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特開2024-114067情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114067
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240816BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20240816BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q20/38 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019454
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 匡彦
【テーマコード(参考)】
5L020
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA75
5L040BB52
5L040BB53
5L055AA75
5L055BB52
5L055BB53
(57)【要約】
【課題】債権者の債権の譲受人に第三者対抗要件を備えさせるシステムを提供する。
【解決手段】債権の債権者から譲受人に前記債権が譲渡される合意について、前記債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させる表示処理部と、前記債務者による前記承諾依頼画面に対する操作入力による前記合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得する承諾情報取得部と、前記承諾情報取得部で前記承諾情報が取得された場合、データベースに前記合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させる記憶実行部と、を備え、前記表示処理部は、前記合意情報が前記データベースに記憶された場合、前記債権者、前記譲受人および前記債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、前記合意情報を確認可能な譲渡確認画面を表示部に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
債権の債権者から譲受人に前記債権が譲渡される合意について、前記債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させる表示処理部と、
前記債務者による前記承諾依頼画面に対する操作入力による前記合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得する承諾情報取得部と、
前記承諾情報取得部で前記承諾情報が取得された場合、データベースに前記合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させる記憶実行部と、
を備え、
前記表示処理部は、前記合意情報が前記データベースに記憶された場合、前記債権者、前記譲受人および前記債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、前記合意情報を確認可能な譲渡確認画面を表示部に表示させる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記記憶実行部は、前記合意情報に含まれる情報のうちの少なくとも一部の情報である合意関連情報を示すセキュリティトークンをブロックチェーンに記憶させ、
前記情報処理システムは、前記データベースに記憶される前記合意情報に含まれる所定の情報が前記ブロックチェーンに記憶される前記合意関連情報に含まれる所定の情報と一致するかについて照合する照合部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記債務者および前記譲受人のうちの少なくともいずれかから、前記債権を前記債権者から前記譲受人に譲渡させることを示す、前記合意情報を含む譲渡要求を取得する譲渡要求取得部をさらに備え、
前記表示処理部は、前記譲渡要求取得部で前記譲渡要求が取得された場合、前記債務者への承諾に関するお知らせを含むお知らせ画面を前記債務者の表示部に表示させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記表示処理部は、前記お知らせ画面の前記債務者への承諾に関するお知らせを示すオブジェクトに対する前記債務者の操作入力を受け付けた場合、前記承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させる、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記記憶実行部は、前記債権を譲渡可能な要件である譲渡要件を充たす取得者に関する情報である取得者情報をデータベースまたはブロックチェーンの少なくともいずれかに記憶させ、
前記情報処理システムは、
前記譲受人に前記債権を譲渡するための譲渡要求を前記債権者および前記譲受人のうちの少なくともいずれかから取得する譲渡要求取得部と、
前記譲渡要求に基づいて、前記譲受人に関する情報が、前記データベースまたは前記ブロックチェーンの少なくともいずれかに記憶されている複数の前記取得者情報のうちのいずれかと合致するか否かを判定する要件判定部と、
をさらに備え、
前記表示処理部は、前記要件判定部において前記譲受人に関する情報が前記複数の取得者情報のいずれかと合致すると判定された場合、前記承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記記憶実行部は、前記取得者が前記債権を譲渡可能な期間制限に関する情報である期間制限情報を、前記取得者情報に関連づけて前記データベースまたは前記ブロックチェーンの少なくともいずれかに記憶させ、
前記要件判定部は、前記期間制限情報に基づいて、前記債権が譲渡される合意がなされたタイミングが前記債権者に対応する前記期間制限に該当するか否かを判定し、
前記表示処理部は、前記要件判定部において前記債権が譲渡される合意がなされたタイミングが前記期間制限に該当しないと判定された場合、前記承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させる、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
債権の債権者から譲受人に前記債権が譲渡される合意について、前記債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させることと、
前記債務者による前記承諾依頼画面に対する操作入力による前記合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得することと、
前記承諾情報が取得された場合、データベースに前記合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させることと、
前記合意情報が前記データベースに記憶された場合、前記債権者、前記譲受人および前記債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、前記合意情報を確認可能な譲渡確認画面を表示部に表示させることと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
債権の債権者から譲受人に前記債権が譲渡される合意について、前記債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させることと、
前記債務者による前記承諾依頼画面に対する操作入力による前記合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得することと、
前記承諾情報が取得された場合、データベースに前記合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させることと、
