(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114103
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】樹脂製グレーチング
(51)【国際特許分類】
E03F 5/06 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
E03F5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019541
(22)【出願日】2023-02-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月1日から同年12月9日の間、株式会社保全コーポレーションが、蔦井株式会社およびツタイ工業株式会社の事務所内において、樹脂製グレーチングの作成図面を提示して公開した。 株式会社保全コーポレーションが、廃プラスチック高度化補助事業に応募するため一般社団法人日本有機資源協会宛に樹脂製グレーチングの構造を記した電子メールを令和4年8月2日に送信し、翌3日に同法人からの受領メールを受信した。 株式会社保全コーポレーションが、3Dプリンタによるサンプル製作のため令和4年9月26日株式会社市川金属を訪問し、3Dデータを開示した。また、同日、同社に対し、樹脂製グレーチングの製造時における流動解析を行うため名古屋市工業研究所に流動解析を行うことについて依頼した。 株式会社保全コーポレーションが、樹脂加工業者の紹介依頼のため令和4年10月3日モリマーマテックス株式会社東京本部を訪れ、樹脂製グレーチングの構造について説明し、翌4日に樹脂製グレーチングの図面を送付した。 株式会社保全コーポレーションが、流動解析の結果と製造の可能性を確認するため令和4年11月16日および同年同月24日の両日、名古屋市工業研究所を訪問し、流動解析結果の説明を受ける際の資料として、作成図面および3Dプリンタによるサンプルを開示した。
(71)【出願人】
【識別番号】523049775
【氏名又は名称】株式会社保全コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(72)【発明者】
【氏名】都築 相鳳
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CB03
2D063CB08
2D063CB12
(57)【要約】
【課題】 浮遊物を含む流体の流入を維持させ得るグレーチングを廃棄用プラスチック等の合成樹脂で構成したものを提供する。
【解決手段】 断面形状を概略U字状に形成される側溝その他の排水溝に対し、その開口部に設置されるものである。長手方向を排水溝の開口部の幅方向としつつ平面部を高さ方向に配置される複数の横片部と、長手方向を排水溝の長手方向としつつ平面部を高さ方向に配置される複数の縦片部とを相互に交差させて、立体的な格子状の本体部を形成する。複数の横片部は、上端縁が、部分的または全体的に上方へ隆起した形状である。複数の縦片部は、格子状の本体部の両側に配置されて排水溝の開口部の内側に挿入される挿入部材と、それ以外の格子構成部材とに区分される。横片部または格子構成部材のいずれか一方は、他方の上端縁よりも外方に突出する上端縁を有する構成とする。挿入部材は、排水溝の開口部の内側表面に当接する当接面を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状を概略U字状に形成される側溝その他の排水溝に対し、その開口部に設置されるグレーチングにおいて、廃棄用プラスチックその他の合成樹脂によって一体成形されてなる樹脂製グレーチングであって、
長手方向を前記開口部の幅方向としつつ平面部を高さ方向に配置される複数の横片部と、長手方向を前記排水溝の長手方向としつつ平面部を高さ方向に配置される複数の縦片部とを相互に交差させて、立体的な格子状の本体部を形成してなり、
前記複数の横片部は、上端縁が、部分的または全体的に上方へ隆起した形状であり、
前記複数の縦片部は、前記格子状の本体部の両側に配置されて前記排水溝の開口部の内側に挿入される二つの挿入部材と、それ以外の複数の縦片部を構成する複数の格子構成部材とに区分されるものであり、
前記複数の横片部または前記複数の格子構成部材のいずれか一方は、その全部または一部において他方の上端縁よりも外方に突出する上端縁を有する構成としており、
前記二つの挿入部材は、前記排水溝の開口部の両側に位置する内側表面に個別に当接する当接面を有するものである
ことを特徴とする樹脂製グレーチング。
【請求項2】
前記挿入部材は、前記横片部の下端縁よりも外方に突出させ、前記排水溝の開口部の内側表面との間で圧着可能な圧着面を有するものである請求項1に記載の樹脂製グレーチング。
【請求項3】
前記横片部の上端縁は、全体的に弧状を形成した状態で隆起させ、または一部が山形に突出する状態で隆起させるものである請求項2に記載の樹脂製グレーチング。
【請求項4】
前記複数の格子構成部材のうち、前記横片部の上端縁が隆起する部分の頂点に配置される格子構成部材を除く他の格子構成部材が、前記複数の横片部の上端縁よりも外方に突出する上端縁を有するものである請求項3に記載の樹脂製グレーチング。
【請求項5】
前記複数の横片部の上端縁は、該横片部の中央の1箇所を頂点として隆起させるものであり、前記複数の格子構成部材のうち上端縁を突出させた格子構成部材は、前記横片部の頂点を境に両側に対称に配置されるものである請求項4に記載の樹脂製グレーチング。
【請求項6】
前記複数の横片部の末端は、前記排水溝の開口部両側縁部の上側表面に掛止される掛止片部が該横片部に連続して設けられている請求項1~5のいずれかに記載の樹脂製グレーチング。
【請求項7】
前記挿入部材の上端縁は、前記掛止片部の下面の位置よりも下位となるように形成されている請求項6に記載の樹脂製グレーチング。
【請求項8】
前記複数の横片部のうち任意の1または複数の横片部は、他の横片部よりも幅広に構成されており、前記幅広な横片部に設けられる前記掛止片部は、当該幅寸法が維持されつつ、前記排水溝の開口部両側縁部の上側表面に掛止されるものである請求項7に記載の樹脂製グレーチング。
【請求項9】
前記幅広な横片部に設けられる掛止片部は、1または複数の貫通孔を有するものである請求項8に記載の樹脂製グレーチング。
【請求項10】
前記複数の横片部の末端に設けられる掛止片部のうち、前記縦片部の両端との間で交差する横片部に設けられる掛止片部の一方には凸状部が設けられ、他方には凹状部が設けられている請求項7に記載の樹脂製グレーチング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝その他の排水溝に使用するグレーチングに関し、特に廃棄用プラスチックその他の合成樹脂製によって一体成形されてなる樹脂製グレーチングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
専ら屋外に設置される排水溝の開口部、特に側溝の開口部は、一般的に、コンクリート製の側溝蓋によって閉塞され、集水部(集水升等)に金属製のグレーチングが用いられてきた。これは、側溝が道路の両側に埋設されるものであることから、車両または歩行者等が側溝蓋に乗り上げる状態を考慮して、丈夫な構造とするためである。また、比較的幅広の排水溝にあっては、コンクリート製の蓋と金属製のグレーチングを交互に、または適宜間隔に金属製のグレーチングを設置されてきた。ところが、近時多発する豪雨における雨量の多さによって、側溝に流入しない雨水が氾濫するといった事態を生じさせている。側溝に雨水が予定どおりに流入しない原因としては、落ち葉やプラスチック容器(袋など)が雨水と同時にグレーチングに集中し、これらがグレーチングの溝を閉塞するためであると想定される。そこで、落葉集積具なるもの(特許文献1参照)またはアーチ型のグレーチング(特許文献2参照)が開発されている。
