明では、一対の縦枠の戸当たりを設ける溝に、連結部材を取り外し可能に架け渡すこととしている。このような構成によれば、例えば、連結部材の固定に、ビス等の釘状部材を用いることとしても、連結部材を取り外した後、釘状部材によって空いた穴は、戸当たりによって隠されて見えなくなる。従って、第2の発明によれば、意匠性を損なうことなく、上枠のない見た目のよい二方枠を容易に開口内に施工することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記連結部材は、上記一対の縦枠によって挟まれる空間側から上記溝の内面に向かって上記連結部材を貫通するように打ち込まれた釘状部材により、上記各縦枠に取り外し可能に固定されていることを特徴とするものである。
【0013】
ところで、施工用構造体は、開口の両側に設置された柱に固定されることにより、開口内に固定される。そのため、施工用構造体において、一対の縦枠の外側から連結部材の端部に向かって釘状部材を打ち込むことによって連結部材を各縦枠に固定することとすると、施工用構造体を開口内に施工した後に釘状部材を引き抜けなくなる。
【0014】
そこで、第3の発明では、連結部材を各縦枠に固定する釘状部材を、一対の縦枠によって挟まれる空間側から連結部材の端部が嵌まる戸当たり用の溝の内面に向かって連結部材を貫通するように打ち込むこととしている。このような方向に釘状部材を打ち込むことにより、施工用構造体を開口内に固定した後に釘状部材を引き抜くことが可能になり、連結部材を取り外すことが可能になる。
【0015】
第4の発明は、第2の発明において、上記連結部材は、上記一対の縦枠の上端部及び下端部のそれぞれを連結するように設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明では、一対の縦枠の上端部と下端部とが2つの連結部材によってそれぞれ連結されることにより、一対の縦枠を平行な位置関係のまま、容易に見た目よく開口内に施工することが可能になる。
【0017】
第5の発明は、室内の壁の2本の柱間に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工する二方枠の施工方法であって、第1の発明に係る施工用構造体を、上記開口内の所定の施工位置に配置して、上記一対の縦枠を、上記開口の両側に設置された上記2本の柱に固定する固定工程と、上記2本の柱に固定された上記施工用構造体から上記連結部材を取り外す取り外し工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0018】
第6の発明は、室内の壁の2本の柱間に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工する二方枠の施工方法であって、第2~第4のいずれか1つの発明に係る施工用構造体を、上記開口内の所定の施工位置に配置して、上記一対の縦枠を、上記開口の両側に設置された上記2本の柱に固定する固定工程と、上記2本の柱に固定された上記施工用構造体から上記連結部材を取り外す取り外し工程と、上記一対の縦枠の上記溝内に上記戸当たりをそれぞれ設ける戸当たり施工工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0019】
第5及び第6の発明では、二方枠の施工に上記施工用構造体を用い、該施工用構造体を開口内の所定の施工位置に配置して一対の縦枠を開口の両側に設置された2本の柱に固定した後、施工用構造体から連結部材を取り外すことにより、二方枠となる一対の縦枠のみが開口内に施工されるようにしている。このような施工方法によれば、従来のように、複雑な位置合わせを行うことなく、上枠のない見た目のよい二方枠を容易に開口内に施工することができる。
【0020】
