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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114076
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】スイッチ制御装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240816BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H02J1/00 309V
B60R16/02 645A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019470
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】森田 好宣
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165CA01
5G165DA07
5G165EA02
5G165EA10
5G165HA02
5G165JA07
5G165LA02
5G165LA03
5G165NA05
5G165NA10
(57)【要約】
【課題】スイッチのオン故障が生じているか否かを診断する際に、電気負荷の動作を停止させないようにする。
【解決手段】電源システムは、電気経路13を介して接続される第1電源11及び第2電源12と、電気経路13に接続され、第1電源11及び第2電源12からの電力の供給が可能になっている第1~第3負荷31~33と、電気経路13において、第2電源12と第2負荷32の接続点Bとの間に設けられた遮断スイッチ40と、を備える。制御装置50は、遮断スイッチ40をオフさせた状態で遮断スイッチ40のオン故障を診断する。制御装置50は、第1電源11が電気経路13へ電力を出力する電力出力状態であるか否かを判定する判定部52と、遮断スイッチ40診断の実施に際し、第1電源11が電力出力状態であると判定されたことを条件に、遮断スイッチ40に一時的にオフ指令を出力する指令部53と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気経路(13)を介して接続される第1電源(11)及び第2電源(12)と、
前記電気経路に接続され、前記第1電源及び前記第2電源からの電力の供給が可能になっている電気負荷(31~33)と、
前記電気経路において前記第2電源と前記電気負荷の接続点との間に設けられたスイッチ(40)と、を備え、前記スイッチをオフさせて当該スイッチのオン故障を診断する電源システムに適用され、
前記第1電源が前記電気経路へ電力を出力する電力出力状態であるか否かを判定する判定部と、
前記診断の実施に際し、前記第1電源が前記電力出力状態であると判定されたことを条件に、前記スイッチに一時的にオフ指令を出力する指令部と、を備える、スイッチ制御装置(50)。
【請求項2】
前記判定部は、前記電気経路の経路電圧、前記第1電源の出力電流、及び前記電気経路に流れる電流の向きの少なくともいずれかに基づいて、前記第1電源が前記電力出力状態であるか否かを判定する、請求項1に記載のスイッチ制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の要求電力に応じて、前記第1電源が前記電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する、請求項1に記載のスイッチ制御装置。
【請求項4】
前記電気経路には、前記電気負荷が複数接続され、電気負荷の接続点どうしの間となる複数の位置にそれぞれ前記スイッチ(40a,40b)が設けられており、
前記指令部は、前記診断の実施に際し、前記電気経路に設けられた複数の前記スイッチを1つずつオフ対象としてオフ指令を出力するものであり、
前記判定部は、前記電気経路において、前記指令部によりオフ対象となる前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の数に応じて、前記第1電源が前記電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する、請求項1に記載のスイッチ制御装置。
【請求項5】
前記診断の実施に際し、前記指令部による前記スイッチのオフ指令の出力の前に、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷への通電を制限する通電制限部を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項6】
前記通電制限部は、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の要求電力に応じて、当該電気負荷への通電を制限する、請求項5に記載のスイッチ制御装置。
【請求項7】
前記指令部は、前記通電制限部による通電の制限が不可となる場合に、前記スイッチのオフ指令の出力を行わない、請求項5に記載のスイッチ制御装置。
【請求項8】
前記第1電源は、前記電気経路への電力出力の大きさを調整可能に構成されており、
前記診断の実施に際し、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の要求電力に応じて、前記第1電源の電力出力の大きさを変更する電力調整部を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項9】
電気経路(13)を介して接続される第1電源(11)及び第2電源(12)と、
前記電気経路に接続され、前記第1電源及び前記第2電源からの電力の供給が可能になっている電気負荷(31,33)と、