前記合意情報が前記データベースに記憶された場合、前記債権者、前記譲受人および前記債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、前記合意情報を確認可能な譲渡確認画面を表示部に表示させることと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーン上で、金融商品に基づくトークンを発行および移転するシステムが開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-12460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のシステムは、ブロックチェーンを用いて金融商品に基づくトークンを取引可能とするシステムである。当該システムは、多くの金融商品をセキュリティトークンとして取扱い可能なプラットフォームを提供する。この場合、取引の法的安定性の観点から、債権が譲受人に譲渡されたときに譲受人に第三者対抗要件を備えさせる必要がある。さらに、取引の効率化、取引コストの削減、決済期間の短縮化、オペレーショナルリスクの抑制等の観点から、オフラインでの作業を排除して、情報処理システムにおける電子的な処理のみで、譲受人に第三者対抗要件を備えさせる手続きを完了させることが求められている。
【0005】
しかし、特許文献1記載のシステムでは、債権を譲渡したときに譲受人に第三者対抗要件を備えさせるための仕組みを備えていない。そのため、債権を譲渡するときに譲受人に第三者対抗要件を備えさせる新たな仕組みを情報処理システムで実現することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、債権者の債権の譲受人に第三者対抗要件を備えさせるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、債権の債権者から譲受人に前記債権が譲渡される合意について、前記債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させる表示処理部と、前記債務者による前記承諾依頼画面に対する操作入力による前記合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得する承諾情報取得部と、前記承諾情報取得部で前記承諾情報が取得された場合、データベースに前記合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させる記憶実行部と、を備え、前記表示処理部は、前記合意情報が前記データベースに記憶された場合、前記債権者、前記譲受人および前記債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、前記合意情報を確認可能な譲渡確認画面を表示部に表示させる。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、債権の債権者から譲受人に前記債権が譲渡される合意について、前記債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させることと、前記債務者による前記承諾依頼画面に対する操作入力による前記合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得することと、前記承諾情報が取得された場合、データベースに前記合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させることと、前記合意情報が前記データベースに記憶された場合、前記債権者、前記譲受人および前記債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、前記合意情報を確認可能な譲渡確認画面を表示部に表示させることと、を実行する。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、債権の債権者から譲受人に前記債権が譲渡される合意について、前記債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面を前記債務者の表示部に表示させることと、前記債務者による前記承諾依頼画面に対する操作入力による前記合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得することと、前記承諾情報が取得された場合、データベースに前記合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させることと、前記合意情報が前記データベースに記憶された場合、前記債権者、前記譲受人および前記債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、前記合意情報を確認可能な譲渡確認画面を表示部に表示させることと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、債権者の債権の譲受人に第三者対抗要件を備えさせるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】債権管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】債権情報データベースD111の構成を示す図である。
図3】承諾依頼画面T1の一例を示す図である。
図4】第1譲渡確認画面T2の一例を示す図である。
図5】第2譲渡確認画面T3の一例を示す図である。
図6】お知らせ画面T4の一例を示す図である。
図7】債権管理システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】第1の変形例に係る債権管理システムの構成の一例を示す図である。
図9】第1の変形例に係る債権管理システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】第2の変形例に係る債権管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
図11】通知内容確認画面T1aの一例を示す図である。
図12】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本実施形態において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【0013】
===債権管理システム10の概要===
<<構成の概要>>
図1を参照して、本実施形態に係る債権管理システム10の概要について説明する。図1は、債権管理システム10の構成の一例を示す図である。
【0014】
債権管理システム10は、債権者から譲受人への債権の譲渡に関する第三者対抗要件を証明可能なシステムである。債権管理システム10は、債権者から譲受人への債権の譲渡について、債務者への通知および債務者の承諾をシステム上で実現する。これにより、債権管理システム10は、譲受人に第三者対抗要件を備えさせる。債権管理システム10は、債権を示すセキュリティトークンをブロックチェーンBNに記憶するとともに、債権に関する情報をデータベースでも管理する。
【0015】
債権は、例えば集団投資スキーム持分(匿名組合の持分)や信託受益権などである。
【0016】
セキュリティトークンは、例えば、信託受益権や集団投資スキーム持分などをトークン化したものであって、金融商品取引法に規定されている「電子記録移転権利」をいう(金融商品取引法2条2項各号)。
【0017】
ブロックチェーンBNは、セキュリティトークンの取引に用いられるシステムである。ブロックチェーンBNは、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。
【0018】
債権管理システム10は、例えば、債権管理装置100と、債権者端末200と、譲受人端末300と、債務者端末400と、金融機関端末500とを含む。債権管理システム10を構成する各装置は、通信ネットワークNで互いに通信可能に接続されている。通信ネットワークNは、有線ネットワークまたは無線ネットワークである。
【0019】