また、第6の発明では、連結部材を取り外した後、連結部材が架け渡されていた一対の縦枠の溝内に戸当たりを設けることとしている。そのため、例えば、連結部材の固定に、ビス等の釘状部材を用いることとしても、連結部材を取り外した後、釘状部材によって空いた穴は、戸当たりによって隠されて見えなくなる。従って、第6の発明によれば、意匠性を損なうことなく、上枠のない見た目のよい二方枠を容易に開口内に施工することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した如く、本発明によると、二方枠となる一対の縦枠に少なくとも上端部を縦勝ちに連結する連結部材を取り外し可能に固定した施工用構造体を構成することとしたため、床面から天井面に亘る開口に上枠のない見た目のよい二方枠を従来よりも容易に施工することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る建具装置の正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る二方枠の施工用構造体の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の二方枠の施工用構造体の横断面図である。
【
図6】
図6は、
図4の二方枠の施工用構造体の縦断面図である。
【
図7A】
図7Aは、実施形態1に係る二方枠の施工方法の固定工程の説明図である。
【
図7B】
図7Bは、実施形態1に係る二方枠の施工方法の取り外し工程の説明図である。
【
図7C】
図7Cは、実施形態1に係る二方枠の施工方法の戸当たり施工工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0024】
《発明の実施形態1》
図1は、室内の壁Wに形成された矩形状の開口O内に、本発明に係る二方枠の施工方法によって施工された二方枠10とドア(建具)50とを備えた建具装置1の正面図であり、
図2は、建具装置1の横断面図であり、
図3は、建具装置1の縦断面図である。以下では、説明の便宜上、
図1の左側、右側、上側、下側を、それぞれ「左」、「右」、「上」、「下」として説明する。また、
図1の紙面直交方向において手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。
【0025】
図1~
図3に示すように、壁Wは、大壁構造の壁であり、柱(間柱を含む)2,…,2の前後両側に、複数の壁下地材3,…,3を固定することによって構成されている。また、天井Cは、吊り天井であり、複数の吊木(図示省略)に固定された複数の野縁受け5,…,5の下方に複数の野縁6,…,6を複数の野縁受け5,…,5に直交するように固定し、さらに、複数の野縁6,…,6の下端に複数の天井材(石膏ボード等)7,…,7を固定することによって構成されている。開口Oは、壁W内の2本の柱2,2の間に形成されている。開口Oの上端は、天井Cの化粧面である天井面Cs(クロス等の天井仕上げ材の下面)によって区画され、開口Oの下端は、床Fの化粧面である床面Fsによって区画されている。つまり、開口Oは、床面Fsから天井面Csに至るように形成されている。
【0026】
本実施形態1では、建具装置1は、壁Wの開口O内に設置される二方枠10と、ドア50とを備えている。ドア50は、二方枠10に上下の蝶番51,51によって揺動可能に取り付けられ、開閉操作用のレバー52が取り付けられている。本発明の特徴は、二方枠10を容易に施工するための施工用構造体A及び施工方法にある。以下、二方枠10、施工用構造体A、施工方法について順に詳述する。
【0027】
-二方枠の詳細構成-
建具枠10は、一対の縦枠11,11を備えた上枠及び下枠のない二方枠である。建具枠10は、開口Oを区画する壁Wの左右の端部に取り付けられている。なお、本実施形態1では、建具枠10は、開口Oを区画する壁W内の2本の柱2,2の内面(開口O側の面)にスペーサ4を介して取り付けられている。スペーサ4は、壁Wの厚さ以下の幅を有する厚さ10~20mmの長尺の木質板材によって構成されている。建具枠10は、スペーサ4を含む壁Wの左右の端部に取り付けられている。本実施形態1では、各縦枠11には、一対の見切り材12,12と、戸当たり13とが取り付けられている。
【0028】
図2及び