【0003】
特許文献1に開示される技術は、グレーチングに向かって流下するように設けられている流路(側溝蓋等)の途中に、複数の突起を有する落葉集積具を設けることにより、当該流路に沿って流される落葉を突起によって滞留させ、滞留する一部の落葉を核として他の落葉を堆積させるというものであった。しかしながら、上記の技術では、雨水が流路に沿って緩やかに流下する場合には、想定どおりに落葉を滞留させ、それを核として他の落葉を堆積できることがあるとしても、想定を超える雨水の流下や多量の落葉が流下する場合は、流下速度や水圧等によって落葉堆積具を通過し、または堆積した落葉とともにグレーチングに集中することがあり得た。
【0004】
他方、特許文献2に開示される技術は、グレーチングの縦桟(流路方向に平行部材)をアーチ状とするものであり、流路に沿って流下する雨水とともに流下する落葉をグレーチングにおいて集積させるものである。しかしながら、このような構成のグレーチングは、前述の落葉集積具と同様に、流路に沿って雨水が流下し、グレーチングに落葉が集中するような場合には、雨水に浮上する落葉をアーチの上部に集積させることができるとしても、想定を超える量の雨水または落葉が集中する場合は、グレーチング全体が落葉によって覆われることとなり、集中豪雨に際しては機能し得ない事態が懸念されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-174902号公報
【特許文献2】特開2016-125209号公報
【特許文献3】特開2018-150779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前掲の特許文献1および2に開示される技術は、いずれも市街地の車道等に設置されるL型側溝を前提とするものであり、落葉や雨水の集中量が比較的少ない場所におけるものであった。しかしながら、山道や法面下部に設けられる側溝は、斜面による傾斜によって雨水が集中し、また、近隣に存在する多数の樹木から舞い落ちる葉の量も極めて多く、雨水とともに側溝に落葉が流入し、その結果として、側溝そのものが機能不全となり、また、グレーチング等の流入蓋の表面は落葉で閉塞される状態となっていた。同様に多量のゴミ等の浮遊物が集積する場合も同様であった。
【0007】
通常、雨水等の排水の効率を向上させるためには、側溝の全体的にグレーチングを使用することが好ましいが、全てを金属製のグレーチングにすることは全体として高価にならざるを得なかった。そこで、本願の出願人は、落葉等の流入を阻害しつつ雨水の流入を容易にする側溝蓋を開発した(特許文献3参照)。
【0008】
しかしながら、当該側溝蓋は、金属製であることを前提とするものであったことから、近時の金属材料の高騰により、製造原価が比較的高いものとなっていた。他方、廃棄されるプラスチックの一部が海洋汚染の要因となっており、持続可能な開発目標の観点から再利用すべきことが推進されているところであるが、有効な再利用方法が見出せず、再利用業者における分別作業を経由するため、廃棄コストの上昇を将来させていた。
【0009】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、大量の落葉等が雨水に混入する状況においても、雨水の側溝への流入を維持させ得るグレーチングを廃棄用プラスチック等の合成樹脂で構成したものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、断面形状を概略U字状に形成される側溝その他の排水溝に対し、その開口部に設置されるグレーチングにおいて、廃棄用プラスチックその他の合成樹脂によって一体成形されてなる樹脂製グレーチングであって、長手方向を前記開口部の幅方向としつつ平面部を高さ方向に配置される複数の横片部と、長手方向を前記排水溝の長手方向としつつ平面部を高さ方向に配置される複数の縦片部とを相互に交差させて、立体的な格子状の本体部を形成してなり、前記複数の横片部は、上端縁が、部分的または全体的に上方へ隆起した形状であり、前記複数の縦片部は、前記格子状の本体部の両側に配置されて前記排水溝の開口部の内側に挿入される二つの挿入部材と、それ以外の複数の縦片部を構成する複数の格子構成部材とに区分されるものであり、前記複数の横片部または前記複数の格子構成部材のいずれか一方は、その全部または一部において他方の上端縁よりも外方に突出する上端縁を有する構成としており、前記二つの挿入部材は、前記排水溝の開口部の両側に位置する内側表面に個別に当接する当接面を有するものであることを特徴とする。
【0011】
なお、複数の横片部または複数の格子構成部材の上端縁に関し、その全部または一部において他方の上端縁よりも外方に突出するとの意味は、選択されたいずれか一方(横片部または格子構成部材)の全てを突出させるのか、さらに選択された数個のみを突出させるのかを任意に定める場合のほか、選択された一方の上縁部全体のうちの一部を(一つの横片部または格子構成部材について上端縁を部分的に)突出させるのか、上端縁全体を突出させるのかを任意に定める場合をも含む概念である。また、「外方に突出する」ことの意味は、基本的には上端縁を上方へ突出することであるが、横片部の上端縁が、部分的または全体的に上方へ隆起した形状としているため、斜め上方を含むものである。さらに、排水溝とは、屋外において雨水等を排水させるための側溝その他の排水溝を代表的に示す意味であって、工場等の屋内において液体を排出させる場合は排液溝を含み、屋内設置の排液溝は、屋外用と同様に埋設される構造のほか、床面構造体と一体的に構成される溝状構造物である場合を含むものである。
【0012】
上記構成によれば、本体部は、板状の横片部および縦片部のそれぞれの平面部を高さ方向に配置しつつ相互に交差させた立体的な格子状とすることにより、当該格子状となっている領域全体を十分な強度に維持させている。複数の縦片部は幅方向に適宜間隔を有して配置されることとなり、両側に位置する縦片部(挿入部材)が排水溝の内側に挿入されることにより、その外側表面(当接面)が排水溝の開口部の内側表面に当接可能となっている。そして、一般的なコンクリート製の排水溝は、開口部の内側表面を含む対向側面が、底面に向かって接近するような勾配が形成されていることから、このような形状の排水溝の場合には、樹脂製グレーチングの本体部の両側に位置する縦片部(挿入部材)の外側表面も同様の勾配に形成されるものである。このとき当該外側表面の双方がともに対向側面に当接することにより、上記勾配の効果によって樹脂製グレーチングの下降が制限されることから、排水溝内への落下を抑制できる状態となる。また、横片部は、上方へ隆起した形状に構成されるものであるから、この隆起形状に対して上方から荷重が作用すると、隆起した部分を陥没させるような変形を誘引することとなるが、このときの変形は、横片部を長手方向に伸張させる状態となることから、上述の排水溝の開口部の内側表面に当接する挿入部材(その外側表面の当接面)が当該内側表面に強く押圧され、圧着に近似する状態となり、上記荷重による樹脂製グレーチングの落下防止に資するものとなる。さらに、複数の横片部または複数の格子構成部材のいずれか一方について、その全部または一部において他方の上端縁よりも外方に突出するように上端縁を形成させるものであるから、液体以外の浮遊物(落葉等)を含む雨水等の流入時にあっては、落葉等が突出させたいずれかの片部により移動が制限され、また、この突出する片部の上端縁に落葉等が堆積した状態であっても、落葉等と他の片部の上端縁との間には適宜な間隙を形成し得ることとなり、雨水等の流入を可能にするものとなる。