債権管理装置100は、債権に関する情報(以下、「債権情報」という。)を管理する装置である。債権は、例えば匿名組合の出資者の持分である。債権管理装置100は、データベースおよびブロックチェーンを用いて債権情報を管理する。また、債権管理装置100は、債権が譲渡されるときの、譲受人の第三者対抗要件を証明する機能を有する。
【0020】
債権者端末200は、債権者の操作入力を受け付ける端末装置である。債権者は、例えば匿名組合の出資者や信託受益権の受益者などである。
【0021】
譲受人端末300は、債権の譲受人の操作入力を受け付ける端末装置である。譲受人は、例えば匿名組合の出資者の持分の譲渡を受ける者や信託受益権の譲渡を受ける者などである。
【0022】
債務者端末400は、債権の債務者の操作入力を受け付ける端末装置である。債務者は、例えば匿名組合の営業者である合同会社や信託受益権の委託者などである。
【0023】
債権者端末200、譲受人端末300および債務者端末400のそれぞれは、操作入力に関する各種情報を金融機関端末500や債権管理装置100に送信する。
【0024】
金融機関端末500は、債権を管理する金融機関の操作端末である。金融機関とは、例えば、債権を示すセキュリティトークンを発行する機関であり、投資運用業者(アセットマネジメント会社を含む)、第一種および第二種金融商品取引事業者(証券会社など)、資金を調達する事業会社などである。金融機関端末500は、例えば、操作担当者による操作入力に関する各種情報、債権者端末200、譲受人端末300および債務者端末400から取得される各種情報を、債権管理装置100に送信する。
【0025】
債権管理装置100は、例えば、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA、電子メールクライアントなど)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームであってもよい。なお、債権管理装置100における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータ(限定ではなく例として、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティング)により実現されていてもよい。
【0026】
債権者端末200、譲受人端末300、債務者端末400および金融機関端末500は、例えば、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、 デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メールクライアントなど)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームであってもよい。
【0027】
<処理の概要>>
図1を参照して、債権管理システム10の処理の概要について説明する。
【0028】
ステップS10において、金融機関端末500は、債権者端末200および譲受人端末300のうちの少なくともいずれかから、債権者から譲受人に債権(例えば匿名組合の持分)を譲渡することの、債権者と譲受人の合意に関する情報(以下、「合意情報」という。)を取得する。なお、金融機関端末500は、債権者端末200および譲受人端末300のそれぞれから送信される合意情報を取得してもよい。
【0029】
なお、金融機関端末500は、債権者端末200および譲受人端末300に提供する入力画面に対して債権者および譲受人の操作入力を受け付けることで合意情報を取得してもよい。また、金融機関端末500は、債権者および譲受人のうちの少なくともいずれかから送付される合意に関する内容が記載された依頼書に基づく金融機関の担当者の操作入力を受け付けることで合意情報を取得してもよい。
【0030】
ステップS11において、金融機関端末500は、合意情報を受け付けると、債権者から譲受人に債権を譲渡するための要求(以下、「譲渡要求」という。)を債権管理装置100に送信する。譲渡要求には例えば合意情報が含まれる。
【0031】
ステップS12において、債権管理装置100は、譲渡要求を受け付けると、債務者が債権の譲渡に対して承諾するための画面(以下、「承諾依頼画面T1」という。)を表示部に表示させるための情報を、債務者端末400に送信する。
【0032】
ステップS13において、債務者端末400は、表示部に承諾依頼画面T1を表示する。債務者端末400は、承諾依頼画面T1に対して債務者の操作入力を受け付けることで、債権の譲渡について債務者が承諾したことを示す情報(以下、「承諾情報」という。)を、債権管理装置100に送信する。
【0033】
ステップS14において、債権管理装置100は、債権情報データベースD111に承諾情報(合意情報を含む)を記憶する。これにより、債権管理システム10は、債権譲渡の当事者が公証役場に行くことなく、譲受人に第三者対抗要件を備えさせることができる。具体的には、債権管理システム10は、例えば匿名組合の持分(債権)の譲渡について譲受人に第三者対抗要件を具備させることができる。
【0034】
このように、債権管理システム10では、例えば、債務者(例えば匿名組合の営業者)に確定日付ある証書で通知するか、又は債務者(例えば匿名組合の営業者)の確定日付ある証書による承諾を取得するかが、第三者対抗要件を譲受人が備えるために必要とされているところ、これらの要件を譲受人に備えさせることが可能となる。
【0035】
ステップS15において、債権管理装置100は、合意の内容を確認可能な画面(以下、「譲渡確認画面T2,T3」という。)を表示部に表示させるための情報を、各端末の要求に基づいて各端末に送信する。
【0036】
ステップS16において、債権管理装置100は、債権の譲渡に関する情報をブロックチェーンBNに記録させるためのスマートコントラクト(以下、「譲渡コントラクト」という。)を実行させる。これにより、債権管理装置100は、承諾情報(合意情報を含む)に含まれる情報のうちの少なくとも一部の情報(以下、「合意関連情報」という。)をブロックチェーンBNに記憶させる。
【0037】
合意関連情報は、例えば、債務者が承諾した承諾日時、第三者対抗要件に必要な情報を含む。第三者対抗要件に必要な情報は、例えば、セキュリティトークンの識別情報、債権を示すセキュリティトークンのアドレス、譲渡元の名称、譲渡先の名称、譲渡元および譲渡先のウォレットアドレスなどの情報を含んでいてもよい。
【0038】
スマートコントラクトは、例えば、ブロックチェーンBNにおいて、トランザクションや外部情報に基づき規定のルールにしたがって実行されるプログラムあるいはコンピュータプロトコルである。
【0039】
以上から、債権管理システム10は、セキュリティトークンに表示された債権を譲受人に適切、迅速に譲渡させるとともに、第三者対抗要件を譲受人に備えさせることが可能となる。これにより、債権管理システム10は、オフラインの作業と比べて、債権に関する取引の効率化、取引コストの削減、取引にかかる期間の短縮、オペレーショナルリスクの回避などを実現することができる。
【0040】
なお、上記のステップS14およびステップS16は同時に処理が実行されてもよい。ただし、債権管理システム10では、ステップ14の処理が完了した場合、ステップS15のように、債権者端末200、譲受人端末300および債務者端末400が譲渡確認画面を表示部に表示させることができる。すなわち、債権者、譲受人および債務者は、ブロックチェーンBNに合意関連情報が記憶される前に、債権情報データベースD111を参照して譲渡内容を確認することができる。これにより、債権管理システム10は、譲渡内容の改ざん防止を図るとともに、譲渡内容を確認可能な情報を関係者に迅速に提供できる。
【0041】
また、上記において、金融機関端末500が、債権者端末200および譲受人端末300と、債権管理装置100との間で合意情報の送受信するように説明したが、これに限定されない。例えば、金融機関端末500は、債権管理装置100に含まれていてもよい。すなわち、金融機関を介さずに合意情報を債権者端末200および譲受人端末300から受信することで、債権管理装置100が債務者端末400に承諾画面を提供してもよい。
【0042】
===債権管理システム10の構成===
図1を参照して、債権管理システム10の構成の詳細について説明する。
【0043】
