(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114063
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】収容ユニット
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20240816BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B62B3/02 Z
A47F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019447
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】大野 渉
(72)【発明者】
【氏名】山本 広和
【テーマコード(参考)】
3B118
3D050
【Fターム(参考)】
3B118DA29
3D050BB05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3D050HH01
(57)【要約】
【課題】構成部品の出し入れが簡便な収容ユニットを提供する。
【解決手段】前方が開放され部品を出し入れ可能な部品収容部3Aが設けられた台車3と、床面から立設する支持体21の前面に前方が開放され部品を出し入れ可能な部品収容部22と台車3を収容可能な空間部25とが左右方向に並んで設けられた固定什器2と、備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開放され部品を出し入れ可能な部品収容部が設けられた台車と、
床面から立設する支持体の前面に前方が開放され部品を出し入れ可能な部品収容部と前記台車を収容可能な空間部とが左右方向に並んで設けられた固定什器と、備えていることを特徴とする収容ユニット。
【請求項2】
前記台車の背部には、左右方向に延びる杆状部材を有しており、前記杆状部材に部品を支持する支持部材が係止されていることを特徴とする請求項1に記載の収容ユニット。
【請求項3】
前記支持部材は、前記杆状部材に係止される係止部と、前記係止部から前方に延びる支持部と、を有していることを特徴とする請求項2に記載の収容ユニット。
【請求項4】
前記杆状部材は左右方向に複数の凹部を有し、前記支持部材の前記係止部には前記凹部に挿入可能な凸部を有することを特徴とする請求項3に記載の収容ユニット。
【請求項5】
前記空間部は、前方に延びる左右一対のガイドと、背面ガイドと、により区画されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の収容ユニット。
【請求項6】
前記台車は、部品を載置可能な基台部と、前記基台部よりも前方に張り出して立設する側部フレームと、を有することを特徴とする請求項1に記載の収容ユニット。
【請求項7】
前記固定什器の部品収容部は、棚板を有し、前記空間部側に開放されていることを特徴とする請求項1に記載の収容ユニット。
【請求項8】
前記台車は、部品を載置可能な基台部と、前記基台部よりも後方に張り出して立設する側部フレームと、を有し、該側部フレームは、前記台車の背部に設けられる左右方向に延びる杆状部材よりも背面側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の収容ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列什器用の構成部品を収容する収容ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の売り場には、商品を陳列するための棚部を複数備える商品陳列什器が配置されている。
【0003】
特許文献1の商品陳列什器は、左右に離間した支柱と、各支柱間を連結する架設部材と、各支柱に取付けられた左右一対のブラケットと、取付けられた左右一対のブラケットに支持される棚板と、を備えている。商品陳列什器を構成するこれらの部品は、分解および組立が可能となっている。このような商品陳列什器は売り場のレイアウト変更や季節に合わせた商品の入れ替えなどにより商品陳列什器のサイズや棚板の配置などの組み替えが頻繁に行われる。
【0004】