前記電気経路において前記第2電源と前記電気負荷の接続点との間に設けられたスイッチ(40)と、を備え、前記スイッチをオフさせて当該スイッチのオン故障を診断する電源システムに適用され、コンピュータ(50)により実行されるプログラムにおいて、
前記第1電源が前記電気経路へ電力を出力する電力出力状態であるか否かを判定する判定ステップと、
前記診断の実施に際し、前記第1電源が前記電力出力状態であると判定されたことを条件に、前記スイッチに一時的にオフ指令を出力する指令ステップと、を含む処理を前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムのスイッチ制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電源と、各電源からの電力の供給が可能になっている電気負荷と、を備える電源システムが知られている。例えば、特許文献1には、複数の電源を接続する電気経路に電気負荷が接続されるとともに、一方の電源と電気負荷の接続点との間にスイッチが設けられ、そのスイッチがオン状態に固着するオン故障が生じているか否かを診断する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-93694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチのオン故障が生じているか否かを診断する際に、スイッチを一時的にオフさせることがある。スイッチが一時的にオフされると、スイッチを介して電気負荷に接続された電源からの駆動電力の供給が一時的に停止される。この場合、電気負荷の動作が意図せず停止することが懸念される。
【0005】
本発明は、スイッチのオン故障が生じているか否かを診断する際に、電気負荷の動作を停止させないようにすることができるスイッチ制御装置、及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチ制御装置は、
電気経路を介して接続される第1電源及び第2電源と、
前記電気経路に接続され、前記第1電源及び前記第2電源からの電力の供給が可能になっている電気負荷と、
前記電気経路において前記第2電源と前記電気負荷の接続点との間に設けられたスイッチと、を備え、前記スイッチをオフさせて当該スイッチのオン故障を診断する電源システムに適用され、
前記第1電源が前記電気経路へ電力を出力する電力出力状態であるか否かを判定する判定部と、
前記診断の実施に際し、前記第1電源が前記電力出力状態であると判定されたことを条件に、前記スイッチに一時的にオフ指令を出力する指令部と、を備える。
【0007】
上記構成では、スイッチをオフさせて当該スイッチのオン故障が診断される。この場合、スイッチの診断の実施に際し、第2電源から電気負荷への電力供給が一時的に停止され、電気負荷の動作が意図せず停止されることが懸念される。
【0008】
本発明によれば、第1電源が電気経路へ電力を出力する電力出力状態であるか否かが判定されると共に、スイッチの診断の実施に際し、第1電源が電力出力状態であると判定されたことを条件に、スイッチに一時的にオフ指令が出力される。この場合、スイッチがオフされている間における電気負荷の駆動電力が確保される。これにより、意図せず電気負荷の電源失陥が生じることを抑制でき、電気負荷の動作を停止させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る車載電源システムの全体構成図。
図2】制御装置が実行する制御の処理手順を示すフローチャート。
図3】制御装置が実行する制御の動作例を示すタイムチャート。
図4】第1実施形態の変形例に係る制御の動作例を示すタイムチャート。
図5】第1実施形態の変形例に係る制御の動作例を示すタイムチャート。
図6】第1実施形態の変形例に係る制御装置が実行する制御の処理手順を示すフローチャート。
図7】第2実施形態に係る車載電源システムの全体構成図。
図8】制御装置が実行する制御の処理手順を示すフローチャート。
図9】第3実施形態に係る車載電源システムの全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明に係るスイッチ制御装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、スイッチ制御装置は車載の電源システムに適用される。電源システムは、モータを走行動力源とする電動車両に搭載されている。
【0011】
図1に示すように、電源システムは、第1電源11及び第2電源12を有し、それら各電源11,12が電気経路13により接続されている。第1電源11は、高圧バッテリ21と、回転電機22と、DCDCコンバータ23とを備えている。高圧バッテリ21は、複数の単電池の直列接続体として構成されており、高圧バッテリ21の定格電圧は例えば数百Vである。各単電池は、充放電可能な蓄電池であり、具体的には、リチウムイオン蓄電池である。
【0012】
回転電機22は、車両の走行動力源であり、高圧バッテリ21から給電されて車両の駆動輪に動力を伝達する。また、回転電機22は、車両走行時において回生発電を行う発電機として機能する。回転電機22は各相の電流を制御するインバータを有し、高圧バッテリ21とインバータとは接続されている。これにより、高圧バッテリ21と回転電機22との間の通電が可能になっている。DCDCコンバータ23は、高圧バッテリ21に接続されており、高圧バッテリ21側の高電圧を降圧するものとなっている。例えば、DCDCコンバータ23は、高圧バッテリ21側の高電圧を12V~14Vの電圧に降圧する。
【0013】
第2電源12は、低圧バッテリにより構成されている。この低圧バッテリは、定格電圧が高圧バッテリ21よりも低く、例えば12Vである。低圧バッテリは、充放電可能な蓄電池であり、例えば鉛蓄電池又はリチウムイオン蓄電池である。