<<債権管理装置100>>
図1に示すように、債権管理装置100は、例えば、記憶部110と、譲渡要求取得部120と、承諾情報取得部130と、表示処理部140と、記憶実行部150と、照合部160とを含む。
【0044】
記憶部110は、例えば債権情報データベースD111を含む。図2を参照して、債権情報データベースD111の構成について説明する。図2は、債権情報データベースD111の構成を示す図である。
【0045】
図2に示すように、債権情報データベースD111は、例えば、[名義変更ID]、[債権者]、[ウォレットアドレス]、[ST名称]、[保有口数]、[名義変更要因]、[移転元]、[移転元ウォレットアドレス] 、[通知日時]、[承諾日時]、[承諾情報]の項目を含む。
【0046】
[名義変更ID]には、例えば、債権それぞれを一意に識別可能な識別符号が格納される。[債権者]には、例えば債権者の氏名を示す情報が格納される。[ウォレットアドレス]には、例えば債権者のウォレットアドレスが格納される。[ST名称]には、例えばセキュリティトークンの名称が格納される。[保有口数]には、例えば債権を示すセキュリティトークンの債権者が有する個数が格納される。[名義変更要因]には、例えば債権の移転の要因(例えば「譲渡」「強制移転」など)を示す情報が格納される。[移転元]には、例えば債権の移転元の名称を示す情報が格納される。[移転元ウォレットアドレス]には、例えば移転元のユーザのウォレットアドレスが格納される。[通知日時]は、例えば債権の譲渡の際に債権者または譲受人から債務者に通知した日時が格納される。[承諾日時]は、例えば債権の譲渡について債務者が承諾した日時が格納される。すなわち、[承諾日時]の項目には、譲受人が第三者対抗要件を備えるための情報が格納される。[承諾情報]には、例えば債権者から債務者に債権が譲渡されることについての債務者の承諾に関する情報が格納される。承諾に関する情報には、例えば債務者が発行する承諾書を示す情報などが格納されていてもよい。
【0047】
譲渡要求取得部120は、例えば金融機関端末500から譲渡要求を取得する。なお、譲渡要求取得部120は、債権者端末200および譲受人端末300のうちの少なくともいずれかから譲渡要求を取得してもよい。
【0048】
承諾情報取得部130は、例えば債務者端末400から承諾情報を取得する。
【0049】
表示処理部140は、例えば、表示部に表示される各種画面を生成する。表示処理部140は、債権者端末200、譲受人端末300、債務者端末400および金融機関端末500の表示部に各種画面を表示するための情報を、各端末に送信する。具体的には、表示処理部140は、例えば、承諾依頼画面T1と、第1譲渡確認画面T2と、第2譲渡確認画面T3と、お知らせ画面T4とを生成する。なお、以下において、第1譲渡確認画面T2および第2譲渡確認画面T3をまとめて譲渡確認画面ということもある。
【0050】
図3図6を参照して、表示処理部140で生成される各種画面について説明する。図3は、承諾依頼画面T1の一例を示す図である。図4は、第1譲渡確認画面T2の一例を示す図である。図5は、第2譲渡確認画面T3の一例を示す図である。図6は、お知らせ画面T4の一例を示す図である。
【0051】
図3に示すように、承諾依頼画面T1は、債権者から譲受人に債権を譲渡することを債務者が承諾するための画面である。承諾依頼画面T1は、例えば債権情報データベースD111に基づき表示される。承諾依頼画面T1は、例えば、名義変更申込登録者T10、名義変更元情報T11、名義変更先情報T12および債権譲渡通知等情報T13の項目、名義変更承諾ボタンT14を含む。
【0052】
名義変更申込登録者T10は、金融機関に関する情報が表示される領域である。具体的には、名義変更申込登録者T10には、金融機関を示す金融商品取引業者の名称を示す情報が含まれる。
【0053】
名義変更元情報T11は、債権を譲渡する債権者に関する情報が表示される領域である。具体的には、名義変更元情報T11には、投資家名、投資家ウォレットアドレス、ST名称、STコントラクトアドレス、商品名称、名義変更前保有口数、名義変更口数、名義変更要因、強制移転に該当するか否かのフラグの情報が含まれる。これにより、債権を譲渡する債権者に関する情報を債務者が容易に確認することができる。
【0054】
名義変更先情報T12は、債権の譲渡を受ける譲受人に関する情報が表示される領域である。具体的には、名義変更先情報T12には、投資家名、投資家ウォレットアドレスの情報が含まれる。
【0055】
債権譲渡通知等情報T13は、債権の譲渡に関する情報についての通知または承諾の少なくともいずれかに関する情報が表示される領域である。図3では、承諾により第三者対抗要件を譲受人に備えさせる態様(以下、「承諾式」という。)において表示される項目が一例として示され、具体的には、債権譲渡通知等情報T13は債権譲渡承諾書の情報を含む。債権譲渡承諾書の項目には、承諾書等をダウンロードするためのボタンが表示されていてもよい。これにより、債務者は、債権者から譲受人への債権の譲渡の内容を迅速かつ容易に確認することができる。
【0056】
名義変更承諾ボタンT14は、債権の譲渡について債務者が承諾するためのオブジェクトである。債権管理装置100は、名義変更承諾ボタンT14に対する債務者の操作入力と受け付けた場合、債務者が承諾したことを示す承諾情報を記憶部110に格納する。これにより、債権管理装置100は、債権の譲渡について債務者が承諾したことを証明することが可能となる。
【0057】
第1譲渡確認画面T2は、債務者端末400の表示部に表示される画面であり、債務者が通知を受けた譲渡実績または承諾した譲渡実績の一覧が表示される画面である。第1譲渡確認画面T2は、例えば債権情報データベースD111に基づき表示される。図4に示すように、第1譲渡確認画面T2は、例えば、ST名称T20、来歴情報T21の項目を含む。
【0058】
ST名称T20は、セキュリティトークンの名称が表示される領域である。
【0059】
来歴情報T21は、債権が譲渡されたイベントを一覧表示される領域である。具体的には、来歴情報T21には、イベント、発行元/移転元、発行先/移転先、口数、権利発生日、処理日時、債権譲渡通知等の内容確認の項目が含まれる。処理日時の項目には、譲渡について債務者が承諾した日時が表示される。債権譲渡通知等の内容確認の項目には、確認ボタンT21aが含まれる。確認ボタンT21aに対する債務者の操作入力に基づき、債権譲渡承諾内容確認画面T22が表示部に表示される。
【0060】
債権譲渡承諾内容確認画面T22は、譲渡された債権を債務者が把握するための最低限の情報が表示される画面である。具体的には、債権譲渡承諾内容確認画面T22には、STコントラクトアドレス、移転元ウォレットアドレス、移転先ウォレットアドレス、移転口数、債権譲渡承諾日時、債権譲渡承諾書の情報が含まれる。これにより、債務者は、承諾した債権譲渡の内容を簡易な操作で容易に確認することができる。
【0061】
第2譲渡確認画面T3は、債権者端末200および譲受人端末300の表示部に表示される画面であり、債権者および譲受人が債務者から承諾を得た譲渡実績の一覧が表示される画面である。第2譲渡確認画面T3は、例えば債権情報データベースD111に基づき表示される。図5に示すように、第2譲渡確認画面T3は、例えば、投資家情報T30、保有情報T31の項目を含む。
【0062】
投資家情報T30は、債権者または譲受人の名称が表示される領域である。
【0063】
保有情報T31は、債権者または譲受人が保有する債権を示すセキュリティトークンに関する情報が一覧表示される領域である。具体的には、保有情報T31には、商品名称、保有口数、投資金額、権利発生日、運用期間、想定利回り、契約締結前書面、契約書、債権譲渡通知等の内容確認の項目が含まれる。債権譲渡通知等の内容確認の項目には、確認ボタンT31aが含まれる。確認ボタンT31aに対する債務者の操作入力に基づき、債権譲渡承諾内容確認画面T32が表示部に表示される。
【0064】
債権譲渡承諾内容確認画面T32は、債権譲渡承諾内容確認画面T22と同様であるため、その説明を省略する。これにより、債権者および譲受人は、債務者によって承諾された債権譲渡の内容を簡易な操作で容易に確認することができる。
【0065】