商品陳列什器の組み替えは、バックヤードの保管棚に保管されている商品陳列什器を構成する様々な構成部品を売り場に運搬し、売り場で分解・組立が行われるとともに、使用されなくなった構成部品をバックヤードに運搬・保管する。バックヤードと売り場との間における構成部品の運搬には、車輪を有する台車が一般的に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-196024号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、台車と保管棚とが別体であり、互いに離れて配置された状態で台車と保管棚との間での構成部品の出し入れを行うため、かかる作業が煩雑であった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、構成部品の出し入れが簡便な収容ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の収容ユニットは、
前方が開放され部品を出し入れ可能な部品収容部が設けられた台車と、
床面から立設する支持体の前面に前方が開放され部品を出し入れ可能な部品収容部と前記台車を収容可能な空間部とが左右方向に並んで設けられた固定什器と、備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、台車を固定什器の空間部に収容することで、台車の部品収容部と固定什器の部品収容部が左右に並ぶため、左右に隣り合う部品収容部間での構成部品の出し入れをしやすい。
【0009】
前記台車の背部には、左右方向に延びる杆状部材を有しており、前記杆状部材に部品を支持する支持部材が係止されていることを特徴としている。
この特徴によれば、杆状部材と支持部材とを利用して構成部品を支持することができる。
【0010】
前記支持部材は、前記杆状部材に係止される係止部と、前記係止部から前方に延びる支持部と、を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、台車の移動時に支持部材が障害物に接触することを回避できる。
【0011】
前記杆状部材は左右方向に複数の凹部を有し、前記支持部材の前記係止部には前記凹部に挿入可能な凸部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、支持部材の凸部を杆状部材の凹部に挿入することで、杆状部材に対する支持部材の左右方向の位置決めを簡便に行うことができるとともに、移動時の振動によって支持部材の係止部が杆状部材から外れにくい。
【0012】
前記空間部は、前方に延びる左右一対のガイドと、背面ガイドと、により区画されていることを特徴としている。
この特徴によれば、空間部に対して前方から台車を出し入れすることができるとともに、一対のガイドと背面ガイドとにより空間部に対して台車の左右位置および後位置を位置決めできる。
【0013】
前記台車は、部品を載置可能な基台部と、前記基台部よりも前方に張り出して立設する側部フレームと、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、側部フレームを持って空間部に台車を出し入れしやすく、空間部に台車を出し入れする際に手を挟まない。
【0014】
前記固定什器の部品収容部は、棚板を有し、前記空間部側に開放されていることを特徴としている。
この特徴によれば、空間部に台車を出し入れする際に手を挟まない。
【0015】
前記台車は、部品を載置可能な基台部と、前記基台部よりも後方に張り出して立設する側部フレームと、を有し、該側部フレームは、前記台車の背部に設けられる左右方向に延びる杆状部材よりも背面側に配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、側部フレームがバンパーとして機能するので、台車の移動時に杆状部材が障害物に接触することを回避できる。
【0016】
また、台車は、陳列什器を構成する少なくとも棚板、ブラケット、プライスレール等の構成要素を運搬可能な台車であって、
種々の前記構成要素に対応する支持部材を具備していることを特徴としている。
この特徴によれば、様々な構成要素を積載して一度に運搬できるので、バックヤードと売り場との間の運搬作業が簡便である。
【0017】
前記台車は、車輪を有する基台部と、前記基台部の左右両側から上方に延びる側部フレームと、前記側部フレームの背部同士を連結する杆状部材と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、基台部と一対の側部フレームと杆状部材とで囲まれた空間に、前方から簡便に構成要素を出し入れすることができるとともに、収容した種々の構成要素を前方から視認できる。