図3に示すように、一対の縦枠11,11は、同じ断面構造を有し、左右対称に配置されている。縦枠11は、例えば、木材、合板、中密度繊維板、パーティクルボード、集成材等の木質材料によって構成された上下方向に延びる長尺の木質板状部材であり、H字状の断面を有している。縦枠11は、前後の幅(見込み寸法)は、壁Wの厚さより短く、厚さ(見付け寸法)は18~30mm、上下の長さは、開口Oの上下長さと同じ長さ(床面Fsと天井面Cs間の距離)に形成されている。縦枠11は、開口O内に壁Wの端部の端面(本実施形態1では、スペーサ4の内面)に外面が当接するように配置され、接着剤及び釘、ピンネイル、ビス等の釘状部材41により、スペーサ4を介して柱2に固定されている。なお、縦枠11は、樹脂材や鋼材で構成されていてもよい。
【0029】
縦枠11の前後面には、左右方向(見付け方向)の中程において上下に延びる溝15が形成されている。溝15は、縦枠11の上端から下端に亘るように形成されている。溝15には、一対の見切り材12,12の端部が挿入される。
【0030】
また、縦枠11の内面(一対の縦枠11,11が互いに対向する面)には、前後方向(見込み方向)の中程において上下に延びる溝16が形成されている。溝16は、縦枠11の上端から下端に亘るように形成されている。溝16には、戸当たり13の支持脚部13bが挿入される。
【0031】
見切り材12は、例えば、木材、合板、中密度繊維板、パーティクルボード、集成材等の木質材料によって構成された上下方向に延びる長尺の木質板状部材であり、上下方向の長さは、縦枠11の長さと同じ長さに形成されている。見切り材12は、見込み方向に延びる縦板部12aと、縦板部12aの端部から見付け方向に延びる横板部12bとを有し、断面L字状に形成されている。見切り材12は、縦板部12aの端部が縦枠11の前面及び後面に形成された溝15に挿入され、横板部12bの端部が壁Wの端部に当接する位置に配置されて固定されている。見切り材12は、縦枠11と壁Wの端部との継ぎ目を覆い隠している。見切り材12は、木材で構成されていてもよく、樹脂材や鋼材で構成されていてもよい。
【0032】
戸当たり13は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂等の樹脂材料によって構成された上下方向に延びる長尺部材であり、上下方向の長さは、縦枠11の長さと同じ長さに形成されている。戸当たり13は、本体部分13aと、支持脚部13bとを有している。本体部分13aは、コ字状の断面を有している。支持脚部13bは、本体部分13aの2つの端部からそれぞれ外側へ突出する2つの支持脚からなる。2つの支持脚は、上下方向及び見付方向(左右方向)に延びる板状片部からなり、見込み方向(前後方向)に対向している。2つの支持脚の外端部には、縦枠11の溝16の内面と係合する係合突起が形成されている。戸当たり13は、支持脚部13bが縦枠11の内面に形成された溝16内に挿入された状態で、縦枠11に接着剤等で固定されている。
【0033】
なお、詳細については後述するが、本実施形態1では、戸当たり13は、通常の戸当たりとしての役割の他、後述する施工用構造体Aの連結部材14を固定するビス(釘状部材)31のビス穴(釘穴)を隠す役割も有している。
【0034】
-二方枠の施工用構造体-
本実施形態1では、
図4~
図6に示す施工用構造体Aを用いて二方枠10を施工することで、二方枠10の施工を容易にしている。
【0035】
施工用構造体Aは、二方枠10となる一対の縦枠11,11と、一対の縦枠11,11を平行な状態で縦勝ちに連結する連結部材14とを備えている。
【0036】
実施形態1では、連結部材14は、左右方向に延びる帯板状部材で構成されている。連結部材14は、左右の端部が、縦枠11の内面に形成された戸当たり13を設けるための溝16に嵌まるように、見込み方向(前後方向)の厚さが溝16の見込み方向の幅よりも僅かに薄くなるように形成されている。連結部材14の見付け方向(左右方向)の長さは、該連結部材14の左右の端部を一対の縦枠11,11の溝16,16内の溝底に当接するまで挿入して各縦枠11に固定したときに、一対の縦枠11,11が所望の設置間隔(一対の縦枠11,11を開口O内に設置可能な設計された間隔)で連結される長さに形成されている。