お知らせ画面T4は、債権者から譲受人に債権を譲渡するイベントが発生したことを債務者にお知らせするための画面である。お知らせ画面T4は、例えば債権情報データベースD111に基づき表示される。お知らせ画面T4は、例えば、お知らせT40、ST一覧T41の項目を含む。
【0066】
お知らせ画面T40は、債務に関して発生したイベントが一覧表示される領域である。お知らせ画面T40には、例えば、債権譲渡のイベントについてのお知らせを示すテキストT40aに、債権譲渡のイベント内容の詳細が表示される画面に遷移するためのリンクが設定されていてもよい。具体的には、図6に示すように、承諾依頼画面T1に遷移するためのテキストT40a(図6では「こちら」)が表示されてもよい。テキストT40aに対する債務者の操作入力を受け付けた場合、承諾依頼画面T1が表示部に表示される。これにより、債権管理システム10は、債権譲渡のイベントが発生したことを迅速に債務者にお知らせすることができ、さらに債務者が債権譲渡を承諾するための画面を簡易な操作で表示させることができるため、システム上で債権譲渡を迅速に完了させることができる。
【0067】
記憶実行部150は、債権情報データベースD111およびブロックチェーンBNに各種情報を記憶する。具体的には、記憶実行部150は、債権情報データベースD111に合意情報を記憶させる。また、記憶実行部150は、債権の譲渡のためのコントラクト(以下、「譲渡コントラクト」という。)を実行させて、ブロックチェーンBNに合意関連情報を記憶させる。
【0068】
照合部160は、債権情報データベースD111の合意情報に含まれる所定の情報がブロックチェーンBNの合意関連情報に含まれる所定の情報と一致するかについて照合する照合処理を実行する。具体的には、照合部160は、例えば、合意情報に含まれる譲受人(現在の債権者)のウォレットアドレスと、合意関連情報に含まれる譲受人のウォレットアドレスとを照合してもよい。なお、照合部160は、合意情報に含まれる少なくとも一部の情報と、合意関連情報に含まれる少なくとも一部の情報とを照合する照合処理を実行可能であればよく、照合する情報項目は特に限定されない。
【0069】
照合部160は、照合した結果(以下、「照合結果」という。)を、譲受人端末300、債務者端末400および金融機関端末500に送信する。このとき、照合部160は、合意情報と合意関連情報とが不一致である場合、データの改ざんが生じていることを示す警告情報を、債権者端末200、譲受人端末300、債務者端末400および金融機関端末500の少なくともいずれかに送信してもよい。これにより、債権管理システム10は、データベース領域に記録された情報と、ブロックチェーン領域に記録された情報とを定期的に照合することで、データの改ざんを早期に検出可能となる。また、債権管理システム10は、データの改ざんを検出した場合、速やかに関係者にお知らせするため、被害の拡大を回避できる。
【0070】
<<債権者端末200>>
図1に戻り、債権者端末200の機能構成について説明する。図1に示すように、債権者端末200は、例えば、送受信部210および表示部220を含む。送受信部210は、例えば、債権管理装置100および金融機関端末500との間で各種情報を送受信する。表示部220は、例えば債権管理装置100から送信される各種画面を表示するための情報に基づき各種画面を表示する。
【0071】
<<譲受人端末300>>
次に、譲受人端末300の機能構成について説明する。図1に示すように、譲受人端末300は、例えば、送受信部310および表示部320を含む。送受信部310は、例えば、債権管理装置100および金融機関端末500との間で各種情報を送受信する。表示部320は、例えば債権管理装置100から送信される各種画面を表示するための情報に基づき各種画面を表示する。
【0072】
<<債務者端末400>>
次に、債務者端末400の機能構成について説明する。図1に示すように、債務者端末400は、例えば、送受信部410および表示部420を含む。送受信部410は、例えば、債権管理装置100および金融機関端末500との間で各種情報を送受信する。表示部420は、例えば債権管理装置100から送信される各種画面を表示するための情報に基づき各種画面を表示する。
【0073】
<<金融機関端末500>>
次に、金融機関端末500の機能構成について説明する。図1に示すように、金融機関端末500は、例えば、送受信部510および記憶部520を含む。送受信部510は、例えば、債権管理装置100、債権者端末200および譲受人端末300との間で各種情報を送受信する。記憶部520は、例えば債権管理装置100の債権情報データベースD111と同様のデータベースを格納する。なお、金融機関端末500は、債権管理装置100の少なくとも一部の機能部を有していてもよい。また、金融機関端末500は、債権管理装置100に含まれる装置であってもよい。
【0074】
===債権管理システム10の処理手順===
図7を参照して、債権管理システム10の処理手順について説明する。図7は、債権管理システム10の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0075】
ステップS100において、債権者端末200および譲受人端末300の少なくともいずれかは、譲渡要求を金融機関端末500に送信する。
【0076】
ステップS101において、金融機関端末500は、担当者の操作入力を受け付けて、合意情報を含む譲渡要求を債権管理装置100に送信する。
【0077】
ステップS102において、債権管理装置100は、合意情報を債権情報データベースD111に記憶する。債権管理装置100は、例えば、債権者から譲受人への債権譲渡に関するイベントが生じたことを示すお知らせ画面T4を表示させるための情報(図7では単に「お知らせ画面」と記載。)を債務者端末400に送信する。
【0078】
ステップS103において、債務者端末400は、お知らせ画面T4のテキストT40aへの債務者の操作入力を受け付けた場合、承諾依頼画面T1を表示させるための表示要求を債権管理装置100に送信する。
【0079】
ステップS104において、債権管理装置100は、債権情報データベースD111を参照して、承諾依頼画面T1を表示させるための情報(図7では単に「承諾依頼画面」と記載。)を債務者端末400に送信する。
【0080】
ステップS105において、債務者端末400は、承諾依頼画面T1への債務者の操作入力を受け付けた場合、承諾情報を債権管理装置100に送信する。これにより、債権管理システム10は、譲受人に第三者対抗要件を備えさせることができる。
【0081】
ステップS106において、債権管理装置100は、承諾情報を債権情報データベースD111に記憶する。
【0082】
ステップS107において、債権者端末200および譲受人端末300の少なくともいずれかは、第2譲渡確認画面T3を表示部に表示させるための譲渡確認要求を債権管理装置100に送信する。
【0083】
ステップS108において、債権管理装置100は、第2譲渡確認画面T3を表示させるための情報(図7では単に「第2譲渡確認画面」と記載。)を債権者端末200および譲受人端末300の少なくともいずれかに送信する。
【0084】
ステップS109において、債権管理装置100は、承諾情報含まれる情報のうちの少なくとも一部の情報である合意関連情報をブロックチェーンBNに記憶させるための譲渡コントラクトを実行させるための実行要求をブロックチェーンBNに送信する。このとき、債権管理装置100は、当該要求に合意関連情報を含めてブロックチェーンBNに送信してもよい。ステップS110において、合意関連情報がブロックチェーンBNに記録される。
【0085】
すなわち、債権管理システム10は、ブロックチェーンBNに合意関連情報を記憶させる(ステップS109)前に、債権者、譲受人および債務者が合意情報を確認することができる(ステップS108)。これにより、債権管理システム10は、ブロックチェーンBNに合意関連情報が記憶されることを待たずに、債権者、譲受人および債務者が合意情報を確認することができる仕組みを提供できるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0086】