【0018】
前記一対の側部フレーム間に前記構成要素を収容可能な収容空間が構成され、
前記収容空間内において前記一対の側部フレームに近接して、前記基台部よりも長尺の構成要素を立てかけて載置可能な長尺物収容部をそれぞれ有し、
前記長尺物収容部間に前記支持部材を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、長尺物収容部に長尺の構成要素を立てかけて収容できるので基台部からはみ出すことなく収容させることができるとともに、一対の長尺物収容部の間に短尺の構成部品を収容できるので、収容物を管理しやすい。
【0019】
前記支持部材は、前記杆状部材に係止される係止部と、前記係止部から前方に延びる支持部と、前記杆状部材に対する左右の位置決めを行う位置決め手段と、を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、杆状部材と支持部材とを利用して構成部品を支持することができる。また、位置決め手段により、台車の移動時に支持部材が杆状部材に対して左右に動くことを規制できるので、安定して運搬できる。
【0020】
前記杆状部材は、左右方向に複数の凹部を有し、前記位置決め手段は、前記支持部材の前記係止部に設けられ前記凹部に挿入可能な凸部であることを特徴としている。
この特徴によれば、支持部材の凸部を杆状部材の凹部に挿入することで、杆状部材に対する支持部材の左右方向の位置決めを簡便に行うことができるとともに、移動時の振動によって支持部材の係止部が杆状部材から外れにくい。
【0021】
また、ブラケット支持部材は、横杆部材に対して陳列什器を構成するブラケットを吊下げて支持する支持部材であって、
前記支持部材は、前記横杆部材に係止される係止部と、前記係止部から延びる支持部と、を有し、
前記支持部は、断面C字状の中空形状をなし、先端部には中空部に連通する開口が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、支持部の先端部から開口および延設方向に延びるスリットを通じて、中空部内にブラケットのフックを挿入することで、揺動を規制した状態で複数のブラケットを前後方向に重ねた状態で安定して支持することができる。
【0022】
前記支持部は、前記係止部から上方に傾斜して延びていることを特徴としている。
この特徴によれば、支持部に支持されたブラケットが先端部の開口から落下することが防止されるとともに、吊下されたブラケットは後方にガイドされるため複数のブラケットを前後方向に重ねた状態で安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例における収容ユニットを示す斜視図である。
【
図2】(a)は収容ユニットの正面図、(b)は同じく左面図である。
【
図4】(a)は台車の上面図、(b)は台車の正面図、(c)は台車の右面図である。
【
図5】杆状部材の取付け態様について説明する図である。
【
図9】(a)は保持具を示す斜視図、(b)は側部フレームに保持具が取付けられた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図4(b)よりも多くの棚板を台車に収容した状態を示す概略図である。
【
図11】保持具を杆状部材に取付けた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る収容ユニットを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0025】
実施例に係る収容ユニットにつき、
図1から
図11を参照して説明する。以下、
図2(a)の紙面手前側を収容ユニットの正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右前後方向を基準として説明する。
【0026】
図1に示されるように、収容ユニット1は、主にスーパーマーケット、コンビニエンスストア等のバックヤードに配置され、売り場に配置される商品陳列什器を構成する種々の構成部品を保管している。
【0027】
この収容ユニット1は、固定什器2と台車3とから主に構成されている。
【0028】
図1および
図2(a)に示されるように、固定什器2は、支持体21と、支持体21の前面に設けられる部品収容部22,23,24および空間部25と、を主に備えている。
【0029】