【0013】
なお、本発明のグレーチングは、側溝その他の排水溝に設置されるものであって、側溝として使用される排水溝は、主として雨水の排水のために専ら屋外に設置され、開口部にグレーチングが設置されるが、液体を使用する工場や倉庫などにあっては、屋内においても排液等のための排水溝を設置するため、排液のための排水溝の開口にも本発明のグレーチングを設置することができる。特に、工場や倉庫などで、多量の液体の排液に際して浮遊物も同時に排出される場合には、浮遊物によるグレーチングの閉塞を防止し得るものとして、好適に使用し得るものとなる。
【0014】
上記構成の発明において、前記挿入部材は、前記横片部の下端縁よりも外方に突出させ、前記排水溝の開口部の内側表面との間で圧着可能な圧着面を有するものとすることができる。
【0015】
上記構成によれば、挿入部材の下部には、排水溝の開口部の内側表面に対して圧着させることを目的とする圧着面が構成されることから、当該圧着面が排水溝の内側表面に圧着することによって、当該挿入部材の位置が固定化されることとなる。これにより、樹脂製グレーチングの落下防止に資することになるとともに、排水溝に流入する雨水等が多量となった際に、当該雨水等による浮力の作用により樹脂製グレーチングが浮き上がる現象の抑止に資するものとなる。
【0016】
上記構成の発明において、前記横片部の上端縁は、全体的に弧状を形成した状態で隆起させ、または一部が山形に突出する状態で隆起されているものとすることができる。横片部の隆起の形態は、特に限定されるものではないが、弧状または山形に隆起させる場合には、頂点を境に隆起部分を対称形状とすることができ、前述の隆起部分に対する上方から荷重による横片部の伸張変形が対称に分散され、排水溝の対向側面に当接する挿入部材(その外側表面の当接面)の押圧力を均等に作用させることができる。
【0017】
上記構成の発明において、前記複数の格子構成部材のうち、前記横片部の上端縁が隆起する部分の頂点に配置される格子構成部材を除く他の格子構成部材が、前記複数の横片部の上端縁よりも外方に突出する上端縁を有するものとすることができる。
【0018】
上記構成によれば、前記の任意に選択し得る上端縁を突出させる部位として縦片部の一部である格子構成部材を選択したものであるから、雨水等の排水溝への流入方向が専ら排水溝の幅方向である場合に、上端縁を突出させた縦片部(格子構成部材)が落葉等の流動を阻止させる効果を発揮させ得るものとなる。なお、格子構成部材のうち横片部の隆起部分の頂点に配置されるものを除いて上端縁を突出させることにより、落葉等が隆起部分の頂点に達する雨水等の流入状態となる場合、落葉等を隆起部分の頂点に堆積させずに、頂点を越えて、その先へ移動することを促すことができるものとなる。
【0019】
また、上記構成の発明において、前記複数の横片部の上端縁は、該横片部の中央の1箇所を頂点として隆起させるものであり、前記複数の格子構成部材のうち上端縁を突出させた格子構成部材は、前記横片部の頂点を境に両側に対称に配置されるものとすることができる。隆起させる部分の頂点が横片部の中央に位置し、上端縁を突出させた格子構成部材が対称に配置されることにより、樹脂製グレーチングの全体が排水溝の中心線に対して対称な形状となるため、設置の際に向きを考慮する必要がなくなるものとなる。また、樹脂製グレーチングを連続して設置する場合に、当該隆起部分が排水溝の長手方向に連続することとなり、個々の樹脂製グレーチングの間に不要な間隙の発生を防止し得ることとなる。
【0020】
上記各構成の発明において、前記複数の横片部の末端は、前記排水溝の開口部両側縁部の上側表面に掛止される掛止片部が該横片部に連続して設けられている構成とすることができる。
【0021】
上記構成によれば、樹脂製グレーチングを排水溝の海溝部に設置する際、横片部の末端に連続して設けられる掛止片部を開口部両側縁部の上側表面に掛止させることができることから、第1に、樹脂製グレーチングの設置状態として、掛止片部が当該上側表面に到達していない浮き上がり状態を目視で確認でき、第2に、樹脂製グレーチングの落下防止に資するものとなる。樹脂製グレーチングの落下防止の機能は、前述のとおり、縦片部の両側が排水溝の対向側面に当接すること、突設部によって圧着すること、隆起させることによる伸張効果を得ることなどがあるが、それを補完するものである。すなわち、排水溝の開口部両側に対し、樹脂製グレーチングの挿入部材(その当接面)が均等に当接していない状態(樹脂製グレーチングが斜めになった状態)においても、落下を防止させる必要があるため、その場合に、先に開口部端縁から下方へ離脱する側を掛止片部によって掛止させ、落下姿勢(斜め状態)の進行を停止させることができるものとなる。
【0022】
上記構成の発明において、前記複数の横片部のうち任意の1または複数の横片部は、他の横片部よりも幅広に構成されており、前記幅広な横片部に設けられる前記掛止片部は、当該幅寸法が維持されつつ、前記排水溝の開口部両側縁部の上側表面に掛止されるものとすることができる。そして、その幅広な横片部に設けられる掛止片部は、1または複数の貫通孔を有するものと構成することができる。
【0023】
横片部の一部を幅広に構成することにより、浮き上がり状態の発見を容易にすることができる。また、この幅広の掛止片部を利用して貫通孔を設けることにより、排水溝との固定のための固定具を使用することができる。固定具による排水溝との固定は、固定強度を得ることよりも、排水溝が満水状態となった際、またはグレーチングが雨水等によって水没した状態の際、雨水等の浮力による樹脂製グレーチングの浮上を防止することと、排水溝の長手方向への移動(横滑り)を制限することを主たる目的とするものである。これらの浮上および横滑りを生じさせる外力は大きいものではないため、汎用される固定具による固定によって行うことができるものである。
【0024】
また、上記構成の発明において、前記複数の横片部の末端に設けられる掛止片部のうち、前記縦片部の両端との間で交差する横片部に設けられる掛止片部の一方には凸状部が設けられ、他方には凹状部が設けられている構成とすることができる。
【0025】
上記構成によれば、縦片部の両端において交差する横片部の末端に形成される掛止片部のうち、一方が凸状部であり他方が凹状部である場合、樹脂製グレーチングを連続して設置する際、長手方向に結合させることができるものとなる。この結合により、固定具による固定に代えて、浮上および横滑りを複数の樹脂製グレーチングが一体となることにより抑制し得るものとなる。なお、凸状部は、面方向に突出させた形状のほか、横向きに突出される形態を含むものでは、凹状部は、面方向に陥没させる場合のほか貫通孔の場合もあり、さらには横向きに突出する凸状部に係合できる形状とする形態を含むものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、廃棄用プラスチックにより一体成形してなるグレーチングにより、落葉等を回避しつつ雨水等の排水溝への流入を可能にする。また、横片部の上端縁を隆起させていることから、大量の落葉等が雨水に混入する状況においても、雨水の側溝への流入を維持させ得る。さらに、この横片部の上端縁を隆起させる構成により、グレーチング表面に対して重量物による荷重が作用して変形する場合があるとしても、排水溝の幅方向に伸張するような変形を誘発するため、縦片部による挿入部材の外側表面(当接面)が排水溝の対向側面に当接し、グレーチングの落下を防止し、また突設部による圧着により浮上をも防止する。さらに、幅広の掛止片部に貫通孔を設け、固定具により固定する場合には、排水溝が満水状態またはグレーチングの水没状態において、浮力が作用する場合であっても浮上することを防止し得るものとなる。これにより廃棄用プラスチックその他の樹脂によって構成されるグレーチングでありながら設置状態を維持させ得るものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1の実施形態に係るグレーチングの構成を示す説明図である。