ステップS111において、債権管理装置100は、例えば定期的に照合処理を実行する。債権管理装置100は、ブロックチェーンBNに合意関連情報が送信されるための情報要求を送信する。債権管理装置100は、債権情報データベースD111の合意情報の少なくとも一部の情報(例えば、STコントラクトアドレスや移転口数など)がブロックチェーンBNに記録されている合意関連情報と一致するかについて照合する。
【0087】
ステップS112において、債権管理装置100は、合意情報と合意関連情報との照合結果を債権情報データベースD111に記憶する。なお、債権管理装置100は、合意情報と合意関連情報とが不一致である照合結果を取得した場合、債権者端末200、譲受人端末300、債務者端末400および金融機関端末500の少なくともいずれかに、データが改ざんされた恐れがあることを示す警告情報を送信してもよい。これにより、債権管理システム10は、ブロックチェーンを用いないデータベースに格納されている情報が改ざんされた場合に、適切、迅速に対応することができる。
【0088】
===第1の変形例===
<<構成>>
図8を参照して、第1の変形例に係る債権管理システム10aの構成について説明する。図8は、第1の変形例に係る債権管理システム10aの構成の一例を示す図である。なお、以下、債権管理システム10と異なることについて説明し、特に言及しない場合は債権管理システム10と同様とする。
【0089】
図8に示すように、債権管理システム10aにおいて、債権管理装置100は、要件判定部170をさらに備える。
【0090】
要件判定部170は、債権者および譲受人が債権に関するセキュリティトークンを譲渡するための要件(以下、「譲渡要件」という。)を満たしているか否かを判定する。要件判定部170は、例えばブロックチェーンBNに記憶されているホワイトリストHLを参照して、譲渡要件を充たすか否かを判定する。
【0091】
譲渡要件は、セキュリティトークンを債権者が譲受人に譲渡するための要件である。譲渡要件は、例えば「電子記録移転権利」の適用から除外されるための要件(「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」9条の2)に含まれる要件である。すなわち、譲渡要件は、例えば、債権者および譲受人が「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」に規定される適格機関投資家、又は金融商品取引法に規定される適格機関投資家特例業務の対象投資家(特例業務対象投資家)に類する範囲の投資家であることを示す要件であってもよい。
【0092】
ホワイトリストHLは、譲渡要件を充たすユーザに関する情報(以下、「取得者情報」という。)をブロックチェーンBNに記憶したリストである。
【0093】
要件判定部170は、譲渡要求に基づき、債権者および譲受人のうちの少なくともいずれかに関する情報がホワイトリストHLに含まれる複数の取得者情報のうちのいずれかと合致するか否かを判定する。具体的には、要件判定部170は、例えば、債権の譲渡を希望する譲受人のウォレットアドレスがホワイトリストHLに含まれる複数のウォレットアドレスと合致するか否かを判定してもよい。すなわち、要件判定部170は、改ざんが事実上不可能なホワイトリストHLに、債権者および譲受人のうちの少なくともいずれかのウォレットアドレス(債権者および譲受人に関する情報であればよい)が含まれるか否かを判定してもよい。
【0094】
これにより、債権管理装置100は、譲渡要件を充たす債権者および譲受人に限定して債権の名義を変更可能とする。すなわち、債権管理装置100は、譲渡要件を充足するユーザであることを改ざん不可能なホワイトリストHLによって保証することで、例えば、「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項1号の要件を充たす仕組みを備える。
【0095】
また、要件判定部170は、時間的な制限を示す情報(以下、「時間制限情報」という。)に基づき、債権が譲渡される合意がなされたタイミングがセキュリティトークンを譲渡可能な時間的な制限に該当するか否かを判定してもよい。債権が譲渡される合意がなされたタイミングとは、例えば、合意情報に含まれる合意が成立した日時、譲渡要求を取得した日時などである。具体的には、要件判定部170は、例えば、債権者が債権を示すセキュリティトークンの発行を受けてから所定の期間(時間制限情報が示す例えば1年間)が経過していない場合、セキュリティトークンを譲受人に譲渡できないと判定してもよい。なお、譲渡要件に時間的な制限を示す内容(時間制限情報)が含まれていてもよい。
【0096】
これにより、債権管理システム10aは、譲渡手続きに関して時間的制限を充たす債権者のみが譲受人に債権を移転させることができる。このように、債権管理システム10aは、債権を譲渡するための時間的な制限に該当せず、譲渡要件を充たす債権者のみが、セキュリティトークンを譲受人に譲渡可能とする。
【0097】
表示処理部140は、要件判定部170において譲渡要件を充たすと判定された場合、承諾依頼画面T1を表示させるための情報を債務者端末400に送信する。また、表示処理部140は、要件判定部170において譲渡要求を取得したタイミングがセキュリティトークンを譲渡可能な時間的な制限に該当しないと判定された場合、承諾依頼画面T1を表示させるための情報を債務者端末400に送信する。
【0098】
なお、変形例に係る債権管理システム10aにおいて、記憶実行部150は、例えば、セキュリティトークンの譲渡要件を充たすユーザのユーザ情報を、予めブロックチェーンBNに記憶させて、ホワイトリストHLを生成してもよい。ホワイトリストHLには、例えば、ユーザIDおよびウォレットアドレスが格納されていればよい。また、譲渡要件および時間制限情報がホワイトリストHLに記憶されていてもよい。
【0099】
また、要件判定部170は、債権管理装置100に含まれる機能部である必要はなく、例えば金融機関端末500に含まれる機能部であってもよい。
【0100】
また、上記において、要件判定部170は、ブロックチェーンBNに記憶されているホワイトリストHLを参照して、譲渡要件を充たすか否かを判定するとして説明したが、これに限定されない。例えば、要件判定部170は、譲渡要件を記憶したデータベースを算用して、譲渡要件を充たすか否かを判定してもよい。これにより、債権管理システム10aは、ブロックチェーンを用いずに簡易なシステム構成によって、債権を譲渡するための時間的な制限に該当せず、譲渡要件を充たす債権者のみに、債権を譲受人に譲渡させることができる。
【0101】
<<処理手順>>
次に、図9を参照して、第1の変形例に係る債権管理システム10aの処理手順の一例について説明する。図9は、第1の変形例に係る債権管理システム10aの処理手順の一例を示すフローチャートである。図9において、ステップS205の後の処理は、図7に示すフローチャートのステップS102以降の処理と同じであるため、その説明を省略する。
【0102】
ステップS200において、債権者端末200は、債権者の操作入力を受け付けて、債権者に関する情報(以下、「債権者情報」という。)を金融機関端末500に送信する。なお、譲受人端末300についても同様に、譲受人端末300は譲受人に関する情報(以下、「譲受人情報」という。)を金融機関端末500に送信する。
【0103】
ステップS201において、金融機関端末500は、債権者情報および譲受人情報を表示部に表示させる。金融機関端末500は、担当者の操作入力を受け付けて、債権者情報および譲受人情報を含む譲渡要求を債権管理装置100に送信する。
【0104】
ステップS202において、債権管理装置100は、ホワイトリストHLを参照して、債権者および譲受人が譲渡要件を充たしているか否かを判定する。債権管理装置100は、譲渡要件を満たしているか否かを示す情報(以下、「譲渡可否情報」という。)を金融機関端末500に送信する。
【0105】
これにより、債権管理システム10aは、改ざん不可能な領域に譲渡要件を満たすユーザが登録されるホワイトリストHLを用いることで、債権の譲渡のイベントが発生した場合、法令に適合するユーザについて債権の譲渡および譲受を可能とする。すなわち、債権管理システム10aは「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項1号の要件を充たす仕組みを備える。