【0014】
電源システムは、第1負荷31、第2負荷32及び第3負荷33を備えている。各負荷31~33には、第1電源11及び第2電源12からの電力の供給が可能になっている。各負荷31~33は、電気経路13の接続点A,B,Cに接続されている。各負荷31~33は、正極側が電気経路13に接続され、負極側が車体等の接地部位に接続されている。
【0015】
第1~第3負荷31~33には、例えば、各種のECUが含まれている。ECUは、処理した情報を記憶するメモリを内蔵しており、メモリには、車両における前回のトリップにおいて処理された情報が保持される。そのため、第1~第3負荷31~33は、記憶した情報を長時間に亘って保持するべく、暗電流の供給を要求する。第1~第3負荷31~,33は、ECUの他に、少なくとも一部の機能を長時間に亘って継続するべく、暗電流の供給を要求する電気負荷であってもよく、具体的には、ナビゲーション装置、盗難防止装置、及び灯火機器等であってもよい。なお、図1に示す各負荷31~33は、それぞれ単一の電気負荷であってもよいし、複数の電気負荷であってもよい。
【0016】
なお、各負荷31~33は、その他の電気負荷であってもよい。例えば、各負荷31~33は、車両の運転支援制御に用いられる電気負荷であり、具体的には、運転者の操舵をアシストするアシストトルクを発生する電動パワーステアリング装置、車輪に制動力を付与する電動ブレーキ装置、車両周囲の状況をモニタするためのカメラや、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)等のレーザレーダ、ミリ波レーダ、バイワイヤシステム等の車両の運転支援制御に用いられる電気負荷であってもよい。また、例えば、各負荷31~33は、具体的には、エアコン、オーディオ装置、パワーウィンドウ、エンジンの冷却水を冷却するラジエータの電動ファン、ストップランプ、室内灯、USB電源ソケット及び車室外に設けられるミラーを駆動するモータ等の一般的な電気負荷であってもよい。
【0017】
電源システムは、遮断スイッチ40を備えている。遮断スイッチ40は、ノーマリクローズ式のスイッチであり、例えば、リレー、又はMOSFET等の半導体スイッチで構成されている。遮断スイッチ40は、電気経路13において第2負荷32の接続点Bと第3負荷33の接続点Cとの間に設けられている。
【0018】
電源システムは、制御装置50と、遮断スイッチ40に対して第1電源11側に設けられた電圧センサ60及び電流センサ61と、遮断スイッチ40に対して第2電源12側に設けられた電圧センサ62及び電流センサ63と、スイッチ電流センサ64とを備えている。各電圧センサ60,62は、電気経路13の電圧を検出する。第1電源11側の電流センサ61は、第1電源11の出力電流を検出する。第2電源12側の電流センサ63は、第2電源12の出力電流を検出する。スイッチ電流センサ64は、遮断スイッチ40に流れる電流を検出する。各電流センサ61,63,64は、例えば、シャント抵抗やホール素子を用いて電流を検出するものである。制御装置50は、各センサ60~64の検出値を取得する。
【0019】
制御装置50は、CPUや各種メモリを有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置50が提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。
【0020】
例えば、制御装置50は、第2電源12が有する低圧バッテリの端子電圧又はSOCが所定範囲内に収まるように、DCDCコンバータ23の出力電圧を制御する。制御装置50は、低圧バッテリを充電させる場合、DCDCコンバータ23の出力電圧を低圧バッテリの定格電圧よりも高くなるように制御し、低圧バッテリを放電させる場合、DCDCコンバータ23の出力電圧を低圧バッテリの定格電圧よりも低くなるように制御する。例えば、制御装置50は、第2電源12側の各センサ62,63の検出値に基づいて、第2電源12が有する低圧バッテリの端子電圧又はSOCを把握する。
【0021】
例えば、制御装置50は、遮断スイッチ40に流れる電流に基づいて、電気経路13において過度な電流が流れる過電流異常が生じたか否かを判定すると共に、過電流異常が生じたと判定した場合に、遮断スイッチ40をオフする。これにより、電気経路13に過電流が流れることが抑制される。なお、過電流異常は、電気経路13のいずれかの箇所が接地部位と短絡する地絡や、電気負荷の暴走に起因して発生する。例えば、制御装置50は、遮断スイッチ40に流れる電流として、スイッチ電流センサ64の検出値を用いる。
【0022】
制御装置50は、診断部51を備えている。診断部51は、遮断スイッチ40をオフさせて当該スイッチがオン状態に固着するオン故障が生じているか否かを診断する。例えば、診断部51は、スイッチ電流センサ64の検出値や、第2電源12側の電圧センサ62の検出値に基づいて、遮断スイッチ40の診断を行う。
【0023】
ところで、遮断スイッチ40の診断が実施される際に、遮断スイッチ40が一時的にオフされると、第2電源12から第1,第2負荷31,32への駆動電力の供給が一時的に停止される。この場合に、例えばDCDCコンバータ23の電力出力が停止すると、第1電源11から第1,第2負荷31,32への電力供給が不足し、第1,第2負荷31,32の動作が意図せず停止することが懸念される。
【0024】
そこで、制御装置50は、判定部52、指令部53を備えている。判定部52は、第1電源11が電気経路13へ電力を出力する電力出力状態であるか否かを判定する。指令部53は、遮断スイッチ40の診断の実施に際し、第1電源11が電力出力状態であると判定されたことを条件に、遮断スイッチ40に一時的にオフ指令を出力する。
【0025】