【0037】
実施形態1では、一対の縦枠11,11は、2つの連結部材14,14で連結されている。2つの連結部材14,14のうちの1つは、一対の縦枠11,11の上端部間に架け渡されるように設けられ、上端部を連結している。2つの連結部材14,14のうちの1他の1つは、一対の縦枠11,11の下端部間に架け渡されるように設けられ、下端部を連結している。
【0038】
また、実施形態1では、各連結部材14は、一対の縦枠11,11の一方の縦枠11の戸当たり13を設けるための溝16から他方の縦枠11の戸当たり13を設けるための溝16に亘るように延び、各縦枠11に取り外し可能に固定されている。各連結部材14の左右の端面を一対の縦枠11,11の溝16,16の溝底面に当接させた状態で、各連結部材14を各縦枠11に固定することにより、一対の縦枠11,11が上述の所望の設置間隔を空けて連結される。
【0039】
実施形態1では、連結部材14は、ビス(釘状部材)31で各縦枠11に取り外し可能に固定されている。
【0040】
具体的には、
図4及び
図6に示すように、連結部材14は、ビス31を、一対の縦枠11,11によって挟まれる空間S側から溝16の内面に向かって連結部材14の左右の端部を貫通するように打ち込むことにより、各縦枠11に固定されている。このように、ビス31を、一対の縦枠11,11の外側から連結部材14に向かって打ち込むのではなく、一対の縦枠11,11によって挟まれる空間S側から溝16の内面に向かって打ち込むことにより、施工用構造体Aを開口O内に配置して一対の縦枠11,11を柱2,2に固定した後に、ビス31を引き抜くことが可能となる。連結部材14は、ビス31を引き抜き、切断等することにより、一対の縦枠11,11から取り外すことができる。実施形態1では、連結部材14の左右端部を上述のようにビス31で一対の縦枠11,11に固定することにより、連結部材14を各縦枠11に取り外し可能に固定している。
【0041】
-二方枠の施工方法-
次に、二方枠10の施工方法について説明する。上述したように、実施形態1では、一対の縦枠11,11を連結部材14で連結した施工用構造体Aを用いて二方枠10を施工する。
【0042】
まず、施工用構造体Aを組み立てる(組み立て工程)。具体的には、
図4に示すように、一対の縦枠11,11の戸当たり13を設けるための溝16,16に連結部材14の左右端部を端面が溝底面に当接するまで挿入し、ビス31を、一対の縦枠11,11によって挟まれる空間S側から溝16の内面に向かって連結部材14の左右の端部を貫通するように打ち込むことにより、連結部材14を各縦枠11に取り外し可能に固定する。
【0043】
組み立て工程の後、
図7Aに示すように、組み立てられた施工用構造体Aを、開口O内の所定の施工位置に配置し、施工用構造体Aの一対の縦枠11,11を、開口Oの両側に設置された柱2,2に固定する。具体的には、各縦枠11と各柱2との間に、スペーサ4を差し込み、各縦枠11の内面側から柱2に向かってビス41を打ち込むことにより、各縦枠11を、スペーサ4を介して対応する柱2に固定する。
【0044】
固定工程の後、
図7Bに示すように、開口Oの両側に設置された柱2,2に固定された施工用構造体Aから連結部材14を取り外す(取り外し工程)。具体的には、連結部材14の左右端部に打ち込まれていたビス31,31を引き抜き、一対の縦枠11,11から取り外す。なお、実施形態1では、ビス31,31を引き抜いた後、連結部材14を切断して取り外す。
【0045】
取り外し工程の後、
図7Cに示すように、一対の縦枠11,11に戸当たり13を設ける(戸当たり施工工程)。具体的には、一対の縦枠11,11の溝16,16内に接着剤を塗布し、戸当たり13の幅狭部分13bを挿入して固定する。
【0046】
以上の工程により、二方枠10が開口O内に施工される。
【0047】