【0106】
ステップS203において、金融機関端末500は、譲渡要件を満たしていることを示す譲渡可否情報を取得した場合、金融機関による債権者から譲受人への債権の譲渡が可能であることの承諾を示す承諾情報を、債権管理装置100に送信する。
【0107】
ステップS204において、債権管理装置100は、承諾情報を記憶部110に記憶する。すなわち、債権管理システム10aは「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項2号の要件を充たす仕組みを備える。
【0108】
ステップS205において、債権管理装置100は、承諾情報を取得した場合、ブロックチェーンBNのホワイトリストHLに債権者情報、譲受人情報および承諾情報を記憶させてもよい。このとき、譲受人情報に、時間制限情報を関連づけて記憶させてもよい。以降、図7に示すステップS102から処理を実行する。
【0109】
これにより、債権管理システム10aは、セキュリティトークンの移転に関する法令に適合するように、セキュリティトークンをユーザの間で移転させることができる。すなわち、債権管理システム10aは、「金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令」第9条の2第1項1号および2号の要件を満たす仕組みを提供できる。
【0110】
なお、上記において、金融機関端末500がステップS201を実行するように説明したが、これに限定されない。例えば、債権管理装置100がステップS201を実行してもよい。すなわち、債権管理装置100が債権者端末200および譲受人端末300から債権者情報および譲受人情報を取得してもよい。
【0111】
===第2の変形例===
次に、第2の変形例に係る債権管理システム10bの構成について説明する。なお、以下、債権管理システム10および債権管理システム10aと異なることについて説明し、特に言及しない場合は債権管理システム10および債権管理システム10aと同様とする。
【0112】
債権管理システム10bは、債権管理システム10aと異なり、債務者による承諾に替えて、債務者に債権譲渡のイベントが生じたことを通知する。
【0113】
図10を参照して、債権管理システム10bの処理手順について説明する。図10は、第2の変形例に係る債権管理システム10bの処理手順を示すフローチャートである。なお、図10では、ステップS300の前に、図9に示すステップS200~S205が実行されていてもよい。
【0114】
ステップS300において、債権者端末200および譲受人端末300の少なくともいずれかは、譲渡要求を金融機関端末500に送信する。
【0115】
ステップS301において、金融機関端末500は、担当者の操作入力を受け付けて、合意情報を含む譲渡要求を債権管理装置100に送信する。
【0116】
ステップS302において、債権管理装置100は、合意情報を債権情報データベースD111に記憶する。債権管理装置100は、債権情報データベースD111を参照して、お知らせ画面T4を表示させるための情報(図10では単に「お知らせ画面」と記載)を債務者端末400に送信する。なお、この場合のお知らせ画面T4は、図6に示す「未実行の名義変更申込があります。名義変更の実行をお願いします。名義変更申込一覧はこちら」に替えて、例えば「名義変更が実行されましたのでご確認をお願いします。名義変更一覧はこちら」としてもよい。すなわち、第2の変形例におけるお知らせ画面T4では、債権が譲渡されたことを確認するための画面が表示されるように構成されていればよい。なお、債権管理装置100は、お知らせ画面T4を送信することに替えて、債務者端末400にメールによって通知をしてもよい。
【0117】
ステップS303において、債務者端末400は、第2の変形例におけるお知らせ画面T4の、第1譲渡確認画面T2を表示させるためのリンクが設定されたテキストT40aに対する債務者の操作入力を受け付けた場合、第1譲渡確認画面T2を表示するための表示要求を債権管理装置100に送信する。
【0118】
ステップS304において、債権管理装置100は、第1譲渡確認画面T2を表示させるための情報(図10では単に「第1譲渡確認画面」と記載。)を債務者端末400に送信する。
【0119】
ステップS305において、債務者端末400は、第1譲渡確認画面T2を表示部に表示させる。債務者端末400は、第1譲渡確認画面T2を債務者が閲覧したことを示す情報(以下、「確認情報」という。)を債権管理装置100に送信する。
【0120】
ステップS306において、債権管理装置100は、確認情報を債権情報データベースD111に記憶する。
【0121】
これにより、債権管理システム10bは、譲受人に第三者対抗要件を備えさせることができる。ステップS306より後の処理は、図7に示すフローチャートのステップS104以降の処理と同じであるため、その説明を省略する。
【0122】
なお、債権管理システム10bは、さらに、債権管理システム10aにおける債務者の承諾を得る態様である承諾式(図9のステップS104~ステップ106の処理)と、上記における債務者に通知をする態様(以下、「通知式」という。)(図10のステップS304,ステップS303の処理)とを切り替え可能な機能を備えていてもよい(例えば処理切替部(不図示)を備えていてもよい)。
【0123】
この場合、例えば、債権管理装置100は、金融機関端末500から承諾式または通知式のいずれかを指定する情報(以下、「指定情報」という。)を取得する。債権管理装置100は、指定情報を取得した場合、指定情報に基づき通知式または承諾式の処理を実行する。
【0124】
図11を参照して、通知式における通知内容確認画面T1aについて説明する。図11は、通知内容確認画面T1aの一例を示す図である。以下では、図3に示す承諾依頼画面T1と異なることのみ説明し、特に言及がない場合は承諾依頼画面T1と同様とする。図11に示すように、通知内容確認画面T1aは、図3の債権譲渡通知等情報T13に「債権譲渡通知日時」が追加した債権譲渡通知当情報T13aが表示され、図3の「債権譲渡承諾書」を「債権譲渡通知書」に変更し、図3の「名義変更承諾ボタン」を「通知内容確認ボタン」に変更して表示される。また、この場合、債権管理装置100は、通知式が指定された場合、図4および図5における、「債権譲渡承諾内容確認画面」を「債権譲渡通知内容確認画面」に変更して表示させ、「債権譲渡承諾内容確認画面」の「債権譲渡承諾日時」を「債権譲渡通知日時」に変更し、「債権譲渡承諾書」を「債権譲渡通知書」に変更して表示させる。
【0125】
すなわち、債権管理装置100は、指定情報に基づき承諾式および通知式のそれぞれに応じた確認画面を表示させることができる。これにより、債権管理システム10bは、セキュリティトークンを移転する際に債務者の承諾が必要となるか否か(例えば、電子記録移転権利を扱う場合は債務者の承諾が不要で通知のみでよく、適用除外電子移転権利を扱う場合は債務者の承諾が必要である)に応じて処理手順および画面表示を切り替えることができるため、適切な処理を簡易な操作で実行可能となる。
【0126】
===ハードウェア構成===
図12を参照して、債権管理装置100、債権者端末200、譲受人端末300、債務者端末400および金融機関端末500をコンピュータ1000により実現する場合のハードウェア構成の一例について説明する。なお、債権管理装置100、債権者端末200、譲受人端末300、債務者端末400および金融機関端末500の各種機能は、複数台の装置に分けて実現できる。
【0127】
図12は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。図12に示すように、コンピュータ1000は、例えば、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、入力I/F部1004と、データI/F部1005と、通信I/F部1006および表示部1007を含む。
【0128】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ1000における各種の処理を制御する制御部である。
【0129】