図2に、制御装置50により実行される制御の処理手順を示す。この制御は、起動スイッチがオン操作されたことをトリガとして実行される。起動スイッチは、例えばイグニッションスイッチ又はプッシュ式のスタートスイッチであり、車両のユーザにより操作される。
【0026】
ここでは、起動スイッチがオン操作された直後において、DCDCコンバータ23の動作は停止しており、第2電源12により各負荷31~33の駆動電力が供給されている状況を想定する。
【0027】
ステップS10において、電気経路13の経路電圧を取得する。そして、取得した経路電圧を制御装置50が有するメモリに記憶する。この場合、起動スイッチのオン直後ではDCDCコンバータ23の動作が停止しているため、電気経路13の経路電圧は第2電源12の出力電圧に応じた値となる。
【0028】
ステップS11において、第2電源12の出力電圧よりもDCDCコンバータ23の出力電圧が高くなるように、DCDCコンバータ23の電力出力指令を出力する。具体的には、DCDCコンバータ23の電力出力指令は、DCDCコンバータ23が有するスイッチの駆動指令である。
【0029】
ステップS12において、電力出力指令の出力後における電気経路13の経路電圧を取得する。この場合、電気経路13の経路電圧は、DCDCコンバータ23の出力電圧に応じた値となる。なお、ステップS10,S12の処理において、電気経路13の経路電圧としては、第1電源11側の電圧センサ60の検出値、及び第2電源12側の電圧センサ62の検出値の少なくともいずれか一方を用いることが可能である。
【0030】
ステップS13において、第1電源11が電力出力状態であるか否かを判定する。本実施形態では、電力出力指令の出力後において電気経路13の経路電圧が上昇したか否かを判定する。具体的には、ステップS12の処理で取得した経路電圧から、ステップS10の処理で取得した経路電圧(すなわち、メモリに記憶される電圧)を差し引いた電圧上昇値が所定の閾値より高いか否かを判定する。閾値は、0Vより高い値である。ステップS13において肯定判定した場合、ステップS14に進む。ステップS13において否定判定した場合、ステップS18に進む。
【0031】
ステップS14において、遮断スイッチ40を所定の期間オフさせる旨のオフ指令を出力する。
【0032】
ステップS15において、遮断スイッチ40のオフ指令が出力された状態で、電気経路13における第2電源12側の経路電圧を取得する。電気経路13における第2電源12側の経路電圧としては、第2電源12側の電圧センサ62の検出値を用いることが可能である。診断部51は、遮断スイッチ40のオフ指令が出力されている期間内にステップS15の処理を実行する。
【0033】
ステップS16において、電気経路13における第2電源12側の経路電圧に基づいて、遮断スイッチ40のオン故障の有無を判定する。ステップS16において遮断スイッチ40のオン故障が生じていないと判定した場合、ステップS17に進む。一方、ステップS16において遮断スイッチ40のオン故障が生じていると判定した場合、ステップS18に進む。
【0034】
例えば、遮断スイッチ40のオン故障が生じていなければ、遮断スイッチ40のオフ指令が出力された場合、遮断スイッチ40が実際にオフされ、電気経路13における第2電源12側の経路電圧は電力出力指令の出力前の値に戻ると考えられる。そのため、ステップS15において取得した経路電圧と、ステップS10の処理で取得した経路電圧との差の絶対値が所定の判定値以下の場合に、遮断スイッチ40のオン故障が生じていないと判定する。一方、遮断スイッチ40のオン故障が生じていれば、遮断スイッチ40のオフ指令が出力されても、遮断スイッチ40が実際にはオフされず、電気経路13における第2電源12側の経路電圧は電力出力指令の出力後のままになると考えられる。そのため、診断部51は、上述した経路電圧の差の絶対値が判定値を超える場合に、遮断スイッチ40のオン故障が生じていると判定する。ここでは、判定値は、例えば正値でありかつ0付近の値である。
【0035】
なお、遮断スイッチ40におけるオン故障の有無の判定方法は上述したものに限らない。例えば、遮断スイッチ40に流れる電流を取得し、その取得値に基づいて、遮断スイッチ40のオン故障の有無を判定してもよい。この場合、オフの状態で遮断スイッチ40に流れる電流が判定値よりも小さい場合に、遮断スイッチ40のオン故障が生じていないと判定する。一方、オフの状態で遮断スイッチ40に流れる電流が判定値以上である場合に、遮断スイッチ40のオン故障が生じていると判定する。ここでは、判定値は、例えば0より大きい値である。なお、遮断スイッチ40に流れる電流としては、スイッチ電流センサ64の検出値を用いることが可能である。
【0036】
ステップS17,S18において、フラグを設定する。例えば、フラグは、制御装置50に対して上位の制御装置に伝達され、自動運転モードへの移行の可否を設定するのに用いられる。具体的には、フラグがオフの場合に、自動運転モードへの移行が許可され、フラグがオンの場合に、自動運転モードへの移行が禁止される。ステップS17では、フラグをオフに設定する。一方、ステップS18では、フラグをオンに設定する。
【0037】
なお、上位の制御装置は、フラグがオンである場合に、遮断スイッチ40のオン故障が生じた旨をユーザに通知する処理を行ってもよい。
【0038】
図3に、制御装置50が実行する制御の一例を示す。図3に示す動作例は、遮断スイッチ40にオン故障が生じていない場合の動作例である。図3において、(a)は電気経路13において遮断スイッチ40よりも第2電源12側の電圧V2の推移を示し、(b)は電気経路13において遮断スイッチ40よりも第1電源11側の電圧V1の推移を示し、(c)は遮断スイッチ40のオンオフを示す。図3では、時刻t1以前において、第1電源11の電力出力が生じていないとしている。
【0039】