支持体21は、左右方向に離間して配置された3本の支柱211,211,211と、隣り合う支柱211同士の上下端同士を連結する4本の連結部材212,212,…と、支柱211,211,211の下端に固定され前方に延びる脚部材213,213,213と、から構成されており、床面に自立している。尚、支柱211,211および連結部材212,212で囲まれた左右の枠部分には背板214,214が固定されている。尚、背板214の構成は省略してもよい。
【0030】
部品収容部22は、支持体21の右側下方に設けられ、部品収容部23は、支持体21の上側に左右方向に亘って設けられ、部品収容部24は、部品収容部23の左側下方に設けられ、空間部25は、部品収容部22の左側かつ部品収容部24の下方、すなわち支持体21の左側下方に設けられている。
【0031】
特に、
図2(a)に示されるように、部品収容部22は、3本の杆状部材221,221,221と、3つの棚部材222,222,222と、から構成されている。これら杆状部材221,221,221は右側の支柱211と中央の支柱211との前面に取付けられたブラケットに架け渡されて設置されている。また、最下段の棚部材222は右側の脚部材213および中央の脚部材213に載置されて固定されており、上2つの棚部材222,222は、右側の支柱211と中央の支柱211との前面に取付けられたブラケットに架け渡されて設置されている。尚、杆状部材221は、後述する台車3の杆状部材322と同一構成であるため、詳しい構成は後段にて説明する。
【0032】
各杆状部材221の左端および各棚部材222の左端は、中央の支柱211の左右幅方向の中間位置に配置されている。尚、各杆状部材221の左端および各棚部材222の左端は、中央の支柱211の左右幅方向の中間位置よりも右側に配置されていてもよい。
【0033】
部品収容部22と空間部25との間には、中央の支柱211の下端に設けられる脚部材213以外配設されていない。すなわち、部品収容部22は、空間部25側に開放されている。
【0034】
各杆状部材221には、後述の吊支部材4,5を着脱可能に取付けることができるようになっており、種々の構成部品(例えばブラケット7やレール類10等)を吊支して収容可能となっている。また、各棚部材222には、種々の構成部品(例えば棚板8や長尺レール9等)を載置して収容可能となっている。尚、杆状部材221と吊支部材4,5との取付態様については後に詳述する。
【0035】
部品収容部23は、上下2段の棚部材232,232により構成されている。各棚部材232は、右側の支柱211と左側の支柱211との前面に取付けられたブラケットに架け渡されて設置されている。棚部材232,232の間には、カゴ6が複数配置されており、構成部品やその他備品を収容できるようになっている。
【0036】
部品収容部24は、棚部材241により構成されている。棚部材241は、左側の支柱211と中央の支柱211との前面に取付けられたブラケットに架け渡されて設置されている。棚部材241には、種々の構成部品を吊支して収容可能となっている。
【0037】
尚、部品収容部22の棚部材232、部品収容部23の棚部材232,232、部品収容部24の棚部材241は、同一構成である。
【0038】
空間部25は、棚部材や杆状部材が設けられていない場所であり、左右一対のガイドとしての左側の脚部材213および中央の脚部材213と、左側の脚部材213および中央の脚部材213の下端を連結する背面ガイドとしての連結部材212と、左側の支柱211と、中央の支柱211とにより区画されている。すなわち、この空間部25には、台車3が前方から収容可能となっている。尚、空間部25は、左側の脚部材213および中央の脚部材213の上部は左右に開放されている。本実施例では、背面側は背板214で仕切られている。
【0039】
次いで台車3について
図3および
図4に基づいて説明する。尚、
図4では、説明の便宜上、後述の杆状部材322に構成部品としてのブラケット7と棚板8とが1個ずつ収容されている形態を説明する。
【0040】
図3および
図4(a)~(c)に示されるように、台車3は、売り場内において商品陳列什器の組み替えをする際に、商品陳列什器を構成する様々な構成部品をバックヤードと売り場との間で運搬するために用いられる。
【0041】
台車3は、複数のキャスタ311,311,…が取付けられた台板312に物品が載置される基台部としての載置台31と、載置台31から立設する枠体32と、を主に備えている。