【
図2】第1の実施形態に係るグレーチングの構成を示す説明図である。
【
図3】第1の実施形態に係るグレーチングの設置状態を示す説明図である。
【
図4】第1の実施形態に係るグレーチングに対する荷重と変形の関係を示す説明図である。
【
図5】第1の実施形態に係るグレーチングの使用態様を示す説明図である。
【
図6】第1の実施形態に係るグレーチングの使用態様を示す説明図である。
【
図7】第2の実施形態に係るグレーチングの構成を示す説明図である。
【
図8】第3および第4の実施形態に係るグレーチングの構成を示す説明図である。
【
図9】第3の実施形態に係るグレーチングの設置状態を示す説明図である。
【
図10】第4の実施形態に係るグレーチングの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
<第1の実施形態の構成>
図1は、本発明に係る樹脂製グレーチングの第1の実施形態を示すものである。本実施形態は、
図1に示されているように、側溝等の排水溝A(図は連続する排水溝の一部を示している)の上部開口部Aaに設けられるグレーチング100であり、廃プラスチック等の合成樹脂により一体成形されたものである。側溝として使用される排水溝は、主として雨水の排水のために専ら屋外に設置され、開口部にグレーチング100を設置するものであるが、工場や倉庫などのように液体を使用する構造物の屋内においても排液等のための排水溝が設置され、排液のための排水溝の開口にもグレーチングが設置される。本実施形態はいずれの排水溝についても使用可能である。本実施形態のグレーチング100を構成する主たる本体部1は、全体として複数の横片部2および複数の縦片部3を交差させてなる立体的な格子状に形成され、両片部2,3の交差によって複数の貫通部4が構成されるものである。横片部2および縦片部3は、いずれも所定の肉厚および平面を有する長尺な板状に構成されるものであり、横片部2は、長手方向を排水溝Aの幅方向Yに向け、平面部を高さ方向Zに向けて配置され、縦片部3は、長手方向を排水溝Aの長手方向Xに向け、平面部を高さ方向Zに向けて配置されるものである。
【0030】
各片部2,3は、一体成形されることから分離・分割できるものではないため、独立した板状ではないが、観念的に連続した板状として設計され、相互に交差させることにより立体的な格子状の本体部1を構成するものである。本実施形態の本体部1は、グレーチングとしての排水機能を生じさせるために、各片部2,3で形成される格子状によって、排水溝Aの高さ方向(概略鉛直方向)Zに向かって貫設される排水のための貫通部4が形成されている。
【0031】
本実施形態では、本体部1を構成する横片部2は、その上端縁の形状について、中央を最上位(頂点)としつつ両側に対称な形状によって隆起させている。また、縦片部3は、中央および両側に位置するものを除き、横片部2の上端縁よりも高い上端縁を有するものとして構成されており、その縦片部3の上端縁の高さは、横片部2の隆起形状に合わせて、配置される位置に応じて徐々に異なるように設けられるものである。なお、本実施形態においては、横片部2の上端縁の隆起形状を山形としたものを例示しており、下端縁についても類似の形状としており、中央が高くなる形状(山形)に形成したものを例示している。
【0032】
ここで、本実施形態の詳細を説明する。
図2(a)は、本実施形態の一部を切り欠いた状態を示す図であり、
図2(b)はグレーチング100を排水溝Aに設置した状態を示す図である。この
図2(a)および(b)に示すように、本実施形態のグレーチング100を構成する本体部1は、横片部2a,2b,・・・2m,・・・2nが適宜間隔(等間隔)で排水溝の長手方向Xに平行に整列され、また、縦片部3a,3b,・・・3m,・・・3nも適宜間隔(等間隔)で排水溝の幅方向Yに平行に整列されたものである。これらにより、平面視において格子状となり、高さ方向Zに矩形の貫通部4が形成されることとなるものであって、全体として立体的な格子状を構成しているものである。
【0033】
本実施形態の横片部2a~2nは、板厚を除き同じ形状に設けられ、中央を隆起させその両側をほほ水平となる形状としている。そのため、横片部2a~2nの上端縁2Aは、中央に頂点を有する山形の形状としており、全長の長尺化のために下端縁2Bも中央を頂点とする山形の形状とするものである。
【0034】
横片部2a~2nおよび縦片部3a~3nは、いずれも板状としており、その板厚は、比較的薄く形成され、貫通部4の開口面積を大きくするように構成している。この貫通部4の開口面積を大きくすることにより、雨水等の排水の流入量を増大させ、グレーチングとしての機能を発揮させるものである。板状とした横片部2a~2nおよび縦片部3a~3nの双方の板厚は、基本的に同程度の肉厚に構成されるものであるが、中央に配置される横片部2mおよび縦片部を他に比較して厚肉に設けている。中央の縦片部3mは、横片部2a~2nの上端縁2Aが隆起している頂点において形成されるものであることから、グレーチング100の上部において最も頻繁に荷重が作用するため、強度を上げる目的で厚肉としている。なお、中央の横片部2mの板厚を肉厚に設けている理由も適度な強度を得るためであるが、横片部2mについては必ずしも中央である必要はなく、グレーチング100の長手方向Xの長さに応じて適宜な位置に設けられるものであって、ここでは中央に設ける構成を例示している。
【0035】
縦片部3a~3nのうち最も外側に位置する縦片部(これを挿入部材という)3a,3nは、グレーチング100の幅方向における両端を形成するものであり、排水溝Aの開口部Aaに挿入される部分の両端に位置するものである。そして、挿入部材3a,3nの外側表面31,32は、排水溝Aの開口部Aaの内側表面A1,A2に当接する当接面として機能するものであり、挿入部材3a,3nを排水溝Aの開口部Aaに挿入することにより、当該当接面31,32が排水溝Aの開口部Aaの内側表面A1,A2に面接触の状態で当接させることができる。この場合において、例えば、排水溝Aの形態が、内側両面(以下、対向側面と称する場合がある)A1,A2の相互間隔(幅)W1,W2が底面A3に向かって減少させるような構造(上位の幅W1>下位の幅W2)の場合、当該排水溝Aの開口部Aaの内側表面A1,A2は所定の勾配率によって傾斜することとなり、挿入部材3a,3nの当接面31,32を同様の勾配に設けることにより、上記の両者の当接は、必然的に密約し、圧着に近似する状態となり得るものとなる。
【0036】
また、本実施形態においては、挿入部材3a,3nの下部が、横片部2a~2nの下端縁よりも外方(下方)に突出するように形成されたものとしている。この突出する部分33,34は、挿入部材3a,3nの一部によって構成されることから、その突出部分33,34の外側表面35,36は、挿入部材3a,3nの当接面31,32に連続して設けられる。ところが、この突出部分33,34の外側表面35,36は、当接面31,32とは異なる角度(排水溝Aに対向側面A1,A2に向かって傾斜する角度)に設けることにより、意図的に排水溝Aの開口部の内側表面A1,A2との間で圧着させるような表面(圧着面)35,36を形成することができるものとなる。