制御装置50は、時刻t1において、電気経路13の経路電圧を取得し、取得した電圧値Vaをメモリに記憶する。制御装置50は、時刻t2において、DCDCコンバータ23の電力出力指令を出力する。これにより、第1電源11側の電圧V1及び第2電源12側の電圧V2が上昇する。
【0040】
制御装置50は、時刻t3において、電力出力指令の出力後における電気経路13の経路電圧を取得し、取得した電圧値からメモリに記憶された電圧値Vaを差し引いた電圧上昇値が閾値より高いと判定する。これに伴い、制御装置50は、遮断スイッチ40のオフ指令を出力する。これにより、遮断スイッチ40がオフされるため、第2電源12側の電圧V2が電力出力指令の出力前の値に戻る。制御装置50は、遮断スイッチ40のオフ指令が出力されている間において、第2電源12側の電圧センサ62の検出値を取得する。制御装置50は、取得した第2電源12側の電圧センサ62の検出値に基づいて、遮断スイッチ40のオン故障の有無を判定し、その判定結果に応じて故障フラグを設定する。
【0041】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0042】
第1電源11が電気経路13へ電力を出力する電力出力状態であるか否かが判定されると共に、遮断スイッチ40の診断の実施に際し、第1電源11が電力出力状態であると判定されたことを条件に、遮断スイッチ40に一時的にオフ指令が出力される。この場合、遮断スイッチ40がオフされている間における第1負荷31及び第2負荷32の駆動電力が確保される。これにより、意図せず第1負荷31及び第2負荷32の電源失陥が生じることを抑制でき、第1負荷31及び第2負荷32の動作を停止させないようにすることができる。
【0043】
電気経路13の経路電圧に基づいて、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定が行われる。具体的には、電力出力指令の出力後において電気経路13の経路電圧が上昇した場合に、第1電源11が電力出力状態であると判定される。これにより、第1電源11が電力出力状態であることを的確に判定することができる。
【0044】
<第1実施形態の変形例>
・先の図2のステップS13の処理において、第1電源11が電力出力状態であるか否かを判定する判定方法を変更してもよい。ここでは、第1電源11の出力電流を用いた判定方法について説明する。
【0045】
ステップS13において、第1電源11の出力電流を取得し、第1電源11の出力電流が所定の閾値電流Ith1を超えていると判定した場合、第1電源11が電力出力状態であると判定する。第1電源11の出力電流としては、第1電源11側の電流センサ61の検出値を用いることが可能である。一方、第1電源11の出力電流が閾値電流Ith1以下であると判定した場合、第1電源11が電力出力状態でないと判定する。例えば、閾値電流Ith1は、0より大きい値である。
【0046】
図4に、本実施形態に係る制御装置50が実行する制御の動作例を示す。図4(b)は第1電源11の出力電流I1の推移を示す。なお、図4(a),(c)は、先の図3(b),(c)に対応している。
【0047】
制御装置50は、時刻t1において、DCDCコンバータ23の電力出力指令を出力する。これにより、電気経路13における遮断スイッチ40に対して第1電源11側の電圧V1、及び第1電源11の出力電流I1が上昇する。制御装置50は、時刻t2において、第1電源11の出力電流が閾値電流Ith1を超えていると判定する。これに伴い、制御装置50は、遮断スイッチ40のオフ指令を出力する。これにより、遮断スイッチ40がオフされる。
【0048】
・第2電源12に流れる電流を用いて遮断スイッチ40の診断を実行してもよい。
【0049】
ステップS13において、第2電源12に流れる電流を取得する。ここでは、第2電源12が有する低圧バッテリが充電される向きに流れる電流を正とし、第2電源12が有する低圧バッテリが放電される向きに流れる電流を負として、第2電源12に流れる電流を取得する。第2電源12に流れる電流が所定の閾値電流Ith2を超えていると判定した場合、第1電源11が電力出力状態であると判定する。閾値電流Ith2は、例えば、0以上の値に設定される。つまり、閾値電流Ith2は、第1電源11から第2電源12に向けて、電気経路13に電流が流れていることを判定可能な値に設定される。第2電源12に流れる電流としては、第2電源12側の電流センサ63の検出値を用いる。
【0050】
図5に、本実施形態に係る制御装置50が実行する制御の動作例を示す。図5(b)は、第2電源12に流れる電流I2の推移を示す。なお、図5(a),(c)は、先の図4(a),(c)に対応している。
【0051】
制御装置50は、時刻t1において、DCDCコンバータ23の電力出力指令を出力する。これにより、電気経路13における遮断スイッチ40に対して第1電源11側の電圧V1、及び第2電源12に流れる電流I2が上昇する。制御装置50は、時刻t2において、第2電源12に流れる電流が閾値電流Ith2を超えていると判定する。これに伴い、制御装置50は、遮断スイッチ40のオフ指令を出力する。これにより、遮断スイッチ40がオフされる。
【0052】
本実施形態によれば、第2電源12側の電流センサ63の検出値が、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定に用いられる。第2電源12側の電流センサ63の検出値は、例えば第2電源12が有する低圧バッテリのSOCを把握するのにも用いられる。この場合、電源システムに設けられるセンサが増大することを抑制しつつ、遮断スイッチ40の診断を実行することができる。
【0053】