なお、見切り材12は、壁下地材3,…,3の施工後に、一対の縦枠11,11に取り付けられる。見切り材12は、縦板部12aの端部を縦枠11の前面及び後面に形成された溝15に挿入し、横板部12bの端部が壁Wの端部(壁下地材3の端部)に当接する位置に配置した後、ピンネイル等の釘状部材で縦枠11に固定される。
【0048】
-実施形態1の効果-
本実施形態1では、上枠のない見た目のよい二方枠10を施工するために、二方枠10となる一対の縦枠11,11に少なくとも上端部を縦勝ちに連結する連結部材14を取り外し可能に固定した施工用構造体Aを用いることとしている。このような施工用構造体Aによれば、室内の壁Wに形成された床面Fsから天井面Csに至る開口Oに、施工用構造体Aを嵌め込み、一対の縦枠11,11を固定した後、連結部材14を取り外すだけで、複雑な位置合わせを行うことなく、上枠のない見た目のよい二方枠10を容易に開口O内に施工することができる。
【0049】
また、本実施形態1では、一対の縦枠11,11の戸当たり13を設ける溝16に、連結部材14を取り外し可能に架け渡すこととしている。このような構成によれば、例えば、連結部材14の固定に、ビス(釘状部材)31を用いることとしても、連結部材14を取り外した後、ビス(釘状部材)31によって空いた穴は、戸当たり13によって隠されて見えなくなる。従って、本実施形態1によれば、意匠性を損なうことなく、上枠のない見た目のよい二方枠10を容易に開口O内に施工することができる。
【0050】
ところで、施工用構造体Aは、開口Oの両側に設置された柱2,2に固定されることにより、開口O内に固定される。そのため、施工用構造体Aにおいて、一対の縦枠11,11の外側から連結部材14の端部に向かってビス(釘状部材)31を打ち込むことによって連結部材14を各縦枠11に固定することとすると、施工用構造体Aを開口O内に施工した後にビス(釘状部材)31を引き抜けなくなる。
【0051】
そこで、本実施形態1では、連結部材14を各縦枠11に固定するビス(釘状部材)31を、一対の縦枠11,11によって挟まれる空間S側から連結部材14の端部が嵌まる戸当たり用の溝16の内面に向かって連結部材14を貫通するように打ち込むこととしている。このような方向にビス(釘状部材)31を打ち込むことにより、施工用構造体Aを開口O内に固定した後にビス(釘状部材)31を引き抜くことが可能になり、連結部材14を取り外すことが可能になる。
【0052】
また、本実施形態1では、一対の縦枠11,11の上端部と下端部とが2つの連結部材14,14によってそれぞれ連結されることにより、一対の縦枠11,11を平行な位置関係のまま、容易に見た目よく開口O内に施工することが可能になる。
【0053】
また、本実施形態1の施工方法では、二方枠10の施工に施工用構造体Aを用い、該施工用構造体Aを開口O内の所定の施工位置に配置して一対の縦枠11,11を開口Oの両側に設置された柱2,2に固定した後、施工用構造体Aから連結部材14を取り外すことにより、二方枠10となる一対の縦枠11,11のみが開口O内に施工されるようにしている。このような施工方法によれば、従来のように、複雑な位置合わせを行うことなく、上枠のない見た目のよい二方枠10を容易に開口O内に施工することができる。
【0054】
また、本実施形態1の施工方法では、連結部材14を取り外した後、連結部材14が架け渡されていた一対の縦枠11,11の溝16,16内に戸当たり13を設けることとしている。そのため、例えば、連結部材14の固定に、ビス(釘状部材)31を用いることとしても、連結部材14を取り外した後、ビス(釘状部材)31によって空いた穴は、戸当たり13によって隠されて見えなくなる。従って、本実施形態1の施工方法によれば、意匠性を損なうことなく、上枠のない見た目のよい二方枠10を容易に開口O内に施工することができる。