【0037】
例えば、上述のように、排水溝Aの対向側面A1,A2に勾配が設けられる場合(上位の幅W1>下位の幅W2)には、挿入部材3a,3nの当接面31,32は同じ勾配で設けるものとしつつ、圧着面35,36は、勾配とは無関係に両面35,36が平行な状態で設けるものとするのである。排水溝Aの対向側面が勾配しているにもかかわらず、圧着面35,36を平行に設けられることにより、突出部分33,34は、対向側面A1,A2によって強制的に弾性変形させられることとなり、その弾性変形の際の復元力が作用することで圧着面35,36が排水溝Aの開口部Aaの内側表面A1,A2に強く押圧され圧着した状態とすることができるのである。なお、排水溝Aの対向側面A1,A2が勾配を有しない場合は、両面35,36の間隔を拡大させるような角度に設ければよいものである。また、勾配を有する場合であっても、圧着力を増大させるために意図的に拡幅させるように構成してもよい。
【0038】
縦片部3a~3nのうち、上記の挿入部材3a,3nを除いた残りは格子構成部材として、横片部2a~2nとともに立体的な格子状を形成するものである。これらの格子構成部材のうち、横片部2a~2nの上端縁2Aが隆起する頂点において配置される縦片部(格子構成部材)3mを除く格子構成部材3b~3eの上端縁を横片部2a~2nの上端縁よりも上位へ突出させている。
【0039】
従って、縦片部3a~3nを横片部2a~2nの中央(隆起の頂点)を境に対称な状態で配置することにより、中央される縦片部(格子構成部材)3mの両側には、上端縁を突出させた複数の格子構成部材3b~3eが対称に配置されるものとなる。
【0040】
他方、本実施形態における横片部2a~2nは、その末端において、板厚と同じ幅により当該横片部2a~2nに連続して突出させた掛止片部21,22を有する構成としている。この掛止片部21,22は、排水溝Aの開口部Aaの両縁において形成される平面部(フランジ部)Ba,Bbに到達することにより、下向きの移動を制限するように掛止されるように設けられてものである。そのため、掛止片部21,22を形成する板状体は、高さ方向Zを板厚とした薄肉状としており、板状の幅寸法は、横片部2a~2nの板厚となるものである。なお、長さ寸法は横片部2a~2nからの突出長よって決定されるが、排水溝Aのフランジ部Ba,Bbに十分に当接して掛止可能な程度とするものである。
【0041】
また、横片部2a~2nの中央に位置する(中央以外でもよいが)幅広の横片部2mについても同様に掛止片部23,24を形成するものである。従って、板状体の板厚を高さ方向Zに配置したものであり、当該板厚は他の掛止片部21,22と同じ寸法としている。また、この掛止片部23,24は、幅広の横片部2mを利用して、幅広かつ長尺に設けて比較的大きい面積の平面を形成させている。そして、その大きさを利用して、ほぼ中央に貫通孔5,6を設けることができるものとなっている。貫通孔5,6は、専ら排水溝Aのフランジ部Ba,Bbとの結合に利用されるものであり、コンクリート製の排水溝Aに対し、コンクリートネジやコンクリート用釘などを使用して固定することができる。
【0042】
<第1の実施形態の設置状態>
本実施形態は、上記のような構成であるから、排水溝Aの開口部Aaに挿入部材3a,3nを挿入することにより、排水溝Aに設置することができる。特に、排水溝Aの対向側面A1,A2が勾配を有するものであり、挿入部材3a,3nの当接面31,32を同じ勾配によって傾斜させる場合には、固定的な設置を可能とするものである。
【0043】
排水溝Aの対向側面A1,A2が勾配を有する場合における本実施形態の設置状態を
図3に示す。この
図3は、掛止片部21,22を省略しており、専ら挿入部材3a,3nの当接面31,32による固定的な設置状態を示すものである。この図に示すように、グレーチング100を排水溝Aに設置する場合は、両側の挿入部材3a,3nを開口部Aaに挿入し、この挿入部材3a,3nの当接面31,32を開口部Aaの内側表面A1,A2に当接させるようにするものである(
図3(a)参照)。
【0044】
この挿入部材3a,3nの挿入時において、その途中に状態(
図3(b)参照)においては、両側の挿入部材3a,3nの当接面31,32は、排水溝Aの対向側面A1,A2との間に、僅かながらそれぞれ間隙C1,C2を有する状態となり、両者は当接せず、グレーチング100は継続して下降し得ることとなる。
【0045】
そこで、グレーチング100を十分に下降する(挿入部材3a,3nを開口部Aaに挿入する)ことにより、挿入部材3a,3nの当接面31,32は、排水溝Aの対向側面A1,A2に到達し、両者が当接する状態となる(
図3(c)参照)。このように、両者が当接すると、当接している当接面31,32の間隔は、下方の対向側面A1,A2の間隔よりも大きいことから、挿入部材3a,3n(グレーチング100)の下方への移動が制限されることとなる。従って、この状態でグレーチング100の設置は完了した状態となる。
【0046】
また、上記のような設置状態において、グレーチング100に対して傾くような外力が作用する場合には、片方の当接面(例えば、図中右側の当接面)31を軸に、他方の当接面(例えば、図中左側の当接面)32が回転するように作用する。ところが、上記の設置状態にあっては、排水溝Aの対向側面A1,A2と挿入部材3a,3nの当接面31,32とが、相互に面接接触の状態で当接されることから、他方の当接面(例えば、図中左側の当接面)32の回転は容易でなく、グレーチング100の設置状態は安定したものとなる。
【0047】
また、グレーチング100に対して全体的に上方から荷重が作用する場合には、グレーチング100を全体的に下降させることとなるが、この場合の荷重は、隆起する部分(横片部2の上端縁2Aの頂点)に集中することとなる。このように、横片部2の上端縁2Aの頂上に集中して荷重が作用する状態を
図4に示す。この図においても掛止片部21,22を省略しており、専ら挿入部材3a,3nの当接面31,32と排水溝Aの対向側面A1,A2との関係を示すものである。
【0048】
この
図4に示すように、グレーチング100に対して(隆起部の頂点Dに集中して)上方から荷重Eが作用する場合(
図4(a)参照)、挿入部材3a,3nの下端(当接面31,32の下端)が下降しないと仮定すると、隆起部の頂点Dが下降する方向へ作用し、樹脂製材料のグレーチング100の全体が僅かながら変形することがある。そして、このときの変形は、頂点Dが下降し、この下降に応じて、長手方向(排水溝Aの幅方向)Yに伸張することとなる。この伸張により、挿入部材3a,3nの当接面31,32の位置は両側に拡張されることとなる(
図3(b)参照)。本実施形態では、横片部2の中央を境に両側を対称に構成していることから、隆起部の頂点Dが下降する変形量C3の程度に応じて、当接面31,32は、相応する変形量C4,C5によって両側双方にそれぞれ伸張することとなる。
【0049】
排水溝Aに設置される場合には、
図4(c)に示すように、当接面31,32が排水溝Aの対向側面A1,A2に当接した状態から移動(伸張)できないことから、上記のような変形は許容されず、結果として、当接面31,32を伸張させる方向(排水溝Aの対向側面A1,A2に対する押圧方向)への分力として作用することとなる。この分力の作用により、当接面31,32は排水溝Aの対向側面A1,A2に対して押圧することとなり、両者が圧着された状態となるから、グレーチング100の下降(落下)を抑制する効果を発揮させることができる。