・遮断スイッチ40に流れる電流を用いて遮断スイッチ40の診断を実行してもよい。この場合、ステップS13において、上述した第2電源12に流れる電流を用いた遮断スイッチ40の診断と同様の処理を実行する。遮断スイッチ40に流れる電流としては、スイッチ電流センサ64の検出値を用いることが可能である。なお、先の図5(b)を遮断スイッチ40に流れる電流の推移を示すとした場合に、本実施形態に係る制御装置50が実行する制御の動作例は、図5と同様である。
【0054】
本実施形態によれば、スイッチ電流センサ64の検出値が、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定に用いられる。スイッチ電流センサ64の検出値は、例えば過電流異常を検出するのにも用いられる。この場合、電源システムに設けられるセンサが増大することを抑制しつつ、遮断スイッチ40の診断を実行することができる。
【0055】
・先の図2のステップS13の処理において、電気経路13の経路電圧が所定の閾値電圧を超えている場合に、第1電源11が電力出力状態であると判定してもよい。この場合、ステップS10の処理を実行しなくてもよい。なお、閾値電圧は、例えば第2電源12が有する低圧バッテリの定格電圧よりも高い値である。
【0056】
・先の図2のステップS13の処理において、電気経路13の経路電圧、第1電源11の出力電流、第2電源12に流れる電流及び遮断スイッチ40に流れる電流のうち少なくとも2つを用いて、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定を実行してもよい。
【0057】
・先の図2のステップS13の処理において、DCDCコンバータ23の電力出力指令が出力されていると判定した場合に、第1電源11が電力出力状態であると判定してもよい。この場合、ステップS10,S12の処理を実行しなくてもよい。
【0058】
・本実施形態では、制御装置50は、図6に示す制御を実行する。この制御は、起動スイッチがオン操作された場合に実行されることに代えて、所定周期ごとに実行される。ここでは、車両が走行しており、DCDCコンバータ23の動作中において遮断スイッチ40の診断が行われる状況を想定する。図6において、先の図2に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
【0059】
本実施形態では、先の図2のステップS10~S12の処理を実行することに代えて、図6に示すように、ステップS20の処理を実行する。ステップS20において、電気経路13において遮断スイッチ40よりも第1電源11の側に接続されている第1,第2負荷31,32の要求電力に応じて、第1電源11の電力出力の大きさを変更する。具体的には、第1,第2負荷31,32の要求電力が高いほど、DCDCコンバータ23の出力電圧の設定値を高く設定する。ステップS20の処理が「電力調整部」に相当する。
【0060】
ステップS13では、第1電源11の出力電流、第2電源12に流れる電流及び遮断スイッチ40に流れる電流のうち少なくとも1つを用いて、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定を実行する。
【0061】
本実施形態によれば、第1,第2負荷31,32の要求電力が大きいほど、DCDCコンバータ23の出力電圧の設定値が高く設定される。これにより、第1,第2負荷31,32の要求電力が増大しても、第1電源11から第1,第2負荷31,32への駆動電力の供給を可能とすることができる。そのため、遮断スイッチ40の診断中において、第1電源11から第1,第2負荷31,32への駆動電力の供給が不足する事態の発生を的確に抑制することができる。
【0062】
・先の図2のステップS13の処理において、第1電源11が電力出力状態であるか否かを判定する判定条件を変更してもよい。
【0063】
電気経路13において遮断スイッチ40よりも第1電源11側では、第1負荷31及び第2負荷32の少なくとも一方の要求電力が変わることが考えられ、第1負荷31及び第2負荷32の動作保証をするには、要求電力の変化を見込んで、第1電源11から第1負荷31及び第2負荷32への電力供給の適否を判定する判定条件を定めておくことが望ましい。また、判定条件が狭すぎると、遮断スイッチ40の診断の機会が不要に減ることが懸念される。
【0064】
そこで、判定部52は、電気経路13において、遮断スイッチ40よりも第1電源11側に接続されている第1負荷31及び第2負荷32の要求電力に応じて、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する。
【0065】
具体的には、先の図2のステップS13において、第1負荷31の要求電力及び第2負荷32の要求電力の少なくともいずれか一方が高いほど、第1電源11の出力電力が高くなる側に判定条件を変更する。例えば、DCDCコンバータ23の電力出力指令が出力される前後における電圧上昇値を用いて電力出力状態の判定を実行する場合に、各負荷31,32の要求電力の合計要求電力が高いほど、判定に用いる閾値を高く設定する。
【0066】
本実施形態によれば、各負荷31,32の要求電力の少なくともいずれか一方に応じて、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する構成とした。これにより、各負荷31,32の要求電力が変わることを想定しつつ、適切な故障診断を実現できる。
【0067】
・電気経路13に第3負荷33を設けない構成とすることが可能である。
【0068】
<第2実施形態>
本実施形態では、遮断スイッチ40の診断の実施に際し、第2負荷32への通電が制限される。
【0069】