メモリ1002は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ1002は、プロセッサ1001によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0130】
記憶装置1003は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置1003は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0131】
入力I/F部1004は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部1004の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等である。入力I/F部1004は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続されてもよい。
【0132】
データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部1005の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部1005は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000へと接続される。
【0133】
通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部1006は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続される。
【0134】
表示部1007は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示部1007の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示部1007は、コンピュータ1000の外部に設けられてもよい。その場合、表示部1007は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ1000に接続される。また、入力I/F部1004としてタッチパネルが採用される場合には、表示部1007は、入力I/F部1004と一体化して構成することが可能である。
【0135】
===まとめ===
債権管理システム10は、債権の債権者から譲受人に債権が譲渡される合意について、債権の債務者による承諾に関する操作入力を受け付ける承諾依頼画面T1を債務者の表示部に表示させる表示処理部140と、債務者による承諾依頼画面T1に対する操作入力による合意に対する承諾を示す情報である承諾情報を取得する承諾情報取得部130と、承諾情報取得部130で承諾情報が取得された場合、債権情報データベースD111(データベース)に合意の内容に関する情報である合意情報を記憶させる記憶実行部150と、を備え、表示処理部140は、合意情報が債権情報データベースD111(データベース)に記憶された場合、債権者、譲受人および債務者のうちのいずれかによる操作入力に基づいて、合意情報を確認可能な第1,第2譲渡確認画面T2,T3(譲渡確認画面)を表示部に表示させる。これにより、債権管理システム10は、債権を債権者から譲受人に適切、迅速に譲渡させるとともに、第三者対抗要件を譲受人に備えさせることが可能となる。また、債権管理システム10は、オフラインの作業と比べて、債権に関する取引の効率化、取引コストの削減、取引にかかる期間の短縮、オペレーショナルリスクの回避などを実現することができる。
【0136】
また、債権管理システム10において、記憶実行部150は、合意情報に含まれる情報のうちの少なくとも一部の情報である合意関連情報を示すセキュリティトークンをブロックチェーンBNに記憶させ、情報処理システムは、債権情報データベースD111(データベース)に記憶される合意情報に含まれる所定の情報がブロックチェーンBNに記憶される合意関連情報に含まれる所定の情報と一致するかについて照合する照合部160をさらに備える。これにより、債権管理システム10は、債権情報データベースD111(データベース)に記録された情報と、ブロックチェーン領域に記録された情報とを照合することで、データの改ざんを早期に検出可能となる。
【0137】
また、債権管理システム10において、債務者および譲受人のうちの少なくともいずれかから、債権を債権者から譲受人に譲渡させることを示す、合意情報を含む譲渡要求を取得する譲渡要求取得部120をさらに備え、表示処理部140は、譲渡要求取得部120で譲渡要求が取得された場合、債務者への承諾に関するお知らせを含むお知らせ画面T4を債務者の表示部に表示させる。これにより、債権管理システム10は、債権譲渡のイベントが発生したことを迅速に債務者にお知らせすることができ、さらに債務者が債権譲渡を承諾するための画面を簡易な操作で表示させることができるため、システム上で債権譲渡を迅速に完了させることができる。
【0138】
また、債権管理システム10において、表示処理部140は、お知らせ画面T4の債務者への承諾に関するお知らせを示すテキストT40a(オブジェクト)に対する債務者の操作入力を受け付けた場合、承諾依頼画面T1を債務者の表示部に表示させる。これにより、債権管理システム10は、債務者が債権譲渡を承諾するための画面を簡易な操作で表示させることができるため、システム上で債権譲渡を迅速に完了させることができる。
【0139】
また、債権管理システム10aにおいて、記憶実行部150は、債権を譲渡可能な要件である譲渡要件を充たす取得者に関する情報である取得者情報を債権情報データベースD111(データベース)またはブロックチェーンBNの少なくともいずれかに記憶させ、債権管理システム10は、譲受人に債権を譲渡するための譲渡要求を債権者および譲受人のうちの少なくともいずれかから取得する譲渡要求取得部120と、譲渡要求に基づいて、譲受人に関する情報が、債権情報データベースD111(データベース)またはブロックチェーンBNの少なくともいずれかに記憶されている複数の取得者情報のうちのいずれかと合致するか否かを判定する要件判定部170と、をさらに備え、表示処理部140は、要件判定部170において譲受人に関する情報が複数の取得者情報のいずれかと合致すると判定された場合、承諾依頼画面T1を債務者の表示部に表示させる。これにより、債権管理システム10は、譲渡要件を充たす債権者および譲受人に限定して債権の名義を変更可能とする。
【0140】
また、債権管理システム10aは、記憶実行部150は、取得者が債権を譲渡可能な期間制限に関する情報である期間制限情報を、取得者情報に関連づけて債権情報データベースD111(データベース)またはブロックチェーンBNの少なくともいずれかに記憶させ、要件判定部170は、期間制限情報に基づいて、債権が譲渡される合意がなされたタイミングが債権者に対応する期間制限に該当するか否かを判定し、表示処理部140は、要件判定部170において債権が譲渡される合意がなされたタイミングが期間制限に該当しないと判定された場合、承諾依頼画面T1を債務者の表示部に表示させる。これにより、債権管理システム10は、譲渡手続きに関して時間的制限を充たす債権者のみが譲受人に債権を移転させることができる。
【0141】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素ならびにその配置、材料、条件、形状およびサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換しまたは組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0142】
10…債権管理システム、100…債権管理装置、110…記憶部、120…譲渡要求取得部、130…承諾情報取得部、140…表示処理部、150…記憶実行部、160…照合部、170…要件判定部、200…債権者端末、300…譲受人端末300、400…債務者端末、500…金融機関端末。
図1
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図10
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図12