【0050】
<第1の実施形態の使用態様>
本実施形態の構成は上記のとおりであるから、
図5(a)に示すように、長尺な排水溝Aの長手方向Xに対し、同種の複数のグレーチング100を直列状態で設置することができる。このように、排水溝Aの開口部の全体にグレーチング100が設置されることにより、雨水等の排水は、これらのグレーチング100に形成される貫通部を介して排水溝Aに流入させることができる。
【0051】
ここで、一般的な排水溝(側溝)Aは、適宜な長さ(1.2mや1.8mなど)を単位として、所定の範囲に複数を連続して設けられるものであり、開口部近傍を路面(地面)に開口させつつ埋設されるものである。そこで、グレーチング100の長さを排水溝(側溝)Aの1単位の長さの1/2や1/3の長さ(0.6mなど)に設定することにより、1単位の排水溝(側溝)Aに対して1つまたは2つのグレーチング100によって開口部全体にグレーチング100を設置することができることとなる。
【0052】
上記のように、複数のグレーチング100を直列に設置する場合には、
図5(b)に示すように、一方のグレーチング100の第1番面の横片部2aと、最終番目の横片部2nとを相互に当接させて設置される。このとき、両横片部2a,2nを結束線等により結束することにより、隣接するグレーチング100は相互に一体化させることができる。この一体化により、隣接する二つの横片部2a,2nの幅寸法W1,W2が累積され、2倍の幅寸法となり、幅広の掛止片部23,24(
図2)として、強度を向上させることとなる。
【0053】
また、本実施形態のグレーチング100は、横片部2a~2nの上端縁2Aを隆起させ、縦片部3a~3nの一部3b~3eは上端縁と突出させていることから、
図6に示すように、雨水等RWの流れに伴って排水溝(側溝)Aに集積される落葉等FLは、基本的には雨水等RWとともに貫通部4を通過して排水溝(側溝)Aの内部へ流入するように誘導されるが、貫通部4の断面(流路断面)を超える大きさの落葉等FLは通過できず、グレーチング100の上面に留めることができる。
【0054】
そして、グレーチング100の幅方向に流動する雨水等RW、およびこの雨水等RWによって浮遊する落葉等FLは、上端縁を突出させた格子構成部材3b~3eによって堰き止められ、その流動(特に落葉等FL)を制限することとなることから、落葉等FLを排水溝Aの両側付近に堆積させるように誘導し得るものとなっている。また、グレーチング100の上面に留められる落葉等FLは、上端縁を突出した格子構成部材3b~3eの上端縁に跨がるように堆積されることとなり、これらの落葉等FLと横片部2の上端縁2Aとの間には、雨水等RWが通過できる程度の間隙を形成させることができる。従って、雨水等RWは、この間隙を通過して排水溝(側溝)Aの内部に流下できるものとなる。
【0055】
なお、落葉等FLの堆積により当該間隙が閉塞される場合には、さらに高い位置に配置される格子構成部材(上端縁を突出したもの)によって雨水等RWおよび落葉等FLが堰き止められ、雨水等RWがグレーチング100に集積される落葉FLの上を通過し、隆起する横片部2の高位に形成される貫通部4を通過して排水溝(側溝)Aに流入するように誘導させ得るものとなる(
図6(a)参照)。
【0056】
なお、グレーチング100の中央は横片部2が隆起した形状となっているため、集積される落葉FLは、中央の縦片部(格子構成部材)3mを超えて反対側へ移動することを抑制され、この縦片部(格子構成部材)3mを超える大量の雨水等RWが集中するときは、雨水等RWのみが反対側に流れて、排水溝(側溝)Aへの雨水等RWの早期かつ大量の流入を可能にするものとなる(
図6(b)参照)。これは、
図6(b)中の左側が路面RS、右側が法面SSとなっている場合に、路面RSの側から大量の雨水等RW(落葉FLを含め)が大量に流下するような状況下において生じ得るものである。
【0057】
また、このように大量の雨水等RWが排水溝(側溝)Aに集中する状態においては、グレーチング100が雨水等RWによって水没される状態となり、これらの雨水等RWの浮力によって浮上する可能性があるため、上述のような挿入部材3a,3nの当接面31,32による圧着、または幅広の横片部2mをコンクリートネジやコンクリート用釘などを使用して固定することにより、その際の浮上を防止しているのである。このことは、排水溝(側溝)Aの雨水等が満水となった場合も同様である。
【0058】
いずれにしても、上記のような本実施形態によれば、廃棄用プラスチック等の合成樹脂によって一体成形されるグレーチング100により、雨水等を円滑に排水溝(側溝)Aに流下させることができるものであり、当該グレーチング100の落下および浮上を防止して、設置された位置に留めることができる。これにより、グレーチング本来の機能を発揮させるうえ、落葉等の集積に阻害されずに雨水等を流下させることができるものとなる。
【0059】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、
図7に示すように、横片部2a~2nを弧状に隆起させたものである。横片部2a~2nの形状以外は第1の実施形態と同様の構成である。
図7(a)に示されているように、本実施形態のグレーチング200を構成する本体部1も、横片部2a~2nと縦片部3a~3nによって立体的な格子状を形成するものであり、複数の貫通部4を構成したものである。また、各横片部2a~2nの末端には掛止片部21,22が設けられ、適宜な位置(図は中央)には幅広の横片部2mが設けられ、幅広の掛止片部23,24が設けられ、貫通孔5,6を有する構成となっている。
【0060】
縦片部3a~3nのうち、両側に位置するものは挿入部材3a,3nであり、その外側表面31,32に当接面が形成され、また、挿入部材3a,3nの下端には突出部分33,34が設けられ、圧着面35,36を有している構成となっている。なお、上端縁を突出させる格子構成部材3b~3eは、突出の程度・状態が第1の実施形態とは若干異なるが、いずれも横片部2の上端縁2Aから上方に突出する上端縁を有するものである。
【0061】
従って、本実施形態のグレーチング200を排水溝Aの開口部Aaに装着する場合には、
図7(b)に示すように、隆起する横片部2の頂点Dを中心に両側に対称な状態となり、掛止片部21,22は、排水溝Aのフランジ部Ba,Bbに掛止される状態となり、挿入部材3a,3nの当接面31,32は、排水溝Aの対向側面A1,A2に当接された状となり、第1の実施形態と同様の状態で設置し得るものとなる。
【0062】
また、横片部2の上端縁2Aを弧状に隆起させたことに伴い、下端縁2Bも同様に弧状に構成されていることから、横片部2は全体として長尺な弧状の板状体によるものとなり、隆起部の頂点Dに荷重が作用する際の変形状態も同様となる。なお、隆起の形状が弧状である場合には、山形に隆起させた形態(第1の実施形態)とはことなり、頂点Dの近傍における曲率が緩やかな形状となるが、落葉が集積する際の間隙の形成等、その他の効果については、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
<第3および第4の実施形態>
次に、第3および第4の実施形態について説明する。両実施形態を
図8に示す。第3の実施形態に係るグレーチング300は、
図8(a)に示すように、前述の第1の実施形態における掛止片部21,22(幅広の掛止片部23,24を含む)を設けない構成としたものであり、第4の実施形態に係るグレーチング400は、