【0055】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、施工用構造体Aにおいて、一対の縦枠11,11を、2つの連結部材14,14で連結することとしていたが、連結部材14の個数はこれに限られない。連結部材14の個数は、一対の縦枠11,11の少なくとも上端部を連結部材14で連結できればよく、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態1では、連結部材14は、帯板状部材で構成されていたが、左右端部が一対の縦枠11,11の溝16,16内に挿入されて固定される細長くない矩形状の板状部材によって構成されていてもよい。
【0057】
また、上記実施形態1では、施工用構造体Aにおいて、ビス31(釘状部材)を用いて連結部材14を各縦枠11に取り外し可能に固定していたが、連結部材14を各縦枠11に取り外し可能に固定する手段はビス31に限られず、ビス31以外の釘状部材、例えば、釘やピンネイル等で固定してもよい。
【0058】
さらに、連結部材14を各縦枠11に取り外し可能に固定する手段は、釘状部材以外であってもよい。例えば、連結部材14の左右端部の下面にダボ溝を形成し、ダボを用いて連結部材14を各縦枠11に取り外し可能に固定してもよい。また、連結部材14の左右端部と一対の縦枠11の対応する部分とに係合部材を埋め込み、連結部材14の左右端部を一対の縦枠11,11の溝16,16の溝底面に当接するまで挿入した後、連結部材14側の係合部材内のねじを締め付けると、連結部材14側の係合部材と縦枠11側の係合部材が係合するノックダウン金具等を用いて連結部材14を各縦枠11に取り外し可能に固定してもよい。なお、ダボやノックダウン金具を用いる場合、ダボや係合部材は、縦枠11の溝16,16に埋め込むのが好ましい。連結部材14を取り外した後、戸当たり13を設けるだけで、ダボ穴や係合部材の埋め込み穴を戸当たり13で隠すことができるためである。
【0059】
また、上記実施形態1では、連結部材14は、一対の縦枠11,11の溝16の溝底面間に差し渡されるように設けられていたが、連結部材14は、一対の縦枠11,11の内面の溝16,16以外の部分間に差し渡されて各縦枠11に取り外し可能に固定されるものであってもよい。
【0060】
また、上記実施形態1では、各縦枠11の内面に、1つの戸当たり13に対し、支持脚部13bを構成する2つの支持脚が挿入される1つの溝16が形成されていたが、溝16は2つ形成されて2つの支持脚がそれぞれ別に挿入されるように構成されていてもよい。この場合、例えば、連結部材14は、左右端部が各縦枠11の内面の2つの溝16,16間に当接するように差し渡した状態で、ビス31(釘状部材)を、一対の縦枠11,11によって挟まれる空間S側から2つの溝16,16及び2つの溝16,16間に向かって連結部材14を貫通するように打ち込むことにより、各縦枠11に取り外し可能に固定すればよい。
【0061】
また、上記実施形態1では、戸当たり13が、本体部13aと支持脚部13bとを有するように構成されていたが、戸当たり13は、上述のように、戸当たりとしての役割とビス(釘状部材)31のビス穴(釘穴)を隠す役割とを果たすことができるものであれば、いかなる構成であってもよい。例えば、戸当たり13は、2つの支持脚を有さず、幅(見込み方向の長さ)が長い幅広部分と幅が短い幅狭部分とを有し、横断面が凸形状に形成された上下方向に延びる中空部材で構成され、幅狭部分が溝16内に挿入された状態で接着剤等で縦枠11に固定されるものであってもよい。
【0062】
また、縦枠11の形状は、実施形態1の形状に限られず、いかなる形状であってもよい。縦枠11は、溝15が形成されず、見切り材12,12が設けられないものであってもよい。
【0063】
また、戸当たり13及び溝16も実施形態1の形状に限られず、いかなる形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、室内の壁に形成された床面から天井面に至る開口に二方枠を施工するのに有用である。
【符号の説明】
【0065】
10 二方枠
11 縦枠
13 戸当たり
14 連結部材
16 溝
31 ビス(釘状部材)
A 施工用構造体
Cs 天井面
Fs 床面
O 開口
W 壁