【0042】
載置台31は、物品を載置可能な載置面312aを備える略長方形の板状に形成された台板312と、台板312の底部に取付けられる複数のキャスタ311,311,…と、から構成されている。台板312は、その左右端部に略垂直上下方向に延びる前後一対の筒体313,313が一体的に固定されている。
【0043】
筒体313,313は、その一部が左側の脚部材213の上面および中央の脚部材213の上面よりも低い位置に配置されている。これにより、空間部25に台車3を出し入れする際に台車3が固定什器2に接触することがある。この場合には、右側の筒体313,313は中央の脚部材213に接触し、部品収容部22の棚部材222に接触しないため、載置台31と部品収容部22の各棚部材222とが直接接触しない。そのため、載置台31上の構成部品の破損および各棚部材222上の構成部品の破損を防止できる。
【0044】
枠体32は、台板312の左右から立設する一対の側部フレーム321,321と、一対の側部フレーム321,321の背部同士を連結する金属製の杆状部材322,322,322と、を備えている。
【0045】
すなわち、枠体32は、載置台31の上方空間の左右側部および背部を区画している。言い換えれば、載置台31上には、前方に開放された部品収容部3Aが形成されている。
【0046】
側部フレーム321は、前後一対の金属製の支柱321a,321a’と、支柱321a,321a’間を連結する上下複数(本実施例では5本)の金属製の連結杆321b,321b,…と、から構成されており、連結杆321b,321b,…によって側部フレーム321の構造強度が高められている。
【0047】
特に
図4(c)に示されるように、支柱321a,321a’は、クランク状に曲げ加工されている。詳しくは、支柱321aは、略垂直方向に延びる上部321cと、上部321cの下端から後方側に傾斜して下方に延びる中間部321dと、中間部321dの下端から下方に略垂直に延びる下部321eと、を備える。
【0048】
支柱321a’は、略垂直方向に延びる上部321c’と、上部321c’の下端から前方側に傾斜して下方に延びる中間部321d’と、中間部321d’の下端から下方に略垂直に延びる下部321e’と、を備える。
【0049】
支柱321a,321a’は、下部321e,321e’が互いに近づくように配置された状態で連結杆321b,321b,…によって連結されている。支柱321a,321a’は、下部321e,321e’が筒体313,313に挿嵌されることで載置台31に着脱可能に取付けられている。
【0050】
側部フレーム321は、載置台31に取付けられた状態において、支柱321aの上部321cは、載置台31の前端よりも前方側に配置されている。また、支柱321a’の上部321c’は、載置台31の後端よりも後方側に配置されている(特に
図4(c)参照)。
【0051】
本実施例の右側の側部フレーム321には、長尺レール9を保持する後述する保持具11が着脱可能に取付けられている。
【0052】
杆状部材322は、中空矩形状の金属製筒状部材である。この杆状部材322は、左右の側部フレーム321の連結杆321b,321bに対して取付けられている。詳しくは、
図5に示されるように、杆状部材322は、前後に延びる左右一対の取付片330の後端部同士を連結している。取付片330は断面視下向きコ字状をなしており、連結杆321bに対して上方から係止可能となっている。このように、杆状部材322は、連結杆321b,321bに対して簡便に着脱可能となっている。すなわち、杆状部材322は、支柱321a’の上部321c’よりも前方側に配置されている(特に
図3および
図4(a)参照)。
【0053】
杆状部材322の上面322aには、左右方向に凹部としての凹穴323が複数等配されている。この杆状部材322には、支持部材としての吊支部材4,5が着脱可能になっている。
【0054】
次に、吊支部材4の構造を
図6および
図7に基づいて説明する。
【0055】
図6に示されるように、吊支部材4は、構成部材の1つであるブラケット7を吊支可能なものである。ブラケット7は、商品陳列什器の棚板を支持する部位である板状の基部71と、基部71の一端に設けられ商品陳列什器の支柱に係止されるフック部72と、を備える。フック部72は基部71から遠ざかる方向に延びる第1部位72aと、第1部位72aの先端から折れ曲がる第2部位72bと、を有している。
【0056】
図6及び