図8(b)に示すように、第2の実施形態における掛止片部21,22,23,24を設けない構成としたものである。
【0064】
いずれのグレーチング300,400も、掛止片部21,22,23,24を設けていないことから、両側の挿入部材3a,3nの外側表面(当接面)31,32が最も外側に位置する構成となっている。
【0065】
そこで、第3の実施形態に係るグレーチング300を排水溝Aに設置する場合は、
図9に示すように、排水溝Aの対向側面A1,A2に挿入部材3a,3nの当接面31,32を当接させることにより、固定的に装着することができるものとなる。
【0066】
ここで、グレーチング300は樹脂製の一体成形品であるのに対し、排水溝Aは一端的にコンクリート製であることから、精度上において若干の誤差を生じる可能性があり得る。排水溝Aおよびグレーチング300がそれぞれ想定された寸法で構成されている場合には、
図9(a)に示すように、挿入部材3a,3nの上端縁が排水溝Aのフランジ部Ba,Bbと一致する状態で装着される。
【0067】
これに対し、排水溝Aの対向側面A1,A2の間隔が僅かに広い場合には、
図9(b)に示すように、グレーチング300は、排水溝Aの対向側面A1,A2に挿入部材3a,3nの当接面31,32が密着できる状態まで沈んだ状態に装着されることとなる。このとき、挿入部材3a,3nの上端縁は、排水溝Aのフランジ部Ba,Bbから僅かな距離L1だけ下位に位置することとなるが、雨水等の流入には問題ないものとなる。
【0068】
他方、排水溝Aの対向側面A1,A2の間隔が僅かに狭い場合には、
図9(c)に示すように、グレーチング300は、挿入部材3a,3nの上端縁が排水溝Aのフランジ部Ba,Bbに到達する前に、挿入部材3a,3nの当接面31,32が、排水溝Aの対向側面A1,A2に密着し、浮き上がった状態となる。この状態は、挿入部材3a,3nの上端縁が排水溝Aのフランジ部Ba,Bbから僅かな距離L2だけ上位に位置することとなる。このような場合において、浮き上がりによる生ずる僅かな距離L2が、当該第1の実施形態における掛止片部21,22,23,24と同程度であれば、第1の実施形態における設置状態と相違することがないため、これまた雨水等の流入に支障を来すことはないものとなる。
【0069】
第4の実施形態に係るグレーチング400を排水溝Aに設置する場合においても、
図10に示すように、第3の実施形態と同様に、挿入部材3a,3nの上端縁が排水溝Aのフランジ部Ba,Bbと一致する場合(
図10(a)参照)、グレーチング400が沈み込む場合(
図10(b)参照)、およびグレーチング400が浮き上がった状態(
図10(c)参照)があり得る。グレーチング400が沈み込む場合は、僅かな距離L3だけ下位に位置し、浮き上がる場合は、僅かな距離L3だけ上位に位置することになるが、この場合についても第3の実施形態と同様に、雨水等の流入に支障を来すものではない。
【0070】
<変形例>
次に、上記各実施形態の変形例について説明する。
図11および
図12は、第1の実施形態の変形例である。なお、
図12は、
図11(a)中のXIIA-XIIA線による断面構造(
図12(a))および
図11(b)中のXIIB-XIIB線による断面構造(
図12(b))を示すものである。
【0071】
この変形例は、排水溝Aにグレーチング500,600を設置した状態において、路面等を流れる雨水等の流入を円滑にするものである。すなわち、挿入部材3a,3nの上端縁を掛止片部21,22(および幅広の掛止片部23,24)よりも低い位置とするように構成したものである。
図11(a)に示す構成は、当該挿入部材3a,3nの上端縁を掛止片部21,22の下端縁と同じ高さに設けたものであり、
図11(b)に示す構成は、挿入部材3a,3nの上端縁の位置をさらに低く設定した構成である。
【0072】
このような構成の場合には、
図12に示しているように、排水溝Aの開口部両縁のフランジ部Ba,Bbに掛止片部21,22を当接させた状態でグレーチング500,600を設置するとき、挿入部材3a,3bの上端縁は、排水溝Aのフランジ部Ba,Bbの表面と同じ高さ(
図12(a)参照)となるか、またはフランジ部Ba,Bbの表面よりも低位(
図12(b)参照)となる。これらにより、フランジ部Ba,Bbの表面を流れる雨水等RWは、挿入部材3a,3bに阻害されること無く排水溝Aに流入し得ることとなる。特に、排水溝Aのフランジ部Ba,Bbが、設置される周辺の路面RSの表面と同じ高さに埋設されるときには、当該路面RSの表面を流下する雨水等RWの排水溝Aへの流入を円滑にすることができる。
【0073】
<第2の変形例>
図13は、第2の変形例を示すものである。この変形例は、第1の実施形態において、縦片部3a~3nの一部(格子構成部材)の上端縁を横片部2a~2nの上端縁よりも上方へ突出させた構成に代えて、横片部2a~2nの上端縁を上方へ突出させたものである。
【0074】
図13(a)に示す変形例は、全ての横片部2a~2nについて、中央の縦片部3mと交差する部分を除き、上端縁を上方に突出させたものであり、結果的に、掛止片部21も上位に設けられるため、挿入部材3a,3nの上端縁は、掛止片部21よりも下位となり、上記第1の変形例と同様に、雨水等の流下を円滑にすることかできる。このような構成においても、
図6に示したように、グレーチング700に流入する雨水等RWによって浮遊する落葉等FLを、横片部2a~2nの上端縁によって堰き止めることができ、また、グレーチング700の上面に留められる落葉等FLは、上端縁を突出した横片部2a~2nの上端縁に跨がるように堆積されることとなり、これらの落葉等FLと格子構成部材の上端縁との間に適度な間隙を形成させることができ、この間隙に雨水等RWを通過させることができる。なお、縦片部3a~3nのうち、中央の縦片部3mと交差する部分は上端縁に差異を設けていないことから、この縦片部(格子構成部材)3mを超える大量の雨水等RWが集中するときに、雨水等RWを中央の縦片部3mの反対側に移動させるように誘導できるものとなっている。
【0075】
他方、
図13(b)に示す変形例は、横片部2a~2nの中から選択した一部2p,2q,2r,2sについてのみ、それらの上端縁を縦片部3a~3nの上端縁よりも上方へ突出させた構成である。この変形例では、中央の縦片部3mと交差する部分の上端縁も上方へ突出させたものとしている。これらの選択した一部の横片部2p~2sは、説明の都合上、間隔が大きくなる位置を選択して図示しているが、この間隔(選択する数)は適宜変更してもよいものである。
【0076】
このような変形例の場合には、横片部2a~2nが断続的に上方へ突出する構成となるため、グレーチング800の上面に堆積する落葉等(雨水等によって運ばれた落葉等)は、突出する横片部2p~2sによって移動が制限されることから、当該横片部2p~2sの中間領域に留まりやすくなる。この領域に落葉等を留めることにより、排水溝の勾配に沿った方向(排水溝による流下方向)への落葉等の移動を制限し、排水溝によって流下する雨水等の到達先(集水升など)において、落葉等が集中することを防止させ得ることとなる。なお、この変形例においても、突出する横片部2p~2sと縦片部3a~3nとの段差により、堆積する落葉等FLと縦片部3a~3nの上端縁との間には適度な間隙が形成され得るため、この間隙を利用して雨水等を排水溝へ流入させることができるものである。
【0077】
<第3の変形例>