本実施形態では、第1負荷31は、第2負荷32に比べて、遮断スイッチ40の診断において動作を継続させることが優先される負荷であるとする。例えば、第1負荷31は、ECU等の少なくとも一部の機能の継続が長時間に亘って要求される電気負荷であり、第2負荷32は、一般的な電気負荷である。この場合、遮断スイッチ40診断が実施される際に、第2負荷32が動作していることに起因して、第1負荷31への電力供給が不足することが懸念される。この点に鑑みて、本実施形態では、遮断スイッチ40の診断の実施に際し、第2負荷32への通電が制限される。
【0070】
図7に示すように、電源システムは、負荷スイッチ41を備えている。負荷スイッチ41は、ノーマリクローズ式のスイッチであり、例えば、リレー、又はMOSFET等の半導体スイッチで構成されている。負荷スイッチ41は、第2負荷32の接続点Bと、第2負荷32の正極側とを接続する電気経路に設けられている。制御装置50は、遮断スイッチ40のオフ指令の出力の前に、負荷スイッチ41をオフすることにより、第2負荷32への通電を制限する。なお、図7において、先の図1と重複する構成については、便宜上、同一の符号を付すと共に一部を不図示としている。
【0071】
電源システムは、負荷スイッチ41に流れる電流を検出する負荷電流センサ65を備えている。負荷電流センサ65は、例えば、シャント抵抗やホール素子を用いて電流を検出するものである。
【0072】
指令部53は、第2負荷32への通電の制限が不可となる場合に、遮断スイッチ40のオフ指令の出力を行わない。例えば、指令部53は、オフの状態で負荷スイッチ41に流れる電流を取得し、その取得した電流値が所定値以上である場合、第2負荷32への通電の制限が不可であるとし、遮断スイッチ40のオフ指令の出力を行わない。負荷スイッチ41に流れる電流としては、負荷電流センサ65の検出値を用いることが可能である。なお、第2負荷32への通電の制限が不可となる状況としては、負荷スイッチ41にオン故障が生じている状況が考えられる。
【0073】
図8に示すように、ステップS30において、第2負荷32への通電の制限が不可であるか否かを判定する。ステップS30において否定判定した場合、ステップS31に進む。ステップS31において、遮断スイッチ40の診断の実施に際し、遮断スイッチ40のオフ指令の出力の前に、負荷スイッチ41をオフすることにより第2負荷32への通電を制限する。一方、ステップS30において肯定判定した場合、ステップS18に進む。つまり、第2負荷32への通電の制限が不可であると判定した場合、遮断スイッチ40のオフ指令の出力を行わない。なお、ステップS31の処理が「通電制限部」に相当する。図8において、先の図2に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
【0074】
遮断スイッチ40の診断の実際に際して、第2負荷32への通電が制限されることにより、遮断スイッチ40がオフされている間において、第1電源11から、第2負荷32への駆動電力の供給よりも、第1負荷31への駆動電力の供給が優先して行われる。その結果、第1負荷31への駆動電力の供給が不足することを的確に抑制することができる。
【0075】
遮断スイッチ40の診断の実施に際して、第2負荷32への通電の制限が不可であると判定された場合、遮断スイッチ40のオフ指令が出力されない構成とした。これにより、第1負荷31への駆動電力の供給が不足する懸念のある状況では、遮断スイッチ40の診断を行わないようにすることができる。
【0076】
<第2実施形態の変形例>
・先の図8のステップS31において、負荷スイッチ41をオフすることに代えて、第2負荷32の動作を停止したり、第2負荷32の要求電力を低減したりすることにより、第2負荷32への通電を制限してもよい。
【0077】
・先の図8のステップS31において、電気経路13において、遮断スイッチ40よりも第1電源11の側に接続されている各負荷31,32の要求電力に応じて、第2負荷32への通電を制限する。例えば、各負荷31,32の要求電力の合計電力が所定電力以上である場合に、第2負荷32への通電を制限し、合計電力が所定電力を下回る場合に、第2負荷32への通電の制限を行わない。本実施形態によれば、第1負荷31への電力供給が不足する可能性が低い状況では、第2負荷32の機能が不要に制限されることを抑制できる。
【0078】
・先の図8のステップS30の処理を行わなくてもよい。
【0079】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態に対して、電源システムの構成を変更している。本実施形態では、図9に示すように、電気経路13には、各負荷31~33の接続点どうしの間となる複数の位置にそれぞれ遮断スイッチ40が設けられている。すなわち、
・電気経路13において、各負荷31,32の接続点A,Bの間となる位置と、
・電気経路13において、各負荷32,33の接続点B,Cの間となる位置と、
において遮断スイッチ40がそれぞれ設けられている。図9では、電気経路13において接続点A,Bの間に設けられた遮断スイッチ40を「遮断スイッチ40a」とし、電気経路13において接続点B,Cの間に設けられた遮断スイッチ40を「遮断スイッチ40b」としている。なお、図9において、先の図1と重複する構成については、便宜上、同一の符号を付すと共に一部を不図示としている。
【0080】
指令部53は、電気経路13に設けられた複数の遮断スイッチ40a,40bに一時的にオフ指令を出力する。本実施形態では、指令部53は、各遮断スイッチ40a,40bの診断の実施に際し、電気経路13に設けられた各遮断スイッチ40a,40bを1つずつオフ対象としてオフ指令を出力する。例えば、指令部53は、遮断スイッチ40aをオフ対象としてオフ指令を出力し、遮断スイッチ40aの診断が行われた後、遮断スイッチ40bをオフ対象としてオフ指令を出力する。
【0081】