図7に示されるように、吊支部材4は、後端部に設けられる下向きコ字状の係止部41と、係止部41から前方に延びる支持部としての筒状部42と、を備える。係止部41は、杆状部材322に対して上方から嵌合可能となっている。このように、吊支部材4は、下向きコ字状の係止部41が断面矩形状の杆状部材322に対して嵌合して取付けられるため、取付状態が安定する。
【0057】
また、係止部41の左右方向中央部には、下方に突出する凸部43が設けられており、杆状部材322の凹穴323に挿入可能になっている。任意の凹穴323に凸部43を挿入することで杆状部材322に対する吊支部材4の左右位置を変更できるようになっている。
【0058】
筒状部42は、断面視下向き略C字状を成している。具体的には、筒状部42は、正面視で略垂直をなす左辺部42aと、左辺部42aの上端から略水平に右側に延びる上辺部42bと、上辺部42bの右端から下方に延びる右辺部42cと、左辺部42aの下端から略水平に右側に延びる下辺部42dと、を備えており、右辺部42cの下端と下辺部42dの右端は左右方向に離間している。すなわち、下辺部42dには、前後方向に亘ってスリット42eが形成されている。
【0059】
ブラケット7の第1部位72aはスリット42eを前方から挿入可能となっており、ブラケット7の第2部位72bは筒状部42の前方開口から筒状部42内に挿入可能となっている。第2部位72bが下辺部42dに係止されることで吊支部材4にブラケット7が吊支される。
【0060】
ブラケット7は、吊支部材4に吊支された状態において、右辺部42cと下辺部42dとにより揺動が規制される。
【0061】
また、筒状部42は、係止部41から前方に向けて斜め上方に延びているため、筒状部42の前方開口からブラケット7が落下することが規制される。
【0062】
次いで、吊支部材5の構造を
図8に基づいて説明する。
【0063】
吊支部材5は、構成部材の1つであるレール類10等を吊支可能なものである。
図8に示されるように、吊支部材5は、後端部に設けられる下向きコ字状の係止部51と、係止部51から前方に延びる支持部としての棒状部52と、を備える。
【0064】
係止部51は、杆状部材322に対して上方から嵌合可能となっている。また、係止部51の左右方向中央部には、下方に突出する凸部53が設けられており、杆状部材322の凹穴323に挿入可能になっている。任意の凹穴323に凸部53を挿入することで杆状部材322に対する吊支部材5の左右位置を変更できるようになっている。
【0065】
棒状部52には、レール類10を吊支することができるようになっている。棒状部52は、係止部51前方に向けて斜め上方に延びているため、棒状部52の前方側からレール類10が落下することが規制される。
【0066】
次いで、保持具11の構造を
図9に基づいて説明する。
【0067】
保持具11は、構成部材の1つである平板状の長尺レール9等を保持可能なものである(
図3参照)。この長尺レール9は、載置台31の左右幅よりも長い。
【0068】
図9(a)に示されるように、保持具11は、上枠部111と、下枠部112と、縦桟部113,113と、鉤状部114,114と、から構成されている。
【0069】
上枠部111および下枠部112は、同一構成をなしており、金属製の線材により梯子状に構成されており、上下方向に開口する開口111a,112aが前後方向に並んでいる。
【0070】
縦桟部113,113は、金属製の線材により構成され、上枠部111および下枠部112の右側前端および右側後端を上下に連結している。
【0071】
鉤状部114,114は、金属製の線材により構成され、上枠部111および下枠部112の右側前端および右側後端から右側に延びており、下向き略L字状をなしている。
【0072】
図9(b)に示されるように、保持具11は、鉤状部114,114を側部フレーム321の連結杆321bに上方から係止させることで、側部フレーム321に簡便に取付けることができるようになっている。この保持具11には、上下に対応する開口111a,112aに上方から長尺レール9を挿入し、載置台31の載置面312a上に長尺レール9を載置することで、長尺レール9が傾動されることが規制される。すなわち、保持具11は、長尺レール9を立てた状態で保持することができるようになっている。
【0073】
次いで、台車3への棚板8の収容態様について
図4に基づいて説明する。
【0074】