図14に上記実施形態の第3の変形例を例示する。第1~第4の実施形態は、横片部2の上端縁の中央のみを頂点として隆起させた形状を示したが、変形例では、複数隆起部7,8を有する構成(図は2つを例示)とするものである。複数(図は2つを例示)の隆起部7,8は、同じ大きさで対称に設ける形態とする場合(
図14(a),(c)参照)のほか、非対称に設ける形態とする場合(
図14(b),(d)参照)があり得る。
【0078】
この変形例のように、複数(図は2つを例示)の隆起部7,8を設ける構成の場合には、雨水等が落葉を伴って排水溝に集中する状況下において、手前側の隆起部(図において左から流入する場合は左側の隆起部)8により落葉を集中して堰き止め、これを越えて流下する雨水等を、他方の隆起部(同様に右側の隆起部)7により、僅かな残りの落葉の堆積を許容しつつ排水溝へ流入させることができる。
【0079】
なお、
図14(b),(d)に示すように、隆起部7,8を非対称とする場合、一方の隆起部7は、他方の隆起8よりも頂点を高く設定することができ、側溝において使用する場合のように、路面等から一方向へ(図の左から右へ)雨水等が流下する状況において、低い隆起部8によって落葉等を堰き止め、これを乗り越える雨水等を高い隆起部7が設けられる領域において側溝内へ流下させるように用いることができる。
【0080】
<他の変形例>
その他の変形例を
図15に示す。この変形例は、第1の実施形態において、隣接するグレーチング100における隣接する横片部2a,2nを一体化する際に、その一体化を容易にするものである。具体的には、
図15に示しているように、グレーチング900を形成する複数の横片部2a~2nのうち、第1番目の横片部2aおよび最終番目の横片部2nの末端に係合部121,122を設ける構成としたものである。この係合部121,122は、第1の実施形態における掛止片部21,22を幅広形状としつつ、一方の横片部2aに凸部123を設け、他方の横片部2nに凹部(貫通部)124を設けたものである。そして、この凸部123は、凹部(貫通部)124に係合できる形状かつ大きさに設けられるものである。
【0081】
上記構成によれば、
図16(a)に示すように、先に設置されるグレーチング900Aに対して、次に設置されるグレーチング900Bを連続させる際、先のグレーチング900Aの第1番目の横片部2aに設けられる係合部121に対して、次のグレーチング900Bの最終番目の横片部2nに設けられる係合部122を係合させることにより、両者を連結させ、
図16(b)に示すように、全体的に一体化させることができる。
【0082】
なお、係合部121,122の板厚は、いずれも掛止片部21,22の板厚の1/2としており、
図16(b)に示されているように、両係合部121,122が積層されることにより、他の掛止片部21,22と同じ板厚となるものである。従って、係合され積層された状態の係合部121,122が、他の掛止片部21,22と同様の機能を発揮させるものとなり得る。
【0083】
また、図は、凸部123を上向きに設けているが、係合部121,122が積層する際に上層に位置する係合部122に凸部を設ける場合には、当該凸部は下向きに設ければよく、凹部122については貫通孔とせず有底筒状の凹状に設ける構成としてもよよい。さらに、凸部123および凹部123は断面円形として図示しているが、円形以外の形状としてもよいものである。
【0084】
<まとめ>
本発明の実施形態および変形例は上記のような構成であるから、これらの実施形態等に示すグレーチング100~900は、合成樹脂によって一体成形されるものであり、廃棄用プラスチックを利用することができるものである。そして、縦片部3a~3nのうちの両側を排水溝Aに挿入する挿入部材3a,3nとし、この挿入部材3a,3nの当接面31,32が排水溝Aの対向側面A1,A2に当接(密着)することにより、グレーチング100~900を安定的に設置することができ、グレーチング100~900の落下を防止するとともに、浮力による浮上も抑制して、安定した設置状態を維持し得るのである。また、グレーチング100~900は、廃棄用プラスチック等の合成樹脂で構成されることから、外部からの荷重、特に隆起させた部分の頂点に対する情報からの荷重が作用すると、変形することがあり得るが、第1に、複数の横片部2a~2nおよび縦片部3a~3nによる立体的な格子状とすることで、その変形を最小限に抑えるものとしており、また変形する場合であっても、その変形の状態が、隆起させた部分の降下に伴う長手方向へ伸張するものとしており、その結果として、挿入部材3a,3nの当接面31,32が排水溝Aの対向側面A1,A2に対する押圧力に変化させることとなるため、当該荷重によるグレーチング100~900の落下を防止できるものとなる。
【0085】
また、グレーチング100~900の構成は、隆起した横片部2a~2nと、縦片部3a~3nの一部(格子構成部材の一部)3b~3eについて上端縁を突出させるものであることから、落葉等の集積による貫通部4の閉鎖を抑制し、排水溝Aへの雨水等の流入を継続させ得るものとなる。なお、格子状により形成される貫通部4は、スリット状と比較すれば、落葉等の排水溝Aへの侵入を大幅に減少させることができる。
【0086】
本発明の実施形態および変形例は以上のとおりであるが、これらは本発明の一例を示すものであり、本発明がこれらの実施形態等に限定されるものではない。従って、上記の実施形態等の要素を変更し、他の要素を追加する構成とすることができる。
【0087】
例えば、第3および第4の実施形態は、隆起させた部分が1つであり中央から両側を対称とした形態を主として示しているが、変形例として
図14に示した複数の隆起部を有する形態または非対称として形態について同様に掛止片部を設けない構成としてもよい。また、係合部121,122を有する変形例(
図15、
図16)は、第1の実施形態の変形例として示したが、第2の実施形態についても同様の形態とすることが可能である。
【0088】
また、使用する排水溝Aの内側表面A1,A2が勾配を有すせず、平行な状態である場合には、
図17に示すように、挿入部材3a,3nの先端に設けられる突出部分33,34を拡幅状態として設け、その外側両面を圧着面として構成することができる。使用時においては、突出部分33,34を内側に弾性変形させることにより、排水溝Aの開口部Aaに装着可能となり、かつ、弾性変形した突出部分33,34の復元力により開口部Aaの両側表面A1,A2を押圧し、圧着させるものとなる。
【0089】
なお、例示した変形例は、各実施形態や他の変形例との相違部分のみを中心に説明したものであるが、変形例等において示した個別の特徴部分は、他の形態に係る構成においても同様に適用し得るものである。そのため第1の変形例や第2の変形例について、第3の変形例を適用させた構成とするものであってもよく、他の組合せによる形態もあり得るものである。
【符号の説明】
【0090】
1 本体部
2,2a,2b,2c,2d,2e,2m,2n 横片部
3 縦片部
3a,3n 挿入部材(縦片部)
3b,3c,3d,3e 上端縁を突出させた格子構成部材(縦片部)
3m 中央の格子構成部材(縦片部)
4 貫通部
5,6 貫通孔
7,8 隆起部
21,22,121,122 掛止片部
23,24 掛止片部(幅広)
31,32 当接面
33,34 突出部分
35,36 圧着面(突出部分の外側表面)
100,200,300,400,500,600,700,800,900,900A,900B グレーチング
121,122 係合部
123 凸部
124 凹部(貫通部)
A 排水溝
Aa 排水溝の開口部
A1,A2 排水溝の開口部の内側表面(対向側面)
Ba,Bb 排水溝の開口部両縁の平面部(フランジ部)
FL 落葉
RW 雨水等
RS 路面
SS 法面