上記構成では、遮断スイッチ40aに対して電気経路13の第1電源11側には、第1負荷31が接続され、遮断スイッチ40bに対して電気経路13の第1電源11側には、第1,第2負荷31,32が接続されている。この場合、遮断スイッチ40bがオフされた場合、遮断スイッチ40aがオフされた場合に比べて、電気経路13において第1電源11側に接続されている電気負荷の数が多いことに起因して、第1電源11から第1,第2負荷31,32への駆動電力の供給が不足する可能性が高くなると考えられる。
【0082】
そこで、判定部52は、電気経路13において、指令部53によりオフ対象となる遮断スイッチ40よりも第1電源11の側に接続されている電気負荷の数に応じて、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する。
【0083】
具体的には、判定部52は、遮断スイッチ40bをオフ対象とする場合において、遮断スイッチ40aをオフ対象とする場合に比べて、第1電源11の出力電力が高くなる側に判定条件を変更する。例えば、判定部52は、DCDCコンバータ23の電力出力指令が出力される前後における電圧上昇値を用いて電力出力状態の判定を実行する場合に、電気経路13においてオフ対象の遮断スイッチ40に対して第1電源11側に接続されている電気負荷の数が多いほど、判定に用いる閾値を高く設定する。
【0084】
本実施形態によれば、電気経路13において、遮断スイッチ40a,40bに対して第1電源11側に接続されている電気負荷の数に応じて、第1電源11が電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する構成とした。これにより、電気負荷の数が変わることにより、電気負荷の要求電力が変わることを想定しつつ、適切な故障診断を実現できる。
【0085】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0086】
・第1電源11の構成を変更してもよい。例えば、第1電源11を充放電可能な蓄電池としてもよい。
【0087】
・遮断スイッチ40及び負荷スイッチ41は、ノーマリクローズ式のスイッチでなくてもよい。
【0088】
・電源システムは、車両に搭載されるもの以外であってもよく、車両以外の移動体に搭載されていてもよい。また、電源システムは定置式のものであってもよい。
【0089】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0090】
上述の実施形態から抽出される技術思想を以下に記載する。
[構成1]
電気経路(13)を介して接続される第1電源(11)及び第2電源(12)と、
前記電気経路に接続され、前記第1電源及び前記第2電源からの電力の供給が可能になっている電気負荷(31~33)と、
前記電気経路において前記第2電源と前記電気負荷の接続点との間に設けられたスイッチ(40)と、を備え、前記スイッチをオフさせて当該スイッチのオン故障を診断する電源システムに適用され、
前記第1電源が前記電気経路へ電力を出力する電力出力状態であるか否かを判定する判定部と、
前記診断の実施に際し、前記第1電源が前記電力出力状態であると判定されたことを条件に、前記スイッチに一時的にオフ指令を出力する指令部と、を備える、スイッチ制御装置(50)。
[構成2]
前記判定部は、前記電気経路の経路電圧、前記第1電源の出力電流、及び前記電気経路に流れる電流の向きの少なくともいずれかに基づいて、前記第1電源が前記電力出力状態であるか否かを判定する、構成1に記載のスイッチ制御装置。
[構成3]
前記判定部は、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の要求電力に応じて、前記第1電源が前記電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する、構成1又は2に記載のスイッチ制御装置。
[構成4]
前記電気経路には、前記電気負荷が複数接続され、電気負荷の接続点どうしの間となる複数の位置にそれぞれ前記スイッチ(40a,40b)が設けられており、
前記指令部は、前記診断の実施に際し、前記電気経路に設けられた複数の前記スイッチを1つずつオフ対象としてオフ指令を出力するものであり、
前記判定部は、前記電気経路において、前記指令部によりオフ対象となる前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の数に応じて、前記第1電源が前記電力出力状態であるか否かの判定条件を変更する、構成1~3のいずれか1つに記載のスイッチ制御装置。
[構成5]
前記診断の実施に際し、前記指令部による前記スイッチのオフ指令の出力の前に、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷への通電を制限する通電制限部を備える、構成1~4のいずれか一つに記載のスイッチ制御装置。
[構成6]
前記通電制限部は、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の要求電力に応じて、当該電気負荷への通電を制限する、請求項5に記載のスイッチ制御装置。
[構成7]
前記指令部は、前記通電制限部による通電の制限が不可となる場合に、前記スイッチのオフ指令の出力を行わない、構成5又は6に記載のスイッチ制御装置。
[構成8]
前記第1電源は、前記電気経路への電力出力の大きさを調整可能に構成されており、
前記診断の実施に際し、前記電気経路において前記スイッチよりも前記第1電源の側に接続されている前記電気負荷の要求電力に応じて、前記第1電源の電力出力の大きさを変更する電力調整部を備える、構成1~7のいずれか1つに記載のスイッチ制御装置。
【符号の説明】
【0091】
11…第1電源、12…第2電源、31~33…第1~第3負荷、40…遮断スイッチ、50…制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9