図4(a)~(c)に示されるように、台車3の部品収容部3Aには、載置台31の左右幅よりも長い棚板8が左側の側部フレーム321に立てかけて収容されている。詳しくは、棚板8は、左側の側部フレーム321と、吊支部材4と、により左右方向に狭持されている。これにより、棚板8は、載置台31の載置面312a上に立てた状態で保持される。
【0075】
また、吊支部材4は、杆状部材322に対する左右位置を変更できるようになっていることから、
図10に示されるように、棚板8の収容枚数が増えたときには、吊支部材4の位置を右側に変更することで、複数の棚板8を立てた状態で保持することができるようになっている。尚、
図10の態様のように、上下複数の杆状部材322に吊支部材4を取付けることで、確実に複数の棚板8を保持できる。
【0076】
次いで、台車3が固定什器2の空間部25に収容された状態について
図1および
図2に基づいて説明する。
【0077】
図1および
図2に示されるように、台車3が固定什器2の空間部25に収容された状態にあっては、台車3の部品収容部3Aと固定什器2との部品収容部22が左右に並ぶため、各部品収容部3A,22間での構成部品の出し入れを近い位置で行うことができるとともに、出し入れ作業中に各部品収容部3A,22から視線を外すことなく必要な構成部品の数量を把握しながら作業を行うことができるため、出し入れ作業を行いやすい。
【0078】
また、台車3が固定什器2の空間部25に収容された状態にあっては、1つの収容ユニット1として利用できるため、売り場にて商品陳列什器の組立作業完了後に余った構成部品を台車3から固定什器2に戻す必要がなく、かつ固定什器2とは別に台車3を収容するスペースが必要ない。そのため、バックヤードにて台車3および構成部品を簡便に整頓して保管できる。
【0079】
また、空間部25と部品収容部22との間には、左右に仕切る壁が存在しないので、台車3を空間部25に出し入れする際に、該壁と台車3との間で手を挟みにくい。
【0080】
また、部品収容部22の棚部材222の左端は、中央の脚部材213よりも右側に配置されているため、空間部25に台車3を出し入れする際に中央の脚部材213に台車3が接触しても棚部材222との間に隙間が形成される。そのため、空間部25に台車3を出し入れする際に、台車3が棚部材222に接触して互いに破損することがなく、かつ棚部材222と台車3との間で手を挟むことがない。
【0081】
また、台車3が空間部25に収容された状態にあっては、台車3の前側の支柱321a,321aは、部品収容部22の棚部材222よりも前方側に配置される。そのため、台車3を空間部25から取出す際には、支柱321a,321aを持って台車3を動かしやすく、台車3を空間部25に出し入れする際に、支柱321aと部品収容部22の各種部品との間で手を挟まない。
【0082】
さらに、空間部25は左側にも開放しているので、支柱321aと空間部25の左側に配置される物との間で手を挟まない。
【0083】
また、台車3の側部フレーム321は、支柱321a,321a’および連結杆321bで囲まれた部分が左右に開放されており、各部品収容部3A,22間で視線が遮られないので、必要な構成部品の数量を把握しながら出し入れ作業を簡便に行うことができる。
【0084】
また、空間部25は、左側の脚部材213および中央の脚部材213と、左側の脚部材213および中央の脚部材213の下端を連結する連結部材212と、左側の支柱211と、中央の支柱211とにより区画され、前方が開放されているため、空間部25には、台車3が前方から簡便に出し入れ可能となっている。
【0085】
また、左側の脚部材213および中央の脚部材213により空間部25に対する台車3の左右の位置決めがされるとともに、背面側の連結部材212に台車3の載置台31を当接させることにより空間部25に対する台車3の前後の位置決めがされる。これによれば、台車3が部品収容部22に近づきすぎることや、支柱321a,321aが部品収容部22の棚部材222よりも後方側に配置されることが規制される。また、支柱321a’,321a’が背板214に当接することがないため、背板214の破損を防止できる。
【0086】
また、台車3の背部を進行方向側に向けて移動する時には、杆状部材322よりも先に台車3の後側の支柱321a’,321a’が障害物に当接するようになっており、杆状部材322は障害物に直接当接することがない。すなわち、支柱321a’,321a’がバンパーとして機能するので、杆状部材322や構成部品が破損することを防止できる。
【0087】
また、台車3の背部に杆状部材322が配置されており、この杆状部材322に吊支部材4,5が係止されている。このように、杆状部材322と吊支部材4,5とを利用した簡素な構造により構成部品を支持することができる。
【0088】
また、吊支部材4,5は、杆状部材322から前方側に延びた筒状部42および棒状部52に構成部品が支持されるので、台車3の移動時に吊支部材4,5が周辺の障害物に接触することが防止される。さらに、台車3の部品収容部3Aは、杆状部材322と、側部フレーム321,321と、により左右および後方が囲まれているので、より吊支部材4,5が周辺の障害物に接触することが防止される。
【0089】
また、吊支部材4,5は、杆状部材322に対する左右位置を適宜変更できるようになっているため、構成部品の配置を自由に変更できる。
【0090】
さらに、台車3の杆状部材322と、固定什器2の杆状部材221と、は、同一構成であるため、吊支部材4,5を兼用できるようになっている。例えば、杆状部材322および杆状部材221の間で構成部品ごと吊支部材4,5を出し入れすることができ、利便性が高まる。
【0091】
また、吊支部材4,5は、係止部41,51を杆状部材322に対して上方から嵌合させることで簡便に着脱可能となっており、杆状部材322に対する前後方向の位置決めがされる。また、杆状部材322の凹穴323に凸部43,53を挿入することにより、杆状部材322に対する左右方向の位置決めがされる。これによれば、台車3の移動時に生じる振動により杆状部材322から吊支部材4,5が外れることが防止される。
【0092】
また、載置台31よりも長尺の棚板8および長尺レール9を左右の側部フレーム321,321に寄せて収容し、その間、すなわち部品収容部3Aの中央にブラケット7やレール類10を収容している。これによれば、比較的重量のある長尺の構成部材が左右に配置されるため重量バランスがよく、中央の広いスペースにその他の構成部品が収容されるため出し入れがしやすい。
【0093】
尚、本実施例では、保持具11が側部フレーム321に取付けられる形態を例示したが、例えば、
図11に示されるように、杆状部材322に保持具11が取付けられていてもよい。
【0094】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0095】
例えば、前記実施例では、固定什器2に対して1台の台車3が収容される形態を例示したが、これに限られず、例えば、固定什器に2つ以上の空間部を設け、2台以上の台車が収容されていてもよい。
【0096】
また、前記実施例では、固定什器2は、部品収容部22,23,24と空間部25とが設けられる形態を例示したが、部品収容部は空間部の左右いずれか一方に配置されていればよく、例えば、部品収容部23,24の構成を省略してもよい。
【0097】
また、前記実施例では、固定什器2の空間部25に対して台車3が前方から収容される形態を例示したが、例えば、空間部25の左方、すなわち部品収容部22とは反対側から収容されるようになっていてもよい。
【0098】
また、前記実施例では、部品収容部22が杆状部材221および棚部材222から構成される形態を例示したが、杆状部材221のみ、または棚部材222のみで構成されていてもよいし、杆状部材221および棚部材222以外の部材で構成されていてもよい。すなわち、空間部の側方に配置される固定什器の部品収容部は自由に変更できる。
【0099】
また、前記実施例では、台車3の背部に杆状部材322が配置される形態を例示したが、背板などであってもよい。また、台車3の左右に側部フレーム321が配置される形態を例示したが、側板で構成されていてもよい。すなわち、台車3の部品収容部3Aの側方や背面側が閉塞されていてもよい。
【0100】
また、前記実施例では、杆状部材322の上方に開口して凹穴323が形成され、吊支部材4,5の凸部43,53が上方から凹穴323に挿通される形態を例示したが、例えば、杆状部材の前面に凹部が設けられ、支持部材の凸部が凹部に対して前面側から挿通されるようになっていてもよい。
【0101】
また、前記実施例では、杆状部材322に吊支部材4,5を取付ける形態を例示したが、側部フレーム321の連結杆321bに吊支部材4,5が取付けられるようになっていてもよい。
【0102】
また、前記実施例では、吊支部材4により棚板8を載置台31上に立てた状態で保持する形態を例示したが、これに限られず、吊支部材5により棚板8を保持してもよいし、吊支部材4,5以外の別の部材により保持してもよい。